※この作品はR-18です。

ねちょ話これくしょん ~艦これ短編集~   作:うみねこ06

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ただ羽黒にジャージと野暮ったい眼鏡をかけて致したい欲求が抑えきれなかった。そんなお話


緑ジャージ黒縁丸メガネ羽黒とはぐはぐしたい

 言い訳がましいようだが、羽黒の居室、その扉の前へと立ったことに、別に下心があったわけではない。

 

 羽黒の仕事が早めに終わり、先に自室へと帰らせてから暫く後。どぉれ俺も今日はあがりと夜間当直(珍しいことに山城だった)に引き継ぎしている真っ最中、羽黒の私物入れが置きっぱなしになっていたことに気づいたのであった。

 

 究極的には、どうせ明日もまた出勤してくるのだし、先述の通り人は居続けるし、そもそもここは鎮守府でも最もセキュリティ高いしで、明日まで置きっぱなしにしていても別に間違いではない。ないのだが、仮に重要なものでも入っていて探しているんなら可愛そうだったし、何より気づいちゃったものだから提督の寝覚めが悪い。

 

 結局、そういう仲で有ることも合わさって、提督が持っていってあげることになったのは有る種自然の道理であった。山城に嫌味なんだか茶化しなんだかわからない事を言われつつ、提督が羽黒の部屋へと向かったのはそういう経緯によるものだった。尤も、提督に気後れのたぐいはない。重巡寮は当然艦娘だらけだが、仮にも軍事施設である以上、廊下でだらけた姿の艦娘とラッキースケベということもありえないので、もはや女所帯になれきった提督としては気楽なものであった。

 

 それがいけなかったのかもしれない。

 

 途中、近くの部屋の鈴谷や熊野と二言三言軽口を交わしてから(はぐはぐの部屋で盛り上がりすぎないでよー、と鈴谷にからかわれた)、ピンポン、と羽黒の部屋の玄関ブザーを鳴らす。生憎と予算優先でインターフォン等特に無い扉であったから、提督が声を出そうとした。

 

 

 「は――」

 

 「あっ、那珂ちゃんですか? でも、来るのは明日になるって話じゃ――」

 

 

 誤算だったのは、声を掛ける前にガチャリと扉が勢いよく開けられたことである。ぽかん、と自分を見つめる羽黒の瞳と、眼鏡のレンズ越しに見つめ合った。なお、断っておくが、提督はメガネを掛けていない。

 

 固まりきった羽黒は、既に普段の妙高型制服を脱ぎ去っていたらしい。上下共に、中学か高校時代を思い浮かべさせる緑色のジャージを、胸元を大きく開いた形で着ていた。そして、少しばかり湿った黒色の髪と、それをこめかみで挟むように掛けられた、黒縁の大きめな丸メガネ。

 

 

 「……し、司令官さん……?」

 

 「あー、うん。はい、忘れ物」

 

 「あ、ありがとう、ございます……ぁぅ」

 

 

 これ幸いとばかりに自身の忘れ物を握りしめ、それを必死に見つめている羽黒の頬は赤く、いつもの見ないでという言葉さえ出てこないようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑ジャージ黒縁丸メガネ羽黒とはぐはぐしたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「うぅ、見られた……司令官さんに見られちゃったよぅ……」

 

 「そんなに落ち込むことじゃないだろうに」

 

 

 ベッドの上で体育座りする秘書艦に、呆れたように提督が声をかけた。慰める、といった調子でないのは、発した言葉が本心からだからだ。

 

 

 「似合ってるぞ? 本当に」

 

 

 とは言え、似合っている、と評された羽黒の反応といえばお世辞にも褒められた時のものではなかった。限界ギリギリまでファスナーを上げたジャージを堅苦しく伸ばしながら、体育座りの格好で縮こまったままである。

 

 

 「だ、だって、あんなはしたない格好……」

 

 「まぁ、胸元が眼福だったことは否定しない」

 

 「あぅぅ……」

 

 

 羽黒が更に縮こまった。あ、面白い、と提督が思った。

 

 断片的に聞き出したところによると、羽黒がこんな運動時の女学生のようなナリなのは、そもそも那珂が原因らしかった。あの自称センター、部屋ではジャージで過ごすのが趣味らしい。姉たちに何か言われないのかとも思うのだが、川内は機能性重視だし、神通は神通でオンオフの切り替えが上手な人だったから、黙認どころか本当に何も言われていないらしい。どころか、那珂がジャージ着るようになったのも上二人のせいまである。

 

 閑話休題。ともあれ、親しくしている人間がそんな感じであったから、ひょんなことから会話の席上で部屋着に話が及んだ時、ジャージ良いよぉという話に発展したとのことで。あとは、押しの強い那珂と、受け身になりがちな羽黒の関係性である。次の休日には那珂に連れられて街へ繰り出し、ジャージと伊達メガネを購入したらしい。

 

 ……なにか話に飛躍があった気がしないでもないが、那珂いわく「究極的に野暮ったい格好をすれば今休んでる感はんぱないから! だからメガネ必須!」ということらしい。で、伊達メガネもセットで購入したらしい。

 

 とは言え、流され気味だったとは言え、羽黒もそこまで嫌がったわけではないらしく。むしろ、服装に煩い妙高、センスは良いのだがいかんせんバブリー寄りすぎる足柄が姉だったせいでジャージなんて着たことがなかったこともあり、割と乗り気だったようである。ご丁寧に、明日パジャマパーティならぬジャージパーティするというお約束まで取り付けたのだから確実だろう。

 

 そして、至る現在。

 

 

 「……あの、司令官さん」暫くの沈黙の後、膝の間から顔を上げた羽黒が口を開いた。「お部屋、暑いありませんか?」

 

 「そりゃ、な」提督がじぃっと羽黒の顔を見た。真っ赤である。だが、羞恥以外のものも混ざっているのは確実だった。「夏に長袖ジャージ、首元目一杯ファスナー締めりゃそりゃ暑い」

 

 

 がっくりと羽黒がうなだれた。季節は7月。本日は熱帯夜予定。多少のクーラーでそれでは、羽黒の放熱が間に合うわけがなかった。

 

