――――あの後、私は寄り道をせず真っ直ぐに自分の部屋に帰った。
とてもではないが酒をちょろまかして一杯やろうというような気分ではなかった。
むしろ逃げるようにして足早にその場を立ち去った。
自分の体にゲームの時から変わらない隠密スキルが宿っていて本当に良かったと心から思う。
「はぁ……っ」
自分の部屋の扉を、極力音を立てないようにそっと閉めて、そこでようやく一息つくことができた。
誰かに見つかるようなヘマはしていないが、それでも確実に他人の目がない場所に辿り着いたという安心感は何にも代えがたかった。
そのままへなへなと崩れ落ちるような足取りでベッドに向かい、頭からシーツに突っ伏した。
ぼふん、と柔らかい音を立てて体を受け止めてくれるシーツの柔らかさがありがたい。
同時に生地の少しひんやりとした冷たさが、今の私には心地よく感じられた。
それを意識して――――自分の顔が少し火照っているのに気が付いた。
「うぅ……」
自分で自分の頬に触れてみる。
赤ん坊の様にすべすべとした卵肌の手触り……ではなく指先に意識するのはその熱さだ。
鏡を見なくてもわかるくらいに、今の自分の顔は真っ赤になっているのだろう。
耳の奥の鼓膜の内側で、血管が脈打つのを感じるほどに脈が速くなっているのを自分でも理解する。
「あぁ、でもなぁ………っ。あんなの見せられたらなぁ……っ!」
いや、見せられたら、とは言うが自分が勝手に覗き見たのであって、見られた側にはいい迷惑なのかもしれないが……。
それでも。それでもあれはなぁ……。
シーツの上をゴロゴロと転がりながら煩悶する。
ついさっきまで見ていたものの光景が頭の中でグルグルと回って、そのイメージが離れてくれない。
「しかし、あの二人があんな関係だったとは……」
口に出してその事実を再確認して……なんだか堪え切れなくなり、シーツの上をまたゴロゴロと転がる。
うあぁぁぁ、とひとしきり呻いて回転していると、バラバラに解れた髪が鬱陶しくなってきた。
「いかんいかん、落ち着け落ち着け……」
体を起こして、手櫛で髪を整えながら先ほどまで自分が見ていたものを整理することにする。
鍵穴から覗いたヨアヒムの部屋。
中にいたのは部屋の主である伯爵と、メイド長であるテオドラだった。
この二人の組み合わせは屋敷の中ではよく見るのでそれだけでは問題はない。
ただ……ただ、二人がベッドの上で
それを認識した瞬間、思わず息を呑んだ。
変な声を出さなかっただけ良くできたものだと自分を褒めたい。
驚きながら部屋の中を覗き込む私の視界の中では、暖炉の明かりに照らされながら衣服を剥いで裸身を露にしていく二人の姿があった。
『……お前は綺麗だなテオドラ。何人もの女を抱いてきたが、お前ほどオレを夢中にさせてくれる奴はいない』
『伯爵様、お戯れを……』
扉一枚隔てているはずなのに私の耳は囁き合う二人の睦言を極めて正確に拾っていた。耳が好感度マイクにでもなっているようだ。
まるで高価な贈り物の包装を解いていくように、二人はお互いの衣服を見ていてじれったくなるほどに丁寧に脱がし合っていく。
露になっていくヨアヒムの細身ながらもしっかりと均整の取れた筋肉のついた体。
そしてメイド服の下から零れ落ちるような、テオドラの餅の様に白くて柔らかそうな豊かな体……。
互いに裸を晒し合い、見つめ合う二人の目つきは私が見たことも無い熱っぽさに溢れていた。
ヨアヒムならまだわかる。彼の女たらしっぷりは良く知っているし、その延長線上として何とかわかる。
ただ、メイド長のテオドラは――――あの鉄面皮で無表情な、いつもの姿からは想像もできない表情を見せていた。
