※この作品はR-18です。

このすば後日譚(Web版世界)   作:双碧

3 / 23
本編
第一話~この最強の最弱職に決断を!~


 魔王城からテレポートでアクセルにアクアと共に戻ってきた。すると先行してテレポートしていた皆が待っていた。

「無事に帰ってこれたか……また死ぬかと思った」

 ちょうど呪文を唱え終えたところで何体かあの広間に入り込んできて、そのまま俺とアクアに魔法を打ち込んできたのだ。

 すぐさまテレポートしたものの、あれは危なかった。

 アクアの奴も半泣きだし。

 確かにアクア相手にドキッとはしたが、正直それ以上にドキドキした。

 

「「お帰りカズマ、アクア」」

「おう」

 ダクネスとめぐみんが俺たちにお帰りを言ってきた。

 既に傷は回復されているようで、後ろのほうを見てみると虫の息だったミツルギも疲れた顔はしていたもののもう何ともないようだ。

 

「うっ……ぐすっ……ただいま……」

 さっきのお帰りに遅れて反応するアクア。

「どうしたんです、アクアは?カズマ、また泣かせました?」

「またって……今回はちげーよ。帰り際にモンスターから魔法を食らいかけたところでのテレポートになったからな、そんなことよりもエリス様の姿が見えないんだが」

「全員に回復魔法を掛けた後急にいなくなったぞ」

 

……なるほど、もう帰ったのか。せっかくなら送ってあげようかと思っていたのだが。

 

「……やはり、私の友人に似ていたと思うのだが……」

 

 エリス様は気付かれたくなさそうだったから言わないで置こう。

 

「佐藤和真、今回は君には助けられてしまったようだ。魔王を一人で引き受けるなんて正直僕は思ってもいなかった。その上しっかり倒しアクア様の願いをかなえるとはね」

「お前を助けたつもりはない」

 そう言いきるとミツルギは多少寂しそうな顔をしたが無視した。

 正直柄でもないことをしたという自覚はある。

 

「ええっと……そろそろ移動しませんか?さすがに警察署の前にずっといるっていうのも……」

 ゆんゆんがそういうと皆頷きギルドの方に向かっていった。

 

 

「おおっ!魔王を倒したパーティのお帰りか!?」

「ちゃんとアクアのねーちゃん連れ戻してきたんだな!」

「こっちも大変だったが何とかなったぜ!」

 ギルドに入っていくと冒険者たちが歓声を上げて出迎えてくれた。

「おいカズマ!俺のやった剣はどうだった?!」

「使えなかったな。魔王の攻撃で一撃で破壊された。さすがは落ちてたアイテムだ。欠片も残ってないからな」

「マジかよ……」

 残念そうな顔をするダスト。

 だが予想していたのか大人しく席へと戻っていく。

 

 とりあえずギルドに魔王とその幹部の魔法使いの討伐の件について報告すると。

「え……!魔王を討伐されたのですか……?!」

 冒険者カードにはちゃんと書かれているが、確認せずにはいられなかったようだ。

「あ、ああ。ちなみに魔王にはどれくらいの懸賞金がかかっていたんだ?」

「……ええっと……少なくとも五十億は……」

「五十億?!凄いじゃない!やったわカズマ!このまま飲みましょう!」

「確かに凄い金額だが今日は飲まないぞ。正直お前以外結構ずたボロでさすがに身体が持たないだろ?それにまだ金が入ったわけでもない」

「そうですね。爆裂魔法をあんなに使えたので、さすがに今日はゆっくり休みたいです」

「アクア様、今回は和真の意見に賛成です。今日のところはお休みになられたほうがいいですよ」

 ダクネスを除いた全員が頷いた。

 

「私は別にこのままでも良かったのだが……」

 ぼそりと呟いたダクネスだったが、だれにも聞き取られることはなかった。

「し、仕方ないわね……でも確かに今日は色々と疲れたし帰りましょうか」

 

「っと、俺は一応ウィズ達に挨拶してくるから先に帰っていていいぞ」

 一応ウィズには礼を言っておくべきだろう。

「そうですか。では私たちは先に帰っていますね」

「うむ。夕食までには戻ってくるのだぞ」

 

 皆に見送られ俺はウィズの店に向かった。

 