 羽黒があぅ、とか、うぅ、とか呻いた。胸元を開きたいらしいが、やはり羞恥心が限界らしい。はぁ、と提督がため息を吐いた。

 

 

 「お暇するよ。俺がいたんじゃ涼しくなれないんだろう?」

 

 

 忘れ物は届けたし、と提督が立ち上がった。強調するが、別に下心があったわけではないのだ。居座って意地悪する気分でもないし、まかり間違って熱中症にでもなられたらそれこそ笑い話にもならない。

 

 

 「あ――」

 

 

 けれども。彼の秘書艦が返してきた反応は、提督の想像とはだいぶ違っていた。

 

 

 「羽黒?」

 

 「いえ、その」

 

 

 即座になんでもないとばかりに口ごもった羽黒に、提督が天を仰いだ。つまり、我が儘で言いづらいことを思っているらしい。羽黒は誤魔化すのが下手なのだ。

 

 

 「……ぇと、ですね」無言で苦笑しながら見つめられ、羽黒が耳まで真っ赤になってからようやく降参した。「最近、司令官さん、忙しいじゃないですか。今日も、ほら」

 

 「まぁ、攻勢で溜まった仕事の最後っ屁を片付けてるからなぁ」

 

 「だから」羽黒がもじもじと俯いた。「その、一緒にゆっくりお話する機会が、あの」

 

 

 みなまで言われる必要は無かった。今度は自分自身に対してため息をつく。まだ立ち上がったままだったのを良いことに、羽黒の横へと――流石に頭側は避けてだったが――腰掛けた。

 

 

 「先に謝っとくが」提督が白々しく言った。「ちら見したらごめん」

 

 

 その声があんまりにも情けなかったからか、羽黒がくすりと笑った。提督がジト目でにらみつけると、ごめんなさい、と微笑のまま返ってきた。

 

 

 「ん、しょ……」

 

 

 じぃ、と小気味良い音がした。羽黒が首元までファスナーを下ろしたのだった。汗ばみ、赤くほてった肌が、更に朱色に染まった。

 

 

 「それで足りるの?」

 

 「……意地悪、です」

 

 「単に聞いただけだぞ」

 

 

 羽黒の頬が膨らんでから、更にじぃという音が提督の耳に届くのには時間差があった。もわ、とようやく行き場を見つけたらしい羽黒の熱が浮かび上がり、後には同じく真っ赤な肌と、いずれ大きな膨らみに行き着く傾斜の始まりの部分、それからそれらが作り出す谷間の入り口だけになった。

 

 

 「少しは涼しくなりました」まったくそうは見えない顔で羽黒が言った。

 

 「それは良かった」提督が微笑んだ。「しかし、何でよりにもよってこんな時期に長袖なんか買ったのやら」

 

 「それは、那珂ちゃんが、夏にクーラー効かせた上で長袖着るのが良いんだって」

 

 「銃後に聞かれたら暴動物だな」提督が失笑し、ふとベッドの上に伏せられた本に気づいた。「それも、那珂のオススメかい?」

 

 「あ、いえ」羽黒が顔を赤らめた。そそくさと、本を提督から引き離す。「これは、私が前に買った本で……」

 

 

 羽黒が早口で説明した。なぜだか要領を得ないが、取りまとめると前に自分で買った少女漫画だったらしい。

 

 

 「に、似合いませんよね……」羽黒が照れの中に苦味を混ぜた笑みを浮かべた。

 

 

 一瞬口を開きかけた提督が、羽黒の頭をわしゃとなでつけた。ほんの少しだけ湿ったそこは、すこぶる撫で心地が良い。何より、わわと焦ったような反応が小気味良い。

 

 

 「見解の相違だな」提督がやっと口を開いた。くしゃり、と羽黒が笑った。

 

 

 考えてみると、こういう仲になってからこの方、こういうふうに他愛のないやり取りを続けたことが無かったな、と提督が今更ながらに反省した。単に羽黒に悪かった、というのももちろんだが、根本はもっと利己的な理由である。楽しいのだった。それも、どうしようもなく。

 

 

 「あはは……なんだか、また暑くなっちゃいました」好きな作品の好きな部分を語っていた羽黒が、手で顔を仰いだ。さもありなん、と提督が頷くような熱弁であった。

 

 「これ以上は、目のやり場に困るぞ」提督が軽口を叩いた。

 

 「し、しませんよっ!」

 

 

 途端に顔を赤く染めた羽黒が、丸メガネの向こうで目を白黒させてから否定の声を上げた。ファスナーを手で押さえつけ、むぅと頬を膨らませて唸る。小動物の威嚇そのもので、提督が小さく吹き出した。

 

 

 「…………」

 

 

 ところが、羽黒はと言えば、それに怒るでもなく、ただ胸元が見え隠れする限界の位置で一線を保っているファスナーを抑えたまま、黙し俯いて考え込むだけである。一発くらいげんこつを貰うのもいいかな、と思い始めていた提督としては拍子抜けも良いところである。

 

 

 「羽黒?」

 

 「…………その」

 

 

 俯いたまま、表情を見せずに羽黒が重い口を動かした。

 

 

 「し、司令官さんになら、見られてもいいかな、って言ったら、引いちゃいます、か?」

 

 

 提督が天を仰いだ。内心から押し寄せてくる情動の奔流に必死に抗う。それを見た羽黒が好き勝手に誤解するのを防ぐ余力すら無い。

 

 

 「ご、ごめんなさいっ! 今言ったことは忘れてもらって――」

 

 

 尤も、羽黒が誤解を全て口にする暇はなかった。結局無駄な努力を重ねた提督が、羽黒を押し倒すと覆いかぶさってしまったからである。真っ赤な頬は、提督の影に入った程度で隠れるようなものではなかった。

 

 

 「羽黒」

 

 「は、い」

 

 「引くどころか、抑え切れないんだけど」

 

 「え、えと、ご、ごめんなさい?」

 

 「許さない」

 

 「ふひゃんっ!!」

 

 

