※この作品はR-18です。

ねちょ話これくしょん ~艦これ短編集~   作:うみねこ06

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温泉旅館で羽黒とダラダラエッチする話


羽黒とだらだらいちゃラブする話 in温泉旅館

 羽黒には浴衣が良く似合うと思うのだ。本当に。

 

 

 「いいお湯でしたね」

 

 

 ほわほわと寒気の中で湯気を上げる黒髪の良い人を迎えて、提督と言えば雪のちらつく曇天を呆け気味に見るだけであった。自分の行動に何らかの能動さを付与してしまえば、たちまち公序良俗に反する自信がある。

 

 

 「司令官さん?」

 

 「部屋に戻ろう。湯冷めしちまう」

 

 

 提督が羽黒の腰を抱いた。強引に、けれども、雪駄で石と雪とを踏みしめているんだから、滑らぬように。わわわと羽黒が赤くなる。湯気がいっそう出始めた。

 

 

 「あ、あの、その、恥ずかしい、です」

 

 「見る奴なんざ近場にゃいないさ。このご時世じゃ、な」

 

 

 そうですけど、と羽黒が唇を尖らせた。抱き寄せる腕に力を籠める。わ、と声がしてから、複雑そうな視線が提督を射抜いた。だけれども、それも刹那の児戯であった。すぐに、観念したような様子で、羽黒がくてんと小首を提督の方へ傾げる。それなりの上背のある羽黒の頭が、ちょうど提督の首元へと転がった。甘い匂いが、肌を刺すような寒さの中に漂ってくれば、感じ取らないという方が不自然なものだ。

 

 

 「良いんでしょうか」羽黒が久しぶりにおどおどと言った。「こんなにのんびりしてしまって」

 

 「羽を伸ばせるときに伸ばしておく。軍人のたしなみだろう」

 

 

 提督の言葉に、羽黒がそうですけどとため息をついた。湿気を多く含んだ吐息が、乾ききった小雪空に吸い込まれていった。提督の吐息がそれに続いたのは、何もそこまで寄り添いたい、という嫉妬心のおかげではない。羽黒の気分に存分と同調できたからだった。

 

 

 「しょうがないだろう。湯煙情緒の温泉二人旅。雪風が当ててきた挙句、どうぞなんて差し出されたら」

 

 

 うぅ、と羽黒。はぁ、と提督。ひきつった顔で楽しんでおいでと二人のことを追い出したのは大淀である。

 

 まぁ、横須賀の商店街で福引とくれば、雪風か時雨、初霜あたりの出動は義務みたいなものであった。空母組はそれでたらふく「冬のボーナス」を味わうのが恒例行事だし、そのほかだって散々楽しんできた鎮守府開闢以来の伝統がある。駆逐艦たちだって、雪風たちのおこぼれに預かってたいそう楽しんできたわけである。実はあの大淀も、依然なにがしかを入手して狂喜乱舞したらしい、とは明石・足柄経由の情報だ。具体的なところは、乙女の秘密というわけで、提督の知ったこっちゃなかったけれども。

 

 とまぁ、そろそろおこぼれに預かっていないのが提督と秘書艦の二人組となっており、もともと今年の景品で思う存分羽目を外してもらう予定だったらしい。それが2泊3日東北温泉旅行というのは完全に想定外、というのは青い顔しながら「気にしないで行ってきてください」と笑顔で送り出してくれた大淀を見れば明らかだった。

 

 

 「行かなきゃ雪風と、同調してた海防艦組が泣く」提督がため息をついた。紫煙のように煙がたなびいて行った。

 

 「海外艦の皆さんも、行くの前提で動いてましたからね……リシュリューさんとコマちゃんに、バカンスのイロハを叩きこまれてきました……」

 

 

 さもありなん、と提督が天を仰ぐ。曇天が山間に立ち込め、ふたをするようになっている。鼻先に雪が一欠けら。ぶる、と震えて提督が歩き出した。

 

 

 「司令官さん」

 

 「ん、羽黒も冷え」

 

 

 たのか、と続く言葉は出てこなかった。ひょい、と羽黒が提督の鼻についた雪をとったからである。小雪模様のはずなのに、こいつだけぼた雪であったから、半分以上溶けかかっても、まだ雪が少しだけ残っていたらしい。

 

 

 「鼻」羽黒が笑った。「少し赤ばんじゃってますよ」

 

 「真っ赤なお鼻の?」

 

 「2週間ほど遅いですよ。せめて年内に言ってくださーい」

 

 

 羽黒がそういって楽しげに笑った。少しむっとした提督が、羽黒の顔に覆いかぶさるように首を動かした。まぁ、することは一つだ。

 

 

 「んむ!?」

 

 

 強く押し付けるように口づける。鼻先が羽黒の顔に当たる。とても熱い。はてさて、雪で冷やされたからか、なんなのか。ふっと笑えてしまい、それを合図に唇を離した。

 

 

 「羽黒」

 

 「司令官さん……」

 

 

 羽黒がぼうっとした瞳で提督を見つめた。いくらだってこうしていたいな、と提督が素直に思った。何せ、叶わぬ願いである。

 

 

 「羽黒」

 

 「司令官、さん。わたし、このまま」

 

 「すまん。部屋に戻るぞ」

 

 「へ?」

 

 

 素っ頓狂な声をあげる羽黒に、苦笑いしながら提督が手を伸ばした。軽くその艶やかな黒髪、その上を払う。積もっていた雪がばさっと落ちていった。

 

 

 「天候の急変は山国に常だがさすがにひどいな。ぼたん雪に変わっちまったよ」

 

 「あ、ほんとだ――ってわぁ!?」

 

 

 なお、羽黒の言葉、前半はざっくざっく振り始めた雪の塊へ、後半はついでとばかりに吹き付けてきた強風に対しての感想である。

 

 

 「うん、悪い。さっさと戻ろう。冗談抜きで風邪ひく。マジで」

 

 「あ、ちょ、司令官さ、だから見られ、見られちゃいますからっ!」

 

 

 構うもんかい、見せつけてやるさ。そんな言葉を口に出す勇気もない提督は、そもそもそんな言葉言ってもギャグにしかならないくらい荒れてきた天気の中、温泉街をずしずしと進んだ。言い訳でもなんでもなく湯冷めしそうである。まぁ、隣で真っ赤になっている秘書艦が一匹、傍を離れず着いてきているから、凍える心配だけはなかったけれども。

 

 

 

 

 

 

 *** *** ***

 

 

 

 

 

 

 「司令官さん。私、しんしんと降る雪って、もうちょっとロマンチックだと思ってました」

 

 

 神妙に語る羽黒の言葉に、お猪口を傾けながら提督が頷いた。いやもう、おっしゃる通りであった。

 

