街で入籍を済ませた俺とめぐみんは、少し高いテンションで料理を作っている。
「めぐみーん!こっちの鴨肉のステーキは出来上がりそうだが、スープは上手くできてるかー?」
「ええ!あとは仕上げにちょっとスパイスを入れるだけです!そっちが終わったらサラダの方をよろしくお願いします!」
俺は鴨肉のステーキを皿に盛り付け、言われた通りボウルに入ったサラダにドレッシングをかけ、和える。
めぐみんはスープを口に含み、大きく頷くとお椀に分けていく。
「思ったより豪勢になったな」
料理を盆に載せて運びながらめぐみんに話しかける。
「そうですね。アクア!机の上を片付けてください!料理を乗せますよ!」
めぐみんの声に反応し、机の上に出してあった酒やら何やらを片付けていくアクア。
「ちょっと、豪華じゃない!めぐみんの風邪が治ったからって張り切りすぎじゃないかしら?でもまあいいわ!早く食べましょう!」
「うむ。どれも美味しそうだ」
アクアとダクネスが料理を見ながら席に着く。
「めぐみん、風邪が治ってよかった。その、色々とすまなかった」
食べ始めてすぐに、ダクネスが不意にめぐみんに謝る。
「別に気にしないでください。悪気があったわけでは無いのですから。でも次からはちゃんと調べてからお願いしますよ?」
めぐみんはナイフで切った鴨肉をひょいと口に放り込みながら返す。
「あ、そうだわ!カズマに言いたいことがあるのよ!」
「アクア、その前にお前達に言っておきたいことがある」
アクアの話を遮り俺は立ち上がる。
「なあに?早く言って頂戴?」
少し苛々したように急かしてくるアクア。
「めぐみんも立ってくれるか?」
「いいですよ」
軽く頬を染めながら立ち上がるめぐみん。
訝しげに二人が見てくる中、俺は口を開く。
「俺達、結婚します。書類上の手続きは済ませました」
「そう、それじゃあ……ねえ、カズマさん、今なんて言ったのかしら?」
ぽかんとしているダクネスの脇でアクアが聞き返してくる。
聞こえてなかったようなので、もう一度言い直す。
「俺とめぐみんは結婚します。書類上の手続きは今日済ませました」
アクアは目を瞬かせながら、見てきた後、
「やだー!カズマさんったら冗談ばっかりなんだからー!下衆でクズで働かないニートでパッとしなくてモンスターの攻撃をダクネスに隠れてやり過ごすようなどうしようもない産業廃棄物みたいなカズマさんが、結婚なんて出来るわけないじゃない!言うならもう少しマシな冗談を言いなさいよー」
アクアは悪気もなくそんなことを言ってくる。
「食っちゃ寝のお前にだけは言われたくない」
反論するものの酷い言われようで、ちょっと泣きたくなってくる。
俺、最近は商品の開発も、クエストもそこそこやっているのに……
「おいアクア、私の夫に何か文句があるなら聞こうじゃないか」
珍しくめぐみんがアクアに突っ掛かる。
その瞳は紅く光っていて、明らかに怒っているようだ。
「め、めぐみん、ど、どうしたの?なんで怒ってるのかしら?だってカズマの冗談よね?どうしてめぐみんまで乗っかっているのかしら?」
アクアはめぐみんの反応におろおろしだしてダクネスの方を見る。
「そうか……めぐみん、カズマ、おめでとう。しかしまさか今日済ませてくるとはな……」
ダクネスはスープを啜りながら感慨深そうにしている。
「え!?え…?カズマ、本当にめぐみんと結婚するのかしら?」
アクアが不安そうに聞いてくるのでそのまま返す。
「ああ。そうだよ」
そう告げた瞬間にアクアの目から涙が零れ始める。
え……?
「ふ、ふあ……!」
アクアは俯いて手を顔に当てたかと思ったら、
「ふああああああああああーっ!カズマがああああああ!」
大声で泣き喚きながら何処かへ走り去ってしまった。
何が起こったのか分からず立ち尽くす俺達。
「な、なあカズマ、追いかけたほうが……」
ダクネスがぼそりと言ってくるが……
「俺、アクアが何処行ったか見当つかないし、第一なんで泣き出したかも分からないんだが……」
アクアが出て行った方を呆然と見ながらダクネスに返答する。
「……もしかしたら、アクアもカズマのことが好きだったのかもしれませんね…悪い事をしてしまったのかもしれません」
めぐみんが俺の隣に並び、そんな事を呟く。
うーん、だがあのアクアだぞ?そんなことがあるか?
