話は遡る、俺はサクラさんと共に最近のアニメや映画やプラモなどを話していた。
まぁハッキリ言ってしょうもない話だが、俺はふとある質問をした。
「もし、俺が転移して能力に目覚めたら、そもそも転移した後に、力に覚醒したなかったらどうしたのだろう。
「いやそんな事を考えても無駄ですかね?
「……そろそろ君にもこの話をする事に来たのかもしれない」
サクラさんは神妙な面持ちである話をしてくれた。
「これは我々のギルド、いやギルドというか仲間の連中の中でも伝説的な人間が体験した出来事さ」
「その人は僕達よりも遥かに強い力を持っていてね、ある程度の条件をクリアしたらタイムスリップ出来るんだ」
俺は驚いた、前々からあの頃に戻りたい、と思っていたが、こんな所で聞けるとは……
「それで、彼が昔読んでいた作家の話になる、まぁその作家は嘗てはそこそこ売れていたけど、その時には食うには困らないがピークを過ぎていたよ、傲慢さや横柄さが出ていたからね、その時点で」
「ある時、奥さんが病気にかかってね、早めに治療すれば助かる病気なんだか、何故かその作家は間違った治療が正しいと勘違いしてね、まぁ生兵法は怪我の元というやつさ」
インチキ治療とか蔓延しているもんなぁ。
「それでもって、奥さんは亡くなってしまってね、それでもその作家にはまだ固定ファンがいたけどドンドン減ったよ、何故だが分かるかい?」
「奥さんがいなくなってショックだったから?」
俺はそう答えた後、ゴクゴクと飲み物を飲んだ、なんだか緊張してきたのだ。
「それもある、そもそも売れてない作家が更に落ちぶれるのは簡単だったさ、奥さんが登場人物のモデルだったからね」
「あ……高慢や横柄というのは……」
「そう、ゴーストライターでは無かったけど、奥さんはその作家にはない違う性格だった為に、エッセイや物語で活躍したんだよ」
「そして、その落ちぶれた作家はどうかしたんですか?」
「そこからさ、レジェンドが体験した冒険は」
「その息子さんが居てね、元々その父親の性格の悪さに困っていたし、可哀想な事に同時期に祖母も亡くなってしまってね、精神的に不安定な状態に陥ったそうなんだ」
サクラさんも飲み物を飲む、真剣に語っている。
「心の病気になってね、よせばいいのに、その作家さんはエッセイで面白おかしく書いたそうなんだ」
「うわぁ〜デリカシーの無い作家ですね」
「切れちゃってね、息子さん力が覚醒した結果昔の作品に転移したそうなんだよ」
「その世界でレジェンドさんとあったんですか?」
「その通り、その時点でなんでも屋というか、困った人を助ける仕事というか、ボランティアをしていんだ」
「話を聞いたレジェンドさんはタイムスリップしたと」
「そう、ここからがあの人の体験した不思議な話さ」
俺は真剣に聞いていた。
「過去に戻り、なんとかして、その奥さんを治療する方に導いたそうだよ」
「めでたしめでたし?」
「じゃない、帰り道事故にあって息子を助ける為に犠牲になった」
「……」
「更に戻り、事故もなんとかして防いた」
なんだか言いたいことが分かってきたぞ……
「然し、治療の方針を巡って大喧嘩し、奥さんは作家さんに殺されてしまった」
「もう無茶苦茶ですね……」
「更に戻り、作家さんが殺人を犯さないようにすると、心を読んだ事で浮気が発覚」
「更にクズだ!」
「そういう事を何度も繰り返してね、レジェンド曰く、後悔はしてないが反省はしている、今度からは気をつける、と言ったそうだよ」
「その作家と家族は……」
「今も健在だよ、但し離婚して、出す作品は読むに耐えられない代物さ」
「でしょうね……」
「この話で興味深いのは息子さんや奥さんは様々な運命に遭遇したのに、夫であり父親である、父親は作家としても家庭人としても良くなかった」
「変わる事ができなかった……」
「運命の乗り換えが出来なかったんだよ」