 その後、ぼたん雪が吹雪と変わり、またぼたん雪に戻ることには、温泉の熱気以外の部分は完全に雪に覆われてしまった。それでも温泉街を貫く通りは沿岸から逃げてきた人手もあって、なんとかアスファルトを露出させていたが、あまり使われない部分は真っ白である。

 

 運の悪いことに、シベリア寒気団がどうたらこうたら、日本海を通過してきた湿気のある空気がなんやかんやしたらしい。もっとも、本州上の空気の動きはそこまで大局的に見ずとも問題ない。湿った空気が山に当たって雪を降らせる。現象面ではそれだけだ。

 

 ところが、その現象面がいただけない。粉雪とか、さっきまでの小雪であればまだましなのだが、ぼたん雪を降らせるんであれば文句の一つや二つは言いたいところだ。いくら氷になって密度が減り、おまけに結晶化して空気を孕もうが、元は大粒の水なんだからぼた雪は落下するしかない。ふわふわ、とか、さらさら、とか美辞麗句はいらない。文字通りの自由落下、雨と変わらない。

 

 おまけに、こいつがどっさどっさとかざっくざっくとか音でも出してくれればまだかわいげがあるのだが、落下した傍から先に落ち積もった雪に音を吸われるから静寂もよいところ。というわけで、気づかせもせず掃かねばならない雪の塊がいつの間にやら地上に出現するわけだ。しんしんと降る、とはよく言ったもので、その様子はうまく表現しながらも、その結末はこれでもかと朧げな美しさに包み込んだ擬音である。たまったものではない。

 

 

 「まぁ、雪かきする必要は無し、眺めるだけでいいんだからまだ気楽さ。……帰り道は少し覚悟してもらう必要があるが」

 

 

 提督が酒をなみと注いでからくいと呷った。暖房はついているが隙間風でも入ってくるのか、少し肌寒い室温への彼なりの対応であった。

 

 

 「学生時代に免許を取る、というのだけが運転経験のほぼすべての人間には少しつらいな」

 

 「……それについては、私も人のこと言えませんので」

 

 「だよなぁ」

 

 

 ため息をつきながら、川魚の天ぷらをしゃくり。続けざまに苦みのある山菜も齧る。淡白ながら繊細な味わいだが、どこか物足りないのは普段が海の幸を豪快に調理したものに慣れているせいか。物流の混乱が始まってから、住みどころによる食生活の左右がひどくなった気がする。酒を再び注いだ。

 

 

 「お酌、しましょうか?」

 

 「良いさ、別に。それより食べる方に専念してくれよ。足りなそうだしな」

 

 「た、足りますっ!」

 

 

 羽黒はそういうけれど、提督が酒の肴にしている天ぷらは、若干の天かすと油じみた紙を残して羽黒の膳から消え去っていた。どころか、同じく川魚を焼いたもの、菜っ葉のお浸し、お漬物にお味噌汁、茶わん蒸し他エトセトラエトセトラなお夕食は悉く腹の中に収めたようである。残りはと言えば、そろそろいい塩梅で出来上がりそうな釜飯くらいだが、こちらは固形燃料の火がまだまだ滾っているので、無くなるまでにもう少々の時間が必要そうである。と、ラインナップを改めて列挙していた提督がふっと笑った。

 

 

 「やっぱり物足りないか」

 

 「ですから、お腹一杯になりました!」

 

 「味の話だぞ、今度は」提督がにやついた。キョトンとする重巡を肴に酒を一口。「鳳翔さん、薄目の和食から濃いめの洋食まで、間宮さんと組めば変幻自在だからな。こう山の幸ばかりだと飽きたんじゃないか?と言っている。ついでに言えば、うちの最先任重巡の運動量と消費量は熟知してるからやせ我慢せんでよろしい」

 

 「あ、うぅ」

 

 

 羽黒が火を噴いた。釜飯、もう少し早めにありつけるかな、と提督が酒を注いだ。

 

 

 「むー」

 

 「悪いな、からかいがいがあるから」

 

 「全然悪く思ってるそぶりがありません!」

 

 「あ、ばれた?」

 

 「むー!」

 

 

 あはは、と笑いながら徳利に手を伸ばす。伸ばした手が空を切った。羽黒が取り上げていた。そのまま自分のお猪口に注ぐと、机を回って提督の隣にちょこん、と座り込む。ぐい、とお猪口を傾けた。

 

 

 「羽黒?」

 

 「お猪口、出してください。注ぎます」つっけんどんに羽黒が応えた。

 

 「ん」されるがままにお猪口を満杯にされてから、提督が肩を竦めた。「あんまり無理するなよ?」

 

 「妙高型の末っ子ですから」羽黒が胸を張った。浴衣の生地があわせて伸びた。

 

 「上三人を比較に出されるとますます心配なんだが」

 

 「妙高姉さんはまともですよ? ちょっと愚痴っぽくなりますけど」

 

 「真ん中二人が問題なんだよ」

 

 

 あはは、と羽黒が笑った。心なしか、顔に赤みが見える気がする。総合的には普通くらいにいける口の羽黒だったが、耐アルコール成分は姉たちにふんだくられたらしく、本来の酔い以上に顔が赤くなるのが早いのが玉に瑕だった。

 

 

 「ん、美味しい」羽黒がぼんやりとお猪口の中の残りを眺め、それからそれも口に含んだ。

 

 「日本酒、そこまで好きじゃなかったろ。カルーアでもあれば良かったんだが」

 

 「甘口が好きなんです。だから、この」羽黒が甘めで有名なこの地のブランドを口にした。「これもおいしいですよ? 普段はその、那智姉さん辛党だから」

 

 「あれは、な」

 

 

 提督がため息をついた。人のこと言えないとはいえ、ダルマをストレートでいける奴の呑み方についていくのは厳しいものがある。

 

 

 「あ、司令官さん。釜飯、出来上がったみたいですよ?」

 

 「……目ざといな。待ちきれなかったか」

 

 「違いますっ!」

 

 

 膨れ面の秘書艦が、しゃもじで釜から待望のものを掬うと、小さめの茶碗によそって提督によこした。おう、と鷹揚に受け取る。残しておいた焼き魚の身をその上に載せ、一緒に掻っ込んだ。

 

 

 「お行儀、悪いですよ」

 

 「これが旨いのさ」提督が笑った。努めて、お行儀よく食べているはずなのに提督より素早く消え去っていく羽黒の茶碗の中身には触れないことにする。

 

 「出汁でもあればもっと好みだったんだが、致し方あるまい」

 

 「……お願いしてきましょうか?」

 

 「いいよ。そこまでじゃない」

 

 「ですか」

 

 

