日曜日に映画魔女見習いを探したせいかもしれません。
「タイムスリップをしたときに特定の時代だとハッキリ書くかどうか?」はあまり悩まずすんなり書きました。
やはりおっさんのせいかもしれませんね。
次回のサブタイトルは「俺」ではなく「僕」です。
第107話
俺のいない鉄血世界の火星、鉄華団本部にオルガ達は戻っていた。
しかし、オルガ、三日月、昭宏、ビスケット、アトラ、クーデリア、そして愛しのフミタンがそこにいた。
無論、まるでお通夜の空気がそこに漂っていた。
「変なやつだったけど、死ぬことはなかった……」
「アイツのことを思い出すけど、怒っている顔や悲しいんでいる顔よりも笑っている顔ばかり思い出すんだよ……」
昭宏とオルガがそういう、アトラ既にボロボロと泣いていた。
「トモさん、美味しそうにサラダ食べていたのに……」
クーデリアが彼女に寄り添う。
「彼がいなければ、火星の発展は遅れていたでしょう」
惜しい人を亡くしました、と言いたいのだろうか?、生きているけど。
「なんだかんだ言って僕達のことを考えていたよな……」
とビスケットがいうそりゃそうですよ、そうしなければ君は生きていないよ。
「……帰ります」
フミタンは椅子から立ち上がり我が家に帰ろうとしていた。
「フミタン……」
アトラとクーデリアは引き止めようとするが、三日月はアイコンタクトでそれをやめさせた。
「繋が待っているんです」
そう言うと彼女は帰ろうとしていた。
「それにしても酷くねぇか?なんとか連合連盟だったか、あいつら喋る人形のように思えたぜ」
「利用するだけしといて今後も搾取するつもりなんだろうか?」
これは半分正解で半分間違いである、モブは俺が作ったコンピューターなので、彼らの益になることしかしない。
「さあな、ただゾクシュの襲来が無くなったのは確かだ」
事実そんなものである。
電話のベルが鳴る、ビスケットがそれを取った。
「え?小包?トモから?」
全員が彼の方を向いた。
中に入っていたのは一枚の手紙と複数のUSBメモリーだった。
「これで全部なのか?」
「ああ、恐らくは自分がいなくなるというのを予測できた為に用意したんだろうな」
「これは……フミタン、貴方宛です」
フミタンに、と書かれたUSBメモリーを彼女は受け取った。
「これを最初に全員で見てくださいと書いてある」
「鉄華団の皆さんへ NO1」と書かれたメモリーをビスケットはその場にいる全員に見せた。
「……皆を呼ぼう、多分あいつの事だから変なことを最後にするんだろう」
ザワザワと鉄華団全員で白いスクリーンを見ていた。
「それじゃあ始めるぞ」
オルガの合図と共に5、4、3、2、1とアラビア数字が映し出され、俺の部屋が写った。
「貴方……」
フミタンがそう呟いた。
「こんにちわ、鉄華団の皆さん、これを見ているということは俺は旅立ったということでしょう」
「俺が死んだ!という事で悲しんでいる人や喜んでいる人もいるでしょうが、ご安心ください!生きています!多分!」
クスクスと笑い声が聞こえる、あのバカという声も聞こえた。
「俺は上からの命令で、敵のいる所で戦うことになった、水臭いと思うだろうが君達を巻き込んで戦うことはできない、何故なら敵は遥かにこれまでの戦いと違って苛烈だからだ」
三日月は黙ってスクリーンを見ていた。
「君達を死なせるわけにはいかない、だから俺一人で行く事になった、幸い協力してくれる仲間達は君達同様に頼りになる」
オルガもビスケットも同様に黙ってみていた。
「君達はもう、戦うことはしなくていいんだ、命をベッドしてまで幸せを手にすることは無いんだ、何故なら君達はもう幸せを手にしている」
「オルガ、別に火星の王にならなくても君は周りの人々を幸せに出来る、辛い事や悩んでしまった時は周りの大人達や仲間とも相談した方が良い、君一人で抱え込むことはないんだ」
「トモ……お前ってやつは……」
鉄血のオルフェンズは好きだが、だが改変能力が無ければとっくに死んでいただろう、そしてこうも言った、鉄華団の一番駄目な所だ。
「それからお前たち!何でもかんでもオルガに判断させるじゃない!頭が悪いと言っても無い知恵をしぼりだせば良いときもある!勿論ホウレンソウもだ!報告!連絡!相談!そういうことだ!」
「何言ってるんだ?」という顔をしているものもいれば、そうか……と反省しているものもいた。
「アイツがおれのことをそこまで……」
オルガはそう呟いた、ビスケットも呟く。
「いつもオルガの事を気にしていたからね…… 」
