---ネギ---
襲われた…敵の正体は不明。深雪と診療所の掃除をしている処に、乱入されたのだ。深雪を庇いつつ、逃げる。追って来る追っ手…こういう時は、あそこかな。近くのマンションに逃げ込み、知り合いの部屋に行く。
「悪いけど、彼女を護ってくれるか?」
一言声を掛けて、深雪を部屋に入れて、ドアを閉めた。これで、戦える。って、マンションの中まで追いかけてきた。え?ここで撃つ?フルカウンターすると、マンションがマズい気がするので、避けてまくって、屋上へと向かう。僕の能力は室内戦では不利だから。
屋上に出た。が…空からも撃って来た。空方向にはフルカウンター倍返しをしていく。障害物が無いって気持ちいいよねぇ~。なんて余裕をこいていたら、何機ものヘリが降ってきた。う~ん、マズい展開だ。屋上と同じような高さのヤツを圧縮空気弾で山の方へと撃ち出していく。屋上の敵達は、気流で心筋止めで仕留めていく。うん?死なないヤツがいる。人間では無いようだ。機械相手では気流は役立たない。いや、待てよ。電気を操れば良いのかな?電子機器って、直流だよな?って、ことは、逆流させれば!
ドッカ~ン!
屋上の床すら吹き飛ばす爆発。おいおい、爆弾持ちかよ~。追い込まれている僕。どうしよう…
---司波深雪---
ネギ先生が一人で行かれてしまった。追いかけようとすると、この部屋の住民に止められた。
「ダメよ、行っちゃ!彼に、あなたを護れっていわれたの。指示に従わらせてね♪洋史、彼女を死守するわよ」
「了解です♪」
バーン!
ドアが破壊されて、黒ずくめの男達が入って来た。
「その女を渡せ!そうすれば、苦しまないように殺してやる!」
ドン!
部屋の外に吹き飛ばされる男性。私を護ってくれている女性が、魔弾を放ったようだ。
「どこの組織かしら?私は十三使徒の一人、五輪澪です。私が相手をします。名乗りなさい!」
十三使徒って…国家公認戦略級魔法師のこと…ネギ先生って、なんて人を知っているの…
「大丈夫だよ。姉さんに勝てる相手はほとんどいないから」
彼女の弟さんが声を掛けてきた。
---ネギ---
情報端末で、澪に連絡。状況を訊いた。
「啖呵をを切ったら、攻めてこなくなりました」
それは良かったんだけど…
「澪、天井方向に防御壁を張れるだけ張れ!マンションがマズい」
「えぇぇぇぇ~!ここ、新築だよ~、ねぇネギ先生…」
って、言われても、僕にはどうにもならない。目の前の機械人間で手一杯だ。
バサッ!
機械人間の手が斬り落とされた。
「先生、面白い相手とスパーリングですか?」
服部と桐原が来てくれた。
「夜の結果を報告しようと思ったら、空からヘリが降ってくるし…もっと、どうにかならなかったんですか?ねぇ、先生!」
「だって、気流が効かないんだもの…どうしろって言うのさぁ」
ズッド~ン!
あぁ、十文字が乱入。マンションが崩れていく…
「十文字、マンションの強度を考えて、攻撃しろよな!」
「すまない。桐原が苦戦していたから、つい…」
そうだ!『同化』がある。空気をマンションの外壁に同化させて、強度を上げていく。無理かな。基礎の鉄筋までは無理だよな。
ズリッ!
マンションが傾き始めた。
「おい、服部、こういう時の能力者って誰だ?」
訊いた瞬間、傾くのが止まった。おぉ、その手が有ったか…澪の能力で地下水を隆起させて、深雪の能力で凍らせて、マンションのギブスにしたようだ。
「十文字、コイツら、どこのヤツだ?」
機械人間を全部仕留めた後、十文字に訊いた。
「軍のだ…なんで、軍がこんな街中で作戦展開しているんだ?」
響子から何も連絡が無いから、魔装大隊では無さそうだ。そうなると陸軍か…取り敢えず、澪の部屋へ向かう。
「え?澪さん…」
「はぁ?彼女があの…」
十文字達が固まった。なんでだ?まぁ、いいか。
「澪、無事か?」
「はい。彼女を護り切りました」
僕に抱きついてきた澪。
「え?まさか、ネギの彼女?おいおい…」
澪が頷いている。おい、誤解されるだろ!あぁ、深雪は少し膨れっ面だし。
「深雪、大丈夫か?」
