これは最終回の後の設定を語るところでも説明しよう思いますが。
ケイ君のラスボスがアリサことシグマになったのは、
「そう言えば父親超えとしてトモがやってない事をやらせて擬似的な父親超えをさせようか……」
と考え、やってないことと言えば何か?と考えた末に、アルファに対する擬似的対決、更には絶対に勝てない相手とどうすればいいのか?みたいな事を考えた結果、こうなりました。
敵に対して友達になるか恋人になるか、みたいなことですね。
その為、「最後の戦い?」というサブタイトルなのは戦いですらない意味も含めました。
「凄いことになっているな、こりゃ」
タツくんはそういった、確かにそうだ。
下では遊園地で能力に目覚めたばかりの子どもたちがコーヒーカップやジェットコースターなどで遊んでいた。
上では次々と海寺先生が作り出したキャラクターが虚空から生み出され、それらがパパや師匠などアルファ世界の住民が持っている世界に送り出されているのだ。
……非常に迷惑だと言っていい。
「単にやっつけるだけでは焼け石に水だよ……」
僕はそういった、大人達は戦っているがどうにもならない。
「ああ……探さないとな!」
タツくんは矢印を呼び出し走り出す、
上で戦っている彼を見つけ出した。
「カンベくん!このままじゃ埒が明かない!」
彼はそう叫んだ、ビームを出しながら敵?をやっつけている、敵じゃない、暴走したキャラクターというべきか。
「下にいる子どもたちが何らかの影響を及ぼす可能性もある!」
僕はそういった、Aくんのケースもある、怪物が悪影響をしてしまったら……
そもそも父さんたちの世界で迷惑をかけているのだから……
「でもどうすれば……」
カンベくんはそういう、するとタツくんはこういった。
「空をよく見ると発生するポイントは大体同じ所だから、そこから行けるんじゃないか?」
「なるほど、出口は分かっているから入口にするということか!」
「そう!それだよそれ!」
「手を繋げて、向かえばスピードとパワーも出て一石二鳥だよ!」
流石に主人公といったところか、彼もまた海千山千といったところだろうか。
「さぁやるぞ~!」
彼は僕達兄弟を両手で繋いだ、つまり僕が彼の右手を左手で繫ぎ、タツくんは彼の左手を右手で繋いだ。
「まるでパーマンみたいだな……」
僕はしみじみとそういった、すると次の瞬間、巨大な岩石の怪物が襲いかかる。
「やばい!」
僕達が攻撃しようとした刹那、粉々に砕け散る。
「父さん!?」
「師匠も?」
「二人には迷惑かけてしまったからな……露払いは俺達大人に任せておけ!」
「ありがとう、父さん!」
「パパとは言ってくれないんだな……」
父さんは寂しそうに言いつつも攻撃の手を緩めなかった。
「いや、十三歳の少年がみんなのいる前で、パパとか言ったら流石に笑わられるからね……」
と小声で言った、そこは二人共無言で頷いた。
カンベ・ヘイジロウの冒険は全シリーズ読んだことはないが、彼も親に悩んだ事はあるのだろう。
「1、2、3で合図してスピードを出そう!」
カンベくんはそういった、僕達は了承した。
1!
2!!
3!!!
『『『いっけー!!!』』』
敢えてベタベタなセリフ、テンプレのロボットアニメやヒーローモノにありそうなセリフ……だけど……
『大切な世界の為に戦う!』
『大切な人々の為に戦う!』
僕とタツくんはそう言った、そうだ、それで良いんだ……難しいことや疲れることは考えないで今は真っ直ぐ行こう!
「うおおおお!!!!」
カンベくんも叫ぶ、小さな点に向かって進む!