オルガの死をなんとしてでも防ぎたい、その思いだけでやってきた……嘘です、女の子とやりまくっていました。
「三日月、アトラちゃんとクーデリアさんを大切にな」
三日月はこくんと頷いた、アトラとクーデリアは顔を真っ赤にしている。
「ええと、昭宏もラフタと仲良くやりな、バツイチの奥さんを持つのは色々と大変だろうけど」
「余計なお世話だこんちくしょう!」
ドッと笑いが起きた、彼は頭をポリポリとかいている。
「あと、弟さんも大切にな」
「……」
昭宏は俺が助けた時のことを思い出していたようだ。
「ビスケット、クッキーとクラッカとお兄さんを大事にな、家族は宝だ」
「タカギも妹ちゃんであるフウカの事を大切にしろよ、マカナイさんの所で政治の勉強をしっかりしろよな」
「ライド、絵の勉強をしろよ、君には才能があるんだから」
「シノ、ヤマギ、身体を大切にな」
俺は次々と鉄華団の連中にお別れの挨拶をしていた、その言葉を聞いて泣き出すもの者もいた。
「じゃあそういう事で、必ず帰ってくるからな!」
そこで、映像は途切れた。
「アイツ、俺達のことをそこまで……」
オルガもビスケットも涙を拭いた。
「少し、気になることがあるんだけど」
「なんだ?」
「アイツ、「敵」とは言ったけど、ゾクシュとは一言も言ってなかったけど……」
「そんなもん言葉のアヤだろ」
「……帰ります」
再びフミタンはそう言い、自宅に帰っていった。
繋の世話を終えた夜、彼女は自分の部屋のパソコンでUSBメモリーに入っているファイルを開いた。
映像ファイルとバーチャルリアリティマシン専用のファイルで後者は自動的にバーチャルリアリティマシンにダウンロードされた。
「一体何を……」
「フミタン、今回の件は本当に済まない」
パソコンの画面に俺の姿が写った。
「こんな事になって本当に済まない、君を置いて行ってしまうことに凄く反省している」
「……そんな事をまた貴方は言って!卑怯者……」
そう言われても仕方が無い。
「会社の経営に関しては『全能』と『万能』の支持に従ってくれ、それから、繋の養育に関してだが……」
彼女はXボタンを押して、動画を消した。
「そんな事を聞きたくないわ……」
USBメモリーを抜き出すとゴミ箱に捨てた。
「貴方のパパは薄情者よ……」
ベビーベッドですやすや眠っている繋を見ながら彼女も寝た。
「ここは一体……」
フミタンが見たこともない景色がそこには広がっていた。
そこは俺が生まれた家だった、一人の少年が一人でゲームをしていた、
SDガチャポン戦機だった。
「おねーさんだれ?ゆうれい?」
「幽霊って……」
(まるであの人の部屋みたい……)
キョロキョロと俺の家の汚いリビングからフミタンは出ていき、様子を眺めた。
物が多くて計画性の無さが出ていた。
「すいません!すいません!ここどこなんですか?」
俺の母親に聞こうとしても俺の母親はいにかえさないかった。
「むだだよ、ぼくにしかええないみたいだもん」
「どうやらそのようですね」
スカッスカッと物に触れようとしても、触れられない。
「お母さんもお父さんも疲れていて寝ているみたいだからさっさとねよう」
「何に疲れているの?」
「かいご」
そう、と言いながら俺(少年期)は寝た。
「おねーさんもねる?」
幽霊は果たして寝るのだろうか?と思いながら自然と添い寝をすることになった。
「怖くないの?」
「ゆうれいよりも人間がこわい」
「……え?」
「おじいちゃんとおばあちゃん、いっつもねたきりで怒っているし、お父さんもお母さんも悲しんでいる」
「……」
少年時代の俺は幽霊で握れないはずのフミタンの手を握った、そしてすうと眠りについた。
「……おかしな夢を見たわ」
そう独り言を言うとフミタンは黙々と朝ご飯とミルクを作り始めた。
しかし、妙に上機嫌だった、冗談混じりでこういう。
「全能と万能、ダンナはいつ帰ってくるの?なんてね……」
「マスターが帰ってくる予想時間は……」
その後フミタンは毎晩俺の夢を見ながらカレンダーを心待ちにする。
「夢よね、正夢……」
「ちくしょー悪夢かよ!」
「全くラスボスとやらも人が悪いぜ!」
俺ともう一人の俺との戦いも大詰めを迎えていた。
「俺を倒すのはもう一人の俺だな!」
最初は驚いたが、冷静になって考えてみると思考は俺そのままなんだから、俺を超えればいい。
「俺は一秒前の俺とは違うんだよ!常に強くなっているんだ!ただの引きこもりが宇宙戦争に参加!凄いことなんだよ!」
「それは俺にも言えることだ!」
一つ一つ手足を切り落としても次々と再生し襲ってくる、ならば俺も!