硝子のように無機質だった黒い瞳は熱を湛えて潤み、微笑みの一つも見たことのない頬には恥ずかしがるような朱色が浮かび、いつもひっ詰めていた黒髪は解かれて艶やかに波打ちながら流れている。
普段とのあまりのギャップに眩暈がしそうだ。
私が食い入るように見つめているのも知らず、ヨアヒムが裸に剥いたテオドラの肢体に手を伸ばし、指を這わし始める。
陶磁器の手触りを確かめるような細やかで、それでいてねちっこい愛撫だった。
そうして体に触れながらヨアヒムは時折彼女の頬や首筋にキスをする。
ちゅ、ちゅ、とわざと立てているような音が部屋に響くたびに、テオドラは恥ずかしがるように目を伏せた。
『目を伏せるな。オレの目を見るんだ』
『お前の肌は触っていて飽きないな。シルクのような手触りだ』
『胸の先が尖ってきているぞ。ほら、もっと触ってほしかったら自分でねだれ』
『こっちの方はもう濡れてきているな……期待しているのか?いやらしいメイドだ……』
ヨアヒムは耳元でテオドラに囁きながら、彼女を弄ぶようにその体を愛でている。
彼に揶揄されるように、あるいは甘やかすように言葉を掛けられるたびに、メイド長は普段の鉄面皮からは想像もできないほどに色っぽく悶えた。
あぁ、と鼻にかかった甘い息を漏らし、恥じらうように身を捩らせる。
時折拒絶するように「いけません」、「お許しください」と呟くが、白い肌の豊満な体を甘えるように――あるいは挑発するように男に擦り付けている姿を見れば口先だけの拒絶だというのは明白だった。
やがてヨアヒムはテオドラの体が程よく解れたと見るや、今度は自分に奉仕させ始めた。
その時に二人の体の間に見えた彼の逸物は、さながら槍の様に硬く長く反り返っており、思わず私は心中でうへぇ、と呻いた。
その槍のような男根を昂らせるように奉仕するテオドラの手技は、見ているこっちが勃起しそうなほどに、いやらしく淫らな代物だった。
艶やかな黒髪を乱しながら、悩まし気な表情で男の陰茎を咥え込んで舐めしゃぶる。
じゅぷ、じゅぷ、とわざとらしく唾液音を立てながらふくよかな女の唇が赤黒い肉桂を咥えている。
そうして彼女に自分の性器を世話させながらヨアヒムは、「そんなに男のモノが美味しいのか」と揶揄するようなことを言いながら、「やはりお前の口はいいな。気持ちいいぞ」などと誉めそやすような言葉を掛ける。
彼に言葉を掛けられる度に頬を染め、相好を崩すテオドラの姿はメイド……というよりは飼い主の言葉に一喜一憂する犬のようでさえあった。
「…………っく……」
そこまで回想していたところ自分の中に
股座から立ち上ってくる、何かを期待するような、あるいは何か溜まったものを吐き出したくなるようなそんな
……気が付けば、自分で自分の股の間に手を忍ばせていた。
ワンピース型の寝巻の上から、自分の足の間に差し込んでいる手。その指先に力をくっ、と込めるとピリリとした感覚が――――快感が走る。
「はぁ……っ」
吐く自分の息が熱い。どくんどくん、と体の内で心臓が脈を打っている。
熱に浮かされるように――――私は寝巻の裾に手を突っ込んだ。
手触りの良い下着の上から、おもむろに疼きの中心に指を這わせる。
少し力を籠めると痛み交じりの感覚が走るが、軽く撫でるように、パンツの表面から軽く掻くように刺激すると明瞭な快感が生まれた。
ふぅ、ふぅ、と奥歯を噛み締めながら声を殺して、その快感の限度を探るように、慎重に慎重に股座を弄る。
自分で自分の体を弄り回しながら、少し理解することがある。
