そしてまさか一万文字を超えたのは久しぶりです。
第136話
1983年xx月xx日、ついにその時がやってきた。
僕達は朝早く起き、準備をする事にした。
「こっちでは君達がタイムスリップしてから一時間も経過してないよ」
師匠がそういう、パパ……もとい父さんの映像を見るがやはり透けたままだ。
「まあ、ラグがあるのは予想していたから大丈夫だけどね……」
僕はカバンに『希望の王国』を詰め込んだ、やはりタツ君もカバンに入れている。
「この服装もダセーダセーと言っていたけど、慣れてしまったな……」
タツくんもジャンパーに僕が買ってきた玩具の拳銃を入れるなど準備万端だ。
「一生のお願いだ、僕に井下さんを助けて上げてほしい……」
まさに人生で一番重要な時に使うセリフだ。
「何いってんだよ……水臭いな、俺一人だけでもお見合いを守ってみせるさ!」
「ありがとう……」
「俺のしょーもないお願い事に比べたらマシさ」
「あれくらいのお願い事ならいくらでも構わないよ」
「……海寺先生の容態はどうなんだ?」
彼は師匠に聞く、変わりないと聞いた時彼も決意したようだ。
「先生は多分能力に目覚めるのが多分遅かったんだろうな……」
「君達の祖父と祖母もトモくんによって覚醒させられたが大きな才能はなかった、確かに例外的に能力が遅く覚醒する人間はいる、しかしよりにもよって倒れた時とは……」
師匠が解説する、彼は僕達よりも海千山千なので説得力がある。
「おまけに結構な能力持ちだからな……」
軍隊で使うような手袋を装着しながら、彼はそういった、気合が入っている。
「その能力を渡すって俺達も出来るのか?」
「勿論出来る……しかし、Aのケースもある」
「「Aのケース?」」
僕達はパパとAに起った話を聞いた。
「……そんな事能力を渡された時の記憶にも無かった気がするんですよね……」
僕は、素直にそういった、まさかそんな事があったなんて……
「親父も理解出来ないなぁ、なんで嫌いなやつに能力を渡すんだ、しかも現実世界で殺人?ますます理解出来ないな……」
タツ君もそう言った、僕は苦しいがそれについて推理をしてみた。
「パパは自分でも変えられると思ったから他の人も変わると思ったのかな?」
「君のお父さんよりも問題はAの方だよ」
通信している腕時計越しにサクラ師匠はこういった。
「言ってみればSNSをオススメした人間がオススメされた人間が炎上しても責任を取る必要はない、管理に失敗したとしてもだ」
「……それにしても現実世界にしか興味がない人間っているですね……」
「残念ながらいるようだね、僕も理解出来ない人間だが……不幸な事だよ、平和な世の中に殺し屋の才能に目覚めた様なモノだ」
「戦争している国なら良かったかもな」
タツ君はため息をついた、そこにマスターがやってきた。
「坊っちゃん、お弁当です」
「マスターも朝早く済まないね……」
「おにぎりにサンドイッチか……ありがたい」
片手で食べられる、というのはエネルギー補給しながら攻撃と防御が出来るのはありがたい。
「朝とお昼2食分ありますので、長期戦になると考えました!必ず帰ってくださいね!」
タツくんも僕もお弁当をかばんに詰め込む、彼のカバンには玩具の刀が刺されていた。
「まるで子供の遊びだな……」
自虐的に彼がそういう。
「嗚呼、タイムスリップごっこも今日で終わらせようぜ!」
「了解だ!」
僕達はアニメで見たように拳と拳を合わせた、カッコいいなぁ。
「とは言ったものの……案外普通だな……」
俺はアクビをしながらビルの屋上に立ち、双眼鏡でお見合いを見ていた。
料亭で豪華な和食が並べられ、郷田家と炭焼家のそれぞれの曽祖父と曾祖母がワイワイ言っている、他愛もないどこどこの大学を出たの趣味はあれそれだのそういう事を言っている。