「へいらっしゃい!お客様!」

「今日は客じゃないぞ?ウィズはいるか?」

 入ってすぐにバニルがいた。

 ウィズはパッと見何処にも見当たらない。

「ん?あの能無し店主なら先程折檻したところだからな。起きてくるには「カズマさんですかっ!無事だったのですね!」

 むくっとカウンターの裏から急に出てきた焦げたウィズ。

 

「ウィズ……また何かやらかしたのか?」

「そんなことありませんよ!?今日仕入れたのは一級品で……!やめてくださいバニルさん!足りなかったって顔して構えないでください!」

「で、どんなものを仕入れたんだ?」

「あ、はい。この水晶玉でして凄いんです。これを覗くと遠くまで見ることが出来るんですよ!」

 ふむ、アーチャーのスキルの千里眼みたいなものか。

「その代わりに夜や部屋やダンジョンの中で覗いても何も見えないですし、外で見ると日があるうちは光で目がやられちゃうんです」

「フハハハハ!どうだ――」

「いらない。それにそんなことを話しに来たんじゃない。魔王を倒してきたことを報告しに来た」

「倒されたのですね」

「一対一でな」

「凄いじゃないですか!カズマさんも強くなられたのですね」

「いや、ウィズとバニルのお陰だから一応礼を言っておこうと思って」

「いいんですよ。私は好きでやったことですし」

「我輩は契約だからな。だが礼というならば――」

「買わない。ダンジョンの宝を持ち帰るのを手伝うのだったら構わないが」

「フハハハハハ!それもよかろう。だが小僧……なかなか面白い未来が見えるわ」

 

「……何だ、少し教えろ」

「いいだろう、少しだな。もし続きが欲しいなら取引することになる。まあこれを聞いた時点で貴様は取引に応じるだろうがな」

 

 ……相変わらず嫌な奴だ。

 

「これから貴様と仲間の関係が大きく変化するだろう」

「……詳しく」

「ならば取引だな。ふむ……今の手持ちが無いことは分かっておる。それに今回は何か買ってもらうつもりはないから安心するがいい。その代わりにだが……今度来たときに今考えている商品と劣化マイトをここに持ってくるがいい」

 

 ……あれ、これはwin-winでは無いのか?確かに今金の収入源として新たな商品の案は練ってはいたが。

 

「その内容なら構わないが……」

「ふむ、不思議そうだが、我輩にとってもこの契約は悪くないだけなので気にする必要はないぞ」

「そ、そうか」

「では、内容だな。……ふむ。今夜が大きな分かれ目だな。失敗すればこの先はしばらくは望めぬな。上手くいけば色々と軌道に乗るだろうぞ。しかしその場合も後で大変なことになろうがな」

「大変……ってどういうことだ」

「とてつもなく鈍感で記憶力の悪い男よ。貴様はそろそろ気持ちを固めてヘタレぬのが吉。言い訳などして逃げず自ら示すようにすべし。とりわけ今夜はな」

「ぐっ……」

 

 自覚はあるので何も言えないが、今夜……?あれ、ちょっとまて確か……あ。

 

「バニル、そういう……!」

「フハハハハ!悪感情馳走になるぞ!やはり貴様らから出る悪感情は中々どうして質が良い!気分がいいので一つおまけだ!今夜は貴様の方から部屋に向かうのが吉!誰にも邪魔されなかろうて!」

「ふざけんなああああ!」

「では次回来るまでに商品を頼んだぞ。どうにも締まらず主人公の様にはなれぬ男よ」

「お前は励ましたいのか気落ちさせたいのかどっちだよ!?」

「カズマさん、頑張ってくださいね!後でお話が聞きたいので!」

 

 ……ウィズさん、そんなに目を輝かせて聞きたいって言われてもな……

 そう思いながら俺は屋敷に向かった。

 

「帰ったぞ」

「あ、カズマさんお帰りー。夕食が凄いのよ!あの後ミツルギが『カズマのパーティーに借りを作っておくと後で色々ありそうだ』とか言って私に食料とお酒をしばらく分くれたの!あの蟹もあるわ!早く食べましょう!」

 

 俺はあのときサキュバスの件があり、あのカニ味噌にお酒を入れて飲むことが出来ていなかった。

 ミツルギが失礼なことを言っていたようだが、この際それはどうでもいいだろう。

 俺はアクアに付いていき食卓に座った。

 

「おかえり。食べる準備はしてある。話でもしながらゆっくりしようじゃないか」

「こうしてこんなに豪勢なものを皆で食べるのは久しぶりですね」

 

 皆それぞれ霜降り赤ガニを黙々と食べ始めた。

 以前のように七輪のようなものを作り酒も飲む。

 うん、すごい旨い!

