※この作品はR-18です。

脱衣麻雀と私   作:叶芽

6 / 9
六回戦

 

三回戦

東一局 親 愛花 ドラ {①}(表示牌{⑨})

 

座順

 

愛花→部長→副部長→私

 

 

 三回戦…起家の次はラス親。そして、彼女は本当に味方なのだろうか。彼女が本当に協力してくれるのなら、確かに心強い。トップを維持することの難しいこの競技で、私はこれから二着を狙ってもいいのだから。

 二回戦で引いたラスからも感じるけど、今私には流れは無い。運『とやら』はどうやら昨日かなり消費したのだと思う。この三回戦も、ラスは引かないまでもトップを取るのは難しいかもしれない。プラスの二着が恐らく私の限界だと思う。それなら、このゲームはあえて彼女を信じよう。どの道私の行動に変わりは無いし。

 

「あのさ…せっかくそうなったんだから少しは見せてくれてもいいよね?」

 

 対面の部長が言うに、私の胸が見えないらしい。私は対局中、『哭きの竜』のようなポーズをとっているため、必然的に胸が隠れる。だから私は返してやった。

 

「ふっ…私の体が見たいのなら…点を取ればいい。あンた…背中が煤けてるぜ…」

 

 使い方はたぶん間違っているんだろうけど、でも気分は良かった。

 

北家 私 配牌

 

{二三六①②③⑥⑥⑦29白中}

 

 この三回戦の私の打ち方はもう決まっている。得意のスピード麻雀はしない。テーマは無欲の維持、静寂、そして命を削る鳴きと死にゆくリーチ…。鳴きとリーチは最後の一撃…運『とやら』がいっぱいに溜り、限界が来た時のみにする。中二病全開で。

 

6巡目 北家 私 手牌 

 

{二三六①②③⑥⑥⑦2889}

 

北家 私 河

 

{北西中西東白}

 

 進まない。まったくを持って進まない。でもこれでいい。私は静かさを心掛けた。捨て牌の静かさというより、私自身を静かにした。具体的に言うなら、打牌や表情、仕草を静かにした。勿論心も平穏を保つようにした。たとえ裸であっても、今私は勝負をしている。

 7巡目、愛花さんからリーチが入る。

 

東家 愛花 河

 

{南9中発北④}

{横①}

 

 まったくをもって読めない。勿論私は降りる。たとえ手牌が優秀でも、きっと私は静かに降りただろう。

 一番の理想形は彼女のリーチに対して私以外の誰かが振り込むこと。彼女のツモではない。私はもう素っ裸。覚悟はしているけど、なるべくならこれ以上のペナルティは受けたくないのが本音。仮にも処女…まったくの未経験なものだから、本当は怖い。何をされるのか見当もつかない。でも、それでも、私は平静を保ってやる。

 同巡、上家からもリーチがかかったけど、2巡後には副部長は愛花に振り込んだ。良い。理想形だ。

 

東家 愛花 手牌

 

{一二三五五五⑦⑦34456} ロン {5}

 

リーチのみ 40符1飜 2000 (リー棒プラス)

 

 安手でリーチ。ずいぶんと強気な麻雀は相変わらずで、ひょっとしたらそれが彼女の麻雀なのだろうか。

 

東一局 一本場 ドラ {⑥}(表示牌{⑤})

 

北家 私 配牌

 

{六七①③⑤⑦⑦⑨14567}

 

 うん。理想通りに事が運べば、状況は良くなるもの。3%から10%に上がったってところかな。でもまだまだ。

 第一ツモは{五}、第二は{⑥}、次は{1}、{二}、{②}、そして{①}。なかなかの『溢れ』具合だと思う。2巡目に{①}を切っていなければ②筒ツモの時点で聴牌。だけどそのミスを無かったことにする次巡の{①}ツモ。いい感じね。

 

北家 私 手牌 

 

{五六七①②③⑤⑥⑦⑦567}

 

北家 私 河

 

{1①1二⑨4}

 

 ドラ含みかつ{⑦}の方で高め三色の聴牌。6巡でこの形なものだから、普段の私ならノータイムでリーチだろうね。でもダマ。静かに行くのだからダマ。まだまだ20%と言ったところ。