「そういえば、俺は専業主婦はよく知らないよなぁ……」
フミタンとカルタ、それぞれ仕事を持っていて、母親としての側面もある。
「だからといって嫉妬するかね……全く……」
俺はアクビをした、こんな事なら兄貴の方に行けばよかったかもな……
「弁当が美味いのと暇つぶしに、雑誌や新聞持ってきて正解だったな……」
俺はカバンから雑誌を取りだす、その瞬間雑誌が弾ける音がした。
「おいこら、編集者や出版社、印刷の人が関わった雑誌をゴミにしやがって、コノヤロウ!」
どうも作家の真似事をしたせいか、顔を見たこともない人達に感情移入してしまう。
目の前には次々と刺客が現れる、黒いコートを着て、やはり黒いフードをかぶった集団で不気味さを感じる。
「アト・タツ、貴様は私達にとって邪魔な存在、ここで死んでもらう!」
俺はケラケラ笑いだした。
「クソババアやクソジジイを狙うのではなく、俺様を狙うとはな、てめぇら頭が悪いぜ!」
「黙れ!」
次の瞬間、俺は玩具の拳銃で敵を次々と狙い、打ち続ける。
「ぐはっ!」
敵もさるもので、倒れても倒れても、次々と現れ、俺を追い詰めようとする。
「ハッ!」
玩具の刀で切り裂く、ダメージを与えた瞬間、相手は消える。
「てめーらは何者か知らないが、どこから来たのか知らないが、俺を邪魔するやつは許さねぇ!」
兄さんもきっとそう思うはずだ。
物凄いスピードで走ってきたが、結果として事故は防げなかった、いやしなかったというべきだろうか?
先頭の車両ががけ崩れで破壊されたが、即死の人は除いて、出来るだけ怪我人を治し、応急処置をし、避難させた、それでも阿鼻叫喚と言ってもいい、能力者でも全知全能の神ではない。
「結局、僕は無力だな……」
歴史の流れに逆らっているのか従っているのかすら分からなくなっている、そして彼女がいた、頭から血を流していた。
「気絶している……」
僕は能力を使い、彼女を治療する、しかし脈拍はドンドン弱っていく。
「嘘だろ……本来なら彼女はここで能力に目覚めるはず……」
もう、覚醒する時間を待っている暇はない……
『能力の種を上げるよ……』
アッサリとそれは行われた、徐々に脈拍が上がっている、後は彼女を信じるだけだ……
「いるんでしょ?ストーカー……いやこの時代では分からないか、追跡者と呼ぼうか……」
僕は一度破壊された電車から降りて確認した。
弾丸が襲ってきた、すかさずガードする。
「ふん、やはり貴様も能力者であったか……」
男が現れた、一条輝のコスプレをしている、マクロスのだ。
「貴方は一体なんのファンなんですかね……」
呆れてしまったが、同時にシンパシーを感じてしまった。
鉄血世界ではサブスクで80年代の作品を色々見た、確かに今見たら駄目な部分も多いが、それでも優れている作品はある。
本音を言えば、さっさと倒してメガトン級ムサシや逆転世界ノ電池少女、境界戦機、マブラヴオルタアニメを見たいのだが……
「貴様は……なんのファンだ……?メガトン級ムサシ?逆転世界ノ電池少女?聞いたことがない……」
……この人はかなり強力な能力者だと見た。
「まぁいい、貴様を倒して、上に褒めてもらえわないとな……」
クックッと笑いだした、そして次の瞬間、この男の正体になんとなく。
「俺は、俺を愛してくれるやつを愛するんだからな、ハハハ!!!」
僕はパパに能力の与えてもらった時に、様々な記憶が流れ込んだ、その中で極めて傲慢な神様として振る舞う男を思い出した、いや僕も見た事がある。
「あの時、私も若かった……」
どうして今まで気づかなかったのだろう……
この人は……未来でのアルファだ……次の管理者……顔立ちもよく似ているし、本人の記憶が無いのも恐らくは自ら消したのであろう。