「俺としてはそうは思えないんだけどな……」
「乙女心の分からないカズマには到底理解できませんよ。……アクアですが、夜遅いですし、三人で探しに行きましょうか」
ちょっとむっとしたが、その通りといえばその通りなので黙っておく。
「うむ、めぐみんは一応カズマと行動しろ。私は私で探してみる」
ダクネスはそのまま走って行ってしまう。
「なあ、めぐみん。アクアは何処にいると思う?」
全く予想もつかなかったのでめぐみんにそのまま聞いてみる。
めぐみんは俺の質問に首を捻りながら、
「可能性があるのは酒場、ウィズの店、教会、クリスのところ、天界……と言ったところでしょうか。外に出て行ったのは確かみたいですし……」
はぁ……今から行くには手間ばかりかかるな……
玄関の扉を開け庭の方に行き、ちらりと俺の部屋のあるほうを見ると……
「……ぐすっ……ねえ、ゼル帝……私はどうしたらいいと思う?……ぐすっ……こんなのってあんまりだと思わないかしら……」
アクアがゼル帝の小屋の前にしゃがみこみ何か呟いている。
アクアに近づこうとしてめぐみんに止められる。
「今は放っておいてあげてください。場所が分かったんです、大丈夫ですよ」
めぐみんは優しい目でアクアを見ながら俺に告げてくる。
「だけどなぁ……」
「今カズマや私が声をかけても更に泣かせて、それこそどっかに行ってしまいますよ?」
渋る俺に諭すようにいうめぐみん。
「たぶん帰ってきたダクネス辺りが慰めてくれるでしょうから、どうしようもない私達は屋敷の中に戻りましょう」
それだけ言うと、めぐみんはぐいぐいと俺の手を引き、屋敷の中に引っ張られた。
仕方が無いのでウィズの店に出す商品案を居間で考えていた。
めぐみんと居間で談笑しながら図案を描いていると、ダクネスがアクアを連れて帰ってきた。
アクアは目を赤くはしていたものの、すっきりとした表情をして居間に入ってきた。
「さっきは突然出て行ってごめんね!で、結婚するって事は式とかするのよね?」
「そうだな。で二人で話した結果、司祭はアクアに任せようかと思ってな」
俺の言葉に胸を張るアクア。
「当然ね!任せて頂戴!面白おかしくしてあげるわ!」
何をするつもりなんだろうか。
ダクネスとめぐみんは苦笑いしている。
「それでですね、ダクネスいいですか?」
「うむ、なんだ」
「式の後のパーティーをダクネスの実家の庭で出来ないかと思いまして」
めぐみんの提案に大きく頷くダクネス。
「構わないぞ。そういうことに使ってもらうなら大歓迎だ。それで式は何時頃にするつもりなんだ?」
「大体冬頃で、そうだな……今から一月後ぐらいかな……そうすれば呼ぶ人全員に声も掛けられるし、会場設営や流れもしっかり予定を立てられるだろうし」
俺の言葉に全員が頷く。
「そうですね。まずは明日両親に挨拶に行きましょうか。ダクネスにはエリス教の教会の予約をお願いします。開いているうちで一ヶ月後前後の日で、通ればそれに合わせて準備しましょう」
「ちょっと、なんでアクシズ教の教会じゃないのよー!」
頷くダクネスとめぐみんを揺さぶるアクア。
「俺達はアクシズ教徒じゃないしな。それにアクシズ教の教会でやると大半の人が来なくなりそうだ。エリス教の教会ならその点安心だし、ダクネスなら教会によく行っているから予約もしやすいって踏んだからだろ」
さらっと俺がアクアに告げると、アクアはめぐみんを開放し、キッとこっちを睨んできた。
「カズマ、めぐみん、アクシズ教に入信するつもりはないかしら!それなら直に教会を予約できるわよ!」
「「遠慮します」」
めぐみんと俺はハモりながらアクアの提案を断る。
即答した俺らの言葉を聞きアクアが涙目になる。
こいつは懲りないな、先日それなりに酷い目に遭っただろうに。
「そろそろめぐみんは寝たほうがいいんじゃないか?ポーションは風邪は治すが体力までは回復させてはくれないはずだ。無茶をするとまた引くぞ?」
ダクネスはめぐみんに対して気を使っているのか声をかける。
「そうですね。早くお風呂に入って寝てしまうことにします」
めぐみんは小走りで居間を出て行った。
「カズマ、めぐみんはあれで結構無茶を平気でするからな。ちゃんと支えてやるんだぞ?」
「俺一人で本気のめぐみんは止められないって。ダクネスやアクア、これからも宜しく頼むな」
俺がダクネスとアクアに改めてそう告げるとアクアに驚いた顔をされた。
え、何?そんなに意外?
隣ではダクネスがニヤニヤしている。
「あのカズマさんが素直にこんなこと告げてくるなんて!何かおかしな物でも食べたのかしら!?」
「アクア、こいつはめぐみんのおかげで変わったんだ。愛とか何とか……ふふっ……ふふふふっ……!」
「前言撤回して酷い目に遭わせてやろうか、お前ら!」
「あらカズマさん。娘とこちらにいらっしゃるなんて珍しいですね。どうぞお入り下さいな」
「あ、はい。お邪魔します」
翌日、俺とめぐみんはめぐみんの両親に挨拶に、アクセルにある実家に来ていた。
家の中からゆいゆいさんが出てきて中に案内される。
「我が父ひょいざぶろーはいないのですか?」
めぐみんがきょろきょろと家の中を見回しながらゆいゆいさんに聞く。
「ええ、仕事に出ていますから」
そう言いながら三人分お茶を用意し、居間の机に座るゆいゆいさん。
俺達も向かい合って座り本題に入る。
「えっとですね、ゆいゆいさん。話というのはですね、めぐみんと結婚させていただきたいということなのですが……」
「娘と結婚なさるんですか!?ええ、ええ!反対なんてしませんから幸せにしてあげてくださいね!ああ、夫には私のほうから説明しておきますので!」
開口一発目で承諾されてしまった。
予想はしていたもののちょっと拍子抜けだ。
それはめぐみんも思っているようで、微妙な表情をしている。
「それで式を一ヵ月後あたりに予定しているんですが、大丈夫でしょうか?」
「全く問題はありませんよ。喜んで参加させて頂きますね」
お茶を啜りながら告げてくるゆいゆいさん。
こちらの話したい内容はあらかた終わったが……
「ところでカズマさん……今の資産はどれほどなんでしょうか?噂では魔王討伐のために散財したと聞いているのですが……」
そうだった、この人はこういう人だった!