 言うやいなや、提督が羽黒の首元――もっと言えば鎖骨の少し下に吸い付いた。先程から朱色に程よく染まって提督を誘惑していた悪しき部位である。ちゅう、と気持ち良い音とともに嬌声まで漏れ出てきて。何とも吸い甲斐のある肌だった。

 

 

 「しょっぱい」

 

 

 きちんと痕を付けてから、提督が自分の唇をなめながら言った。舐めた瞬間それとわかる塩味だったのだからしょうがない。よほど暑いのを我慢していたらしい。

 

 

 「お、お風呂に」羽黒が起き上がろうとする。が、当然起き上がれない。提督がどく気配をこれっぽっちも見せないからである。

 

 「嫌だよ」提督がもう一度、今度はより胸元に近いところに顔を持っていった。ジャージに隠されたところから、羽黒の濃い匂いがした。「もったいない」

 

 「ひ、ぅっ!」

 

 

 提督の言葉に、自分の汗の匂いを嗅がれていると確信したらしい羽黒が身じろぎしたが、すぐに嬌声に押しつぶされていた。提督が上目に羽黒を見やる。上気した頬が、メガネの黒縁をよく引き立てていた。声を出したくないのか、きっと噛まれた緑色の袖口が、水気を含んで若干変色しているのが見て取れた。

 

 

 「聞かれるの、恥ずかしい?」

 

 

 提督の問いかけに、羽黒の潤んだ瞳がぶんぶんと横に振られた。

 

 

 「壁、そんあに厚くないから、声が」

 

 「そうか」提督が意地汚い笑みを浮かべた。羽黒が言葉に詰まって提督を見つめている。「なら、我慢しないと」

 

 「んぅっ!」

 

 

 羽黒がベッドの上で跳ねた。スプリングがぎしりと軋み、袖口越しに荒い吐息が聞こえてきた。どれもこれも、提督が舐め清めん勢いで、羽黒の肌に舌を這わせたからだった。

 

 どちらかと言えばもどかしい、といった刺激に、羽黒は喘ぐというよりは躰の反応で応じたようである。緑色が重力に背いて提督の舌に柔肌を押し付け、かと思えば大きく沈み込み、シーツにシワを作った。口を抑える力が強くなり、そのせいで吐息が逃れる空間が狭まったからか、それとも立ち上る熱気のせいなのか。メガネの大きなレンズ部分が、次第に薄く曇っていき、それでさえ隠しきれない劣情で、大きな瞳が埋まっていった。

 

 

 「し、れいかん、さん」

 

 

 そろそろ手加減して、とでも言いたかったのか。羽黒が提督を呼んだ。何だ、と応じかけた提督が、ふと羽黒の今の格好を見たときから感じていた印象を思い出した。刹那の間だけ思案し、本能のまま口を開いた。

 

 

 「先輩」

 

 「…………?」

 

 「今は先輩って呼んで欲しい」

 

 

 一瞬きょとんと提督を見つめていた羽黒が、頬を羞恥で赤らめた。そのまま、そこが少し膨らんだ。

 

 

 「……司令官さん、変態さんだ」

 

 「先輩は変態さんです、だろう?」

 

 

 涼しい顔で提督が受け流す。そんな格好をしている方が悪い、という開き直りが余裕の源だ。そこへ行くと、もともと誰に要求されていたわけでもなくそんな格好とやらだった羽黒は居心地が悪くなったらしい。頬袋を更にふくらませると、逃げるように横を向き、それから、瞳だけ恥ずかしげに提督に向けると、ぼそりと呟いた。

 

 

 「先輩の、ばか――ん、むぅっ!」

 

 

 提督が羽黒の唇に吸い付いたのはその瞬間だった。汗ばんだせいか、しっとりと湿った唇が、ついに我慢が効かなくなった提督をくちゅりと音を立てながら迎え入れた。

 

 

 「んーっ! ふぅーっ!」

 

 

 突然のことに、荒くなった息が羽黒の小さく整った白い鼻から吹き出して、薄ぼんやり、程度で済んでいたレンズの曇りをいっそう深くした。それでも提督には、徐々に蕩けていく羽黒の黒い大きな瞳が丸見えであったが。

 

 

 「んふ、んんぅ、ちゅ、じゅる、んっ」

 

 

 なおも身じろぎを止めようとしていなかった羽黒だったが、視界が曇り、身動きは取れずというような状態でついに観念したらしい。どこか不満げながらも、提督の舌の動きに精一杯合わせ始めた。提督の腕が、ジャージからちょこんと出された白い手にぎゅうっと掴まれた。メガネの向こう側でいつの間にか閉じられた羽黒のまぶたが、時折ぴくんと反応している。提督の舌の動きが激しくなった。

 

 

 「ぷぁっ! はぁ、ん」

 

 

 やっと満足したらしい提督が唇を離すと、強請るように羽黒の真っ赤な舌が伸びてくる。その先端に、提督の舌からちぎれた銀の糸が降りかかる頃には、野暮ったい丸メガネの曇が晴れ始め、真っ赤な頬と、気だるげに開かれた薄目が見えだした。

 

 

 「……いきなりは酷いです」羽黒の頬が膨らみ、何かを思い出したらしくすぐに萎んだ。「もっと、優しくしてください、せ、先輩――ん、ちゅ」

 

 

 お望み通り、今度は優しく口付けてやる。半ば予期していたのだろう。強張っていた羽黒が、舌の動きとともにまたほぐれていった。ちゃぴちゃぴと控えめに漏れてくる水音をしばし楽しんでから、提督の手が動き出す。

 

 

 「んぅっ!」羽黒がぴくん、と跳ねた。そのまま、顔が離れていく。「お、おっぱい、ひゃうんっ!」

 

 「よく勃ってるよ。興奮してた?」

 

 「し、知りませんっ!」

 

 

 羽黒がぶんぶんと首を横に振るう。そうか、とつぶやいた提督が、ジャージのファスナーを降ろした。ぷるん、と赤っぽくなってしまった乳房が飛び出して、むわりと汗の香りが部屋に広がっていく。羽黒がかぁと赤くなった。

 

 

 「俺には、凄まじく魅力的なんだけどな」

 

 