『リオ』の体で自慰をするのはこれが初めてだ。今までそんな気にはなれなかった。
だが、それでも今自分はとても自然に自分のこの体――――女の体の快感を享受しつつある。
理屈はそれほど難しい話ではない。確か男の陰茎と女の陰核、男の陰嚢と女の陰唇は神経の配置が同じだと、どこかで聞いたことがある。
だから私が今下着の上から股間をまさぐっている感覚は――――男であったときに自分で自分の陰茎と陰嚢を撫で繰り回して慰めているのと同じような感覚として受け止められていた。
「……ふぅ……っ……!」
ただ神経の配置が同じで、そこから得られる快感は同系統だとしても、得られる快感の密度はかなり違った。
考えてみれば、男の陰茎に比べて女の陰核はかなり小さい。走っている神経の本数が同じで、感覚の受容器のある部分が小さいのであれば、自然とそこから生じる感覚は密度が濃いものになるということだ。
現に今も、かなり慎重に指先を使わないと快感が痛みに代わりそうな時があった。
つまり、女の性器は敏感なのだ。
想像の中、記憶の中でテオドラがいやらしい音を立てながら唇でヨアヒムの逸物をしゃぶり、あるいは唾液で濡れたそれを白い指先で扱きあげている。
自分の脳裏に浮かぶそれに、自分の
やがて下着の中でぬるぬるした感触が広がってきたので、パンツを引きずり降ろして脱ぎ捨てた。
男だったころの先走りの汁の様に、自慰をしていた私の股座から恥ずかしい汁が滲み出して、下着が少し汚れていた。
そのまま、素の状態で触れたクリトリスは布一枚隔てていた時に比べてさらに敏感で、触れた瞬間に思わず「ひゃんっ」と声が漏れてしまった。
恥ずかしくなって、咄嗟に寝巻の襟元を噛み締めて声を殺しながら、私はより一層慎重になってそこに指を這わした。
私はヨアヒムとテオドラの情事の続きに記憶を巡らせた。
記憶の中でメイド長はその体をベッドの上に横たえていた。
むちっとした柔らかい脂肪が載った肉感的な脚をヨアヒムが命じて開かせる。
テオドラは口では嫌がるそぶりを見せながらも、伯爵の命令に従って股座を開いた。
黒々と茂る陰毛の奥に触れながら、女体の淫らな反応を揶揄するヨアヒムの指が彼女を喘がせる。
『こんなに濡れているぞ。いやらしい女だなお前は』
『さぁ、もっと可愛がって欲しかったら自分の口で言うんだ。どこに、誰の、何が欲しいのか……』
そのヨアヒムの声は驚くほど熱っぽく、それでいて艶があった。私の無駄に好感度な耳はベッドの上で囁かれる程度の音量のそれを、耳元で言われているかのように拾っていた。
(一応)男である私も、それを耳元で囁かれるような錯覚だけで、思わず背筋をぞくりと震わせた。
そしてそれを直接吐息交じりに耳に吹き込まれるテオドラはたまったものではないだろう。
彼女は白い肌を真っ赤に紅潮させながら嗚咽交じりに、主人に対して淫らなおねだりをした。
それを聞いたヨアヒムはやはり熱のこもった視線で女をベッドの上で組み敷いて、開かれた脚の間に自らの体を滑り込ませた。
そしてその、赤黒い槍のような逸物が、女の肉に突き立てられるところを――――私の目は克明に捉えていた。
「んんっ……くっ……!」
それを思い返していた私は、思わず自分の
男であれば陰嚢に相当する女の陰唇。その間に開いた穴は男には存在しない器官だった。
そこに指を差し入れると――――ぬるりとした粘液が、次いでぷりぷりした弾力のある肉が指先に纏わりついてきた。
ただ、体の中に
……ここに
かつての自分のモノと、記憶の中のヨアヒムのモノを思い返しながら私は人体の神秘に思いを馳せた。