 会話が途切れた。提督はただただ黙々と釜飯と焼き魚を掻っ込み、時々思い出したようにお猪口を傾けた。羽黒の方はと言えば、もう食べるものも消え去ったようである。ぼう、と提督の食の進みを眺め、こちらも思い出したかのように、時折自分と、それから提督のお猪口へと徳利を傾けた。提督は黙ってそれを受けていた。

 

 

 「酔いが回ってきた」提督がふぅ、と息をつきながらつぶやいた。

 

 「私もです」羽黒が蕩け始めた瞳を提督に向けた。提督が失笑する。

 

 「言わんでもよろしい。見りゃわかる」

 

 「そんなにですか?」

 

 「真っ赤だもの、顔」

 

 

 提督が笑った。白い、すべすべと柔らかいはずの羽黒の頬が真っ赤である。これはこれで映えてきれいだったが、実際以上に見た目に酔いが出る羽黒のことを知らなければ心配になる赤さだった。

 

 

 「暑いだろ」提督が立ち上がろうとした。「少し、温度を調せ――」

 

 

 提督が止まった。羽黒が、彼の浴衣、その腕の部分をぎゅっとつかんだのである。少し不思議そうにその様を眺めてから、提督がゆっくりと腰を下ろした。

 

 

 「暑くないのか」提督がすっとぼけたように言った。

 

 「はい」羽黒が蚊の鳴くような声で言った。「あの、むしろ、その、寒いんです」

 

 

 羽黒が提督に寄り添った。若干の酒気と、先ほどまで食べていた食事の塩気のある匂い、それから、それらをすべて塗りつぶさん勢いで汗の甘い香りが漂ってきた。

 

 

 「これがお望みかな」提督が羽黒を抱いた。くてん、と彼に寄りかかってきた頭、その黒髪に鼻をうずめる。石鹸の香りに交じって、羽黒の香りがした。

 

 

 「はい、暖かいです」羽黒がはにかんだ。「でも、まだ足りないんです」

 

 

 そうか、と提督が応じた。腕に力を籠める。羽黒が安堵したように息をついた。

 

 

 「司令官さん」

 

 「おう」

 

 「さっきの質問の答えですけど」

 

 「やはり腹五分目にも満たなかったか」

 

 「そっちじゃないです! 味の方!」

 

 

 羽黒が膨れた。頬が布越しに提督に当たる。想像通り柔らかく、熱い。すまんすまんと謝りながら黒髪を撫で、続きを促す。

 

 

 「おいしかったんですけど、やっぱり物足りないです」

 

 「そうか。俺もまぁ、似たようなものかな」

 

 「でしたら」

 

 

 羽黒の赤くなった白い手が、震えながらも自身の肩、その浴衣をつまんで少しずらした。同じようになった肩の肌が見える。

 

 

 「で、デザート、食べ、ませんか?」

 

 

 羽黒がそっぽを向いたまま言った。提督が刹那の間だけ呆けたようにそれを見て、ふぅと笑った。そのまま、微妙に膨れ始めた羽黒の頬を見つつ、自らの首を強引に曲げて羽黒の肩へと近づくと、なで肩のわりにしっかりとしたそこへと、痕を残すつもり満々で吸い付いた。

 

 

 「あ、やんっ」

 

 

 この期に及んで想像していなかったらしい。気持ちよさげに啼いた後、ばっと羽黒の口が自らの手でふさがれた。提督が笑った。

 

 

 「どこで覚えてきたんだ、こういうの」

 

 「リシュリューさんとコマちゃんが」羽黒がもごもごと口を動かした。「こうすれば、その、司令官さんも、い、いちころだって」

 

 「予想外のところが来たな」てっきり『足柄』とかを想像していた提督がちょっと口ごもった。

 

 「その、バカンス、なら、こ、ここ、恋人と、距離縮めるのに、あの」

 

 

 提督が大きくため息をついた。お猪口に残っていた酒を一気に飲み干す。そのまま、あのそのとうるさい彼の秘書艦の両肩へと手を置き、一気に押し倒した。畳がとす、と音を立てた。

 

 

 「司令官さ――んむっ」

 

 

 唇を食むようにふさぐ。一瞬、羽黒の涙目が見開かれたが、すぐにとろんと蕩けてしまった。上唇と下唇をあむあむと食すと、んんーと羽黒の首が横に振られた。

 

 

 「……いきなり、です」羽黒が膨れた。

 

 「悪いが」提督が悪びれずに羽黒の首筋に食いついた。あ、と鳴き声が聞こえた。「デザートは早めに食べる主義でな」

 

 

 羽黒が膨れ面のまま、頷いた。

 

 

 

 

 

 

 *** *** ***

 

 

 

 

 

 

 上の物が落ちないようにする、程度の丁寧さで机を「片付けた」提督は、再び羽黒に覆いかぶさった。眼下に、いとしい秘書艦、その真っ赤になった姿があった。思わず舌なめずりする。

 

 

 「それじゃあ、頂くかな」提督が笑った。餌を見つけた猛禽というよりは、獲物を見つけた山賊のような笑みだった。つまり、そのまんまである。

 

 「め、召し上がれ」

 

 

 羽黒の返答はと言えば、そんな提督に気おされたのか小さな鳴き声だったけれども、だからこそ強がりでもニコリと笑って見せたのがよろしくなかった。提督が無言のまま羽黒の唇を奪った。

 

 

 「ん、ちゅ、んむ! ん、ぢゅ、んん」

 

 

 宣言通り、甘い口づけなんて優しいものではなく、羽黒の口腔を食い尽くさんばかりの動きであった。もちろん、舌も無理やり突っ込んでいる。涙目になった羽黒が、息苦しそうに鼻で呼吸をしていた。が、羽黒は見た目や立ち居振る舞いよりも芯のある艦娘である。己の舌だけはきちんと提督に絡めている。拙いその動きは、きっと歓迎しているのだろうけれども、抵抗していると評されても仕方のない動き方であった。

 

 

 「ん、ふぅーっ、ぁん、んじゅ、む」

 

 

 もちろん、そんな動きが提督を高ぶらせないわけがなかった。羽黒の『抵抗』を取り押さえるように、全能力を舌へと結集させ、口内を蹂躙する。今度は代わりに羽黒の四肢がぴくぴくと動き始めたので、そちらも拘束してやる。羽黒が、息苦しいんだか幸せなんだかわからない視線で、熱っぽく提督を見やった。

 

 

 「ん、ぶぁっ! はぁ、はぁ、はぁ」

 

 

 しばらく羽黒を征服してやってから、提督はやっと顔を離した。唾液と涙でぐちゃぐちゃになった顔が、空気を求めて必死に呼吸を繰り返す。悪かった、とでもいう様に提督が羽黒ののど元に舌をやり、上下するそこをぺろぺろと舐めた。呼吸が落ち着いていくのとともに、羽黒の手が提督の頭を撫でていた。

