ちゃりん、ちゃりん、と音がする。
細い金属が擦れ合う音。最早耳に慣れ親しんだ鎖の音だ。
もう生活の中で身を捩るたびに、体を動かすたびに耳に入るそれは、私の日常の一部になっていると言っても過言ではないのだろう。
最初の頃は煩わしいとさえ思っていたそれに不思議な親しみさえ覚えている。
それもそうかもしれない。ただ一人何もすることなく地下室のベッドの上で身を横たえていて……できることと言ったら手慰みに鎖と首輪を弄ることくらいなのだから。
あぁ、最近は手枷も後ろ手縛りではなく前手で縛られることが多くなった。そっちの方が辛くないだろうという判断だった。
後ろ手で縛られていた方がより不自由度が高い、ということは……前手に直されている今はそう滅多なことでは抵抗したり脱出しようとしないと、そう見なされていることだろう。
私の両の手首を繋ぐ鎖、首輪から伸びて壁際に縫い留めている鎖。
これを目の前に掲げてしげしげと眺めていると――――何故か
心の臓が傷付いたように痛んで、それでいて熱くて甘い、なんとも言えない心地だった。
その心地の正体はわかっている。
私は――――本当は、きっと嬉しいのだ。
この鎖は、私の好きな人がどれだけ私を求めているのかという証なのだから。
どれだけあの人が私を大切に、大事に思って、手の中から離したくないのかと……そう思ってくれていることの証明だった。
それほどの執着を向けてくれることが、私には堪らなく嬉しく思えるのだ。
――――でも、それはいけないことなのだ。
――――こんな形で愛し合っていては駄目なのだ。
――――間違いだと知ったままでは幸せになどなれないのだ。
それでも、やはりそう囁く自分の中の声が聞こえる。
このままずっと地下に閉じ込められたままでは自分は駄目になってしまうという自覚がある。
そして何よりも、あの人自身も自らの信念を曲げる苦痛を伴っている。
その事実から目を逸らしたくはない。目を逸らしたままでは、そのひずみを放置したままではきっとどこかで破綻する。
……それでも、
あぁ、それでも。
――――貴方に
******
「……それでは今日も、ヨア……だ、旦那様の、ぉ、おちんちんにご奉仕させて、いただきます……。リ、リオのお口は旦那様専用の……
一言一言を発する度に、心臓に毒の刃を突き立てるような気分になる。
気持ち悪いほどの被虐感に苛まれながら床に敷かれたマットの上に手をついて深々と
床についた鎖が、それに合わせてじゃりじゃり、と音を立てた。
「……あぁ、わかった。少しつかえ気味だったけど、最後までちゃんとよく言えたな。偉いぞ、リオ」
「――――あっ……、」
そしてその鎖が手に取られ、くい、と首輪ごと上に引っ張られる。
顔を上げさせられると、頭の上に手を置かれて優しく撫でられた。
「……♡」
ヨアヒムの大きな手がよしよしと労わるように私の頭を撫でてくれる。
それだけで先ほどまでの胸中が抉れて腐るような痛みが、甘くて暖かいものに置き換わっていくような気がする。
見上げてみれば榛色の眼が優し気に細められて笑いかけてくれている。
それだけで屈辱に耐えて口上を読み上げた甲斐があったと、そう思ってしまうのだ。……我ながら、安すぎる。
「それじゃあ、言った通り……奉仕しろ」
「は、はい。……ぅっ♡」
いつものようにベッドの端に腰かけるヨアヒムの前に跪いて彼の股間に顔を寄せるが、その直前に少し上ずった声が漏れてしまった。
もう毎朝の習慣のようになっている浣腸とフェラチオだが、最近では色々と
「ふ、ぅ……っ♡」
身じろぎすると、股座から下腹の奥にまでずっぽりと咥え込まされている張り型がゴリっと胎内を抉った。
体を割開かれている拡張感が辛くないと言えば嘘になるが、それと表裏一体の痺れるような心地よさがじんじんと体を駆け巡っていた。
なるべく締め付けなければ良いのだが、いつものように緩く浣腸をされているので……後ろの括約筋を閉じるように意識すると必然的に前の孔が張り型をきつく咥えてしまうのを避けることはできなかった。
膣の襞と肉が、木を丹念に削って作った偽の男根に食い込む。
その度に身を絞られた果実のように雌汁が股の間を伝う感触がした。
「はぶ……っ、んっ……♡」
下腹から立ち上ってくる感覚から逃げるように、私は