 本当に酒とここまで合うとは!

 

「そういえばウィズ達はどうでした?何を話してきたのですか?」

「元気そうだったし、魔王を倒してきたと言ったら喜んでくれたよ。あと前に行ったダンジョンの残りの宝の回収と、新しい商品を持っていくって話になった」

「新しい商品って何かしら?」

 アクアがそう言いながらがさごそとしている。

 

「風邪予防用のマスクってのを一応考えているんだ。この世の中には傷は治せても病気を防いだり治したりする魔法は無いからな。効果は気休め程度でも性能は確実にあるつもりだ。あとは素材があれば完成できる」

 

 カニを食しながら俺は話す。

 ミツルギの奴、結構な量くれたな、まだまだあるぞ。

 

「ほう、そんなものを……何時の間に考えたんだ?まさか魔王との戦闘中ではある

まいな?」

 

 ダクネスは再び甲羅の中に酒を注ぎながら興味津々に聞いてくる。

 

「前から少しは考えていたけど、インパクトに欠けるから作成してなかっただけだ。今までの経験から言って安定した収入源を見込めるならあるに越したことはないしな」

 

 魔王も倒したし、これ以上クエストなど戦いに多く関わりたくはない。

 税金の件もあるからあまりにも出かけないわけにもいかないが。

 

「そうですね。確かにいくらお金を持っていても、急にカズマが貴族の恨みを買ったり、大量のマナタイトを買ったりしたらすぐになくなってしまいますからね」

 

 ……確かにそうなのだが。

 少し不満そうにめぐみんを見てやると、少し酔っているのか頬が普段より赤い。

 

「それでもまあ、ちゃんとたまにはクエストも受けるさ。税金の件もあるけど、その、なんだ、たまに行く分には楽しいからな」

 

 それを聞いてダクネスとめぐみんは優しく微笑んできた。

 ううっ……バニルの言葉が無ければ絶対逃げてるぞ、これ!

 そんな二人から目を逸らすようにアクアの方を見るといなかった。

 珍しく全く絡んでこなかったのはいなかったからか。

 すると向こうからアクアがやってきて

「新しい宴会芸を披露するわ!」

 そう言ってきた。

 

 食事も大抵終わり、殆ど喋っている状態になった。

 

「で……俺は魔王をエクスプロージョンで倒した、というわけだ」

「……え!?今カズマ、エクスプロージョンって言いました!?ついにカズマも爆裂道に!」

「いやいや……魔力が足りなくて普通は撃てたもんじゃないって。少なくともマナタイトはないと俺は撃てん」

「じゃあ今度一緒に撃ちましょう!ウィズを誘ってもいいです!マナタイトならまだ貰ったのが沢山残ってますから!一つあげますんでやりましょう!」

「いいけど……今日めぐみんテンション高いな」

 

 酔っているせいだとも考えられるが、それにしても高いと思う。

 

「しかし、それではカズマはあの時もう死んでしまったのではないか?」

「魔王を倒した特典で生き返らせて貰ったからな」

「そういうことか……しかし女神といってもアクアの普段の様子からは全くそう思えないな」

 

 ダクネスはそう言いながら視線をアクアに向ける。

 アクアは「もう食べられない……」とベタな寝言を言いながら机に突っ伏していた。

 女神の威厳も何もあったものではない。

 

 そのままアクアを観察しているとめぐみんが立ち上がった。

 

「さてと、私はもう終わりにしますね。先にお風呂に入らせて貰います」

「分かった。私は片付けを済ませてから入るからカズマが先に入ってくれ」

「……ん?ああ、じゃあお言葉に甘えさせて貰うよ。めぐみん、酔ったままの風呂は危なかったりもするからあんまり長く入るなよ?」

 

 広間から出て行こうとしていためぐみんはちらっとこっちを見て

 

「分かってますよ。カズマこそ今日は二回も死んでしまっているのですから気をつけてくださいね?」

「はいはい、いいから早く入って来い」

 くすりと笑ったかと思ったら、小走りで風呂へと向かっていったようだ。

 