 言いながら、格段に見えやすくなった胸を揉みしだく。再び袖口を噛み締めながら、眼鏡の奥で物欲しそうに瞳が潤んだ。すかさず、乳首をさす、と親指で撫でる。んんぅ、と鳴いて、羽黒が跳ねた。

 

 

 「これ、気持ちいい?」

 

 

 羽黒が首を横に振るう。そうか、とつぶやいてから、今度は勃起しきった先端を乳房に埋めるように押し込んだ。

 

 

 「ふぁ、うぁっ! んんっ!」

 

 「これは?」

 

 

 羽黒の快感に歪んだ顔が提督を仰ぎ見た。どうやら、自分が気持ちいいと言うまで違う刺激を試し続けるつもりらしいと、提督の意図を正確に察したようである。どう答えたものか、と唇がああでもないこうでもないと変わる。

 

 

 「お気に召さなかったか」

 

 

 であったから、提督のつぶやきに、羽黒が慌てて首を横に振った。振ってから、頬が更に朱に染まる。どうやら、それだけでも相当に恥ずかしかったらしい。が、おそすぎた。

 

 

 「遠慮しなくていいよ」

 

 

 提督の口調はあんまりにも優しくて、刹那の間だけ羽黒がきょとんと提督を見つめる。その後、やっと提督の言葉が理解できたらしい。ぶるんぶるんと再び首が横に振られた。

 

 

 「ち、違っ! そうじゃ、ふやぁあっ! 乳首、つまま、ああんっ!」

 

 

 羽黒の言葉などお構いなしに、いや、むしろその言葉に応じるかのように。提督が羽黒の両乳首を摘んだ。と言っても本当にごく軽くだったのだが、もともと提督を求めるかのように屹立していた赤色のそこは、力以上の快楽を羽黒へと送りつけているようである。

 

 

 「あんっ! こりこり、やぁっ! んんっ! ひっぱら、ないでぇっ!」

 

 「気持ちいいんだ?」

 

 

 羽黒がこくこくと頷いた。提督が気持ち摘む力を強める。

 

 

 「ひゃんっ!」

 

 「羽黒?」

 

 「うぅ……ぁ、んぅっ!!」

 

 

 逡巡したように言葉を濁す羽黒に、再び電撃のような甘い痺れが襲いかかった。観念したかのように、湿っぽくなった唇が開かれた。

 

 

 「き、気持ちいいです、先輩――んにゅあっ!」

 

 

 ご褒美、とばかりに提督が羽黒の乳首に口づけた。まずは屹立した先端に軽く。それから、その根本や、少し外れた乳房に。そのたびに羽黒が面白いくらいに声を上げる。暫くそうした様子を堪能してから、提督がいよいよと言わんばかりに舌を伸ばした。ぺろり、と下乳から乳首の先端部までを一息になめあげる。

 

 

 「ひぁううっ!」

 

 「しょっぱいな」

 

 「……やぁ」

 

 

 羽黒がびくん、と体を仰け反らせた。ふるん、と乳房が揺れ、乳首が誘うように震えている。言葉責めに反応したらしく、首が横にふるふると振られていた。提督が、今度は自らの舌先を羽黒の乳首に押し付けた。

 

 

 「ぁっ、んっ、っふ」

 

 

 多少擦れただけで、押し殺したような喘ぎ声が聞こえてくる。乳首の震えが大きくなり、時々ぴくりと跳ね動いて、羽黒がひゃんと声を挙げた。どうやら、ざらついた舌の表面が触れるだけでも相当な刺激らしく――その後に来るものに、期待と恐怖が入り混じった感情を抱いているらしい。布越しに、下半身の方から水音が聞こえてきた。

 

 

 「ぁ、ぁっ、あっ、あんっ、ぅあっ」

 

 

 提督が、羽黒の期待を高めるように、ゆっくりと乳輪に舌を這わせた。押し殺した息が快感に染まり、羽黒の背が徐々にそらされていく。

 

 提督が羽黒を上目にみやった。必死に酸素を求める羽黒の瞳が潤み、眼鏡がこくんと盾に揺れた。

 

 

 「ふゃっ! やゃうんっ! あんっ!」

 

 

 提督が、待てを解除された犬のように、羽黒の乳頭にしゃぶりついた。羽黒がびくびくと跳ねる。軽くイッてしまったらしい。

 

 痙攣が収まるまで力強く吸い続け、力が抜けは羽黒がベッドのスプリングを軋ませると、今度は舌の動きをすばやくしていく。羽黒の嬌声が再び大きなものへと変わっていった。

 

 

 「ん、ぁっ、あんっ! せん、ぱいっ! んぅっ! 乳首、舐めるの、にゃ、良い、ですっ! んあっ!」

 

 

 薄く空けられた瞳を涙でいっぱいにし、粘っこい吐息を吐きながら、羽黒が身悶えした。先輩、という言葉に提督が再び羽黒の顔を見やると、口を袖で抑えてぷい、とそむけられてしまう。

 

 

 「あ、あんまり、見ないでくださいっ」

 

 「可愛いぞ」

 

 「~~~~ッ!」

 

 

 羽黒がぼふんと赤くなった。何度見ても飽きないよな、と提督が微笑した。そのまま、ぴん、と乳首を弾く。

 

 

 「あんっ!」

 

 「一回、イッちゃおうか?」

 

 

 提督の直截すぎる物言いに、羽黒がうぅと顔をさらにそむけた。が、抵抗もここまでだったようである。こくり、と赤ら顔が頷いた。

 

 

 「ふにゃっ!?」

 

 

 羽黒の了承を確認するや、提督が両手で羽黒の胸を寄せた。汗ばんだ谷間が隠れ、両方の乳首が接近する。提督が、大好物を頂くときのように、大きく口を開け、真っ赤な果実を二粒ほど、まとめてその中へと放り込んだ。

 

 

 「ひぁっ!?」

 

 

 そのまま、舌を遮二無二動かすと、幸せな羽黒の果実で満たされた狭い口腔内で、柔らかな感触に包まれ続ける。羽黒が暴れ、顔面が肌理の細やかな乳房に包まれた。

 

 

 「りょうっ! りょうほ、いっしょ、だめぇっ! すぐ、来ちゃう! 来ちゃう、んですっ!」

 

