「あっ、あっ、あぁぁぁぁ…………っ!?」
アンネは目の前の光景が理解できなかった。
より正確に言うなら、彼女の脳が理解することを拒んでいた。
だが、否応なく彼女の目に飛び込んでくるその光景が、是非もなくアンネの中で意味を結んでいく。
殴られて出血を強いられた彼女の口が、酸欠に喘ぐように開閉して嗚咽のような声を漏らす。
既に日が落ちた森の中、東から昇った月光に照らされたそのシルエット。
全身を土汚れに塗れさせながら膝をつく矮躯の少女と、その前に立つ酷薄な目をした長身痩躯の男。
男の右手に握られた青白い輝きを放つ
「…………ふん」
プレイヤーの少女リオ・オーガスタの頭に愛刀の刀身を叩き込んだその体勢のまま、『蛇面』のセルペーは鼻を鳴らした。
彼は少女の顔を見下ろして、「意外と固いな」などと心中で呟いた。
通常の人間が彼の刀の振り下ろしを直接頭に受ければ、頭部が四散するか、場合によっては胸まで刃が食い込む。
この少女にもそれくらいの力を込めて振り下ろしたが、刃が入ったのは精々が眉間までだった。
つまりはこのプレイヤーも尋常ならざる身体能力を獲得した、いっぱしの実力者だったということの他ならない。
(ただまァ……殺気のカケラも感じられねェ。結局はガキだったっつゥことだがなァ……)
街でこの小娘の矢を見たときは、中々に楽しめる獲物になるかと思ったが、蓋を開けてみればそれまでだった。
所詮は殺し合いの何たるかもわかっていない、決意も覚悟もまるで足りていない……これまでセルペーが何人か狩り殺してきた他のプレイヤーと大して変わらない、
とはいえ、それでも自分の剣を何度か喰らって生きていた人間には久しぶりに会ったな、とそれだけは好評価したが。
それ故に彼は、ついでにきっちりとトドメも差すことにした。
この世界において肉体そのものの耐久性が強い生物は、生命力も高いことが往々にしてある。そうした生物は場合によっては頭が半分吹き飛んでいるのに襲い掛かってくることもあるのだ。
頭を割られて白目を剥いて沈黙しているこの少女に関してそれはないだろうが、セルペーは一応念のためということで――――彼女の頭に食い込んでいる刀身の切っ先を揺すった。
頭蓋骨に引っかかって少し固定されている
それを少し揺すると、鋼の刀身が少女の脳味噌を撹拌する音がした。
くちゃっ、くちゃっ、と柔らかいものが混ぜ返される音が響くたびに、少女の虚ろな眼窩と鼻先から血が漏れるように零れだした。
頭頂部から眉間まで頭蓋骨を割る傷口からどろどろと、赤い血と透明な脳漿が流れ出し、艶やかな金色の髪と白い肌を汚す。
そして、ひとしきりリオの脳味噌を破壊し終わったと見たセルペーは「よっとォ……」と呟きながら刀身を引っこ抜いた。
彼がぶぅん、と大きく
支えを失ったリオの体は、当然のように地面に倒れ伏す。
重力のまま勢いよく倒れ込んだ瞬間、ぐしゃりと顔面の肉が潰れる音がした。
そして、倒れ伏した彼女の下の地面へとゆっくりと血溜まりが広がっていく。
頭部と腹部を深く抉った刃創から、とめどなく流れる血がリオの暗青色の衣服と金糸の長い髪を赤黒く染めていく。
その様はさながら赤い池に落ちた蝶のようであった。
そして、その蝶は羽ばたく素振りももがく素振りも見えなかった。
リオ・オーガスタは、完全に息絶えていた。
「いやああぁぁぁぁぁっっ!!リオちゃんっ!!リオちゃぁんっ!!!!」
アンネが絶叫する。
地面に倒れ伏した少女。その躯体がぴくりとも動かないその有様を見て、否応にも最悪の現実を理解させられたのだ。
だが、理解はできても認められるはずがなかった。認めたくはなかった。
リオ・オーガスタがもう動かない、というその事実が胸を掻き毟りたくなるほどの絶望感でアンネを満たす。
「リオちゃん、リオちゃんっ!!リオちゃん……っっ!!!!」
血を吐くような心地で何度も少女の名を呼ぶ。
だが、そこにあるべき返答は一つとしてない。
倒れ伏したリオからはただ地面に沁み込むように赤い血が流れ出すのみだった。
そしてアンネに出来ることは何もなかった。
今も彼女は山賊の男の一人に後ろ手に縛られた腕を掴まれているからだ。
「ちっ……、うっせぇぞこのチビっ!!」
「うっ、あぁぅっ……!!」