今の人生、2周目の人生を楽しむ為に……
「どうして……どうして……井下美雪さんを襲ったのですか?」
……冷静に……クールに……時間を稼がないと……
「上からの命令だよ、その女は我々アルファにとって驚異になると言われていて抹殺を命じられた、まだ能力に目覚めてない彼女を殺すのは容易だと思っていたが……」
「僕達の存在が厄介だということですね……」
上、というのはあのバカ殿とは違うだろう、アルファをトップにした組織は実はサラリーマン世界と変わりない、現アルファが社長だとしたら、部長や課長の命令といったところか……そしてもっと上の存在がいる……
「なんせ、俺に匹敵する能力者が二人もいたからな……だが、一人ならぎりぎり倒せる……」
「……褒めてくれてありがとうございます……」
テレパシーで心を読ませることをシャットアウトする、能力で。
彼女が未来で生きているということは恐らくは彼の目論見は失敗に終わるだろう、しかし万が一負けてしまう事もありえる……
「シャッア!」
男は、そう言いながら急に距離を詰めてパンチやキックを繰り出す、しかし師匠やタツくんとの組手をしていた事が幸いだ、僕はそれを捌く、確かにもろに喰らえば大ダメージだ。
「まだまだ!」
僕は攻勢に走る、右から左にジャブ、左から右に念力で岩を投げる、これならいけると思う。
「はっ!甘いな!」
未来のアルファはマクロスのヴァルキリーを呼び出しジャンプして搭乗する、そしてミサイルで攻撃する、地面が爆発するが、僕は巨大な結界を作り、事故に巻き込まれた人を守る。
「理解出来ないな……何故あんなにこっぴどく振られたのに彼女を守る?」
「……辻褄を合わせる為でもある……だけどね……もう一つ動機があるんだ……」
「ほう?言ってみろ、俺は寛大な男だからな、聞いてやろう……」
僕もバルキリーを呼び出し戦う、寧ろ舌戦がメインだが……
「僕の家は裕福な金持ちの家だ、一通りの事は出来るし、女性にはモテた、だけどね……僕は……空っぽなニンゲンだ、がらんどうなんだ……」
「空疎な人間がなぜそこまで戦える!」
お互いにバルキリーでミサイルやガンポッドで撃ち合う。
「夢を見つけたんだ!色んな人の夢を叶えたら守るって!」
僕はフミナパイセンやギャン子達の事を思い出していた、それだけじゃない、鉄血世界にいる人々、そして現実世界にいるアリサさんやおばあちゃん、闘病中の海寺先生も……!さっさと倒して解決しなきゃ!
しかし敵の攻撃はさるものでダンバインに切り替え、チャンバラ合戦を挑んできたので僕もビルバインに切り替え、応戦する。
「ふん!弱いな!」
しかしアッサリと切り崩され、両腕を切られてしまう、機体は落下しクレーターが出来る、結界があるので現実世界の被害は一切ない。
僕は仕方なくビルバインを降りる、相手も同様だ、どうも変な所で気が合うな。
「貴方こそその力で何をする?」
「ふん、知れたことよ出世と自らの欲望、そしてこの世界の為だ!さっきも言ったがあの女はこの世界の敵になる!」
いつの間にかショウ・ザマの格好になった、未来でのアルファ、結局80年代の作品が好きなんだな……そして剣を振るう!
「……それは違うな……僕は……未来から来た!シグマの人達が全て敵だとは思えないね!」
正直剣術で勝てるとは思えない、いや……そもそもこの時代の人間にコンテンツ同士をぶつけて勝てるとは思えないのだ……しかも相手は未来ではアルファとなる男だ、父さんやサクラ師匠だって勝てないだろう……
「何っ!だが!しねぇ!」
僕のお腹に剣が刺さる、この瞬間を待っていた!
「貴様!正気か!」
「ああ、正気じゃないよ、狂気だよ!目的を果たす為にはこれしかないんだよ!」
僕は、腕時計に触れた、タイムスリップだ!