 

 羽黒が切羽詰ったように言った。が、体の動きはその真逆であった。気づけば、提督の後頭部に、分厚い生地と汗ばんだ手のひら、そして唾液に濡れた袖口の感触がした。どうやら、快感を逃すまいと、提督を抱え込んでしまっているらしい。

 

 

 「せんぱいっ! せんぱいっ!」

 

 

 羽黒の甘ったるい喘ぎ声に、提督の舌の動きが更に大きくなる。羽黒のしょっぱさと、それから出所不明な甘い味と匂いで、弄んでいるはずの提督すらクラクラしてきた。

 

 

 「はげ、しっ!」それを抗議したかったのだろうか。羽黒が声を上げた。無論、提督はこういう時、羽黒がどういうことをする傾向にあるか、まだ豊富とは言えない肉体関係で学んでいる。ことごとく、逆効果をついてくるのである。

 

 「はげしい、ですよぉ! せん、ぱいっ! ふにゃっ! んにゃっ! んあぁぁっ!」

 

 

 提督の舌の動きが更に大きくなる。吸引までそこに追加された。羽黒が限界に達するのは、自明の理であった。

 

 

 「あっ、イくっ! イッちゃいますっ! ふぁ、あんっ! あああああああんっ!!」

 

 

 びくん、と一度震えてから、びくびくと余韻を味わうように小さく震える。そんな羽黒であったが、乳房がクッション代わりになって、提督としては心地よい振動としか言う他無かった。

 

 ぐったりとした羽黒から口を離す。口から飛び出た瞬間、乳房が持つ弾力のおかげか乳首が弾けるように別れた。ひゃん、と羽黒が鳴き、再びびくん、と震えた。濡れた先端が風を切って感じたらしい。それから、乳首の間と、乳首と提督の舌の間にかかった唾液の糸が崩れ落ちて羽黒の白い肌を汚し、また鳴き声が上がった。

 

 

 「せんぱいの、えっち」甘くなじるように羽黒が言い、提督がその香りに釣られて唇に近づいた。そっと口づける。

 

 「ん、ふぅ、ちゅっ、んんっ……はぁ、はぁ」

 

 「羽黒、下、触るぞ」

 

 

 文字通り目と鼻の先で、羽黒がこくんと頷いた。既に力なく開かれていた羽黒の股ぐらに、そっと手を置く。ん、と耐えるように目が閉じられた。提督が、何かを拭き取るように、ジャージやら下着やらの上から秘部をなで上げた。

 

 

 「ん、うぅ」

 

 

羽黒がくぐもった声で鳴く。先程までの乳首への責めに比べて緩やかな動きに、どこか戸惑ったような嬌声であった。尤も、下の口は正直だ、と下卑た表情で指摘すべきなのだろうか。声よりも大きな水音だけは隠しきれなかったけれども。

 

 

「……き、聞かないで」

 

「耳栓付けてするのはやだなぁ」

 

 「あんっ!」

 

 

 戯れにもう一度撫でてから、羽黒の尻とシーツの間に手を差し込んだ。ひゃん、とジャージ越しに尻房が引っ込むのがわかる。やんわりと揉みながら、くいと軽く持ち上げる。意図を察した羽黒が、軽く尻をあげた。ずる、とジャージを刷り下ろす。

 

 

 「びっしょびしょだな」

 

 「やぁ……」

 

 

 緑色から顔を出した上品な白い布地がずぶ濡れになっていた。いや、ジャージの方をよく見れば、裏地にべっとりと愛液がついていた。これが冬場なら、ほかほかと湯気が立っていたのは確実だ。

 

 

 「凄いな、パンツ越しなのに」

 

 

 提督が筋が丸わかりになったそこを人差し指で一無でした。ひゃん、と軽く跳ねた羽黒を尻目に、親指に汁をくっつけて、人差し指との間に伸ばして弄ぶ。羽黒が真っ赤な頬を精一杯に膨らませ、言った。

 

 

 「せんぱいの、意地悪っ!」

 

 

 提督が、無言のままにパンツに手をかけた。羽黒が反応する暇も与えずに、パンツもジャージと同じ運命にする。糸が何本も股部分の布から伸び、シーツに落ちていった。見ちゃやだぁ、と羽黒が頬を膨らませたまま首を横に振ったが、不意打ちは酷いだろう、と思う提督に効果はない。

 

 

 「あんっ!」

 

 

 くちゅ、と言う水音を立てながら、提督の人差し指が羽黒の膣肉をかき分けていく。第二関節まで入ったところで腰が浮かび足の指が不格好に曲げてしまった羽黒は、根本まで入り込む頃には、湧き出るように喉から出てくる鳴き声をこらえることに必死で、ただでさえだらし無く割られていた太ももが、更に大きく開かれていることに気づいていなかった。

 

 

 「あ、んぅ、ひゃんっ!」

 

 

 もぞもぞと動く人差し指に羽黒の眉が歪められ、と言ったところで提督が不意打ち同然に尻をもんだ。大きすぎず小さすぎずと言った塩梅の美尻はなめらかで、じっとりと汗ばんでいた。そのまま、愛撫と言うよりはただただ愛でると言った様子で撫で回すが、羽黒はと言えば膣肉を痙攣させて貪欲に快感を求めていた。

 

 

 「お尻、汚いっ! んっ! 汚いですからっ!」

 

 「別に汚くないだろ。こっちじゃないし」

 

 「ひあうっ!」

 

 

 汗ばんだ臀部だったから、肉と肉の隙間に指を差し込むのは容易かった。ぬるりと滑り込んだ指が、熱く張りのある柔肉に包まれながら、菊門にちょんと触れた。羽黒が飛び上がらんばかりに震えたのはその時だった。おまけに、膣内の指が変なところにあたったらしく、あんっと追加で鳴いてから、大きく見開かれた瞳が提督を向いた。どう反応すれば良いのかわかっていないそれが、頬が真っ赤になるのと同時に涙をたたえだしたのはすぐのことだった。

 

 

 「あ、ぅ」

 

 「わかった! 悪かったから!」

 

 

