※この作品はR-18です。

このすば後日譚(Web版世界)   作:双碧

9 / 23
第七話~この素晴らしい街に平穏を!~

 ギルドからの緊急招集を受け、朝早くから俺達は冒険者ギルドにやってきていた。

 

「さて、冒険者の皆様に集まって頂いたのは他でもありません。この街に、王都を攻めていた魔王軍主力が近日中に襲撃に来るという事についてです」

 

 ギルドの中のテーブルは、企業の会議室を再現したみたいに、円を描くように並べ直されている。

 そして街中の冒険者達が所狭しと席に着いていた。

 

「その……。どうしてこの街に?それに、いつ、どれくらいの規模で攻めてくるとか分かっているのですか?分かっていれば王都の騎士団に救援要請を出して……」

 プリーストの女性が手を上げそう発言する。

 それに従い他の冒険者も頷く。

 しかし司会進行をしているギルド職員は首を振り、

「大体三日後には襲撃されるという位置に目撃情報があります。目的は不明ですが……。規模は先月の王都への襲撃時の魔王軍と変わらないぐらい、と。陸路でこちらに侵攻中です。前回の襲撃時よりも遥かに厳しいレベルの敵の強さと規模が予想されます。そして、王都への救援要請ですが……。現在そちらにもかなりの襲撃が行われており戦況は五分五分……」

 

 ギルド職員は頭に手を置き、ため息をこぼしながら、

 

「応援は期待できないものと思ってください。前回同様、王都に各街から援軍が向かっている状態です。今回の規模は、過去最大で、魔王城が何故か無くなったからといわれていますが……。どうにかしてこの街は我々だけで守らざるをえません」

 ギルド職員はそれだけ告げると、しずんだ空気のギルド内を絶望したような表情で見渡した。

 

 冒険者達が思い思いに意見を言う中、俺はめぐみん達とゆんゆんを呼び、ギルドの隅で話を聞く。

「めぐみん」

 声をかけると驚いたようにビクつき明後日の方向を向く。

「な、何ですか、カズマ」

「正直に、全てを話せ」

 

 俺が肩を掴み顔を向き合わせると、目だけ逸らす。

 

「え、笑顔が怖いですよ!?話さなかったらどうするつもりなんです?」

「こんな場所ではとても言えない様な事をするつもりだが、どうする?」

 そう告げると観念したようにため息を吐きながら、

「……分かりました。魔王城から帰ってきた次の日から腹いせに毎日爆裂魔法を撃ち込んだのですよ」

 

「どこに?」

「……魔王城にです。当然ゆんゆんにテレポートを頼んだ上で、黙っててもらいました」

 

 脇でゆんゆんが青い顔をしている。

 大体聞かなくてもそろそろ先は分かるが……

 

「それで?」

 聞くとめぐみんは気まずそうにおろおろとしながら、

「その、毎日叩き込んでいるうちに……その、城が消し飛びました」

「バカかっ!!?そりゃ魔王の娘も脇目も振らずこの街に来るわ!」

 縮こまるめぐみん。

 その脇でアクアが騒いでいる。

「ど…どうしましょうカズマ!いっそお金もあるし逃げちゃいましょうよ!」

「街を放って私は逃げない。それに魔王よりも強いというではないか……想像すると……」

 ヘタレるアクアと、もじもじし始めるダクネス。

 

 ダメだこいつら……

 

「とりあえずお前らは黙ってろ!今回のこれは俺のパーティーが引き起こした事だ、俺達が解決しなきゃダメだろ!ゆんゆんもだ!」

「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!私がめぐみんを止めていればっ!」

 俺の発言を受けて一人以外表情を暗くする。

 

「さてと……めぐみん、あのマナタイトはどれくらい残ってる?」

 めぐみんは思い出すようにしながら、

「百近くはまだ残っていると思います」

「結界の時のように爆裂魔法で吹き飛ばせ」

 

「「「ちょっ!?」」」

 