じたばたと暴れながら何度もリオの名を呼ぶアンネが余程煩わしかったのであろうか、彼女を捉えている山賊は後ろから足を払ってその体勢を崩させた。その上でアンネを地面にうつぶせに押し倒す。
大の男の体重を上からかけられ、アンネは肺から絞り出されるような掠れた息を吐いた。
それでもなお踠いて抵抗を試みるが、それも長くは許されなかった。
山賊が彼女の頭を後ろから掴んで地面に押し付ける。
地面をそのまま轡にされたようなものである。アンネの悲痛な叫びも無理矢理に押し込められて意味のない呻き声になる。
彼女の相貌から溢れた涙が、土と混じって頬の上で泥の汚れを作った。
「……はんっ」
横目で人質の醜態を眺めていたセルペーは、結局興味なさげに視線を切った。
その上で彼は改めてアンネの処遇についてどうすべきか考えた。
とはいってもそれほど複雑な話ではなかった。既にあの
であれば後は
(……つっても、
戦利品として部下の玩具に与えてやっても受けは良くないだろう。
なので、適当に心を圧し折ってから
どうせ好事家に売り飛ばすときの
「おいィ、テメェら撤収すんぞォっ!お前はそのチビ手荒に扱うなよ、後で売りもんにすんだからなァっ!!」
「んなこと言って、こいつの顔殴ったのはおかしらじゃないっすか」
「オレはいいんだよ」
周囲の部下たちに号令をかけたセルペー。
彼の指示に従い、山賊たちは撤収の準備を始める。
それを確認すると彼自身もまたその場から去る用意をする。
彼は足元に転がっている、死体となったプレイヤーを見下ろした。
詳しく鑑定しなくては解らないが、このリオというプレイヤーが持っている装備品はいずれも極めて価値のありそうな素材で作られているというのが山賊である彼の見立てだった。
それにそれとは別にプレイヤーしか装備していない『端末』と言われるマジックアイテムや、その死体そのものなども
セルペー自身、何度かプレイヤーを殺害したことがあるがいずれの
(強いていうなら、こいつが思ってた以上に雑魚だったのが残念だったってことくらいだがなァ……)
最初に見たときは愉しめそうだと思ったんだが、と心中で独り言ちながらセルペーが死体の首根っこを掴んで持ち上げようとした――――その時である。
「……はぁァ……」
彼は先ほどまで喜色を浮かべていたその顔を突如、極めて億劫そうな……やる気のなさげな表情に変えて立ち上がった。
森の一角にちらり、と視線を向けると――――そのまま
青白い刃の閃きと共に『飛燕斬』が放たれ、飛来物を迎撃する。
硬いものが砕け散る音が響き、周囲に砂利のようなものが飛び散った。
「お、おかしらっ!?今のは!?」
「あァ……、敵襲だよ敵襲……。オラァっ!!ぼさっとしてねェで構えろ役立たずどもォっ!!」
驚きの声を上げる部下に、セルペーは面倒くさそうな表情を崩さないまま怒鳴りあげた。
役立たずというのは別に貶しているわけではない。彼に比べれば他の山賊の構成員は雑魚も同然である。
それでも曲がりなりにも彼が配下を揃えて徒党を組んでいるのは、自分の興味がない雑事を代行させるためである。
とはいってもせめて自分よりも早く、
だが差し当っての問題はこのタイミングで襲撃を掛けてきた連中である。
恐らくはイルマートの街から自分の起こした誘拐事件を察知して踏み込んできた冒険者なのだろうが、蛇面の男は既に半分ほどやる気が萎えていた。
彼自身、完全に今日やることを終えて帰る気になっていたのに余計な手間が増えたのだと感じているのである。
それにざっと気配を探る限り、襲撃者が左程手応えのなさそうなのも彼のやる気のなさに拍車をかけていた。
山賊の部下達がそれぞれに武器を携え、セルペーの視線が向く方向へと睨みを利かせた。
彼らは自らの頭目がその尋常ならざる感覚によって敵の位置を既に把握していると確信しているからである。
そして山賊達にとって緊張の――セルペーにとっては時間の無駄の――十数秒の沈黙の後、森の奥から明るい光が迸った。
「うおぉっ!!」
木々の合間から飛来したのは、眩く輝く紫電の魔力の球体だった。
宙に尾を引く残光を残しながら飛翔した魔力の弾丸は山賊達の近くの木の枝に激突し、爆音と派手な火花を撒き散らした。
西の地平に日が落ちた暗い森の中に花火のような閃光が瞬き、木々を揺らした。
