この話は本編『十三大戦』の
また、この話は性的描写を含む内容となります。ご了承下さいますようお願い申し上げます。
警告タグ
モブ×猫、猫×モブ
音弧×庭取、猫×酉、愛のあるセックス、アナルファック、温泉
◇
『掃き溜めに鶴』なんて言葉があるけれど、ある者は地獄の底で泣いていた。
強気の仮面で塗り固め、恐怖に鍵を掛けて封じ、自分は平気だと気丈に振る舞う彼女。
愛想の仮面で塗り固め、記憶に鍵を掛けて封じ、自身は空虚だと悲しみに暮れる彼女。
そんな彼女に救われた…。けど救えなかった…。
そんな彼女を救いたかった…。そして救えた…。
バケモノとして生きて、人として生きて、巡って巡って辿り着いた『今』。
だからこそ俺は彼女
………。
……。
…。
最近、よく過去の夢を見る。何処までも、何処までも遠くの、色褪せて風化してしまいそうなほどに古臭い記憶の断片。
寒くて、痛くて、優しくて、暖かくて、悲しくて、辛くて、柔らかくて、甘くて、熱くて、愛おしい思い出達。
俺は、それを………。
◆
首に繋がれた鎖がジャラリと鳴る。それに引っ張られて、転ばないように薄暗い通路を歩いていく。しかし、手綱…鎖を握った大の大人の歩く速度は子供の歩幅では追い縋る事は難しく、半ば引き摺られるように着いていく。
細い通路を抜けていくと、その先に光が見える。扉と言うよりは鉄格子の柵に近いそれの前に立つと、柵がゆっくりと上に上がり、道が開かれる。
その様子を呆然と眺めていると、突如背中を蹴り飛ばされた。何の身構えもしていなかったものだから、蹌踉けてそのまま転んだ。ガシャンと鉄格子の落ちる音が聞こえて後ろを見返せば、閉ざされた鉄格子の先に大人が居た。
醜悪に肥え太り、欲望の皮の張った大人が、ニタニタとした陰湿な笑みを向けて見下してくる。数拍もすれば満足したらしく、大人は踵を返して薄暗い闇の中へと消えていった。
その事実に何処か諦めを抱いて、再度前を向く。辺りを見渡せば意図的に作られた円形状の広場。周りを高い垣根の様に囲われていて、子供の体ではよじ登る事も難しそうだ。何より垣根の先には大人達が悪辣な笑みを浮かべてこちらを眺めている。
身なりを整えた司会の男が悪趣味な口上を述べる声が聞こえると、周囲の大人達から歓声が湧き起こる。沸き起こる。色めき立ち、熱を持つ。その様子に思わず顔を顰めた。
向かいの鉄格子がガシャンと開いて、何かが姿を見せる。何かは四本の脚をしっかりと地に着け、力強い足取りでノソリノソリと歩き、出でる。グルグルと唸り声を上げた何かは立派な
あぁ、あれに
この『見世物小屋』では『観客の皆様』とやらを愉しませるため、日夜あらゆる『殺し方』をされる。ここでは『不死身の怪物』と罵られて、蔑まれていた。
腹を空かせた獅子が一際大きく咆哮し、襲いかかってくる。力の無い、ただの子供には如何することも出来なかった。その巨躯に体を押し倒されて喰われる。
咄嗟にあの鋭利な牙と強靱な顎の間に左腕を割り込ませると、子供のか細い腕は白い刃が幾つも食い込み、骨がバキリと折れる感覚が伝わった。
浮いた手番一つを消費して獣に反撃をする。子供の拳なんてたかが知れてるから、首から垂れ下がる鎖を右の拳に巻いて、鈍器にして頭に一撃。怯んだ獅子が距離を取る。
来ないならこちらから行く。獣の前まで歩いていくと再度飛び掛かってくる。使い物にならない左腕を盾にして、再度殴り倒す。左腕が千切れた。
腕を喪失した痛みにのたうち回ると獅子が勝機を見出して、組み敷いてくる。そのまま頭蓋を
獅子が気が付いた瞬間には、その太い首へと鎖が巻き付き、締め付けられて、持てる限りの力で目一杯ギリギリと絞め上げれば、長い時間を経て獅子が泡を拭いて倒れた。
一仕事を終えると、再び牢屋へと放り込まれる。不衛生な石畳の狭い空間には粗末な襤褸布が一枚だけ。すぐにそれに包まって眠りにつく。
不死だから死なないだろうと食事は与えられていない。常に腹を空かせ、渇きに飢えていた。幸い先ほど、僅かではあるが獅子から生き血が吸えた。少しは栄養になることを願いながら目を閉じる。
眠るのは良い…。その間は痛みも空腹も悲しみも感じなくて済むから。
少しすると、ガシャリと鍵を外す音がした。その音を聞いて、また看守が虐めに来たのかと辟易とした。気怠そうに鉄格子の方に顔を向ければ、一人の女性が立っていた。
肩まで掛かりそうな長さに揃えられた金色の髪。宝石の様な翡翠色の瞳。きれいに仕立てられたドレスが花弁のように美しい少女だった。
「着いて来い。今日から私が御前の『ご主人様』だ」
それが『運命の人』との出会いだった。
「今日からここがお前の家だ」
目の前の少女に連れられて、馬車に揺られて、大きな鉄扉をくぐると、大きな屋敷に辿り着いた。以前遠目に貴族街の屋敷を見たことがあるが、あれに近い印象を受けた。
馬車から降りるように言われて素直に従う。でないと首に繋がれた鎖を引っ張られて、無理矢理引き摺り下ろされると思った。逃げようにも売りに出された際に手足にまで鎖が繋がれている。鎖の長さはどちらも肩幅よりも開かないくらいに短くて、歩くのも一苦労だ。
少女の付き人の初老の男性が扉を開くと屋敷の中へと入る。屋敷の中へ入ると数名の女性が帰りを待っていたらしい。ひらりとしたエプロンスカート姿から女中なのだと理解できた。
「お帰りなさいませ。お嬢様」
女中達が声を揃えて、頭を垂れると、少女が労いの声を掛ける。そしてその中の一人を呼んで、その人の前へと俺は突き出された。
「こいつに風呂と着替え、後は食事を頼む。…そうだな、満足な食事を与えられては居なかったらしいから、軽めの物を頼む」
「畏まりました」
「私はお母様に帰りを伝えてくる。終えたら私も食堂へ行く」
そう言って少女は去って行った。代わりに手鎖を預けられた女中は屋敷の中へと俺を連れて行く。
浴槽に連れていかれた俺は女中三人掛かりで衣服を剥ぎ取られて、泡塗れにされた。風呂なんて真面に入った事さえ無かったから、俺は余程悪臭を撒き散らしていたのだろう。終始女中達が顰めっ面をしていた理由を敵意が有るのだと身構えてしまった。暴れて逃げようとして、ごめんなさい。
全身の垢を刮ぎ落とし、肌が真っ赤になるくらい石鹸と布で全身を洗い終えると、真新しい衣服を着せられた。俺が着ていた擦り切れたような襤褸切れとは全然違う、しっかりした布地の頑丈そうな服。袖を通すと少しだけブカブカしていた。
「念のためだから、ごめんね」と女中の一人が腕輪と脚輪をはめ直す。どの道子供の体力では大人の女性三人に太刀打ちなんて出来ないから抵抗は止めた。
「おお!来たか!」
食堂に連れて来られると、椅子に先程の少女が座っていた。女中に促されて彼女の対面の席に座る。ウキウキした様子の少女はジロジロと此方を見ていた。
「身形を整えれば良い顔立ちをしている。うん!私の目に狂いは無かった!」
俺の顔を身を乗り出してまでじっくり観察してくる彼女。ニマリと笑って居るのが印象的だった。
少しすると女中が料理を運んできた。芋と葉物野菜のスープとパンが一つ。それらが盛り付けられた陶器の皿には綺麗な色彩の模様が描かれていて、素人目にも客人を持て成す為の食器なのだと理解できた。
「…食べないのか?」
目の前食事を何時までも眺め続ける姿に不審を抱いたのだろう。彼女がそう問い掛けてきた。
「…たべて…いいの?」
そう伺いを立てると彼女が驚いたように目を見開いた。そう言えば口を開いたのは初めてだった。
「…ああ、いいぞ」
彼女が笑って答えた。そんな様子を覗いながらスプーンを握る。使い方なんて分からない。作法なんて知らない。けど、汚さないように食べなければとは思った。それは着せられた服の事であり、テーブルに敷かれた布の事だ。でないと殴られたり蹴られたり、挙げ句の果てには犬や猫の様に地面に落ちた食事を舐める事になると思った。
スプーンでスープを一掬い。量は少なく溢れないように慎重に。口に含んで三度噛む。そして飲み込む。
「…っ」
もう一度同じ様にスープを飲む。学なんて欠片も無い、無能な頭では味さえ理解してはいない。でも喉を通して胃袋に収まったスープの温度がとても温かかった。
「う…う……」
一口、また一口と、スープを飲む度に、体に熱が流れ込む。次第に視界が滲んでいた。
瞳から溢れ落ちたのは涙だった。痛い時しか泣かなかった。お腹が空いた時しか泣かなかった。辛い時しか泣かなかった。
でも、痛くないのに泣いている。食べているのに泣いている。辛くないのに泣いている。不思議だった。
ここまで心が満たされたのは初めての事だった。
◇
「…
「
「今日はここで止める?」
「…もうちょっとだけ続けて下さい」
「……じゃあ、入れるからな」
…つぷ…つぷぷぷぷ……。
「ひゃぁぁぁ……」
庭取ちゃんの体の中に指を入れていくと、凄まじい抵抗を受けた。ピッタリと閉じた穴の中を
でも、驚いたよな…。
まさか庭取ちゃんが『アナル開発』したいなんて言って来るなんて…。
庭取ちゃんと共同生活を始めて二ヶ月半。本来の目的の『
本当に庭取ちゃんのお手伝いをして正解だった。何せ彼女は料理スキルがまるで無かった。『家事ダメダメで、今までどうやって生きてきたの?』と聞けば『に、任務中は野営地やビジネスホテルがメインですし、それ以外は実家住まいでお手伝いさんが居ましたので…。そ、それに今は外食産業や冷凍食品も便利な物が多いん…です…よ?』と、そっと視線を逸らしながら返された。おいおい…。
という事で、庭取ちゃんの『花嫁修業』も平行していくことにしよう。これでも経験だけは豊富だからね。炊事洗濯掃除に裁縫日曜大工にサバイバル…何でもお任せあれだ。
最低限の掃除と洗濯は出来るようだったので、料理を一緒に教えることにした。ベースになる家庭料理を作れるようにさえなれば、後は自己流アレンジやレシピ本の再現で幅が広がるだろう。
そんな生活を続けていたら、つい先日とうとう一線を越えて
恋人ではなく、結婚するとなれば一生物だ。彼女の将来が掛かっているから慎重に選んで欲しいなと思う。
…その頃には俺の方が彼女の深みに嵌まってしまいそうで、本当に恐い。注意しないといけないな…。
「音弧さん音弧さん。『アナルセックス』って知ってますか?」
「いきなりなんて事を言うんだ」
庭取ちゃんお手製のお昼ご飯を食べた後、食器を片付ける傍らで夕食の仕込みと保存食作りに勤しんでいると、小説を読みながら寛いでいた彼女が薮から棒にそんな話題を切り出してきた。
キッチンカウンターの向こう側に座る彼女は、可愛らしさが強調された若草色のパーカーと白色のプリーツスカートの組み合わせをバッチリ着熟していて、これまたたまらない姿をしている。
「なに?興味があるの?」
「うーん…あると言いますか…ちょっぴり違うような…」
「煮え切らないね」
「そうですよねー」
「あっ、お茶淹れようか?」
「はい、お願いします」
彼女の返事を聞いてミルク鍋を取り出す。鍋に火を掛けて水を注いで湯を沸かし始めた。
「それで…お尻で一人エッチする趣味とかあるの?だったら今度するけど…」
俺が教育するまでも無く、彼女の性技はある程度開発が進んでいる。彼女は実家の
最も封じられていた記憶が原因で、性刺激に体が拒絶反応を示していたらしく、性交の雰囲気は極力避けていたらしい。止むを得ずに男と寝たこともあるらしいが、行為後に体調を崩して、嘔吐を洩らすことばかりだったそうだ。
俺との性行為でも体調を懸念していたが…幸いにも不調は無いらしい。むしろ調子が良いまであるらしい。今は更にエロくなるように性感帯をしっかりと育てている最中だ。未来の旦那様のためにエロカワイイ娘にしておいてやろう。
「いや?全く。今までやろうとした事すらありませんよ。男喜ばせるならお口とおまんこで充分でしたし…」
そんな風に明け透けに語る彼女。出来るなら婬語はベッドの上か女性同士の性の悩みの相談の時だけにして貰いたいものだ。あぁ、なるほど、つまり今は一応後者に近いのか。
「音弧さんは興味あります?」
どう答えるのが正解なんだろうか。
あっ、お湯が沸いてる。二人分のマグカップにお湯を注ぎ、カップを温める。余ったお湯にしょうがとシナモンと黒胡椒を投入して、そこに紅茶を落とす。しばし煮込みながら茶葉を開かせていく。
「…掘られる趣味は無いな。一応前立腺マッサージくらいならしたことあるけど、無理矢理勃たされるって感覚で、あまり気持ち良くないな」
「あ、話がそっちに転がるんですね」
ある種自虐の様に自分の性体験を交えると、そんな反応を示した。つまり庭取ちゃんは別に俺のことを掘りたいわけではないらしい。
そんな事を考えていると、ミルク鍋の中が良い具合の色と香りを漂わせて来たので一度火を止めて、茶葉を蒸らす。
「なんと言いますかね…。私達あれから随分セックス漬けじゃないですかー?」
「そうだね。……いつもありがとう、助かってる」
「はい!どういたしまして!」
元々の体質なのだが、俺は生来性欲が強いらしい。『『
無論自分の体との付き合い方は理解しているし、自己ケアもしっかりとしているけど、庭取ちゃんから
俺の劣情を一身に受け止めてくれている彼女の姿は健気で可愛い。結婚したい。何より俺の結婚条件『性に理解があって、性欲が強い』と言う点で彼女はとても逸材だ。
鍋の中に牛乳と砂糖を入れて、再びコトコト煮込んでいくと、紅茶とスパイスのいい香りがしてきた。
最後に上手く出来上がったそれを温めていたマグカップに分けて淹れる。そうそう、茶漉しで茶葉を取り除くのを忘れないように。
…と言うわけで『チャイティー』の完成。こういうのもいいよね。
「はいどうぞ。熱いから気を付けて」
「ありがとうございます。…ふぅ…ふぅ…」
彼女が息を吹き掛けてお茶を冷ますと静かに飲んで、ほっ…と甘く温かい吐息を漏らす。綻んだ笑みがまた可愛らしくて、思わず抱き締めたくなる。
…いけないな。関係を持ってから、今まで以上に歯止めが利かなくなっている。自重せねば。そう思いながら茶を啜る。
「それでですね。私、丹羽家の教育でエロテクは一通り網羅しちゃってるわけですよ。
そしたら気付いたんですよ!私!
「凄いこと閃いちゃったなー…」
別に俺は処女に拘る気は無い。
いや、俺の事を好きになってくれて、『初めてを捧げたい』とか、『
でもそこまで必死にならなくてもいいのに…とは思う。そもそも俺からしたら性行為は
それでも女好きなのは
「あのなぁ…一応真面目に答えるけど。
アナルセックスは男性からすれば気持ちいい。不躾な話、穴は穴だからな。
でも女性はそうはいかない。何せ本来はモノを出す場所だ。ナニを入れるようになんて出来ちゃあいない。潤滑液だって充分量は分泌されないし、性的快感を得るのも難しい。頑張っても、ただ痛い思いをするだけってパターンだってある。
それでもやりたいの?」
「うーん…」
更に言えば、万が一にも腸内を傷付けたりすれば、腸内細菌から感染症を引き起こして人体を脅かすこともあるし、括約筋障害で肛門が使い物にならなくなる危険さえある。
少しでも不安があるならやめて欲しい。
「一度だけ…なら」
そう言って庭取ちゃんは恥ずかしそうにこちらを見てくる。
「それに音弧さんなら…優しく…してくれるでしょう?」
頬を紅くした彼女が期待に満ちた目をしている。そのいじらしい仕草には衝動が押さえ切れそうになかった。
仕込みを中断して彼女の傍に行き、ぎゅっと体を抱きしめる。すると女の子の甘い香りがした。
「ああもう、庭取ちゃんは可愛いな」
「そうですよー。私は可愛いんです」
「今ならお買い得ですよー?」と冗談めかして誘ってくる。
あぁっ!もうっ!辛抱堪らんっ!
「と言うわけで!『庭取ちゃんアナル開発計画』を発動したいと思います!」
庭取ちゃんから『アナルセックス』を提案された翌日。情報を集めて、必要な道具を買い揃えて、本格的にやることにした。
専門の娼婦とか映像とかは、トレーニングを重ねた人達がやってる物だ。素人が勢いと興味本位で手を出してはいけない。
『好奇心で殺す』とか名乗ってるじゃないか?…って
「ね、音弧さん…お願いします」
バスルームにプレイ用のマットを敷いて、向かい合って座る。庭取ちゃんが不安そうに此方を見ている。少しでも緊張が解れる事を願ってハグをする。すると彼女は受け入れる様に腕を回してきた。
「諄いけど、もう一回言うよ?
