※この作品はR-18です。

脱衣麻雀と私   作:叶芽

7 / 9
七回戦

 

 

 

 四回戦。三回戦に続いて今回もラス親だった。この四回戦目からは、私と愛花さんのコンビ性が強まることになる。私が愛花さんに振り込んでも、愛花さんがツモっても、私にはペナルティは無い。私としてはかなり気楽に打てる状況になった。

 だけど、ここからは安手で逃げる、という麻雀は有効ではない。さっきまでの調子で打っていたら、向こうから奪えるのは一回戦でせいぜい4000万程度。三回続けることが出来ても、一億2000万。話にならない額。勿論、それを続けること自体至難になるかもしれない。点が取れず、一方的に点が奪われることだって、麻雀にはある。

 しかし、この四回戦目はあまりにも一方的過ぎた。

 

座順 

 

愛花→部長→副部長→私

 

東一局 親 愛花 ドラ {六}(表示牌{五})

 

 愛花さんの雰囲気が違う。オドオドした印象はもうそこには無く、冷たい空気を纏い、まるで獲物を狩るような眼がそこにあった。豹変。恐らくこの単語が適切だと思う。でも…その凛々しい表情は何かかっこよかった。

 私の手は対子系で、かつ重い印象だった。ポンしてトイトイに向かうことも出来たけど、そうすると運を消費してしまい(おじさんの麻雀は鳴いたりリーチをしたりすると運を消費してしまい、次局やさらにその次の局自分に不利な状況になってしまう)東一局からそう仕掛けるのは得策ではないと思った。

 三巡目に対面が{白}をポンして、さらに次巡加カンした。ノータイムで加カンしたのもあって、手はまとまっているのかもしれないと思った。新ドラは{6}。

 二巡進んで、今度は愛花さんがカンした。その動作は早く、かつ鋭かった。対面(副部長)からのカンで、大明カン。新ドラは{⑤}。愛花さんの手もまとまっているのだろうか。この局、速さでは追い付けないようだから、愛花さんに和了ってほしいと思った。いや…この局は和了るだろうと思えた。彼女が、あまりにもその雰囲気を漂わせていた。

 そう思っていたらその三巡後には愛花さんはあっさりツモった。

 

「ツモ…1600オールです」

 

東家 愛花 手牌

 

{三四四五六八八中中中} 大明カン {①①横①①} ツモ {五}

 

中 ドラ1  50符2飜 1600オール

 

 その声は透き通っていて、冷たかった。牌のツモり方も、倒し方も滑らかで、私はその動きに見とれてしまった。彼女に一体何が起こったのだろう。前触れなんて無かった。ルールが変わったから?後半戦に入ったから?わからない。わかるのは、今の彼女は恐ろしく強いということだけだった。

 そして、これで麻雀部は計マイナス3200点。さっそく1000万円を私たちに献上した。

 

東一局一本場 親 愛花 ドラ {白}(表示牌{中})

 

 彼女の親リーは三巡目の出来事。圧倒的速さ。電光石火のリーチだった。捨て牌は{白}、{八}、{4}。対面の部長は「早すぎる」と呟いた。わかる。私にはわかる。この局…彼女は一発でツモる。

 

「ツモ…一発です。……裏は乗りました。8000オールは8100オール…」

 

東家 愛花 手牌

 

{四五③④⑤⑤⑥⑦34577} ツモ {三}

 

リーチ 一発 ツモ 平和 タンヤオ 三色同順 裏1(裏ドラ{③})

 

8飜 8000オール一本場

 

 まだ東一局であるにもかかわらず、私は勝ちを確信した。彼女の覚醒が四回戦からで本当に良かった。三回戦までのルールなら、とっくに私は犯されていた。

 麻雀部はこのツモで計19400マイナス。つまり、先の1000万と合わせて7000万のマイナス。この時点でこの局のノルマはほぼ達成された。だけど…まだまだ行ける。

 

東一局二本場 親 愛花 ドラ {北}(表示牌{西})

 

 今度の彼女のリーチは局の後半、12巡目だった。その頃には上家の副部長は二鳴きしていて、さすがに彼女は掴み負けるかもしれないと思った。

 彼女のリーチの三巡後、私は{9}を掴んだ。直観だけど、この牌が彼女のアタリ牌だと感じた。もはやその時の私は彼女を信じるか信じないかのレベルではなく『彼女を使えば勝てる』という段階だった。

 彼女の手はリーチと裏ドラ一個乗った3900の二本場。三回戦までだったら、この行為にも躊躇いはあったかもしれない。だけど、今は堂々と出来る。向こうのルール改変が、完全に私達とって有利な形になっていた。

 

東一局三本場 親 愛花 ドラ{一}(表示牌{九})

 

北家 私 配牌

 

{一二三六①⑥⑥⑦2357西}

 

 七割…。いや八割は和了れる。そう思わざるを得ない配牌。実際次巡には{五}、三巡目には{1}、四巡目に{4}、六巡目に{6}をツモって聴牌した。ノータイムでリーチした。今、私達の運は120…いや150はある。運は全然消費して構わないのだから。

 三巡後には彼女もリーチした。二件リーチ。もう麻雀部組は降りざるを得ない。最高に気持ちが良かった瞬間だった。

 その局和了ったのは私。振り込んだのは副部長。リーチ、平和、ドラ1と裏も1個乗って7700の三本場、8600。麻雀部のマイナスは計1億1000万。

 やばい。気持ちい。まさかこんなことになるなんて思ってもみなかった。

 興奮して、我ながらはしたない。

 

東一局三本場終了時

 

愛花   57600

部長   15300

副部長  6700

私    20400

 

