「ねぇ、今夜一緒に飲まない?」と誘ったらリオちゃんは二つ返事でついてきた。
近くの銭湯にでも入ってきたのだろう、彼女の綺麗な金色の髪はしっとりと濡れてつやつやとしていた。
お人形さんみたいに小さくて可愛らしい美少女なんだけど、風呂上がりにビールを瓶で直接飲んでいる姿は外見とのギャップが大きすぎて、初めて見た人は困惑するんじゃないだろうか。
私がそんなことを言うとリオちゃんは「今飲んでいるのは
せっかくなので部屋に招いた彼女に蜂蜜酒をおすそ分けしてもらうことにした。代わりにこちらからはビールを進呈する。
彼女からもらった蜂蜜酒はすっきりとした甘い味と香りがして、とても飲みやすかった。これなら口当たりもよくてグイグイ飲めそうだ。
でも、油断は禁物だ。私はお酒に弱くてすぐに酔いつぶれてしまう。
たまに、今日みたいな日にぐーっとお酒を飲みたくなる時があるのだが、そういう時は大抵翌日に酔いを引きずって呻く羽目になるのだ。
そんな私を良く知っている隣人のリオちゃんは苦笑しながら、私にほどほどにするようにと窘めてくる。
リオちゃんは私より頭一つか頭半分くらい背が低くて、傍から見たら子供にしか見えないのだけど、言動や仕草の一つ一つが妙に老成(こういうことを言ったら怒られるだろうか?)している気がする。
堂に入った風にビールの入ったグラスを傾けるその仕草。
寝巻代わりのワンピースから覗く朱色に染まった首筋の艶めかしさ。
そして今もこちらに向ける冬空の色をした瞳の色っぽい視線――――――。
いやこれは流石に私が意識しすぎているのか、と考え始めたところで、リオちゃんがテーブルの上で手を私の手に添えてきた。
驚くほど白くてきれいな指先が私の手の甲を包んで撫でる。それをどこかぼうっとした気持ちで眺めていると、いつの間にかリオちゃんの顔が、息がかかるほどの近くにあった。
もう片方の手が私の頬に添えられて、彼女と視線を合わせられる。
潤んだ熱と氷の色の瞳。つんとするアルコールの匂いとお風呂上がりの芳しい少女の香り。
そのままリオちゃんの唇がそっと私の唇に重ねられても、私はさして驚きはなかった。
なにせ「今夜一緒に飲もう」というのは私たちの間では『そういう意味』だから。
だから私は最初からそのつもりだったし、彼女も最初からそのつもりだった。
最初の口づけは、唇を触れ合わせるくらいに軽く。
それからリオちゃんは私の唇の輪郭を唇で確かめるように、優しく、繊細なキスをしてきた。
口先がくすぐったくて、うずうずするような、細やかな秘め事のようなキス。
仕事先ではこういうことしてくれる男はあんまりいないなぁ、とそんな考えがよぎる。
あー、やめやめ。今は仕事のことを考えるのは無し。
リオちゃんの小さな舌が私の唇を割って入ってくる。
私もそれに応えるようにして舌を出して絡ませた。
彼女の舌はちょっとお酒の香りがして、でも甘い味がした。
緩く口を開いて唾液と唾液、舌と舌を絡ませるねちっこいキスを繰り返す。部屋の中にくちゅくちゅとやらしい音が響く。
息が苦しくなって、息をしようとすると鼻息がふぅふぅと荒くなって少し恥ずかしい。
キスを続けている間、リオちゃんは私の手に指を絡ませてぎゅっと握っていてくれた。
キスが一段落すると、私たちはベッドの上で互いに服を脱がし合って裸になった。
裸のリオちゃんの体は小さいのにバランスが良くて、肌の白さも相まっていつ見ても思わず見惚れるくらいに綺麗だった。
私がまじまじと見つめているとリオちゃんが私の頬を撫でながら、貴女も綺麗ですよ、と囁くように言ってくれた。
その声がなんとも凛々しかったせいで不覚にもときめいてしまった。相手は女の子なのに。
そのままリオちゃんが私をベッドの上に押し倒してくる。こういう時の彼女は何とも男らしい気がする。
女の子相手に失礼な感想なんだけど………。
それから先はリオちゃんにされるがままだった。
彼女の白い指が、私の肌の上を優しくくすぐっていく。