私はヨアヒムとテオドラの情事の続きを回想する。
細くとも筋肉質な男の体と豊満で柔らかな女の体が、橙色の暖炉の明かりに照らされて艶めかしく絡み合う。
ヨアヒムの指が、手が、唇がテオドラを丹念に愛撫すれば彼女の口からは陶然とした溜息がもれる。
女の中に肉の杭を打ち込んだ男の腰が中をじっくりと耕すようにくねる。その度に二人の結合部から微かに粘った音が立つのを私に耳は仔細余さず捉えていた。
『あぁ……お前の
『お、仰らないでください、そんな……っ♡』
『ほら、また中が締まったぞ。虐められて悦んでいるのか、このメイドは……』
ぼそぼそ、と互いにしか聞き取れないような距離でヨアヒムが詰るようなことを言う。
だが、そう言われているテオドラの表情は嫌がるそぶりを見せながらも陶酔したように蕩けている。
睦言を交わしながら、二人の交わりは少しずつ激しくなっていく。
彼女の中を解すようなグラインドを続けていたヨアヒムの腰は、だんだんとその動きを大きく激しくしていき、ついにはパンパン、と音を立てながらテオドラの腰に打ち付けられ始めた。
伯爵がメイド長をベッドの上に組み敷いて、開かされた女体に何度も肉の槍のような勃起を突き立てていく。
ビンビンにそそり立った男の陰茎、それにほじくり返されて中の桃色の膣肉を覗かせる陰唇、絡み合って弾ける体液。
それらが私の目に焼き付いて離れない。
「ふ、ぅっ、ふぅっ……♡」
服の襟により一層強く噛みついた。そうでもしていないと熱い声が漏れ出そうで何だか恥ずかしかった。
ただ、口を無理矢理閉じているせいで鼻息が荒くなってしまうのはどうしても避けられなかったのだが。
直接指先で触れているクリトリスは本当に豆粒みたいで、勃起していても自分の小指の先程度あるかないかという所だった。
思いっきり扱ければ気持ちいのだろうが、小ささと敏感さのせいでうまくいかない。握れる程度のサイズがあった男性器のようにいかないのがもどかしい。
そこで咄嗟に私はもう片方の手の指を陰唇には這わせ、そこに湧いている愛液を掬い取った。
そしてその僅かばかりの粘液をクリトリスに擦り付けると――――少し摩擦が減って痛みが生じにくくなった。
その状態で扱くと、包皮と中の陰核が擦れる度に愛液がくちゅくちゅ、と小さな音を立てる。
私はさきほどよりも、より大胆に自分の淫豆を弄り、そこから走る快感に耽溺した。
片方の手で陰核を扱いて、もう片方の手で陰唇を撫でる。
陰核の快感は腹の奥からこみ上げてくるような……ちょうど男だったときに陰茎を扱いているときの快感に近く、陰唇の快感は凝っているものを解すような……陰嚢をあやしているときの感覚に近かった。
女の体にはなったものの、ある程度その感覚は慣れ親しんだもので、安心感さえ覚えた。
ただ神経が密集している分だろうか、快感はかつてのそれよりもずっと鮮烈だった。
陰部をまさぐるたびに、昂る熱のような快感が内側から体を焙るようで、じっとりと体が汗をかいていくのがわかる。
時折走る強い快感は電気の様で、それが走るたびに「んくっ♡」と鼻にかかった声が漏れて気恥ずかしかった。
既に股間は陰唇の間から漏れ出た愛液で濡れそぼっていた。
そこを指が這う度ににちゃにちゃと音がする。粘液と敏感な粘膜が擦れ合う感覚が心地よくて、一層その快感に夢中になる。
「うっ、ふっ、っぐ……♡ ふぅぅ…………っ♡♡」
股座から立ち上ってくる快感のボルテージがぐんぐんと立ち上っていくその感覚。絶頂感が近づいてくるのがわかる。
だが、その高まる速度と……何と言うべきかそこにある
この先に踏み込んでしまっていいものか?
