第100話
「トモ、何なんだよ……その軍服は……」
オルガは呆れた様にカラフルな軍服を見てそう言った。
「カッコいいだろう?」
「カッコイイって……」
ビスケットも呆れ気味で三日月は無言だった。
「やれやれ、主役は遅れてやってくる、か……」
ラスタル公、俺達の性奴隷であるカルタ、そして空っぽのお神輿であるマクギリス、ガエリオ、ジュリエッタ、イオク、更にはアルメイアすらいるという、ギャラルホルン関係者を揃えてフレもやってきた。
「これは一体……」
ラスタル公は史実では見せなかった顔をしていた、すっかりやつれていて、満身創痍というのがはっきりわかる。
他のギャラルホルンの連中もマクギリス以外は疲れは見えていた。
「我々の嘗ての地球ではこんなセリフがありました……『百聞は一見にしかず』とね」
パチン、パチン。
俺達二人はいつもの様に指を鳴らした、俺達は青い光と粒子に包まれた。
「な!なんだぁ!」
俺達は一瞬にして彼らにとっては謎のコロニー艦隊に転移した。
砂漠の基地からガラリと変わって、青い空、白い雲、緑の草原という牧歌的な光景に変わった。
ピー!!ピー!!ピー!!
「未知のウイルスや細菌を保持している恐れがある為検査します」
レーザーで厳しくチェックされた。
「な、何なんだよ!ここは!」
続いて全身黒い姿の武装したロボットが俺達を包囲した、手から明らかに弾が出そうな指をしている。
「……」
流石に三日月達は身構えたが、そこに白い服を着た男が現れた。
「任務を行い帰還した、トモ三等兵とフレニ等兵に敬礼!」
たちまち、ガードロボット達も敬礼した、俺達も敬礼する。
(おえらいさんが二等兵と三等兵に敬礼するのか???)
「「大総統!只今帰還いたしました!どうぞこれを」」
ピッ!そういう音がした。
「トモ……お前何やってんだよ……」
それは驚きと怒りと呆れた顔が混ざっていて、例えるならば親しい知人が突然変な挨拶を他人向かってしたような、居心地の悪い空気になった。
「うむ、よく分かったぞ、ようこそ鉄華団とギャラルホルンの皆さん、ワタクシは超銀河連邦連盟のチョウ・ダイです」
「チョウ……ダイ……」
「平たく言いますと、僕はこの世界の人間じゃないんですよ」
「別の平行世界、いや別の国から来たと言えばわかりやすいかと……」
「別の世界から来ただと……」
「貴方達は侵略者だったという事ですか!?」
「アルメイア殿、それは違います、こんな世界我々が襲うわけが無いじゃないですか」
「何が言いたい」
ガエリオが冷静さを装っているが、警戒を説かないどころか明らかに怒りが言葉の中に出ていた。
「ハッキリ言って、こんな『低レベル』な世界襲うわけが無いじゃないですか」
「トモ……こいつ何を言っているんだ?」
言葉は通じるが意思疎通が出来ない、まるで昆虫と話をしている方がまだましという、顔を三日月はした。
「いや、トモ君は我々連邦連盟に所属している軍人でしてね、ゾクシュとの戦いで記憶を無くしたまま、この野蛮な世界に漂流したわけですなぁ」
「そういえば時々記憶を取り戻していたような……」
ビスケットがそうつぶやく、まぁ演技がやばかったのは事実だ……
「しかし、トモくんは素晴らしい!我々が戦いの中で得たテクノロジーを思い出しながら、勇敢に戦い、ゾクシュとも戦う勇者となったのです!」
無論、チョウダイとは頂戴と超大をかけ合わせた俺のアバターだ、そうでなければこんなおっさん、とっくに殴っている。
「いやぁ〜まるで大昔に流行った、異世界チートモノの主人公みたいですなぁ〜」
完全に自虐だ、俺はジーンにもなれない半端モノだ。
「50ノ25コロニーに拾われたおかげです、僕の実力ではありません」
嘘を混ぜているが、後半は完全に本音だ。
「ちょっと待て……トモはこのコロニー生まれじゃないのか?」
「このコロニーは大総統専用のコロニーで僕が拾われたコロニーは中間層だよ」
「彼の地球は滅んだわけですな」
「滅んだ、とは文字通りに解釈していいのですか?」
マクギリスが初めて口を開いた。
「まぁ、ゾクシュのせいですな」
大嘘である、そもそもコロニー艦隊自体デタラメである。
「ボクハコロニーニヒロワレテヘイタイトシテタタカッテイマシタ!」
「そうか……」
オルガはデタラメに納得していたが、ビスケットと三日月は白い目で見ていた。
「フレ君はトモ君と違って正式に選ばれた英雄だ!」
英雄だの勇者だのゲームじゃないんだからさ……
「ほう、選ばれた英雄……ですか」
マクギリスが食いついた!