 俺がさらりと言うと全員が軽く引いていた。

 めぐみんがおずおずと言った様子で俺の袖を引き、

「あ、あの流石に、あれを他の人に見せるのは……」

 とらしくもないことを言ってきたが、アレを他人に見せるつもりは毛頭ない。

「お膳立てならする。すぐにでも出れるよう準備をするぞ」

「どういうことです?」

 皆疑問に思ったらしくめぐみんが代表して聞いてきた。

 

 俺は魔王城に言った時のギルド職員の話を思い出しながら話し始める。

「前回の話だとテレポートでこの街に魔王軍を送ったはずだったな?」

「そうですね」

「つまり、他の冒険者には街をそのまま守ってもらう。予定では俺達は出向いて爆裂魔法で本隊を叩きに行く。でもその間に何十体がテレポートで送られてくるか分からないだろ?」

 皆こくりと頷く。

 

「ならば、俺達が先行して引きつけて、抜けていったのを街の皆に倒してもらうという形にすればいいだろ」

「確かにそうですが……説得もそうですが、そもそも上手く近づけるんでしょうか?」

 不安そうに聞いてくるめぐみん。

 確かに俺達のパーティーだけなら不可能だろう。

 

 俺は脇目でゆんゆんを見ながら具体的な移動と作戦を伝える。

「その為にゆんゆんが居る。光を屈折させる上級魔法を使ってもらい、俺が潜伏スキルを使えば比較的安全に移動できる。そうすればめぐみんの独壇場だ。ある程度減ったら逃げられたくないので俺とダクネスが接近して戦う。アクアには道中のアンデットの処理と回復、支援を頼む。俺は今からギルドの全員を説得してくるから、荷物を持ってきてくれ。戻り次第出発できるようにしておくから」

 全員納得したようで、ギルドから出て行く。

 

 俺はテーブルのほうに戻り職員に尋ねる。

「なあ、その魔王軍の詳しい位置とか分かるか?」

 広げてある地図を見て、アクセルからそう遠くない位置を指差す。

「昨日の昼、ここの辺りに目撃情報が…」

 

 この場所なら今ならば馬車を借りれれば何かあっても半日もかからず行ける位置にはいるか。

 

「それじゃあ、俺達のパーティーが本隊を叩きに行きますよ。めぐみんの爆裂魔法で大分削ってきます。それで無理そうでもテレポートを使用すれば戻ってこれるので。基本的に街の冒険者には街付近で守っていてもらって、テレポートで来た奴や、俺らが取り逃した奴を倒してはくれないか?王都で引き分けたくらい強いらしいから全力で守りを固めないとヤバイ」

 そう全員に聞こえる様に発言すると、

 

「何水臭いこと言っているんだ!俺達も付いていくぜ!」

「英雄に頼ってばっかいられないでしょ?」

「街は皆で守るんだ!誰か一人に負わせないぞ!」

 そんな風な意見が多数飛び交う。

 

「いや、少人数の方が気付かれず攻めることができて危険が少ないから大丈夫だ」

 俺は当たり障りの無い言葉を伝え納得させていく。

 

「佐藤和真。君達だけでは厳しいだろう?僕達もついていこうか?」 

「ハツラギか。お前には街に来た奴を先陣切って相手してもらうつもりなんだが」

 俺がミツルギに面倒そうに返すと渋い顔をしながら言い返してくる。

「君はミツルギだと何回言ったら……まあいい。それよりアクア様を守るためには……君では実力不足だろう?それも本隊となれば尚更では?」

 ミツルギがそんな事を言ってくるので、仕方なく近づき小声で話し始める。

 

「ここだけの話だが、今日俺達はめぐみんに爆裂魔法を乱発させて魔王軍を壊滅させるつもりだ。他人には見せられたものではないから建前でこう話しているんだ」

「君って奴は相も変わらず他力本願な……真剣に勝負する気は更々ないのか?」

 

 これだからチート持ちの甘ちゃんは…

 

「いいか、これは戦争なんだ。格好をつけるのは勝手だが、なるべく被害を最小にするのが第一だ。その為に手段は問わない!邪魔するなよ?もしするならそれ相応の覚悟をしてもらうからな?」