俺はきみが嫌な思いをするくらいなら、無理なんてしなくてもいいと思っている。
だから、駄目そうならちゃんと言う事。それでも意地になって続けよう物なら有無を言わさずに中断するからな?」
「覚悟は出来てます」
…即答かよ。どんなに不安でもそこだけは譲らないんだな。庭取ちゃんも随分と我が儘…『自己主張』をするようになってきた。これは自分らしさの獲得とも言えるかも知れない。
『自分が欲しい』。彼女が以前にそれが欲しいと願っていることを聞いた。記憶を喪失し過去を無くした彼女は、自身が無いのだと言った。
そんな彼女の心情を、最初は汲み取る事は出来なかった。膨大すぎる量の記憶と過去を積み重ねて、積み重ねて、積み重ねて生きてきた俺とはあまりにも立ち位置が違いすぎる。
だから俺は初心に還った。
何も持っては居なかった自分。呪いによって生も死も綯い交ぜで、自分を肯定するためだけの自慰行為として殺害を繰り返す…『殺人鬼』だった自分。膨れ上がった咎で自分を壊して、相手を壊していた自分。そんな俺に『自分』をくれた彼女の言葉を、自分なりに解釈して伝えた。
その結果が現在の『
かと言ってここで強く突っ張るのもどうかと思う。『頼れ』と言ったのは俺なんだから『責任』くらい持ちたい。責めて彼女が自分で立てるくらいには。
…性欲に流されてるだけのような気もするが、それなら『毒皿』だ。なったらなったで、余す所無く舐め尽くそう。
「…いい覚悟だ。そんなきみに早速試練を与えよう」
そう言って俺はドラッグストアのレジ袋の中からある物を取り出す。箱から取り出したのはチューブ状の薬剤。属に『浣腸』と呼ばれている薬品だった。それを見た庭取ちゃんが息を呑んだ。
「入れるからお尻だして?」
俺に命令された瞬間、彼女は顔を真っ赤に染めた。
アナルでエッチを始めるに当たって、アナルを綺麗にする事は重要な準備作業だ。でないとアナルプレイの前にスカトロプレイをする事になる。
念のため、朝と昼はヨーグルトやらお粥やら軽めで消化の良いメニューにしている。それでも出る物は出る。現実は非情なのだ。
意を決した彼女は膝立ちのまま後ろを向いて、スカートをたくし上げ、清純そうな真っ白なパンツを下へとゆっくり下ろす。すると、スベスベしていて健康的な血色の良い肌。まん丸としたお尻が顔を出した。
両手を着いて四つん這いになり、待ちの体勢になった彼女のお尻をそっと撫でる。
「んっ…」
恥ずかしそうに小さく声を漏らして、お尻を振った彼女を見て、このまま覆い被さり、獣のように情事に耽りたい衝動に駆られた。
一度深呼吸をして昂ぶる気持ちを落ち着かせてから、彼女の尻肉をぐいっと掻き分ける。すると尻の奥に不浄の穴…
「…入れるよ」
「は、はい」
生唾を飲み込んでから、浣腸剤を手に取る。ノズル状の先端を彼女の穴の中に静かに入れていく。奥まで入った所で、薬剤を溜め込んだ袋部分を指で押し潰して彼女へと注入した。
ぷちゅり。
「んんっ!?」
尻穴に液体を流し込まれた事に驚いて彼女が声を上げた。空になった浣腸剤をレジ袋に捨てると、終わった事を告げた。
すると庭取ちゃんは慌ててパンツを履き直して、スカートで恥部を隠した。余りにも恥ずかしかったらしく、視線を合わせようとはしてくれない。
「薬が効くまで少し待つよ。こっちにおいで」
湯を張っていないバスルームは少しだけ寒いから、彼女の腰を冷やさないようにと暖を取る。
胡座を掻いた膝の中へと彼女を誘うと、彼女は恐る恐る俺を座椅子にして腰を下ろした。彼女のお腹と膝にバスタオルを巻いて、きゅっと抱き締める。
すると彼女が不機嫌そうに唇を尖らせて此方を見てきた。
「…勃起してます」
「庭取ちゃんの生尻見たんだから当たり前だよ。…後でこっちも慰めてね?」
「もう、仕方がありませんね」
そう言いながら庭取ちゃんは誘うように尻を擦り付ける。ズボン越しの愚息が更に硬さと大きさが増すのを感じた。
彼女の甘い香りと、体温の温もりと、心地よい重みを堪能しながら待つこと数分。彼女の容態に変化が訪れたらしく、頻りにモゾモゾと動き出す。
「ね、音弧さん…そろそろ…」
「あぁ、行ってきていいよ」
俺の手の中から彼女が離れてバスルームを出て行く。
その間にも次の作業の支度をする。体の老廃物を出したならは今度は『腸内洗浄』だ。流石に出しただけだと、中が少し汚れているかも知れないからな。
ぬるま湯を一リットル程洗面器に汲んで、そこに九グラムの塩化ナトリウムを溶かして『生理食塩水』を作って置く。本当はただのお湯でもいいみたいだけど、体への負担が少ないらしいから暫くはこっちにしてみよう。慣れたら只のお湯に切り替えていく方針で。
「戻りましたー」
「お帰りー。どうだった?」
「はいはいセクハラです。
やっぱりお腹に溜まってた物を吐き出せてすっきりしますね。…で、やっぱり次はそれなんですね」
そう言って庭取ちゃんは俺が手にした物、注射器型のシリンジポンプを見つめて微妙な顔をする。
まぁ、気持ちは分かる。本来排泄行為なんて人に見せるようなものではない。それには多くの恥辱が伴うことは明白で、もし逆の立場だったならば俺は絶対に一人でやっていた。
「慣れればトイレのウォッシャーやシャワーノズルでも出来るらしいから、今度はそっちも練習していこうか。一先ずは初めてなんだし、こっちで我慢してね?」
「…とか言っちゃって。音弧さん、私の浣腸プレイに興奮しちゃってるんでしょー?」
「まぁ…否定はしない」
「エッチぃー」
「喧しいわ」
からかわれた腹いせに、当初の予定よりも多い分量の洗浄液を庭取ちゃんの腹の中に注ぎ入れる。直腸全部綺麗にしてやる…。
二回程腸内に洗浄液を注入して排出させると随分と綺麗になったようだ。
洗浄作業も終わったのでベッドルームに移動する。
「あ…あの?音弧さん?始めないんですか?」
庭取ちゃんを抱き枕にしたままベッドに寝そべる。やっぱり女の子を抱いてる時が一番落ち着く。温かくて、心地良い。柔らかくて、気持ち良い。エッチな気分になるのと同じくらいに満たされた気持ちになる。
「このまま始めると開発どころじゃなくなりそう。落ち着くまでこうさせて?」
庭取ちゃんの背中から腕を回し、お腹にぎゅっと抱き着くと彼女が俺の手をぺちぺち叩いて、拘束を解くように告げてくる。
「ダメです」
彼女はキッパリと意思表示をした。そんな彼女が俺の腕から離れていく。
「えいっ!」
すると彼女はこちらへと向き直り、俺の胸元に顔を埋めた。そして「こっち向きならオッケーですよ…えへへ」と楽しそうな声で囁いた。
なんというか…とてもズルい。とにかくズルい。
「…そろそろ始めようか?」
五分程二人っきりの静かでゆったりとした時間を堪能してから、そう呼びかける。程良く肩の力と熱も抜けて、衝動に任せて暴走する事態にはならなそうだ。
「はい、お願いします」
柔らかに笑う彼女の顔を見て、思わず彼女のおでこにキスをした。すると彼女が不機嫌そうに唇を尖らせた。
「違いますよ-…
そう言いながら庭取ちゃんは指先で自らの口を指し示す。潤った赤い唇は甘い蜜を漂わせる花弁のように魅惑的で、引き寄せられた。
「ちゅ…ちゅ…」
「ん…んふっ。ちゅ…音弧さん…もっと」
そのように彼女から囀られると、もっと彼女が欲しくなる。彼女の唇を舐めると、それに応えるように舌を出して絡ませてくれる。互いの口をちゅうちゅうと吸い出していく。
「や……」
時間を掛けてキスをして色のある空気を作りながら、性感を高めていく。
そこから手を彼女のお尻へと伸ばして、そっと触れる。衣服の上から、触ると言うには力を最小限に抑えた触り方。『愛撫』と言うよりも、『愛でる』と言うか、『撫でる』と言うか、寧ろ『手のひらが彼女の体の上を優しく滑る』と言った方が近いかも知れない。
尻たぶだけじゃなく、横尻と太股などデリケートゾーンとは程遠い場所まで巻き込んで、大きく円を描くように時間を掛けてゆっくりと優しく撫でていく。要は「これから愛撫していくよ」と伝えるためのサインに近いのかも知れない。
「…ちゅぱ…。……はぁ、はぁ…。
…服も脱いで?」
体が火照ってきた頃合いを見て、キスを中断する。一度体を起こすと、互いに衣服を脱いでいく。俺がシャツを脱いでベルトを外してズボンを脱ぎ捨て下着姿になる間に、彼女も同じ様にスカートのホックを外してブラウスを脱ぎ捨てて下着姿になった。
胡座を掻いて座り、自分の膝に座るように彼女に伝える。するとバスルームでやったように彼女が俺を座椅子にするように身を預けてきた。
「お腹…平気?」
そう言いながら、彼女のお腹をマッサージするように僅かに力を入れて撫でる。そのこそばゆい感覚から逃げようとした彼女が背を預けてきた。
「…大丈夫…です。……どうか…続けて?」
たったそれだけの短い言葉だったはずなのに庭取ちゃんの声には荒い吐息が混じっていた。
その様子を見て、もう少しだけ積極的にアプローチする事にする。両手で彼女の胸を半分位の力で優しく揉む。
「んあんっ!?」
掬い上げて、包み込んで、摘み取る。たわわに実った果実を収穫するように、彼女の胸を愛情を込めて揉む。彼女の体がビクリと奮えた。
「痛い?」
「ぃゃ……」
「怖い?」
「…ぃゃ…」
「…じゃあ気持ちいい?」
そう尋ねると彼女は恥ずかしそうに首を縦に振る。髪の毛が揺れて頬を撫でた。
「もう少しだけしてあげるね」と伝えて、愛撫を再開する。一揉み二揉みと乳房に触れると、彼女の口から甘い声が漏れ出る。自身の劣情がヒシヒシと膨れ上がった。
「ブラ外すよ?」
「あっ…」
彼女のブラジャーのホックを外して、上にずらすようにたくし上げる。剥き出しになった瑞々しい胸を手の中に納めると、コリコリと発情した乳首が突いてきた。
「興奮してくれてるんだね?」
「いやん…言わないで下さいよぅ」
すると狙いは自然とその尖端へと向けられる。掬い上げて、包んで、揉んで、先っぽを摘まむ。彼女が快楽の音を響かせた。
牛から乳を搾るように、根元から尖端に少しづつ刺激を与えていく。両胸を同時に責めたり、或いは交互に責めたり。
次第に余裕を失っているのか、庭取ちゃんの呼吸の間隔が短くなっていく。体が出来上がってきたと判断して、俺の手は下半身へと向かっていく。
「あっ!駄目っ!」
庭取ちゃんが慌てて制止しようとしたときには、もう手遅れだった。
…ぐちゅり。
俺が股間の秘所に触れると、三角形の布地が湿り気を帯びていた。いや、湿ると言うには水分が多く、濡れていた。
思わず、愛液の触れた指を目線まで持ち上げて眺める。指先はヌラヌラとイヤらしい輝きを放っていて、それが愛おしく見えた。
しかし、それは下策だった。
「……~~~~~っ!!?」
目線まで指を持ち上げれば、当然のように彼女の視界にもそれが飛び込んでくるわけで、庭取ちゃんからすればまだおまんこ触られていないのにあそこが大洪水になってるわけで、度々つまり淫らな醜態を晒しているわけで、悶えて暴れた。
とんでもない恥辱攻めを食らった庭取ちゃんが暴れるのを察知して、逃がさないようにと捕まえる。片腕は胸を鷲掴みにして、もう片腕はお腹をぎゅーっと抱き締めて、がっちりホールドした。余りにも咄嗟の事だったので力加減なんて出来はしなかった。
「あっ!あっ!あっ!!?」
急に強烈な刺激を叩き込まれたせいで、庭取ちゃんがビクリと跳ねる。体を支える力を失った彼女をベッドへと優しく寝かせる。
「大丈夫?」
「……
「…ふふっ…」
庭取ちゃんが心配になって顔を覗き込めば、彼女がユーモア溢れる返答をしてきた。確かに口はだらしなく開いたままで涎を垂れ流しているし、瞳は涙が滲みトロトロに蕩けていた。うん、
彼女の口にキスを落として、唾液を少し流し込む。それを受け入れるように、彼女はコクンと呑み込んだ。
彼女の呼吸を整えるべく、少し攻め手を緩める。しかし、胸だけはこのまま強めに虐めることにしよう。まるでパン生地を練るようにして、張りのあるバストをニギニギと握って味わう。乳首と乳輪の性感帯は避けておく。
「…軽くイッてしまいました」
「そうだね。気持ちよかった?」
「…はい」
「今はどう?」
「……さっきよりは」
意識が戻ってきたようで、受け答えはしっかりしているようだ。ならば体は良い具合に温まっているので、そろそろ本題に入る。
「下着…汚れちゃったね。脱ごうか」
四つん這いになるように促して、彼女のお尻側へと移動する。パンツに手を掛けて、スルスルと脱がす。すると先程浣腸した時と同じ様に綺麗な丸尻が顔を出した。しかし、その奥からは発情した雌の香りを漂わせている。強い匂いでも酷い匂いでもなく、少し甘さと酸っぱさの入り混じった不快感のない仄かな香り。その匂いは男の性欲本能を掻き毟るように強烈で、後頭部を殴り倒されたかのように脳がグラグラと揺れた。
パンツを脱がしている間に、ホックを外していたブラジャーが重力に負けてポトリと落ちる。彼女は一糸纏わぬ生まれたままの姿で、四つん這いで這う背中は一匹の獣であり、雌の様に見えた。
愛らしく、愛おしく、愛でるだけでは飽き足りない。情欲のままに彼女を貪り尽くしてしまいたい衝動に駆られる。しかし、昂ぶる気持ちを宥めて愛撫を再開していく。
「…足、開いて」
「……」
「だめ。もっと開いて」
「ひぅぅ…」
彼女が恥ずかしさを堪えるように声を漏らしながらも開脚していく。すると彼女の女性器が剥き出しになる。赤色果肉の南国の果実を思わせるような彼女の肉穴は男を求めてパクパクと口を動かし、下品な涎を垂らしていた。
アナル調教に用意した指サックをこっそりと装着し、彼女の愛液を掬い取る。彼女の体質なのであろう高い粘性を持つそれを、女性器の唇に万遍なく塗していく。
「…あっ!?」
庭取ちゃんの肉芽を優しく擦ると、一際強い刺激に彼女の腰がガクリと抜けて落ちそうになる。全身を性感帯の様に昂ぶらせ、彼女の体は男の肉棒を受け止める受容器としての下準備をとうの昔に終えていた。このまま俺の雄をこのイヤらしい雌穴にねじ込んで、欲望のままに腰を振り、『俺の女であるという
一度頭を振って邪念を祓ってから、彼女の肉壺へと指を一本挿入する。初めて関係を結んでから幾度となく、繋がり、重なり、交わり、
「あっ…」
「ここが好いんだよね?」
「あっあっ…いいっ…んっ。そこっ…いいです…」
指を押し込んで膣道の腹側を指先で押すように刺激する。ゆっくりと少しづつ彼女の弱い場所を刺激していく。直ぐにでも矢鱈目鱈に掻き出してしまいたいが、まだ駄目だ。肝心の目的が果たせていない。
肉壺から指を引き抜くと、その
「ひゃん!?」
「…今触ってるよ。わかる?」
「は、はいぃぃっ……」
尻の穴に指をいきなりねじ込むような暴挙はせずに、菊座の入り口をクニクニと押して擦っていく。
「…どんなかんじ?」
「あんまり…感じません。お…お尻をほじくられて恥ずかしいですが…」
「もう少し続けてみようか?」
「はい…ひゃっ!?」
刺激に物足りなさを感じているらしく、庭取ちゃんの返事が随分とハッキリしている。アナル開発するなら感度マックスの完全な興奮状態を維持しておく必要がある。つまり、もう少しエロスイッチを入れておきたい。
という訳で彼女の肉芽を優しく撫でる。そして尻穴と同じ様にクニクニと押して、尻穴の攻めと快楽を線で結んでいく。
「自分で乳首を弄ってみて?」
「…あ…これ、すごく…いい……」
庭取ちゃんが指示に従って、片手を自分の乳房に持っていく。そっと胸を揉んで、乳首をきゅっと抓んだ。その刺激に彼女がピクリと震える。そのまま彼女は夢中になって胸を虐め始めた。
クニクニクニクニクニクニ…クニュウぅ!
「んんっ!?」
「…お?入った?」
しばらく穴への指圧マッサージを繰り返していたら、突如指が第一関節位まで突き刺さってしまった。
しかし、そこまでだった。びっくりした庭取ちゃんが尻に力を込めたせいか、穴がぎゅっと締まる。まるで指を別の生き物に食べられてしまったかのように噛み付かれ、二進も三進もいかなくなってしまった。
「……少しローション使おうか?」
一度指を抜きながら、庭取ちゃんにそう伝えて、予め買っていたアナル向けの粘性の強いローションを指にかける。そしてヌルヌルベタベタしたそれを彼女の尻穴に塗りたくった。
「冷たっ!?」
一肌に温めなかった為にヒヤリとした感覚が彼女の尻を襲う。
その様子に構うことなくローションを追加する。尻穴を伝い、下に落ちるローションを何度も掬い上げ、穴へと擦り込んでねじ込んでいく。次のステップに移るため手短に、しかしローションは惜しまずに彼女の穴を攻める。
「じゃあ…入れていくよ?」
ここまでは前戯。ようやく本日の目的のアナルの開発が始まった。
尻に指を宛がうと、少しづつ力を込める。
…つぷり。
ローションのお陰か、彼女は俺の指を受け入れる。指一本入れるのが限界だが、確かに彼女はアナル開発の第一歩を踏み出した。
「…庭取ちゃん?平気?」
「音弧さぁん…ちょっぴり痛いです」
「今日はここで止める?」
「…もうちょっとだけ続けて下さい」
「……じゃあ、入れるからな」
…つぷ…つぷぷぷぷ……。
「ひゃぁぁぁ……」
庭取ちゃんの体の中に指を入れていくと、凄まじい抵抗を受けた。ピッタリと閉じた穴の中を穿り返す様に人差し指で掻き分けて入ると、彼女が気の抜けた声で啼く。彼女の穴の中はギュウギュウにキツくて、指一本しか入っていないと言うのにギリギリと絞め上げてくる。このまま俺の男根を挿入したらモゲるかも知れない。
「指一本入ったよ。お腹、苦しい?」
「やばいです。おまんこと全然違う…」
「少しこのままの状態で休もうか」
「まってぇ…音弧さん…の顔…みたいです」
そう彼女にせがまれて、俺はアナルに指を突っ込んだまま、彼女の横へと移動する。
彼女の顔を見ると苦しそうに口元を結んでいた。恐らくまだまだアナルの感覚に馴染んでいないんだろう。
「…キス…してもいい?」
失礼な話だが、そんな風に俺のために我慢してくれている彼女が堪らなく愛おしくなった。
「して下さい…いっぱい……いっぱい、して欲しいです」
彼女の許可を得て、俺は彼女に唇を重ねる。舌をねじ込む性感を高めるような濃厚なものではなく、相手に愛情を注ぐような柔らかいキス。彼女の唇を弱い力で吸い出し、唇で甘嚙みするような啄むようなキスを何度も、何度も、何度も繰り返す。
「もっと…足りない。んちゅう……れる…れる…んぱっ……ちゅちゅちゅう…」
そんな甘いキスに庭取ちゃんは物足りなさを感じてしまったらしい。片手はアナルに繋がった不格好な体勢なんてお構いなしに、彼女は腕を俺の首に回して、もたれ掛かる様に縋り付いてくる。
自ら積極的に俺の口の中へと舌を挿入し、更なる快楽を要求してくる。
「んー!…うっぷ…はぁんっ………んちゅう、ちゅぷちゅぷ」
彼女の願いに応えるように俺は彼女の乳を揉む。一瞬だけ、彼女が驚いて攻め手が緩んだが、その後嬉しそうに口吸いを再開した。舌先同士がじゃれ合って水飴のような、甘くてねっとりとした音が口の中に響いて、脳味噌を掻き混ぜていく。
「…んぶっ!ぢゅぶ、ぢゅぢゅ!ちゅぱちゅぱ」
頭が熱を持って暴走していく。彼女の口をもっと貪りたくて、胸を揉んでいた手を背中に回して「もっと抱き着いて」と合図を送る。すると彼女はそれに応えるように四つん這いから膝立ちに変わり、空いた両腕で俺の首に巻きつく。全てを委ねるように抱き着いてくる。汗の滲んだ彼女の柔肌が俺の体にぴったりと吸い付いて来て、性感が高まっていく。
「んんっ!」
彼女の乳房が胸板を愛撫してくる。コリコリと勃起している乳首が体の上をなぞる感覚がとてもこそばゆい。
「んー!んーっ!?んああぁっ!?」
急に庭取ちゃんがキスを中断して嬌声を上げる。
「……痛い?」
そう言いながら彼女のアナルを攻める。ゆっくりと円を描くように尻穴を拡げていく。続けて直腸側から背中方面を攻めると、彼女は縋り付いてきた。
「…痛…くは、ないです。でも、…ヘン……」
同じ攻めをたっぷり時間を掛けて、何度も繰り返していく。尻穴を攻められるのは自然な事なのだと、彼女の肉体に教え込んでいく。
十数回程繰り返し、肉を掻き分けて拡げると、ギリギリ締め上げていた力は随分と弱まった。未だに指二本は厳しそうだが、指一本ならピストン運動にも対応出来るかも知れない。…でも。
「…今日の調教は此処までにしようか?」
指をアナルから引き抜くとツポリと音を鳴らしたような気がした。
「はぁ…はぁ…私、まだ平気ですよ?」
「突貫工事してお尻傷めたら後で辛いからね。今日は終わり。続きは今度。この調子でどんどん馴らしていこう」
本来、彼女のアナル開発は一ヶ月位の長期スパンで行うつもりだった。今日のアナル責めだって指を挿入出来ただけでも俺にとっては大躍進だ。彼女の頑張り次第でバージンロストの予定も早めて行けるだろう。
しかし、あくまでもそれは俺の計画での話。庭取ちゃんからしたら、納得できないらしく、少しだけ不機嫌そうな顔をした。
「心配しなくても庭取ちゃんのお尻の穴は俺が美味しく頂けるように、しっかり開発するよ。
でも今は…こっちの相手をしてくれない?もういいかげん辛くなってきた」
俺は指サックを脱ぎ捨てながら、自分の股間を指し示す。そこにはパンツが窮屈そうにテントを張り、先走りが盛大に染みを作っていた。さっきからずっと『待て』をさせていたせいか、俺の分身は恥ずかしいくらいに隆起していた。
「俺、庭取ちゃんの
それを聞いた彼女は嬉しそうに口角を吊り上げた。
「もう、本当にしょうがない人ですね」
そう言って彼女は俺を押し倒す。その嬉々とした顔は、とても妖艶で、とても小悪的で、とても蠱惑的で、俺の心臓を掻き立て、性欲を昂ぶらせる。
「よい……しょっと!」
彼女は俺の体を乗り越えて、ベッドの枕元へと手を伸ばす。そこにストックしていた
重力に引き摺られて自然と下に垂れる筈のバストは、彼女の乳の最大のチャームポイントである
「…とれ…ない……」
とかいいながら、彼女の体を支える腕がプルプルと震える。胸も振るえる。
……こ…こいつっ!狙ってやってやがるっ!