「はぁ……はぁ……はぁ……もう終わりか?」
刺客どもはあらかたぶっ倒した、流石に疲れてきている……
「トドメだ!」
後ろから攻撃が襲ってくる、俺はガードしようとしたら、黒い刺客は横からの攻撃に倒された。
「及第点だな、流石は俺の息子と言ったところだろうが……」
「あんたは……」
親父だった……いや似ているが……違うな……
「その通り、俺は君の父親ではない、ベータ世界ゴウダ・トモだ」
ベータ世界の親父……宇宙規模での戦いの際に親父が戦ったというもう一人の自分か……
「タツくん……で良いかな?助太刀に来た」
その横には知らない男がいた、背中にシャープな未来的な長剣を指しており、マントもボロボロ、服装もラフな洋服だが、ベテランの風格があり、親父や師匠に負けず劣らずの男だった。
「私の名前は直人、まぁ言ってみれば呪われた物語を治す医者や探偵、拝み屋みたいなものだと思ってくれたらいい」
「呪われた物語……」
「実は俺の世界にも海寺先生のキャラクターが紛れ込んでいる、重症と言ってもいい」
「そこまで酷くなっているのか……」
「俺達も手をこまねく訳にもいかないから彼を雇ったというわけさ、彼はシグマの人間だが、フリーで戦っているまぁ傭兵家業みたいなものだ」
医者だの探偵だの傭兵だのややこしいがようはなんでも屋というところか……
「原因はハッキリしている、海寺先生が死ぬか治るかだな」
直人という男はハッキリといった、これくらいアッサリといったほうが楽だ。
「いや俺はカンベ・ヘイジロウの冒険の続きが読みたいんだ……」
それは切実な願いだった、駄作でも名作でもいい、きちんと終わらせようぜ。
「もちろん私も彼には治ってくれたほうが助かるのだがな、情報を整理しよう、ここではなんだな、シグマ世界に行こう、敵も出ないしな」
直人とベータ世界の親父と俺は瞬間移動した、ビルの地下なのだろうか、ファミリーレストランに入った。
ビルの屋上から一気に下がった感じだが不思議と不快感はない。
そもそも知らない店名だが気にしなかった。
俺は一通りかいつまんで説明した。
「やはり一番重要なのは「そうかそういうことだったのか……」だろうね、つまり君のお父さんは倒れた時点で犯人や真相に気づいていたんだ」
「俺が見たわけじゃない、ただ兄さんが見たけど、こんな事で嘘を言うような人じゃないことは確かだよ」
「俺ならば……改変能力で半透明にする事は可能だが……」
その瞬間ベータ世界の親父は半透明になった、それはアルファ世界の親父と同様であった
「つまり自作自演ってことか!?」
ありえる話だ、ミステリーでも主人公や読者が一番犯人の候補から外す奴が犯人というやつは意外と多い。
「あんな良い人が犯人なんて……」というパターンだ。
「それだけでは説明がつかない事が多々ある、実は私も君のお父さんが作り上げた鉄血世界に行ったことがあるが、それだけの為に自分と自分達の世界を危険に晒すだろうか?」
「……逆にするとしても保険を俺ならかけるだろうな」
「保険?」
「つまり君達兄弟の事だよ、君達を過去に行かせたり、海寺先生に会わせることで冒険して成長し、変化させる事だよ」
「……鉄血世界の後継者が欲しかったってことか?」
「事実君達は成長している、海寺先生の快復が最後の試練だろうね」
「あの刺客も親父が雇ったか、そうでなくても結果オーライになるということか……」
「君が今こうしている事がお見合い結婚が成功し、郷田友という人間が生まれ、そしていずれ一周目でセーブしていた鉄血世界と再び巡り合うことは確定しているのでは?」
「あー!わかんねぇ!」
俺は頭をクシュクシュとかいた、タイムスリップは無茶苦茶わけわからん。
すると周囲にお客様もこちらに目が行く、俺は流石に謝るジェスチャーをした。
「注文をしよう、俺はケーキにします」
「私も」
「俺もだ」
幸いな事にウェイトレスは普通の女性で、制服も普通だった、顔も普通だ。
「甘いものが好きな人間に悪いやつはいないと思うぞ」
ベータ世界の親父はしみじみとそう言う、そうかなぁ?
