初期のイラストだと中世的な外見だったのに、どんどん女の子らしくなっていますよね。
どっちが好みなのかは人それぞれですが。
キノが新たに訪れた国には、妙な煙が充満していた。
果物のような甘い香りをした、薄い桃色の煙だ。
「……これはいったい?」
平和で退屈な国だと噂を聞いていたキノは、笑顔で隣に立つ案内人へとそう問いかける。
目の前の光景は見たことのない、異常で異様なものだったからだ。
「この煙は我々の国で開発された、『幸福になれる煙』です!」
自信満々に、案内人はそう答える。
「この煙を吸引すると、人間は圧倒的な幸福感に包まれるのですよ!」
「……それは俗に言う麻薬という物では」
そんなキノの指摘に、案内人はいえいえと首を振った。
「一般的な麻薬とは違い、この煙には依存性や毒性は一切存在しません」
平和で安全な煙ですよと、案内人は言う。
何人もの旅人がこの国を立ち去ったが、国を出ればすぐに元に戻るのだと。
「はぁ……」
キノは疑い半分に、その言葉を聞いていた。
「旅人さん、ちょっといいかな?」
案内人と別れ、無人販売所で弾薬と燃料を買い込んだキノは突然の声に足を止める。
「どうだい、この国は。平和で暮らしやすいいい国だと思っているんだが」
「ええ。来たばかりですが、いい国だと思いますよ」
社交辞令の笑顔を浮かべたキノだが、その言葉に嘘はない。
道行く人々は皆幸せな笑顔を浮かべているし、犯罪や喧嘩を一度も見かけないほどに治安は良い。
「これだけ平和な国は、なかなかないですね」
「そうか、いろんな国を見てきた旅人さんのお墨付きを貰えるとは嬉しい限りだよ」
そう言って、国民は爽やかな笑顔を浮かべた。
それは打算や裏表のない、純粋な笑みだった。
「ただ、幸福な気分というのはよくわかりませんが」
周囲に漂う桃色の煙を見渡し、キノは首を傾げる。
「甘い香りと視覚が不明瞭になる以外に、変化を感じません」
「まだ来たばかりなら仕方ないさ、明日あたりには効果が出ると思うよ」
急激な変化は体に悪いから、徐々に浸透するよう調整されているんだ。
そう説明されて、キノはそうですかと短く呟き宿へと向かった。
「そういえば」
宿に到着したキノは、購入した荷物を地面に下ろすとエルメスの方を向いた。
「エルメスは、なにか気になることとかないの?」
「ないね。どうも人間にのみ作用するみたい」
そう。
キノはそう言って、最低限の整理を済ませると柔らかなベッドへと飛び込んだ。
「あれ、もう寝るの?」
「明日になればわかるらしいし、今日はもう休むよ」
「適当だなぁ」
エルメスのぼやきを無視して、旅の疲れの手助けを受けたキノはあっという間に眠りについた。
「おはよう。珍しく早起きだねキノ」
「――うん」
翌朝。
ベッドから起き上がったキノは、気の抜けた返事と共にフラフラと歩き出す。
「気分はどう?」
「なんだかふわふわして、夢の中にいるみたいだ」
「寝ぼけてるだけだったりして」
「意識は明瞭だよ。それに……」
「それに?」
いや、なんでもない。
そう、キノは呟いて扉へと手をかける。
「あれ、どこ行くの?」
「ちょっとね、すぐに戻るから……」
寝ぼけたような足取りで、キノは宿を出て行った。
「なるほど、そういうことか……」
路地裏の一角で、キノは力なく座り込む。
「人間の三大欲求、だったか……皆が幸せになるのなら、それを満たすのが一番手っ取り早い……」
どうりで気持ちよく眠れたわけだ。
そうキノは呟くが、その息は荒く安定しない。
頬は熱を持ったように紅潮し、中世的な顔立ちが艶かしく染まる。
「んっ……」
自然と、キノの右手が下へと伸びる。
両の膝を合わせたまま、ズボンの中へとその手を差し入れた。
ショーツ越しに、キノの指が秘部へと触れる。
