後半にめぐみん視点あります。
「なあ、バニル。この世界にはインキュバスとかはいないのか?」
俺は試作品をバニルに手渡し、品質を確認してもらっている。
バニルは新しく作ったフィギュアを始めとした娯楽品などを手にとって眺めて、ふうむ、などと言いながら。
「いることにはいるが、小僧。貴様が思っているようなものではないぞ?そもそも悪魔に性別は無いと知っておろう?」
「いやまあ、サキュバスがいるぐらいだから、の軽いノリだったから気にしなくていいんだけど」
期待していなかったわけでは無いが、まあ俺に都合よく出来てるわけでもないしな。
俺は少し気落ちしながら、席を立ち店の中を見ようとし。
「だが、サキュバスでも貴様が考えていることぐらいなら実行可能だぞ」
「その話詳しく」
「何、サキュバスのスキルは対象に好きな夢を見せるものである。それなりに実力があるサキュバスならば、その程度のこと可能である」
「つまり……」
いや、別にめぐみんとの夜枷に飽きたとかそういう事ではないのだが。
俺としてはとても満足している。
むしろ、結構献身的で驚いているぐらいなのだが。
そう、少しの好奇心というか。
バニルが手に持っていた試作品をテーブルに置き椅子に座る。
「おっと、貴様がいくら直接言った所で取り合ってはくれないであろう」
「……だよなぁ」
一瞬夢が膨らんだ気がしたが、よく考えればそうだ。
サキュバスからすれば、精気を吸えない上にばれる可能性もあり、非常に好ましくないことぐらい分かっている。
「………ふむ。むっつり小僧よ、貴様があの狂犬女神をなるべくサキュバス達から一時的に遠ざける、というなら我輩が直々に交渉してやってもかわまぬ」
………?
バニルはあまり乗り気では無さそうな口調で。
「疑問に思うのも仕方あるまい。ここ最近貴様らが遠出のみならずあまり戦闘にさえ出ないせいで、昼夜お構い無しにあの忌々しい女神が街の中うろちょろするもので我輩も辟易しておるのだ。とりわけサキュバス達には堪らないらしくてな、よく相談を受けるのだ。そして店舗の位置を引っ越すという話も上がってな」
「あー……まあ子供も生まれたからなぁ……」
紅魔の里から帰ってきてからというもの、殆どクエストを受けては来なかった。
来れなかったというのが正しいところだろう。
散歩がてら爆裂魔法を撃ちに行ったりぐらいならしたけれども。
正直ここまで育児に手がかかるなんて思いもしなかったわけで。
最近は離乳食を食べてくれるようになったから余裕も出てきたけれども。
めぐみんは気丈に振舞っているが、連日寝不足で昼間寝ていることもしばしば。
ダクネスもダクネスで領主としての仕事を請け負ったりして居なかったり、屋敷にいる間は育児の手伝いをしてくれ、めぐみんの睡眠時間を確保してくれて……。
何も特に出来ないアクアは俺が、ならクエスト一緒に行くかと誘ったら、カズマさんと二人でクエストには絶対行きたくない、と抜かし。
そういやあんまり見かけていないな……。
「貴様にも思い当たる節はあるようだな。我輩とて面倒ごとは御免なのである。出来ないことを契約させるつもりはない。さて小僧よ、どうする」
「請け負いたいのは山々なんだが、遠ざけると言ったって、具体的に何をすればいいんだ?正直あいつの行動なんて制御しきる自信ないんだが」
「鬼畜で通っている貴様ならば大体検討はついておるであろう?」
バニルは多少口元を笑ったように歪めながら、こちらを見てくるが……。
これ、やったら流石に酷い、よなぁ……。
「まあせいぜい悩むといい。我輩はいつでも大歓迎であるからな。それとこれらは全て入荷させてもらおう。それぞれこの程度の値段で如何か?」
バニルはフハハハと笑いながら話を打ち切り、鑑定額を示してきた。
紙面の額もかなりのものになっている。
「いいのか?」
「無論。いや、中々に技巧を凝らされていた品々であった。娯楽品とのこともありそれでも売れるであろう」
お金を受け取り店を去る俺を、バニルは笑いながら見送っていた。
そのまま俺が街の中を歩いているとぶらついているアクアを見かけた。
見た様子、お店を見て周って欲しいものを買っている感じか。
ちょっと興味が湧いて隠密を使用しアクアの後をつけることにした。
仮に何かをするにしても、情報収集は大事だしな。
春という事もあり、通りの賑わいも一入。
そう思って歩いていると、アクアが何人かの冒険者を捕まえてお喋りを始めた。
内容を聞くために盗聴のスキルを発動する。
『――でさー、ちょっと前に悪戯しかけたときも、カズマさん凄い表情と声で驚くのよ!ヒョエエエエエ!とか』
『アハハハ!魔王とタイマンはった英雄でもその程度で驚くのか』
アイツ………無駄に上手い声真似までしやがって。
アクアが何か手にひらひらしているものを持っているのが見えた。
ちょっと気になって千里眼を使用し……。
……おい。
何で俺の名義で買い物してんだよ。
というか、結構な額になってんじゃねーか。
一時でも良心を持った俺が間違ってた。
最近大きくやらかしたり調子にのったりしなかったから色々大目に見ていたが。
『あ、でもこれ聞かれたら、アクアさんやばいんじゃないの?』
『だいじょーぶよ!あんな臆病ニートなんて私にかかればちょちょいの……」
「アクア、ちょちょいの、なんだ?」
後をつけるのを止めて俺が無表情でそのまま近づいていくと、アクアは表情を引きつらせて笑う。
話を聞いていた冒険者達も気まずそうに目を逸らしているけれど。
「あ、あはは、違うの、そう!違うのよ?皆カズマさんが遠い存在みたいに思わないように、そう!イメージコントロールよ!」
「それをいうなら印象操作な」
イメージコントロールだと自分の思考を変化させる方法だ。