 そう告げるとミツルギは顔を引きつらせながら離れ、

「一体今度は何をさせるつもりなんだ君は……分かったよ。僕も説得していこう」

 しぶしぶといった様子だが説得を始めていく。

 それと同時に仲間達がギルドの中に入ってきた。

「それじゃあ、仲間も戻ってきたので行ってくるわ!」

 

 

 

 馬車の中から千里眼スキルと敵感知スキルを使用し先を見ている。

 馬車はダクネスが捌き、めぐみんはマナタイトの詰まったリュックの中身を確認している。

 アクアにはモンスター避けの神聖魔法をそれぞれ掛けてもらい、ゆんゆんには馬車自体に光を屈折させる魔法を使用してもらっている。

 現状何にも出会わず五時間近く進んでいる。

 

「なあ、カズマ。このまま進んでいって本当に大丈夫なのか?」

 不安そうにダクネスが聞いてくる。

「今向かっている場所は台地の上のほうでめぐみんの射程を最大限生かした地形だ。魔王軍が通りそうな上を取れるだろうしな。そして通過するところを狙って撃ち込む。よろしく頼むぞめぐみん」

「任せてください。自分で蒔いた種ぐらい自分で何とかします!」

「俺達がついてきてる時点で何とかなってないだろ!……ったく」

 

 呆れながら前方を見ていると多数の動く何かが感知に入った。

 千里眼でようやく見える程度なので時間的に間に合ったようだ。

 

「アクア!俺達全員に運を上げる支援魔法!」

「全く人使いが荒いわねカズマさんは……『ブレッシング』!ほい、これでいい?」

 

 そして目的地付近に馬車を止め崖の上に待機した。

 その場所は見晴らしが良く、脇からは下の街道に移動することが出来そうな獣道もある。

 

「本当に大丈夫なんでしょうか……」

 ゆんゆんは心配そうに崖の下を見つめる。

「心配性ですね、この娘は!我が爆裂魔法の威力に何か不足でもあるとでも?」

 めぐみんは杖でゆんゆんの頬をぐりぐりしているが、ゆんゆんはそれに対して何も言わず、

「確かにめぐみんの魔法は凄いけど……その、めぐみんの身体への負担が……」

 

 それは確かに心配ではあるな。

 めぐみんをみると両手をバッと広げゆんゆんに近づいている。

 

「ほうほう、ゆんゆんは私の身体が未熟だからまずいのでは、とそういうのですね!?」

「違うってば!?なんでそうなるの!?って腹いせで胸をちぎろうとしないで!痛い痛い!友達が無理しそうなら止めるでしょ!?」

 

 騒ぎながらじゃれあっている二人。

 なんでこんな緊張感無いんだろうな……

 

「少し静かにしたほうがいいぞ?いくら魔法で姿消してるとはいえ、音は消えてないしな。一応千里眼で見える範囲の中に大分入ってきてるし、正直あれをまともに相手したら、アクセルなんて一瞬で消し炭かもしれないぞ?」

 

 俺の目には敵感知など使わなくても見える位置に魔王軍を捕らえられている。

 その中にはドラゴンらしきものや、ワイバーン、その他やばそうなモンスターや、以前魔王城で見たことのある騎士風の奴までいる。

 

「そんなに強そうなのか!?私は最初から下にいては」

「駄目に決まってるだろうが!流石に邪魔するなよ、こういう時は!街民が全滅するぞ!」

 身体をくねらせて赤い顔をしている変態に制止の声をかける。

 

 あの日から吹っ切れたのか変態度が増しているような……

 いや、前からこんなもんだったか。

 

「わ、私の役目はここまでだったわね。それじゃあ私は一旦天界の女神達に挨拶を……」

 そう言って去ろうとするアクアの肩に手を置き逃げるのを止める。

「アクア、お前には回復という大役が残っているだろうが。逃げるつもりならお前の屋敷の中の勝手にかってる奴らを全部逃がすからな」

 そう告げるとアクアはしぶしぶ座り込む。

 