でも、声を掛けると笑顔で、抱きついて来た。
「はい♪」
「で、澪に訊きたいんだけど、機械化人間だったんだけどさぁ、これって陸軍かな?」
「え?軍部なの?それなら、私が抗議します」
情報端末を手にして、澪が軍へ猛烈な怒りをぶつけ始めた。まぁ、新築のマンションに、あの攻撃は無いよな。澪の部屋の窓から診療所を見ると、見事に全焼しているし…まぁ、大事な物は秘密の部屋に置いてあるから被害は少ないかな。
「え?先生の診療所が…酷い…酷すぎる…」
深雪が怒りで震えている。手の平を彼女の頭に載せて、怒りを昇華させていく。
「ネギ先生、軍から盗み出されたらしいわ」
「ヘリもか?」
「ヘリ攻撃もあったの?ちょっと、どういうこと…」
澪が、更に軍を追求している。国家公認戦略級魔法師を怒らせると軍的には困るよな。きっと、マンションは弁済してくれるだろう。僕の診療所も…
住む場所を失った僕、五輪姉弟の三人で、司波邸に居候させて貰うことになった。新居が決まるまで…
「まさか、ネギが五輪姉弟と知り合いだったとは」
達也ですら驚いている。
「ほら、長期に休んだことあっただろ?あの時、彼女の治療をしていたんだよ」
「えぇ、ネギ先生のおかげで、こんなに健康になれました」
澪に施した施術内容を司波兄妹に話した。深雪には是非とも聞いて欲しい話だから。
「魔法演算領域を広げた?」
「その結果、情愛だけ感情が残り、誰か一人だけを情熱的に愛することになったんだよ。なぁ達也、お前、澪さんとさぁ」
「ネギ先生♪姉さんはネギ先生って指名したでしょ♪」
またしても、洋史君に拒否されたようだ…
「あぁ、だから、ネギ先生にあんな風に…」
深雪が納得した。身近に同じ様な者がいるから。
「さて…どうするか、これからのことだ。相手が分からないのでは、反撃出来無い上、再攻撃も有る。で、狙いは深雪の身柄の確保のようだ。思い当たることって、有るか?なぁ、達也、深雪」
うん?達也がはっとした。
「達也、思い当たることがあるんだな?」
「あぁ、深雪が次期当主候補を降りるって伝えたら、地下牢に幽閉するって…」
ここで、五輪姉弟が、司波兄妹の正体に気づいた。
「まさか…四葉の関係者か…司波って…」
頷く達也。ここで、考えてもしょうが無いなぁ。行動有るのみか。僕は魔法陣を展開した。
「達也、その時の会話の相手は?」
「四葉家現当主四葉真夜だ」
魔法陣に神格文字で『四葉家現当主四葉真夜』と刻んだ。
「ちょっと行ってくる」
僕は真夜の元へと転移した。聖域で狙った転移術。刻んだ名前の人物の元へと転移出来る。同姓同名な場合は、イメージしたのに近い方へと転移する。便利なようで、不便な術である。イメージをとちることの多い僕は、飛んでもない場所に転移することが多いから♪
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転移した先に年配の女性がいた。
「どこから入って来たの?」
「四葉真夜か?」
「まず、あなたが名乗りなさい」
高飛車なオバサンだ。でも、言っていることは正しい。
「一高教師、根岸太郎だ」
「教師風情が何の用かしら?」
「深雪を攫おうとしたのは、お前の仕業か?」
顔色の変わった真夜。
「攫われたの?なんで?あの子が…まさか…」
狼狽えている真夜。コイツが犯人では無いのか?彼女の頭に手の平を載せて、記憶を読み取る。その瞬間、固まる僕…記憶がフラッシュバックしていく。見たくもないあの記憶が…鮮やかに甦る…コイツがやったのか?
「凪君…ねぇ、凪君なの?」
目の前のオバサンが僕を本名で呼んだ。なんで…なんで知っているんだ。やはり、当事者なのか?いや、違う…オバサンの目は殺意では無く、懐かしそうな暖かな目であった。
「葉山…凪君よ!」
「え!本当ですか…」
見覚えの有るオジサン…そうだ、あの時のオバサンなのか…施設から攫われた僕を救ってくれた夫婦…
「凪君…すまなかった。助けられないで…」
僕を優しく抱き締めてくれているオジサンとオバサン。どういうこと?