「で、ちょちょいの?」
「えと……その……」
「印象操作なんだよな?ちょちょいの、の後に何を続けるといい印象を持たれるんだろうな?」
俺が無表情のまま問い詰めると、どんどん顔から冷や汗を垂らすアクア。
そのまままごついているアクアを尻目に。
「………はぁ」
俺は踵を返してその場を立ち去る。
決めた。
実行しても構わないだろ。
「え……え?カズマさん?カズマさーん?」
困惑したアクアの声が背後から響いてきた。
ウィズの店の中に入ると、先客が来ていた。
困り顔のサキュバスが奥でバニルと話し合っている。
「そろそろ来る頃だと思っていたぞ、小僧」
バニルがこちらをちらりとも見ずに声をかけてくるあたり、見通されていたみたいだが。
「さっきの返答だけど、成功するか分からないから実行後で構わないか?」
「ふむ、こちらとしてもその方が良さそうであるな。店舗の位置はこっちでいいのだな?」
「はい…あの…」
不安そうに俺とバニルを交互に見つめるサキュバス。
「心配しないでください、何とかしますから」
俺が優しく彼女に話しかけると、少しホッとしたように息を吐き出す。
「一応貴様にも紹介しておこう。こちらが経営主である。そして、既に言ったが、この小僧があの女神の飼い主である。で、ここからが交渉なのであるが、こっちの小僧は仲間のアークウィザードに夢を見せたいというのだが、どうであろうか?」
バニルの発言に少々考え込むサキュバスだが。
「……わかりました。その条件で契約します」
「……本当に大丈夫なのか?一応夢を見させる相手は女性なんだけれど……」
俺が不安そうに聞き返すと、サキュバスはフフと微笑みながら。
「問題ありませんよ。詳しい内容などをアンケート形式で記入して頂ければ」
「とりあえずそれはこの小僧が計画を実行してからであるな」
バニルが俺を見ながらそう告げる。
「とりあえず、明日辺り実行する予定だけれど……一体期間としてはどれくらいあればいいんだ」
「およそ一週間であるな」
なら問題はなさそうだな。
「じゃあ、これ貰っていくよ。いくらだ?」
近くにあったテレポートのスクロールの巻物を手に取り、バニルに尋ねる。
「七万二千エリスである」
「相変わらず高いな……」
「使い方であるが使用前に登録地点を設定し、そこから半径一キロの範囲でしか効果は発動しない。一回限りの代物である上、開いた時点で発動してしまうというトンでも商品である」
ふむ、今の状況ならば問題は無いようだ。
俺は頷いてその金額を支払い。
「それじゃ、準備もあるしそろそろ帰るわ」
「まいどあり!」
ギルドなどに寄ったりし必要なものを買い揃え、下準備を終え屋敷に戻った。
「ただいまー」
「カズマか、おかえり。めぐみんが今寝てるから、静かにしてやってくれ」
ダクネスが玄関の音に反応しこちらに向かってき、居間のほうを見ながらそんなことを言う。
「そうか、わかった」
俺はその言葉に頷き、そのまま二階に行こうとして。
「あ、ダクネス少しいいか?」
「なんだ?」
「たまにはめぐみんをゆっくりさせてやりたいから、一日だけ育児任せきってもいいか?」
俺の言葉にダクネスは微笑みながら頷き。
「何時にするつもりなんだ?」
「まあ、四日後あたりだな」
まあダクネスだけだと色々と心配だからゆんゆんにももう頼んできたんだけれど。
俺の言葉に頷き、そのまま居間へと戻っていくダクネス。
俺も自室に戻り、明日のための仕掛けの製作に取り掛かる。
翌日。
隠密を使用し居間の近くに張り込んでいる。
テーブルの上には『開けるな』と張り紙をしたお洒落な小箱を用意してある。
中には昨日購入したテレポートのスクロールが入っている。
開けると同時に広がり、発動する寸法だ。
ちなみにテレポート先は下水道の中に設定してある。
簡単に出れないように大きめの檻を用意し、一応食料も配置してある。
しばらくそこに閉じ込めておくつもりだから当然といえば当然だが。
水の浄化もでき、一石二鳥だろう。
そういったわけでアクアが開けてくれるだろうと踏んでわざわざこんな手の込んだことをしているのだけれど。
「これ何かしら?」
「さあ……?カズマの作成途中の何か、じゃないか?」
居間に入ってきたアクアとダクネス。
興味津々といった様子のアクア。
「開けてみちゃう?」
「止めておいたほうがいいんじゃないか?張り紙までしてあるんだ、きっととても怒られるというか……」
おいダクネス、こういったときに限って常識的なこと言うんじゃねぇ!
「うーん、それもそうね……最近カズマさん妙に優しいし……ちょっと怖いのよね……」
アクアがきょろきょろと周りを見回しながらそんなことを呟く。
「でもまあ、ちょっとだけ、ちょっとだけなら……」
「私は止めたぞ?どうなっても知らないからな……?」
「ちょっ、ちょっと!そんな不安を煽るようなことを言わないでよ!開けにくくなるじゃない!」
呆れ顔で去っていくダクネスに、焦ったように返すアクア。
アクアは不安が増したからか、おっかなびっくりと言った様子で箱を眺めて、たまにつついたりしている。
そして蓋に手をかけ開けようとして……
「ふぁ……おはようございます……」
めぐみんが入ってきて大きく跳ね上がるアクア。
「な、なんだ。めぐみんじゃない。驚かさないでよ……おはよう!」
めぐみんがそんな挙動不審のアクアを見て。
「……それを開けるのはアクアの為にならないと思いますよ?」
……今日に限ってなんで皆勘が鋭いんだよ。
まあ確かに開けたら酷いことになる予定だ。
めぐみんはそれだけ言って台所の方に移動していった。
「……やっぱり開けないほうがいいのかしら……?」
とうとう触らずに考え始めるアクア。
……仕掛ける場所を間違えたか……?