「……めぐみん大分テンション高くなかったか?」

「カズマ、その理由が分からないならとてつもなく鈍感だぞ?」

「似たようなことをバニルからも言われたな……」

「バニルに?」

「とてつもなく鈍感で記憶力の悪い男……だったか、そんな事を言われたな」

「まあカズマが鈍感なことぐらい重々分かっていたのだが」

 ダクネスが何かをぼそりと呟いた。

 

「おい、お前今何て言った?」

「私は皿を片付けてくるって言った」

 そそくさと皿を片付け台所へ立ち去るダクネス。

 ……誤魔化された気もするがまあ、いいか

 

 その後一人暖炉の前でボーっとしていると、風呂から上がってきためぐみんに声を掛けられ風呂へと向かう。

 最初はゆっくり浸かろうかとも考えていたが、何かそわそわしてしまい早めに上がることにした。

 自ら動くと思うだけで緊張してしまっている。

 

 バニルの奴……まさかこんな事を言ってくるとは……確かに言われなければ恐らく引け腰になって逃げていたのだろうが、無茶振りもいいところだ。

 全く何年童貞やっていると思ってるんだ……見通されているから分かっていっているんだろうけどな……

 

 そんな事を考えながら脱衣所に向かうと何故か私服姿のダクネスがいた。

 

「……おい、何でいる」

 ダクネスは少し気まずそうにしながら

「ん?皿を洗い終えたから風呂に入ろうと思ってな。カズマはもういいのか?」

 と抜かしてきた。

 

 ……完全に俺が入っている間に入ってこようとしただろ、こいつ。

 

「……お前、やっぱり痴女ネスだったのか」

「ちちち違――!なんでそうなるんだ!?」

「俺が入っているのを分かっているくせに風呂に入ってこようとすればそうなるだろ。それにもうあがるから」

「う、うう……」

 

 何も言い返せないからか赤くなりながらも俯くダクネス。

 その間にさっさと着替えてしまい面倒なことになる前に出ていこうとした。

 

「待ってくれカズマ、今から何処に行くんだ?」

「?とりあえず暖炉の前でしばらくぼーっとするつもりだ」

「そうか……」

 ほっとしたようなダクネス。

 

「何かあるのか?」

「ななな何も無いから気にするな」

 そう言いバンと脱衣所のドアを閉められた。

 

 なんだったんだ、一体……?

 

 

 ダクネスに言ったとおりしばらく広間でぼーっとした後、自室に向かおうとした。

 

 いや……待て、このままめぐみんの部屋に向かったほうがいいかもしれない。

 

 俺はバニルの忠告を思い出しめぐみんの部屋に踵を返した。

 

 しかしどう声を掛けて部屋に入ったものか……というかやはりいきなりこれは難易度高すぎるだろ!

 

 どうしたものかと考えながら廊下を進んでいると

「あれ、カズマどうしました?こっちに来るなんて」

いきなり問題に遭遇してしまった!

 

 いや、落ち着こう、逃げるのはだめだ。事実だけ伝えていこう。

 

 目の前にはあの時の黒いワンピースを着て枕を抱えて小首を傾げているめぐみん。

 

 うん、逃げちゃだめだな。

 

 必死にどういう言葉を掛けるべきか今まで生きてきた人生の中から思い出す。

「ええっと……めぐみんに伝えたいことがあってめぐみんの部屋に行こうかと」

 めぐみんは一瞬驚いたような顔をしたが、その後優しく微笑んだ。

「いいですよ、入ってください」

 

 や、やばい、これだけでも頭がパンクしそうだ。

 

 めぐみんの部屋に入り、とりあえずベッドに座る。

 めぐみんは扉の 鍵を閉めた。

 

 え……閉めた?

 

「それで話ってなんですか?」

 

 何事もなかったように聞いてきた。

 

 いや、鍵云々は関係なく話はするけどね?

 ここで反応間違えたら怖いんですけど!

 なんかめぐみんの瞳が少し紅く光りだしてるんですけど!

 

「あ、ああ、そうだな。俺たちって友達以上、恋人未満の関係じゃん」

「ええ、そうですね」

 

 そうですね、と言いながら少し不満そうなのは何?!

 今のもだめだったの?!

 ええい、もうヤケだ!

 

「えーと、だな。その、俺はめぐみんの事が異性として好きだ!正式にお付き合いさせてください!」

 

 沈黙。

 ……やってしまったか?