 

 

 「少し汗ばんだな」提督が首元でもごもごと言った。ん、と羽黒が軽く跳ねた。「塩気がある」

 

 「司令官さんが、いじわる、するから」

 

 「悪いが、腹が減っているからね」

 

 

 提督が顔をあげた。羽黒の呼吸はまだ荒っぽかったけれども、最低限の落ち着きは取り戻していた。存分に続きを楽しめそうだった。

 

 

 「少し起き上がってくれ。脱がせる」

 

 「……自分で脱ぎます」

 

 「いやだよ。風情が出ない」

 

 「何ですか、風情って」

 

 「んー」提督が一瞬押し黙った。言われてみると、ひどく説明が難しい。面倒くさくなって、実演することにした。「ほれ」

 

 「ぴゃっ!?」

 

 

 羽黒が奇声を発したが、無理もなかった。なんの予備動作も声掛けもなしで、自身の胸元を開けさせられてはそんな声も上がろうというものである。片乳が、文字通り溢れるように提督の眼前へと現れた。ほんのり赤く染まっているのは、食べごろの証であろう。

 

 

 「ほら、風情がある」提督が、こぼれた乳房を軽く掴んでふるふると揺らしながら言った。赤い突起がふらふらと線を描いた。

 

 「わ、わかりませんよぉ」羽黒が恥ずかしがって、露出させられた片乳を隠そうともぞもぞした。すべて提督に制されてしまったが。

 

 「着崩れた浴衣、はだける胸元、思わず飛び出る片方の乳房。浪漫だろう」

 

 「とりあえず、司令官さんが特殊な性癖持ちということはよく理解できました」

 

 「誰が変態か」

 

 「そこまでは言……いや、言える、のかなぁ?」

 

 「隙あり」

 

 「あんっ!?」

 

 

 いい加減、我慢が効かなくなっていた提督が、羽黒の乳房、その最先端へと吸いついた。舌で優しく舐め回すと、何かをこらえるような息が羽黒から漏れた。堪えられるのが気に食わなかったので、唇をすぼめ、最先端だけを引っ張るように吸ってから、おもむろろに離す。こんどはきちんと嬌声が上がった。

 

 

 「美味しいデザートだ」

 

 

 提督が口を拭いた。羽黒はといえば、口を抑えたかったのか、口元に手を持っていきながらも、真っ赤になってそっぽを向いている。空気の寒さを敏感に感じ取ったのか、乳首が時折ぴくんと震えていた。なるほど、風情のある情景だ。

 

 提督が無言で羽黒の近くへと自身の顔を持っていった。もちろん、自ら開けさせた胸も忘れてはいない。努めて刺激しないよう、己の右手を乳房の直ぐ側に添える。意図を察したのか、羽黒がまた赤くなった。

 

 

 「顔、見せて」

 

 

 提督が言えば、羽黒が口元の手を目の方へ持っていこうとしたので、自分の口で押さえつける。さわり心地の良い白い肌を挟んで、提督と、それでもなんとか視線をそらそうとしている羽黒の瞳が向かい合う。無論、その瞳の中に、逃避とは正反対の感情が隠れていることに気づかぬ提督ではなかったが。

 

 万全の体制を整えてから、提督が羽黒の胸、もっと言えば乳首にふれた。自らの唾液の残りと羽黒の汗とを潤滑液にまずは乳輪をなぞるように刺激してやる。下肢がもぞりと動き、羽黒の大きな吐息を感じる。嬌声は出なかったが、喉の鳴りが手を通じて直接提督に届いた。

 

 飽きるくらいに焦らし倒してから、提督が突然羽黒の乳首を人差し指で弾いた。

 

 

 「んぁっ」

 

 

 声が出てから、羽黒の瞳が提督からなるべく離れるように動いた。頬が赤く染まる。間近すぎて見えないが、ひょっとすると手まで真っ赤かもしれない。

 

 

 「あ、ん、ふ、みゅ、ぁ、んんっ」

 

 

 弾くように動かした人差し指を戻し、今度は乳首をゆっくりとこね回す。心地よさそうに羽黒が鳴いた。瞳が提督をちらちらと眺め、下肢が提督に押し付けられる。手で抑えきれない甘い吐息が、ついに提督の鼻孔にまで入り込んできた。

 

 

 「ひゃうっ、ん、あぅ」

 

 

 撫でるだけでこれなのだから、つまむとどうなるのか。提督が試すと、羽黒の瞳が一瞬見開かれ、すぐに強く閉じられた。どうやら、恥ずかしくて提督の顔が見れたものではなかったらしい。きゅ、と忘れていた羽黒のもう片方の手が提督の浴衣を握る様だけが、羽黒の気持ちを伝えていた。もちろん、提督が唯々諾々と従うわけがなかったが。

 

 

 「ぁ、っん、ん」

 

 

 さんざん羽黒の左乳首をいじめ倒してから、提督がその手を右側に、つまり羽黒の右胸に動かした。衣服の上から、羽黒の乳首を探し出すとかりかりと掻き始める。薄くもなく厚くもない浴衣の生地は、はっきと、しかしもどかしい刺激だけを羽黒に通した。羽黒の声が、悩ましいものから物足りないものへと変わった。

 

 

 「しれいかん、さん」羽黒がもごもごと言った。「その」

 

 「何の事やら」提督が白々しく応じた。「ちゃんと言ってくれないと」

 

 

 羽黒が膨れた。間髪を入れずに提督がそこへと口付けると一瞬で萎んだが、涙目で見つめられる。提督が肩をすくめると、羽黒が諦めたようにそっぽをむいた。

 

 

 「ちょ、直接、触ってください……」

 

 

 小さな、弱々しい声であった。だからというわけではないが、提督はだんまりを決め込んだままである。羽黒がちらちらと提督を見た。提督はといえば、気にせず服の上から羽黒のち首を掻くだけである。

 

 

 「んんっ」

 

 「どこを、触ってほしいのかな?」

 

 

 提督らしく、こういうときに攻める姿勢を崩さないらしい。羽黒が涙目になって再び膨れた。口が開いたり閉じたりし、最後にはきゅっと締められる。代わりに、手が動き、浴衣の比較的崩れていない方、つまり羽黒の右胸を隠していた方をつかむ。おそるおそる、と記事が動かされたので、胸が揺れながら誘う様にこぼれ落ちた。

 

 

 「ん」羽黒が目をつむった。顔はそっぽを向き続けていた。

 

 「上出来」提督が言った。やっと顕になり、すでに大きく屹立していた乳首を、再び優しくこね始める。と同時に、いつの間にか胸の前にまで戻していた顔を羽黒の左胸に近づけ、再び吸い付いた。んあ、と閉じられていたはずの羽黒の口から嬌声を飛び出させる。

