※この作品はR-18です。

脱衣麻雀と私   作:叶芽

2 / 9
二回戦

「じゃあさ…今度は回復無しで行こうか。原点からマイナス2500点で一枚脱ぐのは変わらないけど、今度はその後2500点取り返しても服は返ってこない。あ、でも安心して。ゲーム終了時にはちゃんと返すからさ」

 

 どうすればいいのか分からなかった。いったいどうすればこの状況から逃れることが出来るのか分からなかった。完全下校時刻まで、おそらく後半荘2~3回。勝ち続けるしかないのか。でもその後は?明日は?明後日は?彼らが私を逃すはずがない。きっとこれは続く。彼らが飽きるまで…そうよ。きっと続く。逃げることなんて出来ない。終わりなんてない。

 なら勝つしかない?勝ち続けるしかない?私の好きな麻雀漫画の主人公は言っていた。勝てば生、負ければ死。今まさにそんな状況。でも勝ち続けても、彼らがその勝ちを認めてくれる保証は?反故にするかもしれない。そもそも、私に勝ち続けることなんて出来ない。きっと…次かその次には負けてしまう。そんな気がする。

 でも…。少なくとも後2~3回の半荘は逃げ続けよう。そしてこの部屋から出よう。明日も、明後日も続くとしても。唯一の救いは、今私の手元に金があること。彼らの言うことを信じることが前提だけど、この金は負けたとしても減ることは無い。この金を何かに使えないだろうか。明日…明後日のために…。

 

◆

 

二回戦 東一局 ドラ{7}(表示牌{6}) 親 私

 

座順

 

私→男子1→男子2→男子3

 

私   25000

男子1 25000

男子2 25000

男子3 25000

 

東家 私 配牌

 

{四五六八④④⑤⑤568東東発}

 

 とにかく、逃げよう。攻めと降りのメリハリをつけてとにかく早く局を消費する。そうしよう。

 4巡目、下家から{東}が切られた。

 

東家 私 手牌

 

{三四五六④④⑤⑤⑥56東東}

 

東家 私 河

 

{8八西発}

 

 鳴かずに三色一盃口という手も見えているけど、私はノータイムで鳴いて、打{三}。直観だけどこの局は門前では先にアガられてしまうと思ったからだ。現に私は親。ツモられたら倍払いだ。ペナルティが原点以下で発動し、回復が出来ない以上、選択肢は一つ。序盤は攻めなくてはいけない。

 同巡、上家から{⑥}が切られた。それも鳴いた。そして打{6}で待ちは{5}単騎へ。この待ちでアガれるとは思っていない。ヤオチュウ牌が来たら、待ちを変えて出アガリ狙いにいこうと考えていた。

 次巡、狙い通り字牌をツモった。{白}。私は待ちを変えた。この牌は出ると信じた。そして同巡、上家から{白}が溢れ、私は牌を倒した。2900。

 

東家 私 手牌

 

{四五六④⑤⑥白} チー {横⑥④⑤} ポン {東東横東} ロン {白}

 

ダブ東 2900

 

私   27900(+2900)

男子1 22100(-2900)

男子2 25000

男子3 25000

 

 次局東一局一本場、私は門前で5巡でテンパイし、平和がついていたからリーチは自重した。そして次巡対面から直撃。ドラを含んでのまたも2900の一本場をアガった。

 二本場、ドラは{⑨}で私の手には配牌の時点で{⑨}が二枚あった。好調は続いていた。今度は4巡でテンパイ。

 

東家 私 手牌

 

{二三三三四②③④⑨⑨4567}

 

 この形から{4}索を切ってリーチ。待ちの少ないシャボの形で悪形だったけど、その時は流れはある気がしていた。それを証明するかのように、7巡目には下家から直撃を奪えた。{三}でアガったため、親満には至らなかったけど、40符三3飜の7700(二本場で8300)。十分すぎるアガりだった。これで三連続和了。私の点数は39400。安全圏とは言い難いけど、集中を切らさなければ凌げる点数だとは思えた。

 

東一局二本場終了時

 

私   39400

男子1 16700

男子2 21800

男子3 21100

 

 三本場は4巡で上家からのリーチ。私は安心して降りた。ツモられても、親かぶりでも跳満や倍満でない限りはまだ大丈夫だったからだ。その局の結果はリーチ者のツモ。30符2飜の500・1000(三本場で800・1300)。安手だった。

 東二局。私は好配牌をもらった。

 

東二局 ドラ {⑦}(表示牌{⑥}) 親 男子1

 

北家 私 配牌

 

{三八③④④⑤⑥⑦4678西}

 

 3巡目には{七}をツモり、もし{六}をツモ、もしくは上家から出たらのなら喰っていこうと思った。5巡目に上家から{六}が出た。都合良く事が運んでいくことに、私は寒気がするほどの何かを感じてきた。

 この人たちは、本当にまじめに打っているのだろうか。いや、そんなはずはない。こんな大金を軽々しく賭けて、女の子を玩具にするこんな人たちが、まじめに麻雀を打つわけがないんだ。何が名門だ。

 私は{六}を鳴く際、怒りを声に少しだけ込めた。

 

「お、調子出てきたじゃん」

 

 観戦していた一人の男子が言った。はっきり言って吐き気がするほど気色の悪い声だった。

 7巡目には私は下家から2000点をアガり、親を流した。

 

北家 私 手牌

 

{③④⑤⑥⑦44678} チー {横六七八} ロン {②}

 