「あ、そうだ。俺も数発魔王軍に爆裂魔法撃ちこみたいんだが、めぐみん駄目か?」

「「「えっ?」」」

「いいですよ。元はカズマから貰ったものですしね」

 めぐみんはリュックからマナタイトを六つ程取り出し俺に渡す。

 

「なあ、アクア、これからここが阿鼻叫喚絵図になりそうなのは私の勘違いじゃないよな?」

「そ、そうね。でもこの二人を止めちゃ駄目よ?でないと私たちの先は無いわ」

 

 

 

「『エクスプロージョン』ッ!『エクスプロージョン』ッ!」

「『エクスプロージョン』ッ!ふはははは!何これ面白っ!一発だけで凄いレベルが上がるんだけど!」

 

 数刻後、魔王軍が丁度通過し始めたので攻撃を開始した。

 めぐみんの絶え間ない爆裂魔法の嵐により隊列はちりじりになり、魔王の娘らしき奴も側近みたいな奴に守られながら大慌てで逃げ回っている。

 たまに俺も爆裂魔法を放ってみると驚きの速さでレベルが上がり楽しくなってきた。

 

 ドラゴンみたいな奴も、空飛ぶ奴も、騎士風の奴も片っ端から消し飛ばされたり、転がされたり……

 めぐみんの瞳は爛々と輝き、頬も紅潮している。

 

「こ、こんなことが魔王城に入っている間に……っ!」

 ゆんゆんはめぐみんを真っ青になって見ていた。

 

 まあ、気持ちは分かる。

 

「散々怖がらせてくれたからいい気味ね!もっと逃げ惑いなさい!プークスクス!転がっているわ!魔王の娘って言っても大したこと無いじゃない!」

「何でアクアが得意げなんだよ?」

 というか発言がどう考えても女神のそれじゃない。

 まだ悪魔や吸血鬼のほうが余程マシな発言をするだろう。

 

「あ、カズマ。そろそろ数も減ってきましたしお願いしても大丈夫ですか?」

 ふらつきながらめぐみんは告げてくる。

 まあ、当然といえば当然だが鼻血が出ていたので濡れハンカチで拭きながら、クレーターだらけになった崖の下を見てみる。

 

 そこにはボロボロになった魔王の娘と数名の側近しか残っていないようだ。

「ダクネス行くぞ!先陣はお待ちかねだろう?」

「……ん。ようやくか」

 そう言いダクネスと俺は先に崖を下り、続いてゆんゆんも降りてくる。

 

 俺は弓を構え、呪文を唱え始めている側近と魔王の娘を狙撃し邪魔をする。

 

「『インフェルノ』―――ッッ!」

 

 後ろから熱風が通り過ぎ右側に構えていた側近三人を瞬く間に焼き尽くした。

 前にいるのは二人の側近と魔王の娘のみ。

 既に呪文を唱えるのは諦めたようで、側近二人は剣を構えダクネスに切りかかる!

 

「そんなものか!?手傷を負っているとはいえそんなものか!?もっと本気を出して切りかかって来い!ほら、早く!早くっ!」

 刃はダクネスの腕によって止められ、篭手に軽い傷をつけることしか出来なかったようだ。

「くぅ!こんな身でなければっ!お嬢様!お逃げください!貴女様がいればいくらでも!」

 勝ち目が薄いと踏んだのか逃がそうとする言葉をかける側近の一人。

 

 ダクネスが二人の側近を相手にしているようなので、そのまま俺は魔王の娘を逃がさないために、

 

「『バインド』―ッ!」

「「「!?」」」

 

 驚いたためか魔王の娘はあっけなく俺のバインドに引っかかり、すっころぶ。

 かかり方としては腕と首なので恐らくバランスを崩しただけだろう。

 

 その様子を見てか側近二人がロープを切ろうと戻ろうとするところを不死王の手で異常状態を与え、ダクネスが止めを刺す。

 その様子を見てか魔王の娘は目を見開きこちらに指を……

 

 これは……デスか!?