指を載せる程度の微かな重み、羽箒を滑らせるような細やかさ。
頬、耳、首筋、鎖骨、二の腕、胸、お腹、腰、お尻、太腿………私の体の上を探るように丹念に丁寧に、指が私の体を撫でていく。
かと思えばわざと爪を立てられるようにして皮膚を擦られて、ぴりっとした感覚が走る。
でもその感じもあんまり嫌じゃなくて、むしろ指先の愛撫が優しい分その刺激がアクセントになって飽きがこない。
いつもう一度その強い刺激が来るのかな、なんて思い始めると気が抜けなくて、スリルでちょっとゾクゾクする。
私の体が出来上がり始めるとリオちゃんが私に体を寄せてキスをしてくる。
私の肌はじっとりと汗ばんでいて、リオちゃんはそこに浮いた汗を味わうように唇を落として舌を這わせていった。
唇で吸って舌で舐めて、時々歯で甘噛みされるとそこから痺れが走って背筋が震えた。
いつの間にかいたるところの肌が感じるようにされていて、体の奥に火が灯ったように熱くなっていた。
リオちゃんの愛撫はとても巧みで慎重だ。
やかん一杯のお湯を小さなコップに注ぐみたいに、少しずつ少しずつ、快感が体の中に溜まっていく。
お湯につかっているような心地よい感覚が全身にじんわりと広がっていく感じ。
力加減を間違えてどこかでパチンと弾けたりしないように、リオちゃんは私の体に慎重に快感を注いで高めていってくれる。
体の表面を指と唇で愛撫されてすっかり弱火でじっくり焙られたように火照ってしまう私の体。
リオちゃんはようやく頃合いと見たのか、私の胸の真ん中――――――乳首に手を伸ばしてきた。
きゅっ、と強めに指を添えて摘ままれるとそこからじぃん、とした感覚が走って思わず声が出てしまう。お腹の奥からどろっとしたものが溢れていく感じがした。
そんな状態でリオちゃんは私の耳を甘噛みしながら「かわいいですよ♡」と囁いてくる。耳元で息を吹きかけられてたまらず身を捩る。
それからリオちゃんは私の耳を噛んだり舐めたりしながら、指で胸を弄ってきた。
耳の中でくちゅくちゅと舌を出し入れされると頭の中を直接舐められているような感じがしてぞわぞわする。
その状態ですっかり大きくなってしまった乳首を指先で捏ねられたり、胸を手で揉まれるとどうしようもなく気持ちよかった。
普段ならちょっと痛い、と感じる程度の力加減なのだけどすっかり出来上がってしまっていた私の体はその痛さも痺れるような気持ちよさに変えて感じてしまっていた。
こんな状態だけど私は最後の一線を中々超えられなかった、もとい超えさせてもらえなかった。
リオちゃんの刺激の与え方は私の体の限界ギリギリを知っているような絶妙さで、私は絶頂一歩手前のところで弄ばれるばかりだった。
でもそれはイくにイけないもどかしさを味合わせるような意地悪な寸止めではなくて、弾ける寸前のあの高揚感がずっと続くような心地よい浮遊感だった。
お湯を注いだコップをくるくると回して渦を作っている。その渦の回転はどんどん速くなっていって今にも端から溢れてしまいそうなのにギリギリで零れない。そんな感じ。
加速して過熱していく快感が体の中にどんどん溜まっていくのに、それが全然つらくなくて、むしろこれがずっと続いてくれればいいのにな、なんて考えが浮かんじゃうほど。
もうさっきから声なんて全然我慢できなくて喘ぎっぱなしだし、腰の奥からどろりと熱いものが溢れ出てている。
リオちゃんはそんな私を優しい眼で見つめてくれていた。
でもそんな時間もいよいよ終わりらしかった。
リオちゃんの手がゆるゆると私の下半身に伸びていく。今までずっと触られなかったのが不思議なくらい、熱く湿っているそこに触れられるのだと分かると背筋がわなないた。
そこはすっかり中から溢れ出た蜜でしとどに濡れそぼっていて、彼女の指が触れるとくちくちと粘っこい音がした。
感度を確かめるように私の豆が弾かれると、情けない声が出た。リオちゃんは驚かせたのを謝るように、蜜を絡ませた指で私の硬くなった豆をやわやわとあやすように撫でさすった。