 流石に虐めすぎたというか、お尻はまだ早かったらしい。名残惜しげにもう一度だけ軽くもんでから、提督が手を離した。そっと、その手を顔に近づける。人差し指が羽黒の汗で濡れていた。口元に持っていき掛け、羽黒を見る。涙を飛ばさんばかりに首を横に振っていた。流石に不味いと思ったらしく、提督が手を離した。

 

 

 「ごめんて」

 

 「……許しません」

 

 

 膨らんだ赤い頬が提督の視線を集めた。早い話、そっぽを向かれたのであった。おまけに、顔が腕で隠されている。完全に機嫌を損ねてしまったらしい。どうしたもんかと提督が頭を掻いた。が、そんな悩みも、羽黒がゆっくりと口を開くまでであった。

 

 

 「や、優しくしてくれたら」羽黒がちらっと緑色の隙間から目をのぞかせた。「許してあげても、良いです」

 

 

 提督がふっと笑った。羽黒の頬がまたしても勢いよく膨らむ。謝りながら、善処するよと提督が言った。羽黒がふくれっ面のまま頷いた。

 

 

 「ん、ふぅっ!」

 

 

 お望み通り、提督がゆっくりと膣内をなで上げる。羽黒が心地よさそうに呻いた。本来なら、これも相当恥ずかしい行為のはずなのだが、先程ので少し理性が飛んでしまったらしい。

 

 指関節を動かしてやわやわとした刺激を送っていた提督の指が、今度はぴんと伸びた。そのまま、ゆっくり膣内から引き抜かれていき、爪を残して濡れてかった指が出てきた後、またゆっくりと中にねじ込まれていく。羽黒がくふ、と膣を締めた。

 

 

 「こんな感じ?」

 

 

 提督が尋ねると、羽黒の頬がまたぷくぅと膨れた。が、拒絶はされないので、どうやらこんな具合でちょうどいいらしい。

 

 

 「あ、んっ。ふぁっ。ふぅっ」

 

 

 緑色の腕で目を見られないようがっちりと守りながら、羽黒が嬌声をあげた。さほど大きな声ではなかったが、提督の指、そのちょっとした痙攣に至るまでを敏感に感じてしまっているらしく、そのたびに息が荒くなり、提督に汚された胸が上下した。こうなると、正直目を隠しているのは逆効果でしか無いのだが、であればなおさら提督にそれを止める理由はなかった。

 

 

 「ん、みゅっ!!」

 

 

 突然羽黒が大きく跳ねた。人差し指の腹に、少しザラザラした感触を感じた瞬間の出来事である。一瞬提督の動きが止まると、自分でもこの反応が予想外だったのか、必死に息を鎮めようと奮闘する羽黒が居た。腕の向こう側で、いったいどんな目をしているんだろうな、と提督が何気なく考え、ため息を吐いた。どうやら、止まれなくなりそうだった。

 

 

 「ひゃうっ! あ、ゃうんっ!」

 

 

 提督が羽黒の弱点をくすぐった。もちろん、羽黒がそれを「くすぐり」と感じるわけがない。面白いように肢体が跳ね回り、嬌声が上がった。膣内のぬめりけが増す。当然、それが提督の行為をやめさせるようなものであるわけがなかった。

 

 

 「あっ、せんぱ、んんっ! 激しい、やぁっ! ですっ!」

 

 「もっと優しくが良い?」

 

 

 羽黒がう、と固まった。提督がそれに合わせて手を止める。またへそを曲げられてはかなわない、とそれらしく理由を作る。羽黒が、腕の隙間から提督を見た。うぅ、と呻く。どうやら、提督の顔を見てしまったらしい。

 

 

 「ひぅっ!」

 

 

 提督が急かすように膣内をなでつけた。羽黒が仰け反り、提督を見る。頬がまたしても膨らんだ。

 

 

 「……のままで」

 

 「羽黒、もうちょっと大きな声で言ってくれないと聞こえない」

 

 

 実際嘘はついていないから、提督がいけしゃあしゃあと言った。聞こえないのは本当なのだ。ただ、何を言いたいか丸わかりなだけで。

 

 

 「そのままで、お願いします、先輩っ。んぁっ!」

 

 

 許可が出た瞬間、提督の指が先程までと同様に激しく動き始めた。羽黒のGスポットを盛んに責め立てる。羽黒の声帯が歓喜に震えた。

 

 

 「んにゃっ! あんっ! せんぱいっ! んぅっ! せんぱ、あんっ!」

 

 

 羽黒が見を縮こまらせ、かと思えばのけぞった。眼鏡ごと瞳を隠したその顔が、うわ言のように先輩、先輩と連呼した。提督の指の動きは、早くも最高潮へと達していた。当然、羽黒が長く耐えられるわけがない。

 

 

 「せんぱいっ! しぇんぱいっ! も、だめぇっ! だめ、なのっ! せんぱいっ!」

 

 

 羽黒が強請るように先輩と口を開くたびに、提督の背筋を暗い愉悦がほとばしった。羽黒の部屋に上がり込むまで思いついたことすら無かったプレイに、何か新しい扉を開きそうな具合である。もちろん提督は、もはや手遅れであると証明するがごとく、自分の指が羽黒の膣圧の中を狂喜乱舞して泳いでいることに気づいていない。

 

 

 「ひぅっ!」Gスポットを指が押す。そのまま、指の腹がそこを強く撫で付けた。「ひゃうっ!」

 

 

 そして、二連撃を切り抜けたと羽黒が一瞬気を抜いたその隙に、提督の詰めがカリっと、軽くとは言え羽黒のじんじんと痺れていた急所をなで上げた。

 

 

 「んあっ! んああああああああっ!」

 

 

 羽黒が腰を浮かせ、背を逆立たせ、喉を反らせた。ぷし、と提督の手をめがけて、透明に近い液体が噴き出す。提督が、羽黒の痙攣が収まる最後の最後まで指を前後し続けてから、最後に奥まで挿し込んで嬌声と潮をもう一噴きさせてから、ゆっくりと引き抜いた。ローションを丁寧にまぶしたかのように人差し指が室内灯を反射して、その光がさらに、真っ赤になって己の股間を見つめる羽黒の眼鏡を光らせた。