指先で手先で竿と陰嚢をあやし、口先と舌先で雁と亀頭をしゃぶる。
唇が男根に吸い付き、唾液が先走りと混じって泡立つ音が地下室に響く。
「ん……今日もいい具合だな、リオ。お前はちんこを舐めるのが上手いぞ。痛みが出るようなことはしないし、気持ち良い所はちゃんと外さない。毎日こうやってしゃぶっているお陰だな」
「ぅん……っ♡」
私に逸物を咥えさせながら、ヨアヒムはそうやって私を褒めてくれるし、頭を撫でてくれる。
彼の少し骨ばった指がそっと私の髪を梳り、耳の後ろやうなじを撫でさする。
そうやって快い言葉を掛けられながら優しく撫でられると、もっともっと頑張りたいという気持ちが沸々と湧いてくるのは仕方がないことだった。
ぼうっとした心地で上目遣いに彼の顔に目をやると、うっとりとしているような彼の微笑みと目が合って胸の中が暖かくなってしまう。
「んっ、んぅ……っ♡♡」
もっと期待に応えたくて、もっと褒めてほしくて奉仕にも熱が入る。
私は口を窄めて一段と深い所まで彼の陰竿を咥え込んだ。
ぶくり、と膨らんでいる亀頭が口腔から咽頭へと入り込む感触がする。
思わず吐き気が込み上げるのを堪えながら、それを引き抜いて先端部を入り口まで戻す。
唇から喉までを行き来する深いストロークでの口奉仕だ。口を頭ごと前後させる度にちゃら、ちゃら、と首輪の鎖が揺れる音がする。
ぐぽっ、ぐぽっ、と
喉まで異物が入り込むせいでえづきが込み上げて息苦しく、張りつめた竿を加える顎が疲れている。
でも、口の中でびくびくと脈打つ陰茎が
それを思うとこの苦しさにも価値があるのだと思うことができた。
「んふぅっ……♡ んぶっ、ふ、ぅ……っ♡」
それに――――奥まで深く咥え込んだ時、鼻先がヨアヒムの股間に近づくのが頭に効いた。
口が喉まで塞がれているため窒息しないようにするためには鼻で息をする他ない。
その状態で鼻先に陰毛が擦れるまで剛直を咥え込むと、鼻腔を饐えたような陰部の匂いが満たすのである。
決して良い香りなどではない。だが、それは何故だか私の脳の奥の部分を赤く熱するような、酷く
それは口の中を占領する陰茎の風味と相まって私の理性をガリガリと削り取っていく危険な代物だった。
酸欠で茫洋としていく私の意識に、その香りが焼き付けられて消えないのだろうと、そう思わせるくらいには。
「よし、リオ……そろそろ出すからな。ちゃんと最後まで飲むんだぞ……」
「んっ♡♡」
口の中を雄棒で満たしたままの返事は、鼻にかかって媚びた様な響きがした。
髪を撫でていたヨアヒムの手が、私の後頭部をがしっ、と掴む。その力強さに首筋が慄く。
彼が切羽詰まっているのを察した私は意識的にストロークを早めて射精を促した。
枷が嵌められた両の手では陰嚢を柔らかく転がして、恥骨の近くの精管を指先で揉んでやる。
手の中で私に吐き出すための精液が生産されているのだと思うとドキドキした。
口の中で感じる竿の硬さは陶然としてしまうほどだった。
「……っ、くっ……!!」
やがて、ヨアヒムが押し殺すような呻き声を上げた。
彼の手が私の頭を押さえつけながら、首輪の鎖を引っ張ってくる。
それに逆らうことなく彼の股間に顔を埋めるような状態で――――私は射精を受け入れた。
どぷっ、どぷっ、どぷぷぷ……っっ!!!!と重たく脈を打つように陰茎が跳ねながら私の喉に精液を注いでいく。
むせ返って吐き出したいのを必死でこらえながら粘った雄汁を飲み下す
ごきゅ、ごきゅっ、と喉の筋肉が引きつりそうな音を立てながら私は無我夢中でザーメンを胃に収めていった。
「んっ……、ぉ゛っ、ぉ……!!」
正直辛いが、やめようとは思わない。
何せ奥まで突っ込んで射精するのが気持ち良いというのは自分だって共感するところだからだ。
今も目を閉じて感じ入るように精を吐き出している彼を見ると、こっちが咽たり吐き出したりして水を差すのは無粋だと思えてくる。
「っ、んぅ゛……っ、う゛、っぷ、ぅ……っっ」
やがてたっぷりと精液を出し切った彼の陰茎が口から引き抜かれる。
喉からずろり、と亀頭が引く抜かれる拍子に込み上げてきた吐き気を飲み下しつつ、半ば萎えている彼の竿に舌を這わせた。周りに纏わりついている精液の残滓を丁寧に舐め取る。