近くにいた数人が身を伏せるが、頭目のセルペーはそれが目眩ましでしかないことに気付いていた。
「来るぞ。…………後ろからだァっ!!」
セルペーが周囲に響くような大声で声を発したその瞬間、山賊達が視線を向けていた方向の逆側から微かな舌打ちのような音が聞こえた。
蛇面の男が指揮杖のように剣をその方向へと向けると、小型の
木々の暗がりへと吸い込まれた矢に手ごたえはない。だがそこから身を翻すようにして現れる人影があった。
外套のフードを被った冒険者の男は、奇襲が失敗したことを知ると
彼は短槍を取り出して構えを取り、山賊達の下へと駆けだした。
「お前っ、こっちには人質が……ぐへぇっ!!」
冒険者の男を牽制しようとしたのは、アンネを人質に取っている男だった。
顔を泥だらけにしてぐったりとしているメイドを引っ立てて見せつけようとした彼だが、別方向から飛んできた石礫を頭に受け、最後まで台詞を言い終わることはできなかった。
そのままその男が崩れ落ちたのを見て取った冒険者は、別方向にいる仲間たちに号令をかける。
「よしっ、全員突撃だっ!!」
「うおぉぉぉぉっっ!!!!」
短槍使いと逆方向、つまり魔法の弾丸が飛んできた方角から彼の仲間の面々が雪崩れ込んできた。
鬨の声を上げながら走り出して踏み込んでくるのは野外用の外套を羽織った男達である。
ただ、セルペーはその中に一人見知った顔の男を見つけて小さく呟いた。
「マジかよ」
集団の先頭、
******
「うおおおおぉぉぉぉっっ!!!!どきやがれてめえらぁっ!!!!」
弾かれた矢のように青年が駆ける。
眉目秀麗なその容貌を激情に歪めて飛び出したのは、あろうことか一行の中で最も社会的地位の高いヨアヒムだった。
普段の彼を良く知るものから見れば目を疑う様な憤怒の形相で、外套の裾を乱しながらひた走る。
彼自身、自分が前線に出張ることの意味を理解している。
ヨアヒムはあくまで為政者であって、戦闘など護身術程度のものであり、魔法の腕も本職には及ばない。
戦力としては同行する冒険者には一歩も二歩も劣るし、何より責任ある地位の人間である己がしゃしゃり出ることでフォローに回らねばならない人間が出ることもわかっている。
だが、
(だが、ここまでされてキレなきゃ人間じゃねぇ……っ!!!!)
ヨアヒムは駆けだした勢いのまま、目の前にいた山賊の男に向かって全力の飛び蹴りを放った。
相手は牽制するかのように小剣を振りかざしていたが、一顧だにせず、正面から蹴り飛ばしたのである。
山賊が無様な呻きを上げて背後にたたらを踏んで後ろに下がり――――ヨアヒムは殴り飛ばすような勢いでその男の胸ぐらを掴みあげ、片手に握った杖を突きつけた。
「あ゛ぁぁぁぁぁっっ!!」
怒りのままに、激情のままに杖先に叩き込んだ魔力が
魔法などとはとても呼べない、魔力を無理矢理流し込んだだけの噴流が杖から迸った。
轟音と共に山賊が後方に吹き飛んで気絶したが、それすら確認せずにヨアヒムは走り出した。
当然、その眼前には他の山賊達が立ちはだかる。
迎撃する側からすれば、一人突出している相手は囲んで叩くのが定石である。
ヨアヒムがぶっ放す魔法……もとい魔力の爆発に対して、距離を取りながら山賊は投げナイフや小型の弩級などで攻め立てんとする。
だが、その遠距離攻撃に対して人影が割り込み、伯爵を庇って攻撃を打ち払った。
「閣下、お先に行かれては危険です!!我々の背後に!!」
割り込んできたのは此処までヨアヒムと同行してきた冒険者達だった。
一人は剣と盾を構えた剣士、もう一人は
各々の武器を構えて山賊達に睨みを利かせる彼らは伯爵を援護しようとするが――、
「うるせぇっ!!あんなもん見せられて冷静になれるほどオレは人間出来ちゃいねぇんだよっ!!!!」
完全にヨアヒムは頭に血が上っていた。
本来なら大人びた涼やかさと悪童の稚気を両立させるような整った顔立ちを激情に歪ませて、口角泡を飛ばして吠え立てる。
彼の視線の先には――――地面に倒れ伏したまま一切微動だにしない、金髪の少女の影があった。
「リオォォォォっっ!!!!」
ヨアヒムが叫ぶ。それはまさに魂を絞られるような、聞くものの胸を抉るような悲壮な叫びだった。