 

 顔を上げてみると拗ねた様な表情を浮かべためぐみん。

 

 可愛いのだが、さてこれはどうしたものか。

 

 おろおろと反応に困っていると

「私の、どんなところが好きなんですか?」

と聴いてきた。

 

 ……あっ、めぐみんは確かに告白してくれた時に全部言ってくれた。

 褒められたようなことを言われた気はしなかったが。

 

 思いつく限り言わなければ駄目だろうな。

「爆裂魔法に全ての捧げている所が好きだ。何だかんだでちゃんと話を聞いてくれる所が好きだ。こんな俺でもいわれの無い非難ならば怒ってくれるところが好きだ。俺を手玉に取るようなところが好きだ。たまに急に照れてしまうところが好きだ」

 めぐみんは少し赤くなり照れているようだ。

「それにパーティー全員の事を良く考えている所も好きだ。容姿も含めてそんなめぐみんが大好きだ」

「あ、あの……言わせておいてあれですけど、これ、言われてるほうが恥ずかしいですね……」

 真っ赤になるめぐみん。

 

 必死になって言ったが、これだけすぐに出てくるぐらいには、俺はめぐみんの事が好きになっていたらしい。

 他人事みたいだが、本当に自覚はなかった。

 

 だが、思い返せば戦闘に必要になる可能性があるとはいえ、単純にそれだけの理由で、あれだけのマナタイトをプレゼントとして渡すのは確かに変だろう。

 それこそダクネスをお金で助けた時とは意味もやり方も、必要性も違う。

 

「それで……返事を貰っても……?」

 恐る恐る聞いてみると、めぐみんはくすくす笑った。

 そしてそっと耳元に顔を近づけると

「駄目って言うと思いますか?これから二人で凄い事をするっていうのに」

と、囁いてきた。

 

「いいですよ。着ているのは前と同じ服ですが、もう慣れてしまったとかは無いですよね?」

「だ、大丈夫だ、似合ってるし」

「ふふ、それではあかりを消してきますね」

 部屋のあかりが消え、月明かりが差し込みめぐみんを照らす。

 あまりにもその白い肌と黒いワンピースの姿が映え、とても綺麗で一瞬言葉を失った。

 

 なんかもう魔性過ぎてついていけないよ!

 

「カズマ、どうしました?」

 そういいながら抱きついてきためぐみん。

「い、いや、前は暗くてよく見えなかったけど、あまりにも綺麗で言葉が……」

 

 何馬鹿正直に言っているんだ、俺は。

 

「そ、そうですか。な、何か前よりも少しは女心が分かるようになってきているみたいで嬉しいのですが、カズマらしくはないですね」

 そう言いながらも赤く頬を染め、こてんとベッドに横たわる。

 

 そりゃあらしくないって自分でも思ってるよ!

 そうでなくとも、もう辛い。

 

「大丈夫ですよ、分かっていますから。好きにしてくれていいんですよ?」

 そう微笑みながら横たわったままこちらに手を伸ばしてきた。

 

 流石にここまでさせておいて、何もしないのもどうかと思う。

 意を決すると、めぐみんに体重をかけないように気をつけながらその上に覆いかぶさった。

 以前と同じようにそっと背中を抱きしめてくるめぐみん。

 その目は少し潤んでいて、そのうえ安心したような表情を浮かべている。

 前よりも物凄く魅力的に見えて、かなり緊張してしまう。

 

 そういえばまだ俺からキスはできてなかった。

 雰囲気も大事だとは思うが、こちらからキスしていないのも悪いだろう。

 めぐみんの頬に右手で触れると、めぐみんは俺の手の上に自らの左手を重ね、心地良さそうに目を細めた。

 

 う、やっぱりこれだけで緊張と興奮がマックスになってしまう。

 

 心地良さそうに目を細めて俺の手を撫でてくるめぐみんに、そのまま顔を近付けていく。

 何をする気か察しためぐみんが、コクリと小さく唾を飲み、目を閉じた。

 

 緊張するが、それと同時に、急がないとという気持ちがあった。

 なぜだかは分からないが、こういう時ってのは大概邪魔が入るのだ。

 そう思いながらもめぐみんに口付けた瞬間、

 

 ドンドンドンドン!