まるでブラックホールみたいに僕達は吸い込まれる。
「ここは一体……」
見知らぬアパートだった、そこで一人の男が座布団であぐらをかきながら、原稿を手書きで書いていた。
「なんだか懐かしい気がする……」
カンベくんはそういう、確かにどこかノスタルジーを感じる。
「そう思うのも当然だよ、海寺先生が嘗て住んでいた場所だよ、やっぱりあの時怒って正解だったかもな……」
80年代の海寺氏の自宅……ここから様々な作品が生まれたのであろう。
カリカリ、と言う音が原稿用紙とペンが物語という音楽を作り出している。
「ああでもないこうでもない……」
彼はそんな事を言いつつも、彼は書き続ける、僕達を無視して。
「これ……俺達が見たり戦ってきたやつだな……」
僕は部屋にあるカレンダーをふと見る。
「84年……僕達が旅立ったあとの頃か……」
「つまり、昔僕がタイムスリップしたみたいな感じ?」
カンベ君がそういう。
「いや、正確にはタイムスリップではないな……ほらみてよ」
僕は原稿を触ろうとしたが、スカスカと触れられない。
「俺達は幽霊みたいなものだな……」
タツくんはおばけの仕草をする、両手で縁起でもない事を。
「つまり、先生の心の風景ってことか……」
カンベくんはそういう、やっぱり頭がいいなぁ。
「ん?なんだ?誰かいるのか?」
先生が後ろを振り向く。
「おる!ここにいるって!」
タツくんは大声で叫ぶ、しかし返答はこうだった。
「お……こ……?い……?」
「クソっ!駄目だ!声が小さく聞こえない!」
かなり強い力で床を蹴った。
「……?幽霊か……?」
作者のつぶやきに対して、主人公が反応した!
「それだよタツくん!モールス信号だ!」
「あ……!そう言えば軍で習ったな!」
「軍に入っていて、良かったね!」
「ちくしょう!なんだかんだいっておふくろには敵わないな……」
そう言いつつも嬉しそうだった。
「カンベくんが知っていた、ということは作者も知っている、って事だけど、なんて言えばいい?」
「ええ??」
「貴方は夢の中にいる、目覚めてください、で目覚めるかな?」
そこで腕時計型の通信機が鳴った、師匠とパパと西川さんだ。
「どうだ!大丈夫か?」
僕達は一通り説明した、流石にモールス信号はともかくどういうセリフを言えば目覚めてくれるのか?という点では6人で会議を始めることになった、
「とりあえず俺は「起きてくれ」とか単純なやつからやるよ」
ドスドスと床に響いた、先生もいつの間にか気づいたのか、モールス信号の表を見ながら書き始めた。
「良いぞ!」
「調子が良い!」
パパと師匠は褒めちぎる、全く子供を起こすじゃないよ、相手は作家なんだから……
「作家だからなにかそれでクリティカルになる言葉を選ばないと……」
「なにか賞を受賞したとかアニメ化したとか……奥さんが浮気しているとか……」
「あのなぁ……兄さん……大嘘をついてどうするんだよ……」
「時々君はやばい行動やセリフを言うね……」
「済まない……私に似たんだ……多分……」
と、父さん!いや母さんは確かにそういう人じゃないけど!
「言葉には気をつけたほうが良いよ……」
「いやはや全く……」
主人公と編集者まで!冷たい目で見られた!トホホ。
「じゃあ……読者が待っていますよ!とかはどう?」
「漫談家じゃないけどなぁ……」
ドスドス、とりあえずやってみてくれた。
「そんな事は分かっているよ……」
ぐちのような返答だった。
「当たり前過ぎたか……嘘をつくのはともかく、辛辣な批判を言って怒らせるのはどうだろうか?」
師匠がそういう、確かに……
「でも間違えたらずっと引きこもったままになると思うんだけど……」
「大体、作品の評価なんて人それぞれだろ?10点つける人もいれば、5点つける人もいるし、0点の人だっているし……」
「言葉にできなくて評価不可能もあるしなぁ……忙しいので見れなかった、というやつもあるし……」
全員が頷いた、僕の言葉に。
「……それだよ!それで行こう!」
タツくんはそういった、見るからに興奮していた。
『貴方が目覚めないと、貴方の作品は誰も見てくれませんよ?』
そういったニュアンスのメッセージだった、結果としては彼は目覚めてくれた。
奥さんも喜んだし、当然のことながらタツくん達も病院で静かに喜んだ。
クリエイターとヒーローは似ているかもしれない。
助ける相手≒受け手がいないと成り立たない職業だと。
まぁヒーローが活躍するということは防止するというお仕事もあるが、平和や安全ではないということで、活躍しないのは結構な事だし、逆にクリエイターは平和だからこそ成り立つという仕事ではあるが……
「しかしまぁ、分娩台コクピットとは兄さんも傑作だね」
「カレンやユーフェミア・リ・ブリタニアには済まないことをしたよ……」
あの後俺達は、そう作ったのだ。
「すげーなぁ、オードブルが豪華すぎるぜ、タッパーに詰めて朝昼晩と食べたいくらいだよ」
「全く……でも気持ちは分かるよ」
「海寺先生にも食わせたいけど、今は病院でリハビリと病院食だもんなぁ……」
とうとう師匠ことサクラ氏がアルファになった!