そして誰よりも心抉られているのはまさに伯爵本人だった。
リオが血だまりの中に倒れている姿を、そしてそれがぴくりとも動かない姿を見た瞬間、ヨアヒムは心臓が捥がれたような絶望を覚えた。
胸に空いた穴はあまりにも大きすぎて、ともすれば心がバラバラになってしまいそうだった。
――――それこそ、怒りに我を忘れなければ
「「…………っ!!」」
剣士と神官戦士、二人の冒険者は目配せをし合って咄嗟の判断を二人で下した。
伯爵を諫めるのは不可能である。無理にでも止めようとするなら、逆にこちらにも攻撃されかねない。
故に――――ここはその勢いのままに、自分たちも正面突破を図る以外に道はない。
「行くぞ……っ!!」
剣と根を構え戦士が二名、道を阻む敵に挑みかかる。
同時に、伯爵の杖先から魔力の火花が迸った。
……一方そのころ、三人が突撃を図った側の逆方向では短槍使いの冒険者が立ち回りを演じていた。
この短槍使いはかなりの手練れのようであり、自身を取り囲むようにして布陣する山賊達を相手に単身で見事な立ち回りを演じていた。
突き、払い、打ち。取り回しに優れた短槍を自在に使いこなし、五人ほどの山賊に周囲を囲まれても怯むどころか逆に押し返しているほどだった。
「…………ちっ、」
セルペーが周囲にぐるりと目を向けると、彼らがいる森の開けた一角は乱戦状態だった。
しかして彼は、その只中にあって変わらず面倒くさそうな態度であった。
苛立たし気に指先がトントンと
彼が苛立っているのは敵のしぶとさか、あるいは数の有利でもって一息に押し潰せない自らの部下の不甲斐なさか、或いはその両方か。
(なるべく早ェうちに防腐処理しときたいんだがなァ……)
今回の戦利品であるプレイヤーの死体は
死体が放っておいて劣化するまでになるべく処理を急ぎたいのが彼の本音だった。防腐処理剤はアジトにあるのでここではできないのである。
いっそこの場で首を落として逆さに吊るして血抜きだけでも済ませるか?……と彼が考え始めたところで、風切り音が彼の耳に届いた。
「はァ……」
ため息交じりに剣を一閃。
飛燕斬の効果により放たれた斬撃はまるで剣の刃渡りが急激に伸長したかのように、本来の間合いに入るよりも早く投擲された物体を両断した。
またぞろ石礫か、と先ほどの攻撃と同じようなものだと思って迎撃したセルペーだが、今回は勝手が違った。
――――両断された投擲物から、細かい粉末が大量に飛び散って宙に舞ったのである。
「あァ……?」
ぶわりと、投げつけられた勢いのままに自分の方へと勢いよく降りかかってくる粉末。
それを蛇面の男が訝しんだ次の瞬間、彼の視界を炎が覆いつくした。
ボワオォッ、と激しい音ともに赤い炎が空中に燃え広がる。
「やったかっ?」
「いいえ、まだっ」
木々の合間から投射されたのは、小麦粉と火薬を混ぜて包んだ袋である。
可燃性の粒子が大量に空気中にある状態で火が付くと急速に燃え広がって周囲を覆う。これが粉塵爆発と言われる現象である。
冒険者一行のうちの一名である投石使いは、自分が投擲した石礫が正確に叩き落とされたのを見て、同じように相手に撃ち落とさせることで発動する罠を張ったのである。
軽度の雷魔法を投射して着火させたのはその仲間である魔法使いである。
魔法使いは相手が紅蓮の炎に包まれたのを見て攻撃の成功を確信したが、投石使いは間髪入れずに追撃を放った。
右手に引っ掛けられた
下手な弩弓よりもなお速く打ち出された石の塊は、頭部に直撃すれば例え兜を被っていようとも常人ならば頭蓋骨を砕かれる威力がある。
必殺の意志を込めて放たれた礫はしかし、一投目と同じく空中で叩き落とされて散った。
投石使いが顔を顰めるが、これは半ば想定していたことでもあった。見立てでは山賊の頭目は尋常ならざる腕前を持つ達人であり、そう簡単に討ち取れるものではないと分かっていたからである。
周囲を飲み込むように広がっていたはずの炎が、内側から切り裂かれるようにして吹き消される。
その奥から、蛇面の男が無傷の体で自身に攻撃を加えた冒険者二名を睨み据えていた。
その酷薄という概念を形にしたかのような四白眼に捉えられた魔法使いは背筋に蛇が這うかのような、激烈な悪寒を感じた。
だが、その感覚を冒険者の気概で踏み潰し、眼前の敵に向けてその手に握る