「左様、彼の目的はこの世界を調べる為のエージェントですな!」
「その為にギャラルホルンに?」
「戸籍を弄りましてね、お陰様でデータは手に入りましたよ!」
「英雄だのエージェントだの……やっているのは単なるスパイなのでは?」
ガエリオがやはり静かに怒っている。
まぁ、その通りなんだが……
「ここで立ち話もなんですから、お茶でもどうぞ」
「!道が動いたぞ!」
俺達は丸い形の未来的な建物に入った。
「クーデリア!アトラも!」
「ニュースを見ました!大変でしたね……」
愛しのフミタンもワープさせられてここに来た、無論クーデリア達も呼んだのは今後の未来のことを決めるためである。
「凄いところですね……」
「空気も澄んでいて、美味しいです」
クーデリアとフミタンがしみじみとそういう。
「このコロニーの自然は何処から?」
アルメイアが聞いてきた、それと前後してみんな白い椅子に座る。
「何処から、というと説明に困りますね、そもそもトモくんに限らず、私も含めて、地球が消滅した世界の人間が多いのです」
流石にみんな驚く。
「平行世界のガンダムパイロットも?」
「彼らは例外です、地球の為に戦い、しかも我々の為に戦ってくれる」
「分かったぞ、貴方達は様々な世界に行って、調査して資源を頂いているという訳か!」
ビスケットが怒り出す、俺を泥棒か詐欺師だと思っているのだろう、正解だ。
「それは違います、我々は言ってみれば巨大なハブ空港と言っても過言ではありません」
「ハブ空港……つまり資源などの橋渡しをしていると言うことか?」
初めてラスタル公が口を開いた、お茶を飲んでリラックスできたのかもしれない。
「やはりな……我々の知らないテクノロジーを貴方達は知っていて、我々が抱えている問題は解決しているから低レベルと仰るわけだ」
「左様!この世界は暴力で満ち溢れていて、幼いものですら少年兵となって戦わざる負えない!」
「耳の痛い話だな……」
ガエリオはそう嘆いた、クーデリアも同様の顔をしていたが、三日月やオルガとビスケットは微妙な顔をしていた。
「大総統、本題に移りましょう」
「嗚呼そうだな」
俺だってこんな事は言いたい訳ではない、だがアニメの世界に憧れることはあってもそこで生活したいか?人生を送りたいか?というと全くの別問題である。
俺が鉄血世界で生きようとしたのはあくまでもオルガやフミタン達を救うことであって、幸せな顔を見たいだけなのだ。
無論……フミタンとの間に出来た繋は可愛いのだが……
やはりプロポーズなんてするべきでは無かったのか?
三日月達の気持ちもわかる、いきなり宇宙人がやってきて引きこもりは愚か!と言われたらキレるだろう。
「我々がやりたいのは慈善事業では無く、ビジネスです」
一瞬にして風景が変わる、いや別のコロニーに転移したのだ。
そこには日本的な農村の風景が広がっていた。
「食料供給のプラントコロニーに転移した、ここで貴方の食料を提供したい」
三日月ですら驚いたが直ぐに興味深くビニールハウスやコメの水田に興味を持った。
更に切り替わる、次は丸で巨大な水槽に様々な魚が泳いでいる。
次は牧場の牛などの家畜が育てられている光景に。
「頭がクラクラする……」
アトラはそう言った、次に切り替わったのは巨大な病院だ。
「このコロニーは全て医療関係のものです、赤ん坊の出産から安らかな死まで……」
「出産……」
アトラはボンヤリとそうつぶやいた。
「大総統、少し彼らに考えさせる時間を与えては?必要な書類はコチラで揃えます」
「構わんよ」
「やれやれ……漸く落ち着けるな……」
「それにしてもさっきまでのコロニーと比べるとえらく庶民的な街のコロニーだなぁ、なんか埃っぽいぞこの家」
オルガは不満を言った。
「やかましい!俺の実家だよ!」
自分の街をコロニーにしたのは失敗だった。
「なんというか、トモ様はこういう街で育ったのですか?」
「嗚呼、地球滅亡からな、みんなコーヒーで良いな?」
「トモ様……ワタクシがやります」
「いやいいよ、場所知らないだろ?」
「……そういう話をしにきたわけじゃないだろ!」
ビスケットは激怒した、バン!と机を叩く。
流石に和やかな空気とはいかなかった。
「あいつらは上から目線で俺たちを馬鹿にして搾取しようとしているだぞ!」
「それは違う!……とは言わないが、俺が最大限交渉してレポートも送った!」
当たり前だ、皆を幸せにする為に俺は最大限頑張っているんだ!
