---千葉寿和---
たれ込み電話があったそうだ。一高の根岸太郎って教師が怪しいっと…一高の教師?確か、妹が通っていたなぁ。藁にも縋りたい俺は、妹から話を聞くことにした。
「はぁ?根岸太郎?あぁ、ネギ先生か♪」
妹のエリカが知っている教師だった。
「どんな教師だ?」
「どんな?そうだな…授業はつまらない。だけど、一科生の女子に人気のようだよ」
妹は二科生であるけど…
「二科生の女子には?」
「一科生の女子の取り巻きが恐くて、近寄れないよ」
そうなのか。
「で、ネギ先生がどうしたんだ?」
「いや、小耳に挟んだ程度だよ。担当している事件が難航中でな、小耳に挟んだ程度でに藁に縋りたい気分なんだよ」
「それって、ネギ先生は事件関係者ってことか?」
「ガセの可能性もある。慎重に調査しているところだ」
「う~ん…アニキの担当事件って、連続殺人だろ?じゃ、ハズレだよ。ネギ先生は救命サイドだから」
「救命サイド?」
「大学付属病院の救急センターに協力しているようだよ。たまに、授業を放り出して、センターへ向かうことあるもの」
そうなのか…センターで訊いてみるか。
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魔法大学付属病院の救急センターで話を聞いてみた。
「ネギ先生ですか?温厚な人ですよ。彼を嫉む誰かの悪戯じゃ無いですか?」
って、センター長が答えてくれた。
「元々、どんなツテで知り合われたのですか?」
「ツテ?あぁ、紹介されたんですよ。バチカンの難病治療院から」
バチカン?まさか聖域の治療師か?
「聖域のヒーラーなのか?」
「えぇ、聖域の賢者様の愛弟子だそうですよ。西洋医学で見つけられない原因を彼に精査してもらって、治療法を彼に相談しているんです」
聖域…聖なる者しか行けないエリアらしい。バチカンが唯一交流を持っている国である。一説によるとバチカンの一部ではないかと言われている。聖域の賢者と言われる使者がたまに、各国の首脳と会談しているとか、いないとか…眉唾な都市伝説である。
「賢者様の愛弟子が、犯罪をするわけが無いでしょ?万が一有るとすれば、それは正当防衛とかじゃないですか?彼を嫉む者が雇った刺客かもしれないでしょ?」
そうかもしれない…なんとも言えないけど。
「あなたが紹介されたんですか?」
「いえ、違います。前任者ですよ。名前は代羽周太郎氏です」
その前任者を探して、事情を訊くかな。
---千葉エリカ---
アニキから話を聞かれて、ネギ先生に興味を持ってしまった。放課後、先生のカウンセリングルームを訪れた。
「うん?どこか悪いのか?」
「頭かな…」
「それは治せないなぁ。すまないけど…」
「この前の授業の質問なんだけど…ダメ?」
「いや、問題ないよ。この前って、何の話だ?」
「う~んっと…リズムだっけかな?」
「あぁ、バイオリズムか。で、何がわからないんだ?」
「なんで、あれで体調とか運とかわかるんだ?」
「運は分からないぞ。それは占いのバイオリズムだろ?僕の教えたバイオリズムは体調だったはずだぞ」
「まぁ、その辺は頭の問題だ。水に流してくれ」
「脳波と心電図と痛点により、大体の体調はわかるんだよ。例えば、」
いきなり、背筋を指でなぞってきた。ぞぞっと来る物があり、身を捩る私。
「何とも言えない刺激だろ?心電図の針は一気振れる。脳波計の針は緩やかに推移するんだよ。痛みでは無いけど、驚いたって感じでさぁ。その2つの針の動きで体調を読み取るんだよ」
「あぁ、なんとなくわかったようだ。激痛なら、脳波計の針は一気に振れるのか?」
「そういうことだ。で、人間の身体には反射区って言うのが有るだよ。代表的な場所は足の裏だよ。脳波と心電図を測定しながら、足の裏の反射区の痛点を刺激していって、見えない場所の痛みを探すのが、僕の教えてたバイオリズムの肝な部分だよ」
「あれ?エリカさん…どこか悪いの?」
うちのクラスの司波達也の妹の深雪だ。
「彼女が授業について質問をしてくれたんだよ。二科生にも真面目に勉強してくれる生徒がいて良かったよ♪」
「良かったですね♪」
笑顔でネギ先生を見つめている深雪。二人はどんな関係なんだ…って、雫、ほのかも、笑顔でネギ先生を見ていた。話を聞いたら、ほのかはネギ先生のおかげ、危険を回避できたらしい。
「エリカさんは悪いところは無いんですか?」
深雪が訊いてきた。
「頭らしいんだけど、僕でもそれは無理って言ったんだよ」
頭を掻きながら真面目に答えたネギ先生。おい…あれは、ジョークだぞ!