「『ライトニングバインド』っ!!」
杖の先端から、眩い火花を散らしながら光が迸る。
幾条もの絡み合う電流は、まるで鎖のように蛇面の男に絡みついてその自由を奪った。
さらに魔法使いが杖を振るうと、杖先から電流の鎖が外れ、代わりに周囲の木々にその先端が絡まった。
本来ならば使用者の杖に支点が来るはずの『ライトニングバインド』だが、支点の設置個所を変更することで杖が自由になるのである。
セルペーを絡め捕った電流の鎖は、その体に接触するところから火花を散らして継続的なダメージを与えている。
だが、相手の実力を良く理解した冒険者はここでは無理にトドメを刺そうとはせずに時間稼ぎに集中することにした。
投石使いは速乾性の粘着液が入ったガラス瓶を投擲する準備を始め、魔法使いは追加で『ライトニングバインド』を放つ用意をしながら人質として攫われたメイド――アンネを確保するためにじりじりと移動をし始めていた。
「あァ……マジで面倒臭ェ……」
だが――――そうして臨戦態勢を維持し続けける冒険者達に対して、セルペーの反応は極めて薄かった。電流の戒めに何の痛痒も感じていないかのように。
代わりに彼は天を仰いで溜息を吐いた。
周りに意識を向ければいまだに乱闘は続いているどころか、自分の無能な配下共は押し切られそうになっている始末だった。
どうやらこのまま待っていても事態は好転しそうにない、と彼が結論づけるのも仕方のないことであった。
故に、
「しゃァねェ……さっさと終わらせるかァ」
彼はそう呟いて、蹂躙を開始した。
*****
「さっさと終わらせるかァ」
冒険者一行のリーダー、短槍使いのリカルドはその言葉が耳に届いた瞬間――――直観的に
誤って自身の冒険者等級にそぐわない凶悪な魔物の巣を暴いてしまったような、そんな危機的な感覚だった。
自身の周囲を取り囲む山賊達が振るう手斧や山刀の攻撃を裁いて突き返しながら、彼は大声を上げる。
「アナベル!!ザック!!下が――――」
投石使いと魔法使いの仲間二人に警告を発した彼だが――――それが功を奏することは無かった。
「食い破れ『
一瞬であった。
文字通り、一瞬きの合間に――――魔法使いが放った『ライトニングバインド』の戒めは、それが
続いて振るわれた
――――『
それは『蛇面』のセルペーの愛剣の銘であり、武装解放の能力である。
「人間に対して振るわれる際に殺傷力が向上する」という極めて山賊にとって好都合なその能力は、セルペーの驚異的な腕前によって振るわれたなら人体など障子紙のように容易く
事実、その一撃を受けたアナベルは外套の下に胴を守る革鎧などを着込んでいたにも関わらず――――腹部を
彼女が崩れ落ちるとともに、飛び散った臓物の血と内容物の形容しがたい臭いが周囲に立ち上った。
「アナベル――――!?」
思わず声を上げた魔法使いのザックは判断が遅いと言わざるを得なかった。彼は最低限、木の後ろにでも隠れるくらいの行動はとるべきだった。
否……判断が遅かろうが早かろうが、木の後ろに隠れようが隠れまいが結果は同じだっただろう。
ただ一つ言える結果としては、彼もまたセルペーの放った斬撃によって即死したということである。
眼にもとまらぬ速度で飛翔する剣閃が、人体を頭頂部から体の正中線に沿うように胸下まで両断し、宵闇の中に真っ赤な血と肉の花を咲かせた。
「――――――っ!?」
「…………っっ!!」
突如として巻き起こった死の嵐に、その場に集った誰もが絶句した。
僅か数瞬にも満たない沈黙。――――だが、その静寂を破るものが一人。
「うっ、う……っ!!――――ううぅぅぅおおおぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」
冒険者達のリーダーであるリカルドが自らを奮い立たせるように雄叫びを上げる。
頭の片隅で冷静な部分が、即時の撤退を呼び掛けている。だが、頭の大部分がそれを拒否していた。
目の前で斬殺された仲間たち。その無残な死に様を見た瞬間、彼の中で押さえようのない怒りが爆発したのである。
先ほどまで戦っていた山賊達を置き去りにし――――地面に土埃を蹴立てるほどの勢いで、
(『一意穿進』、『縮地』、『疾風突き』…………っ!!!!)