少し後悔しながら次の策を練っていると。
「ううん、気になるからやっぱり開けちゃいましょう!まずかったら謝ればいいものね!」
自分を勇気付けるようにそう呟いたアクアは箱に手をかけ。
「さてさて、中身は……!?」
無事転送されましたとさ。
ちょうどダクネスもめぐみんも居間にはいなかったし。
……任務完了と。
さてと、後は自然を装って……
「おはよう!おや?俺が作っていた途中の小箱が空いてるぞ?」
「やっぱりカズマの悪戯でしたか」
「うおわっ!?」
俺が小箱の近くまで行って口を開いた瞬間に、背後からめぐみんにそんなことを言われた。
「全く意図が分かり易過ぎるんですよ。まあ何があったかなんて野暮なことは聞きませんけど」
「いや別にそういうことじゃあ断じてないんだけど」
「はいはい、分かりました。それではそろそろ朝食できるんで準備してください」
大きく欠伸をしながらめぐみんは俺の相手をせずに再び台所へ。
えっと……。
とりあえずめぐみんを手伝って食事を運び。
「あれ、アクアの分はいいのか?」
ダクネスがそんなことをめぐみんに訊ねているが。
「まあ、戻ってきたらでいいでしょう。それより冷めないうちに食べちゃいますよ」
なんというか、まあめぐみんはそこまで気を配るほど余裕は無いのだろう。
とはいえ、ちょっとアクアが不憫にも思えてきた。
とりあえずウィズの店に出向き、バニルに報告をする。
「といったかんじで一応しばらくアクアは下水にいると思うんだけど」
正直天界への戻り方とか知らないから、もしかしたら出れるのかもしれない。
まあ、アイツはそういうのも忘れてたりしそうだから何ともいえないけどな。
バニルは愉快そうに笑いながら。
「確認させてもらったぞ。それではこのアンケートを記入するが良い。我輩の方から渡してやろう」
俺はサキュバスのアンケートを受け取り、書面に内容を書きながらふと疑問に思っていたことを訊ねる。
「そういや昨日今日とウィズが見当たらないけど、どうしたんだ?」
「ポンコツ店主ならしばらく材料調達に出ておる。人に会わなければ余計な物を買うなどという致命的なポンコツ振りを発揮はせんであろうからな」
「そんなにひどいのか?」
「うむ。貴様から仕入れて売って出ておる収益分と同等の赤字を作ってくれるわ。いくら商才が無いといえども最近は日を追うごとに悪化しおって、これほどとは我輩とて思わなかったわ」
フハハハと笑いながらも、その口角は全く笑っていないバニル。
いくらウィズがわざとそんなことをしているわけでは無いことぐらい分かっているのだが、正直バニルが気の毒でならない。
「まあ、何というか相変わらず大変だな、バニルも」
「フハハハハ!ならば幾つか商品を買っていくといい!」
「それは断る」
なんだかんだ言って逞しい商魂を持っているバニルだからこそウィズの相手を務められるのだろう。
それこそバニルでなければこの店潰れてそうだし。
書き終えたアンケートをバニルに手渡し、再度店内を見てそう思う。
というか、俺が入荷した商品の売り上げ全部赤字って、アクアでもあるまいしどうやったらなるんだか……
やりようは思いついてしまうのがちょっと怖いところでもあるが。
「フハハハ!では後日楽しみにしているが良い!」
「おう、邪魔したな」
「それじゃあ行ってくる。頼んだぞ」
「ダクネスはともかく、ゆんゆんはしっかり相手してくださいよ!」
当日、宿屋に行くだけでなくめぐみんに話を付けて夫婦水入らずというか、デートというか。
建前でそういうことになっていた。
アクアのことはしばらく天界に帰ってる、と、とりあえずそういう事にしておいてある。
当然本命のことやアクアの事などめぐみん達に言ってはいないけれど。
隣でなんだかんだ少し照れている様子のめぐみん。
懐かしいなぁ……。
いや、そういった感情を抱くのは早すぎるのだろうけど。
ここしばらく疲れきった顔しか見ていなかったせいかそんな感想が……。
「ちょっとめぐみん、頼むならそういうこと言わないでよ!」
「私は別にダクネスにしか頼んでいませんし」
「カズマさん!カズマさんからもめぐみんに言ってくれませんか?」
ゆんゆんもめぐみんの扱いに慣れてきたのか多少酷いことを言われても動じなくはなってきているみたいだった。
俺はそう思いながらチラリとめぐみんを見て。
「カズマ、分かっていますよね?」
にこやかながら無言の圧力をかけてくるめぐみん。
まあ。
この後のことを考えたらゆんゆんには我慢してもらおう。
「えっと……まあ、なんだ。大目に見てくれ」
「カズマさん!?」
「まあまあ、とりあえず行ってこい」
このままだと何時までも出発できないと踏んだのか、ダクネスが促してくれた。
「しかしカズマがデートに誘ってくれるとは思いませんでした」
「まあ、そうだろうけど」
意外そうな、そして嬉しそうな表情でめぐみんは街並を眺めている。
今、丁度街角にある喫茶店で軽い食事を取っている。
というか朝食である。
どうせなら一日十分に使って楽しんでこい、とダクネスの配慮というか。
「何回かした事はありましたけど、大抵散歩みたいになってましたよね」
懐かしそうに話し始めるめぐみん。
「よく知ってる街だしな。なんだかんだ見慣れてるし」
俺もめぐみんと同様街を見始める。