---ネギ---
周辺を嗅ぎ廻っている刑事がいるらしい。直接来たら、それなりのことをするかな。死体から使える臓器を取りだし、保存ケースに収めていく。移植用臓器はブラックマーケットで高値取引になるので、経営難の足しにしている。学生相手の商売だから、あまりにも高額な請求は出来無いし。で、使えない部位はタンパク質分解液で溶かしていく。残った脂肪はスキンケアの保湿剤の原料に、骨は細かくしてチョークにする。教師だからチョークは必需品だし。死体といえど、無駄にはしない。溶かしたタンパク質は、分解酵素を培養する為のエサにするし♪
殺した相手の身分証以外の持ち物も、有効利用していく。ゴミにはしない。情報端末類は情報を吸い上げた後、分解して、素材に戻して売却。メモ類も売れそうな情報はもらって、再生紙にして利用。服とかは恵まれない国に寄付だ♪
十師族と呼ばれる魔法師達は警戒が厳重で、手に掛けることが中々出来無い。こいつらが、僕を追い詰めた元凶なのだが…どうするかな。かと言って生徒の家族を手に掛けることは出来無い。家族を失う哀しさは、僕が一番知っているから。
響子の部屋で、響子と逢い引き…目の前に僕の肉棒を差し出すと、飢えた雌犬はペロペロと舐めだした。勃起すると口に頬張り、しゃぶっていく。
響子が集めた情報を精査していく。こっそりと軍のデータを盗ませているのだ。局面を急変させないように、重要人物には手を出さないようにしないといけないのだ。うん?大黒特尉…本名は司波達也とある。深雪の兄だよな。アイツ、軍の関係者だったのか。そうなると、響子を僕に差し向けたのは、達也だな。警察にチクったのも達也の可能性が有るなぁ。
パン!パン!パン!と肉叩きの音がし出した。響子が下の口で味わい始めたようだ。響子のしたいようにさせながら、データを精査していく。後は…雫の父親はマスコミに影響が有るのか。うん?エリカの兄が僕を嗅ぎ廻っている刑事なのか…問題が剥き出しになっていく。行動に制限を掛けないとダメかな。生徒の関係者は手に掛けたくない。
僕の胸板に柔らかい物が吸い付いた。響子が果てたようだ。
「満足したかな?」
唇を重ねて来た響子。満足したらしい。
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どこのツテだろうか?僕の評判を聞いたという師族関係者が、治療院を訪れた。彼女は動力付き車椅子で、はるばる電車を乗り継いで来たそうだ。なので、追い返すのが忍びない。
「ちょっと、失礼」
彼女の頭に手の平を載せ、状態を精査していく。魔法演算領域が脳神経を圧迫して、筋肉や内臓の動きを阻害しているようだ。
「魔法演算領域の肥大化が原因です」
驚いた顔をした彼女…五輪澪。
「想像もしていなかったですか?」
「えぇ…」
「このまま、肥大し続けると、生命も危ない。どうしますか?」
「身体と領域の両立は無理ですか?」
う~ん…確か、情感を司る感情領域を代用すると良いんだっけ?賢者様から習った事を思い返していく。
「感情障害が起きるかもしれませんが、情感を司る感情領域を魔法演算領域に置き換えるって手は有ります。どうしますか?」
「感情を供物に身体と生命ですか…私はもう誰も愛せないのですか?」
確か、一人だけなら大丈夫だっけ?