 

 気付いた時にはダクネスが俺の前に立っていた。

「『デス』ッ!」

 しかし何も起こらずダクネスは徐々に魔王の娘に近づいてゆく。

「『カースド・ライトニング』ッ!『カースド・ライトニング』ッ!カースド・ライトニンむぅ!」

 地面に這い蹲りながら魔法をダクネスに撃ち込んでいたがあっけなく口元を押さえられてしまった。

 

 ……ここまでやっておいてなんだが、正直可哀想な気もしてきた。

 親を俺に殺され、仕方なく魔王の後釜に居たかと思えばめぐみんに城を吹き飛ばされ……挙句の果てにまともに戦えず軍が壊滅させられたのだ、このまま倒してしまうのもなぁ……

 でも絶対ここで逃がしたらまた来ちゃうだろうし……

 

 そんな風に考え込んでいるうちにダクネスは魔王の娘の口の中に布を突っ込み喋れないようにしてしまっていた。

 

 何するつもりだよ……

 

「カズマ、とりあえず反抗も何も出来ないようにしてみたが……どうする?」

「どうする?じゃねーよ!可哀想だろうが!とりあえず質問するけど……もしこのまま逃がしても、また攻めてくるか?正直に答えろよ?」

 魔王の娘は涙目になりながらも頷いている。

 

 逃がしたら襲ってくる…か。

 

「ならばここまでだな。では……ん?どうしたカズマ?」

 剣を構えたダクネスは俺が手を伸ばし止めたのを気にした様だ。

「いや、レベルドレインでもした後に、バニルあたりに任せてみようかと思ってな」

 

 レベル一まで下げればしばらくは襲ってこないだろうし、バニルに任せておけばまあ生きているうちは悪いことにはならないだろうという判断だ。

 ダクネスは不思議そうな顔で見てきた。

「殺してしまうのは何というか、あまりにも俺達が酷いことしてきてるから……良心が痛むというかな…」

「……ん。それもそうだな…だがそれも十分酷いと思うが」

「言うなよ……そうでもしないと襲ってくるだろうから仕方ないだろ……」

 

 そうして青ざめる魔王の娘をレベル一にして縛り上げ直し、崖の上に待機しているアクアとめぐみんの所まで戻り、馬車で街へと帰った。

 

 

 

「へいらっしゃい!やや、最近我慢が続いている小僧と移動式殺戮兵器娘と珍しいお客であるな!閉店間際だが大歓迎である!今日はどういった用件か?」

 

 街に帰ってくると日も沈み暗くなってきたので、ダクネス、ゆんゆん、アクアにはギルドに報告をしてきてもらい、めぐみんと一緒にウィズの店を訪れていた。

 

「言わなくても分かるだろ?こいつ、魔王の娘の処遇をお前に任せようと思ってな。正直俺達が酷い事をし過ぎたから命を奪うのに躊躇いが出てしまって……」

「そういうことであるか。ふむ、先程ウィズが土地と城を先行投資ですから云々と発言し、我輩の殺人光線により真っ黒焦げにされておるが、よもや直に元が取れるとは思いもしなかったわ!フハハハハハハ!小僧と紅魔の娘は安心して帰るが良い!あとは我輩に任せておくが吉とでた!」

「魔王軍に再び入って攻めてくるとかではありませんよね?」

 めぐみんが半眼でバニルに聞く。

「そんな馬鹿な真似はするわけあるまい!む、悪感情美味であるぞ、娘よ!小僧達、またの来店をお待ちしているぞ!フハハハハハハ!」

 そんな言葉を聞き俺達は店を後にした。

 

 めぐみんと手を繋ぎ屋敷へと戻りながら話をする。

「大丈夫なんでしょうか、任せちゃって……」

 心配そうに見つめてくるめぐみん。

「任せなかったら殺るのか?無抵抗なあの状態の娘を?流石に俺だってそこまで出来ないぞ?」

「前、私がボンッってなってしまいそうな時は殺して里まで運ぼうとした人が何言っているのですか?」

 

 めぐみんが冷たい目でそんな事を……

 そんな事を……は?