一見遊んでいるように見えて、やる時はやる男というのは言うまでもないし、アルファとしても相応しいし、
不肖の弟子である俺たちも喜んで就任パーティーに出席した。
「ホラ、見てアレは昔パパのクラスメートだった人だよ」
「二人共美人だね」
「ちょっとだけ挨拶してくる」
チラッとフミタンママを見た、無論嫉妬している顔ではなく、余裕の顔だった。
無論就任式に相応しい着物を着ていて、まず史実では着てない姿だ。
既に師匠の短めのスピーチは終わっている。
無論彼女だけじゃなくて、アルファの偉い人達、また元アルファ出身の更に偉い人、また嘗ては戦っていたベータの人間などもいる。
「結局は社交力というかコミュ力が無いと駄目なのかね……」
「しょうがないよ、どこの世界にも人と人はいるんだしさ……」
引きこもりの少年が異世界で苦戦するのまず敵もさることながら人間関係なんだよな。
後ろの方でざわざわと声がする、俺達ははそれを聞きながら食べ物やジュースを飲んでいたが、異様なオーラに流石に気がついた。
……いや兄さんは既に気づいていたのだ。
「クイーンだ!!」
「『暴虐のシグマ・クイーン』……!」
「こんな公の場に現れるなんて、何十年ぶりだ?」
「アルファのパーティーに現れるなんて恥を知りなさい、恥を!」
「今日は仮面舞踏会じゃないのに……」
そう、白いドレスに黒い仮面を被っていた、膨らみは巨乳だがノーサンキューである。
「ベータ側の我々も同意……うっ!」
タキシードを着た男が苦しんだ……しかし兄さんは直ぐに彼を開放する。
「ゴウダ……ケイ……漸く会えた……」
仮面を外し、周囲がざわめく、その瞬間彼女は強く抱きしめる、そう……恋人同士がする様に。
「僕も貴方に会いたかった……」
ざわざわ……ざわざわ……わいわい!わいわい!
「皆さん!シグマである私は『寿退社します!!』」
はぁ!?
「お相手は『ゴウダ・トモ』です『次のシグマは彼に決めました!』」
流石に騒ぎを聞きつけた、現在のアルファことサクラさんと親父たちという凄腕の人達、更には上層部に上がった元アルファ、バカ殿、ベータのトップもいる。
ようするに、「この恋愛脳バカを止めるのは俺たち!」と言う事だ。
「せっかくですがシグマ様、それはお断りします、僕よりも相応しい人がいます!」
アリサでも美雪でもなく突き放したセリフだ、しかも彼女を見ていない、シグマの連中もいるが(当然のことながら青ざめたや呆れた顔をしている)直人さんを見ていた。
「え〜♡やっぱり?♡」
「はい、僕はゴウダ・トモ氏こそが次のシグマに相応しいと思います」
コレにはフミタンママもにっこりである。
時系列は海寺先生が快復したのを見た病院から出ていったところから始めよう。
「あっ!直人さん!ありがとうございます!」
「息子がお世話になっております……」
「少年……まぁこれが仕事なもんで俺も海寺先生の作品は好きなのでな……根無し草なので色んな世界の物語が友人みたいなもんさ……」
俺は少し寂しそうに見えたが、タツはもう少し海寺先生と会話すると言ったために別れた。
病院の近くの喫茶店で会話をすることになった。
「すいません、依頼をしたいのですが……」
我が息子がそんな事を言い始めた。
「どういう依頼かでギャラややるかやらないかは判断する、言っておくが内容によってはどんなに積まれてもやらないぞ……」
それはプロの目立った、こいつは出来る!嘗てサクラさんと初めてあった時のことを思い出した。
「また、調査の結果、駄目だ!と判断したら切り上げるのでな……」
……?どこかで……まさか!