攻撃スキルを複数同時に発動。自らに使用できる最高速度の
風を置き去りに、音を置き去りにするかの如き速度へと一瞬で加速。
リカルドは自身の
間違いなくそれは此処にいるものの中では誰一人として反応できない、神速の一突きであった。
「はああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!」
「うぜェ」
ただし、それは凡百の人間に限った場合の話ではあったが。
リカルドが放った渾身の一撃は、セルペーによって当たり前のように防がれた。
左程の警戒もしていないごく自然体のままで、左手の手甲で矢の軌道を逸らすようにして払いながら、返す刀で『
そしてその刃は名に偽りなしと言うように――――正確に短槍使いの心臓を貫いて命を奪った。
「はっ、雑魚が」
ありったけの侮蔑の念を込めて、セルペーが吐き捨てる。
律儀に刀身を捻って心臓の肉を正確に抉りながら剣を引き抜き、短槍使いの死体を放り出して捨て置いた。
自身たちのリーダーの物言わぬ死体。その下にゆっくりと血だまりが広がっていくのを見て、生き残りの二名は総毛だった。
「ここは……っ、退くしかねぇ!!」
「ですが、遺体を回収できれば蘇生の可能性もっ!!」
「無茶言うな、俺たちじゃどうあがいても勝てねぇ!!これ以上は無駄死にだ!!」
「…………っ!!」
神官戦士のオットーは血が滲むほどに唇を噛んだ。
蘇生の難易度は死亡して時間が経てばたつほどに上昇していく。
撤退して応援を呼び、引き返すころには仲間の三人は蘇生可能な時間を超過するのは眼に見えている。
そしてそれは即時撤退すべしという判断を下した剣士のアランもよく理解している。
だが……ここで踏みとどまらなければ仲間を取り戻すチャンスはないが、踏みとどまれば確実に死ぬ。
三人の仲間を瞬殺した山賊の頭目の実力はそれほどに彼らの遥か上を行っているのだ。
故に、最悪の事態である全滅を防ぐためには仲間を見捨てて逃げる以外にないのだ。
「それに……こっちにはクラートフ伯爵もいるんだぞ……!!」
「くっ、くそぉ……っ!!」
聖職者にあるまじき悪態を吐くオットーだが、血を吐くような思いで撤退を選ぶしかなかった。
要人が同行している、という状況が否応なく彼の判断を後押ししたのである。
彼ら二人は背後を振り返り、伯爵に声をかけた。
「伯爵閣下、ここは撤退を…………っ!!」
――――正確には、かけようとした。
「ぐだぐだくっちゃべってる暇があるんだったらよォ……その間にさっさと死ね」
数秒程度の、二人の意思疎通を図るための逡巡。
それがもう十分に致命的だった。
『縮地』による間合いを詰める速度と、本人の瞬発力と健脚。
それに斬撃を遠隔へと飛ばす『飛燕斬』の熟練度。
これらを加味したセルペーの一拍の間合いは、平地であれば優に
森の中であっても、視界が開けている今の場所であればさして支障はない。
つまり、彼ら二人の想像を超えてセルペーは強かったのである。
起こったことを簡潔に述べるなら、彼らがヨアヒムに声をかけようとしたその瞬間、両者の首は胴体から離れていた。
「……………………」
冒険者二人の、首がかつてあった所から噴水のように血が噴き出して、辺りを血の赤に染めていく。
首なし死体が音もなく崩れ落ちていく中、悠々と歩いてくる『蛇面』のセルペーはいぶかしむような表情を浮かべた。
――――先ほどまでがなり立てるように暴れ回っていた伯爵が、俯いたまま微動だにしないのである。
「……………………」
「あァ?何言ってんだァ、ちゃんと聞こえるように言えってのォ……」
彼の鋭敏な聴覚は伯爵が何かをブツブツと呟いているのを拾っていた。
ただそれは最低限の滑舌しか考えられていないもので、何を言っているのかは判然としなかった。
「命乞いかァ、坊ちゃんよォ?……まァ、それならいいぜ。貴族にゃ、生かしておいてこその利用価値ってもんもあらァな……」
「…………無いとも」
「……おぅ?」
「貴様ら下種野郎どもに乞うような安い命など、オレは持ち合わせていない……っ!!!!」
俯いていたヨアヒムが顔を上げる。
翻った赤い髪の下から覗く榛色の瞳は、燐をくべたかのような激情の火を宿していた。
そして――――その言葉と共に、ヨアヒムとセルペーの間に熱風が吹き荒れる。
その発生源はヨアヒムが携える
凝縮された魔力が魔法という形で現出し、今にもその枷を解かれんとしているのである。
魔法を構築するための詠唱は、先程既に完成した。
故に後は最後にそれを相手に向かって叩きつけるだけだった。
「『レッドブレイザー』ッッッ!!!!」
杖先から放たれたのは真紅の爆炎。
宵闇に沈んだ森の中に一瞬太陽が出現したのかと見紛うほどの鮮烈な赤光が周囲を照らし出し――――杖の直線上にあるものを呑み込んでいった。
ヨアヒムが使用できる最大の攻撃魔法を全魔力で放ったその一撃は、幾多の木々を炭化させて薙ぎ倒し、森の中に風穴を穿っていた。
これに当たれば『蛇面』のセルペーといえど無事には済まなかっただろう。
――――当たっていれば、の話だったが。