 

「お、おお、お前っ、あれは緊急だったから仕方なくだな……というか何で知ってるんだよ?寝てただろ、お前」

「後からいくらでも話は聞けますから」

 言い訳する俺を一言で一蹴された。

 というか機嫌損ねてしまったか……

 

「ご、ごめん。謝るから……」

 とりあえず謝っておこう。

 

「フッ」

 謝ると何故かめぐみんに鼻で笑われた。

 

「おい、今なんで笑った?」

「いや、カズマは私が機嫌が悪いふりをすると毎回謝ってくるなと思いまして」

 めぐみんは口元を押さえながら嬉しそうに笑う。

 

 機嫌が悪いふりって、本当に最近手玉に取られ続けているような……

 

 俺が複雑な表情をしているのを見てか、めぐみんが話題を戻す。

「でも、あの悪魔はどうするんでしょうね?」

「さあな。また今度行ってみたときに聞いてみればいいさ。それより身体大丈夫か?いまだに熱い気がするが……」

 めぐみんの手はまだ熱を帯びているのか、握っている平がほんのり汗ばんでいる。

「大丈夫ですよ、前やったときも結局何も起きませんでしたし」

 

 うーん、少し心配だなぁ……

 

「そんなことより今夜は寝ないで待っていてくださいね」

 ぎゅっと強く手を握りながら告げてきた。

 

 こめっこがいたりして夜しばらく会えてなかったから、そんなこと言われると期待するんですが!

 でも、来たからといっても何も特段しなかったりも半分以上であるからなぁ……

 

「分かったよ。疲れてるから寝てしま――」

「寝てたら怒りますよ?」

 言い切る前にめぐみんが怒ったように遮る。

「なんで寝てるだけで怒られなきゃいけないんだよ?」

「なんでもです。さ、早く帰って夕食を作りましょう!」

 手を引かれながら買い物をし、屋敷へ帰った。

 

 

 

「で、そっちはどうだったんだ?」

 めぐみんの作った鍋をつつきながら聞いている。

「……ん。ギルド職員がめぐみんとカズマの冒険者カードを見て驚いていたぞ。これだけを本当に倒してきたのかと」

 ダクネスが俺達に冒険者カードを返しながら告げる。

「ついでに魔王軍がテレポートとかで来ていたみたいで、手傷を負った人を回復してきたのよ!」

「はいはい、お疲れさん。そういやゆんゆんは?」

「ダストとかいうチンピラに誘われて飲みに行ったわ。それよりちゃんと私を褒め称えなさい!」

 アクアが鬱陶しいので適当に返すことにした。

 

「そうだな。今日は邪魔せず、まともに役にたったもんな。えらいぞ」

「くっ……!子供をあしらうかの様な言い方なのに、あんまり褒められてなかったから嬉しく感じるのが悔しい!」

 仕返しのつもりか、アクアは俺の狙っていた肉を掻っ攫うと、得意げにそのまま口の中に放り込んだ。

 

 まあいいけど。

 

「被害などはどうだったんです?」

「重軽傷の者はいたが、死者はいなかったようだ。一部防壁が破壊されたらしいが、修復済みで、多少農地が荒れたが、収穫後だから差し障りがなかったらしい」

「つまり被害らしい被害はないんだな?」

 ダクネスは頷く。

「一応領主としての仕事が入るだろうから、明日からしばらく手伝ってくるつもりだが……」

 

 ちらりとめぐみんの方を見ると、

「あの街道をカズマがクリエイト・アースで元に戻してくれなければ私だって今回の件を何とかは出来なかったぞ?」

「それは言わないでやれよ……俺がやれって言ったわけだし、何とかした訳だしさ…」

 俺もちらりと見るとめぐみんはダクネスから目を逸らし葉物を頬張っていた。

「とにかく勝利祝いに飲みましょう!魔剣の人から高級酒貰ったのよ!皆にも分けてあげるわ!」

 ミツルギの奴、まだアクアのこと諦めてはいないんだな……気の毒に

 そう思いながらもアクアから酒を貰い飲み干す。

 旨いな……

 