破滅フラグしかないお前たちに俺は……!
「まぁ、待てよビスケット、資料を見たけど大総統っていうおっさん、ああは言っているが無茶苦茶な要求はしてない」
「そう!冥王星までの戦いなんだよ!移動も一瞬だし、太陽系を突破したあとは、あいつらが勝手に戦ってくれるだけなんだ!」
「他のガンダムパイロットは?」
「ボランティアだよボランティア!」
俺は必死で説得していた、何もかもデタラメだった、所詮このコロニーもハリボテの偽物だ。
何もかも、何もかも。
そういえば最初に作ったガンプラはSDガンダムのニセガンダムだったな……
それから先は必死で改変能力をフルに使い、なんとか取り繕った。
フミタンは俺姿を見て複雑な顔をしていた、いや全員そうだった。
「久しぶりだね、トモ君」
「サクラさん、ここは……」
「まぁ、アップルパイがあるから、頂こう」
そこは懐かしい世界名作劇場の世界だった。
「こういったアニメも最近は中々作られなくなってね、まぁ他のジャンルの本やアニメで代用しているけどね」
美味い!このアップルパイは!
「喜んでいただけて光栄だよ」
「トモ君、君はなぜ死なせようとしない?」
サクラさんはコーヒーを飲み、アップルパイを齧った。
「怖いんです……死が……」
「詳しく聞かせてもらおうか」
いじめられっ子だったことや引きこもりの事は一通り語っている。
トラウマとなっている祖父母のはなしである。
良く両親を叱っていた二人はボケてしまい、介護に両親は苦労した。
遺産も雀の涙で、更に父は会社でいびられた。
「……大変だったんだね……」
「……はい」
俺はボロボロと泣いていた、こんな事は彼らにもいえない、言えば軽蔑するだろう。
「大総統を騙すなどちょろいちょろい!」
「ハハハ!フレ殿は中々のお酒が好きと見える!」
イオクに急かされ、俺は酒を飲む、繁華街コロニーでガブガブと飲んでいた。
嗚呼、もう早くさっさと終わって新しいオンナを抱きたいよ。
待てよ……良いことを思いついたぞw
「俺、この世界を一時的に畳もうと思うんだ」
「会長……」
会長こともう一人の俺はそう言った。
「最後の戦いが始まろうとしている、それが終わったとき大規模メンテナンスと称して一時的に停止させることにしたよ」
「フミナ先輩達は?」
「記憶を消したよ、ほら見てみろ」
巨大なモニターにフミナパイセンの姿があり、桜吹雪が舞っている。
その後ろにはセカイやギャン子がいて幸せな笑顔を見せている。
「彼女は卒業したのさ、勿論ガンプラの強い高校に行く予定だ!」
「セーラー服は俺達のの好みだもんな」
久しぶりに笑った。
「じゃあ子供達は……」
「流石に処分というわけにもいかない、戦いには足手まといだ、コールドスリープにさせて、戦いが終わったら目覚めさせるよ」
「大したシングルファーザーだな」
「アイカツ世界の皆さんも同様だな、時を止めることにしている」
会長は宝石のような玉を取り出した。
「この中に世界を入れる、言わばデータをセーブするという事だな」
「なるほど良いアイディアだ、昔の時代で遊べそうだな」
昔に戻ったら強くてニューゲームだ、ガハハ。
だいじょうぶ!
がんがんいこう!
こわいものなし!
のーベル賞もの!
けいきよくいこう!
いかす!
かっこいい!