そしていよいよラストスパートに入る。
リオちゃんが二本の指をそろえて私の中に入ってくる。
私の中は蜜でどろどろになっていて彼女の指をあっさりと飲み込んでいく。
そこで指の骨の芯を感じるようにきゅっと締め付けると、体の中が溶けるような快感が染み出して全身を駆け巡っていった。
シーツを握り締めている私の手にリオちゃんが手をそっと添える。彼女の小さな手の指が私の指に絡んで握り締めてくる。
私の中に入ってきたリオちゃんの指は、私の感じるところがどこなのか全部わかってるみたいに、中の襞々を擦りあげていく。
指を捻ってかき回したり、浅いところを何度も出し入れしてみたり、軽く爪を立ててみたり………。
特に強烈なのは入り口の近くのお腹側を擦られた時だった。痒い所を掻き毟られるときのような、ひりひりする気持ちよさが襲ってくる。
リオちゃんもそこが良いなんて当然わかっている。指先にぐっと力を入れて、がしがしとそこを擦りたててくる。
そうなるともう私にできるのは「あーっ♡、あーっ♡」とバカみたいな善がり声をあげることくらいだった。
じっくりと下ごしらえされた私の体はもう爆発寸前にまで昂っていて、いつでも決壊する用意ができていた。
リオちゃんはそこにトドメを差すように、遠慮なく私の一番感じるところを責め立てた。
たっぷりと体に注がれた快感が一気に弾ける。
快感とともに私の意識もぱぁん、と軽快に弾け飛んだ。
頭の中が真っ白になって文字通りに意識がどこかに飛んでイった。
じっくりと丁寧に昂らされてから昇り詰めた分、絶頂感は本当にすごくて、長く尾を引くものだった。空を飛んでしまうほどに高くて溺れるほどに深い、そんな絶頂感に耽る。
自覚は無いのだけど多分すごい声を出していたのだと思う。他人には聞かせられないくらいに。
私が猛烈な絶頂感に浸っている間、リオちゃんはずっと私の手を握ってくれていた。
だが、まだまだここで終わりというわけにはいかなかった。
私がはぁはぁと息を荒げている間にも、その絶頂感を醒まさないようにリオちゃんの優しい愛撫は続いていた。
じっとりと優しく指の腹で私のそこを撫で上げて、お腹や胸に愛しむようなキスを落とす。
そして私の呼吸が落ち着いてきたのを見計らってから、また一段激しい愛撫で私の体を昇らせていく。
二度目の絶頂はさっきより早くて、深かった。
私の中にたっぷりと快感を注いで、掻きまわして、弾けさせる。
リオちゃんの指先で私は何度もベッドの上で哭かされる。
やがてイってるときとイってないときの境目がわからなくなって、私の意識が暗くなっていくまでそれは終わらなかった。
******
「大丈夫ですか、ノーマさん?」
何度も意識を飛ばされて(三度目からはもう覚えていない)、半分くらい夢をみているような気分だった私を起こす声がした。
ぱちぱちと瞼をしばたたかせると、視界一杯にリオちゃんの顔が映っていた。
彼女の透き通るような水色の瞳に自分の呆けたような顔が映っている。
リオちゃんは優しく微笑みながら私の乱れた髪を整えて、頬を撫でてくる。指先が冷やっこくて気持ちがいい。
「………大丈夫よ、少しトびすぎただけ。」
「よかったです。飲み物でもどうぞ。」
随分汗をかかれましたからね、といって彼女は私にお酒の入ったグラスを差し出してきた。彼女の蜂蜜酒だ。
ありがとう、とお礼を言って体を起こしてグラスを受け取った。
ベッドのシーツは汗をかいたなんてもんじゃなくて、汗以外にも色々な体液に濡れてぐしょぐしょだった(特に股下あたり)。これは明日洗濯しないと駄目だなー。
ぐいっ、とグラスを傾けて蜂蜜酒を飲み干す。
知らない間に相当喉が渇いていたようで、少し温くなっているお酒でも命の水のようにおいしかった。
いや、普通のお酒と比べてもこの蜂蜜酒は本当においしい。
どこで買ったんだろう?今度からこれ買おうかな………?
