SOULTAMARS(ソウルテイマーズ) 作:プロトコル・アンデルセン
まさか、あの日が来るまでは.....。
西暦2048年、某国研究施設____。
自動散弾銃と強化合成樹脂アーマーで武装した無数の警備兵達は、貨物エレベーターの前で対爆シールドを構えながらただ、エレベーターの位置を示す階層ランプが34階に昇るのを黙視していた。
警備兵達が居るのは同じく34階。極限まで張り詰めた空気が兵達の心臓を握りつぶさんとする
30、31、32......。
更に空気が張り付め心拍数が上がった時......。
チーンッ
エレベーターが34階に着いた。
扉が静かに開く...
中から現れたのは、純白のコートに黒いワンピースを着た15歳前後の少女。 髪は天然パーマぎみのショートカットに色は白銀、透けるような乳白色の肌がルビーの様な深紅の目を際立たせていた...。
警備兵の一人が自動散弾銃の銃口を向けようとした、まさにその時だった!
少女は右ポケットから針のない注射器の様なカプセルを二つ、取り出しこう言った。
「テイムバースト(変身)」
銃弾が当たると同時に閃光が辺りを包む
閃光が消えて現れたのは、白いコートを纏った黒い怪人だった。
深紅の大きな単眼が光ると同時に、影の様に空を舞い
警備兵達の懐に入ると、警備兵達は虫を弾く様に弧を描いて吹き飛ばされた。
一人が壁に背を激しく打ち付けるも体勢を整えようとした時だった
黒い怪人が大型自動拳銃を向けていた。
一瞬早く、兵の頭は胸骨ごと吹き飛ばされた。
もう一人の兵は怪人がこちらを向くと同時に、間髪入れず強靭な脚力で斜めに斬られて絶命した。
気づけば周りは死体のみとなった...。
否、一人は奇跡的に虫の息だ
「お、おま...えは....だ、誰....」
怪人は深紅の瞳で見下ろしながら静かに言った...。
「ベクター(幸せを運ぶもの)」
某国研究施設、最重要サンプル保管室__。
「暗い...暗い...苦しい...苦しい...」
薄暗く狭い保管室内部で蒼のライトに照らされながら、
2mはある縦長い円形の培養器の中で、少女は培養器上部から延びている縦1m90cm横10cmはある、ケーブル状の人工ヘソの緒に繋がれながら苦しんでいた....。
彼女は一見普通の人間の様に見えて下半身は、イルカを彷彿とさせるヒレ状で乳房の下と首筋には、深いエラが発達していた。
狭い培養器の中でもがきながら自由を得るべく、必死に逃れようとする。
毎日、毎日、白衣を着て四角いフレームと多量のワックスで塗り固めた、ロボットのような男達に
ケイカカンサツだと言われて目を突き刺すような、手術台に運び出され体の血を抜かれたり、生殖器が正常に機能してるかと言われ苛められるのだ..。
最初は、頬にエラが入った男達に囲まれただけで泣き叫んだ。 だが、そうすると体に凄まじい、痺れと痛みを当てられるので余計泣き叫んだ...。
いつになったら終わるのだろう? 本当は覚めない夢を見ているだけなのかもしれない。
だったら、楽にしてほしいと最近想うようになった。
いや、願うようになった....。
そんな、ある日だった...。
銅鑼の様な凄まじい轟音と、大地震のような地響きが
培養器をオモチャを弄ぶかの様に、乱暴に揺さぶったのだ
私は、恐怖を感じるのと同時に恍惚を感じた
ああ...今日で私の命と忌まわしき夢(すべて)が終わる
そう思えたのは一瞬だった。
突然、培養器が大型ダンプカーが衝突したかのように凄まじい衝撃に襲われたのだ!
あの男達だ..なにか不味いことが起きて、私を殺しに来たのだ
今思えば、あのときの私はヒステリックで情けないと思う。何故なら....。
培養器のハッチはティッシュペーパーを取るかの様に、
ひんむかれると私は激流と共に培養器外の床に投げ出された。
ただ、あの男達じゃないと判ったのは粗末なビニールシートでは無く暖かいタオルケットだった事。
もうひとつは、タオルケットごと誰かが優しく受け止めてくれたこと。
だが気付いた時には誰の姿も見えず、大きな強化樹脂で造られたアタッシュケースだけがあった。
鍵はシンプルで、どうやら指紋認証式の見慣れないタイプだった。
さっそく左人差し指を宛がうと、「指紋認証完了シマシタ。」という機械的な音声と共にカチッと音がして、
アタッシュケースが開いた。
中には着替えの下着と胸元部分が大きく開いた、白いパーカーが入っていた。 いくら、下が隠れるとはいえ、
一本の水色の調整ベルトがなければ胸元の乳首が見えてしまうのは少し不快だ。
私は下着と白いパーカーを着て調整ベルトで乳首をしっかり隠すと、もうひとつの支給品に目をやった。
それは、見慣れない指を除く腕が隠れる様な大きさの
装置で、もう二つはカプセルだった。
よくみると青は鮫の絵。ライトグリーンは私と同じ人魚の絵がプリントされていた。
そうか、そうなのか....。
私は武者震いと同時に不覚にも笑いが込み上げていた。
この力で、散々私を辱しめていたあの男達に一矢報いるチャンスなのだ!
だが、この時の私は気づいていなかった。
復讐劇がいかに、ちっぽけ(茶番)だと言う事に........
研究施設を襲った白いコートを着た黒い怪人、ベクター(幸せを運ぶもの)彼女の目的は一体何なのか?
警備兵達は一体何を死守しようとし、人魚である[私]は
何故捕らえられていたのか?
次回、[復讐(リヴェンジ)]
お楽しみに!