「我が母ゆいゆい。そういう質問は止めて頂こうか」
半眼で睨むめぐみんを他所に、こちらをちらちらみてくるゆいゆいさん。
「カズマ、言う必要はありませんからね」
「別に隠す必要もないだろ……今は大体四百億ぐらいは……」
俺がおずおずと話すと
「よ……四百億!?……いえ、急に大声を出してすみませんでした。カズマさん、責任もって娘の事を見てやって下さいね」
念を押すように重ねてゆいゆいさんが言う。
「分かっています」
安心させる様に返事をすると、
「あの、差し出がましいですが少しお願いをしてもよろしいでしょうか」
ゆいゆいさんがおずおずといった様子で口を開く。
「お恥ずかしい話なのですが、収入が少ないものでして……こめっこのことも考えると毎月生活費を五十万ほど入れてもらえると助かるのですが……」
「俺は別に構いませんが……」
五十万ならば普段のウィズの店に卸す商品の金額だけで十分有り余っているから、出しても問題はないのだが……
隣でただでさえ紅い瞳をこれ以上無いくらい紅く染めているこの娘はどうしようか。
ゆいゆいさんもその様子に気付いたのか表情を引きつらせる。
「な、なあめぐみん。なんでそんなに瞳を輝かせているんだ……?少し怖いぞ?」
「娘の夫に金をせびる両親を情けなく、怒りを持たないとでも思いますか?……そうです。こめっこを家で預かりましょう。面倒は全部見ます。それで仕送りなども要りませんよね?」
有無を言わせない様に言うめぐみんに気圧されてしまっているのか、何も言わないゆいゆいさん。
うーん……一応お世話にはなっているしなぁ……
でもめぐみんの言い分も分からないわけではない。
自分が売られているような気がして、気分の良いものでもないだろう。
「じゃあこうしましょう。今回のご祝儀に返すものを、失礼ですがそのままお金で返すという形を取らせてもらうというのはどうでしょう?それなりの額を包ませて頂きたいと思っていますが……」
妥協案として提案するとめぐみんは渋々頷いた。
それを見てゆいゆいさんが顔を輝かせていた。
その後少し談笑してからお暇させてもらった。
……なんか思った挨拶と違った、分かりきってはいたけど。
「カズマ、すみません。家の母が……」
申し訳無さそうに頭を下げてくるめぐみん。
「別にいいって。むしろ籍勝手に入れちゃってるのに、大反対とかされたらどうしようかとひやひやしてたから」
「それならそれで勝手に式をやるだけではありませんか」
「そういうものか?」
「私達は冒険者ですよ?それにもう大人です。親が子供の恋路にとやかく言うものではありませんよ」
呆れたように言うめぐみん。
そういえば前にも似たような事を言っていたな。
「それで今日はこの後どうする?」
歩きながらめぐみんに聞いてみる。
「ギルドの皆に報告しに行きましょうか。その後ダクネスが予約しに行った教会の下見をしましょう」
俺達はギルドに入り酒場に顔を出す。
テイラーのパーティーが手を上げて挨拶してきたので近づいていく。
テイラーとキースはネロイドのシャワシャワを含んだ何かを飲んでいて、ダストとリーンはちまちまツマミを口に運んでいた。
「おっ!英雄様と爆裂狂の娘じゃないか。報酬でも貰いに来たのか?アクアの姉ちゃんとお嬢は貰っていたぜ」
「もう出てたのか。だが今日は違うぞ」
それにその報酬は受け取るつもりはない。
殆ど自業自得だから、全てギルドに還元するつもりだ。
これはめぐみんと話し合った結果である。
「んー……じゃあ何しに来たの?二人ともクエスト行くって服装でもないし…」
「実は結婚することになってな」
俺がさらりと言うとリーンとダストはポカンとし、キースとテイラーはむせていた。
「ゴホッ、ゲホッ、今、何て言ったんだ?結婚?カズマがか?誰とだ?」
キースがむせながらも聞いてくる。
「めぐみんとだよ。式を――」
「オイコラ!カズマ、お前が結婚だと!?しかも相手はエロい身体をしたお嬢の方じゃなく、こんな貧乳で顔が美少女っぽいだけの頭のおかしい娘だと!?」
「おい、誰が貧乳で、誰が頭がおかしい娘だ。売られた喧嘩は買うぞ。相手してやるから街の外に出ろ」
ダストの言葉に突っ掛かるめぐみん。
この騒ぎでギルド中が静かに成り行きを見守っている。
ダストはめぐみんを無視して、俺の襟首を掴んで聞いてくる。
「カズマ!何でだ!?答えやがれ!」
「うるさいぞ。それに答える義理もないだろ」
「いいや、ある。俺とお前の仲だろ。いつもエロい事しか考えてない様なお前が、これはおかしいだろ!」
ダストは今までにない剣幕で言い放つ。
「おい、その言い分だと私には魅力がないと言いたいように思えるが、二度も喧嘩売っておいて無視とはいい度胸だな」
めぐみんはダストの服を引っ張り、外へ連れ出そうとはしているが、めぐみんを軽くなだめてダストの拘束も外す。
「……ダスト、お前がどう思っているかはよーく分かった。後で覚えとけ。で、理由だが惚気になるから言いたくないだけなんだが」