タンヤオ ドラ1 2000

 

 東三局は、対面の調子が良く、対面の男子は二連続でアガった。二回とも安手のロン和了で、私へのダメージは無かった。

 続く東三局二本場は、私は配牌に恵まれ、かつ喰い仕掛けを実行したけど、中盤上家と下家がリーチをかけたため、降りに変更した。結果は流局。テンパイしたのはリーチをかけた二人で、私はノーテン罰符の1500点を献上した。

 

東三局二本場終了時点

 

私   38600

男子1 14400

男子2 26600

男子3 18400

 

 東ラスを前にこの点数。まだ余裕はある。行ける。でも、三人の表情はちっとも濁らない。へらへらしていて、はっきり言って気持ち悪い。負けたら、こんな人たちに……。絶対に嫌だ。それに、そもそも負けたくない。こんな、麻雀を馬鹿にしたような人たちに負けるなんて……

 

―――そんなの、私が許さない

 

東四局流れ三本場 ドラ {1}(表示牌{9}) 親 男子3

 

 配牌には恵まれなかったし、対面が{東}を鳴いて早い印象はあった。しかし終盤私の手もまとまってきて、そして喰らいつくように仕掛けた。

 

13巡目

 

南家 私 手牌

 

{二三三四四五④⑥33} ポン {五五横五}

 

 次巡、嵌{⑤}という悪い待ちであったにも関わらず、その{⑤}はツモれた。もう明らかと言っていいほど、調子がいいのが分かった。そして他家のやる気がまったく感じられないのがはっきり見て取れた。

 南一局、親は私だったが11巡目に対面からリーチが入り、もちろん降りる。ふざけてはいるのは分かっていても、私は相手を舐めたりはしない。そうなってしまったら、こいつらと同じになってしまうからだ。その局は対面が下家(男子1)の海底をロンした形で終わった。

 対面の好調は先ほどの東三局のように続いた。リーチは4巡目。配牌に恵まれているようだった。6巡目には上家(男子3)からの直撃、2000点。安手ではあるが、その好調が序盤に来なくて正直助かった。

 だけど、その好調をいつまでも維持させるわけにはいかない。

 

南三局 ドラ {中}(表示牌{発}) 親 男子2

 

西家 私 配牌

 

{五七①①③⑤⑦25西北中中}

 

 テンパイを基準にするなら、好配牌とは言い難いものだったけど、ドラが二つあった。私は役牌バックでも構わない、鳴いて手を作ろう、対面よりも早くアガることを意識しようと思った。

 2巡目、下家から{①}が切られる。私は間髪入れず叩いた。

 

西家 私 手牌

 

{四五③⑤⑦⑧25中中} ポン {①①横①}

 

 同巡、上家から切られた{六}も叩いた。

 

西家 私 手牌

 

{⑤⑦⑧25中中} チー {横六四五} ポン {①①横①}

 

 次巡{1}をツモり打{⑤}。{⑥}、{⑨}が来たら{1}単騎、辺{3}が先に来たら、{⑦}、もしくは{⑧}を単騎に。愚形、情けない手作りだけど効果はあると思った。

 私の仕掛けを外から観た場合、まず警戒するのが、役牌を既に持っていること前提での仕掛けだ。そうでなければ、こんな命に近いものを賭けているこの勝負で、役を捨てる行為と言える{①}鳴きと{六}鳴きはあり得ないのだから。

 仮にやる気があるなら他家の役牌は止まる。仮にやる気が無いのなら役牌は喰わせてくれる。どっちにしてもメリットはあったと思う。

 次巡、喰うまでもなく{中}はツモって、暗刻った。そして打{5}。さらに次巡{1}をツモり打{2}でテンパイ。{⑥}、{⑨}待ちになった。

 9巡目、上家は{⑨}を切った。どんな手で切ったのかはわからないけど、よく切ってくれた。8000。

 

西家 私 手牌

 

{⑦⑧11中中中} チー {横六四五} ポン {①①横①} ロン {⑨}

 

中 ドラ3 8000

 

南四局 ドラ {六}(表示牌{五}) 親 男子3

 

オーラス、私は配牌で勝利を確信した。

 

南家 私 配牌

 

{四六九②⑦⑧⑧46788発}

 

 さらに第一ツモが{五}ときた。この嵌張がこの手のネックだと思っていたが、あっさりとツモった。

 次巡には{⑥}、5巡目には{3}、7巡目には{5}をツモった。この{5}は三面張を確定させる最高のツモだった。テンパイし、当然ダマ。リーチは不要。私は舐めたりはしない。

 

西家 私 手牌

 

{四五六⑥⑦⑧3456788}

 

 同巡、下家の打{8}をあっさりとロン。二回戦は私のトップで終了した。

 

南四局終了時

 

私   54500

男子1 4700

男子2 33200

男子3 7600

 

◆

 

 二回戦も私は一枚も脱がずに、そして大金を得た。今度は315万。一回戦の158万と合わせて473万。この金は大きい。きっと何かに役に立つ。

 

「念を押しますけど、この金は…もう私のものなんですよね?」

「ああそうだよ。君のものだ。君強いねぇ。そして、どうやら次の半荘がラス半になりそうだね。さぁ行こうか三回戦だ。今度はどこまでハードルを上げちゃおうか」

 

 

 負ける…ものか…。あと、後一回だ…。集中、集中するんだ。

 

 

 行くぞ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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