一瞬、そのような弱気とも恐れとも言える思いが脳裏を掠めるが――――振り切った。
ここまで来たらその一線を越えてみよう、とそんな気持ちで私は快感を自分の中で高め続けた。
思い起こすのはやはり二人の情事だ。
パンパン、と肉と肉がぶつかり合う音。
ぐちゅっ、ぐちゅっ、と粘液が溢れて粘膜がこすれ合う音。
快感を堪えるようにして、歯を食いしばりながら一心不乱に腰を打ち付けているヨアヒム。
快感に悶えるようにして、髪を振り乱しながら喘いで男の体に縋りついているテオドラ。
二人が睦み合う部屋を覗き見ながら、私は鍵穴から漏れ出た空気を吸い込んでいた。
酸っぱいような、甘ったるいような、愛液と汗と人間の体臭が入り混じった複雑な匂い。情事の香りだ。
一組の男と女が絡み合って、交わうことで生まれる、どうしようもなく生々しい――――それでいて引きつけられてしまう、そんな匂いだった。
そして、今自分の鼻に香るものにそれに近いものがあることに気が付いた。
それは自分の体から立ち上る、甘酸っぱい花のような香りで――――つまりは、発情した
「はっ……、ぐ……ぅっっ……!! ――――――っっ……♡♡」
それを意識した瞬間、
俗に絶頂することを『イく』と呼ぶが、さにあらん――――頭が一瞬爆発して何処かに
目の裏でチカチカと火花が瞬いているようで目が眩む。息が詰まってうまく空気が吸えない。
未だかつてない量の快感に脳が
まるで射精の瞬間の快感を更に高めた上で数倍に延長したかのようだ。性感であるのは確かなのだが、それが前代未聞のレベルにまで高まっているせいで同じものだと認識が追い付かない。
背骨から雷が遡って脳を打ち据えられるようなそんな感覚。体が痺れるようにビクビクと震えて強張る。
私はベッドの上で体を丸めて悶絶しながら、
やがて嵐が通り過ぎるように、あるいは高潮が引いていくように性感が静まっていくのを待ってから、私は強張っていた体の力を抜いた。
微かに震えている手はいまだに自分の股間に添えられていた。
「んひぅっ♡」
思わず変な声が漏れたのは自分の指を、淫部から離した時だ。
その指を動かした僅かな動きだけで背筋をぞわぞわっと快感が走り、思わず声が出た。
……絶頂から降りても、快感はまだまだ燻る火のように体に残っていた。男性には存在する、絶頂後のインターバル……所謂賢者タイムが女性にはないというのは本当の事らしかった。
私は「はーっ、はー……っ」と荒い息を吐きながら、努めて自分の中の熱を冷ますように努めた。
女の快感は男のそれより遥かに激しく、初めて経験した私には激しすぎて若干恐怖さえ覚える代物だった。
自分でそこに踏み込むつもりで自慰を続行したのだから自業自得と言えるのだが……。
よろよろと若干おぼつかない足取りでベッドから起き上がり、タンスの中にある手拭いを引っ張り出す。
何とも言えない匂いのする愛液が指先にこびりついている。
それを拭い取ってから、次は陰部を拭いて清める。
その時にまたもや性感が刺激されて口から変な声が出そうになったが、なるべく力を入れずに布地を押し当てていくことで、何とか無事に清拭を終わらせることに成功した。
「連続絶頂物のAV女優って凄いんだな……」
手拭いを洗濯籠に放り込みつつ、思わず口を突いて出たのはそんな感想だった。
地球で暮らしていたころに見ていたAVと、そこに出演していた女優の痴態を思い出して思わず畏敬の念を抱く。自分にはあんなのとても無理だ。
一回の絶頂でガクガク震えて悶絶していた自分だが、それが何度も何度も間断なく浴びせかけられるとなると一体どうなってしまうのか……。
「うぅ……っ」
それを想像して、一瞬
男性の体と違って賢者タイムが訪れないせいだろうか。まだ体の中で快感の火がじりじりと燻っているような気がする。
布団に潜り込んでどうにか気を落ち着けようとするが、どうにもうまくいかない。
思い返してしまうのはやはりヨアヒムの部屋の事だ。
一度目の絶頂をテオドラが迎えた後も、二人は体位を変えて二回戦目に突入していた。
今も二人はベッドの上で乱れているのだろうか?途中で逃げ出すようにその場から離れた自分には想像することしかできなかった。
想像することしかできなかった……というかむしろ想像が加速しそうだった。
「あ、明日からどうやって二人と顔を合わせれば……っ」
一人で呟いても答えは出ない。
答えの出ない問いから、夢へと逃げられることを祈って目を閉じる。
そうして私は悶々とする意識と、微妙に疼く体を抱えて一夜を明かすのだった。