「確かにそれはそれでよかったのですが、思い返してみるともう少し何かしてても良かったかもと思ってしまいますね」
めぐみんの言い分も分からないでもない。
お祭りごととかの場合二人きりで周るというのが殆ど出来なかった。
かといって普段だとそれほど興味を引くようなお店など中々見つかるはずも無く。
探しているうちに日が沈んできて、結果散歩、ということも。
それでもまあまあ楽しめてたし、それはそれで良かったが。
「何というか、デートっぽくはなかったよなぁ……」
「今更ですよ。だとしても、今回誘っておいてノープラン、とかではありませんよね?」
「だ、大丈夫だ、一応考えてある」
「ならいいんですけど」
ジト目で見てくるめぐみんに対して慌てたように取り繕う俺。
……正直全く当ても無い。
決まっている事は泊まる宿ぐらいだ。
いや、別に何も調べなかったわけじゃない。
今の時期にやっている良い店というのがあまり無い、というか殆ど無い。
食事処は大抵やっているからここにこうしてきているし。
そもそもここは観光都市でも、金持ちが大勢居る街でもないというのが要因の一つともいえる。
単純に娯楽施設の数が少ない。
その上よく知っている街といえば街だし、それこそ新しい何かを見つけるほうが至難の業で……。
となると、街の中で済まそうとする場合、ある程度行った事のある店を周る形になる。
それでめぐみんが満足してくれるのかどうかが問題なのだけれど。
「まあとりあえずなんだ。色々店が開くようになるまで時間もあるし、街の外までピクニックでもしないか?」
「それもいいですね。最近は不完全燃焼気味でしたし」
そういって立ち上がった俺達は街の外まで散策していった。
「何か物足りない感じだったな」
「……悔しいですが、確かに微妙でした」
近くの高原でシートを広げて座り、途中で買ったサンドイッチなどを頬張りながら話していた。
めぐみんは少し無念そうな表情をしながらお茶をちびちび飲んでいる。
「そりゃ、ここんところまともに寝れてなかっただろ?それで満足できるのが撃てた方がおかしいだろ」
「いえ、極めてると名乗るからにはどんな体調、どんな状況でも最高のを撃てなければ納得できないです!まだまだ極めていきますよ!ついでにカズマも一発撃っていったらどうです?」
「遠慮しとくよ。どうせ俺が撃ったら最初のころのめぐみん同様、一発で動けなくなってデートどころじゃなくなるだろ」
「そんなことはありませんよ。倒れたカズマを引きずっていくぐらいできますから。伊達にレベルが高くないですよ」
ぶっ倒れた俺を引きずっていくめぐみんを想像して……大分絵面がやばい。
「引きずられると分かってて撃ちたくは無い」
「カズマはまだ爆裂道を極める気はないんですか?」
「どうせ極めるんならバニルとウィズに頼んでまたレベリングさせてもらってスキルポイントかせ「そんなやり方許しませんよ!!?」
そんな感じでじゃれあいながら景色などを見て過ごし。
平和だなぁ……
隣で大きく欠伸をするめぐみん。
「寝るか?」
時間的にも大丈夫そうだし、ここは少し寝かせておいた方がいいだろう。
夜熟睡なんてされたらたまったものじゃない。
めぐみんはそんな俺を見て訝しげな表情をしながらもねっころがる。
「セクハラしたら帰りますからね」
釘を刺すようにめぐみんが言いながら身体を俺の反対側に向けた。
「大丈夫だ、しないから」
「今日は一段と変ですよ!?本当にカズマですか!?」
めぐみんは俺の言葉を聞いてがばっと上体を起こし。
「いつもだったら、こういう事を言ったらフリだとか、さり気無く触ったりなんだりするじゃありませんか!」
「いや、疲れてるかなと思ったからな」
「普段は結構お構い無しに触るじゃありませんか!というか、そもそも今日のデート自体不思議ですし、実はバニルだった!とかじゃありませんよね!?」
何が不満なのか詰め寄ってきて色々と言いはじめる。
「えっと、なんだつまり触ってと――」
「そういうことではないですが」
素の表情で返される。
めぐみんが何を言いたいのかさっぱり分からない。
「何と言いますか、今日のカズマはそこはかとなく変です。普段だったら目がいくであろう女性が横を通り過ぎても目に入ってないかのごとくでしたし、しっかり話も聞いてくれますし、他にも……」
ぼそぼそと口ごもるめぐみん。
…………。
えっと、なんだ。
普段と違う行動ばかりしているから、怪しまれてる、ってことか?
「べ、別にそれが悪いってわけでは無いんですよ?」
「まあ、俺は俺だから気にするなよ」
とりあえず格好よく振舞ってみようと思う。
「……カズマはどうであっても何か心配ですね」
「おいこら、それはどういう意味だ」
「そのままの意味ですよ。安心しました」
勝手に安心して再び横になるめぐみん。
これは触っていいってことだよな?
俺がめぐみんの胸に手を伸ばそうとして。
「言っておきますけど触っていいという意味では無いですからね」
………。
まあ、どうせ夜になれば触れるしいいか。
「はぁ……まあ適当に時間が経ったら起こすからな」
「ちょっと寝るだけですから自分で起きますよ」
少し暇になったので、めぐみんが見える位置で散策を始めた。
まだ昼にもなってない。
遠くを暇つぶしに眺めても珍しいものが見れるわけでもなく……ん?