 

 

「ん……う……?」

 

 自分の身体に何かが触れている感触を受け意識が徐々に覚醒していく。

 目を開いてみると、目の前には怒ったような拗ねたようなめぐみんの顔が。

 

「ようやく起きましたか、この男は。せっかく来たというのにまさか本当に眠りこけているとは思いもしませんでしたよ」

「疲れてたんだからしょうがなっ……!」

 軽く首を下に向けるとめぐみんは何も纏っておらず、俺の下半身も露出していた。

 

 え、つまり……?

「め、めぐみん……これは、夜這い……?」

 

 めぐみんは少し頬を赤らめながら、

「夜這いです。本当はこんな感じのつもりではありませんでしたが……寝ていたのでその分です」

「どこまで……?」

「まだ脱がせたまでですよ」

 そんな風に言ってくる。

 

 なんだ、そうか。

 それじゃあ腕を……あれ?右腕が動かないんだが……

 

「あ、右腕は前の手錠を使ってベッドに繋がせてもらいました」

 なんてことなく告げるめぐみん。

 

 ……………。

 

「眠っちゃったことは謝るから、外しては……」

「あげませんよ?」

 ですよねー。

 

 俺が青い顔をしていると、

「心配しなくてもいいですよ?毎回カズマからだったので、たまには私からしてあげようかなと思っただけですので。今回は本当に迷惑をかけてしまいましたから。そのままじっとしていてくださいね?」

 めぐみんは言いながらあそこに手を当ててくる。

 

 柔らかいその感触にどうしても反応してしまう。

「カズマは気が早いですね。これからというのに」

 くすりと笑いながら、足の付け根辺りに顔を近づけていくめぐみん。

 そのままぺロりと先端を舐める。

 

「っ!?」

「んむ、少し変な味がしますね……苦味でしょうか……」

 めぐみんはちろりと舌で自分の唇をなぞりながら呟く。

 

「め、めぐみん、もういいから!気持ちは十分受け取ったから、これ以上はしなくていいから!な!?」 

「だめです。こんな時にヘタレないでください。というより拒否権はありませんが」

 俺がヘタレて制止の声を上げるのを無視し、めぐみんはそのまま咥えこむ。

 

 あったかくて、舌でチロチロされるのがゾクゾクとして……そうじゃない!

「め、めぐみん!ど、どうしたんだよ本当に!?」

 俺の言葉を受けて、怒ったのかめぐみんの責めが加速する。

 

 ぐ……ヤバ…!

 

「出るから、口離せって!おい!ぐっ……!」

 めぐみんは頑なに口を離そうとせず、そのまま精を口内に放ってしまう。

 

 満足そうに口を離し飲み込もうとするめぐみん。

「苦い…ですが、少し甘いです…粘ついて飲み込みにくいですが……ふふ」

 

 何かぼそぼそと呟いているめぐみんに謝る。

「う、ごめん。あと、その、どうしたのか言って貰えると助かるんだけど……」

「言ったではありませんか。シてあげに来た、と。私がそうしたいからしているだけですよ」

 そんな事をいいながらめぐみんは俺の上に跨ってきてた。

 

 え……濡れてるの、か?

 

 自分のブツに感じる湿った感触。

 俺の困惑した表情を見てめぐみんは頬を赤く染めそっぽを向く。

「今思っていることは言わないでくださいね。言ったら後悔させてあげます」

 

 ……抵抗できないので大人しくします。

 左手は開いているものの押しのけたいとかは思わないし……うおっ!?

 

 めぐみんがこちらに倒れこんできた。

 慎ましい柔らかい感触が当たり、心拍数が跳ね上がる。

 それと同時に擦りつけるように腰を動かしてくる。

 めぐみんからは荒い吐息が漏れ、気持ちよさそうだが……

 

「め、めぐみん!?ど、何処でこんなこと覚えてきたんだよ?!」

 俺が慌てたように聞くと、動きを止めて首を傾げる。

 

「……?何処でも何も……経験的にどうかなと思いまして……ダメでしたか?」

「ダメじゃない!ダメじゃないが!」

 

 知らず知らずにそういう結論って出せるものなのかよ?!