 

 

 「や、ぁ。りょうほ、刺激、つよい、ですっ」

 

 

 つまり気持ちいいらしい、と提督は了解した。しきりに跳ね回る腰を抑えながら、刺激を続ける。手はゆっくりと、吸い付くのは強めに。仕上げに乳首と言わず、羽黒の柔らかな胸を堪能するようにはみ始める頃には、羽黒の腰はぴくぴくと痙攣し、口からは心地よさそうに小さな嬌声が繰り返し発せられるだけになった。

 

 

 「随分良かったみたいだな」

 

 「い、言わないで、ください」

 

 

 顔を真赤にしつつ否定はしない秘書艦に苦笑しつつ、胸を楽しんでいた手を下腹部へ動かす。とんとん、と浴衣の上からだが、人差し指でそこを叩いてやる。羽黒の両太腿がずりずりと擦り合わされた。羽黒を見れば、手で顔が覆い隠されている。

 

 

 「してほしい所があれば」提督が意地悪げに笑った。弱みはとことんつくつもりであった。「さっきと同じにしてほしいんだが」

 

 「うー!」

 

 

 非難がましい唸り声がしたが、すぐに収まる。羽黒の手が、自身の浴衣、その帯まで降りてきた。顔はといえば、涙目がそっぽを向いて膨れ上がっている。真っ赤だったので、むしろいじらしい限りだ。

 

 帯が緩められ、羽黒が生地をつまんで持ち上げた。むわ、と湯気が上がったような幻想にとらわれる。桃色の筋がぐじゅぐじゅに濡れそぼって現れた。何とは言わないが、衝動のままに突っ込んだとしても痛みも怪我もありえない、そんな濡れ方である。であったから、提督はもう一つの衝動の方を採用することにした。

 

 

 「頂きます?」白々しい疑問形で提督が尋ねた。

 

 「どうぞ」作り出した不機嫌さでは隠しきれないほどの喜色が篭った声で、羽黒が頷いた。

 

 

 獣の、しかし全く不快ではない香りの源に提督が鼻っ面を近づける。それだけで、割れ目が期待するようにひくひくと動き、羽黒からあふれる蜜が増えたような気がした。もちろん、そんなところで止まれる提督ではない。そのまま、羽黒の秘所に貪りついた。

 

 

 「あっ、やぁ、んんっ!」

 

 

 わざと秘豆を口に含むように全体を舐め、そのあと膣口へ照準を定め吸い付いた。濃厚な蜜を一通り吸い付くすと、今度は肉芽を口の中で可愛がる。羽黒が提督の肩を掴んだ。

 

 

 「だめ、だめですっ! 汚っ、汚いからぁつ!」

 

 「石鹸の香りがする。さっき湯呑したからか?」

 

 

 すんすんと鼻を鳴らすと。羽黒がやぁあと声を上げ、膣口がきゅうと締まった。つまり抵抗がなくなったわけだ。羽黒の恥豆、その皮までしゃぶり尽くす勢いで舌と口を動かす。羽黒の腰が大きく跳ねた。

 

 

 「だめっ! イくっ! も、来ちゃうっ!」

 

 「さんざん焦らしてしまったからな」提督が優しい声で言った。もっとも、声に潜む獣性までは消せていなかったが。「我慢しなくていいぞ」

 

 

 提督の声が引き金だったのか、愛おしむように秘豆を吸い上げたのが原因だったのか、おそらく羽黒自身にもわからないだろう。けれども、そのタイミングで羽黒が大きな声を上げ、掴んでいた提督の肩にあとが残るくらい力を込め、ついでに股ぐらを提督に押し付けたことだけは事実であった。

 

 

 「や、ああああぁぁっ!」

 

 

 ぷしゅ、と軽く噴かれた潮を一滴残らず飲み下しながら、提督は暴れまわる羽黒の肢体を抱きしめつつ押さえつけた。痙攣、と言うには激しい動揺を抑える頃には、羽黒は三度顔を隠してそっぽを向いてしまっていた。

 

 

 「相変わらず」提督が口を拭いながら言った。「羽黒の割れ目はかわいくて素直だな」

 

 

 言われたクレバスがひくついた。羽黒はといえば、うぅと唸り声を上げるだけである。

 

 

 「羽黒」提督が再び羽黒の全身に覆いかぶさった。手持ち無沙汰に胸をもみながら、耳元で囁く。「正直、こういう格好をされるともうがまんできない」

 

 「司令官さんがしたんじゃないですか」胸元と股ぐら、おおよそ最後まで隠すべきところをの浴衣を散々に荒らされた羽黒がふてくされた。

 

 「準備万端?」

 

 「うぅ」

 

 

 羽黒が提督を見つめた。ぐちゅり、と羽黒が身動ぎするたび、下半身が水音を立てた。ふくれっ面が提督に向き合う。はぁ、と頬の中身がそのままため息へと変わった。

 

 

 「起き上がってください」羽黒がところどころ引っかかりかけながら言った。「私も、仕返ししたいです」

 

 「俺に取っちゃご褒美だがな」

 

 

 笑った提督が起き上がる。そのまま、羽黒の腰の横あたりで胡座をかいた。そっと帯紐を緩める間に、羽黒が起き上がってちょこんと座り込んだ。

 

 

 「ん」

 

 

 そのまま浴衣を咥えてずらし、同じ要領で下着も下ろす。わ、と声が上がった。羽黒の痴態を見せつけられ、提督としてももう溜まったものではなかった。すでに屹立しきった提督のものが、羽黒の眼前に飛び出す。わ、と羽黒が声を上げる。準備万端であった。

 

 

 「……明けましておめでとうございます?」

 

 「ぶっ」

 

 

 と、彼なりに張り詰めていたところにかけられたのがそんな言葉だったから、提督が思わず吹き出した。羽黒がえ、え、と目を白黒させるのもお構いなしにひとしきり笑う。

 

 

 「すまん、すまん」

 

 「あ、あの、そんなに変でしたか……?」

 

 「変じゃない変じゃない」

 

 

 真っ赤な顔が膨れ上がった。提督の言葉を信じていないらしい。いやまぁ、そのとおりなのだが、これは俺のせいじゃあるまい。笑いながら根本を持ち、先端を羽黒に向けた。

 

 

 「ほら、挨拶。続けてくれよ」

 

 「うぅ、絶対面白がられてる……!」

 

 「や、こればっかりは羽黒の自業自得だろう」

 

 

 渋る羽黒も、提督の策略にハマったとかそういうわけでないことだけは了解してくれたようである。ほんのすこしばかり、もう少しだけ躊躇してから、真っ赤な舌を出す。そのまま、暑い舌が亀頭に触れた。至極あっさりと、ぺろりとそこが舐め回された。最後に軽く鈴口へと口付けてから、一瞬唇が離れる。子犬のような瞳で提督を見つめてから、はぁ、と息をついた。

