「オ兄サン、世ノ中能楽ヨ、雅ネ!ウニ軍艦巻キモ雅ヨ!喧嘩良クナイヨ、鬼面モ外道面モ寿司不味クナル」
「相変わらず旨いねぇ」
「私初めて食べました」
「
「その呼び方はやめてください」
「ならなんて呼べばいい?」
「彼女か貴女でのみお願いします」
「冷たいねぇ」
「職業柄ですから」
夜、昼間屍龍と一人で抗争した後、殺し屋と合流して露西亜寿司で食事をしている。
「別に仕事の依頼しようとしたわけじゃない、たまたま、寿司を喰おうてしたらばったりあってナンパしているのさ、お分かり?」
「カモッラ関係で一騒動起こした貴方にナンパされるなら死神と抱擁した方がマシです」
「そんな事もあったんだねぇ」
「健忘症があるのは厄介ですね、罪悪感感じない、って言うのは最低です」
「君だって、そう大差ないだろ?」
「違います」
「その確執はいずれ解くとして、わさび稲荷下さいな」
「はいよ」
板前の目は疑心暗鬼していた。
その疑心暗鬼は。
お客様は神様だ、と言うが、どんな悪党も外道も寿司を食うならば神様になる、そんなぎこちない違和感を感じている、この男は『ヤバい』男なのだと、犯罪者の気風、殺人鬼か、殺し屋のような血の気配がする。
「ワサビガ入ッタ稲荷!凄ク雅ネ!稲荷ハ商売繁盛ヲ呼ブネ!オ客様、稲荷様カ?ドンドン食ベテネ、サービススルヨ」
「狐扱いされてますよ」
ワサビ稲荷を食っている男に言う。
「幸福を呼んでいると思われてるんだねぇ、曾祖父ほどじゃないけどさ」
「スパイマスターでしたっけ?」
「まぁいいじゃん、ソ連とどっこいどっこいだし」
「…………」
「安心してよ、こんなところで君の傷は抉らないよ、ほら、君もワサビ稲荷食べない?」
「私ワサビ苦手です」
「そうかねぇ、やっぱり辛さが独特?」
「バジルソースで充分だわ、あ、私はイクラの軍艦巻きね」
と自分の席の隣に座る。
両手に花、だがしかし。
「悪趣味だな」
「なんでよ」
「武器商人が弱い者を一度に食らうだなんて」
「そーお?それだから良い食感を生むんじゃない」
「ひどい女だねぇ」
「カモッラ関係で私と同盟結んだから、類は友を呼ぶ、ってヤツじゃないかしら」
「そうかもしれない、が、からっ!」
「あ!私も稲荷!ワサビ抜きで!縁起を担ぐ感じで」
「はいよ」
「で、どうする気さ」
「両手の花だからね、食事でお腹一杯になって夜景を見た後にベッドインが普通だろ?」
「「それは嫌だ」」
「どうして、好かれないのか」
「普段の行いのせいです」
「鏡見たら?」