「なっ!なんだぁ!」
様々なアバターの俺が現れて次々と攻撃する。
「ふん!フミタンを奴隷として扱うような奴に負けてたまるか!」
「それはどうかな!やがて愛が目覚めるプレイなのさ!」
もう一人の俺がガン!と何かにぶつかった。
「何やってんだよ!テメエ!」
Aだった。Aは誰とも戦わずにボーッと超巨大な巨人が戦っている宇宙空間に立っていた。
まるで体育の授業で「はい二人一組で準備体操してくださいねぇ」と言われて一人でやっているようなそんな感じというか、
就職活動で一人だけ「自分の個性をアピールしてください」と言われて、天使の格好をする様な場違いも合わさっていた。
最大の理由はAは誰のアバターでもなかった、何者でもない薄っぺらい人間。
そんな彼に対して、平行世界の俺、もう一人の俺はこういった。
「すいません、どうも、戦う相手がいないんですか?」
恐らくは、もう一人の俺はAと出会ってないのであろう、多分知らない役者のコスプレだと思っているのであろうか、優しく接した、しかし。
「うるせぇ!!何様のつもりだてめぇら!」
「え……」
その瞬間、楽しいはずだったパーティー会場はしんとなった、決戦の舞台である宇宙空間はしんもなった(何故か声や音が聞こえるのは二柱の神様のおかげであろう)
「なんだい!良い歳した大人が暴れまわったり、この気違い!」
恐らくはコクピットの中では絶句しているもう一人の俺の顔が浮かぶ。
「気違い……」
親切にしたのに無碍に断られて時に人は裏切られた、と思うがそれは同時に自分の愚かさに気づく時でもある。
「ちょっと何言っているのよこの人」
アメコミのむちむちとしたスーパーヒロインの格好した人がこう言った。
「うるせぇババア、いやおっさんか?」
「なっ……」
俺達は今まで暗黙の了解があった、それは「中の人」に深く突っ込まないことだ。
完全に冷めた空気が場を支配していた。
ザワザワと「何あいつ?」みないな空気になってしまった。
……これはいけない、なんとかしてこの場を収めないと。
「本当にすいません、僕が能力を与えたんです!」
「え、トモが与えたの?」「あの凄腕のトモが?」「新進気鋭のプレイヤーじゃん」
そういった声が聞こえてきた、褒めてもらえるのはありがたいが……
「これは僕の責任です!Aくん!一緒に謝ろう!」
まるで上司に謝るサラリーマンの様に謝ろうとしたが、Aの顔は明らかに烈火の如く怒っている。
「早く謝ったら?」「ごめんですんだら警察いらないよ、というかオメーが要らねぇよ!」
Aに向かってそういった声が聞こえてきたがAはうるせぇなどの罵詈雑言を浴びせきた。
そして決定的に言ってはいけない言葉を言ってしまった。
「こんなくだらないものにハマっている連中は馬鹿だ!」
…
……
………
…………
……………
「今、なんと言った?」
ロックアップ状態の二人の神様がそれをといて言った。
「すまん、どうも俺の人選ミスでもある」
ペコリと宇宙規模で「ラスボス」が謝った。
「寺山くんは上手くいったんだがな……」
「ラスボス」の顔によく見ると寺山さんがいた、通りで見つからないわけだ。
「ふん、俺の捨てたユニットに手を出すのはお前の悪い癖だ!」
「貴様と私は違うんだよ!人を見る目が!」
あ、シリアスな空気がギャグになったぞ。
ごっ、ごっ、ごっ、と殴り合う音が宇宙空間で響く。
「おい!何無視してやってんだよ!家に返してくれ!」
「ここまで才能がないのと空気が読めないのは天才的だね……」
もう収拾がつかない、俺は決意をした。
「Aくん!もう辞めよう!改めて言う、俺が悪かった!きちんと君を見なかった俺が悪い!いや君には能力を与えるべきではなかった!」
神々の争いは一旦終わった、未だに戦っていた者たちも立ち止まった。
「Aくん!君に何があったかは知らない!だけどみんな辛いんだ!悲しいんだ!それを忘れる為にフィクションに浸るんだよ!」
「知らねぇよ!そんなこと!」
やはりフィクションに興味がない、限界だ。
「女の子だって抱けるし、暴力も許される!」
「うるせぇクズ野郎!」
「そうだ!そのクズ野郎にお前は負けるんだ!」
俺はちらと「あのお方」の顔を見た、そして彼も気づいた様だ。
「うおおおっ!」
怒りで大きくなったAだった!丁度良い大きさになってくれた!