くーる
はめつなんてない!
すげー考え!
こども騙しじゃない!
しっきんもの!
まーまレードたまには食べたい!
ちくのうしょうも治る!
がまんできない!
いいつまの!
だいすきフミタン!
「トモ、久しぶりに夫婦みずいらずで過ごしたらどうだ?」
「えっ……?」
「何ハトが豆鉄砲を食らった顔をしているんだよ」
「でも、最終決戦が控えているから……」
「三日月もアトラのところに行ったし、昭宏はラフタにプロポーズした、あとが怖いぜ」
オルガはそう言った、更にこういう。
「たまには足を止めるのも大事だろ?」
「オルガ……ありがとうございました!」
俺は平謝りしながら、火星の鉄華団の基地を走り出しながらでていった。
「あっ……♡」
「ごめん……緊張しているのかな?直ぐに出ちゃうよ」
「いいんです……♡」
「久しぶりだからな……」
俺はザーメン塗れになった、フミタンの身体を拭いた。
「戦いが終わったら、またセックスしような」
『……痩せ我慢しないでください』
「……!」
それは嘗て史実で見せた何処か悲しげな目のそれだった、この顔をさせないために俺は頑張ってきたのに……
「辛いことがあったら、誰かにいったほうが楽ですよ」
俺は全てを説明するとショックを受けて厄介だと思うので、出来るだけかいつまんで説明した。
「……なるほど……クーデリア様も後で話していたことですが、何処か欺瞞を感じるものでしたから」
「あのコロニーで見せたのは1ノ1から50ノ25までだからね……」
「それ以下があるんですね?」
「1ノ1を頂点として、100ノ100まで……」
「つまり、5050ものピラミッド階層のコロニー艦隊?」
「頭が早くて助かるよ……」
階級社会のコロニー、力では力で対抗という乱暴な考えしか浮かばなかった。
「俺のいた地球は滅んでない、嘘をついていたのさ」
「……分かりますその気持ち」
「……だろうな」
文字通り丸裸の会話だった。
「俺は「真の敵」と戦うのが怖い……死ぬのが怖いんだよ……」
『トモ様……私の命を上げます!元々死ぬのが私の運命だったのです!』
『ありがとうフミタン、でも俺は必ず帰ってくるから……』
死亡フラグ全開で俺は一晩フミタンに甘えることにした。
「それにしても、最近は太ってない?食べ物が美味しすぎる?」
「そんなことありません!」
「いや寧ろ大好物だよ、ウヒヒ!!!むちむちのおっぱい!太もも!ケツ!俺はお前をすべて愛している!気弱な俺はもういないぞ!」
「調子良いんだから……♡あっ…、♡そこは汚い……♡」
「いやぁ〜勃起が久しぶりに収まらない!ガンガンセックスしたい!!」
『貴方浮気は絶対にしないでくださいね!!!』
こ、怖い……もしかしたら一番怖いのは死ぬ事や「ラスボス」や「あのお方」では無くうちの妻なのではないだろうか?
コロニー100ノ100.、文字通りコロニー艦隊の中でも底辺の底辺、嘗てカルタが娼婦をやっていたスラムに匹敵するかそれ以下の文化の地中奥深くに、俺は秘密基地を作った。
3メートル程の巨大なフラスコがズラッと並びにフミナ、ギャン子、カルタ、ネーナ、ラフタなどのガンダムヒロインだけではなく、
紅月カレンなどの他のロボットアニメのヒロインが大量に量産されていた。
「美少女とガンプラは似ている、丁寧に作れば作るほど美しくなる……」
(ヤバイ……下手に逆らったらゴミのように捨てられちゃう……)
ボンテージ姿のネーナは笑顔で助手の作業をしているが、内心はビクビクしていた。
『ネーナ、俺の事をどう思う?』
「ゾクシュと大して変わりない人の皮を被った化物……ヒッ!」
(バカ!なんで本音を言っちゃったの!)
「そうそれでいい」
俺は彼女の柔らかい乳房を触った、有無緊張しているな。
「前にお前はいったな狂った世界だと、正解だ、何処まで言っても狂った世界だ」
狂人の真似をすれば実際狂人だが、狂った世界で箱庭を作れば狂った箱庭になる。
俺は椅子になっているカルタから腰を上げてまた酒を飲む事にした。
何もかも疲れてしまったのかもな。