 次巡、愛花さんから{④}が切られた。私は静かに発声し、静かに牌を倒した。安め、平和ドラ1の2000の一本場、2300。彼女は私の手牌を見て、少しだけホッとしたような表情になった。でもね、{⑦}でも倒したよ?静かにね。

 

東二局 親 部長 ドラ {5}

 

西家 私 配牌

 

{三六六六九②⑤⑨69西発中}

 

 暗刻が一個。この手を上手く和了れたら、たぶん20%は上がる気がする。

 

6巡目 西家 私 手牌 

 

{三六六六②⑤⑤⑥⑥3679}

 

西家 私 河

 

{西九中発東⑨}

 

 縦に来ている印象。でもまだ来ない。仮に来たら、この場合最終形は七対子か四暗刻の形になるからね。

 でも同巡『また』愛花さんからリーチが入った。よく手が入るな。でも、これで和了れないと、一枚ペナルティなのに、それほどの手なのだろうか。

 

北家 愛花 河

 

{白中3①北横七}

 

 次巡私は{8}をツモってきた。有効牌だし切ることは無いけど、これはアタリ。{5}、{8}待ち。根拠は無い。完全なる直感。ツモって来たときなんか嫌な気がした。それだけ。

 私は彼女の現物の{3}をまず捨てた。

 

西家 私 手牌

 

{三六六六②⑤⑤⑥⑥3679} ツモ {8} 打 {3}

 

 次に{発}をツモ切り。

 

西家 私 手牌

 

{三六六六②⑤⑤⑥⑥6789} ツモ {発} 打 {発}

 

 次巡{④}をツモって来たから、前の巡彼女が捨てた{三}を切ってイーシャンテン。

 

西家 私 手牌

 

{三六六六②⑤⑤⑥⑥6789} ツモ {④} 打 {三}

 

 次巡{②}ツモ。縦に来た。今度は{9}を切ってそして聴牌。{9}は対面が同巡切っている。アタリ牌(確定じゃないけど)を切らずに聴牌になる。これは10%アップかな。

 

西家 私 手牌

 

{六六六②④⑤⑤⑥⑥6789} ツモ {②} 打 {9}

 

 その局最終的に和了ったのは私だった。振り込んだのは上家。

 

西家 私 手牌

 

{六六六②②④⑤⑤⑥⑥678} ロン {④}

 

タンヤオ 一盃口 40符2飜 2600 (リー棒プラス)

 

 一応、高め。さらに10%…。今だいたい40~50%ってところかな。

 愛花さんはこれで合計3300のマイナス。一枚のペナルティ。彼女はカッターシャツを脱いで、その下着姿を晒した。真っ白のレースの付いた高そうなブラだった。私程じゃないけど、そこそこ胸も大きい。赤くなった彼女の顔も合わさって、可愛らしく、かつ色気のあるものだった。

 

東三局 親 副部長 ドラ {白}(表示牌{中})

 

5巡目 南家 私 手牌 

 

{四五②③④④⑤⑥⑧⑧123}

 

南家 私 河

 

{9白一発③}

 

 {三}、{六}があっさり出てくれるなら問題は無い。でも出ないならこの手は罠。進めば%は下がる。ここは慎重に行く。

 

「リ、リーチ!」

 

 2巡後またまた愛花からリーチ。正直アメイジング。死ぬ時は前倒れだとでも言うのだろうか。彼女の声も、最初と比べればはっきりとしたものになってきている印象があった。それも…演技だというの?

 私はもちろん降りたけど、彼女のリーチは実る結果になった。振り込んだのは部長。

 

西家 愛花 手牌

 

{三三四五六⑦⑧456678} ロン {⑨}

 

リーチ 平和 30符2飜 2000

 

ツモ和了じゃなかったってことは、これで10%くらい上昇だと思う。ちなみに、今更だけどこの%ってのはかなり適当。

 

東四局 親 私 ドラ {⑧}(表示牌{⑦})

 

東家 私 配牌

 

{三五六④⑥2466東西白発中}

 

 この沈み…。運『とやら』の調子が上がってきているなら、このオーラス、私の親で来ると思ってたけど、そう都合よくは行かないか。私はおじさんじゃない。でもこの60%状態を上手く使って凌ぎたい。出来るなら、トドメは『哭き』で決めたい。東風なら60%フィニッシュで上等。