「ぐっ、うぅぅぅ……っ!!うっ、うぉぉぉぉあぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!」
「だから……遅ェって言ってんだろうがよォ……」
ヨアヒムの全力の一撃はセルペーには掠りさえしなかった。
どれほどの威力があろうと、事前に『来る』と分かったのであれば蛇面の男にとって避けるのは極めて容易だったのである。
身を翻して射線を遠ざけたセルペーは、そのままの勢いでヨアヒムの右腕を切り落とした。
あっさりと奪い去られた自身の体の一部。その事実を精神が受け止めるより早く、脳を焼く激痛が彼を襲った。
とめどなく溢れ出る血が地面に零れてびしゃびしゃと水音を立てる。
「がっ、あぁぁぁぁぁぁぁぁ…………っ!!!!」
ヨアヒムはたまらず膝をついて崩れ落ちた。
あまりの激痛を彼の脳が正常に受け止め切れていなかった。
異様な脂汗が流れ出て吐き気にえずく。
反射的に傷口の根元を押さえているが、爪が割れそうなほどに握り締めてもその流血が止まらない。
「腕の一本や二本でぴーぴー騒いでんじゃねェぞ、ったくよォ……」
そして悶絶する伯爵を見下ろして、セルペーはため息交じりにそう呟いた。
これで面倒な邪魔者は全員始末した、と安堵の息を心中で吐く。
ただ闖入者も悪いことばかりではなかった。特にクラートフ伯爵の身柄が手元に入ったというのは大きい。
うまくすれば身代金をこいつの親族にでも請求して大儲けができるだろう、と頭の中で皮算用を始めていた。
彼はそのまま伯爵の事を部下に任せるために手招きをしようとした。
いくら戦力的には無能な連中でも雑用くらいはさせなければ何のために働かせているのかわからなくなる。
所詮はチンピラ風情、雑魚の集まりに期待した自分がバカだったか……、と自嘲している彼だが、その鼻孔が奇妙な臭いを捉えた。
平坦に近い鼻先をヒクヒクと動かして――――それが肉の焼ける臭いだと気付いた彼は背後を振り返って面白いものを目撃した。
「ぬ、うぅぅぅぅぅぅぅぅ…………っ!!!!」
「おォ、おォ、根性あんじゃねェか」
肉の焼ける臭いはヨアヒムの腕からだった。
あろうことか彼は、切り落とされた自分の腕に握られていた杖を回収し、その先端に灯らせた火の魔法で傷口を焼いて止血しているのである。
じゅううう……っ、と人肉が焼ける音が辺りに響いている。
歯が割れそうなほどに食いしばりながら、意識が白熱する激痛に耐えてヨアヒムは腕の傷を無理矢理に塞いだ。
痛みによる消耗と、出血による消耗、どちらの方がまだマシだったのかわからないほどに彼の顔色は憔悴していた。
だが、その眼に宿る激情の火は未だに衰えていない。
それどころか一層、熱く燃え盛るほどの凄絶さを込めて、彼は目の前に立つ山賊の頭目を睨みつけていた。
ただその一方で――――彼の心は、それとは別に、また違う所を見つめていた。
(リオ……オレは、お前のために何がしてやれただろうか)
ヨアヒムは自分の心の中にぽっかりと穴が空いたような気分だった。
その大きな穴から、自分という人間を生かしていた
圧倒的な喪失感……まるでリオという少女と共に、自らの一部がごっそりと削り落とされたような。
リオ・オーガスタの死。
その事実はヨアヒム・クラートフという人間をひっくり返してしまうほどの、叶うなら知りたくなどなかったかつてない衝撃だった。
彼にとっては初めての経験だったのである。
人の死…………それも、好意を抱いている相手が自分の手の届かないところで殺されて死ぬ、などという救いようもない残酷なことは。
(オレは、お前のために何ができるだろう……。何がしてやれるだろう……)
護って見せるという約束は、あっけなく砕けて散った。
最早ヨアヒムにとって、自分という人間に残されたものは悉くが無価値なものに見えた。
そして、その自分の中身も心に空いた穴からボロボロと音を立てて零れ落ちていくような心地だった。
彼は、「それで良い」と思った。
少女の一人も守れなかった、役立たずの命である。
ここで果てたとして一体何の不都合があろうか、と。
貴族あるまじき、刹那的で自棄的な……無責任とさえ言える発想。
そしてそれでよかったのである。今や、ヨアヒムにとって伯爵などいう自分の大層な肩書は何の価値も見出せないものだった。
(だが、せめて……、せめてこの男だけは……)
差し違えてでも道連れにして見せる、と悲壮な覚悟を決めてヨアヒムが立ち上がった。
腕の激痛で歪む視界には、薄ら笑いを浮かべている蛇のような面構えの男が立っている。
「貴様は……絶対に許さない」
「……はっ、良いじゃねぇかァ。獲物はやっぱ活きのいい方が仕留め甲斐があらァな……」
命がけの覚悟を固めているヨアヒムの一方で、セルペーには彼を殺す気はなかった。
身代金を取るなら生かしておかなくては人質としての価値がないからである。
だが、逆に言えば命さえあれば何をしてもとりあえずは問題ないということでもある。
(両手足を刎ね飛ばして、その次は目と耳と鼻……いや自殺防止に歯も折っとかねェとなァ……。どこまでその根性が続くか見せてくれよ、貴族様よォ……)
