ズラリと並んだギャラルホルンの艦隊とモビルスーツ、そして相対するはタービンズの艦隊とモビルスーツだった。
「撃てぇーっ!」
イオクの掛け声と共に砲撃が開始される。
然し、優秀なもの程ある種の異常さに気がついていた。
「カルタ殿もいるのだから、我々が勝てるのは間違いない!」
(……まるで覇気がない、手応えがなさ過ぎる、イオクめこの状況で何故浮かれる!)
カルタの思った疑問は敵モビルスーツかこちら側が有利というだけではそのへっぴり腰は説明つかないものだった。
(まぁ、今回の任務はトモ様に合図を送ったら撤退する様に言われているからな……)
彼のおチンチンを想像して、パイロットスーツ越しに下腹部を触った。
(最近はフレともご無沙汰だし、花札になっても粗末なものばかりだしな……)
そう淫らな妄想を思いながらも兵の指揮はしっかりしていた。
「フフハハ見ろ!敵側は烏合の衆では無いか!」
流石に、部下も余りにもおかしいことに気づき始めた。
そして決定的な証拠をカルタの部下が見つけた。
「敵モビルスーツのコクピットに人影一切なし!肉の塊すらありません!」
(やはりか……!)
「撤退する!これは敵の罠と見た!」
「カルタ殿!臆病風に吹かれたか!」
「愚か者!張り子の虎と戦っても意味はあるまい!」
カルタの部隊は直ぐに身を引いた。
次の瞬間、宇宙空間に小さなリングが現れ、それが回転を初めて徐々に大きくなる。
ビッグボールが楽に入れるぐらいの大きさになるとゾクシュが次々と現れた。
「ばっ化物だ!」
誰がそういう、然し、彼らギャラルホルンの装備にビームライフルや火炎放射器などの装備は無い、従って次々とコピーされ、モビルスーツの手足をバラバラにされ鹵獲される。
(前に格安で貰ったあの装備が役に立つな……)
「埃を被っているビームライフルなどの装備を出せ!」
カルタの鶴の一声でフレを始めとする部下はハンガーで装備をした。
無論、この為に買わせたので、本来はなんの役に立たないものを戦艦に載せるのは素人でも駄目な行為と気づくが、彼女はそんなことは気にしない。
「撃てぇ!」
既にゾクシュの戦闘の攻略法はカルタの頭の中に入っており、
淫らな女ではなく、女武将のそれとして宇宙をかけていった。
「イオク!何をしている!撤退するぞ!」
「くそぅ……!こんなはずでは……!」
「命あってのものだねだ!」
「その装備貰える?」
「ええ、勿論」
「私にも寄越せ!」
イオクとジュリエッタにビーム装備をそれぞれ渡し奪われた。
しばらくの間は宇宙空間に様々な色のビームが舞ったがそれでもジリ貧に違いはなかった。
「カルタ様!ここは私が殿になります!」
「止めろ!ジュリエッタ!無駄死にしたいのか!」
「あの化物の驚異は誰がギャラルホルン全体に言わないといけません!」
「ジュリエッタ……
「カルタ様見てください!アイツら戦艦もコビーしがりますよ!」
「!?皆のもの!火星まで撤退する!きりがないぞ!」
(明らかにモビルアーマーの時よりも数が多い……敵が本格的に侵略に乗り出したということか!)
「ちくしょう!せめて一撃だけでも!」
イオクは必死にビームライフルを連射するが当たるわけがない。
それどころか愚策をおかしてしまう。
「突撃だ!」
「イオク様!きゃあああ!!」
イオクを静止させようとジュリエッタは腕をつかもうとするが、その瞬間大量のゾクシュモビルスーツに囲まれてしまい、二人共鹵獲されてしまった!
「ジュリエッタさん!」
「駄目だ!フレ!諦めるんだ!」
「カルタ様!あとは頼みます!」
「ジュリエッタァ!!!」
カルタの叫びが宇宙に響いた、こうして簡単な戦いのはずがギャラルホルンは惨敗した、
そしてこれこそがギャラルホルンの凋落の始まりであった。
ゴウダ・カンパニー本社、既に火星の傭兵とマクギリス派のギャラルホルンのほぼ全ての勢力が集まっていた。
「敵ゾクシュは小惑星帯を基地にしたようだな」
俺達はモニターで確認する、そこには巨大な大砲が映っていた。
「アレは一体何だ?」
「スリングショットだな、要するにアレを使ってゾクシュを打ち出して侵略の手始めにするつもりだ」
「パチンコとは原始的だなぁ」
「無論スピードもパワーも馬鹿にできない、完成前だからこそ今すぐ叩かないとな」
「電撃作戦か……」
「これが完成したら火星の大地にゾクシュの雨が降るし、地球も容易に攻められるからな」
「具体的な作戦を教えてもらおう」
「ほう、カルタ家自ら再び出るとは」
「恥を惜しんで頼む……この作戦に参加させてくれ……」
「私からも頼もう」
「ほほうヴィダールもか」
扉からカルタと仮面の男がドアから入ってきた。
「無論そのつもりさ」
オルガが小声で俺に話しかける。
「おいトモ、アイツらギャラルホルンの高官じゃねぇのか?」
しかもマクギリス派では無いと言いたいのだろう。
「心配するな、何も貴様らをとって食おうという話ではない」
「先の戦いでイオクの艦隊は完敗したからな、ラスタル公もここで汚名挽回しないと話にならないという訳だ」
俺は部屋にある、冷蔵庫から飲み物を取り出した。
「何か飲みます?」
全員断った、ちぇ、完敗と乾杯をかけたダジャレをやりたかったのだが。
「肝心のラスタル公は?」
「アリアンロッドの艦隊を率いて、小惑星帯に向かっている」
「不味いな……なんとかして止めないとな……」
「承知した、私が連絡して止めよう」
無論、アリアンロッドの動きは察知しているし、ジャスレイも向こう側にいる。
「おいおい、お前ら何だ何だ、遠足の準備でもしているのか?保護者がいないとな!」
「名瀬の兄貴……!」
巨大スクリーンからオルガや三日月の恩人の顔が出てきた。
これにはカルタも驚いたし、ヴィダールことガエリオも驚いていたように見えた。
「なんでも女性の敵が宇宙からやってくるだろう?なら女性の味方である俺も出ないとな!」
「作戦を端末に送りますので、あとで確認してください」
((我々と共同作業させないつもりか……))
そりゃそうだろう、この前ダインスレイブがあったとかいちゃもんをつけたくせに。
「分かった、それじゃあまたな」
通信が切れた。
「それで具体的な作戦は?」
「なんの事はありませんよ、行って爆破して帰ってくるだけ、それだけの話です」
「「え??」」
流石に二人は驚いた様だ。