その一言でリーン達三人が食いついてくる。
「へー!カズマの惚気聞いてみたいかも!」
「あのカズマのそういう話は聞いてみたいな」
「まさかお前がそういう風になるとは思わなかったが興味はある」
こういうのは嫌なんだが……めぐみんも期待してるしなぁ……
しょうがねえなぁ……
「……めぐみんが好きだからめぐみんと結婚する。それ以上でもそれ以下でもない」
俺が言い切ると同時に静寂が広がる。
………。
「うわあ!凄い、本当にこういう事言っちゃう人いるんだ!」
リーンの言葉が刺さる。
……こういう冷やかしが嫌なんだよ。
リーンに続いて口を開こうとしている三人より早く口を開く。
「……ここで冷やかすつもりなら、めぐみんもダストにご立腹みたいだし、三人まとめて今日のめぐみんの爆裂魔法の的にするぞ」
顔を青くしながら開きかけた口を紡ぐ男三人。
「さてと、本題だが一ヶ月後辺りに式を開くつもりなんだが、結婚式や披露宴に参加したい奴はいるかなと思って聞きに来たんだが」
大声で話す俺の言葉に応じて、ガヤガヤと騒ぎ出す冒険者達。
その反応からして、殆どの人が参加するつもりなのだろう。
基本祭りとか騒ぎとかが好きな連中だからな。
「詳しい日程とか内容はまだ未定だが、式はエリス教の教会で、司祭がアクア。披露宴はダスティネス家の庭を借りて行うつもりだ」
「アクアさんが司祭やったら、とんでもないことになりそうだけど……」
リーンが苦笑いしながら見てくる。
「私がそうして欲しかったのでお願いしたんですよ」
めぐみんがリーンに説明している。
「ま、というわけで人数とか確認したい。紙置いていくから参加したい人は名前を書いていってくれ。俺達はこれから下見に行くから」
ギルド職員に報酬の受け取りを断り、ギルドを出て教会に着く。
教会の中に入るとダクネスが祈りを捧げていた。
「ダクネス、予約は出来たか?」
「ん?ああ、カズマとめぐみんか。多少渋られたが出来たぞ。二十八日後に式が執り行われるようにしておいた」
ダクネスはこちらを振り向きながら、
「めぐみん、ウエディングドレスはどうするつもりなんだ?」
「えっと……借り……れませんね…どうしましょう」
ダクネスから借りようと思ったが、前にサイズがダクネスの子供の頃と同じ位だと分かった時の事を思い出してか、困った表情を浮かべるめぐみん。
「前に着物を作ってくれた親父さんに頼めば、専用のを作ってもらえるけど」
俺が提案するとめぐみんが目を輝かせた。
「カズマ、今回は私がどういうのがいいか一から決めます。式まで楽しみに待つ形でお願いします」
「おう。じゃあ紹介と、お金だけはこっちから出すからな」
めぐみんは頷き、こちらの手を握ってくる。
「……私がいる事を忘れないで欲しいのだが」
寂しそうにしているダクネス。
「すまん、ダクネス。予約助かった」
「ところで何で渋られたんですか?」
「アクアが司祭をするというのが一番の理由だが……まあ私達は色々やってしまっているからな。そういう関係だと思うぞ?」
めぐみんの問いにぼかして答えるダクネス。
一瞬疲れた顔をしたから、多分説得に時間がかかったのだろう。
ダクネスを助けるときに無茶しまくったからな……
めぐみんも察した様で話題を変える。
「そうなんですね。これから予定がなければダクネスも一緒に爆裂散歩に行きませんか?」
「いや、一旦実家に帰って話をするつもりでな。めぐみんには悪いがまた今度付き合わせて貰う。また後でな」
ダクネスは立ち上がり教会から出て行く。
「それでは、私達も行きましょうか」
めぐみんが楽しそうに俺の腕を引いてきた。
それから毎日式に向けての準備を行って、あっという間に時間が過ぎていく。
式に参加できる人数は限られているから選別しなければいけなかったり、引き出物をどうするか考えたり、雪でも大丈夫なように庭に作る会場の設計をしてみたりと、俺が考えていたよりも次々やらなければいけない事が上がった。
合間を縫って商品製作や、ウィズの店に行って商品を卸したりもしていた。
行った際に式に参加するかどうか声をかけたが、バニルもウィズも断った。
悪魔とリッチーだから昼間は教会にはあまり近づきたくないとか。
二人とも顔は知られているから問題は無さそうだが、そう言うのでは仕方がない。
今は式当日。
色々思い返しているとめぐみんが手を軽く引いて、
「いよいよですね。それでは身支度しますのでここまでです」
めぐみんは軽くほほえみ、教会の入り口にある控え室に入っていく。
それに軽く返事をして俺も控え室に入り、身支度をしていく。
まさか、こんなに早く結婚することになるとはなぁ……
別に嫌というわけでは無い。
むしろ狂喜乱舞したいぐらいだ。
ニートなんてやっていた、長く恋愛のれの字も無い様な生活をしていた自分が、異世界に転生した上でこうなった。
現実的ではないというか、夢の様だというか。
達観しているように振舞えてるのはそのせいだろう。