目の前に揺れる二つの果実に興奮してしまう。思わず両手で鷲掴みにして摘み取ってしまいたくなる。下半身が更に熱を持った。
「ふぅーっ」
「ひゃあっ!?」
「んぶっ!?」
魔が差して、彼女の乳首目掛けて息を吹き掛ける。彼女が驚いた拍子に腕の力が抜けて、上から彼女が落ちてきた。そのまま俺の顔が乳房に埋もれた。
「やわらかーい」
「ふふふっ……ちょっとー音弧さぁん。くすぐったいですってばぁ…あんっ!」
彼女の体を抱き枕にしてゴロリと横になる。彼女の谷間に甘えていると、彼女が甘い声色で柔らかく拒否をしてくる。それは照れ隠しに近いような物で、実際には満更でも無いことは彼女が俺の頭を抱き返していることで証明している。
「今日はこのまま乳房に甘えるだけでもいいかもしれない…」
「んーん…駄目ですよ。まだ、おちんちん硬いままなんですから…」
そう言いながら再度枕元へと手を伸ばして、今度は
「音弧さんのせいで私の体も火が着きっぱなしなんです…。あなたのを入れないと満足出来そうにありません。だから…。
私の体を…食べてもいいよ♡」
あの初めての夜から、このフレーズがすっかり本番前の『合言葉』……いや『愛言葉』になってしまった。『
だから俺はあの時と同じ言葉で返した。
「全部、食べるよ…」
「…じゃあ…決まりですね♡」
あの時と変わらない俺を求めるいじらしい仕草と表情。何度見ても、性交を重ねても、それにはドキリとさせられる。
そう思ったのも束の間で、彼女は俺の股の方へとスルスル降りていく。そして俺のパンツを脱がせにかかる。
ギンギンと布地を押し返す俺の男根。パンツがゆっくりと下げられて、下着のゴムが先端で引っかかり、そのまま足下の方へと釣り上がる。勃ち上がって、勃ち上がって、下着が外れてその姿を現す。恥ずかしくなるくらいにブルンブルンと揺れて、彼女の顔を叩いた。
「んきゃっ!?…ふふっ…元気なおちんちんですねー」
そう言いながら彼女は俺の亀頭にチュッとキスをした。思わず体が刺激でビクリと跳ねた。
俺の様子に気を良くした彼女は、手慣れた動作で俺に
「じゅぶっ!じゅ、じゅ、じゅぷぷぷっ…」
「あぁっ!…そこっ…やばい」
「
「咥えたまま喋らないでっ!?」
「
数回口婬を施すと、彼女の舌は俺を解放する。彼女の唾液で男性器がしっかりとした湿り気を帯びた。そして俺の男根を自らの蜜壺へと挿入するべく、庭取ちゃんは俺の上に乗る。
「いきますよ…。んっ!…んん……んー…あぁぁ…」
先端を穴へと宛てがい、肉棒が淫らな雌穴の中へと誘われていく。自分で気持ちの好い角度を調整しながら、ゆっくりと彼女は腰を落とす。回数を重ね、すっかり板に付いた腰使いで俺の物をズッポリと根元まで呑み込んで見せた。
「はぁ…はぁ…全部、入っちゃいましたよぅ?」
「あぁ、散々焦らされ続けたせいで今にもイッちゃいそう」
「もうちょっとだけ頑張ってください。もっと楽しみたいので」
「我慢するから好きに動いていいよ」
「はーい♡」
庭取ちゃんが嬉しそうに笑うと、立てていた足をペタリと女座りの様にして腰を下ろす。先端が最奥に到達して子宮口に触れる感覚がした。
彼女は俺のお腹の位置に手を置いて、少しだけ前傾姿勢になる。そして腰を前後に振るように抽送し始めた。
…くちゅ…くちゅ…くちゅ…くちゅくちゅくちゅくちゅ…。
騎乗位は女性が主体で動くことになるため、性感を自分の好みに調整出来ることがメリットだ。腰を上下にピストン運動するよりも、前後にグラインドする動きが彼女の子宮近くをグリグリと刺激し、俺の陰毛が彼女の陰核を刺激しているらしくて、気持ち好いらしい。彼女のお気に入りの体勢になっていた。
俺としても彼女が快楽を得ようと一心不乱に腰を振る様は興奮を覚えるし、同時に胸が揺れていて、そそられる。
「あん♡」
「手伝ってあげる」
たまらず彼女のプルプルと揺れる乳房に手を伸ばす。両方の胸を鷲摑みにして優しく揉み拉くと、彼女の口から甘い声が発せられた。
「…あん…ん…やぁん…」
「気持ちいい?」
「もっと…ちくび、あんっ!?」
「俺も気持ちいいよ」
「あっ、あっ!」
庭取ちゃんが嬉しそうに愛撫を受け入れてくれる。乳首を抓み上げるとビクリと体が踊る。その仕草に沸々と性欲が沸き上がる。
「そろそろ俺も動くよ」
「はい…動いてください」
体を起こして、腕を回して、彼女の腰を抱く。
彼女も俺を抱いて、腕を回して、体を密着させる。
対面座位と呼ばれる姿勢だった。
…ぐちょ…ぱちゅん…ぐちょ…ぱちゅん。
彼女の腰を持ち上げて、差し込む、何度も、何度も、何度も。二人の接合部から彼女の愛液がグチュグチュと掻き出されて、滑りを良くしていき、肉のぶつかる小さな音が遠くに聞こえる。彼女の柔肌が全身を愛撫していて、下半身の刺激に負けない快楽と安心感と多幸感を与えてくる。
彼女の体も性刺激以上にリラックスした状態らしく、獣の様な狂った嬌声では無い、愛し合う様な甘い吐息を漏らしている。その声が耳の中を掻き混ぜて、下半身が熱くなる。更に彼女へと俺のモノをぶつけた。
「……そろそろ、出そう」
何度かピストンを繰り返すと、睾丸の中がモゾモゾとして、竿の根元がぎゅぎゅぎゅっと疼く。射精感の訪れがいつもよりも早い。彼女への前戯で焦らしすぎたせいだろうか。もっとこの女の肉体を堪能したいという欲求と、彼女の
「いい…です。私のなかで…イって、イって下さい。沢山出して下さい」
そう囁かれると理性の
ばちゅばちゅばちゅばちゅばちゅばちゅばちゅ…!
「あっあっあっ!あっ!だめっ!凄い!奥、来るああっあっ!?」
「出すよ!このまま全部出す!」
「出して!出して!あなたを下さい!全部下さい!あっあっあん!」
彼女の喘ぎ声に叫び声が入り混じる。体が痛いのかも知れない。全身に強い力でしがみついているし、膣内もお構いなしといった具合にぐちゃぐちゃに突きまくっている。彼女の膣の中が不自然な痙攣を繰り返しているのが剛直に伝わっていた。
でも止められない、収まらない。
果てるまで、射精するまで。終わりそうに無かった。
「…うぅ……うぅっ!…でるっ!!」
…ドクン!ドクン!
「あぁぁあっ………」
臨界点を超えた俺の生殖器は、彼女の中へと精を放つ。ドクリドクリと竿が跳ねて、彼女の深い部分目掛けて吐き出された劣情の汁は
彼女の膣に性器を擦り付けて、睾丸の中を空にするくらいの気持ちで精を吐き出した。
数回大きな鼓動を終えると射精は止まった。射精後の敏感な体が、彼女の体に触れて弱い刺激を与えてきた。
「…はぁ…はぁ」
激しいラストスパートで息切れを起こしかけた二人の肉体が、酸素を求めて荒い呼吸をした。
「気持ちよかった…」
「…私も…です」
そう言うと、最後に俺は彼女と唇を重ねた。
◆
太陽が顔を出すよりも数刻ばかり早い時間。パチリと意識が覚醒する。ベッドから体を起こすと、眠たい眼を擦って辺りを見渡す。ベッドが一つに小さな衣装棚が一つの簡素な部屋。寝て起きて身支度をするだけの小さな部屋は、かつて居た牢屋よりも狭いはずなのに、凍え死ぬ心配は無く快適な空間だった。これまで牢屋や路地裏で夜を明かしていたものだから、此処が天国に思えた。
寝間着だった質素な布服を脱ぎ、仕事着に着替える。奴隷という自身の身分を証明する首輪と腕輪と脚輪は根元から鎖を断たれていて、動くことに不自由は無い。飼い主の命令に従順に従うと判断をされた証だろうか…とにかく自由に体を動かせて楽で良い。
身支度を済ませて廊下へと出ると、厨房へと物音を立てないように静かに駆け足で向かう。
「おはようございます」
厨房では料理人が朝食の下拵えをしていた。口数の少ない彼がこちらを一瞥したのを見て、厨房の角に置かれた掃除用具を取り出すと食堂へと向かう。
食堂のテーブルを綺麗に拭き、床を掃除して、真新しいクロスを掛け、燭台を磨いて飾る。
この屋敷の奴隷となってからは、これまでの生活とは一変していた。他の使用人達と共に屋敷への奉公をする傍ら、初歩の初歩の勉学を学び、時折ご主人様の剣術の相手役も務める。しかも三食休日付き。
奴隷身分には破格の対応だが、飼い主たるお嬢様曰く「私の
なる程…とは思った。この身は『不死の呪い』を受けた怪物の肉体だ。あらゆる『死』を拒絶する運命を捻じ曲げる呪いだ。肉壁くらいには使えるだろう。
剣術を学ばせているのだってお嬢様の身の安全を守るために必要だし、常日頃から傍に居るとなれば身の回りの世話も出来る必要がある。学が無いままでは日常生活すら危ういと思われるのも仕方の無い話だ。
お嬢様達の食事が出来上がる頃に使用人達の汚れた衣類やシーツを集めて洗濯置き場に持っていく。手早く食事を済ませて屋敷の庭を手入れする。女中が洗濯物を干し始めたので手伝う。昼食を食べてから靴磨き。剣術の稽古が始まったらしくて一緒に木刀を振る。
「はぁーっ!!疲れたーーっ!!」
横で地面に大の字になったお嬢様を尻目に目の前の相手に剣を向ける。相手は戦闘奴隷として買われ一兵卒にまで育てて貰った経緯を持つ、奴隷仲間であり先輩だ。
俺は彼から一本を奪う為に果敢に斬り込む。しかし、太刀筋を難なく読まれて、あっという間に倒された。
今日の戦績は二十戦二勝十八敗と散々な結果だ。たこ殴りにされた俺を見て、困ったように苦笑して、先輩は訓練の終了を告げた。
「ふふっ…私の勝ちだな」
俺よりも良い成績を打ち出していたお嬢様は、地面に寝転がったまま得意気に鼻を鳴らす。それが少しだけ悔しくて、ブスッと膨れっ面を作って隣に座る。
「ははっ!拗ねるな拗ねるな!…私の方は随分と手加減をされて居るみたいだしな」
それでもだ、俺はお嬢様の初めての専属奴隷だ。この先彼女の身を守る護衛役、社交の場へ出るならついて行けるように教養と礼節と作法、身の回りの世話ならば家事全般、なんでもやらなければ…。
「うーん…。私としてはそこまで気負いしなくていいと思うんだがなぁ」
そう言って彼女は腕を頭の後ろに組んで枕にして寛ぐ。ノンビリと雲の流れを見ながら、ふと空を指差した。
「あぁ、あれなんかどうだ?
彼女の示した雲を見る。大きな丸と小さな丸と棒が三本くっついた様な奇妙な形の雲。何度見ても猫には見えない。俺には床にこぼした牛乳の染みに見えた。
「分からないかなぁ…?
真っ白でフワフワで可愛くて。夕焼けで赤く染まったり、雨雲で暗くなったり、気紛れで。気が付いたら、ふっ…と居なくなってしまいそうで…」
そう言うと「傍に来い」とお嬢様は俺に命令する。素直に従って直ぐ傍に付く。
「コレを渡そうと思っていたんだ」
彼女が手にしたのは『銀色のロケット』だった。
「お前を手元に置いてから丁度一年だ。…だから…その…記念だ」
相手の目を見て、はっきりと物を言う彼女らしくも無く、口篭もる様に告げられた言の葉。
ありがとうと素直に礼を述べると彼女は嬉しそうに歯に噛む。
「じゃ!じゃあ、もっと傍に来い!それを首につけてやる!」
上擦った声で彼女がそう告げる。プレゼントしたばかりのロケットを取り上げると、留め具を外した。
成されるがままにお嬢様に身を委ねる。彼女がにじり寄ってきて、首に巻かれた奴隷の証に触れる。すると少しだけ悲しそうな顔をした。しかしそれも束の間で、俺の首に腕を回してロケットを着けてくれる。
「どっせいっ!!」
と油断していたら、いきなり彼女に抱きつかれて、そのまま芝生の上へと押し倒された。思わず声を上げて驚いてしまった。
「はははははっ!!」
彼女は愉快そうに俺の頭を抱きかかえて胸中へと収める。
「お前が居ると気持ちが随分と軽くなる。
…だから…ずっと傍に居てくれ」
その言葉の深意は理解できなかったが、俺は彼女の体をぎゅっと抱き返した。
この数年後、俺が居た屋敷は敵国との戦火に巻き込まれて、焼け落ちた。
俺はお嬢様と離ればなれになった。
◇
「ふっ…ふぅん…はぁん……」
庭取ちゃんがベッドの端に腰を下ろし、恥ずかしいくらいにガバリと股を開く。その目前に跪いた俺は彼女の濡れ慕沿った性器を眺めながら、あえて尻穴に指をねじ込んでいる。尻の中をこじ開けるように時間をかけてグルリと指でかき混ぜれば、穴がギュギュッと縮まり、絞め返してくるのを感じ取れた。それを受けて、指の腹で彼女の内壁を撫でてやると、彼女が快楽の波を受け止めるかのように大きく息を吸いこむ。
庭取ちゃんの『アナル開発』を初めてから三週間。尻穴への負担を減らすため凡そ三日に一度の拡張訓練。つまり七回目のアナルエッチだ。……あっ、月のモノで一回休んだから六回目か。
まぁ、しかし、感度向上の為に後半は愛撫や
長い訓練もあってか、庭取ちゃんのアナルは随分と具合が良くなった。
「…これはどう?感じる?」
「ふぅん…痛くはないです。はぁ…はぁ…でもぉ、刺激…遠いぃ。少し強くぅ…」
「こう?」
「あっ!いい…くるぅ……」
直腸内で膣道を刺激するように指で指圧すると、彼女はしっかりと快楽を感受する。
数を熟した彼女の尻穴は俺の指を二本咥え込んでいて、しっかりと解せば三本目でさえいけるようになっていた。
「ちゅちゅちゅーっ…」
「んんっ!?」
アナル越しに膣道への刺激を続行しながら、視線を彼女の上半身へと向ける。
彼女の上半身に寂しい思いをさせないようにと、空いた手で胸を揉み、片方の乳首を吸う。ちゅぱちゅぱと弱い力で吸い出すと、彼女が甘い声を漏らす。半ば寝そべるほどに仰け反った体を支える後ろ手がふるふると震えていた。
相も変わらず彼女の張りのある乳房は揉みごたえ抜群で、いつ触っても心地好い。口に含んだ乳首のコリコリした感触に興奮して、乳飲み子の様に夢中になって吸い上げると、彼女は一際大きく喘ぎ声を奏でて魅せた。
「ちゅぱっ!…じゃあ
一度指を抜いて、人差し指・中指に加えて薬指を彼女の尻穴へと宛がう。力を込めて押し込むと、彼女はすんなりとそれを飲み込んだ。
「…あぁ…あぁ…あっ!……まって…ゆっくりぃ…」
彼女の制止に従い、挿入をそこで中断して短く遅々とした速度で抽送を繰り返す。ぐぷぐぷと直腸に流し込んでいたローションが掻き混ぜられて、中からドロドロと漏れ出してくる。彼女の中が痛まないようにローションを追加して尻穴へとねじ込んで擦り込んでいく。
彼女の反応が落ち着いた所で挿入を再開する。指の味を覚えたこの不浄の穴は、俺のモノを受け入れるために、その形を馴染ませていく。
「ねぇ、庭取ちゃん?」
「はぁい?」
「三本でも痛くない?」
「だいぶ…うぅんっ!?な、慣れました…あぁ…」
三本の指を殊の外派手に動かしてあちこちを刺激しているのだが、庭取ちゃんは痛がる様子を見せない。全身をリラックスさせて快楽を感じ取ろうと集中する余裕も有るらしい。
ふうふうと荒く息をする彼女の顔を見て、思わずキスをする。すると嬉しそうに抱きしめ返してきた彼女も、ゆっくりと長い長いキスで答えてくれる。快楽を貪る激しいものではなく、相手の舌の形、歯並び、唾液量、体温、呼吸、それら一つ一つを愛おしそうに確かめ合う丁寧なキス。
しかし、いつまでもこうしているわけにはいかない。
「はぁ…はぁ…ねぇ、庭取ちゃん?」
「はぁ…はぁ…なん、でしょう…?」
彼女の手を取るとその手を自らの股間へと導く。そして彼女に俺の男性の証を握らせた。
「そろそろ…これ、
当初一ヶ月を目処に計画していたアナル開発。庭取ちゃんの体調を見極めながら慎重に行ってきたが、この辺りで限界に到達してしまった。
本来であれば、アナルプラグを入れて尻穴の奥の奥まで万全に開発してから本番に挑みたかったのだが…。
『
…と必死な剣幕で拒絶されてしまった。
どうにかデートで機嫌を直して貰えたが、一時はどうなることかと肝を冷やしたものだ。
それだけ彼女がこのアナル開発に重要性を見出しているかが窺えた。
とにかく調教道具が使えないのであれば、彼女の体の開発は指しか頼る物が無い。それさえも可能限界の領域に到達してしまったというわけだ。
「…あぁ…あぁ…やっと入れてくれるんですね?…処女…貰ってくれるんですね?」
「そうだよ。やっとだ…」
彼女が恍惚とした表情で男性器を見る。頬の色は赤く染まっていて、潤んだ瞳は期待に充ちている。
その淫蕩に満ちた顔に、俺の性欲が膨れ上がる。今すぐにでも押し倒してしまいたくなる。
「んあんっ!?」
「準備するからベッドの上に四つん這いになって」
「は、はひぃ…」
尻穴から指を引き抜くと、ズボリと下品な音を鳴らした。庭取ちゃんがヨロヨロと体を這わせてベッドの中央へ移動するのを見ながら、俺も後を追うようにベッドへと上がる。
そして彼女を姦通する準備に掛かる。
指サックを引き抜いて、ゴミ箱へと放り投げた後、
確かに生挿入でもアナルならば妊娠の心配は無いが、粘膜接触する関係でどうしても感染症のリスクだけは避けられない。俺が感染するだけなら未だしも、二次感染で庭取ちゃんの体にもしもの事が有ったら大事だ。それは認められない。
『心身共に健康的な男女の営みを』を信条としている俺としては、これだけは譲れなかった。
「…先に言っておくけど、指でのみ調教したから奥の方は未開発だ。十中八九痛いかも知れない。
それでも時間をかけて最後までやるからな。痛かったらちゃんと言いなよ?我慢は禁物だからな?」
「い、一々脅さないで下さいよぅ…」
「腹を括れって言いたいんだよ…俺はね」
「きゃっ!?」
尻臀を優しく掴んで撫で回すと彼女の体がビクリと跳ねる。相当数を熟してきたというのに、本当に彼女は好い反応をする。益々好きになりそうだ。しかし、ノンビリとイチャついている暇は無い。いや、全然物足りないが…。
もう既にアナルは程良く解している。
四つん這いになった庭取ちゃんの背中を見つめる。少し背が低くて、小さい印象を受ける彼女の肢体は、程好い肉付きをしている。小さな肩幅から伸びた背中はスラリと細く、腰回りに色っぽいくびれを作っている。その先には胸と同様にしっかりと形の整った綺麗な丸尻がある。見て触ってみた所、骨盤が小さめで、出産の時に苦労しそうな印象を受けた。
そんな尻肉を掻き分けると、彼女の尻穴が目に入る。穴は待ち遠しそうに、その口をパクリと開けていた。更には中に流したローションが涎の様に溢れていて「早く
昂ぶる気持ちを抑えつつ、俺は肉槍の切っ先を穴へと宛がう。
ぷちゅり…。
「あっ…」
「
ぬぷ…ぬぷ……。
「あ…あ…あ!」
後背位の体勢から、少しづつ力を込めて俺の性器を押し込んでいく。段々と亀頭が穴へと食い込み、呑み込まれていく。異物を感知した尻穴が驚いたようにギュギュッと締まる。そこで一度止める。
「今、亀頭が入った所。分かる?」
「はい…はいってるぅ…」
「平気?」
「…だい……じょう…ぶ…」
「……もう少し入れるよ」
…ぬぷ…ぬぷぷ…。
ガッチリと咥え込んでくる穴に、己の肉槍を慎重に突き立てていく。ガチガチにいきり立った俺の下半身は、彼女の穴をこじ開けるように侵入していく。ローションのお陰で随分と楽ではあるが、やはり締め付けが凄い。生じている摩擦を考えると彼女の負担が相当な物であると予想できた。現に彼女の呼吸は乱れて、喘ぎ声とも呻き声とも似付かない苦しそうな声を上げていた。
指で穴を解した時のように、中を解す。腰を上手く使って、剛直が彼女の中で円を描くように動かしていく。
「うぐっ…ぐっ……」
「休む?」
「…ふぅー……いやぁ、続けて下さいぃ…ふぅー…私、がんばりますからぁ」
「わかった。…もう少し脚を拡げて」
彼女が身動ぎして、言われたとおりに半歩分ほど足を開く。俺は彼女の腹側から股下へと手を伸ばして、女性器の割れ目へと指を這わせる。
「はぁぁぁぁっ……」
指先でヴァキナを浅く犯しながら、同時に手の腹でクリトリスを愛撫する。彼女が快楽を感じて、体が緩んだ隙を突いて、肉槍を更に少し奥へと入れる。ようやく半分を呑み込んだ。
休みを挟むように雌穴を強めに弄ると、割れ目からドロドロとした愛液が指先に絡む。尻穴から流れ出したローションが更に混じって陰核を汚していく。
「ふぅ-…ふぅん…ふぅ……んぁぁ………」
痛みが引いて、性感帯から流れ込む快楽が強くなったのだろう。庭取ちゃんの声が自然と甘い物になっていく。落ち着きを取り戻したようだ。
……さぁ、ここからが大変だ。
恐らく、俺が指で開発したのがここまで。この先は、指の届かなかった…庭取ちゃんには未知の領域だ。きっと充分に性感が鍛えられていないから、激痛が走るはず…。
「…行くよ?」
そう伝えて彼女の中へと肉槍は突き立てていく。
つぷ……つぷ……つぷ…………コツン。
「いぎぃっ!?」
「っ!!?」
俺のモノが彼女を刺激した。否、激しく刺した。
当たり所が悪かったのだろう。彼女が苦痛を訴えるような悲鳴を短く上げた。それに伴って、全身がガタリと震えて、穴全体が一気に収縮する。
急激な挙動は、俺の性器に多大な刺激と圧力を与えて、絶頂に押し上げようとする。実際の感覚は叩き落とすに近いのかも知れない。暴発しそうになる分身を抑え込むように、「黙れ」と歯を食いしばって念じる。股座にビクビクと数滴先走る感覚が訪れて、ジワジワと射精感が退いていく。
「ふーっ…ふーっ…ふぅぅっ。……庭取ちゃん大丈夫?」
大丈夫な筈は無いと頭で理解しているにも関わらず、そう問い掛ける。返事も予想通りだった。
「ね、ねこさぁん…いたい…いたいですぅ……」
痛みと涙の混じった声。彼女が苦しんでいるのが明確になり、悲しくなった。
しかしどうにもし難い。俺の肉槍は彼女の尻穴に半分より多く刺さった状態だ。先に進まないにしても、止まり続けるだけでも彼女の体は負担を強いられる。
ならば撤退か?