 

 

 「ほ、本年もよろしくお願いします」くいくい、と根本を弄りながら羽黒が言った。一言一言で息が当たってこそばゆい。

 

 「ん、いいぞ」何様のつもりでか提督がそう許可を出した。羽黒が真っ赤なまま、べーと舌を出した。嫌がっているんだかねだっているんだか、と提督が笑い、腰を突き出した。再び、亀頭が羽黒の舌に触れた。

 

 「れろ、ぺろ、ちゅっ」

 

 

 先程羽黒に唾液を塗られたせいで多少冷えていたそこが、再び舌で暖められた。羽黒は咥えると言うよりかは舐め回し、口付ける方が好みらしい。亀頭から味がなくなるほど舐め回すと、こんどは竿に口づけにかかる。暴れる提督を苦労して固定しながら、吸い、舐めて清めた。

 

 

 「羽黒」提督が羽黒の黒髪を撫でながら声をかけた。一緒に、気持ち悪い喘ぎが出ないように全力で努力している。「良いぞ。気持ちいいよ」

 

 

 羽黒の動きが大きくなり、心なしか素早くなった。もし羽黒に尻尾が生えていれば、きっとブンブンと振られていたんだろう、と提督は確信した。本当にかわいいやつである。ご褒美ではないが、耳をくにくにと触れてやる。ん、ふぅとペニスに刺激が加わった。

 

 れろ、と袋に鈍い心地よさが走る。かと思えば、竿を暑い感触が這い上がっていく。まるで、一緒に出てきてほしい、と言わんばかりの催促であった。が、提督としてはもう少し楽しみたかったらしい。羽黒の乳首まで苦労して手を伸ばすと、その両方をいきなりつまみ上げた。

 

 

 「んぁっ!?」

 

 

 びくん、と羽黒が跳ね、その勢いで舌が裏筋を舐め上げた。そのまま、こりこりと弄り続けると、やめ、とか、だめ、とかいう鳴き声とともに羽黒の動きが止まる。

 

 

 「お返し?」

 

 

 非難がましく見つめられた提督から出てきたのはそんな言葉だったから、当然羽黒が納得するわけがなかった。ただ、膨れ面のままようやく頭を下げ、かぷりと提督の先端を口に含んで上目に睨んでくるだけである。もどかしいな、と提督。もう一度、乳を搾るように乳首を強く握ると、甘く熱い吐息が提督の物を優しく包んでから、羽黒が頭を上下に振り始めた。

 

 

 「上手だぞ。そのまま続けて」

 

 「むーっ!」

 

 

 羽黒が目をきゅっとつむり、頬を提督のもの以外で膨らませてそう啼いた。口とは裏腹に、硬さをさらに増す蕾をこね回す手はまったく休んでいなかったから、そのまま続けるために止めてほしい、というところだろうか。もちろん、そんな要求、のめるわけがなかったが。

 

 

 「やっぱり、こうすると締りが良くなるな」提督が、羽黒に一言一句を言い聞かせるように発音する。さらに提督自身が締め付けられた。羽黒はと言えば、もはやにらみつけてくる余裕もなくなってきたようだ。「そろそろ出そうだ」

 

 

 羽黒は何も言わず、ただ提督にしゃぶりついていた。乳首を弾けば、こくこくと小刻みに頷かれる。熱い舌が、熱い息とともに提督を舐った。催促するようにカリ首を舐め、かと思えば竿を根元の方から吸引してくる。提督が、羽黒の両頬に手を戻した。耳たぶを弄りながら、頬を揉む。

 

 

 「羽黒、いいぞ。そのまま、もう少し早くても」

 

 

 じゅぷじゅぷという水音と、献身的な奉仕。それから、汗ばんだ耳元と、柔らかい頬。提督の声に反応した羽黒の動きがまたギアを一つ上げるように大きくなり、提督を刻一刻と追い詰めていく。

 

 

 「口でいいか?」

 

 

 羽黒の答えは声にはならなかったけれども、頬を揉む提督の手には、いいよという3文字が伝わったような気がした。というのは提督の傲慢か。けれども、まず羽黒がそれを受け入れないなんてことはあり得なかったし、それにどのみちもう限界であった。

 

 

 「射精るぞ!」

 

 「んぷっ!?」

 

 

 宣言から羽黒が目を見開くまではほんの一瞬のことだった。中で迸りが暴れているのは、羽黒ご自慢の頬クッションでも隠し立てできなかったようで、提督の征服感をこれでもかと駆り立てていた。

 

 

 「んん、んく、んく……」

 

 

 瞳を細め、精を受け止めた羽黒が、ゆっくりと瞳を閉じ、それを飲み下し始めた。無意識のうちに、提督の右手が頬を離れ、白く動く喉をさする。ぴくり、と羽黒が動いたが、一瞬で収まった。ねぎらう様に喉を撫で、頬を揉むと、いつの間にやらすべて呑み切ったらしい。熱い舌が、一回り小さくなった提督をはい回り、ちゅうちゅうと吸引音がした。

 

 

 「ぷはっ!」羽黒が口を離したのはそれからしばらくたってからだ。その間中、頬と喉に提督の愛撫を受け続けてから、羽黒がはにかみながら提督の顔に視線を合わせた。「きれいに、なりましたよ」

 

 「おかげさまで、な」

 

 

 今度は提督がそっぽを向いた。羽黒が逸物を清めた後に向けてくる、無邪気に過ぎる笑顔が提督は大好きだったのである。誤魔化すように揶揄の言葉が出てきたのはそのせいもあった。

 

 

 「それに、こっちも復活したしな」

 

 「……ぁ」

 

 

 羽黒が握りしめたままの物は、気づけば羽黒が口に含む前、いいや下手すればそれ以上に膨れていた。ちら、と提督が、這うようになっている羽黒の白く赤ばんだ裸体を検める。尻が揺れ、微かに畳がこすれる音がしたのは置いておこう、と提督は苦笑した。それより、太ももあたりから聞こえてくる水音の方が気になるのだから。

 

 

 「あの、司令官さん」羽黒がもごもごした。

 

 「あのな」提督が羽黒のわきの下に両手を入れ、ぐいと持ち上げた。わひゃあ、と悲鳴が上がるがお構いなしだ。「お互いこのありさまで、続かないとでも思ったか?」

 

 

 二人して見つめあい、どちらからともなくふっと笑い声が漏れた。

 

 

 「メインディッシュだな」提督が独り言ちた。「デザートの」

 

 「なんか矛盾してませんか?」

 

 「食べ応えがありすぎるんだ。しょうがないだろう」提督が言った。本心であった。

 