「げ……アクア……」
こちらに向かって走ってくる姿が視認できた。
ね、念のため盗聴スキルで……
『カズマァァァァ!さっさと出て来なさい!私をこんな目に合わせておいてただで済むと思っているのかしら!』
大分頭に血が上っていらっしゃるご様子で。
というかどうやって脱出したんだ、アイツは。
あのままこっちに来られてもうるさくなるだろうから……。
とりあえずはこの木の近くで待って、なるべく近くまで引き寄せて。
「あっカズマ!こんなところにいたのね!観念なさい!」
「『フラッシュ』!」
「!?へぶっ!」
とりあえず目潰しをかけ、アクアは少し大きめの石に躓いて顔面からすっ転んだ。
「いぎなりなにするのよ!」
その隙に木に垂れ下がっていた蔦でアクアを縛り上げる。
「ちょっ!怒ってるの私なんですけど!」
まだ目が見えてないのか全く見当外れの方向に吠えるアクア。
「アクア、俺も怒ってるんだが」
「はあ?何で女神である私が怒られなきゃいけないのよ?天罰食らわすわよ?だいたい一週間近く私を下水道に閉じ込めるなんて――」
「お前が俺の箱を勝手に開けなければそんなことにならなかっただろ」
アクアの口上を遮って言いたいことを言うと、案の定。
「あんなところに置いておくのが悪いのよ」
開き直りやがった、こいつ。
「『開けるな』って書いておいたよな」
「それは、そうだけど、でも―」
少しは悪いことをした自覚があるのか言いよどむアクア。
「それ以上に、お前は俺の居ないところでどれだけ俺の評価を下げれば気が済むんだ?」
最近俺の恥ずかしい行動が街に筒抜けになっていた根源はこいつだったし。
ストレス発散とか、暇つぶしだとか、そんな感じでこいつは言いふらしていたらしい。
「貯金を確認したら勝手に使われた形跡があったり」
「き、気のせいじゃないかしら?」
俺は鞄から紙切れを複数枚取り出す。
「これ、なんだか分かるか?」
「カズマが買った物のレシートでしょ?」
「そうだな。名義もそうなってるよな」
「それがどう――」
「これ、何処で見つけたと思う?」
俺が言葉を遮ってにこやかにアクアに聞くと。
「カズマの部屋でしょ?」
「お前の部屋だよ!!何が閉じ込められる理由がないだ!勝手に人の金を使い、人の評判落として、勝手に物を弄ったのも開き直って、挙句の果てに営業妨害だあああっ!?」
あまりにも白々しいアクアに掴みかかると。
「ちょっ、ちょっと待ってカズマさん、営業妨害ってどういうことかしら?」
「前にお前にサキュバスを退治すんなって言ったことあるよな?」
「ええ。だから見かけたら執拗に追い掛け回して引っ越させ――」
「それが営業妨害なんだよ!いいか?アクセルのサキュバスにちょっかいかけるなって意味だからな?わかってるな?」
「………」
「止めないつもりなら前にいったとおりになるからな」
渋々頷いているアクア。
「ねえ、そろそろ解いてくれてもいいんじゃないかしら。お互い悪かったってことで、ね?」
俺がしばらくアクアの反省の言葉を待っていたら、そんなことを言い出しやがった。
「で、だ。まずはそれが一件目だ。で、勝手に俺の金を使ったことに関して何か言う事は無いのか?」
「あれだけあるんだからちょっとぐらい使っても痛い痛い!髪を引っ張らないで!」
「お前、あれだけ使い込んでおいてちょっとだと。ふざけるのも大概にしろよ?ウィズでもあるまいし、なんで簡単に何十億と使い込めるんだよ!?」
さっき見せたレシートはマシな方で、ここ一ヶ月だけでそれだけ通帳から消えていた。
アクアが居ない一週間の間に調べてみたら、全部アクアが会計というか処理を行っていた。
「カズマさん、その、使い道を聞いてくれるかしら?」
「なんだ」
「その、ゼル帝の餌代とかそういうのにいたっ!?」
「嘘をつくならこのままここで逆さ吊りにした上でスティールで引ん剥いて明日まで放置するからな」
「……えっと、宴会芸で行商人の大事な利権書を消しちゃった時の弁償金だったり、その……パーティとか開いてみたりとか……私の大事な信者がお金に困ってたから貸し出したりとか……」
言っている途中からどんどん目を逸らしていくアクア。
俺?