「ねえ、リオちゃん。このお酒どこで買ったの?ものすごく飲みやすくておいしいわね。」
「知人の店で買いました。一本1500ルシです。」
「せん、ご………っ!?」
あっけらかんと答えるリオちゃんだが、私は思わず吹くところだった。
私が交換で渡したビールなんてその十分の一の値段だよ!?
こんな水みたいにグイグイ飲めるお酒が一本1500ってちょっと高すぎない?
「まぁ、そうですね。ビールみたいに度数5%前後の醸造酒でこのお値段は結構高いでしょう。でもワインとかと同じくらいのお値段だと思えばそんなに抵抗はないですね。」
とか言いながらリオちゃんはもう一本同じお酒を取り出して、瓶から直接飲み始めた。
うわぁ、この子やっぱり私と金銭感覚全然違うわ………。
「ねぇ、リオちゃん。冒険者ってみんな貴女みたいに儲かったりするのかしら…。」
「流石にそれはないですよ、私は特別高給取りですが。」
ふふん、と自慢げに笑ってからかいつまんで説明してくれるリオちゃん。
普通くらいの才能の人間がちょっと血反吐を吐くくらいに訓練して、魔物と命を削るような戦いを何度も潜り抜けて、それでようやく中級冒険者といったところ。それでなんとか冒険者専業で食べていけるくらいの収入を得られるんだとか。
中級以下、あるいは未満の冒険者が最も冒険者内での人口比率が高くて、結果として彼らが集められるくらいのアイテムは市場にあふれている。つまり買い取り単価が安いため、大した収入にはならないという話。
だから普通の人間は冒険者なんて命がけの仕事をやるより、もっと別の仕事をやってまともな収入を得た方が良いのだとか。
そういう感じのリオちゃんの説明に耳を傾けながら私はふんふんと頷いていた。
結構夢のない職業だ。冒険者というのも。
ちなみに話の間私は無意識のうちにリオちゃんの髪を指先でくるくると弄っていた。さらさらしていて触っているだけで気持ちがいい。
「仕事先でこういった話をされるお客さんはいませんでした?」
「んー、確かに。でもそういう話をする人って大体自慢話になっていくからね………。」
確かに私の働いている店にもそういう冒険者が来て話をしたりする。
でも大体は自分が昔どれだけ苦労して、今はどういう風に成功を収めたか、みたいな自慢話なのであんまりそういう世知辛い部分の話はしない。
そしてそういう部分はあまり突っつかないのも、プロとしての嗜みだ。
「ま、私は冒険者にならなくてよかったかな。少なくとも切った張ったは私には無理だよ。」
「そうですね。………………人にはどうしても、向き不向きがありますから。」
そう呟くリオちゃんの表情はちょっと苦い感じがした。苦いというか、自嘲しているというか。
あんまり突っつかない方が良さそうだ。
そう思って私は話題を少し変えた。
「ねえ、リオちゃん。またうまくなった?」
「何がです?」
「とぼけないでよ、もー。」
「あぁ。そっちの話ですか。」
ぶぅ、とわざとらしく怒った言い方をするとそれで察してくれたようだった。
「いっそのことうちの店で働かない?確かリオちゃん、男の人も女の人もいけるでしょ?」
「駄目です。私はお金目当てで人と寝ることはしませんから。」
むすっ、とした顔でそう言い切るリオちゃん。
そういえばこういう話は最初に会ったころにもしたような気がする。
「気がする、ではなくてしましたね。その時も同じようにお断りしました。」
「………ちなみに理由は?」
「商売にしたら自分から選べなくなるじゃないですか。」
「うぐっ」
リオちゃんはあくまで人と寝るのは趣味の範囲と割り切っているようだった。
そうなんだよなぁ、仕事だと相手を選り好みできないのがなぁ………。地味に私にダメージ。
「時々私をどんな奴にも股を開く女だと勘違いしている人がいますが、それは誤解も甚だしいです。むしろ私はかなり厳格な基準で相手を選んでいるといってもいいでしょう。」
「ちなみに、その好みのタイプは?」