「一人だけなら…溺愛という感情で残せます」
「そうですか…じゃ、あなたを溺愛に出来ますか?私を救ってくれる恩人を愛したい…ダメですか?」
僕?う~ん、魔法師は仇なんだけど…どうなんだろうか?でも、彼女のオーラに濁りは無い。心根の良い魔法師なんだろう。
「分かりました。診療室へどうぞ!」
彼女を診療室へと案内し、治療院の入り口に『急患につき、当分治療は出来ません』といい看板を出し、学校へも同様に『急患の治療につき、当分休みます』と連絡をした。
---司波深雪---
ネギ先生は今日も休みのようだ。重病な方の治療に当たっていて、学校に来られないそうだ。なんか、寂しい…ネギ先生不在の先生のカウンセリングルームの前に、私と同じような感情を抱いている生徒達がたむろっている。
「重病な人の治療だもんね。私達なんか…」
「少しの我慢だよ。あぁ、泣かないで~」
などと、ネギロストはささやかな事件であった。
ネギロスト発生から2週間が経つと、漸く先生が復帰された♪
「おぉ、深雪、久しぶりだな。元気だったか?」
「寂しくて、目が腫れちゃいましたよ。責任をとってください♪」
って、私を含め数名から同様の被害が報告されて、先生はタジタジのようだ。
「それで、責任かぁ~。おいおい、死んだ訳で無いんだからさぁ~。充血は治せるけど、目の腫れはなぁ…泣き止んで3日あれば自然治癒なレベルだぞ」
って、苦笑いしている。
「どんな患者さんだったんですか?」
「うん?個人情報だ。話せない。そういうレベルの患者だよ」
他人に言えない症状のか…以前の私のように…
「それにまだ、完治はしていない。入院しているよ。って、付属病院にだけどね」
引き渡せるレベルまで治したのかな。それもつきっきいりで…羨ましいなぁ…
「深雪、有らぬ想像はするなよ」
って…えっ?顔に出ていたかな?みんなが笑っている。出ていたのか…
「で、なんか、学校が慌ただしいのは何で?」
「九校戦っていう学校対抗の運動会みたいな物があるんですよ。その準備期間に入ったんです」
って、雫が説明をした。
「運動会?玉入れとか綱引き?」
「運動会なみたいな物で、そういう競技は有りません。魔法技能を競うんですよ」
「ふ~ん、そんなイベントが有るのか。僕には関係ないなぁ」
「いえ、関係ありますよ!」
生徒会長の真由美さんが、ネギ先生に詰め寄った。
「先生は、救護班に所属してもらいます。いいですね!」
「えっ?僕も参加なのか?」
「参加してもらいます!」
「それって、特別な報酬出るのかな?ボランティアだったら、行かないよ」
困った顔の真由美さん。暫く考えた後…
「出します!学校に交渉してみます。ダメだったら、七草家から出します」
「七草家で飼うのはダメだよ。僕は自由人がいいんだからさぁ」
「わかりました!父にはそのように頼みます。ですから、参加してくださいね!」
「救護だけでいいんだね?」
ネギ先生は何かに気づき、真由美さんに念を押した。
「いえ…あの…富士山の麓でしますので…日差しが…スキンケアも…」
「別料金でいい?あと、事前予約な。持ち込む液の量を知りたいし。あぁ、運搬代も頼むよ。生徒会長さん♪」
何やらトンでも無い額になりそうであるが、先生の要求に頷いている真由美さん。28歳肌って言われたショックは未だに尾を引いているようだ。
---ネギ---
家に帰り、九校戦の資料に目を通した。他校の生徒を間引くかな。いなくなっても、気にも止めないかな。富士山の麓なら…
そうか、材料を狩らないとダメだな。一体何名の予約があるのかな。澪の治療で、狩りが全く出来無かったし…う~ん…