「君も大人になったなねぇ」
寂れた裏路地で二人は会う。
赤林が杖を強く打ち鳴らす。
禍も三年置けば用に立つ。
「これは『試練』だ…………過去に打ち勝てという『試練』と俺は受け取った」
靴の音が響く。
上着を脱いだ。
また二重人格者であり、性的に奔放な交代人格『卓也』の人格が内在している。入れ替わる際は人格だけでなく体格や歳なども変化する。性格だけの入れ替えも可能。この特異体質が、彼の正体探索をさらに困難なものにしていた。
髪は腰まで伸びる。
肉体は筋肉が発達。
ダウナーのような感じが出てくる。
鬱屈しながら、苛立ちを隠せない。
「人の成長は未熟な『過去』に打ち勝つ事だとな」
「過去ってのは明日機組の鬼畜で有名な関西からやってきたアイツの男婦をしてた事とか…………」
「そんな事もあったな」
「麻薬を売りさばいてたんだろ?ブルースクウェアNo.3さんよ」
「それもやってたな」
「でざ、過去はもうどうでもいいんだ、未来の話をしよう、スネイクハンズやら、四十万のキナ臭さよりも、おいちゃんはね、てめぇのようにいつも不満を帯電していて、常に災いを運んでくる厄そのものを池袋に居てほしくないんだよねぇ、ほら、おいちゃん達の粟楠会の縄張りだし、邪魔者は消えてくんない?」
「やなこった、こっちも関西のつてがある」
「…………関東と関西をぶつけさせようとしているのかい?なんていうコウモリキャラだよ、おいちゃんの中にも既に蝕んだ奴はいるのかい?」
「当然だろ?」
「そうかいそうかい、てめぇ、年はとっても火遊び好きは変わらないようだね、火種を集めるどころか、とっておきの爆弾を裏社会に投げ込む…………狂人だ」
「誉めてくれてありがとう」
「あっはっは!不愉快にもほどがあるなぁ!おい!」
裏路地に不穏な空気が溜まる。
澱みというのには、暑苦しい。
邪ン蛇カ邪ン. 粟楠会の幹部赤林子飼いの暴走族。
黒スーツを着ている者が多い、それが集ってきた。
「こいつ、どうしちゃいますか?赤林さん?」
「…………待て」
別方向から愚連隊がやってきた。
半グレというのに、近い集団だ。
「さて、抗争でも始めようか?」
「…………関西のチームか?」
「そうだ、他にどんな幸福的要素がある?」
「無いな、お前は昔っから予想の斜め上を行く混乱を運んでくる大馬鹿野郎だ」
「…………だ、そうだ、赤林」
「こりゃあ、生き埋めコースかも、ね」
「はは、青崎ならお前が埋まれても笑うだろうぜ」
「そこまで毒が浸透してるなら、退くしかないね」