尻穴は本来排泄器官だ。ナニを入れるよりも
でも、このまま終了してしまえば彼女に恐怖心を植え付けることになる。彼女が今後アナルセックスを出来なくなるかもしれないだけならば未だしも、性行為全般に対して恐怖、或いは俺に対して不信を懐いてしまうかも知れない。
「…痛いよね…ごめんね」
「うぅぅっ…うぐぅ…」
愛撫も挿入も中断して、腕で腰とお腹を支えながら彼女の背中へと抱き着く。体重を掛けすぎないように配慮しながら肌を重ねて、熱を分け合う。動いた拍子に性器が擦れて庭取ちゃんが呻き声を上げている。
「ねこさん…いたいです」
「あぁ…馴れるまで中断しよう。嫌なら…中止も…」
「止めるのはイヤぁ……」
ぐずぐずと泣きベソを掻いているのに、撤退だけは認めない彼女。痛みに心が折れていないことに安堵しつつも、矢張り体の方は心配だ。どうしようか。
「奥ぅ…奥まで全部…入れて」
そう考えるのも束の間に彼女が続けざまに懇願する。それで決心がついた。
「……分かった。一度全部入れるよ」
「来てぇ…一思いに下さい」
やさしくお腹を撫でて伝えると、苦しそうな声色のままに彼女が受け容れる。
彼女を抱き締めたまま、角度を微調整して挿入を再開する。一度体が硬直してしまった事も有り、内部の締まりは非常にキツい。直感を頼りに、残り数センチを残すのみとなった俺の肉槍をゆっくりと、しかし一息に押し込んだ。尻穴はぐぷぐぷと男性器を苦しそうに受け容れ、そして彼女の尻と俺の腰が密に接触した。
「…全部入れたよ」
「…ゼィ………ゼィ………ぜ…ん…ぶ?」
「そう、全部。…頑張ってくれてありがとう」
「…しょじょ…ゼィ…あげれ…ゼィ…ましたか?」
「ちゃんと貰ったよ」
「そっかぁ…ゼー……やったぁ……」
喘鳴を繰り返す彼女。しかし、嬉しそうな声色が混じる。表情が見えないのが少し惜しく思えた。
「少し、休憩しようか」。そう告げて彼女と繋がったまま、二人でタイミングを揃えて横に倒れる。『後側位』と呼ばれる体勢のまま呼吸を整える。やはり痛みは簡単には退かないらしく、彼女の呼吸は乱れたままだ。
…しかし、先ほどから彼女の穴が俺のモノをキュウキュウと締め付けてくるせいで性衝動に駆られそうになる。堪らずに身動ぎすると、彼女が声を上げる。
「あっ…」
「少し、弄るよ」
休憩中も互いの興奮状態を維持するために、他の部位を可愛がることにする。庭取ちゃんの両脇から腕を通して、両手で彼女の乳房を愛撫する。彼女の下乳から掬うように揉み上げて、乳首をキュッと摘まみ上げる。
「んっ…ふっ…ちょっと、休めませんよぅ」
「でも、このままだとお尻の痛みがジンジン来るでしょ?少しでも分散しないと…」
「あぅん!?」
長い時間を掛けて、揉んで、摘んで、揉んで、摘んでと繰り返していくと、次第にいつもの甘い吐息が混じり出す。
…そろそろか?
「庭取ちゃん?」
「…あっ…うぅん……なんですかぁ?」
「お尻はどう?」
「ん…んん…?まだ、いたいですけど…だいぶ楽かも…」
「ここも感じられるように開発しようと思うんだけど…どうかな?」
「…あぁ…ふっ…気持ち良く、してくれるんですか?」
「大丈夫。今の庭取ちゃんなら気持ち良くなれるよ」
「して…して下さい。気持ち良く。私を…愛して…」
「…じゃあ、動くよ?」
そう伝えて腰を動かす。とは言ってもガンガンとピストンするわけでは無い。それをしたら、ただの拷問だ。角度を付けて彼女の腹部方向、より正確には子宮口近くのポルチオ性感帯に目掛けて先端をグニグニと押し付けていく。
合わせて彼女の下腹部に手を伸ばし、下腹部全体を擦るように撫でていく。時折、恥骨の周辺を圧迫し、親指で弱くノッキングしていく。
「あっ…あっ…うそ?…ちょっと、いいかも……んっ!?」
庭取ちゃんは、俺との初めての時、基本的な性感帯は充分に開発されていた。だから彼女が更に気持ち良くなれるように、『中イキ』出来るように、此処を意識してセックスをしていた。
「いや…まってまってまって…何でこんないきなり…」
「俺が庭取ちゃんのエロスイッチ鍛えまくったお陰だね」
「やぁ…ねこさん…ねこさんまって」
やはり予め前戯で一回イかせておいて正解だった。熾火の様に燻っていた体が、性感帯の刺激で再発火しだした。彼女は刺激の中から快楽に通じる部分を徐々に汲み取り、掬い上げていく。体がビクビクとふるえて、甘い喘ぎ声に変わっていく。
「あっあっ、あっ、あっ。ねこさぁん、来てます。いいの…きてますっ」
「どこが、どんな風に?細かく教えて?」
「なんだか、し、子宮が、赤ちゃんの、お部屋の辺りが、きゅきゅきゅーって…なって、切ないです」
「ここ?」
「あっ!?やめてっ!そこ!?良すぎ!」
「じゃあもう少ししてあげる」
「うそやだやめてきもちいい!きもいちいぃあぁぁあっ!?」
程好く熱を帯びた女体に攻め手を変えていく。腹部を刺激していた手がスルスルと秘所へとシフトしていく。既に解れきった彼女の蜜壺は、粘性を帯びた愛液で満たされていて、垂れ流れた滴が内股をヌルヌルと濡らしていた。それを確認してから指を雌穴へとねじ込んでいく。発情しきった彼女の穴を二本の指でクチュクチュと音を立てて優しく掻き混ぜながら、同時に親指で肉芽をクニクニと刺激していく。彼女が藻掻くのを封じるように、下敷きにされたもう片方の手で乳房を強く揉みながら傍へと抱き寄せる。極め付けには、半ば彼女を押し潰すように垂れ懸かり、開いた足の間に自らの足を絡めて動きを封じていく。
「…ぐひぃっ!?」
一度位置を調整するために僅か一センチ程性器を抜いて、そして入れる。その拍子に強いに痛みが生じて彼女から息が漏れる。穴の中がギュっと締まって、精が溢れそうになった。
「凄い…締め付け。おまんことは全然違うな」
「あっ!はあぁっ!?」
再び腸壁を責めていくと彼女が快楽を帯びた声を出す。痛みが緩和するようにと、周りの攻め手を少し強くする。刺激が強すぎたせいか彼女が小さく絶頂を迎えて体を丸めようと動く。その際に直腸が別の部分を刺激して、嬌声を上げた。
「庭取ちゃんのお尻、気持ちいいよ」
「だめだめっ!?イってる!私もうイってるからぁ!?あ゛あっ!ま、まって、そこのグニグニまって!?また、またぁあっ!?イっちゃう!来ちゃってるからぁああぁっ!?」
「じゃあ…このまま一緒にイっちゃおうか?」
「あがっ!?あっ!!おち、堕ちる!ちんちんにイカされる!?あぁっ!?怖いっ!?怖いの!イキすぎて怖いっ!?」
「大丈夫、ちゃんと傍に居るから。引き戻すから。今はイこうか?」
そう言って一気にラストスパートを掛けていく。出来上がった彼女のヴァキナから愛液を掻き出しながら、尻穴の肉槍を小さくピストンしていく。幾度となく絶頂し、痙攣し、弛緩した彼女の体は俺の怒張を難なく受け容れる。発する声も快楽に支配された獣のようで、痛みも快楽として感じ取れている。とても具合が良かった。
「…っ!そろそろイケそう…」
「あぁっ!またイク!?ふわぁあっ!?あ゛ぁ!?あぁぁあっ!」
「このままお尻に出すよ!」
「出る!?出るの!出して!!せーえき出して!?私で気持ち良くなってぇぇ!!」
そう言うと彼女の体が俺の怒張を一気締め上げ、射精へと導く。力づくで射精を我慢していた俺は、それに抗うこと無く達した。
「でるっ!!」
ドクン!…ドクドクドク……ドクン!……ドクン………。
溜めに溜め込まれた射精感が堰を切ったように噴き出す。数回の痙攣を繰り返し、射精の波が退いたのを確認すると、ズルリと性器を尻穴から抜き取る。強い負担を掛けてしまった彼女の尻穴は、パクパクと小さく、情け無く、開閉を繰り返していた。
直ぐさま性器を覆う
「やっと顔が見れた」
彼女の顔は涙と唾液塗れで、昇天寸前の蕩けきった、だらしない表情を見て安心する。しっかりと気持ちよくなってくれて本当によかった。
そのまま彼女の頭を胸の中に収め、背中を優しく撫でた。
「…音弧さんいつもより一段とスケベでした。私の事、物みたいに乱暴に扱って…ヒドいです」
暫くして、朦朧とした意識から回復した庭取ちゃんが頬を膨らませて苦言を呈してきた。確かにいつもよりも強く快楽に落として開発を一気に進めたから、彼女には刺激が強すぎたのだろう。一応意識が飛ばないように調整はしたつもりだったが、やり過ぎてしまった。
「庭取ちゃんの処女だと思うと、興奮冷めやらぬ感覚だった。無理させてごめんね」
そう言って、背中を摩るのを続行する。彼女が嬉しそうに破顔して身を寄せてきてくれているから効果があるのだろう。
「どうだった、初アナルセックスの感想は?」
「……はぁ…よかったですよ。それも凄く」
「またしたい?」
「どうしましょう…正直、今、お尻がガバガバな感じで、元に戻るか不安です…。
でも、気持ち良かったんですよね…」
「そっか…。取りあえず、無事に処女体験出来てよかったよ」
「♡」
彼女の穏やかな頬笑みを見て、思わずおでこにキスを施した。
◆
鈍い銀の光を放つ直剣を袈裟斬るように振るう。振り下ろされた剣筋は敵対していた傭兵の二の腕から先を切り落とし、手にしていた曲刀が地面に落ちてカラカラと金属質な音を響かせる。その痛みに悲鳴を上げた敵兵に追撃するように二の太刀を振るう。刃は相手の首半分を切断し、頚椎の骨に食い付いて止まる。しかし、静脈を裂き喉笛を掻いた刀身の隙間から鮮血がドプドプと流れだし、全身を痙攣させて、敵は事切れた。
敵兵の所持していた曲刀を拾い上げると、直ぐさま新しい敵を探して駆け出した。
『不死身の怪物』と呼ばれていた俺は、貴族の令嬢に隷属し、彼女の懐刀として身を守る役目を担うはず
しかし、『死なない
初めて知った。『負け』とは『己の望みを奪われる』事なのだと。
これまでの人生、『自身』と『敵』のみで、『味方』という繋がりを知らなかった…俺の中に欠落していた部分があったせいで犯した間違いだった。
俺が彼女と過ごした屋敷は僅か数刻で見るも無惨な死体と血糊で装飾を施され、生存者は俺一人と偶然遠方に買い出しに出かけていた女中一人のみだった。
亡くなられた当主様の伝手を使い、国の兵士として召し抱えられ、腕を磨き、ある程度の地位を手に入れた頃、昔
「…見つけた」
かなり上位の階級の貴族が持ち主らしいその屋敷の敷地は広大で、グルリと巡るだけでも一苦労だった。そんな屋敷の小さな書庫に地下への隠し扉を見つけた。
直ぐさま近くにあった燭台に火を灯して、僅かな光源を頼りに、暗い穴蔵へと足を踏み入れた。
暗くジメジメとした地下への階段を一歩、また一歩と降りていく。二十段ほど歩けば、すぐに地下へと辿り着いた。そこから更に奥へと進めば、二つの小さな牢屋。一つは空部屋。一つは…。
「お嬢様…」
薄汚い毛布にくるまって眠る人物。浮き出た体の線から女だと分かった。そして、金の髪と少し痩せ細った顔立ちから、俺が求めて止まない彼女であると判別できた。
二人を隔てる牢屋の鉄格子が邪魔で、居ても立っても居られず、手にした直剣を叩き壊す勢いで二三度振り下ろして、錠前を叩き壊すと中へと飛び込む。
抱き起こした彼女は毛布以外は何も身に着けてはいない、人の尊厳さえ奪われており、白い肌には痛々しい打撲痕に
「………やっと……やっと会えた」
気が付いたときには、募った思いのせいで加減すら忘れて彼女を抱き締めていた。
お嬢様を保護した後、俺は国に長い休暇を求めた。お嬢様の傍にいてその身を介抱し、少しでも快方に向かって欲しいと思ってのことだった。
その頃、我が国も冬の時期に差し掛かり、降り注ぐ白雪は積み重なって陸路を断絶する。悪路を踏破しての隣国攻めは軍隊にも大きな負担を強いるため、近隣諸国は防衛に務める傾向がある。幸いにも俺の嘆願はすんなりと通った。
自身の領地を持たない末端の貧乏貴族の身とはいえ、『不死身の怪物』と呼ばれる位には名を上げた俺を、我が国は重要人物としてくれているらしい。与えられる報奨はかなりの物で、数名の従者を雇い入れても食いつめる心配は無い。元を正せば奴隷身分だった…いや、もっと言うならば道ばたの石ころの様な存在だったというのに随分と成り上がったものだ。
「…ん?」
そんな感慨に耽っていると部屋の扉をコツコツと小さく叩く音がした。机の傍らの小高く積まれた書類仕事を放棄して、件の扉に視線を向ければ、そこから声が聞こえた。
「…○○…まだ、起きているか?」
「お嬢様?」
冷たい雪がしんしんと降り積もる真夜中、廊下から彼女の声を聞いた。扉を開けた先には、やはり彼女が居て、その宝石の様な瞳がこちらを見上げていた。
「…夜分遅くに…済まない」
「いいですよ。どうぞ中へ」
部屋へと招き入れると、彼女はいつものようにベッドへと腰を下ろす。
それを見て机の上の
「やはり一人では眠れませんか?」
「…う…うむ……」
一人で眠れないなんて子供っぽい所が有るんだな…とか、そんな可愛らしい話では無い。生き別れてから数年、その間に彼女は悪徳領主の元で性奴隷に堕とされた。助け出した頃にはもう手遅れ。彼女の心は傷だらけで、夜が怖くて眠れなくなってしまったらしい。
恐怖を振り払うように彼女がぎゅっと身を寄せて抱き着いてくる。その要求に応じるように彼女の背中に腕を回して、抱き締め返した。
「どうか眠って下さい。ずっとこうしていますから」
「あぁ」
幼い頃に何度かお遊びで同衾したことはあったが、今となっては成熟した男と女だ。男である俺とは全然違う彼女の柔らかい腰付き。胸に当たる温かい吐息。そして女の色香に、どうしようも無い緊張と劣情が湧いた。
彼女は外道な輩に下品な下半身の邪淫の塊で玩具のように弄ばれて、拭い去る事の叶わない深い傷を負ったのだ。だと言うのに、俺がこの様な体たらくでは格好が付かない。己の頭の理性と良心に訴え続けてては自制し、自身が興奮しているのを覚られぬようにと、自然に腰が引けた。
雑念を祓うように頭の中で羊を数えていると、彼女から静かな寝息が聞こえてくる。
俺もそのまま彼女の寝顔を見て、深く眠りについた。
◇
「…んっ!ん~~っ!着いたーーっ!」
レンタカーから勢い良く飛び出した庭取ちゃんは、息を大きく吸い込んで、うんと背伸びをした。長時間、車のシートに座っていた反動で、すっかり凝り固まってしまった体を捻って解している彼女を眺めながら、俺は車から旅行鞄を下ろす。
「音弧さん音弧さん!着きましたよ!温泉!温泉ですよっ!しかも天然!源泉掛け流しの奴です!!
はぁぁあっ…。この温泉独特の硫黄の香りがたまらないっ!早く入りたい!むしろ私が温泉になりたい!温泉成分になりたい!んでもって温泉卵が食べたいです!」
「落ち着けー庭取ちゃん。温泉宿は逃げないぞー」
車の中で終始「良い湯だな♪」とババンババンバンバンと歌い続けていた庭取ちゃんのテンションは既にトップギアになっていた。
無事に退院した怒突に養女ちゃんを返して、彼等の日常生活も問題ないレベルに達したと判断できるようになった今日この頃。庭取ちゃんからある提案がされた。
『音弧さん!温泉に行きましょう!二泊三日の豪華料理付きで!』
そう言えば十二大戦の折りにそんな約束をしていたのを忘れていた。特別反故にする理由も無いし、俺は彼女の提案に賛同した。こうして彼女にオススメの温泉旅館をリサーチして貰らい、はるばる足を運んだのだ。
山麓に位置するこの宿は居住地域や商業地域からは少し離れていて、何よりも自然が豊かだ。一度大きく息を吸い込めば、若草の生い茂る独特の青い匂いがした。都心部も便利で快適だが、自然の豊かさは精神の豊かさにもなりそうだと思えた。
何よりも自然が多い環境は懐かしい記憶を思い出す。……ちょっとだけホームシックになりそうだ。
「そう言えば音弧さーん?知ってますか-?
『裸の付き合い』って言葉があるじゃないですかー。お風呂に入れば裸一貫。身分も職も関係ない、心に邪魔な物も無しでオープンなコミュニケーションが出来ます。元々江戸時代の銭湯って言うのは男女の区別も無かったそうですよ!つまり混浴ですよ!混浴!裸の付き合いは男女の垣根さえ飛び越えてしまうんです!同性同士だけでなく、男女や親子で仲良くお風呂に入れば距離も近くなって絆も深くなります!よくよく考えたら音弧さんが私に『好き』ってちゃんと言ってくれたのはラブホで一緒にお風呂に入った時でしたね!混浴っ!いいですね!
でもでも!そんな日本の混浴文化も、『湯女』って言うんですけど、そういう人達が体を洗うサービスをする他、時には売春行為をして、風紀を乱しまくるものだから、江戸幕府や明治政府も幾度となく禁止令を出したそうです!今現在、お風呂が男湯と女湯に別れているのには、そんな公序良俗の背景があるのです!現代混浴文化は衰退の一途を辿っていて、お目こぼしを頂いていた貸し切り風呂や家族風呂なども、自治区によっては規制が掛かっているそうですよ?
実際、お風呂での淫行は混浴文化の悪しき側面です!『神聖かつ人類の共有財産たる温泉でなんてことをするんだっ!』と、かつて私も湯浴みでの淫蕩に苦言を呈した物です!でも、ぶっちゃけ、お風呂で音弧さんとイチャイチャするの楽しいので、最近アンチを気取れなくなってきました!どうしましょう音弧さん!」
「ひとまず深呼吸して落ち着いてみたらどうかな?」
何だか今日の庭取ちゃんはテンションマシマシアゲアゲでグイグイ来ている。余程温泉が楽しみなのだろうか。彼女の顔が喜色満面に染まっていた。
「そうそう、これは大事な事なんですけどね…」
突然彼女が隣りにやって来て、俺の腕に細腕を絡めて、柔らかく弾力のある胸を押し当てながらこう告げた。
「私達の泊まるお部屋。露天風呂付きの良い奴ですからね♡」
そう言って、頬を染めて恥ずかしそうに笑っていた。
庭取ちゃんは『自己演出』と言う観点に於いて、高い能力を持っている。…と俺は思う。何と言うか、彼女の一挙一動は妙に男心を擽るのだ。
彼女は齢十五の時に『記憶障害』を患っていて、最近まで小さな頃の記憶を失っていた。
詳しくは聞いていないが、恐らく心身共に限界寸前まで追い込まれたのだろう。きっとそんな罅割れた少女の器に『戦士の技術』を並々と注ぎ込んだのだ。つまり、彼女の中には『戦士としての自分』と言う物が大きなウエイトを占めていたのだろう。
では、彼女の『
可愛い方が好ましい。
笑顔の方が好ましい。
明るい方が好ましい。
健気な方が好ましい。
元気な方が好ましい。
気弱な方が好ましい。
戦場だろうが、闇組織だろうが、人との交流とは避けられない事項だ。だったら少しでも都合して貰えるように、相手に取り入るのは極めて自然な事である。
『赤ちゃんの姿は母親に愛されるために、計画的に可愛い姿して産まれてくる』と聞いた事がある。それと同じ様に彼女は『自身を最適化』したのではなかろうか?