嗜虐性を露にして舌なめずりをするセルペー。
その悪意に呼応するように、携えた
双方ともに一触即発の闘志を滾らせる両者――――だが、その戦端は開かれることは無かった。
二人が睨み合い始めて数秒後の事である。
それに気付いたのは、セルペーの配下の山賊の男達だった。
頭目の参戦と共に楽勝ムードになった彼らは、事の成り行きを野次馬気分で見守っていた。中にはさっそく冒険者の死体から剥ぎ取りをしようかと考えているものもいた。
そんな精神的余裕があったから、
「…………っ?」
ぶるり、と男の一人が背筋を震わせた。
寒気のようなものを感じたのだが、それはおかしかった。
既に日が落ちたとはいえ、春の時期である今では冬ほどに寒いはずもない。
おまけに幾つかの木々に伯爵の撃った魔法による火が燃え移っていることもあり、若干暖かいほどだった。
故に、それはただ単に寒いと感じたからこその震えではないのである。
その『震え』は透明な真水に落とした絵の具のように、速やかに周囲の人間たちに伝播していった。
やがて、ヨアヒムとセルペーも得体のしれないその寒気のようなものが己の背筋を這うのを感じた。
そして――――その
まるで、それは虎の眼に至近から睨まれているような。
まるで、それは獅子の爪に皮膚をなぞられているような。
まるで、それは豹の鼻先に匂いをかがれているような。
まるで、それは山猫の舌に肌を
そんな、本能的な危機感を煽られるような――――明確な『
山賊の男達が、武器を構えて周囲を見渡す。
もしやどこかに危険な魔物が潜んでいるのではないか、と疑っているのである。
そうでなければ説明が付かないような……「自分こそが食われる側なのである」と本能に思い知らされるような、そんな威圧感が森の中に立ち込めていた。
だが、異変の中心を正確に把握したのはどの男でもなかった。
現在この場で、
戦闘と殺戮、刃と血と死が立ち込める戦場に巻き込まれた無力な彼女は、じっと木の陰で息を殺していた。
気が遠くなるような……いっそ、気を失ってしまえば楽になるような状況下で、彼女はそれに気づいて――――思わず声に出していた。
「リオちゃん……?」
彼女の呟きは、静寂に支配されていた森の一角に殊更大きく響いた。
それを聞いたこの場にいる人間たちの視線が、一か所に集まる。
そう、彼女は既に息絶えているはずだった。
頭を叩き割られて脳味噌を抉られて、確実に絶命したことをセルペーが確認していた。
だが、
だが――――あろうことか、今まさにリオ・オーガスタは立ち上がろうとしていた。
手足をもぞもぞと動かし、
乾いて糊のようになった血を地面から引きはがし、
全身をガクガクとおこりのように震わせながら――――少女が立とうとしているのである。
(青い……薔薇?)
信じられない気持ちでそれを見守るアンネは、同時に一つの事に気が付いた。
リオが愛用している、青い薔薇を加工して作った側頭部のコサージュ。
それがさながら、心臓の鼓動を撃つように、青い光を明滅させているのだった。
この場にいる人間は気付いていなかったが――――リオがいつも身に着けている薔薇の髪飾り。その材料の名を『奇跡の青薔薇』という。
その効果は端的に言って
本来は消費アイテムとしてHPが0を切った者に対して使用するのだが、リオはそれを装備品に加工することで常時身に着け、自分が戦闘不能になれば自動発動するよう設定していたのである。
ただ、余談ではあるがこの『奇跡の青薔薇』は蘇生した際のHPを最大HPの3%までしか回復しないため、追撃でオーバーキルを食らう可能性が高いというリスクが存在する。
その為、蘇生アイテム全般の中では評価がやや下の方という扱いであった。
だが、この場で細かい事情はこれ以上意味がなかった。
重要なのはリオがこうして蘇生して立ち上がろうとしているということだけである。
少なくとも
「リオちゃん……っ」
一度は死んでしまったはずの、大切な少女が生き返った。
アンネの胸の内に歓喜の念が満ち溢れていく。涙さえ零れそうだった。
立ち上がろうとするリオに心からエールを送る彼女は、この中で唯一
周囲に立ち尽くす男たちは気付いていた。
自分達を覆うかのような、謎の寒気、怖気、或いは
それが血まみれの少女が立ち上がろうとするほどに重圧を増していくのを。
そして、いつの間にか「るるるるるるるるる…………っ!!」という奇怪な音が鳴り響いているのを。
それはさながら地響きのように、或いは
「…………リオ、お前は」
ヨアヒムの口から言葉が零れた。
そして、それと時を同じくして――――リオ・オーガスタが両の脚で大地を踏みしめ、夜空に向けて顔を上げた。
「る゛る゛る゛る゛るるるるるるるるううううううううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅうぅうっぅぅぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅお゛お゛お゛おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」