そんな風に考えながら白いタキシードを身に纏い、鏡で確認する。
……おかしくはない。
おかしくはないんだが、似合ってはいないな……
何というか、コスプレに見えてしまう。
まあいいんだけど、どうせ儀式用だし。
少し落ち込みながらも扉の向こうの声を聞く。
冒険者が参列者の大半を占めるからか、雑談が聞こえてくる。
「えーこれから式を始めたいと思いますのでお静かにお願いします」
しばらくしてからアクアの力の抜けるような声が掛けられて、式場内が静まり返るのが分かる。
俺は控え室から出ると、純白のドレスを身に纏っためぐみんが向かいの控え室からひょいざぶろーさんに手を引かれて出てきたのが見えた。
こちらをみてふわりと笑うめぐみんに思わず見惚れてしまった。
普段化粧などしなくても綺麗な肌のめぐみんだが、今日は一段と艶やかだった。
近づいてくるめぐみんのドレスを見ると、首まで隠して露出が少ないが、胸元が少しだけ、背中は広く開いているようだ。
ドレスはめぐみんに似合っていて、一つの美として完成されているようだった。
となりに来ためぐみんの手をひょいざぶろーさんから受け取ろうとして気付いた。
ひょいざぶろーさん、既に泣いてるみたいだけど……
「気にしないであげてください」
小声でめぐみんが言って俺に手を取らせるように促す。
俺は手を受け取りめぐみんと腕を組んでヴァージンロードを共に歩く。
前のほうにダクネスやゆいゆいさん、ダクネスの親父さん、ゆんゆんがいるのが目に入る。
めぐみんは満足そうに微笑みながら隣で歩く。
厳かな音楽が流れる中、祭壇の前に辿り着き、司祭をやっているアクアの前に立つ。
そのアクアは神妙な顔をして口を開いた。
「汝ー、めぐみんは。このエロい事しか考えてないようなニートと結婚し、神である私の定めじゃないものに従って、仲睦まじくも勝手に夫婦になろうとしています。あなたは、その健やかな時も、病める時も、喜びの時も、悲しみの時も、富める時も、貧しき時も、このニートを愛し、敬い、慰め、助け、その命の限り堅く節操を守る事を約束しますか?難しいでしょう?止めておいたほうがめぐみんのためだと思うんですけど……」
アクアの発言で教会内にクスクス笑いが生じる。
……アクア、後で覚えていろよ
「いえ、誓いますよ?簡単です」
めぐみんは自信たっぷりにアクアに返す。
その様子をみて仕方なしなしと言った様子で続けるアクア。
「では汝ー、カズマは。貧乳で悩んでいるめぐみんと結婚し、神である私の気持ちなんて露知らずといった感じで、自分の欲望に従って勝手に夫婦になろうとしています。いっそこの清くも麗しい私と結ばれてみるのはどうでしょう?カズマが節操を守れるとも思えないし、最近は変なものを口にしたんじゃないかと思えるぐらいだもの。めぐみんと同じ内容を約束しても信用できないわよねー」
もはや役割を演じるのを止めたのか途中から普段の口調に戻っている。
それに応じて背後の笑い声は爆笑になっている。
というかアクア、俺達の後ろの冒険者たちに声掛けてないか?
「おい、いつから私が貧乳で悩んでいることになった。喧嘩を売ってるつもりなら披露宴で相手してやる」
「……式ぐらい大目に見てやろうと思ったが、流石に範疇外だ。覚悟しろ」
めぐみんがアクアを睨み、俺がスティールの構えをすると、アクアが慌てて口を開く。
「悪かったから!私が悪かったから!とりあえず二人とも落ち着いて頂戴!?」
渋々俺が手を下げるとホッとした様に胸を撫で下ろすアクア。
「で、なんだっけ?……そうそう、めぐみんと同じ内容を堅く守る事を約束しますか?」
「誓います」
「では誓いの証として指輪を交換してください」
冷や汗をかきながらも元の調子に戻すアクア。
それに従い俺が指輪を取り出しめぐみんの左手の薬指にはめてやる。
魔力で調節して……と
はめた瞬間に驚いたように見てくるめぐみん。
「これ、魔法威力を増幅させる指輪じゃないですか……!どこで……?」
「秘密だ」
めぐみんも俺の薬指に指輪をはめる。
「さて、では誓いのキス……なんていうのはもう二人でいちゃいちゃしてるときに存分にやってるでしょうし、もういいわよね?はい、二人とも神である私の前で夫婦になりました!さ、早く披露宴に行きましょう!ほら早く!今日はいっぱい飲むわよ!」
俺が誓いのキスをするべくめぐみんのヴェールを上げた所で、アクアが勝手に宣言した。
アクアは固まる俺達の脇を通り抜けて、祭壇から降りて式を強制終了させて、教会のドアを開け放ち外に出て行く。
大半の冒険者達も笑い合いながら、それに続いて外に出る。
教会内に残ったのは、めぐみんの両親と、苦笑いしているダクネスとその親父さん、そしてゆんゆんぐらいだった。
俺は呆然とドアの向こうを見ながら、
「……アクアの奴は後でシバくとして、めぐみん、これで本当に良かったか?」
「……少し後悔はしていますが、まあ、私達らしいではありませんか。忘れられないとは思いますよ?」