 

 誰かに扉が叩かれた。

 その音に思わず口付けたまま固まる二人。

「めぐみん起きてるー?ってあれ?鍵が締まってるわね。もう寝ちゃったのかしら。カズマがいないから何処にいるか聞こうと思ったのに」

「はぁ……あいつのことだ。昼間あんなこと言っておきながら夜遊びにでもいったのだろう。まったく、こっちが気合をいれて準備しておいたというのに……」

「ダクネス、今最後のほうなんて言ってたの?ねえ、赤くなってって、ちょっと待ってってば!走って逃げないでよ!」

 

 バタバタと走り去っていく音を聞いて全身から力が抜ける俺とめぐみん。

 そんな様子にお互いが笑い出す。

「こういうのが、私たちらしくて良かったんですよね?」

「可笑しな話だけどな」

 

 あのお陰で緊張が解れて多少余裕ができた。

 そのまま再びめぐみんに口付ける。

 あの時のお返しだといわんばかりに俺はめぐみんの口を吸った。

 しばらくそうした後唇を離す。

 

「……んっ。……あの二人には後で報告しなければいけませんね」

 

 めぐみんは微笑みながら期待したようにこちらを見てくる。

 また再び口付ける。

 今度はめぐみんに口を吸われ、徐々に頭がぼーっとしてきた。

 

 そのままお互いに抱きしめあったが、あれ、先に進むタイミングが分からない。

 前は衝動に駆られてしそうになったが、今は比較的冷静だった。

 いや!この場合冷静じゃないほうがいいんだけど!

 

「えっと……」

「……キス以外はしないんですか?私だってしたくない訳じゃないんですよ?」

 めぐみんはこちらが躊躇っているのを見て不安そうに尋ねてくる。

 

 その言葉と表情だけで頭が沸騰した。

 めぐみんに再びキスをしながら右手を慎ましやかなめぐみんの胸にあてる。

 すこしピクンと身体を強張らせためぐみんだったが、

 

「いいですよ?」

と微笑んできた。

 

 軽く揉んでみると大きさこそ無いものの、とても柔らかった。

 ドサクサに紛れて触ったりしたことはあったが、こんなにも魅力があるとは思わなかった。

 

「ふふ、そういえば前に見たいって言っていましたね?どうします?」

「是非に!」

 めぐみんは俺の反応に微笑みながらもワンピースを脱ぎ始めて、黒の下着姿になった。

 

 形が良いっていうのは本当だったんだな……

 馬鹿みたいにずっと凝視していると、

 

「……見るのに夢中になるのもいいですけど…その」

 めぐみんは困ったような嬉しいような表情をしていた。 

「ご、ごめん。想像以上に綺麗だったから、つい」

 俺は再び胸に右手を伸ばしブラの隙間から手を入れた。

「……んっ。どうですか?」

「……ずっと触っていたいような柔らかさだ」

 左手でブラを外そうとするが、どうしたら外れるのか分からず悪戦苦闘する。

 

「やっぱり、そこまで格好はつきませんよね」

 悪戦苦闘している俺に「待ってくださいね」と告げブラのホックを外した。

 

 外されると陶磁器のように白い肌に少し色が違う小さな蕾が見えた。

 めぐみんは祈るように手を口元に持っていった。

 そろそろ我慢も限界が近いが、慌ててしたらめぐみんが辛いだろう。

 なんとか衝動を抑え、しばらく胸を触っていると少しずつだが、めぐみんの息が荒くなり、目が潤んできていた。

 

 そろそろいいか……?

 

「下、脱がせてもいいか?」

「ここまでやっておいてお終いだって言ったりしたら、爆裂魔法を撃ち込みますよ?」

 顔を赤くしながらふいっとそっぽを向くめぐみん。

 

 その反応を許可とみてパンツを脱がせた。

 ……直接見る度胸なんてなかったのでめぐみんの顔を見ながら右手でめぐみんの下腹部を触る。

 なんとか目標地点にたどり着き軽くなでた。

 

「んっ……」

 初めてめぐみんの口から声が漏れる。

 そこは既に軽く湿っていた。

 これはやばい、他の形容ができないほどやばい!

 そのままなでた先の肉芯を湿らせ指先で転がす。

 

「あっ……ふうっ……!」

 肉芽を転がし始めてすぐにめぐみんは抱きついてきた。

「す、すみません、もう少しだけ、ゆっくりで……」

「ご、ごめん」

 

 痛かったのだろうか、抱きついたままそう告げてきた。

 弄る速度を落とし指の腹で優しく触る。

 たまにぎゅっと強く抱きついてくるが、特に何も言わず声を漏らすめぐみん。

 ……感じてくれているのか?