当然下調べしてあるから、全部知ってる。
全く笑えないが。
「……私のお金が足りなくなって、カズマの貯金から……その…借りて、返すつもりで……」
「そうかそうか、それで更に借金を更に背負ったと」
「違うの!そうじゃないのよ!まだ、返ってきてないだけで!倍にして返してくれるって」
……典型的な詐欺に引っかかってんじゃねーか。
大きくため息を吐き、一言。
「まあいい」
「それじゃあ――」
アクアは何を勘違いしたのか許されたと思っているようだが。
「つまりお前は俺に金を借りてる状態ってわけだな?」
俺の一言で一瞬にして固まった。
「そ、そんなこと――」
「返すつもり、だったんだよな?当然当てもあるんだよな?」
「あとちょっと待ってくれれば倍になって必ず帰ってくるわよ!」
自信満々に言うアクア。
「……それはないから安心しろ」
「何でそんなこと分かるのよ?」
「その当てになるはずの人物だけど、もう国外逃亡してるからな」
まあ、ありえないほど大金を積まれりゃそりゃ逃げるだろ。
俺の言葉に絶句するアクア。
「カズマ様、その、ごめんなさい。謝るから、水に流して――」
「流せるかあああああああああ!」
「痛ったあ!?」
思わず思い切りアクアの頭をぶん殴ってしまう。
「しばらくお前は下水の浄化でもして金稼いで来い!それが嫌なら宴会芸駆使して稼いで来い!それさえ嫌というなら身体を本当に売らせるからな!」
「ちょっと!確かに私が悪かったけど、女神に何させるつもりよ!」
「なーにが女神だ!ほんとろくなことをしない上にタダ飯食らいのニートだろうが!」
「ヒキニートに言われたくないわ!」
「誰がヒキニートだ!俺は仕事して収入を得ている上に、引きこもってねーし!」
「カズマ、私とのデートをほっぽりだして浮気ですか?」
アクアと言い争ってると、ぬっ、とめぐみんが脇に現れた。
「うおあ!?めぐみん起きたのか!?」
「ええ、おかげさまですっきりしてます。ちなみに魔力もある程度回復しましたから――」
「めぐみん、良かった!ちょっと聞いてよ、このクソニート酷いのよ!」
めぐみんが現れて勝機とでも思ったのか、アクアは俺ではなくめぐみんの方に話しかけ始め。
「あっこら!てめー!」
「めぐみん、聞いてくれる?私、一週間ぐらい前に居なくなったじゃない?今まで下水道に閉じ込められてたのよ!信じられる?この、女神である、私がよ?そんな仕打ちをした上に今度は身体で金を稼いで来いなんていうの!もう天誅を下すしかないわよね!ね!?」
「詳しい事情は分かりませんが、大概何かアクアがやらかしたのでは無いですか?それに今私はカズマとデート中なので邪魔しないでください。明日ならちゃんと聞いてあげますから。とりあえずカズマは蔦をほどいてあげてください。アクアも今日のところは帰ってもらっていいですか?」
「「はい……」」
めぐみんが笑顔のままの強烈な圧力に耐え切れず頷く俺達。
「刃物無いからティンダーで焼き切るからな?熱かったら言えよ」
「分かったわよ……ほらさっさとしてよね」
俺に背中を向けて蔦を焼き切りやすいようにしてくるアクア。
丁度背中辺りを狙って……。
「『ティンダー』ッ!」
「熱っ!?ちょっとカズマさん!?熱いんですけど!」
「そうか熱いか。我慢しろよ。ちょっと蔦の湿気が多いからか中々燃えてくれないんだよ。『ティンダー』ッ!」
「熱っ!熱いって!やめて!やけどしちゃうから!」
「ヒールで治せばいいだろ『ティンダー』ッ!」
「そういう問題じゃないってば!服も焦げちゃうし!」
ぎゃーぎゃー喚くアクアにティンダーをかましている俺に、めぐみんが一言。
「……カズマ、楽しんでますよね?」
「ばれたか」
めぐみんは俺の言葉を聞いて大きくため息を吐き。
「フリーズで凍らせて折ればいいじゃないですか。早く終わらせてデートに戻りますよ」
「どんだけ俺とのデートが楽しみなんだよ?」
茶化すつもりで俺がそういうと。
「かなり楽しみですよ?好きな人とのデートが楽しみでない訳ないじゃないですか。しばらくまともにこういう事していませんでしたし」
めぐみんは頬を少し朱に染めながら、真っ直ぐ俺のほうを見てそう言ってきた。
お、おお……?
なんだこれ、茶化すつもりが物凄く恥ずかしいぞ。
そういやこういうやり取りもご無沙汰といえばご無沙汰だったような。
「お、おう。まあ、なんだ。いや、悪かった」
「分かればいいんですよ」
「二人ともいちゃついてないで早く私の蔦を解いてー!」
「――と言った感じだったわけだ」
街の中をぐるぐる回りながら、目新しい店などに顔をだして夕刻になった。
話題もなくなってきたので、アクアに関する話をしておいた。
「それ、本当ですか?」
「本当だ。ここまでの額を使われるとは思ってなかったし、流石にな」
最初見たやつはせいぜい数十万だったから、ああ、まあ贅沢慣れしたアイツならまあそんなもんだろうなと思ったけれど。
別にその額程度だったら許すと言っているわけではないが。
「……最初アクアの事が気の毒だと思いましたが……カズマの気持ちも分からなくは無いですね。……別にだからといってやっていいとは思ってませんが」
複雑な表情を浮かべて頷くめぐみん。
「何となく気付いてはいたのか?」
「ええ。まあ大体こんなところなのではとは思っていました。額までは予想できませんでしたが」
苦笑いしているめぐみんはふと空を見上げ。
「暗くなってきましたね。カズマ、今日はありがとうございました」
めぐみんはこちらを見て純粋に嬉しそうにほほえんでいる。
「いや、別に」
受け止めきれずそっぽを向きながらぶっきらぼうに返す。
……いや、うん。
そろそろ受け止められてもいいとは思うんだが、いかんせん久しぶりなものだから。
などと自分に言い訳をしていると。
「じゃあ、帰りましょうか」
「待った」
めぐみんが俺の手を引いて進もうとしたのを引っ張ってとめる。
「?どうしたのですか?」
「実は宿屋の予約を済ませてあって、そのまあなんだ」
俺がしどろもどろになって伝えようとしていると。
めぐみんはくすりと笑って。
「分かりました」
繋いだ手をぎゅっと握り締めてきた。
予定通り……!
ホテルに誘い、シャワーを浴びてベッドの上に座っている。
めぐみんは今シャワー中だ。
予定時間はまだ先だから、大分余裕がある。
それこそ一回ぐらい、なんて考えられるかもしれないが。
だが、それは我慢だ。
久方ぶりだから、恐らく始めたら夜通しやることになりかねない。
それに関してはまた後でも出来るだろうし。
問題は、めぐみんが誘ってきた場合と、期待していた場合だな。
前者は断れるかどうか……たぶん無理だし。
後者は……まあ俺の評価が下がりそうだ。
不死王の手で眠らせるのも一つの手だけど、それは上の二つより事後の印象が悪いだろう。
となると……なんとか言いくるめてただ寝るだけにして、俺は起きてる状況を作らなきゃいけない。
ん?待てよ……?