同じように外を見つめながらめぐみんは呟く。
「とりあえず誓いのキスはしとくか」
「……そうですね」
向かい合い軽く口付けを交わす。
「カズマ、めぐみん、早く来てー!主役がいないと始められないのよー!いつまでそんなシケた場所にいるのよー!来てー!ほら早く来てー!」
色々式を崩壊させた奴が外で騒いでいる。
……こんな時も邪魔するんだなあいつは。
口を離すとめぐみんが微妙な表情で囁く。
「アクアのことは、今日ぐらい大目に見てあげましょうか」
「めぐみんがそれでいいなら、まあ止めないが……行こうか」
めぐみんと共に祭壇を降り、残っていたダクネス達と談笑しながら披露宴会場であるダスティネス家に向かった。
「楽しかったですね。こう、祝われるのは嬉しいですよ」
ドレス姿のままベッドに横になるめぐみん。
その頬は赤く染まっている。
夜、俺とめぐみんはダクネスの勧めで、予約していたらしい宿に来ていた。
なんでも結婚初夜ぐらい二人きりでいたらいいとのこと。
「うー、まあ、そうかもしれないが、ちょっと飲みすぎた。少し気持ち悪い」
俺は近くにあった椅子に座って、机に突っ伏す。
ガンガン酒を飲ませてくるので、最後のほうは断ったりしていた。
それでも普段の量の倍は飲んでいるだろう。
「私も、飲みすぎたんでしょうか、くらくらします。……あ、そういえばこのドレスの感想を聞いていませんでしたね」
めぐみんは軽く上体を起こしながら見つめてくる。
俺もめぐみんをじっくり見ながら返す。
「めぐみんによく似合ってる。ここまでだとは正直思わなかった」
「そうでしょう!頑張った甲斐があるというものです。……汚したくないので脱ぎますか」
めぐみんがふらつきながら立ち上がり、クローゼットの前に移動する。
「脱がすの手伝おうか?」
「はい、お願いします。背中側が届かないので」
俺はめぐみんの背後に立ちドレスを脱がしていく。
「披露宴は騒がしかったな……主役云々関係なかったように感じたけど」
「皆騒ぎたかったんですよ、冬ですし。雪もちらついていましたからね。寒くないように設計したのは当たりでしたね」
アクアやダクネスが盛り上げようとしたのか、宴会芸や、花火まで用意して色々やっていた。
料理も屋敷の人が腕を振るって作ってくれた。
皆、食べて飲んでドンチャン騒ぎしており、大抵自分勝手に絡んできた。
まあ、半分以上がアクアの宴会芸に見入ってしまっていたりで、何のための披露宴か、みたいにはなっていたが。
「さてと、全て外したぞ……どうしためぐみん?」
「……いえ、酔っているから変なものでも見えたのでしょう」
めぐみんは軽くクローゼットを開けたかと思うと、直に閉めて固まっている。
気になり俺がクローゼットを開けると……
そこには俺でもちょっと引くようなレベルの、エロい服……いや布や紐が何着か掛かっていた。
「「………」」
ハンガーを一つだけ取り出し、無言でクローゼットを閉じる。
「俺達は何も見ていない、そうだな?あとでダクネスに報復しようか」
「ええ、何も見ていません。とりあえず紅魔族ローブ着ますね」
めぐみんはドレスをハンガーに掛け、普段の黒いローブを身に纏う。
「ちょっと気になるので引き出しとかも調べましょうか」
お互いふらふらしながらも部屋の中を調べていく。
「「……………」」
数分間で色々なものが見つかった。
粘性が高そうな液体が入ったビンに、スライムみたいなものがビンに詰められているもの、手錠に猿轡、ロープや鞭まで出てきた。
「カズマ、これは夢ではありませんよね?酔って幻覚が見えるようになったとか、そういうわけでもありませんよね?」
引きつった笑みを浮かべるめぐみん。
「俺もそうなってないなら、確かに現実だぞ……」
机一面に広げられたモノを見てため息を吐く。
ダクネスは今頃想像してハアハアしているに違いない。
酒は理性を無くさせるというが、こういうのは流石に引く。
あんな変態ではないからこんなものを使ってみたいなどとは思わない。
「……寝ましょうか」
めぐみんが俺の腕を掴みながらベッドに入ろうとする。
ふと、思いつきめぐみんをそのまま押し倒す。
覆いかぶさり軽くキスをする。
「カズマ……?どうしたのですか?」
口を離すと驚いたような困ったような表情を浮かべるめぐみん。
「いや、シようかなと」
「あれらに感化されたんですか!?嫌です!調子も悪いですし!」
めぐみんは俺を押しのけようとしながら逃げようとする。
俺はその肩を押さえて口を開く。
「いや、感化されたわけでもなくて……たまには繋がるのを目的でやってみるのはどうかと思ったんだが……その、初夜だし……愛を確かめるというか何というか……」
しどろもどろになりながら伝えると、めぐみんは逃げようとするのを止めて上目遣いで見てくる。
「……それなら、いいですけど……まずはその前に水を―」
「『クリエイト・ウォーター』!ほら」