例えるならば砂粒のお姉さんなんかが、それに近い。彼女は『和平交渉』の際、とても柔和な笑顔の『仮面』を被る。「そうした方が『物事を円滑に進められるし、軋轢も摩擦も少なく済む』…そうですわよ。全くもって小憎たらしい」と異能のお姉様は言っていた。つまりは砂粒のお姉さんの処世術なのだろう。同様に庭取ちゃんは戦士として生き残るために、今の人格を手に入れたのだと思う。
それに拍車をかけているのが彼女の異能力『鵜の目鷹の目』だ。あらゆる鳥達と意思疎通をし、時には視覚まで共有する異能力。通常の戦士達がやっている索敵をより広範囲に、更に複数の視点で『俯瞰』・『鳥瞰』する技能。それは彼女の『客観的視点』をより強化していた。
『人の振りに見て、我が振り直せ』なんて言葉があるが、彼女ならば『我が振りを見て、身の振りを直せてしまう』。何せ彼女の視覚に死角は無い。
自身すらも一歩後ろに下がった状態で認識出来る彼女特有の『目』。研ぎ澄まされた『客観的視点』は、時に自身すらも『駒』として冷静に冷徹に扱えてしまう。自分の事なのに『他人のように』扱えてしまうのだ。それを裏付けるかのように、彼女は周りを『状況の構成要素』だと言っていた。だからこそ、自身を、他者を、巧みに
現にそんな『強か』な考え方が、これまで彼女を生かしてきたのも、また事実だ。
『気弱だけれど弱くは無く。強くは無いけど強かで。力は無いけど無力ではなく。賢く無いなら小賢しい』
彼女は状況に合わせて『自身を作り』、周囲に合わせて『自身を偽り』、相手に合わせて『自身を欺く』。まるで舞台役者が『役作り』をするかのようにだ。
そんな日常を繰り返し続けて来たからこそ、彼女は『自身を見失った』のでは無いだろうか。
つまり、その気になれば庭取ちゃんは『可愛い自分』を容易に『作り出せる』。だからこそ彼女の仕草は、俺を魅了して止まないのだ。
しかし同時に心配になってしまう。
彼女が俺と付き合う事で『無理』をしては居ないだろうか。
『俺を手に入れる』為に『偽って』は居ないだろうか。
別に「俺の事が好きで、自身が使える、一番の手練手管を使用している」のならばそれはそれで一向に構わない。男冥利に尽きる。
でも、そうでは無く。…例えば「丹羽家が『不死身の肉体』を狙っていて、それを達成するために、自分の肉体を利用している」としたならば。
俺は彼女の目の前から、記憶から消えるべきだろうか…。
「……音弧さん?どうしたんですか?」
「ん?…あぁ、御免。ちょっと見とれてただけだよ」
そんな思考に耽っていると、庭取ちゃんが声を掛けてきた。
既にチェックインを済ませ、早速個室風呂に一緒に入ることになった。嬉しい事に混浴だ。
現在彼女は、手の込んだ前髪の三つ編みを外し、ボブカットの髪を頭の上で一纏めの小さなお団子に結い直し、解れ毛を多数のヘアピンでしっかりと固定していた。無防備に晒されたうなじが、何とも言えない色気を放っている。
「もう、恥ずかしいからそんなにジロジロ見ないで下さいよぅ」
そう口を尖らせると、彼女は背を向けて衣服を脱ぎ始めた。
それに倣って、俺も衣服を脱ぎ始める。
(…あっ、そう言えば)
シャツを脱いで、上半身が裸になってから、ふと気付く。
『
俺の左胸に刻み込まれた『呪いの痕』。一目見れば火傷の痕のような、或いは刺青の様な紋様は、どうにも堅気の人間には見えない。確か日本の大衆浴場は『刺青のある人はお断り』だったような気がする。
「もしかしたら気を遣ってくれたのかな?」
そうだと嬉しいなと願って、想像を口から小さく漏らした。
「音弧さーん!先に行きますよーっ!」
そんな俺の様子なんてつゆ知らず。庭取ちゃんは我先にと、露天風呂へと突撃していった。
終始「温泉♪温泉♪露天な温泉♪」とウキウキ唄を歌う彼女の様子から、先に予想した気遣いがあったようには、到底見受けられない。やはり偶然だろうか。
一先ずは大浴場へは行かない方が良いなと決めて、急いで彼女を追った。
個室の内と外を仕切る扉から表へと出ると、そこには絶景が広がっていた。露天風呂は切り立った崖の様になっている。眼下には綺麗な渓流がせせらぎの音を奏でており、鳥の囀りが聞こえてくる。生憎と季節を外してしまったが、これが秋の終わりならば綺麗な紅葉に彩られた人気の一室であっただろう。やはり、宿を彼女に任せて正解だった。
「音弧さーん!早く!早くーっ!」
庭取ちゃんが洗い場の方で俺を呼んでいた。どうやら体をしっかりと洗ってから入るらしい。
「背中流して下さい!」
そう言いながら彼女は自前のスポンジを差し出してきた。
「あっ、ソープ少なめで。軽く垢を落とせればいいので」
「りょーかい」
指示に従って、彼女が持ち込んだmyカゴの中にあるボディーソープから石鹸を二滴垂らして泡立てていく。そして真っ白な泡を含んだスポンジを彼女の背中に宛がった。
「んっ…ふぅっ……」
「どう?痛くない?」
「もう少しだけ優しく。固めのスポンジだから…お肌、傷付いちゃうので」
肩からお尻の近くまで上から下へゆっくりと泡で撫でていく。くすぐったいのか、彼女は少しだけ身を捩った。
「…相変わらず好い体してるよなぁ」
「もう、エッチ…」
庭取ちゃんに見取れて素直な感想を述べると、彼女は恥じらうように、拗ねるように、嬉しそうな声色で俺を窘めた。
元々男受けする、凹凸のある体をしていたが、最近益々腰回りが細くなった様な気がする。彼女は俺との逢瀬の際に、全身をビクビクと痙攣させて絶頂を迎えるものだから、自然に筋肉と体力がついているのだろう。何よりも初めての時と比べて、持久力が大違いだ。
「はい、終わり。前は自分でやってね」
「あれ?触らないんですか?」
「やってもいいけど、このまま
「むぅ…それは困ります」
彼女は少しだけ考え込むと、突然立ち上がった。
「音弧さん音弧さん!ここに座って下さい!」
そう言って俺を椅子へと促す。(あ、これ、企んでる顔だ)と彼女の営業スマイルを見て覚りながらも、致し方なく座る。いや、本当に、致し方なく。
「んっふふ~~♪」
上機嫌な彼女は俺の背後で膝を着くと、いきなり抱き着いてきた。
「えいっ♡」
「っ!」
体の前面にソープを塗したヌルヌルとした感触と、弾力の強いムニュッとした感触。そして、外気に冷やされて少しだけ冷たい体温が背中を襲った。それはつまり彼女が自らの裸体を押し付けてきたのだ。
予感はあっても流石に驚いた。
「オッパイスポンジですよー?如何ですかー?気持ちいいですか-?」
遊び心を滲ませたような声で、彼女は形の良い張りのある乳房を惜しみなく擦り付けてくる。胸の先に在る二つの突起が次第に硬さを帯びて、背中を擦ってくるのは気付かないフリをした。
「あぁ、気持ちいいよ」
「えへへ」
彼女は嬉しそうに、楽しそうに魅惑的な体を這わせる。背中を撫でていた手は胴回りを抱き締める様に前へと進み、俺の腹部と胸部に腕を回して優しく撫でる。白魚の様に綺麗な指先が蠢いて、こそばゆい刺激を全身に与えてくる。
「…んっ……それで?…温泉での…淫蕩は御法度じゃ無かったの?」
「はい、言いましたよ-?でもでも昔の『湯女』って体を洗浄するだけじゃなく、チップを貰うためにこう言う行為もしていたっても言ったじゃ無いですかー?歴史的ですねー?文化的ですねー?つまり今の音弧さんと私は歴史的で文化的に温泉を堪能してるって訳ですよ。
それでも温泉マナーを気にしますか?しかし、ご安心下さい。まだお風呂に入って居ないんで、ギリギリただの野外プレイであり、時折やってるローション…いやソーププレイです!
そもそも私の事が大好き過ぎるエロエロ大魔王な音弧さんが、キュート&セクシーな私と混浴しようものならば、イてもタっても居られないのは明白です!だったら温泉前に一発抜いて、音弧さんには賢者タイムになって頂こうかなと思います!」
「いやいや、その温泉の歴史的文化的背景は既に過去の物になりつつあるんでしょうよ。隣の個室にだって人は居るんだから公序良俗は弁えるべきでしょ。
あと、ソーププレイはアウトだから。それ完全にお風呂で風俗の奴だから」
「とか言いつつ、ここは正直ですねー」
そう言って彼女はタオルで隠していた俺の局部へと手を滑り込ませる。恥ずかしい話だが、庭取による一連の色仕掛けで俺の下半身は既に臨戦態勢を整えていた。
これは致し方ない事なのだと弁明させて欲しい。俺が少なくない好意を抱いている彼女が、こうも積極的に誘ってくれているのだ。反応しないわけが無い。これが彼女の作戦の内なのだとしても、乗らずには居られない。
「…狡いな。こんなことされたら治まりなんて着かないよ」
「そうですよー私は可愛いくて小賢しいんです。でも大丈夫ですよ!
……ちゃんと抜いて上げますからね♡」
耳元に唇を寄せて艶めかしく囁くと、彼女は俺の怒張を握りしめた。
俺のモノを掴んだ彼女の手の平は石鹸の滑りでヌルヌルと絶妙な力加減の刺激を与えてくる。それがゆっくりと上下運動を始めた。
「ふっ……ふっ……」
「ふふっ、感じてますねぇ」
更なる追撃を仕掛けるように今度は胸と首筋を同時に責め始める。空いたもう片方の手の指先が俺の乳輪付近を沿うようになぞっていき、普段とは異なる刺激がした。首筋の方は彼女の唇がカプリと甘嚙みをしていて、ちゅうちゅうと吸い出して甘い痺れを与えて来る。恐らく日頃俺自身が彼女に施している愛撫を手習いにして模倣しているのだろうか。とにかく心地良い快感が全身を覆うのだった。
彼女との性行為は『献身的』と言う言葉がとてもしっくりくる。相手に取り入る際下手に出るスタンスや、ご機嫌を取るために相手の機微に注意する性分から由来するモノだと思うが、常に彼女は相手を窺っている。
彼女が攻め手に回る際は、常にこちらの反応を伺い、「気持ちいいですか?」と問い掛けてくる。いつも相手を性的に弄ぶと言うよりも、『ご奉仕』している様な形に落ち着く事が大半だ。
彼女が受け手に回る際は、与えられる快楽によがり狂うよりも、相手から与えられる行為を一身に受け止めようとする動きが見える。
今回の様に小悪魔の様に悪戯っぽく主導権を握って、性的に迫ってくる彼女はかなり珍しい。もしかしたらこの『温泉旅行』と言う現在の状況が彼女を開放的にしているのだろうか。
「…音弧さん?どうかしましたか?」
「ん?いいや、なんでも無いよ?」
「…嘘ですね。さっき上の空でしたね?
私の『鵜の目鷹の目』の前に隠し事は出来ないんですよ」
ふと、視線を少しだけ上に上げれば、小さな野鳥が一羽、柵の上に停まっている。あれを使って、こちらの反応を背中に居ながらも窺っていたのか。抜かりないな。
「むぅ、私がこんなに一生懸命ご奉仕しているのにヒドいお人です。そんな音弧さんは…こうですっ!」
彼女は突然、愛撫の速度を跳ね上げ、ゴシゴシと竿を扱き始めた。
先程までの性感を高めるための愛撫ではなく、男性器を射精へと導き絶頂に届かせようとする膨大な刺激の津波。
自身の下半身、男根の付け根からゾワゾワと射精感が押し寄せてきた。
「うっ…ちょ…ま…待って…」
「いいえー待ちませーん♡いいかげん体も冷えちゃいますので一緒にお風呂に入りましょう♡そのためにもおちんちんから精液ビュービューと出しちゃって下さーい♡」
そう耳元でイヤらしく囁いて、彼女は更に手の動きを速める。竿を扱くだけでは飽き足らず、胸を愛撫していた手まで動員し、追い打ちを掛けるように攻める。肉棒を掴む動きはそのままに、もう片方の手は肉槍の先端部、赤く充血した亀頭を包み込んで撫で回す。先程までの攻め手で溢れた先走り汁が石鹸の泡と混じり合って、濁ったそれをグチリグチリと更に掻き交ぜる。その音が堪らなく淫靡で、密着した体の温度が熱くて、激しい動きに興奮する二人の吐息が甘ったるい。
既に我慢なんて出来なくなっていた。
「出る…出るっ!?うぐっ!?」
びゅっ!びゅっ!びゅー-っ!!
堪える余裕すらなく、先端から精液が噴き出した。しかし白濁とした体液は手の平に阻まれて、彼女の白魚の様な綺麗な手を汚していく、留め損なった汁がポタリ、また一滴ポタリと滴り落ちた。
「ふっふっふ。しっかりとイってくれましたね?」
「はぁ…はぁ…随分と腕を上げたなぁ」
「あなたに目一杯鍛えて貰いましたからね♡」
「じゃあ流しますよー」と言いながら彼女はシャワーノズルに手を伸ばして、二人の石鹸泡と迸った精液を丁寧に洗い流す。
一度果てて、落ち着きを取り戻した俺の愚息を確認して、満足そうに笑った庭取ちゃんは「改めてお風呂に入りましょう!」と誘った。
彼女が伸ばしてきた手を取ると、導かれるように、二人仲良く湯船に浸かる。温かいお湯が全身を包んで、熱を帯びた血液を巡らせていく様に感じた。
「「はぁぁぁ………」」
温かいお湯に浸り、体が脱力していく。二人揃って、気の抜けた声を漏らした。身も心も、ついでに下半身まで癒やされてしまった。
「音弧さん」
「んー?」
庭取ちゃんが俺を呼ぶと、何も言わずに俺の膝の上に跨がってくる。そして俺の体を背もたれにするように、その身を預けてきた。
(あぁ…コレがしたかったのか)
そこで漸く彼女の意図を察した。彼女はこのように身を寄せ合いながら温泉を堪能し、穏やかな時間を過ごしたかったのだろう。
しかし、それには俺の持て余し気味な性欲が邪魔だった。二人は今、湯の中でタオル一つ巻いていない全裸の状態、しかも湯の色も無色透明で裸体を視覚的に遮るモノも存在しない。そんな中、彼女の柔らかい尻の感触を押し付けられるのだ。間違いなく勃起して、彼女に挿入してしまっていたかも知れない。
それを防ぐべく、俺の劣情を処理したのだろう。
彼女のお腹に腕を回してぎゅっと抱き寄せる。すると彼女は嬉しそうに笑って、俺の腕に手の平を重ねた。
「なんだか思い出すな…」
「何を?」
「初めての事」
「…あー」
初めて彼女と体を重ねたあの日、ラブホテルでの一件を思い出す。
庭取ちゃんに可愛く誘われて、いざ本番というタイミングで引っ叩かれて、泣き出されて。それでも彼女は俺を必要として、求めて、繋がった。あれから随分と関係を重ねて、深くなった。感慨も深くなると言う物だ。
「ねぇ」
「はい?」
「養女ちゃんとの家族暮らし…終わっちゃったな」
「そうですね…」
「楽しかった?」
「はい」
「でも今は淋しい?」
「…はい」
本来の育ての親たる怒突が退院したことにより、庭取ちゃんと当初に約束した『養女ちゃんのお世話の手伝い』はこれにて完了してしまった。あの家族の様な暮らしも終わりを告げたのだ。
その暮らしの中で庭取ちゃんと養女ちゃんは随分と仲良くなった。彼女達は一緒にお風呂に入った事もあるし、一緒のお布団で寝たこともある。一応、養女ちゃんに俺も誘われた時もあった。流石にそれは怒突に悪いのでやんわりと断ったが…。
とにかく、庭取ちゃんはそれほどに養女ちゃんに熱を入れていたのだ。名残惜しいと思っても仕方ない。
しかしそれは、寧ろ良い兆候だと思えた。
「……でもさ。会えない訳じゃ無い。会いたければ会いに行けば良いのさ。
なんだったら今度はピクニックにでも行こう。お弁当持って。俺と庭取ちゃん、養女ちゃんに怒突も連れてさ」
「そうですね…うん…それがいいです」
そんなことを話しながら、穏やかに流れる時間をいつまでも堪能していた。
◆
凍え凍てつく様な寒い冬を越し、暖かな陽気と共に生命が芽吹く春を過ぎ、青々とした草木の生い茂る夏を迎えた。
お嬢様の療養は実に順調で、俺の屋敷に備わった慎ましやかな庭園で散歩や茶会、時には道具を用いた簡単な遊戯をするようにもなった。雇い入れた従者達も彼女にはとても良くしてくれていて、時折あの頃のような、凜と咲く花の様な美しい笑顔も見せるようになった。
しかし、それでも彼女の笑顔に影が堕ちるときがある。未だに彼女は奴隷にされた頃の傷に苛まれているのだろう。
その苦しさは共感できる。かつては俺だって奴隷身分だったのだ。任務で手傷を負った日の夜は、過去の記憶と結びついて、悪夢で目が覚める。そうすると暗い気持ちで、胃の中に巨岩が詰め込まれたかのようにズシリと重く感じるのだ。
彼女が心穏やかに過ごせる日々はやって来るのだろうか。
「…お嬢…様?」
その日は唐突に、何の前触れも無くやってきた。
その日は大荒れの嵐で、木々がざわめき立ち、雨粒が窓を強く叩く。肌を撫でる空気はじっとりと湿っていて、夏の暑さと混じり合い、寝付くには騒がしく寝苦しい夜だった。
「もう駄目なんだ…。限界なんだ……」
今晩もまたいつものようにお嬢様が俺と同衾するべく部屋を訪れてきていた。
毎晩毎晩彼女が俺の部屋を尋ねるものだから、従者達は『主人と彼女はそういう関係なんだ』と囃し立てるが、弁明しても理解して貰えない。半ば諦めて『愛情を込めて抱いている』と説明するに留めた。
しかし、そんなお嬢様は今、俺をベッドに押し倒していた。
「なぁ…オカシイんだ…。…ヘンなんだ」
俺の体の上に馬乗りになった彼女は、自身の衣服のボタンを一つづつ外していく。身に纏っていた衣服の胸元が開かれて、彼女の胸が顔を出した。
彼女の瞳は不安そうに潤んでいて、今にも壊れてしまいそうな雰囲気を纏っていた。
「敵国に捕まって…売り飛ばされて…蹂躙されて…辱められて…慰み物にされて…犯された。
何度も、何度も、何度も、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も………何度もだ」
衣服は彼女の肩からスルリと脱げ落ちて、この下の真っ白な肌を晒す。白百合の花を思わせるような真っ白で透き通る様な色。体中に刻み込まれた傷の痕は完全に癒えて、僅かな名残を残すのみだった。
しかし、心の傷はそうでは無かった。
「性奴隷に堕とされて、道具の様に扱われて。乱雑に乱暴に、唯々己の欲望を満たす為だけに使われて………痛かった、辛かった、苦しかった」
そう言いながら彼女は自身の乳房に手を伸ばす。手の平に納まる程度の小振りな彼女の胸が形を変えるのと同時に、彼女の口から甘い息が漏れた。
「ふぅっ…でも………あっ…なのにだ。…あっ…時折、体が疼く。んあんっ……快楽をっ…求めて、体の中の…獣が暴れるのだ」
彼女の頬が熱を帯びて赤くなっていた。不安を抱いた瞳はいつの間にか恍惚とした表情に変わり、俺が知る彼女とは似ても似つかぬ顔をしていた。
「最初はっ…無視していた。無理矢理…快楽浸けにされ、あぁっ!…薬を含められたのかと思った。
でも私の中の業は深まるばかりだっ!耐え切れずに自身を慰めたら歯止めは利かなくなっていた!!」
「いけませんっ!お嬢様!」
外の嵐に劣らぬほどに彼女は乱れていた。淫らに乱れていた。自身の胸を愛撫と呼ぶには余りにも乱雑に虐め、その刺激に狂乱の嬌声を上げる。自身で乳房を握り潰さんばかりに力を込め始めたところで思わず制止した。
「でも駄目なんだっ!!!」
淫靡に蕩けていた顔が豹変し、怒りに染め上がる。俺がかけた制止の言葉は届くことすら無かった。
「何度も慰めてもっ!何度も達してもっ!何度も果ててもっ!満たされない!全然充たされないんだ!!?」
最早怒号だった。或いは子供の癇癪のようだった。
「だが…。満たされた事があるんだよ」
急に彼女の顔が穏やかな物に変わり、俺を慈しむような目で見る。
「……きみだよ」
そう言って、彼女は俺へと手を伸ばし、衣服を脱がせる。上着のボタンを外し、胸元を晒す。
彼女は俺の喉元に指先を宛てがい、体の正中線に沿って臍へと指をなぞる。その後左側の鎖骨に手を重ね、大胸に刻み込まれた呪いの痕をそっと撫でた。
「一度だけ。きみを想像しながら自身を慰めたんだ。
そしたら今まで以上に高みに至った。それこそ天へと昇る様な気持ちだったよ。
それからは自身を慰める相手は夢想の中のきみだった。同衾を求めたのだってそうだ。きみの香りは落ち着くし、興奮する。きみの体が麻薬なのではと疑ってしまうほどにだった。
時には現実のきみが、私を犯してくれるんじゃ無いかって心の片隅で望んでしまっていた。だって仕方ないじゃ無いか。きみの分身も私の体を求めて、興奮していたんだ。期待してしまうよ。
でもきみは手を出さなかった。出してはくれなかった。優しいきみのことだ「辱めを受けた私にそういう念を向けることを躊躇った」のだろう?分かっている。嬉しいんだ。私を大切に思ってくれている。でも辛いんだ……」
「……お嬢」
「そう呼ばないでくれ」
応えなければ。何か応えなければ。何でもいいから応えなければ。本能よりも理性と良心が動いた。
しかし、それさえも彼女に遮られる。心臓の位置を握り締められる。その顔はとても辛そうだった。
「もう私の家は滅んでしまった。家督も名誉も身分も財産も領地も民も、何もかも失った。
今の私は只一人の女でしか無い。元令嬢で、元雌奴隷の醜くて賎しい女だ。きみの主たるだけの資格を持たない…」
今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「何も無いっ!!…何も無いんだよ、今の私は…」
そう言って彼女は俺に唇を重ねた。唐突に。脈絡も無い。
先程まで考えていた彼女への思いも何もかも吹き飛んでいた。
「…んむっ…ちゅ………れるれる…ちゅぷぅ…くちゅ…くちゅ………」
ある種の猛毒か或いは劇薬の様に流し込まれる入り乱れた情。唇を介して伝わる熱、湿気、吐息。胸板に重ねられた彼女の乳房。ジトリと滑る汗の感触と咽せるような雌の匂い。その総てが脳を刺激して快楽物質を生み出す。
自然と下半身が隆起した。
「ちゅ…んぁ…。はぁはぁ…良かった。しっかりと反応してくれるんだな。私を女として見てくれるんだな」
彼女は脱ぎかけにしていた衣服をゆっくりと、見せつけるように扇情的に脱いでいく。そして露わになる素肌。
陶磁器の様に美しい肌に月光と洋燈の明かりが照り重なり、得も言われぬ模様を映し出す。
彼女の姿が神秘的に見えた。
「…なぁ、覚えているか?幼かったあの頃、屋敷の庭で、私がきみに願ったこと」
『お前が居ると気持ちが随分と軽くなる。…だから…ずっと傍に居てくれ』
忘れるはずが無い。あれは彼女が俺を必要として、肯定して、求めた言葉。俺はあの言葉を聞いて、あなたにこの身全てを費やして尽くすと決めたのだ。
「でも、もう無理なんだ。私は奴隷に堕とされたあの時、心を圧し折られた。歯向かう牙も抜かれ、意思も削がれた。
今の私は、昔の私を取り繕うだけの、似ても似つかぬ紛い物でしかない。だからこそ、主としての器など無くなってしまった。
……幻滅するよな?きみに見限られても仕方ないだろうな。怖かった。こんな浅ましい自分を見られて、見捨てられることに怯えた」
表情も。感情も。情動も。行動も。言葉も。脈絡も。ぐちゃぐちゃで。全てが滅茶苦茶で。総てが混同していて。
「お願いだ…。私はきみを手元に引き留める力は無い。私にはその資格が無い。
でも、もう私には…何も無くなってしまった私にはきみしか居ないんだ。きみだけしか居ないんだ。
……だから、きみが私を手元に置いてくれ」
「っ!」
「…愛玩人形でもっ…性奴隷でも構わないっ!