「まさか小説家と奥さん関係の依頼を受けた事は?」
だいぶん前に聞いた話を言った。
「ちっ!サクラの野郎!俺のデビュー前後の黒歴史を!まぁいいあのあとなんとか解決したからな……まぁご内密におねがいします」
やっぱり……意外なところでティラノザウルスに出会った感じだ……
「依頼の件ですが、シグマの事です……」
ああ……やっぱり、彼女の事は聞いているが……
「『暴虐のシグマ・クイーン』まぁ依頼者の事は悪く言いたくないが、彼女は弟子を取らないで部下に色々とやらせるが、上層部もそろそろ彼女をどうにかしようという話になっている」
「やばいのか?」
「人間の評価とは一概に言えないところがあるからな……そもそも彼女はアルファの人間になれたかもしれないが、戦いに巻き込まれて、シグマの人間になった」
「じゃあ弟子がいないというのも……」
「孤独なんだよね、彼女は、一周目のアルファ世界ではなんとか実家に戻ったけど、家が没落仕掛けていてね……能力を使ってなんとかしようとしたが、結局としては両親が利用しまくろうとしたせいで逃げたよ……」
「確かに能力の薄い家族と付き合うは問題なんだから……友人も少なそうだな……」
「いることはいるが……君にぞっこんなんだよ、ギャラ自体は良かったが、なんとかして鉄血のオルフェンズをヒントに君を見つけ出すことができた、ガンプラも買ったよ、全くテンバイヤーはタヒねばいいのに……」
「あ〜まさかブラック企業的というか、無惨様的というか……」
「そのものズバリだよ!多分上も彼女自身もやめたいと思っているからな、次の後継者は弟子もいないから多分君を選ぶよ……」
「ひ、非常識だな……アルバイトが次の日に別の会社の社長になるようなものだぞ……」
俺は流石に呆れたが、パターナリズム的な上層部の理不尽さなんて俺が一番良く知っている……
「絶対に断れ、そして……」
直人という男はチョコレートパフェとコーヒーをむしゃむしゃ食べた。
「ギャラについては……」
「これでどうだ?」
彼は10本指を出した。
「10億円?」
息子はそう言ったが、違うと首をフルフルさせた。
「100億円?」更に違う。
「じゃあ千億円?それとも十万ドーン?」
「……ドーン?ベトナムの通貨か?そうじゃない、金なんて腐るほど持っている、俺がほしいのは、この世界の駄作なんだよ~」
俺たち親子は顔を見合わせた、結果としては俺の秘蔵のコレクションから十作見繕ったが、ホクホクの顔をしていた。
結論としては、この下調べと交渉に成功して、俺は晴れてめでたく?シグマのトップとなった。
「結婚はまだ早すぎる、僕は現実世界で改めて生まれるつもりなんだ、君も幼馴染みとして生まれてくるのはどう?」
これが決め手になったようだ、ヤレヤレ幼馴染みが必ずしも勝てるとは限らないのだが……
「ウーン、スターウォーズやスタートレックをおすすめされたキャプテンアメリカの気持ちがわかるな、まあきっと絶対に面白いと思うし、シグマの歴史も興味深いな……」
トントン、ノックの音がする。
「貴方……お夜食です……」
「おにぎりか、ありがたいな……うん、鮭か……美味しい、食べるという事は生きることだよ……」
昔は焼き魚が苦手だったのにな……引きこもりの男が今では神になったようなものか……
「あまり、根を詰めないでね……♡」
「ああ、適当に疲れたらやめるよ」
「でも今の貴方、とってもいい顔をしているわ、イキイキしている、昔の事を思い出すわ……♡」
「そうだな……なんというか……人生を何度も味わった感じがするよ……こっちは梅干しか……こっちは……昆布か……」
「物語ってある意味、人生が一度しかないから神様に対する抗議かもしれませんね……」
「ただな……」
「ただ?」
『来世も君に会うと思う、そして好きになると考えている』
『私も♡』
俺たちは二人で甘々なハッピーエンド的なキスをした、キスはおにぎりの味がした。