 

 持ち上げた羽黒の股を開かせ、胡坐の提督のモノに、待ちわびていた部分を合わせた。くちゅり、と水音が室内に響き渡る。いつの間にやら羽黒が提督の背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめていた。

 

 

 「挿れるぞ」提督が穏やかに言った。内心とは裏腹だ。

 

 

 羽黒は無言だった。ただコクコクと小さくうなずくだけである。これが羽黒ができる最大限の意思表示だということを、もちろん提督は知っている。それなりに体を重ねた割に、どうも挿入の瞬間の踏ん切りはまだまだ付けづらいらしい。

 

 

 「羽黒、舌出して」

 

 

 見かねた、というよりは我慢しかねた提督が、言いながら羽黒の唇を舐めた。真っ赤になりながらも、素直に舌が這い出てくる。先端が見えた瞬間、提督がそこに吸い付いた。

 

 

 「ん、ちゅる、ん」

 

 

 舌を絡ませあうと、羽黒の腕から力が抜ける。合わせるように、こちらも別種の限界が近づいていた提督の腕からも力が抜けていった。

 

 

 「ん、ふぁ、んんんっ!!」

 

 

 肉棒が、確かに羽黒から漏れてくるものでしとどに濡れていたとはいえ、何の抵抗もなく羽黒の膣内へと納まっていった。羽黒が気持ちよい、というよりは心地よい、と言った風にはぁ、と長く息をついた。が、それさえも今の提督にはこれからがっつき始める号砲にすぎない。

 

 

 「んぁっ! ああ、いきな、ぁあっ!」

 

 

 こつん、という音が、少なくとも提督にはしてから、提督が思い切り腰を突き上げ始めた。たまらず口を離した羽黒が汗と吐息を漏らしながら喘ぐ。浴衣が、すでに隠し切れなくなっていた肌色の部分をさらに広げるように飛び跳ねる。すべてが提督を加速させる材料でしかなかった。

 

 

 「しれっ、かんさんっ! これ、はげし、全部、こすれっ!」

 

 「知ってる」

 

 

 提督が短く答えた。もしかすると羽黒以上にわかっているのだった。柔らかな双丘とその先の塊が自分の体にこすりつけられる感覚は、提督としても気持ちよいものだったし――なにより、羽黒の乱れる表情を見れば、どんな想像も推測も必要ない。

 

 

 「第一、どんどん硬くなってるぞ。羽黒も気持ちいいんなら、やめる道理が何もない」

 

 「ちが、ちがぁっ! お、お胸、ばっかり、おかし、く、なっちゃいそうでっ」

 

 

 切々と訴えかける羽黒の様子に、提督の腰が加速した。悲鳴――いや、あからさまな嬌声が上がり、羽黒が提督の首筋に吸い付いた。どうやら、声を漏らさないように頑張るつもりらしい。

 

 

 「ふぅーっ! ふぅうーっ!」

 

 「痕をつけるの、立場が逆だと思うんだが」

 

 「ふぅううーーっ!」

 

 

 威嚇音のような吐息が提督の鼓膜を震わせる。だが、それも提督の気を変えるまだには至らない。そんなものよりも、股間に首に押し付けられる羽黒の温かさの方がよっぽど提督の頭を占領し続けていた。

 

 水音を立てながら提督がなおも腰を動かす。我慢しきれなくなったのか、羽黒がもぞもぞと動き出した。快感と本能に満たされて五感が研ぎ澄まされたのか。衣擦れの微かな音が提督の耳に入った。羽黒が首をあっちへこっちへ動かし悶えていた。

 

 

 「あんっ、やぁっ、ふぇっ!」

 

 

 喘ぎ声の最後に付け加えられた間の抜けた声は、唐突に額に口づけされたためだった。一瞬呆けた羽黒が、されたことに気づいて更に真っ赤になる。実を言えば、やった側の提督も、やけに直球な愛情表現に気恥ずかしさを感じていたのだが、ひとたび外れたタガを戻すのは容易いことではなかった。

 

 瞳の脇、頬、耳元、と時に汗を舐るように、時に単純に楽しむように口を付けていく。当然、その間も結合部は激しくぶつかり合い、白濁を飛ばしていたから、羽黒は耐えるように提督を抱きしめていた。けれどもその軽く俯いた顔は提督をよけようともせず、ただ瞳をぎゅっと瞑って提督を甘受するだけであった。おまけに、その小動物じみた振る舞いだけでも股間に悪いのに、口づけるたびに締りが良くなるのだから提督としてもそろそろ限界であった。

 

 

 「羽黒」耳たぶを食んでから提督がささやいた。それだけで、ふぁぁと羽黒が啼いた。「そろそろ、限界だ」

 

 

 羽黒の反応は単純明快で、こくこくと首が縦に振られるだけである。提督の動きが最高潮に達する。羽黒の膣内、そのあちらこちらを提督がこすりつけ、思わず腰が蕩けそうになる。羽黒が切なそうに喘ぎながら提督を見上げた。

 

 

 「キスっ、キスして、んむぅ」

 

 

 申し出を待ってましたとばかりに提督ががっついた。提督も羽黒も、絡めあう、というよりは押し寄せる快感を発散させるように舌を動かした。そのはずなのに、どこか予定調和のように双方が絡み合うのはご愛敬というか、なんというか。

 

 

 「羽黒」

 

 「中っ」羽黒が蕩け切った瞳を提督に向けた。「中で、んんっ! 中がっ! 良いですっ!」

 

 

 否定する何物も、提督は持ち合わせてなんかいなかった。提督とこすれて腫れあがった乳首を強く、欲望のまま弾いた。

 

 

 「イ、あ、ひああああああああぁぁぁぁぁっ!」

 

 

 羽黒が腕にぎゅうと力を籠め、あらん限りの快感を嬌声に変えて提督に伝えた。膣が締り、提督のモノを締め上げる。提督にもはや耐える気力などなかった。

 

 

 「ぐ、う」

 

 「あ、やぁ、イってるのに、熱いの、んんんんっ!」

 

 

 追い打ちのような刺激と、胎に広がる満足感に追い打ちを受けた羽黒がびくびくと痙攣する。それがようやく収まったのは、提督が二度目とは思えぬほどの精を吐き出した後のことであった。

 

 暫し、お互いに体重を預け合いながら荒い息を整える。先に回復したのは、日ごろの鍛え方が違うのか羽黒の方であった。えへへ、と幸せそうに提督に顎を押し付け、上目に笑いかけてきた。

 

 

 「しれいかんさん」羽黒が珍しく、子供っぽさを隠さず提督を呼んだ。「お粗末さまでした」

 

 「満腹になったよ、確かに」

 

 