「こくこく」
直人さんはそう言った、いや言わなくてもいいよ……
「ここが未来……」
僕は、時空転移装置である腕時計の力で現代に戻った。
流石に困惑を隠せない男だった、その刹那に僕は離れ傷口を癒やす。
「がっかりしたと同時に安心したよ……未来はそんなに変わってないと……」
複雑な心境なのだろう、その気持ちは分かる。
「ハッ!」
僕は叫んであらためてかなり広い範囲の結界を張る、未来ではアルファとなる男……もとい過去アルファと呼ぼうか。
「高速道路は多くなったが、空飛ぶクルマは存在しないし、UFOも宇宙人もいない……」
どうもオカルトめいたものも好きなようだ……
「だけど、僕にとっては素晴らしい世界だよ、ノストラダムスの大予言も実現しなかったし……」
「人々はそういう腕時計やよく分からない四角い端末で情報を見るわけか……」
「ゲームもできます……」
「ふん、くだらん、貴様を倒してさっさと過去に帰らせてもらうぜ!」
男は仮面ライダースーパー1に変身した、やはり80年代のヒーローで止まっている。
無論、スーパー1が駄作もいう話ではない、相手がこちら側の技を知らないというだけだ。
「仮面ライダーリバイス!」
「イエーイ呼ばれて来ちゃったぜ!」
僕はリバイスドライバーとバイスを能力で出して変身する。
「これが……未来のライダー……!?」
流石に困惑したのか迷う、その隙を逃さず僕は格闘で圧倒する。
「こりゃかなわんな……」
スーパー1がそう言いながら(まず本物は言わないと思うが)変身を解いて、再びダンバインを呼び出して飛んだ。
「逃げるつもりか!」
ガラスが割れるような音がして、青い巨大な虫が出ていく。
僕はムサシを能力で呼び出して、やはり飛ぶ、
「アリサさんとメガトン級ムサシ、プレイしたいな……あのエッチなシーンYou Tubeで見たら気まずくなりそうだな……」
アリサさん多分ヴァージンな気がするし……
そう考えながら弾を避ける、猛スピードでどこに向かうつもりだ?テレパシーで心を読もうとすると出来ない。
「こっちもあっちもステルスだし、最低限のマナーを守っているな……」
相手はダンバインを解除し、パイロットはアッサリと何処の土地にもありそうな住宅街に落ちた、そして大型電器店に向かう。
「まさかな……それにしても足が速い……」
僕もムサシを解除し、走る。
「玩具コーナーか……?いや……違うな」
過去アルファは携帯電話販売店のコーナーに向かい、スマホに触れていた。
「想像していた未来とは違っていたが……なるほど、ガンダムの新作がこんなにも作られていたとはな……」
「……別の出会いをしていれば、貴方と私は友達になれたかもしれない……」
嘗て父さんがベータ世界との戦いで、そう思ったらしい。
「あの芸能人が亡くなっていたとはな……少しショックだよ……」
……その芸能人が誰かはわからないが、恐らくは心の中で泣いているのだろう。
「外に出ましょう、ここでは大勢に迷惑がかかる……」
「嗚呼……そうだな……」
僕達は外に出て戦うことにした。
「ぬりかべ!」
圧倒的な質量で潰された!
ゲゲゲの鬼太郎だったのは予想外だったが、僕はジバニャンを召喚して立ち向かう。
「ニャニャニャ!!!」
でかした、ジバニャン。
百裂肉球でなんとか脱出出来た。
「妖怪も召喚できるというのがここで役に立つとはな……ありがとうございます、師匠。
「良き師匠に巡り会えたようだな、羨ましいよ」
その短い言葉に重さを感じる。
「Zガンダム!」
「レザリオン!」
85年ぐらいの知識を得たようだ、僕も85年に終了したビデオ戦士レザリオンで対抗する。
「ふん!弱いな!」
機体がバラバラになる、しかし僕は悟空インパルスになり如意棒で攻撃する。
「クソっ!やはり現代の方では君が上のようだな!」
恐らくは過去アルファと僕の実力は言うまでもなく前者の方が上だろう、しかし現代というホームを僕は持っていて、向こうはアウェーという不利な状況なのだ。
男は空を飛びながら僕に抱きつく、しまった!と少し思った、今度は過去に戻されてしまう。
無論タイムスリップには莫大なエネルギーがかかるが彼の方が上手なのである。
「残念だが……俺の負けのようだな……」
事故の現場に戻った彼はそう呟いた。
この戦いの勝ち負けとはなにか、当初の目的をそれぞれ達成出来るか?出来ないか?という話である。
パパとママと僕はゲームをした事がある。
そのゲームの内容は詳しく述べる必要はない。
僕が勝ったり負けたりして、「たのしかったね」と涙を流してしまった。
両親は多少戸惑っていた、そして優しく抱きしめてくれた。
つまり楽しかったという結論を得られたら良いのである。
僕と過去アルファの勝ち負けは何か?