 もう一度なでてみると結構濡れてきていた。

 そこで右手の中指を入り口に当てた。

 「いれるぞ」と言いながら中指を差し込む。

 

「んっ……はあっ……」

 

 中をゆっくりと広げるように指を動かしていると、たまにきゅっと締まる。

 めぐみんの顔を見ようとすると、急にキスをされた。

 めぐみんが離れ、顔をみるとなんとも言えない様な表情をしていた。

 そのまま中指で中を弄りながら右手の親指で軽く肉芯を弄る。

 

「んっ!カズマ、待って、ください、そこ弄られると、変な感じが……!」 

 急な刺激に驚いたのか再びぎゅっと抱きついてきた。

 「大丈夫だから」と囁きながら弄る速度をあげる。

 

 こんなときにサキュバスの夢が役に立つとはなぁ……

 

「んんっ!んんんんっ!」

 

 突然抱きつきながらがくがくと痙攣しためぐみん。

 イったのだろう。

 

「はあっ……はあっ……」

 

 呼吸が少し落ち着いてきたらめぐみんは抱きつきを緩めた。

 それに合わせて挿れていた指を抜いた。

 

「カズマ、きてください」

 瞳が興奮からか物凄く紅く光っている。

 期待に応えるようにさっさと服を脱ぎ身体をめぐみんの足の間に入れる。

 我ながらよくここまで持ったと思う。

 

「……本当に、いいんだな?」

 

 今更な気もするが一応確認しておく。

「馬鹿ですね、ここまでしておいて。それに、いいって何回も言っているではありませんか?」

 呆れながらも楽しそうに笑うめぐみん。

「分かった。めぐみん、嫌だったり痛かったら言ってくれ。話なら聞くから」

「それ、そうだとしても止めるかどうか分からないって意味ですよね?」

「ここまで我慢して止められる訳ないだろ!」

「カズマ!?今までの期待返してください!雰囲気が台無しですよ!」

 

 そう喋りながらも少しずつ挿入していく。

 

「んっ……本当に、肝心な時には締まらない男です全く」

 諦めたように、でも期待しているように頬を染めながらめぐみんは呟いた。

「全部、入ったぞ。大丈夫か?」

「はい……なんか変な感じはしますが……」

 めぐみんに軽く口付けし、動きだす。

 

 こ、これはすぐに果ててしまうかもしれない。

 あまりの気持ちよさに身震いする。

 

「は、あっ……!」

 

 動くたびめぐみんから先程より大きい声が漏れ出す。

 痛そうではないので動く速度をあげる。

 流石に先に果ててしまうのはいくらなんでも格好がつかない。

 何とか我慢しなければ!

 

「っカズマ……んっ、また……!」

 めぐみんがきゅっとこちらにしがみついてくる。

「俺も……そろそろ……いいか?」

 めぐみんはそのままコクコクと頷いた。

「そのまま……一緒に……!」

 

 その瞬間爆ぜた。

 

「あっ……!んんんんっ!」

「ぐっ…!うあっ……!」

 

 お互いに抱き合って繋がったまま荒い息を整える。

 

「こんなに凄いなんてな……」

 

 ここまでだとは思わなかった。

 そのままめぐみんを見ると

 

「ふふ……どうしたんです……?カズマはこれぐらいで満足なのですか……?」

 

 ………………

 お望みどおりやってやろうじゃないか!

 

 夜はまだ始まったばかりだ。

 

 

 

「ふふっ、いっぱいしましたね…」

 くたっとベッドに横になりながら微笑みかけてくるめぐみん。

「だ、大丈夫か?……色々と……その」

 

「心配しなくても大丈夫ですよ。ただ、もし出来てしまったときは宜しくお願いしますね?」

 うっとりとした表情のままそんなことを言ってくる。

「……分かってるよ」

「でも子供ですか……ふふ、前にも名前を付けるならば私がつけようって言っていましたよね」

 

 とっても楽しそうに話すなぁ……

 少し考えることがあり提案してみることにしてみた。

 

「それなんだが……」

「私のネーミングセンスに――」

「いや、二人で考えないか?まだ気は早いだろうからもう少し考えててもらってかまわないし」

 

 何を勘違いしたのか何も言い切らないうちに反論してきた。

 多分前のことを根に持っていたのだろう。

 伝えたい事を遮って伝えてみたが……どうだろう。

 

「……そうですね。その方がいいかもしれないですね」

 

 めぐみんはそのまま軽いキスをしてきた。

 ちなみにまだお互いに裸のままだ。

 今ので少し恥ずかしくなり切り出す。

 

「えっと、あのローブを着ていないとボンってなるだろ?そろそろ持ってこようか?」

「まだ大丈夫ですよ。それにもう少しこうしていたいですし」

 ドキッとさせるような事を言いながら抱きついてくるめぐみん。

 

 どうしてこんなにも可愛らしいのだろうか。

 限界までやったはずなのに下手したらまたなるぞ?