さっきの射精で飲み切れずに溢れ出た精液が顎や口周りについているので、それも指で掬い取ってちゃんと食べきる。
青臭くてドロドロと粘ついた、到底美味しいとは呼べない代物だが――――この脳に突き刺さるような臭いが無性に私の心臓の鼓動を高鳴らせた。
ぷはぁ、と吐き出した息までが精子臭い。体の中まで
「……旦那様の、ザーメン、お恵み下さり……、ありがとうございました……」
「よくやったな、リオ。今日も気持ちよかった」
「……♡ ありがとうごさいます……♡♡」
全部飲み干せたことを証明するように口を開いて見せてから、結びの挨拶をする。
酸欠状態でぜぇぜぇ、と荒い息を吐きながら頭を下げるととても嬉しそうに
その事が嬉しくて、嬉しくて……尻尾の一つでもあれば振っていただろう、なんて自覚があった。
ご褒美代わりに
張り型がべったりと愛液に塗れている様を意地悪く揶揄されながら、思い出したかのようにやってきた浣腸による便意を訴え出る。
こうして、地下室の一日がまた始まるのだった。
******
「テオドラの道具の整備が一通り終わったからな。これからは色々と
と、そう言ってヨアヒムが笑っていた。
どことなく悪戯気で、それでいて隠し切れない陰鬱さと悲痛さが滲み出ているそんな笑みだった。
彼の視線の先、丁寧に錆を落とされた幾多の器具類が積まれた部屋の片隅を見て私は背筋が
それは、不安なのか恐怖なのか――――はたまた
「あぅ……ん、ぅっ……」
つつ、と口の端を伝って顎先から唾液が垂れる感触がした。
反射的に啜ろうとして息を吸いあげるも、しゅー、という気の抜けたような音がするばかりで意味はなかった。
顎先を上に向ければとも思ったがそれも効果はない。後頭部が座椅子の背もたれに当たる感触がするばかりだ。
赤ん坊のように唾液をだらだらと垂れ流すばかりでそれを拭うこともできない私に声がかけられる。
「良い眺めだな。……お前にも見せてあげたいくらいだ」
「ん、ぉ……っ」
ヨアヒムのその言葉に
目隠しをされているため私の視界は真っ暗で何も見えない。
だが、今の自分がどんな格好をしているのか客観的に想像できるくらいの事はできる。
今の私は分娩台のような椅子に磔にされていた。
両手は頭の高さまで上げられて座面に鎖で固定され、両足はMの字に大股を開いた形を強制されている。
足首と太腿の辺りをがっちりと縛られているせいで僅かにも動かせない。それはつまりどんなことをされても腰を引くことさえもできないということでもある。
目元には簡素な黒い布を目隠しの代わりに撒かれ、口には
真っ暗になった視界の中で、自分の呼吸音だけがしゅう、しゅう、っとやけに大きく聞こえる。開かされた状態を強いられたままの口からだらだらと涎が垂れ流されている。
口を閉じることさえもできない――――意識することも無く当然のように行っていることを封じられることがこれほど恥辱感を煽られるとは思いもしなかった。
「もう逃げられないな、これで。どんなに滅茶苦茶にされても、声を押さえることもできないし、腰を浮かせることもできない」
「ぉぁ……いぅ……」
ヨアヒムの声が耳朶に吹き込まれるように囁かれる。
それだけで耳から脳までがぞわぞわと震えるよう。
視界を奪われるというのはただ目が見えなくなるというだけのモノではなく、視覚以外の感覚を鋭くされてしまうということなのだと私はそれで悟った。
何かを確かめるように私の体に触れてくるヨアヒムの手の感触、寄せてくる顔から吹く吐息、今も欠かしていない芳しい香水の匂い……そういったものが過剰なほどに鮮明な情報となって暗闇の中に像を結ぶ。
……そして、磔台の近くに用意された台車とその上で道具類が触れ合うカチャカチャという音も。
「もう十分に濡れてるし、解れているな。張り型をマンコに突っ込んだ状態でオレのチンコをしゃぶるのはそんなに興奮したか?」
「やぇ……ぉんあ、おぉ……」
「そんなことない、って言われてもな……。触ればわかることだぞ」
「んっ゛……♡」
晒されたままの私の股座にヨアヒムの指が触れる。
視界を閉ざされている私の為と言わんばかりに、私の体がどうなっているのかを揶揄する彼の言葉に酷く羞恥を煽られる。
首を横に振っても彼の語る通り私の