めぐみんを座らせて、近くにあったカップに水を注いで渡した。
「ありがとうございます。……随分と乗り気ですね」
水を口に含みながらジト目で見てくる。
「とりあえずそれ飲んだら、布団の中入ろうか。寒いし」
もそもそと俺がベッドに入ると、めぐみんも諦めたような表情で入ってきた。
めぐみんがそのまま抱きついて、
「暖かいですね……そういえば紅魔の里でもこうしてましたよね」
「あの時はドキドキさせるようなことばっかりしてくれたよな。色々と」
少し皮肉って言うと、
「気付かないカズマが悪かったんですよ」
おかしそうに微笑みながらこちらを見てくるめぐみん。
「俺のせいかよ。ボンッとなりそうになって死にかけてる感じになってた癖によく言うよ」
「あれも元を正せばカズマのせいでしょう?ローブを駄目にしたのもカズマが気絶したからですし」
ぐ、そういえばそうだった……
言い返せなくなってきたので、先に進もうと手をめぐみんの胸に……
やろうとしてめぐみんに手を取られてしまった。
「後悔はないですし、今がいい関係だと思います。子供の話とか前は最後まで出来ませんでしたし、そういう話はしたいですから……」
めぐみんは頬を紅く染めながら告げてくる。
そして俺の手を掴んだままその両手を口元に近づけ、
「それで、愛を確かめ合うというなら、その、キスを多めにして欲しいです。カズマは途中からあんまりしなくなりますから」
「……お前さ、その可愛らしい仕草は反則だろ」
めぐみんが顔を赤くし目を俺から逸らす。
「……どうしてこの男は普段可愛いなんて言わないのに、たまにサラリと言うのでしょうか」
モジモジしながら言われ、今更恥ずかしくなってきた。
え、ええと。
「触っても、いいか?」
「もう一度、私のことどう思っているか、言ってくれたらいいですよ?」
上目遣いで期待したように見てくる。
「あの、期待されると恥ずかしいんですが、本当に言わなきゃダメですか?」
「ダメですよ。私はカズマのこと愛してますよ。それに可愛いと思います」
めぐみんの言葉で顔面が熱くなるのを感じる。
普段なかなかこういった事を言い合わないからか、耐性が全くない。
「お、俺も愛してるぞ。たまに普通の女性みたいに滅茶苦茶可愛いことするし」
「おい、それだと普段は普通の女性じゃなく、可愛いことしていないみたいじゃないか」
爛々と瞳を紅く光らせながら睨みつけてくる。
しまった、またやらかした!
「す、すまん!言葉のアヤだ!普段も可愛いと思ってるぞ!うん!」
慌てて付け加えた俺を疑った視線で見てくるめぐみん。
「……本当ですか?例えば?」
「……えっと。あれ、普段ってどういう時だ……?わ、笑ったときとか?」
勢いで適当なことを言ってしまい、自分でよく分からなくなってきていた。
「そうですかー。相変わらず適当ですね」
口元だけ笑っていて、目は変わらず光っている。
「その笑い方は怖いって!適当に言ってしまったことは謝るから!とりあえずその笑みをしまってくれさい!」
「ふふ、この男は全く。……いいですよ触っても。カズマがどう思っているかは十分に聞けましたから」
謝るとめぐみんの瞳の輝きが収まり、めぐみんは嬉しそうな表情で俺の手を自分の胸に導く。
「雰囲気をことごとく壊す発言をするのにはもう慣れましたし。それに今回の目的は愛を確かめうことでしょう?この方が話しやすいですしね」
「そ、そうか。それじゃ、触るぞ」
軽く揉むとくすぐったそうに吐息をこぼすめぐみん。
前より柔らかい部分が広いような……
「なあ、めぐみん。少し胸大きくなってないか?」
「ん……そうですか?でも確かに少し張ってる気はするんですよね」
めぐみんはしげしげと自分の胸を見ている。
そのまましばらく揉んでいると、
「そろそろ、シましょうか?多分、今ぐらいで十分ですから……」
「分かった。まだ無理そうだったら言えよ?」
俺の言葉に微笑み、少し呼吸を荒くした様子で、めぐみんはローブを脱ぎ白い下着姿になる。
俺もできるように服を脱ぎ捨てていく。
その傍らでめぐみんは自分の下着の中に手を突っ込みもぞもぞしている。
「……んっ。多分大丈夫です。カズマはいけますか?」
「問題ない、少し辛いぐらいだから」
「そうですか、ではお願いします……」
白いパンツをめぐみんから脱がし、挿れる。
「ふう……あっ!」
最奥まですんなり入り、温かさに包まれる。
これほど余裕を持ってヤるのは初めてかもしれない。
めぐみんに口付けると、それと同時に中もきゅうと締まる。
「可愛いよな……本当に」
「い、いきなりなんですか!?確かに愛を確かめ合うって話でしたけど、脈絡なさすぎるでしょう!?」
突然めぐみんが顔を覆って赤くなる。
えっと、俺何か言ったっけ……もしかして!
「え……!あ……!?もしかして口から漏れてたか!?」
「漏れてたって、本心ですか!?嬉しいですけど!」
お互い赤くなりながら横向きで抱き付き合って落ち着こうとして……
できるわけもあるか!