東二局 親 部長 ドラ {東}(表示牌{北})

 

 局の中盤、上家がドラの{東}を愛花さんからポンした。同巡私は生牌の{白}をツモってきて、そして愛花さんの捨て牌を観た。

 

北家 愛花 河

 

{8北三発(東)}

 

()内の牌は鳴かれた牌

 

 役牌やドラの切るタイミングからして、聴牌は近いのかもしれない。『今の愛花』さんだ。直観だけど、この{白}は…彼女は対子で持っていて、ポンテンだ。私は切った。そして彼女は鳴いた。嬉しい。

 

「ロン…1000点です」

 

北家 愛花 手牌

 

{五六七⑥⑦⑧⑨⑨45} ポン {横白白白} ロン {3}

 

白のみ 30符1飜 1000

 

 振り込んだのはドラを叩いた副部長。私と愛花さんの連携が、偶然かもしれないけど高い手を潰した。

 これまで…私はずっと一人で打っていた。麻雀は通常、協力なんてあるわけがない。だから、協力することがこんなに気持ちのいいものだなんて思わなかった。

 そもそも、協力していたなんて結果論で、さっきのことは偶然かもしれない。でも私はそう思いたかった。一方通行でも構わない。

 

東三局 親 副部長 ドラ {三}(表示牌{二})

 

 もはや私達の運は200を超えていると確信した。配牌がボロボロであるにも関わらず、私は行けると思ってしまった程だから。

 

南家 私 配牌

 

{二四②⑥1679南北白発発}

 

 第一ツモが{北}だったこともあってか、確実に鳴いて作れると思った。それを証明するかのように、愛花さんの第一打が{北}だった。私は叩いた。局の中盤には対面から{発}も叩いてイーシャンテンになった。

 

南家 私 手牌

 

{二三四五67白} ポン {発横発発} ポン {北北横北}

 

 イーシャンテンになった次巡、愛花さんからリーチが入った。その同巡、私は{白}をツモリ、打{二}、もしくは打{五}で聴牌する形になった。手牌の中に愛花さんのアタリ牌らしきものはなかったから、私は聴牌の道を選んだ。

 その局の結果は私が愛花さんから和了る、というものだった。リーチ後であるにも関わらず、私はまた彼女と協力して、局を流したと思い込んだ。彼女のリーチが他家の動きを止め、その隙に私達が和了る。そういう計画だったんだと思い込んだ。

 

東四局 親 私 ドラ {四}(表示牌{三})

 

 この状態で親…。ラス親…。私はもう無限に和了り続けれるのだと思った。誰ももう私の。私達の流れを止めることは出来ない。現に私は6巡で聴牌。流れはある。当然のようにノータイムでリーチした。

 私は決めた。この勝負が終わって…そして麻雀部を潰したら、私と愛花さんで新しく麻雀部を立ち上げよう。彼女とならうまくやっていける。他にも女子の部員をたくさん集めて、大会に出る。それに彼女は最強だ。彼女を先鋒にすれば次鋒などいらない。私たちはその彼女の打ち筋に見惚れる毎日を送るんだ。幸せの三年間。そんな未来があるのだとしたら…

 

 

 

 

 

―――それはとっても嬉しいなって

 

 

 

 

 

 思った。

 

 

 

 

東家 私 手牌

 

 

{六六④⑤⑥⑦⑧⑨45567} ツモ {6}

 

 

リーチ ツモ 平和 裏1(裏ドラ{⑧})

 

20符 4飜 2600オール

 

 

 これで、麻雀部はさらに2000万マイナス。計1億3000万のマイナスだ。

 私は息を呑んだ。

 

 全てが、何もかもが上手くいく。

 あまりにも嬉しくて、私の興奮はどうしようもない方向に向かった。

 

 今自分がどんな表情をしているのか。私が今何をしているのか、そんなことはもうどうだっていいと思えるくらいに。

 

 

 

 

…………………

 

 そんな時、

 

 

……………………

 

 

「いたっ!」

 

 

 

 誰かが私の頭を叩いた。振り返ると。おじさんがいた。叩いたのはおじさんだ。

 

「お前の親……まだ続いているだろ」

 

 

「あ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 忘れていた。おじさんが居た……。私は、おじさんの前で、なんてことを……。

 いやな汗が流れてきた。私は急に現実に引き戻された感覚がした。さっきまでの高揚した感覚も、もう冷めてしまっていた。

 そうだ…私は何をわけのわからない妄想をしている。冷静になれ。愛花さんの豹変は謎だけど、『まだわからない』んだ。まだこの四回戦も終わっていないし、その後に五回戦、六回戦もあるんだ。しっかりしろ。

 私は部長か副部長に振り込めば、まず間違いなく犯されるっていう状況なんだ。向こうは追い詰められている。こちらに『金を返した方がまし』と思わせるくらいの拷問じみた行為を強制してくるに決まっているんだ。

 集中しろ。

 

 

 

 

 そして………………

 

 

 

 

 今の声は誰だ………?

 

 

 

 

 明らかに若かった。おじさんの声じゃない。でも姿はおじさんだ。私の聞き間違えか?私は通常の状態じゃなかったわけだから、そのせいで変に聞こえただけか?

 いや………まさか…………………

 まさかまさかまさかまさか……そんな……だとしたら……まずい……非常にまずい………………。

 

 

 

 

 四回戦、オーラスの一本場は全員ノーテンで終了した。

 

 

 

四回戦 結果

 

愛花  53000

部長  12700

副部長 3100

私   31200

 

 

 

麻雀部残り資金

 

7000万

 

 

私 全裸

 

 

愛花 

 

スカート

下着上下

眼鏡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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