「お前らがあのモビルアーマーと訳のわからない化物を倒したんだって?いやぁ凄いなぁ」
そこにはマクマード・バリストンがいた、彼の屋敷である、俺は緊張していた、いや緊張では無かった。
三日月は渡された酒をグイッと飲み、普通の顔をしていた。
然し俺は酒が注がれた、盃を中々飲めずにいた、
「オイオイ、なんでそんなにボロボロ泣いているんだよ」
「いえ……嬉し泣きです」
「嬉しい事言ってくれるじゃねぇか」
その声はよく聞いていた、本人では無いと分かっていても聞いて泣いていた。
「トモ、一体どうしたんだ?」
帰り道三日月が珍しく俺の事を聞いてきた。
「あの人とそっくりな声をよく聞いていてね……」
「そうか……」
三日月は何か悟ったように解釈した。
話は告白の時に戻る。
「別の世界から来ただと……?」
オルガはその言葉に戸惑っていた。
俺は彼等に平行世界の概念を説明した、彼らは中々理解できない者もいたが、
俺が出していた映画で見たものもいたし、分かりやすく言えば遥か遠くの国からやってきたと説明した時点で理解した者もいた。
ヘボットの様にはいかないのであった。
「俺の世界はあいつらはゾクシュに滅ぼされたんだ」
「あんな強力な武器を持っているのにか?」
「如何せんアイツらの数が多すぎた」
「そもそも、アイツらの目的は何なんだ?人類を滅ぼすつもりなのか?」
「少し違うな、蝗と一緒だよ、喰らい尽くす、その星のメスを使って産卵する、資源がなくなったら別の星や平行世界に旅立つ、それの繰り返しさ」
その時、女性陣がいなかったのは幸いだったのかもしれない。
「め、メスって……」
「分かりやすく言えば、男は奴隷、女はアイツらの苗床、ふくろになるのさ」
「マジかよ……」
「それで君はどうやってこの世界に来たんだ?」
マクギリスがそう聞く、俺はモニターに宇宙空間の図を出した。
「これがゾクシュの本星だとする、まぁこれを倒せば良いと言うもんじゃないが分かりやすく説明する為に一つだと仮定してくれ」
本星から様々な色のビッグボールやそれ以上の大きさのやつがばら撒かれる。
「アイツらののエネルギーは中に小型のゲートがあって、そこから支給される」
本星から光線のエネルギーが送られる映像が流れる。
「小型である以上、距離には限界があるしたがって……」
「リレー方式ということだな」
「そう、aからbに、bからcにと言う風にゲートを通じてエネルギーや資材が送られる、無論ロスもあるがな」
トカゲ型のゾクシュが巨大なリングを作っている。
「無論、ゾクシュは漂うだけでなくこうやって大型のゲートを作ることがある」
「そうやってどんどん勢力を広げていくわけか、気が遠くなりそうな話だな」
「嗚呼、因みにトカゲなのはメジャーなやつで他にはグロテスク虫とかもいるぞ」
「勘弁してくれ、宇宙ネズミと言われているのにゴキブリと戦うのかよ……」
「逆にゲートを奪ったり、小型のゲートを元にゲートを作れば、人類の勢力が広がると言う訳だ」
「つまり宇宙規模の陣取りゲームと言う訳か、倒せば倒すほど広がると言う」
マクギリスは頭の回転が早くて助かる。
「逆に取られて奇襲を取られた結果がこれさ」
巨大なゲートから隕石が現れ、人類の持つモビルスーツやスーパーロボット、戦艦など
の活躍も虚しく、地球に落ちる、巨大な爆発が起き、人々は逃げ惑い、
様々な姿をしたゾクシュに街を蹂躙させられる、
後にはペンペン草も生えない荒野しか無かった。
「ひでぇ……」
その場にいたダレカつぶやいた、因みにガンダムのコロニー落としや宇宙戦艦ヤマトなどを参考にした捏造の映像である。
「俺はこの戦いに参加し、負けてゲートから別の世界に行こうとして本来行くはずだった別の世界とは違う世界に着たと言うわけさ」
「それがこの世界で、火星に落ちてきたという訳か」
「記憶が無いのもその衝撃だった訳さ」
全く、こんな口からでまかせを信じるなんて傑作だ。
「あのビーム兵器が欲しい、設計図や作り方を教えてくれないか?」
マクギリスがそう言う、全く目ざといやつだ。
「モビルアーマーのビーム兵器もアレは使えると思うよ、兎に角ただ同然で譲ってあげるよ」
「テイワズやタービンズにも説明して教えないとな」
オルガもそういう、仲間の危機、人類の危機だからな。
「時間がない、恐らくビッグボールのいた位置や時間から考えていて、こちらの座標は分かっている、恐らくは一ヶ月以内に本格的に攻めてくるだろう」
「あんな大量にか?」
シノがそう聞く。
「いや、連中だって送れる数に限界がある、アレよりも遥かに少ないと考えてくれ」
「ゲートを取ればこちらから攻められるしな」