ということは、今俺が先に寝ているフリをすれば良いわけだな。
そう考えてささっと布団に入り込んで目を瞑る。
最悪寝てしまっても、夜中に目が覚めるだろ。
「ん……ふっ……」
…………?
何の声だ……?
というか……。
「やばっ!寝てた!」
がばっと上体を起こして周囲を見渡す。
良かった。時間は過ぎてないようだ。
隣を見ると俺に背を向けて寝ているめぐみんが。
「お、おお?」
妙に頬が赤く、呼吸も速い。
つまり……。
「夢、見てるんだよな?これ」
「……ふっ……はぁ……う」
顔を近づけてみるとか細いが、声が漏れている。
まあ、声に関してはクッションを顔に押し付けて寝てるからだろう。
たまにピクッと震えたり、小刻みに痙攣している。
とりあえずクッションを取り上げて……。
「ああぁああぁ……!うぅ……!んぁ……!」
うわっ、エロっ!
抱きしめるものが無くなったせいか、痙攣が止まらなく。
その上で吐息が耳を撫でるかのようにそっと、だがしっかりと。
寝ていながらも感じているせいか、気持ち良さそうに蕩けた表情で。
こんなの我慢できるか!
起きても知らん!
さっとめぐみんのローブを捲り上げ、パンツを脱がそうとし。
「!!??」
触った感じでもうすでにぐっしょぐしょ。
まるで水に漬けられてたのかというぐらい。
慌てて見てみると、痙攣するたび少し噴き出しているのが分かる。
「……まじか」
いや、流石にここまでなるとは期待してなかったし?
だってほら、男が利用した際には何も変化無かったからさ。
実は自分もやっている間こんなになってたとしたらぞっとするが。
でもそんな話は聞いたこともないし。
とりあえずそんなことはどうでもいいんだ。
今はさっさと脱がして。
挿入る!
「ふあああぁ!ううっ!んううっ!」
挿入た瞬間ぎゅううと中が収縮して、めぐみんの身体も大きく跳ねる。
うぉ!?搾り取られ、やばっもう出っ!
「ぐうっ!?おおおお!?」
動いていないというのに、中の痙攣は止まらず、むしろ締め付けが増し、奥が吸い付いてくる。
あまりの凄さにめぐみんの上に倒れこむ。
「あう……!っ……!っ……!」
密着する面積が増えただけで、更にめぐみんは身体を震わせ。
声にならない声をあげ。
……サキュバスの夢、凄すぎね!?
「そういや……」
めぐみんのローブを捲り、胸までたくし上げる。
「母乳出るようになってから弄らせてくれなくなったんだよな」
ブラを少し下げ吸い付く。
「あぁぁぁ……」
めぐみんはさっきと変わって少し甘ったるい感じの嬌声を上げ始める。
甘いような……?少し変わった味だな。
「ぴあっ!?っ!!!!!!!」
しばらく飲んでいると、突然大きく痙攣し始め。
めぐみんの目が少し開いてこちらを見る。
や、やばい。
「あのだな、そのこれはだな……」
言い訳しようとしてめぐみんの目を見ると、俺を見てないような……。
「も、むり………で……す……」
虚空に対してそんなことを言うめぐみんに、俺の中の何かが切れた。
「ひぁあああっ!っ!っ!っ!」
翌朝、めぐみんに下着と、ブラのずれ、そして俺がしたことについて事細かく説明しなければいけなくなったのは当然だろう。
まったく自分から誘っておきながらこれはどういうことですか。
私はシャワーから上がってベッドで横になって寝ているカズマを見て、心の中で愚痴る。
折角準備も済ませたというのに、これでは私がまるで馬鹿みたいではありませんか。
バスタオルを外し、仕方なく着替える。
変なところでヘタレといいますか、日中あれだけ気をまわしていたから、そのつけが返ってきた、とかですか。
カズマらしいといえばカズマらしいですが。
一応起きてるかどうか確認してみますか。
「カズマ、起きてるなら返事してください」
……………。
やっぱり駄目ですか。
これだけ一緒に過ごしても、乙女心の『お』も理解しないんですから、この人は。
そういうとところ含めて好きになってしまったわけですけど。
とりあえず腹が立つのでカズマの頬を引っ張ってあげましょう。
「んががが」
「まったく、他の女性だったら、多分宿屋を飛び出してますよ?」
まあ、他の女性と一緒にこんな場所に居たりしたら、二人ともまとめて爆裂魔法でぶっ飛ばしますが。
悶々としながらカズマの横に入り込む。
何かに抱きつきたい気分ではあるけれど、先に寝られて癪なので近くにあったクッションで我慢する。
………。
「カズマは本当に鈍感です……」
ゆっくりと自分の秘所に指を伸ばす。
ぐちゅ
期待で既にこんなにも濡れてしまっているというのに。
平然と先に寝てるなんて。
こうなってる私が本当に馬鹿らしくなっちゃうではありませんか。
「こんな風にした責任をちゃんと取ってもらわなきゃ、割に合わないですよ全く」
そう言いながらもいいところを探して指を動かす。
「ふっ……」
中のざらざらしたところを擦る。
その度に少し身体が熱くなり、ぽうっとした心地よさに包まれる。
でも……
「……足りない」
身体が熱くなり求めるのに反して、妙に頭が冴えてきてしまう。
イきそうと感じながら、絶対にイけないだろうと分かってしまう感じ。
………。
「やめてねますか」
ため息が、ほうっ、と熱っぽい吐息になっているのに自分でも驚きながら、私は目を閉じた。
「ここは……?」
私が目を覚ますとそこは見知らぬ迷宮のような場所になっていました。
レンガで出来た……塔なのか、洞窟なのか、建物なのか。
「カズマ!いるんでしょう!カズマ!」
大声で呼んでも、返事が返ってこない。
「一体何がどうなっているんですか……」
さっきまで確かに私はホテルのベッドで……。
「ああ、つまり夢ですか」
そう思えば何も怖いことはありませんね。
所詮は私の夢ですし。
とりあえず、探索してみますか。
見たところ一方通行みたいですし。
カチッ。
「え?」
一歩踏み出したところに急にスイッチが現れ踏んでしまった。
慌てて一歩下がり周囲を見渡す。
「い、一体何が起こるというのですか……!?」
………。
「あ、あれ……?」
拍子抜けといいますか、こういうのは大抵何か起こるはずで……。
まあ、起こらないなら起こらないに越した事は無いですが。
とりあえず気をつけて進みますか。
十数分後。
「っ!はぁ……んうっ!」
お、おかしいです、なんでこんなに身体が熱く……。
ただ真っ直ぐな道を歩いているだけだというのに。
服が皮膚を擦る度に達しそうになる。
あれから気をつけて歩いているものの、脇道どころか、スイッチ一つ見つからない。
あれですか、寝る前のあれが原因ですか、これは?