 だけど8巡目に『また彼女』がリーチを仕掛けてきた。彼女は超運でも持っているのだろうか。私は降りざるを得なかった。結果は流局。彼女の一人聴牌。これでたぶん5%ダウン。

 

東4局終了時

供託一本

愛花   28700(-3300)

部長   22000

副部長  18400

私    29900

 

※誰も三万点を超えなかった場合、南入するルール。誰かが三万点を超えるまで続くサドンデス。

 

南一局 流れ一本場 親 愛花 ドラ {③}(表示牌{②})

 

北家 私 配牌

 

{四八①⑥⑥55899東西発}

 

 来た…。『縦』だ。55%の『縦』なら…ここは正念場だ。

 そして12巡目、対面からリーチが入った。

 

南家 部長 河

 

{東白北南8南}

{北四②④西横3}

 

 私じゃあこれは読めない。ただ私が最も警戒したのは下家の愛花さんだ。

 

東家 愛花 河

 

{中98316}

{64二139}

 

 索子の清一が出来るんじゃないかというくらいの染めを意識した捨て牌。これでまたリーチが入ったら、二回戦以上に悲惨な結末が私を襲うかもしれない。だけど、私の手も負けてない。

 

北家 私 手牌

 

{二四六⑥⑥⑥55599発発}

 

 この形のイーシャンテン。たぶんこれじゃあ55じゃなくて20%くらいのものだけど、上家が{三}を切った。ここだ。ここしかない。ここでこの20%を使い切る。

 

「チー!」

 

 私は哭いて、{六}を通した。牌は光ってない。通る保障のない{六}だったけど『哭いた』なら振り込まないとも思っていた。私は、おじさんの麻雀を信じた。私が辛い時はいつも、おじさんの麻雀をマネした。流れを意識する。オカルト的なものを信仰する古典的な麻雀。今は直観を、運『とやら』を信じる。勝つ負けるじゃない。今はただ信じるだけ。それがきっと私を助けるのだと信じて。私にとってそれだけが…

 

 

 

 

―――最後に残った道しるべ

 

 

 

 

 次巡上家から{発}が切られ、私の和了でラストになった。

 

北家 私 手牌

 

{⑥⑥⑥55599発発} チー {横三二四}

 

 40符1飜の1300(プラスリー棒二本)。私は一息ついて「三回戦終了ですね」と言った。

 

 

三回戦終了

 

愛花  28700(-4300)

部長  21000

副部長 16800

私   33500

 

精算

 

愛花  +6000万

部長  ―6000万

副部長 ―1億

私  +1億

 

 

「や…やりましたね!」

 

 愛花さんが抱きついてきた。私が裸だったからか、かなり柔らかい感触がして気持ちよかった。私は「うん…でもあと半分だよ」と笑顔で返した。

 正直嬉しかった。彼女の件もあるけど、なによりおじさんの麻雀で勝てた。私は心の中でおじさんにありがとうと言った。でも恥ずかしくて、おじさんの方は向けなかった。

 

「ふふふ…かなり頑張ったね君たち…」

 

 部長の笑顔は引きつっていた。そろそろやばくなってきたかな?

 

「これで君は全回復してもお釣りが返ってくるわけだけど…」

 

 私は鼻で笑って「誰が」と叩き返してやった。

 

 

 

三回戦結果

 

私  

ライフ 0 全裸

 

愛花  

ライフ 4

スカート

下着上下

眼鏡

 

麻雀部

ライフ 残り 2億1000万

 

 

 

 

 

◆

 

 

 

 

 六回戦のうち半分の三回戦を消費したということで、五分ほどの休憩が与えられた。私は鞄からミネラルウォーターを取り出し、飲んだ。おじさんは一服でもしにいったのか、部屋から退出していた。愛花さんは鞄から麻雀の必勝本らしきものを取り出し、読んでいた。意味ないと思うよそれ。部長、副部長を含める麻雀部のメンバーは、部屋の奥で何やら話をしていた。

 休憩終了まで残り一分を切る頃に、おじさんは部屋に戻ってきた。それとほぼ同じくして、部長と副部長が卓に着いた。部長は神妙な顔をしていた。私を見て、何か言いたそうだった。