 言いながらもう一度羽黒に口づける。ん、と軽く唇だけ重ねてから、羽黒が腰をゆっくりとあげた。んあぁ、という喘ぎ声とともに、どっぷりと白濁が垂れてくる。だが、構いもせずに、提督に手を回したまま羽黒がころんと寝ころんだ。提督も合わせるように倒れる。

 

 

 「お腹いっぱいになったら」羽黒がはにかみながら自身のお腹をさすった。「眠くなってきちゃいましたね」

 

 「だなぁ」提督が羽黒に改めて腕を回した。「まぁ、まだ休みはあるし、ゆっくりするか」

 

 「はい」

 

 

 羽黒が楽しそうに応じ、それからぶるりと震えた。

 

 

 「いい加減少し寒いか」

 

 「はい」羽黒が頷いた。それから、少し唇を尖らせて続ける。「あの、ですね。その、お、温度調節とかではなく、あの」

 

 「抱きしめてほしいんなら、もうちょっとどもらずねだろうな」

 

 「うぅ……」

 

 

 縮こまる羽黒に、こりゃ抱きやすくなったと提督が引っ付いた。『運動』の後であるからか、とても暖かい。

 

 

 「ふふ、お陰様で震えが納まりました」

 

 「どういたしまして」

 

 

 それは羽黒も同じことだったらしい。提督に愛おしそうに触れながら、安心しきったように吐息を漏らしている。

 

 二人の吐息が、寝息と呼ばれるものに変わるまで、さしたる時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 *** *** ***

 

 

 

 

 

 

 「むぅーっ!」

 

 「そろそろ機嫌なお、ぶぇっくし!!」

 

 

 大きくくしゃみをして寒い寒いと縮こまる提督と、それとは対照的に、顔どころか全身から火を噴きださんばかりに真っ赤になって、連れを引きづるように猛進する羽黒が現れたのは、そんな夜の翌日のことであった。ぼたん雪はすでに止み、冬特有の澄み切った空気を直進してきた陽光が、白を色と認めなければ色を無くした世界と化した一帯を照らし光らせている。

 

 

 「だ、だって、ぜ、全部、全部バレ、バレて、ばばば」

 

 

 羽黒が全力運転中の電熱線みたいな色になりつつはぐぅと縮こまった。提督がぼりぼりと頭を掻きつつ、再びくしゃみをした。

 

 まぁ、昨晩あんなことをしている間中、おゆはんのお膳はどこで何をしており、誰が回収するはずだったのかとか考えればバレないと考える方がおかしい。おまけに、申し訳なさそうに朝食の時間を伝える仲居さんに応対した提督の顔には畳の痕がこびりついているとくれば、昨晩は以下略と言っているようなもの。それをはしたないとか笑ってくれればまだマシなのだろうが、寄りにもよって微笑ましいものみたいに見られてしまっては、もはや羽黒の羞恥心は天元突破して別次元の壁を壊さんがばかリであった。

 

 

 「おまけにっ! も、もう一泊するから、きょ、今日はお布団はやめに敷きますまで言われて! な、なんて顔して戻ればいいんですかぁっ!」

 

 「正直その顔可愛いしそのまんまで痛いぞ羽黒」

 

 「司令官さんなんて知りませんっ!」

 

 

 重巡キックを脛に食らいながらも、提督が満更でも無さそうに羽黒の腰に手を回した。ぷくぅ、と膨れた羽黒を宥めるように声をかける。

 

 

 「ほら、朝湯をひとっぷろ浴びたら」提督が羽黒の名を呼んだ。「蕎麦屋も近くにあるんだ。おんなじ名前だって食いたがってたろ? な?」

 

 

 雪駄で石を蹴りいじける秘書艦を宥めつつ、提督が次から次へと本日の旅行ないしデートプランを投げつけ続けるが、いつにもなくご機嫌斜めの羽黒はなかなか落ち着いてくれない。さすがに慌て始めた提督のマシンガントークは続くが効果はいま一つ。しまいにはネタがなくなったらしい。時間たちすぎたが初詣がどうたらこうたらまで提督が口にした瞬間、羽黒がぴたりと動きを止めた。

 

 

 「は、羽黒さん?」提督は降参のポーズになっていた。

 

 「初詣」頬が膨らんだまま羽黒がつぶやいた。「初詣、行きましょう」

 

 「ん、ああ、もちろん」

 

 

 これ幸いと応じてから、急に歩みを止めた羽黒を不思議に思ったか提督が顔を近づける。おや、と小さく声が出た。顔は依然として製鉄所の鉄より真っ赤だが、羞恥以外の要素が入り込んでいると気づいたのだった。

 

 

 「羽黒?」

 

 「その、ですね」羽黒が言葉につっかえながら俯いた。「よく考えると、御年始の挨拶、改まって司令官さんにしてないなって」

 

 「……昨日、俺の息子に」

 

 「わぁーっ!? わぁーっ!?」

 

 「待って羽黒顔はやめ痛い痛い」

 

 

 強引に口を閉じようとする羽黒との格闘はものの数秒で提督の敗北に終わった。やっと羽黒が正気を取り戻し、「ご、ごめんなさい」と解放された提督がげっほげっほとせき込んだ。

 

 

 「ち、窒息するかと思った」

 

 「司令官さんが急に蒸し返したからですっ」

 

 

 とはいえ、犬も食わない類の話には違いない。良い人の慌てっぷりに提督が笑いだし、しばらくそれをふくれっ面のまま眺めていた羽黒が、顔の赤さは残りながらもくすくすと笑いだした。

 

 

 「司令官さん?」

 

 

 ようやく笑いが収まったらしい羽黒が、朗らかな笑みで提督を呼んだ。

 

 

 「初詣前ですけど」

 

 「うん」

 

 「今年も、羽黒をよろしくお願いしますね?」

 

 

 提督が無言のまま羽黒を抱き寄せた。わ、わ、とすっぽり腕の中に納まった羽黒に、提督が苦笑した。反応がわかりきっていても、止められずにいる自分に対しての笑みだ。だが、それも致し方なし。

 

 

 「もちろん。こちらこそよろしく頼むよ」

 

 「はいっ」

 

 

 なにせ、辺りの陽光すら霞むほどの笑顔が、そう応じてくれるのだから。

 

 

 




親族の集まりで温泉旅館行ったら構想が練りあがった作品。

とりあえず羽黒とイチャイチャしたい欲が凄かったんだ……




なお、もろもろの作品が更新されてない点でお察しかと思いますが、
諸事情につきリアル混乱中でしばらく不定期更新ってレベルじゃない状況になると思います。

元気なら羽黒の進水日に向けて何か書くか、さもなくば軽めのR-18SSを近日中(近日とは言ってない)に書き上げようかと……

変わらぬ応援をどうぞよろしくお願いいたします。
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