というか、夢ってこんなに細部まで分かるものでしたっけ?
「あっ!っ~~~~~!」
耐えられなくなって大きく達してしまい、へたり込む。
それでも熱が引くことはなく、むしろ火照りが増している感覚がある。
多分今下着は意味をなしていないんでしょうね……。
そう思いながら自分の下腹部に手を沿わせ――
「っ!?!?!?」
肉芯に触れるか触れないかのところで、目の前が点滅してしまい地面に倒れ痙攣する。
「ああぁ!ううっ!くあはっ!」
そして痙攣して地面と擦れるたびにまた達し、達すると痙攣しを繰り返すはめに。
び、敏感に、なりすぎて、るんですね……これは……
私は強すぎる快感で飛び飛びになる思考を必死にまとめながら打開策を立てようとする。
まず、は、我慢して、でも、たたなきゃ……だめです、ね
涙で歪み、快感で点滅する視界でも、何とか近くの壁を使って立ち上がる。
「ふぅーー!ふぅーー!」
ここまで、は、ぜんて、いです……ふく、を、ぬがない、と、それだけで、うごけな――
「っ!!!!!!」
ふいて、しまい、ました、か……
ふらふらしながらも、何とか服を脱ぎ終え。
全身をガクガクと震わせながらも、一歩ずつ着実に倒れないように進み始める。
「っ!っ!」
たおれたら、もう、だめ、ですね……
さっきから中はキュンとし続け、バチバチと頭のなかに電気が流れるような快感が走り続けている。
その上、達し続けているはずなのに、切ない。
もう、むり、で――
私が諦めかけたところで、出口らしき光が見えた。
あそこ、までは……
私はそこに意識が行き過ぎていたのだろう。
「っ!?あああぁああああっ!?」
出口らしき場所の目の前に深さが腰ぐらいまである水路があることに気付かなかったのは。
もしかしたら急にあらわれたのかもしれないけど。
どちらにしろ足を取られて全身包まれてしまい。
全身を愛撫されているような感覚に陥り。
もうなんで水の中で息ができているのかなどどうでもよくなり。
そのまま水底まで沈みかけたところで。
「めぐみん、しっかりしろ!」
何かに引き上げられ横たわらせられる。
ずっと痙攣しっぱなしで、意識も飛び飛びだけれど。
その声だけはしっかりと頭に響く。
「カ、ズマ、おそいですよ」
カズマに抱きしめられて、さっきとは違う、ちゃんと幸福感を伴った絶頂を迎える。
「っ!せつない、ので、おねがい、します」
それと同時に中に確かな感触を覚え、ぬくもりに安心しながら達しつづける。
「あああっ……!カズマっ………!」
自分という形が溶けてなくなっていくような錯覚に陥りながら、自分がうわごとのように何か言い続けて、気を失った。
「っ!?」
私は思わず飛び起きる、と、そこは変わらず宿屋のベッドの上だった。
さっきのは、夢、だったんですよね……?
あまりにもしっかりしすぎていて……。
身体の感覚も……大丈夫みたいですね。
それどころか大分すっきりしているような。
自分の身体をまさぐって確認していると。
………あれ、下着が……ない……?
きょろきょろと見回すと。
………。
なんで懇切丁寧に干されているんでしょうか。
「カズマ」
「んごご」
私の呼びかけに突然いびきをかきだすカズマ。
分かりやすい人ですね。
「起きてますよね?」
「………」
「寝てるフリなら爆裂――」
「起きるから事ある度に爆裂魔法の的にしようとするな!本当に好きなんだよな!?」
若干切れ気味に上半身を起こすカズマ。
まったく本当にからかい甲斐もあります。
「好きですよ?それよりあれの説明お願いしてもいいですか?あと色々」
ちょっと鎌かけてみましょうか。
笑顔で言う私の言葉にさぁっと青ざめるカズマ。
同時に謝りながら事のあらましやら、なんやらを聞かせてくれました。
「――ということ、で、大変申し訳ありませんでした」
土下座してあやまるカズマ。
夢については驚きましたが、まあ、この際不問ですね。
私に魅力を感じなくなった、とかではありませんでしたし。
でも、少し意地悪してあげましょうか。
「いいですよ。その代わり今度こそ初めてを貰いますね」
新年明けましておめでとうございます。番外編、特殊な夢を!を投稿させて頂きました、双碧というものです。趣味全開の内容でしたがお楽しみいただけましたでしょうか。後日、これのifも投稿予定です。