私がそう訊くと、リオちゃんは手元の蜂蜜酒の瓶を空にして別のお酒を出して飲み始めた。
なんだかラベルに髑髏マークが入ってるんだけど、大丈夫なんだろうかそのお酒。
「カッコいい男の人と美人の女の人、それか可愛い男の子か可愛い女の子ですね。」
「基準ガバガバじゃない。っていうかただの面食いじゃない!」
「あと清潔感というのも大事ですね。体臭くらいには気を付けてもらいたいです。風呂にはみんな入りましょう。
あぁ、例外としてちょっと清潔感を犠牲にしても
グビグビと髑髏マークのお酒を飲みながらマシンガントークを展開するリオちゃん。
ちょっと酔ってるんだろうか。この子ものすごくお酒強いはずなんだけど。
でもこういう相手は適当に相槌を打ってしゃべらせてあげるのが大事だ。
それに内容が結構共感できるので私も相槌が弾む。普通に女子会気分だ。
「個人的には童貞はお断りですね。」
「えっ、意外。リオちゃんってそういう初物食いが好きそうなイメージが………。」
「童貞ってがっついてくる癖に下手だし段取り悪いし、出るの早いじゃないですか。」
「うわぁ、辛辣。」
でも私は童貞君をリードするのは結構好きだったりする。
女の人の体に初めて触れる初々しい反応が可愛らしいのだ。
仕事の中でのちょっとした癒しの時間である。
「むぅ、そういう楽しみ方もあるのはわかっていますが………。」
「あ、リオちゃんって人に結構リードしてほしいタイプ?」
「………そうかもしれません。」
リオちゃんはそう言うとお酒の瓶を一旦ベッドの上に下ろして難しい顔をした。
今までの男の人とかを思い出しているのだろうか。
「強引なのは嫌いじゃないですけど、強引すぎるのは考え物ですね。あと嫉妬深い人とか、独占欲が強い人とか。」
「なんか勘違いしてストーカーみたくなったら困るもんね。」
「そう、それです。」
うんうん、と二人して頷く。
私とリオちゃんが初めて出会ったのは私が働いている店の用心棒を頼んだ時だった。
働いている子が悪質なストーカーに悩まされているのを、リオちゃんはあっさり解決してくれた、らしい。
らしい、というのは件のストーカーが具体的にどうなったのか聞かされていないからだ。
とりあえず殺してはいない、とリオちゃんは言っていたけど実際どうなったのか確かめるのが怖くて私は真相を聞いていない。
「話が戻りますけど………種族も大事ですね。」
「種族。」
リオちゃんがピッ、と指を立てる。
置いておいた酒瓶をもう一度手元に戻してから語り始める。
「えぇ、ヒューマンは個体差が激しいので置いときます。ミアキスとリカントは割といけますね、さっき言った
エルフは美形が多いので良いです。スローセックスが好きみたいで愛撫とかとても上手い方が多いのですが、回数こなせないのが欠点でしょうか。」
「うんうん。わかるわかる。」
「コルノスはこう、逞しいのはいいんですけど…私の体だとちょっとモノが大きすぎて終わった後ちょっと痛いんですよね………。
ウンカラは論外。彼らは私達とセックスに対する考え方自体が違います。ただしうちの師匠除く。」
「え、リオちゃんの師匠?」
「師匠のことは忘れましょう。いっぺん死ね、クソ師匠め。
ドワーフは全面的にアウトです。臭いしゴツいし背が低くてずんぐりしていて髭だし、愛撫も雑といいところがありません。
リトルフットもダメです。連中のセックスはままごとです。何ですかあの短小は。」
「うわー、わかるわー。」
職業柄たいていの種族と寝たことがあるが、概ね同意だった。
特にドワーフとリトルフットとか。
私が手で額を覆って嘆いているとリオちゃんが心配げな視線を向けてきた。
「お仕事で何かありましたか。」
「………わかる?」
「最初からわかっていましたよ。敢えて聞きませんでしたが。」
確かにその通りだ。
私がリオちゃんを誘ったり、リオちゃんの誘いに乗ったりするのは大抵仕事で嫌なことがあったり疲れた時だ。
「昨日の客がリトルフットのおじさんで、お金持ちで………。」