傍に居させてくれ。
私を……見棄てないでくれ………」
それでも。
(彼女が苦しんでいる…)
それだけ分かれば充分だった。
だからこそ、俺は彼女を抱き締めた。
「…○○?」
「……お嬢……いいえ⬜⬜⬜。
あなたは私に『食事』を与えて下さいました。
あなたは私に『衣服』を与えて下さいました。
あなたは私に『寝床』を与えて下さいました。
あなたは私に『住処』を与えて下さいました。
あなたは私に『教養』を与えて下さいました。
あなたは私に『礼節』を与えて下さいました。
あなたは私に『剣技』を与えて下さいました。
あなたは私に『仕事』を与えて下さいました。
あなたは私に『役目』を与えて下さいました。
あなたは私に『目的』を与えて下さいました。
…あなたは私を『人間』にして下さいました。
あなたから私は沢山の物を頂きました。
あなたはそれを『自らの手柄』とは言わないでしょう。あくまでも『私財を、人員を投資したのは、あなたの父上である』と言うのでしょう。
確かにそれらを与えてくれたのも、奴隷であった私を身請けしたのも、あなたの父上です。
しかし、それを私に与えると『決めた』のは。私を『選んだ』のは、他ならぬ…あなたです。
私を選んだ理由は『近しい歳の子供だったから』『男だったから』『受け入れられる容姿だったから』『不死の肉体だったから』『化け物だったから』…どんな理由があって見初めて頂いたかなど…知りません。私には『あなたが私を選んだ』と言う事実があれば充分なのです」
彼女の瞳から溢れ落ちた涙を拭い、彼女の瞳を覗き込む。美しい翡翠の色をした宝石のような輝きは、止めどない涙で揺れていた。
「私はあなたに与えられた『ご恩』を返し終えては居ないのです。それこそ、私が一生を架けて返す物と心に決めています。
それでもあなたが不安を懐くなら…私に『与えて下さい』。これまでと同じように…」
その言葉を聞いて彼女は数拍の間、呆けた顔をした。そして意図を汲み取り、崩れかけた体裁を整えた。
「…お前に全てを…『私自身』を与える。
………受け取ってくれないか?」
その願い出る顔には悲愴は無かった。あるのは少しの不安と、それ以上に大きな期待。頬を染めた顔がどうにも、いじらしかった。
俺は問いかけに笑顔を持って応えた。
「生涯、大切に致します」
気が付けば嵐は過ぎ去り、雨もしとしととその勢いを弱めていた。雲の合間から月明かりが差し込み、部屋の中を淡い光が照らしていた。
そんな中、月光に映し出された二人の影は重なり合う。男と女は唇を重ねて、甘い音色を奏でる。俺にはこの時間が、一時の幻の様に思えた。
「くちゅ……くちゅ……」
彼女の舌先が俺の中に入り込み、丹念に舐める。口の中の空気を吸い、肉同士が密着し、動く隙間さえ少ない口の中をこじ開ける様に侵攻し、内部全体を犯してきた。
彼女の舌先の動きに誘われて、ぎこちなく舌を動かせば、彼女は喜んで舌を絡めてくる。例えるならば蛇のように執拗でねちっこい愛撫。口の中が甘い猛毒に犯されるようだった。
「…くちゅ…んぱっ。……ふふっ、
「相手が居なかったものですから…んぁっ!?」
「意外だな。ちゅ…ちゅっ…。私の元懐刀は、今や国の主力に食い込む戦力だろうに。れる…れる……。さぞ、数多の女に色目を使われたのでは無いか?」
「お戯…れを…おぉっ!?」
俺に問いかけながらも彼女は、雄の乳房を辱めながら、同時にいきり立った怒張を擦る。たったそれだけのことなのに、全身に雷が落ちたかのような痺れが駆け抜けた。
「随分と感じているな?」
「お嬢…様」
「そう呼ぶな…と先程言ったばかりだろう。私は、○○の愛玩奴隷なのだぞ?
遠慮するな。お前の好きな様にしていいんだ」
男を惑わす婬魔の様に蠱惑的な誘い。それに従って彼女の乳房に手を伸ばす。白くて美しい素肌。彼女の乳房は慎ましやかで、俺が手の平を重ねれば、すっぽりと包み込んでしまえるほどに小振りだ。俺はその膨らみかけで成長を止めた乳の先端を指の間に捉えながら、下から寄せ集めて揉み拉く。
「んっ…ふぅん…あっ…。いいぞ…その調子…」
俺が施した拙い愛撫を彼女は嬉しそうに受け止める。小さく吐息を漏らして、その姿が愛おしく思えた。
「そろそろ良いかな?」
そう言うと彼女は俺を攻める手を止めて、下半身の方へと移動していく。
「これが…○○の…大きいな」
しばし俺の男性器を眺めていた彼女は、そのいきり立つ先端に口づけを与えた。
「ちゅっ」
「うぁっ!?」
唇を薄く当てる。言葉にしてしまえば、ただそれだけのこと…いや、排尿器官でもある場所を口に触れさせること自体、恐れ多い事なのだが…だというのに、与えられた刺激は計り知れなかった。
接吻とは比較にならないほどに与えられる快楽。睾丸と男根の付け根から言葉に出来ない感覚が沸き上がり、血管を巡り、全身に伝播する。
「うぁ…ぁぁぁ…………」
「あむ…ぐぷ…ぐぷぷ………」
二回。彼女は俺の生殖器に口づけをすると、三度目に口を少しづつ開き、中に呑み込んでいく。彼女の口が擬似的な女性器の様に動いて、優しく、温かく、いやらしく包み込む。腰が疼いた。
竿を半分程度呑み込んだ所で、自身の先端に何かが当たる。彼女はそこまでで挿入を止めた。一度後退すると、再び同じ所まで呑み込んでみせた。
「あぁっ!?」
ゆっくりと彼女は頭を前後に動かして、口を動かして、俺に愛撫を施す。時折舌を沿わせて、浮き出た血管を浮き彫りになった先端の溝を、這い回って擽る。
彼女の口婬で腰から下が無くなってしまうのではと恐ろしく思えた。
「んふーっ……んぶっ、じゅ…じゅぅ…んふーっ…」
先走る俺の愛液か、あるいは汗に混じる雄の匂いのせいか。単に呼吸が辛いせいなのか。彼女の頬は赤く染まり、下品に鼻息を荒げる音がする。下半身の吸い付きが更に強くなった。
「んふーっ…んふーっ…………んんっ!?んぐぅっ!!」
「ああ゛ぁ!?⬜⬜⬜っ!」
一瞬、彼女は抽挿を止めて呼吸を整えた。(疲れて休んでいるのだろうか?)と考えていた束の間、彼女はいきなり俺のものを根元まで一気に押し込んだのだ。
俺の亀頭が彼女の咽をコツコツと叩いていたのに、突如上部を強烈に擦るように刺激し、そのまま奥へと呑み込まれる。その一撃で達してしまっても、おかしくは無かった。
「あぁ!?あっあっ!?⬜⬜⬜っ!!駄目で、す!?はっ、はげし!!はげし過ぎる!!」
「じゅぽ…うぇっ…じゅじゅじゅじゅ…ぐぇ……んむっ…じゅぅっ!じゅぅっ!」
彼女は嘔吐きながらも、喉の奥に俺のものを必死になって受け入れる。
苦悶に歪む彼女の顔を見て、我に返り慌てて彼女を引き剥がそうとする。しかしそれを拒むように、彼女は俺の腰に抱き着いて口婬を強行する。強く吸い付き、肉を絡ませ、更に快楽を引き摺り出そうと躍起になる。
「駄目…です…うっ!?⬜⬜⬜…うくっ!?」
絶え間なく与えられる刺激に、俺は限界が近いことを覚る。半ば意地になって堪えているが、彼女の愛撫を受け止める度にビクリと腰が浮いて跳ねる。彼女は俺の状態を正確に理解していた。
彼女は口婬の速度を上げ、共に快楽は激しさを増す。時折彼女の口から空気を求めて藻掻く音と、滴り落ちる俺の先走りの混じった涎の掻き交ぜる音が、この幻の様な非現実的な空間に拍車を掛けていく。
「で…出るっ!?」
どぷっ…。
「うぐっ!?」
限界を超えた怒張から子種が溢れ出す。煮え滾る湯を彷彿させるかのように熱を帯びた劣情は、彼女の咽の更に奥に注ぎ込まれている。愛の秘め事や生殖とは懸け離れた、ある種の拷問にも似たその行為。それでも彼女は行為を中断することはせずに、俺から溢れ出した精液を一滴さえ溢すまいと、懸命に奥へと性器を呑み込んだまま、飲み込む。
…どぷっ…どぷっ……。
自身、驚きを隠せずにいた。今の俺は、普段の射精量とは比較にならないほど、夥しい量の精を彼女の口の中へと吐き出している事が感じ取れた。
そして果てた後に訪れる、虚脱感と多幸感が全身を支配していた。
「げへっ!げほっ!げほっ!」
「⬜⬜⬜っ!?」
しかし、その余韻に浸る間もなく、冷や水を浴びせられる。
口の中だけではなく、口の奥まで酷使していた彼女が苦しそうに咳き込む。受け止めた精液が粘性を保って咽に絡み付く。
それを見て、動揺し、息を呑んだ。
「中々の物だな…。相当に溜め込んでいたんだな」
濁った声で彼女は嬉しそうに笑う。頬を伝った涙が、とても綺麗で神秘的な物に思えた。
「まだいけるな?」
彼女の視線を辿り自身の下半身を見下ろせば、先程あれだけ出した性器が再起していた。心なしか先程よりもその大きさが増しているような気がする。
首を縦に振り肯定の意思を伝えると、彼女は俺をベッドに仰向けに寝るよう促す。当初に彼女が俺を押し倒したときのように馬乗りになる。
「すっかり…ん…ここも…あん…濡れてるな……ふっ……入れても大丈夫そうだ」
彼女は身に唯一纏っていた衣服…最後の一着にであった下着に手を掛ける。女性器から愛液が滴り、布地との間にネットリとした粘性を帯びた糸が伸びる。すぐに糸は途切れたが、彼女が性器に指を入れて掻き出すと、噎せ返るほどに愛液が溢れて、雌の匂いを漂わせる。
鼻腔を擽る彼女の香りに、全身に欲望が滾るのを感じた。
「…心配する必要は無い。全て任せろ。満足させてみせるから…。…じゃあ…入れるぞ?」
そう俺に告げて、彼女は肉槍の切っ先を自身の女性器に宛がう。そのまま腰を落として、先程口でして見せた通りに、俺の生殖器を呑み込んだ。
「あ……あ……なに?…これ?…こんなの知らない…」
「う…うぁぁ…。はぁはぁ…………うぐっ!?…ぐぅぅぅっ…おっ…きい…」
やがて彼女は俺のものを全て、その小柄な身に納めた。
女性との初体験。『童貞喪失』。怒張が膣道を通過していく感覚も。最奥の子宮口に到達した感触も。子宮を肉槍が押し潰した圧も。素人の俺には理解できてはいなかった。
「あっ!?あっ!?あぁぁぁあっ!?」
…ドクン!……ドクン!…ドクン!。
堪らずに果てた。彼女の肉が包み込んで締め上げた直後、耐え切れずに彼女の内部に大量の精を吐き出していた。
「…んっ!!?……ふぅ、ふぅ…。い、いった…のか?」
あまりにも早い。早すぎる。自身が情け無く感じた。甲斐性も無い。
しかし、消沈する俺に彼女は身を寄せて唇を重ねる。舌を交えて、愛を注ぐ。
「あむ…んちゅ…んぁ。
なぁに、気にするな。それ程に私が気持ち良かったと言うことだろ?女冥利に尽きると言う物だ。
…にしても凄いな。二回も出したのに、ここはまだこんなに元気なままだ…」
そう言いながら彼女は未だに膣内でいきり立つ肉槍を締め上げて刺激する。剛直と呼ぶに相応しい肉槍は血を滾らせ、更に硬くなる。まだ萎えては居ないようだ。
「では…動くからな…。……ふっ……うぁ……」
彼女は少しだけ脱力し、拘束を緩めて腰を浮かせる。再度奥まで挿入し、再び抜く。まるで俺の上で乗馬の練習をするかのように腰を縦に振り始めた。
ぐちゅ…ぐちゅ…ぐちゅ…ぐちゅ…。
一定の間隔と速度で繰り返される腰使い。膣内の無数の襞が絡み付き、狭い穴が俺のモノを幾度となく締め上げる。
一突き、また一突きと抽挿を繰り返す度、俺の肉槍の返しは彼女の肉を抉り、蜜壺の中から先程の精液と、止めどなく溢れる愛液を掻き出す。それらが接合部…二人の陰毛に染みこんで、腰を振り肉を打ち付ける度、水遊びをする様な、それでいて淫靡な音を鳴らす。
彼女の息遣いは荒く、白い肌からは大粒の汗が玉のようになって流れる。
「…あっ…あぁっ…うくっ……」
彼女が腰を振る毎に快楽が流れ込んでいる。竿全体を搾り上げるように絡み付きながら、亀頭を吸い上げる彼女の膣内は、俺から精子を搾取しようと蠢いていて、為す術も無かった。
気が付けば腰が浮いて、彼女の動きに合わせて腰を振っていた。
「ふぅん…ふふっ……。んぁっ…あんっ!」
宛ら水辺に落ちて溺れぬように、ジタバタと藻掻く童のようにだ。そのように余裕を持たない俺を見下ろして、彼女は気をよくして微笑む。腰の動きは、俺に奉仕する物から次第に快楽を享受しようとする物へと移り変わっていた。
「上手…その調子…」
彼女が蕩けた顔をして俺に告げる。果たしてその声は届いていただろうか。俺は更なる快楽を得ようと、あるいは彼女に快楽を得ようと、一心不乱に腰を振っていた。
「うぐっ!?」
…ドクン!ドクン!ドクン!
程なくして、彼女の体内…胎内に精を吐き出していた。三度目の絶頂を迎えると、流石に彼女の息が上がっていた。
仕方の無い話だろう。つい半年程前まで監禁生活を強いられてきたのだ。それ相応に体力だって失っている。
彼女が俺のモノを性器から引き抜くと、隣に寝そべる。乱れた呼吸をどうにか整えようと、大きく息をしていた。
「はぁ…はぁ…情け無いな。…はぁ、どうにも…体が…着いていかない。
まぁ…嬲られていた時は…アイツらが…はぁ…一方的に、私の穴を使っていたから、勝手が違うんだろうな」
その言葉を聞いて、胸に何かチクリと痛む物を感じた。
「…⬜⬜⬜。
すみませんが、俺の体はまだ満足していないようなのです」
「…○、○○?」
俺は体を起こすと、隣に寝そべる彼女を組み敷いてそう告げる。
下半身は火をくべた様に熱く、怒張はその呼び名に相応しく、硬くいきり立ち直していた。
「入れます」
「ちょっ!?ちょっと待て!?○○っ!?」
彼女の制止も利かず。俺は肉槍を雌穴に宛がうと、力任せに彼女を貫いた。
「いぎっ!!?」
尖端は一気に彼女の最奥まで到達し、子宮の入り口を穿つ。
不慣れで角度が悪かったのだろう。剛直が剛槍となって、膣道の天井を抉り潰す様に擦れ、彼女が絶叫に近い悲鳴を上げた。
その拷問に彼女が振るえる。全身をビリビリと痙攣させ、肉槍を締め上げる。
躊躇うこと無く、同じように彼女を再度貫いた。
「いぐっ!! ぎぃっ!? ○っ!? あがぁっ!! ○○っ!! ○○っ!!」
穿つ。穿つ。穿つ。穿つ。
雷に打たれたかのように彼女が跳ねる。
それでも止めずに抽挿を繰り返す。逃がすまいと彼女を押し潰さんばかりに覆い被さり、抱き締めた。
「○○っ!んぶっ!?…んぱっ!あぷっ!?」
彼女の抵抗など耳に入れたくないと言うかのように唇を無理矢理塞ぐ。愛情表現と呼ぶには余りにも不格好で、不器用な舌先は彼女の口の中を侵略して、相手の舌を絡め取ろうとする。
それを押し退けようと彼女も力を振るうが、膂力も体格も立ち位置さえも上になった俺を退けることは出来ない。
ぐちゅ…ぐちゅ…ぐちゅ…ぐちゅ…。
剛直が肉穴を掻き回す音が際限なく響く。重ね合わせた唇からは獣の様な禍々しい呼吸と呻き声、時折感じるような甘い音が鳴く。
「うぐぅぅぅっ!!?」
ドクン!!
獣の様に猛り狂い、獣の様に犯し、獣の様に唸り声を上げて、そして果てる。
彼女を孕ませるかの様に剛直を彼女に、深く、深く、深く、沈めた。
彼女の膣道が子宮がそれを…それさえも受け入れようと蠕動し、ゴクリゴクリと咽を鳴らすように精子を飲み込んでいく。
「ぜはっ!?…ゼェ…ゼェ………」
彼女を開放して、その顔を見下ろす。虫の息と呼ぶに等しいか細い呼吸をし、口からは俺のと混じり合った唾液を垂れ流している。瞳は動揺に振るえ、頬は涙で濡れていた。
「…○、○○?