 紅魔族だからか?それで済ませていいのか?

 

「ダメじゃないんですね。ふぅ……っ」

 俺の言葉を受けそのまま動き始める。

 たまにキスを交えながら、めぐみんの表情は恍惚としてきている。

 

 う、このやり方はやり方でまたヤバイ……!

 

「んっ……ふふ、そのままいいんですよ?その、~~~っ!?」

 

 めぐみんが喋っている途中で入ってしまった。

 めぐみんは達したのかそのまま強く抱きついてくる。

 

 締め付けが増し……っ!

 

「ぐうぅ……!あ…!」

 俺も遅れてだが達してしまう。

 そのままくたりとしたまま俺の胸の上でめぐみんは息を整えている。

「やっぱり、入れたほうが気持ちいいですね……んっ……また中で大きくなってきましたが…足りてないんですか……?」

「めぐみんが変な事を言うのが悪い……」

「構いませんよ、今日はいくらでもやってあげますから」

 

 え……!?

 

 そのままめぐみんに出来なくなるまでやられた。

 

 

 

 事後、めぐみんに手錠を外してもらい、裸のまま抱きつき合っている。

 

「まさか、ここまでしてくれるとは思わなかったけど……」

 何回したのか分からないが……後半はめぐみんのほうが凄いことになっていた。

「驚いたのはこっちのほうです。ここまで底なしとは思いませんでしたよ……」

 頬を紅潮させたまま告げてくる。

 

 まだ余韻が強いらしく、その瞳はぼーっとしており焦点があってないように見える。

「とりあえず風呂に入るか?」

「いえ、ここでこのまま寝てしまいましょう。ローブは着ますけど……流石に体力が残ってないので明日の朝にでも入ります」

 ぎゅっと抱きしめながらそう告げてくる。

 

 その頭を撫でながらちょっと思った事を告げる。

「なんか身体熱くないか?」

「やった後ですからこんなもんですよ……ローブ着てきますね」

 

 そんなもんか……?

 めぐみんは抱擁を解くとベッドの中でもぞもぞする。

 俺も脱がされた服を見つけ身に着けていく。

 

「とりあえず明日はバニルの所に行ってくるつもりだが、めぐみんはどうする?」

 俺の腕を枕にして寝ようとしているめぐみんに聞く。

「朝一で爆裂魔法を撃ちに行きたいので付き合ってくれると助かります」

「おう、分かった」

 いつものことなので大したことでもなく引き受ける。

「特にすることも無いので、帰りに私もカズマの用事に付き合いますよ」

 

「そうだな。それは助かる。……なあ」

 思い立つことがあり聞いてみることにした。

「なんですか?」

 

「明日、書類上の入籍をしてしまおうか?」

「やや、藪から棒にいきなりですね!?構いませんけど!どうしたのですか!?」

 急な提案だったからか、頬を染めながら慌てるめぐみん。

 

 可愛らしいよな、やっぱ。

 

「いや、多分このまま結婚しても関係はあまり変わらないんじゃないかなと思ってな。そんなことで切れたりするぐらいじゃない関係だって分かったからというか……」

「……そうですね。では明日行きましょうか」

 

 そうして二人で微笑みあいながら眠りについた。

 




第七話目を投稿させて頂きました、双碧という者です。大晦日まであとわずかながらに書き上げました内容ですが、お楽しみいただけたでしょうか?恐らくこちらが今年の〆の投稿になると思います。今年と言っても短い期間でしたが、閲覧していただきました皆様に感謝です!ありがとうございます!来年も投稿を継続していく予定ですので、もしよろしければ親鳥が小どもの鳥を見守るが如く、優しくさり気無く見守っていただければ幸いです。それでは良いお年を!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。