美雪、とはよく言ったもので、まるで美しい雪のような物が彼女の周りに飛んでいる。
僕と彼は瞬間的にバリアーを張った。
雪だと思われたモノが、過去アルファに襲いかかる!爆発するがなんとか防げた。
周囲の地面がえぐれ、木も燃える。
「こりゃきついな……」
僕は呟いた、恐らくは彼も同意見だろう。
「……どうして……どうして!そんなクズに味方するのよ!」
ボロボロと涙を流しながら彼女はそういった。
「井下美雪さん……」
『その名前は捨てたわ……私はシグマ……正確にはこの時代のシグマではない!未来のシグマ!次の代のシグマよ!』
僕は驚いたが、多少納得していた。
そもそも83年辺りに能力に覚醒し、未来ではアリサと名乗る彼女、基本的に能力者は年功序列制なので凄腕になっているとわかる。
おまけに僕が与えた能力の種火もプラスされている、微々たるものであろうが……
『どうしてそいつに味方するの?教えて……?』
凄い力だ、答えないといけない……
『辻褄を合わせる為です、僕は父さんを救う為にこの時代に来て……』
言葉には言葉で対抗するしかない!
『聞いてないわ、そんなの』
切り捨てた、まるで子供の意見を聞かない母親の様だ。
『ねぇ、こんな世界無茶苦茶しちゃいましょう?』
『断ります』
『その意見には同じくだな、やはり貴様はこの世界を破壊する悪魔だよ』
過去アルファも同意見だ……やはり同じアルファ世界の人間だからか……いややはり別の出会いがあれば友達になっていただろう……
「ゲームが変わりましたね、持久戦から説得ゲームに」
「嗚呼、そうだな……」
(切り札があります、時間を稼いでください)
(すまないな……)
『ちゃちな切り札とやらで私を倒すつもり?』
彼女は再び雪で攻撃する、吹雪ではなく暴力的な蹂躙される。
バリアーで再び攻撃を防ぐ、それどころか念力で周囲の瓦礫や石を投げて攻撃する。
『無駄だ!神様に匹敵する私に勝てるわけがない!』
それはどこか僕を恐れている気がした、畏れでもあるという……
『希望の王国』
僕はそう呟いた。
「……来たか」
「貴方?地震か何か?」
火星でも地震はある、しかしそれは地震ではなかった。
「フミタン、怖がることはないよ」
彼女は直感で何か恐れている、いや悟ったというべきか。
「二人共!大丈夫か?」
ドンドンと階段を上がる音がして、カルタが僕のベットのある部屋に入る。
「嗚呼、大丈夫だ」
あとから聞いたことだが、三日月やオルガ、クーデリアなどなど名のある人間は気がついたそうだ、イオクですら。
それはアルファ世界の能力者にも同じことが言える。
サクラさんやタタミイワシさん、ファットさん、そして先代のアルファ、先々代のアルファも気がついたそうだ、無論、それは過去にいる店長なども。
「あの子が目覚めたか……更に……」
「ケイの部屋で物音がしません?」
「泥棒か?安心しろ、私がやっつけてやる」
カルタは拳銃を取り出した、物騒だな……
俺は半透明のまま立ち上がる、貴方……というフミタン横目に。
「鍵はかかっているのか?」
ドアノブをガチャガチャしながら廊下で俺は聞く、家の事はもうフミタンやカルタに任せていた。
スカッ、とドアノブから離れてしまった、おっといけない。
「貴方、今開けます」
フミタンがポケットからカギを取り出す。
「……もしかして、よく開けているのか?」
「ええ、それがなにか?イヤらしい本とかあったら駄目ですし」
……そういうところだと思うぞ。
「私は息子を寮に入れているのでなんとも言えないが、プライベートを覗くのは良くないと思うぞ?」
……そうだとと思う。
鍵を開けると音の正体は分かった、ケイの作っていたSDガンダムの黒いシスクードだった、カタカタと動き出している。
「……お前も分かるのか……いや生きたいのだな……」
カルタとフミタンはそれを幽霊を見るような目で見ていた。