少し触れるだけでも明瞭なほどに、そのショーツは愛液で濡れていた。
「あっ、あぁ……」
人差し指で秘部を撫でると、愛液が股下を濡らす。
数度刺激を与えるだけでズボンに染みが出来るほどに液は溢れていた。
「――ん、んんっ」
我慢の効かない嬌声を、上着を噛むことで必死に堪える。
指の動きは徐々に激しさを増し、それに比例して快楽が押し寄せた。
「――――ッ!」
獣のような唸り声と共に、キノの体は絶頂を迎える。
背中が大きく反り返り、小さな肢体が小刻みに痙攣した。
「は、あぁ……」
深く息を吐き、キノは自分の脳が蕩けたような錯覚に襲われた。
自慰をしたことは何度かあるが、ここまで強烈な快楽は初めて味わったものだ。
甘い香りが鼻をくすぐる。
ああ確かに、キノは今どうしようもないほどの幸福に包まれていた。
「あ、れ……?」
疑問交じりの声が、キノの口から漏れ出る。
キノの左手が、自身の意思とは別に動き出していた。
まるで遠隔操作でもされているかのように、その左手はキノの胸元へと伸びていく。
理性が本能に敗北した結果、キノの体は快楽を得るために動き出す。
まず上着を脱ぎ捨てる。
そして下も同様に。
人のいない路地裏とはいえ、今のキノは野外で下着姿を晒している状態だ。
大通りから吹き込む風が、白い肌に当たって体温を奪う。
だというのに、キノの体はどんどん熱をもって汗ばむほどに熱くなっていた。
「あと、一回だけ……」
自分に言い聞かせるような呟きと共に、キノは快楽へ溺れていく。
純白のブラを外し、乳房を露出させる。
ショーツ一枚以外は身に着けていない状態で、キノは己の体に両手を這わせた。
「ん、あぁ……」
固くなった乳首を、左手で摘む。
軽く指で挟んだだけで、荒い息がキノの口から漏れだしていた。
空いた右手は、自然とショーツへ向かう。
もはや下着の意味がないほどに、ショーツはぐしょぐしょに濡れていた。
ゆっくりと、焦らすようにショーツを下ろす。
愛液が糸を引き、だらりと垂れる。
完全に全裸となったキノはもう止まれない。
先ほどよりも激しく獰猛に己を慰める姿は、まさに獣だった。
「あ、あっ、あっ――!」
気づけばもう、声を抑えることも忘れていた。
大声で快楽を訴えながら、性感帯を刺激し続ける。
「――誰かいるのか?」
そして当然、そんなことをしていれば誰かが気づく。
一人の男が、不審な声につられてキノのいる路地裏を覗き込んだ。
「……旅人か。こりゃあ二、三日はこのままかねぇ」
呆れたような声を出して、国民である男は肩をすくめる。
外から来た人間は稀にこうなる。
何度か見たことのある、珍しくもない光景だ。
「だが、女の旅人は珍しい」
それもこれだけ綺麗なのは。
そう呟いて、男はキノへと近づいていく。
全裸で自慰を繰り返すキノは、眼前に近づく男が目に入っていない。
己の世界に入り込んで、快楽のみを受け入れている。
だから、男がキノの胸を揉みしだこうとも気づかない。
だから、男がキノの体を組み伏せても気づかない。
キノはもはや正気を失っていた。
洪水のように濡れた秘部へ男根を挿入されても、己が犯されているという事実がわからない。
「――あぁ!」
ただ溢れ出る新たな快楽に笑みを浮かべ、その刺激を求め続けるだけだ。
日が暮れて、月が顔を出したころ。
キノは未だ路地裏にいた。
「あ……あ……」
目は虚ろで、焦点が合っていない。
秘部には何度も挿入された後があり、全身は服のかわりに精液で満たされている。
太ももには無数の正の字が落書きされ、たった今まで犯され続けていたことの証明となっていた。
「あぁ……」
言語になっていない声が漏れる。
人としては完全に崩壊しているが、キノは確かに『幸せ』であった。