 

 

 「ぁ、ぁぅ、ご、ごめんなさい」

 

 

 羽黒がか細い声で詫びた。提督が少し考え込んで、あぁと頷く。真っ赤な顔がキョロキョロとあたりを見回しているのを見て、ようやく濡らしたことを詫びているんだと合点が行ったのだった。

 

 

 「ぱく」

 

 「ぴゃああああああっ!」

 

 

 ティッシュなんか要らないよ、とばかりに提督が濡れに濡れた人差し指を頬張ると、羽黒が悲鳴というよりは奇声に近い声をあげた。力なくベッドに沈んでいた先程まではどこへやら。あらん限りの勢いで上体を起こすと、提督の顔の間近であわあわと口を動かした。

 

 

 「き、きたっ! ききき、きたなっ! きたなぁっ!」

 

 「汚くないよ。むしろ塩気があって好み痛い」

 

 「バカッ! 先輩の馬鹿ぁっ! えっちっ! 変態っ!」

 

 

 真っ赤に膨れた頬袋からするすると罵声が飛び出し、ぽかぽかと提督の胸板が叩かれた。提督の胸板が熱くなったのはそのせいではない。外に出すには恥ずかしい郷愁に襲われていたのだった。が、それはそれとしていい加減痛い。

 

 

 「ひゃっ」

 

 

 提督が羽黒を押し倒した。こつん、と額を羽黒のそれにぶつけてやると、眼鏡がかちゃりとズレだした。可愛いんだが、こうする時は邪魔だな、と肉棒を取り出しながら漫然と思った。

 

 

 「ん、ぅっ」

 

 

 くちゅり、と穂先が羽黒の入り口をなで上げた。肌と肉の中間のような具合のそこは、びっしょりと濡れそぼってしまっていて、一突きでこじ開けられそうだった。

 

 

 「ここまで来て、我慢は無理だぞ?」

 

 

 おどけたように羽黒へと告げる。愛しい人が、眼鏡の奥で困ったように眉をしかめる。だが、それも刹那のことだ。

 

 

 「今度は」羽黒が膨れてみせた。「恥ずかしいのは無しですからねっ」

 

 「あれは羽黒が魅力的な反応するから悪い」

 

 「……やっぱり変態さんだ」

 

 

 羽黒がむーと唸ってから、表情を和らげた。頬がしぼみ、先程までとは別種の赤に染まった。

 

 

 「せんぱいの、ください」羽黒が照れるように、真っ赤なままに微笑んだ。「私も、先輩の、我慢できなくなっちゃいました」

 

 

 提督が頷いた。言葉を出す余裕はなかった。羽黒がくすり、と瞳を細めた。

 

 

 「あ、んぁっ!」

 

 

 ゆっくりと腰を進めていく。膣肉のかすかな振動が、直接提督に伝わってきた。羽黒が耐えるように息を吐き出し、一部が眼鏡を曇らせ、その他が提督にまとわりついた。

 

 

 「あ、んっ」

 

 

 羽黒の表情からこわばりが取れた。どうやら、奥まで貫けたらしい。ちらちらと、見えづらくなった眼鏡を介して羽黒が提督を見た。提督が苦笑する。唇を近づけた。

 

 

 「あ、ん、ちゅ」

 

 

 流石に既にこなれているのか、羽黒の舌が提督のそれを受け止める。舌が絡み、ずちゅずちゅと水音を立てるたびに、小波のように膣が震えて提督を締め付けた。

 

 

 「ふぁ、ん、ぢゅ、る、んっ」

 

 

 口づけを続けながら、提督の手が、羽黒の腕を這っていく。くすぐったそうに身を委ねてきたのを良いことに、ちょうどバンザイのような格好になった羽黒の腕をするすると進み、触り心地の良い手のひらに到達した。

 

 

 「ん、ぷぁ、ぁ」

 

 

 じっとりと汗ばみ、吸い付くようなそこへと、提督が己の手のひらを重ねる。少し敏感になっていたからだろうか。ぴくり、とシーツへと羽黒の手が引っ込んでしまう。だが、おっかなびっくりと提督の元へと戻ってきた。再び、手のひら同士が重なった。

 

 

 「ん、ふぅ、ちゅる、んっ」

 

 

 提督の指が、羽黒の指と指の間に潜り込んだ。羽黒が身じろぎし、膣肉が提督の肉棒の型をとった。薄目を開けた羽黒が、倒錯したように提督を眺めている。羽黒の手が、提督の手の中でなすがままに握りしめられていた。

 

 

 「ぷぁ、はぁっ、はぁっ」

 

 

 たっぷりと提督の舌と絡まっていた羽黒のそれが離れていった。荒い吐息が、熱い羽黒の唾液を急速に冷ましていく。

 

 

 「動いて、良いですから、ね?」羽黒がもじもじと笑った。「先輩の、好きに、してくださいっ」

 

 

 そう言って、提督の手が握り返された。ほとんど触るような手の感触が、なぜだか異様に気持ちよく、心地いい。その反作用のように、提督の腰が動き始めた。

 

 

 「ぁんっ! ん、ふぁっ! あんっ」

 

 

 一突きしただけで、目の前の羽黒の顔が乱れに乱れた。乞うように提督が見つめられ、そのたびにきゅう、と羽黒が締め付けてきた。羽黒の手汗か、提督の手汗か。ともかく、滑りやすくなったそこが、お互いを離すまいと絡み合って、水音を立てる。

 

 

 「あっ! せんぱいっ! せんぱいぃっ! すきっ! 好きですっ!」

 

 

 羽黒がうわ言のように続ける。行為と言葉で赤くなった顔が恥ずかしそうに歪み、提督の認識が歪んでいく。甘ったるく酸っぱい香りが提督の中を急速に満たし始めていた。

 

 

 「ここは、どうだ?」

 

 「ひぁんっ!?」

 

 

 先程見つけた羽黒の弱点を、亀頭が擦り上げた。提督の方は、おぉ、と声が漏れる程度だったが、羽黒の方は被害甚大であった。膣が痙攣し、背が跳ねて、ジャージから既にこぼれていた乳房がふゆんと震えた。羽黒の方はと言えば、膣道から送り込まれる快感に翻弄されて、そこまで気づいていないらしい。