「そういうことだ、ネギ。お前は本当に愚かだな」
賢者様の声。僕の隣に転移してきた。それを見たオジサンとオバサンが賢者様に跪いた。
「真夜、お前の考えで間違え無い。あの時、お前達を護るために、囮になった凪。まぁ、囮になって黒羽の手に掛かったがな」
黒羽…アイツは許さない。そうだ、僕を家族の元へ連れて行ってくれたんだ。そこで、黒羽達にみつかりそうになり、僕が囮となって、二人が逃げる時間を稼いだんだ。
「あの時はありがとう…ごめんね。まさか、あんな姿になっていたなんて…知らなかった」
身体から脳と内臓が引き出され、培養液で生きていた家族。それぞれの部位の細胞を取りだし、DNAを引き出し、受精卵へと入れていた。僕の家族はDNAを抜き出すためだけに生かされていた。
「たぶん、アイツらは証拠隠滅をしようとしているのだろ。司波深雪は物的証拠になり得るからな」
物的証拠…僕の家族の失踪事件の…だ。
「ただ、アイツらは誤算をした。ネギは凪では無い。DNA検査をしても一致はしない。ネギは復讐心で作られた思念体だからな」
そう、僕は人間では無い。だから、復讐を諦めた時、塵となり霧散する運命である。
「真夜、お前の本心は、深雪を護ることだろ?地下牢に入れてでも、凪の家族を残す為に」
「はい…」
オバサン…僕の為に…
「凪君のDNAは保存してあります。それを照合すれば…」
「ネギ、僕のヒントはここまでだ。後はお前が、真実を見つけろよ。あぁ、黒幕をヤル前に大亜連合とスターズが先だぞ。この国に戦禍を被らせるなよ。じゃ、また来るよ♪」
賢者様が転移されて行った。
「そう…凪君…今はネギ君ね。ネギ君が深雪の相手なのね。わかったわ。深雪の婚約者として認めます。子供が出来無いのが残念だわ。ネギ君の子供…夢よね…」
「オジサン♪オジサンの珈琲が飲みたいです」
「おぉ、覚えてくれてましたか。ただいま、お作りしますよ。凪、じゃないネギ君♪」
「そうなると、誰が深雪を…黒羽は始末したのに…」
「黒羽を始末したのは、ネギ君なの?亜夜子さんと文弥さんは?」
「僕の仲間です。悪く無い魔法師は殺しません」
「そう。で、あの時、黒羽といたのは新発田…後、椎葉、真柴、静の各分家の当主だったわ。達也を失敗作と呼び、さらに優秀な魔法師を作るって言っていたのよ」
達也は失敗作かぁ…そうなると、澪もだけど…
「その4家は潰していい?」
「いいわよ。ネギ君の好きにして。そうなると、深雪さんの誘拐は新発田かもしれないわ。次期当主候補に新発田の息子がいるから」
新発田か…情報を集めないとダメだな。あれこれ考えていると、オジサンの珈琲が出て来た。美味しい。この珈琲を飲んで以来、珈琲好きになったような。
「新発田の息子にはガーディアンが二人ついています。深雪さんに、ガーディアンを付けましょうかね」
オバサン…真夜がパンパンと手を叩くと少女が入って来た。
「奥様、お呼びでしょうか?」
「ネギ君、彼女は桜井水波って言うの。ご両親は既に他界されているので、ここのメイドとして働いて貰っているんだけど、どうかな?」
どうって…ショートカットで顔にあどけなさが残る…何故か、妹の面影が有る可愛い子である。って、この子も調整体か…
「気に入ってもらえたようね。桜井水波に指令を下します。彼、ネギ君に家族として接して、司波深雪のガーディアンになりなさい」
「はい…」
僕を怪訝な顔で見ている。まぁ、不審者だよな。入り口から入っていないし。
「オバサン…この子って…」
「ネギ君の想像通り…だから、妹さんと思って接していいからね」
いや、そうなると、深雪は姉さんになるんだけど…
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司波邸に二人で転移した。
「ネギ先生の妹さんにソックリなの?それって…」
水波が食事の支度をしている隙に、みんなと情報を共有していた。
「彼女も調整体だ。ただ、深雪より寿命が短い気がする。延命処置はしていくけど…」
「私達も協力するから。ねぇ、洋史」
澪達も黒幕捜しに協力してくれるようだ。
「亜夜子達も深雪を頼めるか?」
「う~ん…私達は情報収集系だから、キツいかな」
って文弥。女装趣味なのか、いつ会っても男の娘である。男と知らなければ、可愛い女子であるのが恐い。
「それより、ネギ先生のガーディアンはいいの?」
亜夜子に言われた。確かに…攻撃力が無いなぁ。フルカウンターしか無いし。機械人間相手では散々だったし…
「まぁ、どうにかするよ。生徒とか中学生とかと、いつも一緒にいられないし」
これでも一応、教師である。
「問題は治療院ですよね。どうします?」
どうするって、お金はあるけど…表で使っていいのか悩む金だしな。
「みなさん、お食事が出来ました♪」
水波が来たので、話を中断させた。あれ?達也が言葉を発していないけど…
「達也、どうしたんだ?」
「彼女…俺が殺してしまった女性に似ているんだ」
後で、深雪に聞いたのだが、殺したというのは語弊が有るらしい。達也の母親のガーディアンだった女性に似ているそうだ。苗字からして、親戚筋っぽいそうだ。で、防御能力の無い達也を護る為に、障壁魔法を酷使しすぎて死に至ったそうだ。
「え?学校の先生なんですか?ネギさんって…あぁ、だから、皆さんは先生呼びをされていたのか」
「まぁ、そんな感じだよ」
「ねぇ、ネギ先生、来年、一高を受けてもいいですか?」
って、文弥。
「受かるなら…おい、女装で通うなよ!」
「えっ!彼女、女性では無いんですか…って、私と同い年なんだ…」
文弥は罪作りな男だ。男も女も騙されるくらいかわいい男の娘だし…
「来年の話は鬼が笑うかな…」
僕は一年後、ここにいるのだろうか…
五輪澪の性格は原作と違います。本作では健康ですから(^^;
それに伴って五輪洋史の性格も前向きに…