 

「何か?」

「……非常に申し訳ないのだけど、ルールの変更をお願いしたい」

 

 やっぱり来たか…。まぁそう来るだろうとは思ってたけど。

 

「人を素っ裸にさせている時点で、もう既に非常に申し訳ない事態ってところですが、一応話は聞きましょう」

「どうやら、僕たちは君たちに順位で勝てそうにない」

「わかりませんよ?後三回戦ありますし」

「いや…君たちは、特に君は強い」

「麻雀は運のゲームです。強い弱いなんて無いと思います」

「でも君はこれまでの…昨日を含めてこの六回戦の成績は、二着、一着、一着、一着、四着、一着…。麻雀が運のゲームであることを差し引いても、この成績を持つ君と僕達とでは差があり過ぎる」

「もっとも、これから連続で私がラスを引くかもしれませんが…。で、どのように変更するおつもりで」

 

 順位の話が出たから…たぶん…。

 

「さっきも話したように…順位で君たちに勝てる気がしない。少なくとも君は逃げ切りも、まくりを得意としているみたいだし、こちらが中盤いくら君から奪おうと、最終的には君が一着で金を得る。ペナルティはもちろん課すけど、でも金は一方的に毟られているのが現状だ。フェアじゃない」

 

 どの口が言うんだ?全裸の女子高生に対して『フェア』じゃないって?

 

「だから…順位による金のやり取りを廃止したい」

 

 だろうね。大体わかったわ。

 

「代わりにどうするんです?」

「金の移動やペナルティについては、僕らと君たちとの点数の移動に合わせたいと思う。例えば君が僕らか副部長のどちらかから点を奪ったら、その点に応じて金が君らに与えられる。そうだな…2500点で1000万と言ったところかな。逆に僕らが君らから点を奪った場合は、前回と同じように2500点につき一つのペナルティということにする。前と違うのは君らの間での点の移動でペナルティが課せられることが無いということだ」

「つまり…2600オールを私がツモれば、2000万もらえるということね?あと、ゲーム終了後、原点以下だった場合は?」

「それも廃止しよう。こちらはお願いする立場だ」

 

 じゃあもう負けてくれないかな?

 

「………」

 

 私は少し考えた振りをした。なるほど…、昨日の三回戦目を除き、私が上がったのは安手が殆どだ。このルールなら東風で一万点奪っても4000万…。初っ端からこのルールだったら、5億奪うのは難しかったかもしれない。

 

「また…もう一つ頼みたいことなんだが、こちらにも回復する権利が欲しい。君のこれまでの回復拒否から考えても、もう君は決して回復しないだろう。つまり…事実上こちらは回復無しで戦っている状況だ。だから…もしこちらが君たちから点を奪ったら、ペナルティ一つの代わりに1000万返してもらう…というルールを付け加えてもらえないだろうか」

「つまり事実上…以降は金銭のみのやり取りになってしまうわけですか。それでいいんですか?私たちを甚振らなくても。二人の女の子の服をここまで脱がせておいて、その後何もしなくていいんですか?」

 

 

 

―――本当の気持ちと向き合えますか?

 

 

 

「……金が…無くなってしまったら……もう僕たちは何も…」

 

 私は卓を叩いた。

 

「そのために来たんですよ私は!!!二つ目の『お願い』は却下です!」

「そ…そうか…。でも、じゃあ…一つ目の方は……」

「愛花さんは?…」

 

 愛花さんはおどおどしている様子だったけど、コクリと頷いた。

 

「ありがとう…。じゃあそのルールで、再開しようか。四回戦…」

「待って…私はまだ許可していません。1000万を要求します。1000万払ってくれたらのなら…呑みましょう」

 

 部長は数十秒程考えたけど、結局は1000万円を払ってくれた。

 

 

 

 

 そして、私の目的の一つはこれで達成されたようなものだった。相手が負けを認めたのだから。

 

 

 

 

ルール変更

 

 

・金の移動、ペネルティの施行は、麻雀部サイドと女の子サイドのゲーム中の点数のやり取りに合わせて行われる。

・順位や最終点数は、金の移動、ペナルティの施行に影響を与えない。

 

 

 

麻雀部の残り資金 二億

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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