 

 

 「あんっ! やぁっ! せん、ぱいっ! ふぁ、ちゅ、むっ!」

 

 

 腰の動きは止めること無く、提督が羽黒の唇に己のものを重ねた。ほとんど反射のように、羽黒が提督を求めてくる。唇を何度かねぶられ、提督が顔をあげた。唾液が乾き、羽黒の香りが立ち上ってくる。とろん、とした瞳が、不思議そうに提督を見つめていた。

 

 

 「いや、さ」羽黒を喘がせたまま、提督がふふっと笑った。「物足りなさそうだから」

 

 「ふぇ? ふぇっ!? うにゅ、あんっ! んぁっ!」

 

 

 羽黒の嬌声に、膣を擦られ、奥を突かれている理由以外のものが加わった。胸を舐られているものだ。

 

 

 「だっ、だめぇっ! んひぁっ! そこ、汚いっ! さっきより汗、ひゃうっ! かいちゃったんですっ!」

 

 「確かに、しょっぱいな」

 

 「せんぱい、の、んふぅっ! ば、あぁっ!」

 

 

 羽黒がいやいやと首を横に振るのが、上目に眺める提督にもよく見えた。こいつは行けないな、嫌われてはかなわない、と提督が白々しくニヤついた。ゆっくり、大きく息を吸う。――無論、鼻から。

 

 

 「やぁっ! やぁあっ! かが、ないでぇっ!」

 

 「籠もってたんだな」提督が陶酔したように鼻を鳴らした。「羽黒の濃い香り、次から次から出てくる」

 

 「――――ッ!!?」

 

 

 羽黒が声にならない悲鳴をあげたので、提督が様子をうかがった。真っ赤な顔がきゅっと目を閉じ、その隅に涙が浮かんでいる。頃合いかな、と提督が思った。

 

 

 「好きだぞ、羽黒」

 

 

提督が徐々に抽送を早めた。恥ずかしがる余裕もなくなり始めた羽黒が、提督の声につられてゆっくりと開いた。

 

 

「この味も、匂いも。全部好きだぞ。誰にも渡したくないくらい」

 

 「ん、あんっ!」

 

 

 明らかに羽黒の膣が一段と締まった。困ったような、非難するような顔に、照れ笑いと怒りが浮かんだ。しっとり赤い唇が、艶めかしげに言葉を作った。

 

 

 「だい、じょぶ、ですよ? ふぁっ! せん、ぱい、にぃっ! しか、みせ、あんっ、ない、ですっ!」

 

 

 そう言って、朱色のもち肌が笑った。膣が提督を逃さないとばかりに締め付けて、提督が情けない声を上げる。だが、提督に恥じてみたり、反撃してみせたりする余裕はなかった。

 

 

 「ふぁっ! おっぱい、つよ、いぃっ! 突くのも、おっ! も、たえられ、にゃいっ!」

 

 「良いぞ、我慢しなくて。俺も、同じなんだから」

 

 「ふぁあっ!」

 

 

 乳首を口に含みながら、ぼそぼそと提督が言う。目いっぱいに大きくなった乳首がふるふると震え、羽黒の顔がくしゃりと笑みを浮かべた。すぐさま快感に上書きされてしまったが、提督には確かに見えた。

 

 

 「せんぱいっ! せんぱいっ! 来ちゃうっ! 来ちゃいますっ! いっしょにぃっ!」

 

 「羽黒、好きだぞ。愛してる」

 

 「わたしもっ! せんぱいっ! すきっ! すきぃっ!」

 

 

 羽黒の囁くような告白に、提督の腰が大きく前へと突き出された。思わず、胸を目いっぱいに吸う。羽黒がぎゅ、と提督の手を握りしめ、大きく声を上げた。

 

 

 「ふぁっ! イくっ! あんっ! やあああああああああっ!」

 

 

 ぶわ、と羽黒から汗が吹き出しながら、がくがくと乳房が押し付けられた。きゅう、と締まる手のひらに呼応するように、膣肉もそうなる。提督が、たまらず精を撒き散らした。

 

 

 「ふぁっ、あぁ。どくどく、ってぇ……」

 

 

 暴れ、迸る精液を全て膣に受け止めながら、うっとりとしたように羽黒が下腹部に力を入れた。提督が、ゆっくりと腰を前後させると、あん、と嬉しそうに真っ赤な顔が歪んだ。

 

 

 「羽黒」

 

 「ぁ、せんぱ、ちゅ、んむ」

 

 

 体勢を動かし、熱い熱い羽黒の唇に口づけた。ゆっくりと腰を引くと、んふ、と鼻息が提督に掛かった。湯気で、眼鏡が思い切り曇っている。

 

 

 「ぷは、ぁ。……気持ち、よかったですよ。せ、こほん。し、司令官さん」

 

 「途中からはノリノリだったな」

 

 「……言わないでください」

 

 

 羽黒がぷい、と顔を背けた。提督が笑いながら、再び羽黒に顔を近づけた。そのまま、眼鏡を取り去ってしまう。

 

 

 「司令官さん?」

 

 「いや、すこぶる可愛かったんだけどさ」提督が照れ隠しに鼻を鳴らした。「こっちの方が、顔を近づけやすいから、今からのことを考えるとさ」

 

 

 羽黒のただでさえ赤しか存在しない頬に、更に絵の具が上塗りされた。そのまま、キャンパスが膨らんで、笑顔が咲いた。

 

 

 「せんぱいの、えっち!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なお翌朝、重巡寮の廊下にてばったりと鈴谷と熊野に出会ったところ、

 

 「あ、す、鈴谷、ちょっと用事があるから! じゃ、じゃあねぇ~っ!」

 

 と耳まで真っ赤な鈴谷に逃げられ、忍び笑いする熊野には、

 

 「重巡寮は提督のお部屋と違って壁が薄いんですから、次からはお気をつけくださいまし、せ・ん・ぱ・い?」

 

 とからかわれ、羽黒の奇声が寮内に響き渡ることを、今の二人は知る由がない。

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