さっきからめぐみんはぎゅうぎゅう中を締め付けてきているし。
めぐみんの柔らかい感触を肌全体で感じるし。
めぐみんは潤んだ瞳でちらちら手の隙間からみてくるし。
可愛さ倍増させやがって、我慢できるもんもできなくなるわ!
「少し動いてもいいか?」
「んっ……ダメですよ。絶対カズマは止まらなくなりますから」
「だったら締め付けるの弱めてくれ。結構ヤバイ」
「ふう……意図してやっているわけでは…いえ、カズマが大きくなっているからですよ、きっと!」
「だとしたらやっぱりめぐみんのせいだろ!」
「言いがかりです!理由を言ってください!」
「さっきから可愛い行動ばっか取るからだコノヤロウ!自覚ないのか!?」
言った途端にしおらしくなりぎゅっとこちらにしがみ付いてくる。
「……今日はお互い酔っているせいか、なんか変です。そういう事でいいではありませんか……」
「お、おう。それでなんだが――」
続いて口を開こうとした瞬間に唇を塞がられる。
ちろちろと口内を撫で回すようなキス。
それと同時に中の締りが増す。
ひとしきりキスをし終えたのか顔を離すめぐみん。
その瞳は潤んでおり、頬も赤い。
と思ったら、そのままめぐみんに馬乗りになられた。
つまり騎乗位なわけだが……
「め、めぐみん、なんだ、するのが目的じゃないんだよな?」
「気が変わりました」
めぐみんがそう言って、俺の上で腰を振り出したかと思ったら、
突然中の締め付けが増し、遅れてこちらに倒れこんでくるめぐみん。
口元を押さえて荒い息を吐いているが……
え、えっと。
「もしかして……我慢できなかった、とか?」
俺の一言にビクリと身体を震わせるめぐみん。
「そ、そんなことはありませんよ!カズマじゃないんですからあっ!?ふあああっ~!?」
試しに軽く動いてやるとガクガクとその身体を痙攣させる。
「ふうっ……ふうぅっ……カズマは動いてはダメと、言ったではありませんか」
「気が変わったみたいだしな。それに従わなくていいだろ?」
「それとこれとはうむっ!?」
俺が話し始めているめぐみんの口をキスで塞いでやる。
すぐにめぐみんが離れるように上体を起こしたが、その表情はトロンとしている。
「き、今日はやけに積極的ですね!?わたあううぅ……!?ふうぅ……っあ!……最後まで言わせてくださいよ……」
いいところだったが、渋々動きを止める。
「そんな不満そうに見ないでください。……私もスイッチが入ってしまっているみたいです。それでまず私からさせてください。じゃないとずっとやられっぱなしですから」
「わかった」
そのまま抱きつくようにしたままめぐみんが動いてくる。
ぐ……流石にそろそろ限界が……
その様子を察したのか、
「いいですよ……ふうっ……私も、そろそろ、ですから……」
そう呟き口付けを交わす。
そのまま中が一段と強くぎゅっとしまる。
それによって堰が切れたように果てる。
「ふうっ………!あっ!ううううぅっ!」
「ぐっ……!」
めぐみんは俺の上に倒れこんできて息を整え始めた。
俺はその状態から上下を入れ替えるように力をかける。
攻守交替だ。
驚いたのかトロンとした力の無い瞳のまま慌てるめぐみん。
「……え…?ちょっ……、ちょっと待ってください、少しやすうぁ……!」
「ごめん、止まらない」
少しめぐみんを休ませたいと思ったが、動きたい衝動に負けて激しく動く。
めぐみんは口元を押さえて声を抑えようとしているものの
「ふうっ!んううう!あっ!ひうううぅ!んむっ!」
高い嬌声が漏れている。
数回突くたびにぎゅうと締まり再び出そうになる。
でもこれは……
「……めぐみん、何回イった?」
少し動くのを止めて訊ねる。
だって少し気になるし。
「っ~~……!?はあっ……なんで……そんなこと聞くんですか?ふうう…………回です」
「え、何回って?」
肝心の回数が聞こえなかったので聞き返すと、
「七回ですよ!バカっ!」
「グハッ!?」
思い切り頬を張り倒されながら答えられた。
い、痛い……
自業自得だけれども。
めぐみんを見ると両手で顔を覆っており、耳は赤くなっている。
「この男は!この男はっ!どうしてデリカシーってモノがないんですか!?分かってましたけれど!私はそこも含めて受け入れるとか言ってしまいましたけど!」
めぐみんは混乱しているのか何やら興奮して矢継ぎ早に叫んでいる。
「すいませんでした……」
俺の言動にご立腹そうなので謝る。
めぐみんはジト目でこちらを見てきた後、
「……これからキスをして、変な事を聞かなければ許してあげます」
と継げながら軽くキスをしてきた。
その後、夜が明けるぐらいまで続け、結局屋敷に帰ったのは翌日の昼過ぎくらいになり、ダクネスとアクアを誤魔化すのに一苦労した。
第九話を投稿させて頂きました、双碧と言う者です。何で書き始めたんだっけ、という思考が、たまに頭を過ぎりながらも書き上げた内容でしたが、お楽しみいただけたでしょうか?ここまでご覧になられた皆様や、お気に入りに登録してくださった皆様、本当にありがとうございます!一応本編もまだ終わりではありませんので!まだ少し内容を予定していますので、もしよろしければ、もう少しだけ、コタツの如く、優しく温かく見守って頂ければ幸いです!