張り型が抜き取られた後の空虚に寂しささえ感じる。中を埋めていたものを惜しんで膣洞がきゅう、と泣いているような気さえしてくる。
入り口をそっと撫で上げる彼の指先に粘液が触れる、にちゃり、という音がして私は頬が熱くなる思いがした。
「痛くするつもりはないが……痛かったら言ってくれ」
「んぅ……っ!?」
口を塞がれているのに言えるわけないだろう……、と抗議したかったがそんな考えは突如股座にあてがわれた冷たい感触に押しのけられた。
それは何か金属の枠のような物だった。それが陰唇に対して正面から埋め込まれ――――左右に広がっていった。
「ぃ、ぃぅ……っ!?」
「安心しろ、入り口を拡げてるだけだ。……元は産婦人科の医療器具だったと思うんだが」
なんて事のないような口調でヨアヒムが淡々と説明する。
あてがわれた感触からしてそれは大ぶりな金属鋏のような形状をしているようだった。
ただそれは物を挟んで切るためではなく、先端についた鉤のような部分を左右に広げて引っ掛けたものを割開いていく用途があるらしかった。
「……あぁ、これでお前の
「ん゛っ、ゃぁ……っ」
「なんだ、奥の方がきゅっと締まって
性器を直接割開かれて、その中をまじまじと観察される。
視界が閉ざされているせいかヨアヒムの視線をいつもよりずっと熱く感じる。
隠すこともできず、抵抗することもできず、体の奥まで暴かれて赤裸々に品評されるのは、胎の底から焙られるような気分だった。
――――見られてる。
――――見られてる見られてる見られている……!!
視姦、という言葉がある。
それは正しく視線で犯されているというのに等しかった。
ヨアヒムの眼が私の恥ずかしい所を隅から隅まで見回しているのを感じる。
唯先が露になった内粘膜をちょいちょいと突き、襞と襞との間に滲んだいやらしい汁を拭うのも感じる。
口枷に押し込められた自分の息が荒くて、煩わしい。
反射的に縮こまる膣で、その入り口辺りに開口具が食い込んで痺れるような衝撃が走り、体の奥から汁が絞り出される。
……彼の言う通り、私の体は今やとてもいやらしいものなのかもしれない。
こんな責め苦にも心地よさを感じ始めている。
「ぅっ、ぉぁ、あ゛っ♡」
「ここもビンビンに勃起してる。こんなに大きくなって触って欲しいのか?」
詰るような口調でヨアヒムが触れてきたのはクリトリスだった。
開かされた陰唇の上端部に、自分でもわかるほどに勃起している陰核。
その表面を指の腹で磨くように触れられると腰の奥から熱く込み上げてくるような痛烈な快感が迸った。
「何度も言っているような気がするが、リオの此処は特に感度がいいな。こんなにも敏感に反応してくれるとついつい虐めたくなってくる」
「ぉ゛っ、あぁっ゛♡ あ゛っ♡」
彼の指が表面を包むように当てられ、陰核の包皮をそっと下ろされる。
風がそよぐだけでも反応してしまいそうになるその繊細な突起を容赦なくヨアヒムに弄繰り回される。
下の孔から零れる粘液を掬い取った彼の指が、ちゅくちゅくと音を立てながらその小さな突起を削ぐように扱く。
彼の指が小刻みに動くたびに淫核がくにくにと折れ曲がっては立ち上がり、その度に私は口の端から唾が飛ぶほどに喘いだ。
びくん、と足腰が跳ねて――――その動きも椅子の拘束に阻まれて軋んだ音を立てるに終わった。
快感から逃げらないという事実を思い知らされる。
「ほっ、お゛っ、ぁ……っ!?」
「そういうわけで……これはいやらしいお前に、オレからのプレゼントだ」
そんな中突如として身に覚えのない感触に襲われて体が震えた。
何か柔らかく弾力あるものに淫豆全体が包まれたかと思うと、そのまま全体を上に向かって吸い上げられたような感覚である。しかもそれは一過性ではなくずっと続いている。
じんじん、と疼くような、痛むような、或いは痺れるような快感が絶え間なく襲い掛かってくる。
「はぁ、ぁっ……、お、ぉぁ……っ♡」
「薄い樹脂で作られたキャップみたいなものだ。楕円の小さな袋みたいな形になっていてな、指で押しつぶして空気を抜きながら押し当ててから離すと吸い付くようになっているんだ。……こんな風に」
「ん゛っ、ゃ……っ!!」
目が見えていない私の為に、ヨアヒムが丁寧に解説してくれる。