「あぁ………。」
私がげんなりとした表情で話し始めるとリオちゃんはそれを察して同じような表情を浮かべた。
リトルフットは別名を小人族というように体が小さい。小さいということは当然ナニも小さい。
そりゃでかけりゃ良いってもんじゃないけど、どうしても満足感は得辛い。
これがかわいい男の子ならまだ愛で甲斐みたいなものもあるんだけど、私の昨日の相手は残念ながらおじさんであり、全然可愛くなかった。
それでもお金持ちで、つまりは上客なのでしっかり満足してもらわないといけないのだが、なんともアレなことにプライドが高くて女の子を自分で鳴かせるのに満足感を覚えるタイプだった。
つまり、短小のおじさん相手に頑張って気持ちいいふりをするサービスをしてきたのだ。
こういう仕事をしているからこういうこともあるのは割り切っているが、正直疲れた………。
「というわけでお姉さんは癒しが欲しいのよー。」
「わぁっ?」
私はぐいっとリオちゃんの腕を引っ張って、後ろから抱きすくめた。
腕の中にすっぽりと納まるこの感じがとてもよい。
あぁ、本当にリオちゃんは可愛いなあ。
髪はサラサラで、頬っぺたはプニプニしてて、肌はすべすべで………。
「おっぱいのちょうど手の中に納まるくらいのフィット感もたまらない………。」
「んっ………!」
おっぱいに手を添えて軽く下から揉むと、腕の中でぴくんとリオちゃんの体が跳ねた。
小さくて可愛い耳にちゅっと、キスをすると頬が赤くなる。
すぅ、と息を吸うと彼女の髪からお花のような芳しい香りがする。
お人形さんみたいに小さくて細い体なのに、腕とかお腹とかに触れるとしっかりとした筋肉があることに驚く。
でも女の子らしい体形を崩すような硬いものではなくて、たくさんの絹糸をより合わせてぎゅっと詰め込んだみたいな柔らかくてしなやかな感じがする。
何度触っても飽きないなー、この子の体。
「こうやって後ろから抱っこしてもらいながら、っていうのが好きなのはちゃんと知ってるのよ?」
「………うぅ…」
ちょっとぐずるような声を出した後、リオちゃんは観念したのか体重をこちらに預けてくる。
私がそれにこたえるようにぎゅっと抱きしめるとリオちゃんの手が私の手に添えられる。
しっとりとした肌と肌が触れ合う。
じんわりと分け合う体温が何だか嬉しい。
うんうん、肌を重ねるってこういうことよね。
「じゃあ、ノーマさん………優しく、してくださいね?」
「んー、どうしよっかなー………。」
頬を染めて恥ずかし気に、こちらを向いてそんなことを言うリオちゃん。
男なら一発で落ちるくらいに愛らしい表情だけど、生憎と女である私にはそういかない。
でもちょっと犯罪的な可愛さだったので、そのまま頬に手を添えてキスしてあげる。
彼女とのキスはとても刺激的な味がして、頭が痺れるようだった。
「んん………っ、んふ………っ」
キスをしながら、リオちゃんの太腿の間に手を割り込ませて、小さなお豆さんとその下の割れ目を撫で上げる。ここが好きなのも知っている。
彼女ほど巧みではないけど、さっきいっぱいしてもらった分こっちが気持ちよくしてあげる番だ。
そしてこの後、私がいっぱいリオちゃんを可愛く泣かせたら、お返しとばかりにガッツリ絞られてあまりの声の大きさに寮の別の住人に怒鳴りこまれるということや、
リオちゃんが飲んでいた変なお酒の
この時の私はまだ知る由もなかったのである………。
『ノーマ・マイルズ』
リオの部屋の隣人。第六話で味噌汁を奢られていた人。娼婦。
お酒に弱いくせにお酒が好きなので、ちょくちょく酔い潰れて二日酔いになるという悪癖の持ち主。
リオとは肉体関係のある女友達。先に手を出したのはリオの方で、酒を飲ませて前後不覚になったところをベッドに連れ込んでにゃんにゃんしたとか。
ノーマ自身は一応ヘテロだが、リオが可愛くて床上手で一杯気持ちよくしてくれるので別にいいかと思っている。仕事に疲れるとリオに甘えるという悪癖が追加された。