「それだけじゃない、他の世界から助けが来るかもしれない」
「なるほど……相手の侵略範囲が余りにも大きいから逆に、反抗する連中のスケールもそれなりに大きいということか」
「兎に角一ヶ月だ!一ヶ月準備すればよい持ちこたえられる!」
「話は簡単だな、アイツらを倒せばいいんだな?」
「やっぱり三日月はすげぇなぁ!宇宙規模の話なのによ!」
オルガと俺は笑った。
「なんだか話は半分ぐらい分かんなかったけど兎に角今日の様に戦えばいいんだな!」
昭宏も納得してくれた。
「あと、これは何故だが分からないが変な習性があるんだよ」
「なんだそれは」
「歌に反応するんだゾクシュは」
「……?」
みんなそんな反応だった。
それからジャスレイとイオクが会った数日後、俺はイオクと会っていた。
無論袖の下や改変能力を駆使ししてな。
「貴様に話すことは何もない!」
「そうですね、これから話すことは私の全て独り言ですよ」
俺はひとしきり、ゾクシュの事を話した。
「……そんな与太話を信じろというのか!アレだって貴様が作り出した自作自演の兵器かもしれないだろうが!」
正解です。
「貴方はジャスレイ氏と手を組みタービンズを滅ぼそうと思っている」
「それをどこから聞いたのだ!」
もうバレバレじゃねーか、語るに落ちたな。
「我々の調査を舐めてはいけません、次の戦いで貴方は負けます」
「……!そんなバカな!」
「これは予言です、そうなれば貴方はラスタル氏に見切られるでしょう、ですがその時は私が助けてあげましょう」
「見返りはなんだ!」
「何もありません、私の実力を知れば良いことなのです」
「そんな都合の良い話があるか!」
「あと、そうそう、貴方は弊社のアイドルに興味があるようですな、お忍びでライブに来たとか」
驚愕の表情を浮かべるイオクだった。
「騒動が終わったら、ライブに正式にご招待しましょう」
俺は立ち去った、鉄華団壊滅の要因の一つがこれで潰れた。
「みんな話が早くて助かるよ」
「……」
話は車の中に戻る、俺は気分良かったが三日月は黙ったままだ。
「この戦いに勝ったら、皆で幸せになれると思うぞ」
「……」
「この戦い」か、全く本当の戦いはそのあとなんだがな……
俺はこれまでのことを振り返っていた。
能力に目覚める前は、死んだ様に生きていた。
毎日親父や母親に叱られる毎日、飯に魚が出た程度で激怒した事もある。
今は充実している、現実世界ではヒーローの真似事をしないといけないが、それでも遥かに恵まれていると言える。
……何故タイムスリップしないといけないのだろう?
いけない、そんな事を考えている暇は無い、今は忙しいのだから。
すると、スマホが鳴った、俺はそれを取る。
「えっ!予定より2日早いな!今から向かう!」
俺は急いで切り、車の進路を変えることにした。
「悪い!三日月!赤ちゃんが産まれそうなんだ!」
流石に三日月も驚いたらしく了承してくれた。
急いで病院に行き、フミタンの元に向かう。
臨月を迎えた彼女のお腹は見事に膨らみ、吐く息も苦しそうだった。
俺はフミタンの両手を握り、真剣に祈っていた。
確かに改変能力を使えば楽に出産出来るが絶対にしてはいけないと思った。
「ラマーズ法だ、ヒッヒップーだ、ヒッヒッフー」
フミタンは必死にそれを真似する。
「貴方……もし私に何かあったら……この子……」
「何馬鹿な事言っているんだ!おまえの人生はまだまだこれからじゃないか!」
それはこう言った。
『お前が死ぬ時は俺も死ぬ時だ!』
「貴方……ありがとう……」
そうだ、フミタンは一度死ぬ運命だっただからこそ、死ぬ時は一緒に死のう。
「百歳以上生きようぜなぁ!孫や曾孫に囲まれて!」
その時クーデリアとアトラも分娩室にやってきた。
「二人共手を握ってくれ!後はフミタンの力を信じるしかない」
「分かりました!」「手を握ればいいのね!」そう言い二人も握る。
「ぶっ……ウゥウゥ!!」
フミタンはクーデリアとアトラが来てくれたので安心したのか再び力みだした。
「あ……!あああぁ!!!」
次の瞬間、生命が生まれた、看護師に臍の緒を切られ、泣き声がけたたましい。
俺は赤ん坊、いや繋を抱きボロボロと泣いているフミタンに見せた。
クーデリアもアトラも感動していて、アトラは史実を知っているがゆえにその心境は分かった。
「貴方ありがとうございます」
「おめでとうフミタン!」「おめでとう!」
俺はこの世界とこの大切な人達を守りたい……その為にはちょっとエッチなことをしても……いやいや!息子が産まれたのに何浮気なことを考えているだ!煩悩を払おう。
改めて大切なものを守ることを決意した。