「何度も何度もレジェンドは平行世界を見たのに変わらなかったんですか?」
「勿論、洗脳とかをすれば変わっただろう、だがレジェンドはそこまでの倫理観や義務を持ってなかった」
「例えるならば明日の天気みたいなものですか?」
「良い例えだよ、今は雨を出す装置や理論もある、だがそこまでやるには手間や予算などがかかる、ほとほと愛想が尽きたんだよ」
「あ〜いくら正義の味方というかボランティア活動とはいえそこまで他人のプライベートに関わるつもりはないと」
「君だって…同じことが言える、能力が覚醒したのは遅かれ早かれ時間の問題さ」
「じゃあ鉄血じゃなくてもビルドダイバーズとかプリキュアとかアイカツでも覚醒したと?」
「もしかしたら奥さんもフミタンじゃなかったかもね」
……朝起きてベットにいるのが他のガンダムヒロインや別の作品の女性陣を想像してみた。
あまり今と変わらないよな……フミタンは特別な人とはいえ。
「じゃあ俺が犯罪とかしたら?」
「しないよ君はそこまでクズじゃないからね」
「……まるで見てきたように言いますね」
「悪いけどお替り!」
「はぁ〜い♡難しい話は終わったルン?」
「うん、アリシアちゃん暇だったらトモ君にお酒を注いでよ」
「畏まりました」
スターてぃんくるプリキュアのララが彼にウィスキーを注ぐ、
そしてアイカツフレンズのアリシアも俺に。
彼女らはスケスケの下着姿で俺達に接客してくれている。
……ここは彼が作り出して経営している、キャバクラだったのだ。
まず本編ではありえないようなシースルーの下着姿で接客する姿にはドキドキしてしまった。
「どう?やっちゃう?」
お断りしておきます。
テキトーにお酒とツマミを食べながら、時間が来るまで飲んだ。
「なるべく厳かに、丁寧語を使う様にね」
「アッハイ」
暗がりのキャバクラから一点、白い宮殿の様な所に俺達は入った。
巨大な階段の上に玉座に座った顔の見えない人がいる。
嘗て、サクラさんにあった時の頃よりも遥かに大きいプレッシャーを遠くから感じる、
ニュータイプじゃなくても分かる。
(これが、僕達のトップ……)
まるで本物の神様の様だ……いやそうかもしれない。
「表を上げていいよ」
その軽い言葉に対して、重々しく俺達は顔を上げた。
「話は聞いているよ、君も運が悪かったね」
「いえ、キチンと見抜けなかった私も悪いのです」
「所詮自己責任の世界だよ」
冷淡に語る、反論は無駄だと悟った。
「然し、攻められたと見せかけて発信機をつけるのは良いアイディアだったね」
あの時撃った銃弾に仕込んだのは大正解だった。
「君、今いる世界が一段落したら昔に戻ってよ」
……え?マジで言っているの……
「大マジだよ、寧ろこれは命令と言うより御褒美だよ」
「いやね、寺山さんの背後には結構大きな黒幕がいるんだよ、あ、君が戦うんじゃないよ」
「昔に戻って寺山さんの過去を少し変えるだけでいい」
「勿論、クリエイターの命を左右するのは厳禁だけど、君の人生をやり直すことが出来るよ、それが願いだっただろ?」
「億万長者になったり、宇宙飛行士なっても良い、無論、歴史的な事件を防いでもいい」
「バタフライエフェクトに関してはこちらでなんとかして、ヤバイときには指示するよ」
「何か質問があったらサクラさんに聞いてよ、じゃあね、あ、君の家族や職場の人間が襲われるのもあるから、過去に送り出すというのもあるよ」
彼は消えた。
……………………
……………
………
無心だった、何もかもお見通しだった、正にお釈迦様の掌の上だった。
……もしかしたら、あの人が僕に力をくれたのか?遊び半分で?
いや……誰が能力を与えたとしても、サクラさんだとしても、関係ないしノーコメントだろう。
俺は世界の真実を知ってしまった、後には戻れない。
「安心しろ、僕達も過去に戻る、新幹線のおもちゃが目印さ」
正に運命の乗り換えが始まろうとしていた。