俺はメアリーで彼を羽交い締めにすると、コクピットのシートを操作して、シートごとバックパックの方に移動した。
「メアリー!最後のフルパワーだ!」
「私よりもカッコつけるじゃーない!ハッ!」
「あのお方」が両手を回すことによって巨大なワームホールが出来上がる。
「みんな急げぇ!」
サクラさんが叫ぶ、そして敵味方ともにワームホールに突入した。
恐らくは敵側も同じ様にタイムスリップを提案したのであろう、本質的に似たもの同士の争いだったのか……
『Aくん、大人になろう……いや子供になろうか……』
俺は能力をつぶやきながら、メアリーとバックアップを切り離し、遠距離操作で自爆させた。
「ちくしょー!!!!!!!」
Aの断末魔が響いた。
「ありがとうメアリー……鉄華団の皆……ありがとう……ありがとう時代を切り拓いてくれたクリエイター……クソみたいな世界と時代……ありがとう父さん母さん……そしてフミタンも……ありがとう……」
ワームホールの中はマーブル模様のグニャグニャした空間でこう思った。
「00の刹那もビルドダイバーズのサラちゃんもこんな気持ちで新しい世界に行ったのかな……」
ボロボロと涙が出そうになったが我慢した、いつの間にかバルバトスの装甲で作ったペンダントをギュッと握っていた。
次の瞬間、走馬燈の様な光景がまるで、ビデオの逆再生の様に流れてきた。
女の子とHしまくった、美味いものを食べた……仲間達と戦っていた……世界の真実を知った……いじめられていた……家でゲームや遊んでいた……何もかも何もかも……
「友!起きなさい!起きなさい!友!」
「え?なに?」
「全く、学校から帰ってあんたがお昼寝するなんて珍しいわね?」
「???」
「かあさん……若い……」
「寝ぼけているの?」
俺は……いやぼくは周囲を確認した、お母さんが大きい、いやぼくが小さい……周囲を見ると、昔買ってもらった、おもちゃだとマジカルはっとくんやゲッターロボ號などがある、戦隊モノだとフラッシュマンやマスクマンなどがある……どれもボロボロになって捨てられたはず……
テレビなどの家電製品も古い、いや当時としては最新なのだが……
テレビをガチャガチャといじる、リモコン式ではないのだ、いずれ新しいのを買ってメガドライブやPCエンジンをしなければ。
ドラえもんがやっている……金曜日か!わさドラじゃない!大山のぶ代ドラだ!
「何それ?拾ったの?」
バルバトスの装甲で作ったペンダントは何故かプラスチックの様になっていて固くなってはいなかった。
次の瞬間ドバっと涙が溢れてきてお母さんを抱きしめていた、嘗てぼくは「あの頃に帰りたい!人生をやり直したい!」と思っていた、しかしいざ戻ると早くフミタンや繋がいるマイホームやオルガや三日月たちのいる鉄血世界に帰りたくなっていた……
あんなに欲しかったおもちゃを手に入れると虚しくなるような感じだ……
「悪い夢でも見たの?」
夢であるもんか!