「え?」
頬を濡らす涙は、彼女の綺麗な宝石の様な瞳から溢れ出したものではなかった。
俺だ。
俺から溢れ落ちた涙が彼女を濡らしたのだ。慌てて涙を拭っても、また一滴、また一滴、と涙は止まらない。次第に視界もぼやけていった。
「あれ?…なんで?なんで涙が…」
我に返るとはこのことだろうか。
彼女が蹂躙され弄ばれていたあの時、屋敷に居た敵兵を惨殺した瞬間の様に、自身を見失っていた。
あろう事か彼女が最も忌み嫌っている強姦紛いの行為を。彼女が傷付くと理解して自制していた行為を。犯してしまった。暴力を振るってしまった。
酷く後悔に駆られていた。
そんな俺を見かねた彼女は、俺の首に腕を回し、手繰り寄せ、胸の中に抱き留める。小さな胸は柔らかさ以上に、強く高鳴る心臓の鼓動が聞こえた。
「…分からないのです。俺自身分からないのです。
…あなたが他の男に嬲られる様が頭を過ぎった瞬間に、酷く、どす黒い感情が湧き上がりました。
…『取られたくない』…『奪われたくない』…そんな念に駆られていました」
彼女の胸の中、自身の胸中を話す。ポツリポツリとすこしずつ、懺悔をするかのように。
なんと我が儘な行為で、独り善がりな行動だろうか。俺は彼女の為に自身を費やすと宣いながら、それに背いた。
「もしかして…『嫉妬』しているのか?」
いや、違う。これは『独占欲』だ。「他の人に奪われるくらいなら、自分が奪う」と決める、狂った情動だ。あまりにも醜い。
『運命の人』と呼ぶ相応しい彼女のお陰で俺は変われた。そう信じ込んでいた。しかし、根底を見ればどうだろうか。何も変わってはいない。生きる為に物盗りをしていた糞餓鬼のままで、自己認識の為に血に染まっていた殺人鬼のままだ。あまりにも穢らわしい。
「ふふっ…可愛い奴め」
そう言って彼女は俺の頭を優しく撫でた。くしゃくしゃの癖のある髪の毛を梳くように、優しく、丁寧に。猫を愛でるように、赤子をあやす母のように。彼女は俺を慰める。
「ここまでするのなら、私を『所有物』にしてしまえば良いのに…。
自身の欲に抗って、我慢して、私を思おうとしてくれている。なんともいじらしい奴だ…」
彼女の声は子守唄を歌うように穏やかで、自身に湧き上がる邪念が薄れていくのを感じた。
「なぁ○○…。お前は『私がお前を見初めた理由なんて知らない』と言ったな?
お前のを見初めた一番の理由…。それは『あの大きな獅子に立ち向かった事』だ。お前は『不死身の肉体ならば当然』と思うだろうが、それは間違いだ。一緒に剣の稽古をしていて分かった。死んでも死なないだけで、殴られれば痛いし、刺されれば痛い。なのにお前は、自身の身の丈より一回りも二回りも巨大な獣に立ち向かったのだ。
なんて勇敢な男だと再度認識したよ。ハッキリ言って『惚れ込んだ』。私と同じくらいの歳なのに、見掛け倒しな私とは全然違うとな。
私が奴隷として、慰み者として、そして今し方お前に犯されて受けた痛みなど、比べる事も烏滸がましい。
それほどにお前は凄い奴なんだ」
その言葉に驚いた。彼女はそんなにも昔から、俺のことを『男』として見ているとは思いもよらなかった。
「良いんだよ。嬉しいんだ。お前が私を…ここまで堕ちた私を、それでも求めてくれる。抱いてくれる。まだ見棄てないでくれる。
だったらお前が思うとおりにしてくれ。私はお前にこの身体を求めて欲しいし、抱いて欲しい。…いや、さっきみたいな乱暴なのは嫌だが、それでもお前からの思いなら受け止めて見せる」
そう言って彼女は再び唇を求める。既に何度熟したかも分からない程に重ねられた接吻。全身に温かい物が流れ込んできて、先程までの重苦しい、辛い気持ちが楽になった。
「俺は…あなたが…⬜⬜⬜の事が好きです。お慕いしています。
あなたを求めても良いですか。あなたを抱いても良いですか。あなた…あなたを愛しても良いですか?」
「……良いに決まっている」
そう言って彼女は優しく微笑んだ。
「⬜⬜⬜…大丈夫ですか?」
「当たり前だ。続けるんだろ?」
そう言いながら彼女は犬のように四つん這いになり、俺に尻を向ける。足を開いて、俺が先程犯した雌穴を見せ付けてくる。奥から愛液と精液が垂れ落ちた。
既に四回の絶頂を迎えているが、俺の性器はもう復活していた。普段であれば一度や二度も精を吐き出せば落ち着くと言うのに、発情した野獣の様に盛ったままだ。
しかし、それ以上に彼女の肉体は多くの絶頂を迎えている。最初に挿入したときも、二度目に強引に犯したときも、幾度となく強い痙攣と共に彼女はガクガクと振るえていた。素直に見せかけて、見栄っ張りな面もある彼女の事だから、恐らく隠しているのだろう。
「私だって女だ。私が見初めた男が求めたい、抱きたい、愛したいと言われたなら、それに応えたいんだ。
でも、今度は『優しく』…だからな?」
「わ、わかりました」
緊張して、思わず上擦った声が出た。そして彼女との情事を再開する。
彼女の尻たぶを掴み、肉槍を彼女の性器に添える。次こそは愛すると決めて、彼女の中へと挿入していく。
「う…ふぅん……あぁ……」
散々犯した彼女の蜜壺は解れきっており、剛直が抵抗もなく呑み込まれる。彼女の奥まで辿り着いた所で腰を止めた。
「あぁ…あぁぁ…そこ、そこが好い…」
「ここですか?」
彼女が腰を振り、快楽の強い場所を求める。その反応に従って彼女を肉槍で小突けば、彼女から甘い声が漏れる。
「あぁぁっ……あひっ……」
「ここですね?もう少し重点的にしましょう」
「まっ、待ってくれ!そんなにされたらぁっ!?あぁん!?」
小さく、小刻みに、力は弱く、時折擦り付ける様に。子宮口の上の部分を丁寧に攻めると、彼女が嬌声を上げた。先程の苦痛混じりの喘ぎ声では無い、快楽の喘ぎ。
俺は彼女を愛するため、気持ち良くするために腰を振る。次第に自身も気持ち良い感覚が込み上げてきた。
「あっ!あっ!あっ!あぁぁぁぁっ!」
彼女の体がビクビクと振るえて、弓形に全身を仰け反らせる。体を支えていた両腕が力を失って、崩れ落ちた。
「イってる!?イってるからっ!!休まあんっ!?駄目だって!」
「でも、先程から幸せそうな顔をしています。だったらもっとしたい。あなたを感じたい。あなたで果てたい」
俺は行為を止めない。腰を振りながら、彼女に覆い被さり、小さな背中に抱きつく。乳房を弱い力でさすりながら、首筋を噛んで痕を付ける。
「うぐっ!?…くっ…いやぁ…んぁ…」
衝動を抑えながら、それでいて歯止めの利かない情愛を、彼女は一身に受け止めて堪える。
しかし、駄目だ。もっと感じて欲しい。気持ち良くなって欲しい。
俺は只管腰を振り続けた。膣道が先程から何度も痙攣して、俺から精子を搾ろうと必死に動く。しかし、四回も出せばある程度は落ち着いてくる。射精感も随分と抑制できた。
「あっ!あっ!あっ!?なんだ、これ!?違うっ!いつものと違ぅ!?」
「痛い…ですか?」
「違うっ!気持ち良すぎるんだっ!さっきから何度もイってぇっ!?」
「これは?」
「あーっ!あ゛ーーっ!」
彼女の乳首を捻り上げると、再び彼女が大きな声で鳴く。身を捩り、刺激から逃げるように這う。しかし、ベッドの淵まで辿り着いた所で彼女を抱き抱えて起き上がらせる。
「あっ!あぁあっ!○○っ!○○ぉっ!」
そのまま壁面に追いやり、互いに膝立ちのまま背後から板挟みにして彼女を犯す。肉槍は角度を変えて、彼女の膣道の浅い部分を引っ掻いていく。
「そろそろいきそうです」
「イクのか!?イって!イってくれ!?早く!私が限界を迎える前にっ!イって!イって!イって!」
「うぐっ!?」
…ドクン!
肉槍の尖端から精液が噴き出して、彼女の中へと流れていく。勢いも量も随分と弱まっている気がした。
「○、○○っ?ま、まだするのか?」
「すみ…ませんっ。もっと…あなたが欲しいっ」
「うぁあっ!?」
休みを入れずに彼女の中へと性器をねじ込む。片脚を担ぎ上げ、正面から挿入した不安定な姿勢。落ちないようにと、必然的に彼女の方から体を密着させる必要のある無理な姿勢。
俺は空いた腕で彼女を支えて、そのまま口付けを交わす。彼女はそれに応えて舌を動かし、快楽を誘う。
パン…パン…パン…パン…。
何度も肉を打ち付ける音がして、その度に彼女の腰がガクガクと震える。それでも俺の体は興奮して、懸命に彼女の体を求めた。
ドクン!
─────。
ドクン!
─────。
ドクン!
─────。
…………………………………。
何度、求めた事だろうか。何度、精を吐き出した頃だろうか。ようやく情動が鎮まった。
目の前には犯し尽くし、愛し尽くし、気を失った彼女が寝そべっていた。
俺も彼女も全身から流れ出た体液がぐちゃぐちゃに混じり合って、それが生乾きになった饐えた匂いがする。
ふと窓を見ると朝日が顔を出す所だった。
◇
真夜中に突然、目が覚めた。
いつもとは違う寝床。畳の敷き詰められた部屋。襖と障子。板張りの天井。畳に敷かれた布団。
傭兵の宿舎にあるパイプで骨組みされた二段ベッドとも違う。野営の寝袋とも違う。今暮らしているマンションの妙に高いシングルベッドとも違う。
この部屋は三番目の人生に近くて、これはこれで落ち着く。そうそう、庭取ちゃんの実家も和式だったな。枯山水の庭付きは流石に驚いたのを覚えている。
「……で?何してんの?」
不自然に膨らんだ布団をめくり上げると、中には何故か庭取ちゃんが居た。
「ごめんなさい。起こしちゃいましたか?」
温泉を満喫した後、美味しいご馳走に舌鼓を打った。今日は珍しくお酒も入れた。そのせいか庭取ちゃんは酔っ払って、先に眠ってしまった。朝からフルスロットルのテンションだったから疲れてしまったんだろうな。だから早めに布団を敷いて、英気を養うつもりで俺も寝た。
しかし、そんな女が目を覚ましたらしい。布団に侵入し、俺を抱き枕にするように頭を胸に乗せて、こちらを見上げてくる。
それを見て横向きになり、腕を回して彼女を抱擁する。ついでに息が苦しくならないように、掛け布団を少しだけ下げた。
「添い寝も大歓迎だよ」
そう言って子供を寝かしつけるように背中を優しく叩く。それを受けて庭取ちゃんがしがみついてくる。
「……音弧さん。聞いても良いですか?」
「何?」
彼女は躊躇う様に聞いてくる。そして意を決して問いかけてきた。
「あのロケットの女の人って…音弧さんの
微睡みの中で見た彼女を思い出した。俺を人間にしてくれた『運命の人』。ロケットペンダントの若き日の彼女は、幼さの残る頃のままずっと笑っていた。
「…『恋人』…とは少し違うかな?確かに俺を人間にしてくれた『運命の人』だし、俺の
だけど…添い遂げることは出来なかった」
あの後、お嬢様は俺の専用の奴隷になった。何度も肌を重ねた。それでも伴侶になることだけは、頑なに拒絶された。
あの時の俺は末端とは言え貴族階級になっていた。つまり俺と婚姻して血を残せば、潰えた家督を再建する事だって不可能では無いはずだった。
それでも拒否したのは、「貴族の争いに我が子を巻き込みたくなかった」ためか、「堕ちた自分には再建する資格などないと卑下した」ためか…理由は分からない。結局、一年程で流行病で死んでしまった。
「先に言っておくけど、ちゃんとケジメはついてるからな?
今の自分の在り方として。綺麗な思い出として。思い出すためにこうして持ってるんだよ。
だから今だって、こうして『新しい恋』も探してる」
長く。それでいて何度も繰り返した生涯。分かった事は、『人』は『一人』では生きていけないと言う事だった。
『運命の人』の事を偲び、生きていくと決めた三番目の人生。後に初めての伴侶となった大妖怪からは『長命の者特有の価値観』を教わった。
『お主と妾、同じ一つの命であろうとも、紡ぐ運命の糸はまるで違う。時には途切れ、思いもよらない色に染まる。
しかし、新しく糸を紡ぎ直して行けば良いでは無いか。
なぁに、もしお主が死んだとしても平気じゃよ。
泣いて、泣いて、泣いて、目一杯泣いて…。新しい糸を紡いで見せようぞ』
だからそれに倣った。あの時の熱も情愛も憧憬も思いも、しっかりと胸に刻んで、この先を生きると。
「だからあの人と結婚したし、あの子の求婚も受け…あ」
「ちょっと待って………どういう…意味ですか?」
……つ…
俺の愛した女性
今の言動。俺には結婚歴があることを暗に示してしまっている。しかし俺の今の外観年齢からは、この結婚回数は少々無理がある。つまり、俺の最大の秘密である輪廻転生の呪い『
これは俺が墓まで持っていくと決めていることだ。
とは言え、どう弁明した物か…。既に彼女は俺に馬乗りになりマウントポジションを確保し、俺の胸倉を握り締めている。自然と冷や汗が流れた。
「ね…音弧さん…まさか…っ!
いつの間に他の女にお手付きしてたんですかっ!?」
「えぇぇっ!?」
「誰っ!?一体全体っ、何処のどいつですか!?この一年間っ!ずーっと一緒に居て、他の女と逢った痕跡なんて一切合切無かったのにぃっ!?」
「ちょ!?まっ!痛いっ!?」
そう言いながら彼女は俺をガクガクと揺する。布団に乱暴に頭を叩き付けられて、ゴツゴツとぶつかって痛い。
「私という者が在りながらっ!二股っ…いいえ三股ですかっ!?浮気ですねっ!この浮気者っ!!
ちぃっ!?『鵜の目鷹の目』で厳重に動向観察していて、そんな素振りなんて…一体何処で…。
はっ!?まっ、まさかっ!?戦士の皆さんですか!?一体何処の泥棒猫ですかっ!?
時折デートや買い物に呼び出していた異能肉さんですかっ!?それとも仕事に呼ばれていた砂粒さんですかっ!?もしや妬良さんっ!妬良さんなんですかっ!?いけません!!いけませんよ音弧さんっ!妬良さんには失井さんという、ちゃんとしたパートナーが…きゃあっ!?んぶっ!?」
真夜中なのに金切り声を上げて騒ぎ立てる彼女。俺は慌てて彼女の腕を掴むと、押し倒して、組み伏せて、口を塞いだ。
ジタバタと藻掻く彼女の両手を掴み挙げて無理矢理押さえ込む。取っ組み合いのせいで、浴衣が乱れて、彼女のたわわな胸が零れている。
「今、真夜中。隣り、お客。騒ぐ、煩い。
…
力一杯手首を握り締めているから、痛いのだろう。彼女が涙目に成りながら首を立てに振って謝罪する。そのことに罪悪感を抱きながらも拘束を解く。そのまま彼女をそっと抱きしめた。
「怖い思いをさせてゴメン。不安な思いをさせて…ゴメン。
言ってなかったんだけど、俺バツ2なんだわ。それ以外にも色々な女性とお付き合いもしてきた。行きずりの関係で女性を抱いたこともあるし、姫始めで男を教えた事もある。性欲を持て余して花売りの少女を買ったことなんて一度や二度では済まない。けど恋人が出来たら、そういうのは自重してる。あっても女友達に惚気話をするくらいさ」
「でも…それじゃ音弧さんには奥さんが…」
「この世には居ないよ。死別してしまった。俺が恋した人、愛した人は若くして命を落としてるんだ。ある人は病死。ある人は事故死。こんな仕事をしてるんだ。紛争に巻き込まれる事もあった。…本当に理由は様々だったよ」
本当の事をありのままには言えない。だからといって嘘も言えない。結局は核心を暈かして話すしか無かった。その事を不誠実に思いながらも、それでも彼女の事を思って胸の内を明かす。
そのような曖昧な返答で、果たして彼女は許してくれるだろうか。
「じゃあ…浮気では無いんですか?」
「残念ながら…過去の思い出に浸るのもNGなら…まぁ浮気と言えなくも無いな。
けど、今お付き合いしてるのはきみだけだよ。まぁ、女好きの俺が何言っても信用なんてできないだろうけど…。というかさっき、とんでもないこと口走ったよな?『
「うっ…」
「逆に言えば、きみが今まで観察してきた結果が事実だよ。今俺が恋してるのは間違いなく、きみだよ」
「…でも音弧さん、秘密にしてた…」
「昔の女を語るほど野暮なつもりは無いよ。思い出は胸の内にしまっておくタイプなのさ…。
ねぇ、庭取ちゃん。こんな俺だけど、まだ好きで居てくれてる?」
「……音弧さんは私の事、好きですか?」
「好きだよ。大好き。
頑張り屋さんだし、お料理も掃除も洗濯も随分と上手くなった。甘えん坊で、エッチで、いっぱい愛したくなる。髪の匂いも好きだし、抱きしめた体の感触だって気持ちいい。目の色も綺麗な緑色だし、小顔で綺麗に纏まった顔立ちをしている。
でも、時折淋しそうにしている。不安そうにしている。きみにはもっと笑顔で居て欲しい。作り笑いじゃ無い。楽しそうな、嬉しそうな笑顔。
これでも俺だって不安だよ。きみは『自己』が弱いから、本音も見え辛い。きみを幸せに出来てるか心配だよ」
少しだけ、抱きしめた腕に力が篭もる。
次の瞬間には「本当はあなたを籠絡して、不死身の戦士を丹羽家の手駒にしたいだけだったんです」とか言われるんじゃ無いかと心配になる。
「………ですよ」
「?」
「『幸せ』ですよ。音弧さんはご飯が美味しくできたら、ちゃんと誉めてくれる。風邪を引いたときや、体調を崩した時には看病だってしてくれる。
我が儘を言っても、なんだかんだ言いながら出来る限り助けてくれる。何でも自由に出来て、この時間がとても過ごしやすいです。
そして何より『好き』と言って、私に愛情を一杯注いでくれる。
……でも、不安なんです。だって音弧さん。私の体で満足してないじゃ無いですか。知ってるんですよ?私とした後でも夜な夜な自分で処理してるの」
「それは…」
「もちろん、ちゃんと理解してるつもりですよ。…私のせいですよね。
私には強姦された過去があるから、それを意識させないようにしてくれているんですよね?
それでも、私が好きならもっと抱いて欲しい。強く、優しく、激しく、愛して…欲しいです」
向かい合って座り、彼女の顔に触れる。頬に掌を添えて、視線をこちらに振り向かせれば、彼女の緑色の瞳が月光に反射して揺れていた。
彼女の瞳は『運命の人』のそれによく似ている。いや、実際の所は庭取ちゃんの方が深緑に近い色彩なのだが、恐らく体裁を取り繕い、感情を隠すのが上手い二人だからこそ似通った雰囲気を纏っているのだろう。
(駄目だな…。どうにも思い出す)
彼女の見る度にあの運命の人を思い出す。俺が生涯をかけて尽くし愛した彼女。最近その夢を見るのは、きっと彼女の瞳のせいなのだろう。
しかし、そんな感慨を振り払う。今、目の前に居るのは庭取ちゃんだ。他の女の事を思い出すのは失礼だ。
そもそも、似ているのは瞳の色と顔立ちだけで。運命の人の背はもう少し大きくて、胸は小さかった。髪の毛に至っては全然違う色だ。
あくまでも庭取ちゃんは庭取ちゃんなのだと気持ちを入れ替えて、彼女を愛する。
「服…脱ごうか?」
そう言って、彼女の浴衣の帯に手を伸ばす。スルスルと結び目を解くと、開けて、バストが溢れ落ちた。そのまま浴衣を脱がせると、血色の良い健康的な肌が剥き出しになる。呼吸をする度に胸が小さく上下していた。
「音弧さんも…」
そう言って彼女も、俺の浴衣に手を伸ばす。帯を解くと、胸元を開けさせる。そして、そのままゆっくりと胸に頭を埋めてきた。
「ぺろ…ぺろ…」
「んっ!?」
突如彼女が俺の胸に舌を這わせる。普段中々刺激しない部分な物だから、思わず声が漏れ出てしまった。その反応に味を占めた彼女は、舌を仔猫のようにこまめに動かして、俺の敏感なところを刺激して性感を高めていく。
体を捩ると、彼女は嬉しそうにして胸を吸い出した。男性の乳房では母乳なんて出るはず無いのに、彼女は夢中になって俺の乳首をしゃぶる。どうにも恥ずかしかった。
「俺も触りたい」
そう告げて、彼女の頭を撫でて、髪を梳くように指を絡めて、毛先を弄ぶ。
彼女はふふふと小さく笑って、そのまま愛撫に戻っていく。
俺はその沈黙を「許可した」と見なして、そのまま彼女の頭を優しく撫でる。
「ふふふっ…硬くなってきましたね…」
暫くすると、彼女の手が俺の股座に伸びてきた。下着の上から肉棒に触れ、そっと擦られると、既に勃起していることが彼女に伝わった。
「音弧さん。横になって下さい」
そう指示されて、言われるままに布団に寝そべる。彼女が下着を剝ぎ取ろうとしてきたので、自ら腰を浮かせて手伝う。
そして彼女が俺の下半身に抱き着いてきた。
「よい…しょっ」
「おぉぉ…」
いきり立つ肉棒が柔らかい肉に包み込まれる。視線を下に向ければ、彼女が乳房で男根を挟み込んでいた。
そのまま胸を両手で挟み、乳圧を上げて、更には擦り合わせるように胸を動かしてきた。
「……どうです?」
「あぁ…いいよ…そのまま」
「はぁい♡」
俺の反応を見て、彼女は楽しそうに俺を愛撫する。更に刺激を与えようと、舌を伸ばして、肉棒の先端をチロチロと舐めながら、
「ふぅ…ふぅっ…」
「あっ…イキそうですか?」
刺激に追い立てられて、根元からビクビクと竿が震える。その動きを察知した彼女が俺を射精に導こうと、ペースを上げる。
「そろそろ…い、イキそう」
「いいですよ♡いつでもいってください♡」
乳が俺の腰にぶつかり、タンタンとリズミカルな音を鳴らす。そうしながらも、時折亀頭に齧り付き、ちゅうちゅうと先走る男の愛液を吸い上げていく。
そして、早くも限界を迎えて達した。
「あぁっ…で、でるっ!?」
ドクン!…ドクン!