内部の陰圧で肌に吸い付くキャップは強いて言うなら成人男性の指先程のサイズだろう。
だが、私のクリトリスに吸い付き、根元から吸い上げてしまうには十分な吸着力があった。
そしてヨアヒムはそれをあろうことか股座だけでなく、私の両方の乳首にも備え突けたのである。
突然襲い掛かってきたその衝撃に反射的に身を震わせる。
だがそうして身じろぎすると、陰核と乳首の先端に食いついたキャップがふらふらと揺れて、敏感な部分を根元から揺さぶった。
透明な樹脂の覆いの中でくきん、くきん、と音を立てるように乳首と陰核が挫れて火花のような快感が目の裏で散る。
「ふぅ゛っ……っ、んんぅっ、ぅっ……♡♡」
噛まされている口枷のせいで、漏れ出てしまう嬌声を抑えようとしても抑えられない。
取りつけられた器具が肉に食い込んで、じぃん、と灼けるような快感で体を絶え間なく焙っている。
それに押されて肺から絞り出される吐息は顎を開きっぱなしにされている口から無様な喘ぎ声になって地下室に木霊した。
「後は……最後にこれだな。……少し
「……?」
一瞬、ヨアヒムの言っている言葉の意味が理解できなかった。
この場でどういう意味合いのある言葉なのか、認識の糸が頭の中で繋がらずに疑問符が浮かぶ。
そんな私を尻目にヨアヒムは台車の周りで何かの作業をしているようだった。
そしてさっき言われた言葉の意味を理解したのは、
「……トイレをするときみたいに少しいきめ。そうした方が開いて入れやすくなる。無理矢理入れると裂けて悲惨なことになるぞ」
「ぅう゛っ、ぅっ゛……!!」
ぐりっ、と後ろの孔に何か硬い物が押し付けられる。その表面には潤滑油のような物が塗られており、そのまま排泄孔に押し込まれてきた。
今まで後ろの孔を晒して浣腸を受けることもあったし、彼の指で穿たれることもあった。
だが、このような硬度のある無機物を受け入れさせられるのは初めての事だった。
彼の言うように、肛門が裂けてしまわないように私は排泄するかのように下腹部に力を入れていきんだ。
先だっての浣腸と排泄で微かに緩んだ穴が開き、そこに何か長大な物体が埋め込まれていく感触に耐える。
硬直した便が逆流していくような悍ましい感触だ。だが今まで
やがて最後まで押し込まれた器具は、ヨアヒムの中指に比較して五割ほど太くて長い棒状の物体でであった。
だが通常の張り型とは違うのは、全体が複数の球体を数珠繋ぎにして圧着したような造りになっていることだった。
きつく締まるはずの後ろの括約筋を、前後するたびに強烈に擦りあげる造形。
「ほ、ぉ゛っ♡ あ゛ぉっ、ぅっ゛♡♡」
「ほら、こうすると気持ちいいか?後ろの孔でもちゃんと気持ちよくなれてるんだな、偉いぞ。近いうちにこっちだけでもイける変態女に躾けてやるからな……」
後ろの孔の張り型の入り切れていない部分を把手のように持って、ヨアヒムが軽く抜き差しする。
案の定、幾つも連なった曲面の段差が肛門を何度も擦りあげていく。
ぼこん、ぼこん、と凹凸が裏側から菊門を押し広げて抜けていくたびに疑似的な排泄の快感を味合わされる。
奥に突きこまれれば、今まで何も触れられたことのない直腸の深い場所まで先端に小突かれ、腹の奥にじわりと熱い感覚を覚えた。
異様な感覚に身を捩れば乳首と陰核に吸いつくキャップが揺れて快感の火を全身に散らし、中身を曝け出された膣からドロリと愛液が滴ってその下の孔にまで垂れ落ちた。
「ゃ……、ゃあぁ……っ」
「……そうだな、嫌だろうな。だから良いんだ、オレを恨んでくれて。それでも責任はオレが取るから……」
そう語るヨアヒムの声どこか思いつめたようだった。
いや、実際に思いつめているのだろう。私を此処に閉じ込めたときから、ずっと。
……やめてほしい。
どんな表情をしているのか、顔が見えなくてもわかる。
貴方のそんな辛い表情を見たいと思ったことなんて一度もない。
叶うなら、いつものように悪戯気な少年のように頬を綻ばせて笑っていて欲しいのに。
――――だから、
「――――よし、それじゃあ今日は少し激しめに行くぞ」
私がそんなことを思っているとは露とも知らないのだろう。
何かを振り切るようにヨアヒムはそう宣言した。
台車の上から、何かの道具が手に取られる音がして――――私の体にそれが振るわれた。