 

「カズマ、顔真っ赤ですよ?」

「め、めぐみんが、か、可愛いことするからだよ!」

 めぐみんもそれを聞いて真っ赤になった。

「そ、それでどうするんですか?いっそこのまま寝ちゃいましょうか?」

 話題を変えるためかそんなことを言ってきた。

「それは起きたら爆裂魔法に巻き込まれて死亡とかありそうだから、とりあえずローブは着てくれ」

「冗談ですよ。……そうですね、汗もかきましたしもう一回お風呂に入りましょうか」

「分かったよ。俺はどうしたらいい?部屋に戻っていたほうがいいのか?」

「何を言っているのですか?一緒に入るに決まっているではありませんか」

 

 さらりと何を言っているのですかめぐみんさん!

 

 ささっと着替えて風呂に向かった。

 俺は先に風呂を温めて入れるよう準備をした。

 腰にはタオルを巻いているだけですぐに入れる状態だ。

 

「こっちはもう入れるように準備したぞ」

「はい、今から入りますよ」

 脱衣所からバスタオルを巻いためぐみんが入ってくる。

 お互い適当な話をしながら身体を洗い、湯船に浸かる。

「ふぅ……なあ、めぐみん」

「なんですか?」

「広いのになんで俺によっかかってんの?」

「ここがいいからです」

「まあ、いいけど。それよりすぐじゃなくていいからいつかもう一度挨拶しに行こうか」

 

 実際行こうと思えば家はアクセルにあるのですぐに行ける。

 

「わざわざ行かなくても大丈夫ですよ。私の両親はその気みたいでしたし」

「そうか……となるとやはり困りそうなのはアクアとダクネスへの説明か」

 ダクネスにはめぐみんから言って貰えば何とでもなりそうだが、アクアはどう出るかが全く読めない。

「特に気にすることもありませんよ」

 めぐみんは嬉々としながら俺の腕を自分のお腹にまわさせながらいった。

「向こうが気が付いたら言えばいいではありませんか」

「それでいいのか……?」

「いいんですよ。どうせダクネスはカズマの部屋にいて薄々感づいているでしょうし、アクアは言わなければ何時までも気付かないでしょうから」

 

 ふむ、それもそうか……っておい!

 

「ダクネスはなんで俺の部屋にいるって思うんだよ?!」

「どうせまたカズマの部屋に忍び込んで待ち伏せて、私が先に来たらクローゼットの中に入りでもして性欲持て余して、こちらに乱入したり邪魔したりするつもりなんだろうな、と考えれば自然と分かりますよ」

 

 なんだか普通に想像できてしまう。

 というかつまりダクネスの何処へ行くという質問はそういう意味だったのか……

 

「来なかったら来なかったでこっちに必ず来ると思いましたので、カズマには悪かったですが鍵を閉めたんです」

「どうしてって聞いたら怒るか?」

「今更なので怒りませんよ。……初めてぐらい誰にも邪魔されず捧げたいじゃありませんか」

 そんないじらしいことを言ってくるめぐみんにまともに返せる言葉など持っているわけも無く、ただ頬が熱くなるのを感じるしかない。

 

 多分お湯を熱くしすぎたんだな。

 

 そんな風に現実逃避しているとめぐみんは耳元で小さな声で囁いてきた。

「もう普通の彼氏、彼女の関係なのですからね?あんまり他の女の方に変なことしたりすると怒りますからね?」

 

 風呂も上がり、めぐみんに誘われるままめぐみんの部屋で一晩明かした。

 

 




初めて作品を投稿させていただきました、双碧と言う者です。勢い半分で書き始めてしまったこの作品ですが、お楽しみいただけたでしょうか?細かいところの表現は気にしないでいただけると助かります。連載予定ではありますので気に入っていただけたのであれば、生温かい目で見守っていただけると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。