「きゃっ!?」
溜め込まれた精液が先端から水鉄砲を放つかのように射精された。ビュービューと吐き出された。
男根が暴れて、受け止め損ねた彼女の顔を白濁とした体液が汚していった。
「うわぁ…凄い量…」
そう言って、彼女は顔に着いた精液を一滴指先で拭い取って、口に含む。
「そして凄い匂い…やっぱ音弧さんの精液って凄いです。ぺろ…あむ…なんて言うかフェロモン?って言うんですかね?「絶対孕ませるぞー」って位に濃くって、ドロドロしてて。この匂い…ちょっとクセになっちゃいました♡」
そう言いながら、彼女は胸の谷間に溜まって、垂れ落ちていく精液までも掬い取って飲み干す。最後に再び竿を咥え込んで、中に残った精液を丁寧に吸い取って、「ご馳走様」と彼女は俺に礼を言った。
「はい、お粗末様。とても気持ち良かったよ…。
ねぇ、俺も庭取ちゃんを気持ち良くしたいな」
「今度はこちらの番だ」と言わんばかりに俺は彼女を押し倒す。彼女の体は熱を帯びていて、とても興奮しているのが伝わった。
先程の意趣返しをするように彼女を仰向けに寝かせて、下着を脱がせる。小さな染みを作っていた、ショーツを取り払うと、彼女の股から強い雌の匂いがした。試しに性器に指で触れてみると、濡れ始めていた。
「随分と濡れてるね…精液の匂いでこんなに興奮してくれたんだ?」
「やぁ…やっぱり恥ずかしいです」
「大丈夫…。こんな助平な俺に愛されたいと思ってるんだ。エッチな位で丁度良いよ」
彼女腰を持ち上げて、逃げられないように捕まえる。そして彼女を愛するように性器を舐めた。
「あぁん!?く、クリぃっ!?」
割れ目の中に隠れた肉ビラを舌先で掻き分けながら、弄り倒し、そのまま登り、肉芽に吸い付く。まるで彼女の乳房に吸い付くように。しかしそれよりも優しい吸い付きで、繊細な力加減で愛撫していく。普段より与えられた刺激は多くて、彼女が短く悲鳴を上げた。
彼女が腰をくねらせて快楽から逃げようとするも、俺にしっかりと抱きかかえられてしまっているために思うようには動けていない。彼女の様子などお構いなしに、性器を舐り続けた。
「じゅぷ…じゅる…じゅるる」
「んやぁ…吸って…吸ってるぅ」
一舐め、二舐めと口婬を施すと、彼女の蜜壺から止めどなく愛液が溢れ出す。調教の成果か、彼女の体が反応して、雌穴の中は俺のモノを受け容れるために天然の潤滑油で満たそうとしていた。その愛液を飲み干すかのように、恥辱を煽るように淫靡な音を鳴らし、穴から勢い良く、汁を吸い上げる。彼女特有の高い粘性を帯びた愛液はとても咽に絡み付くし、飲むのは大変だけど、その中に混じる発情した雌の匂いが俺を昂ぶらせていく。
こっそりと下半身に意識を向ければ怒張が復活を遂げていた。
…つぷり。
「んひゃあ!?」
愚息を回復させてくれたお礼に、そのまま彼女の雌穴を攻める。舌先を男性器に見立てて挿入するかのように、奥へとねじ込む。舌先をうねるように動かして、彼女の穴を掘り返し、中から漏れ出る愛液を次々と呷る。
「まってっ!音弧さんっ!はげっ!?激し過ぎ!あん!?」
彼女の抵抗が激しくなり、その度に腰が揺れる。その様子を見て、更に攻め手を強くする。性器を吸い上げると、彼女の体が跳ねた。
「あーっ!?んゃあ!?だめ!だめぁああっ!?んぁぁあっ!!」
びゅ!びゅ!びゅ!
彼女の体が感電したように跳ね回り、そのまま彼女は盛大に愛液を噴き出す。さながら噴水のように噴き出した潮を、そのまま口で受け止めて飲み干す。愛液だけでは無い、潮吹き特有の匂いがした。
「…はぁ…はぁ…いっぱいイったね。だけど…まだイケる?」
「…ぜぃ…ぜぃ……まだまだ余裕です」
「ありがとう」
本当は休憩を挟みたいはずだろうに、彼女は懸命になって俺に応えようとしてくれている。嬉しくなる。
口元の愛液を腕で拭い取って、彼女に覆い被さるように抱き着く。そして胸に埋もれるように、甘えるように…。
ふと、気がついた。
「あっ…
流れで始めてしまったものだから、事前準備などしていなかった。避妊具が鞄の中に入ったままなのを思い出して、取りに行く。
「要りません」
起き上がろうとした俺を、庭取ちゃんは子供のように抱き着いて阻んだ。彼女の柔肌が火照るのを感じた。
「このまま
「でも…」
これまで俺は彼女との性交で避妊を徹底して行ってきた。
「赤ちゃん出来ちゃうよ?」
「安全日だから大丈夫…」
「安全日ってのは『受精しにくい期間』ってだけで、妊娠の可能性はあるんだよ?」
この先、もし、彼女が俺の手を離れて独り立ちするとしたら。身勝手な話だが、彼女は出来る限り身綺麗なままで居た方がいい。
いや、散々性行為を重ねておきながら、こんなことを宣うのもどうかと思うが、俺自身、『結婚』と『妊娠』は更に一段階上のステージだと思う。
それらは血の繋がりの無い他人同士を『家族』として結びつける大切なものだ。
「子供出来ちゃってもいいの?」
男と女。そして健康的な肉体さえあれば子供は作れる。殊の外、簡単に作れてしまう。
身籠もるのは大変な事だ。出産は文字通り命懸けだし、子育ては苦労が絶えず時には心を病む。
その人生を費やす相手が本当に俺で好いのか。
「じれったいです」
そう言って彼女は俺の唇を奪う。舌を絡めて、求めるように口を貪る。
たっぷりと口の中を堪能した頃に、自然と口が離れていく。
その官能的な余韻に包まれながら、改めて問い掛ける。
「俺でもいいの?」
「あなたがいいです」
「性欲強いよ?」
「知ってます」
「本気になったら、今まで以上にきみを抱くよ?」
「受け止めて見せます」
「俺と…『家族』になってくれますか?」
「……はい、喜んで」
感極まって彼女を抱き締めた。それに応えるように、彼女の腕に力が籠もった。
暫くすると、彼女が背中を叩く。いいかげん待ちきれないと言う意味だろう。
「じゃあ…
仰向けに寝そべる彼女に覆い被さるような正常位。その体勢で彼女の蜜壺に肉槍を宛てがい、犯す事を告げた。彼女が首を縦に小さく振ったのを見て、彼女の体へと突き刺していく。
ぐぷ…ぐぷぷ……。
初めて感じる彼女の生の感触。避妊具越しとは全然違う彼女の膣内。その熱で溶けてしまいそうなほどにトロトロと蕩けた愛液。それを万遍なく塗すかのように絡み付いてくる肉襞。彼女の弱い部分を突いたら、搾り上げるように膣内全体が締まった。
「あ…あ…あぁぁぁ……ヤバイ。ヤバイです、これ。音弧さんのが、今までよりクッキリと…」
「俺の形、分かる?」
「…分かる。わか…分かりますぅ。中でゴリゴリしてて、いつもよりも強く引っ掻かれっひゃあうんっ!?」
「庭取ちゃんの中、火傷しそうなほどに熱いよ。とっても気持ちいい」
「まってっ!音弧さん待ってっ!うぅん!?…動くの早いぃっ!?」
子宮口まで到達した余韻も早々に、直ぐさま抽挿を開始した。今回は万全に前戯を済ませずに入れてしまったから、このまま性感を高めていく必要がある。
一度後退して、彼女の膣道を入り口から子宮口までの前半分を重点的に犯していく。何度も繰り返し、繰り返し、愛おしい彼女の体を貪り尽くしていく。
「痛くない?」
「いゃあ!あっ!あぁ!あぁん!?んぐっ!」
その様子を見て、少しだけ攻め手を強くする。すると彼女は歯を食いしばり、快楽に溺れてしまわぬように、必死になって抵抗していた。気張った口元の端から涎が垂れ落ちた。
「あっ!あっ!あーっ!!?ね、音弧さんっ!ねこさぁん!?」
体をビクビクと震わせながら、彼女が俺の名を呼んだ。
その声を聞いて俺は両手で、彼女の乳房を揉み拉く。
「あぁん!?ち、乳首駄目!?だめなのぉっ!!」
一突き突く度に揺れる彼女の胸。ぷるぷると振るえていて、甘い甘いプリンのように美味しそうで、思わずむしゃぶりつきたくなる。
だけど今は…。
「ちゅ、ちゅちゅ。ちゅぷっ…れるれる」
「はぁん…れる…き、キス…すき」
感じ始めた彼女の喘ぎ声が大きくなってきたので、黙らせるように唇を塞ぐ。その意図を識ってか知らずか、彼女は接吻に応えるように腕を絡めて、俺にしがみついてくる。
「じゅぷ…ちゅう…ちゅう」
ぱちゅぱちゅぱちゅ。
静寂な宵闇の中、口の中で舌先を絡め合い、吸い合う、水飴を掻き交ぜるような音と。性器同士が、肉同士が、何度もぶつかり弾ける音がする。
口吸いは互いの呼吸が苦しくて仕方ないはずなのに、水に溺れて慌て酸素を求めるように荒々しい息をしながらも、互いに互いの呼吸を邪魔して、いつまでも繋がろうとする。
合わせて腰の動きが激しくなっていく。入り口を攻めていた剛直は、更に奥の子宮口を執拗に犯していた。その多大な刺激に否が応にも彼女の体が反応する。肉体をビクビクと震わせながら、彼女は足を俺の腰に絡めて、ガッシリとしがみついてきた。
激しすぎる動きに耐えかねての催促か。更なる快楽の催促か。この後に吐き出される精の催促か。どういう意図があっての反応かは分からない。
でも、やることは決まっている。『強く、優しく、激しく、愛して欲しい』と望んだ彼女に応える。そのために俺の見極めが許す限り愛する。激しく、優しく、強く。
「出すよ…。中に、全部」
体を密着させて、自身の肉槍を子宮に深く突き刺す。小刻みに子宮口を突いて、ぴったりと閉じた奥の奥の女の大事な部分を侵略していく。無理矢理穴をこじ開けて、肉槍の切っ先は子供を授かる袋へと侵攻し、犯していく。
「んぎっ!?んふーっ!んあぁぁっ!?」
「んっ!!」
今までは行って来なかった子宮攻め。それを彼女は必死になって、受け容れようとする。俺に絡み付いた手足は、より一層力を増して、拘束を強める。痛みと快楽を受け止めようと歯を食いしばり、呻きと喘ぎを押し殺している。与えられた刺激に堪えきれず、彼女が立てた爪が俺の背中を抉る。
これまでの『愛し合う』ような、相手を『思い合う』ような性行為とは違う。溢れ出す情動を『叩き付ける』ような『貪り合う』ような野獣のような性行為。自らの種を後世に残そうと躍起になる、『生存本能』にも似た性行為。
注ぐ。注ぎ込む。思いの丈を。持てる限りの愛情を。
そして
ドクン、ドクン、ドクン、ドクン……。
呼びかけも無いままに、彼女の中へとありったけの精液を流し込む。膣内全体がぐねぐねと蠕動し、剛直を奥へと誘う。更に精を搾ろうと締め上げる。子宮口は、まるで本当の口吸いのように先から迸る子種を音を鳴らさんばかりの勢いで飲み込んでいく。
絶頂の波が引いたのを感じて、密着した体を離す。全身から噴き出した汗が、同様に彼女から滲み出た汗と混じってべっとりとしていて、肌同士が吸い付いた。情熱的なキスが終わり、名残惜しさを感じながらも離れていくときの、独特の哀愁に似た物を感じた。
一つ、また一つと呼吸を整えていく。火照った体温は、夜の空気に融けてゆき。吐息は昂ぶりすぎた熱を徐々に冷ましていく。
「庭取ちゃん」
視線を下げれば、今しがた愛した彼女がいる。手加減を忘れた、乱暴な肉欲を受け止めてみせた彼女。顔は涙や涎で汚れ。乱れ。今も呼吸を整えようとしている。
そんな愛おしい彼女の頬を撫でる。
「ありがとう」
それを聞いた彼女は、はっと驚いて、その後嬉しそうに微笑んだ。差し伸べた手の平に甘えるように頬擦りをして、彼女自身も手の平を重ねる。
いつも以上に激しく混じり合い。いつも以上に大きな多幸感に包まれていた。
…でも。
「でも、まだ足りない。
庭取ちゃん?今夜はもう少し、イケる?」
俺が問い掛けると、返事は直ぐに来た。
「直ぐにでも」
体を起こして、彼女は俺の目を見てそう言った。全くもって頼もしい限りだ。
膝の上へ誘うと、彼女は嬉しそうに跨がって座る。そのまま、萎えずに聳え立つ怒張に手を添えて、自らの穴に導いて挿入した。
「んっ…ふぁっ…まだ、かったぁい。
あんだけ出したっていうのにぃっ…音弧さんの、おちんちんは、本当に凶悪兵器です…んふっ」
腰を動かしながら、気持ちいい部分を探して、更に奥へと進む。熱を帯びた吐息が顔に掛かって、欲情した雌の匂いを振りまく。
その仕草に興奮を覚えて、俺のモノは硬さを増していった。
「しかも生だから、全然萎える気がしないな。
今の俺は、庭取ちゃんに足腰立たなくなるまでエッチしたくてしょうがない」
「…スケベ」
「何を今更」
そう開き直って、彼女の体を揺する。奥まで到達していた肉槍の先端が彼女の中を掻き交ぜると、彼女は愛おしく啼いた。
「あんっ!…んぅっ!…ここぉ…」
「いいよ。その調子」
「は、はいぃ…んにゃう!?」
俺の上で彼女が夢中になって腰を振る。もっと彼女を近くに感じたくて、ぎゅっと抱き寄せる。すると彼女も唇を求めて、口づけで応える。
(このままずっとこうしていたい…)
そんな気持ちを込めて彼女を抱く。そう思って彼女の中に精を吐き出した。
「んっっ!?…も、もう出したんですか?」
「うん。でもまだ足りない」
「あっ…」
突然の射精に彼女の体が驚いて反応する。しかし、萎えるところを知らない俺の愚息は、そのまま彼女の膣内を引き続き堪能する。膣内を満たしていた愛液と精液がぐぷぐぷと泡立って、二人の陰毛を汚していった。
「俺を本気にさせたんだ。覚悟しなよ」
「…お、お手柔らかにお願いします」
尻込みを始めてしまった彼女に、俺は微笑んで告げる。
「それは出来ない相談だな」
────。
────。
────。
◇
「酷い目に遭いました」
「全くもって申し開き御座いません」
気が付けば朝日が昇っていた。彼女の体を上から下まで余す所なく堪能し、思いの丈一杯に抱いた。久々に精根尽きる位に出し切ったものだから、充足感というか虚脱感が全身にどっと押し寄せている。
性行為を終えた時には、二人とも汗やら精液や唾液やら愛液やら涙やら…とにかく体液という体液が混じり合ってガビガビに乾いた匂いがするものだから、とにかく風呂で体を洗うことにした。
「『足腰立たなくなるくらいにエッチしたい』とは言っていましたが…ちょっとは加減をして下さい」
朝まで犯し倒した庭取ちゃんは完全に体力を使い果たし、本当に足腰立たなくなっていた。彼女を介抱するという大義名分を得て、温泉に浸かり、湯の温かさと彼女の柔肌を堪能している。
「でも受け止めきってくれたね。偉い偉い」
「んむぅ」
しかし、そんな激しい性行為を庭取ちゃんは全て受け容れてくれた。勿論、意識が飛ばないようにペース配分には気を遣ったつもりだが、それでも夜通しだ。彼女には相当負担をかけた。
「全く…『責任』とって下さいよ」
拗ねたように言いながら彼女は自分のお腹を撫でる。そこには子宮が。俺が精液を溢れんばかりに注ぎ込んだ、子供のための袋があった。
あれだけ犯したのだ、いくら安全日とはいっても完全な避妊とは言えない。
彼女に膣内射精を…孕ませると決めた時には、もう心は決まっていた。
腕の中に抱く、この健気で気弱で元気で甘えん坊で強かな女の子を生涯愛すると決めてしまった。
「言われなくても。
まず帰ったら実家にご挨拶に行かないとな…」
「是非ともお願いしますっ!義祖母様も報告を待ち望んで居ますのでっ!」
そう言って彼女は俺の手を掴んで弄ぶ。上機嫌に鼻唄を………って、ちょっと待て。
「丹羽家に話を通してるの?」
「………あっ」
さり気なく彼女が逃げようとしたので、そのままガッチリとホールドして脇腹を苛めてみる。
「やっ、ちょ…脇…脇腹止めて」
「どうなの?」
「ぐふっ…あはっ!?やめっ!!…降参っ!降参ですからっ!」
「本当は秘密にしておきたかったんだけどなぁ」と文句を垂らしながらも彼女は姿勢を正して向き直った。風呂の中で互いに全裸で、礼儀も作法も有った物では無かったが、それでも彼女の視線は真剣そのものだった。
「……実は丹羽家から新しい『任務』が与えられたんです」
そして彼女は自らの秘密を語り出した。
「……十二大戦を終えて、丹羽家は次回以降の大戦への下準備を開始しました。
そこで私に与えられた任務は次回の十二大戦までに『私の血』を、この異能力『鵜の目鷹の目』を次代に残すこと。
有り体に言ってしまえば『結婚』して『子供を作れ』ってことですね…」
少しだけ彼女の顔色が曇った。
「最初は『丹羽家の実子』…次期当主様との婚姻を要求されました」
「それは…」
「でも、嫌だったんです。『好き』でも無い人と結婚して、交わって、子供を作るなんて。想像するだけでゾッとします。
だから…『条件』を出したんです。『私が子供を作る相手は、自分で選びます』って」
「それで俺を?」
「説き伏せるだけの
あなたが名の知られない名策士『
上手く行けば、『
「俺を利用したのか」
「あなたをダシにしたのは心苦しく思います。ですけど私『あなたの子供だったら産んでもいっかな』って思ったんですよね。だから実は今、バリバリに危険日です」
さらりと重要な事実を織り交ぜて話す彼女。この際、安全日とか危険日とかは構わないが、それ以上に気になる事がある。
「なぁ、聞いてもいいか?」
「どうぞ」
「仮に俺との間に子供が出来たとして、その子を十二大戦に送り出すつもりか?」
「…流石に次回は厳しいでしょうね。今から産んで育てても、10歳位の子供です。
もしも丹羽家で新しい有力な手駒が生まれなければ、次回の大戦は私に決まりでしょう。子供は次々回の可能性が高いです」
「それは嫌だ」
思わず彼女を抱きしめた。
「音弧…さん?」
「折角俺の嫁になるんだ。俺の愛する人を、その人との子供を家の道具されるなんて真っ平ごめんだ」
「でもそれだと『任務』が…」
「俺が十二大戦に出ればいい。丹羽家に養子になるなり何なりすればいい。
これでも不死身だ。例え勝てなかったとしても、絶対に死なない。必ず帰って来れる」
「でも…いいんですか?」
「お嫁さんのお願いなら」
「私を守ってくれますか?」
「力の限り」
「……嬉しいです」
彼女はそう言って身を寄せてくる。縋りつくような仕草には思わず庇護欲に駆られる。本当に彼女を好きになってしまったのだと、自身に呆れてしまう。なんとも惚れやすい男だ。
これでは当初懸念してた通り、まんまと俺は丹羽家に取り入れられてしまった。でもまあ、それでも構わないと思う。なぜなら、俺と庭取ちゃんの間にちゃんと愛があるなら
「勿論、タダとは言わない。嫁になったら今まで以上に君を求めてしまう」
「いいですよ。私の体なら幾らでも」
「きっと閉経を過ぎても、還暦を過ぎても。俺はきみを抱くよ?」
「想像も出来ませんけど…。私、その頃にはオバチャンですよ?」
「構わないさ」
そう断言して彼女と唇を重ねる。性行為の前戯としてではなく、愛情表現としての接吻を優しく施す。
そして、改めて
「俺のお嫁さんになってください」
「不束者の私ですが、お願いします」
彼女は涙ながらに笑って答えてくれた。
『A bird in the hand is worth two in the bush.』
翻訳:
『手の中にある一羽の鳥は、茂みの中の二羽の価値がある』
意味:
もし猟師が1羽の鳥を捕まえたならば、その1羽に満足し、遠くに逃げていった鳥を捜し求めてはいけないの意味。
この諺は物事を欲張ってそれを固執するより、小さいもので満足した方がよいという時に使われる。
教訓としては『物の売買、相場、投機には用心が肝要だ』ということ。