「うん?これはやべえな……!」
シグマ世界にいる、俺は兄さんが覚醒した事に気がついた、それはベータ世界の親父と直人さんも気がついたらしい。
「急ぎましょう、アルファ世界の人間がここまでのパワーを手に入れると他の世界の人間……例えばデルタ世界の人間なども反応して動き出すかもしれません」
「嗚呼、また戦争は嫌だからな」
俺達は長い廊下を走り出した。
僕はシスクードを改造した、まるで一つ目の魔王になった。
『いつぞやのサイクロプスが更に強くなったか……だが倒せると思っているのか?バカバカしい……貴様を倒して私の家に連れ帰らないとな!』
心底呆れた顔だった。
『倒す?バカバカしいのはそっちの方だよ、僕は倒すんじゃない!貴方に未来を見せるんだ!』
僕は左手に杖を持ち、右手に『希望の王国』を持っていた。
『未来よ!』
彼女にイメージを送る、様々な建物が作られ、街や日本がドンドン変化する、勿論、様々な人々が生まれ、亡くなり、事件や事故が起きる、そして様々な物語や芸術が生まれる、その中には忘れ去られるモノもある。
「こんなものを見せてなんになる!」
彼女は、そう叫ぶ。
僕は無視する。
『良いぞ!彼女の力が徐々に弱まっていくぞ!』
嘗て敵だった男が克己し、励ましてくれる。
そして空高く俯瞰で見ていた、彼女と僕達はある時代で止まる、そして一つの家の上に居た。
「あんた!飯ぐらいちゃんと降りてきてよ!もしくは手伝うとか!」
「うるせーババア!誰が焼き魚なんて食うかよ!」
「あんた働いてよ……」
ボロボロとおばあさまが扉ごしに泣いている。
「炭焼さん……結婚したのね……」
彼女は困惑した、当然だろう。
焼き魚定食を食べ終えた男は、太った男はアニメを見たり、ガンプラを作ったりエロゲーをやりながらオナニーをしたりした。
「この男クズね……」
心底呆れた表情をした。
「はー流石に疲れる内容だったな」
「ふー出た出た」
「はー俺が鉄血とか色んなアニメの世界で活躍出来たらなぁ」
『その願い叶えてしんぜよう』
「うわー落ちる!」
『そして彼の冒険が始まった!』
僕は神の視点でナレーションを始めた。
オルガや三日月との出会い、そしてクーデリアやアトラなど鉄血ヒロインとのセックス……
「えっ?このフミタンって死ぬの?」
「え?助かるの?」
「そんなご都合主義あるわけないじゃない!」
いつの間にか、彼女は感想批評批判をしながら夢中になっていた!
「明らかに世界観が違う少年ジャン……シンカリオン?なにそれ?」
サクラさん達の出会いや現実世界での戦い!世界の真実!
「シグマ世界でもこういうやつはいるわ……」
プロポーズ!妊娠!出産!
「そうよ!女は痛めて産むだから能力で助けちゃ駄目!」
彼女は完全に一人の男の半生に夢中になっていた。
「え……ケイってまさか……」
彼女は気づいたようだ!
「ええ!!アルファがこいつなの?」
「え……?俺アルファになるの?」
そしてタイムスリップ!Aとの戦い!
「特攻するの?あの時言っていたこと……」
「ええ……Aってしょっぱいやつ……」
そして帰宅……ボロボロになっていた彼を見て号泣していた。
そして主人公は二人に!フミナパイセン達との出会いと別れ!
「あ、これはあんまり面白くないわ、特にこのタツってやつ」
そしてなんだかんだあってアリサとの出会いで終わった。
「アリサ……私が書くはずだった小説の主人公の名前……」
そうだったのか……彼女は主人公になりたかったのかもしれない……いやなっていたのであろう。
パチパチ……未来でアルファになる男は拍手をしていた。
「最高のコンテンツだったよ……」
あ、人生を弄ぶあたりやっぱりアルファだわこの人。
『もういいでしょう、私の世界におかえりなさい』
僕は全く気づかなかった、後ろを振り返るとシグマの軍勢と恐らくは今のシグマに当たる人物、つまり先代のシグマに。