店長を交えた話し合いの結果。アヤセちゃんは僕が引き取ることになった。あんていくに置いておいてもいいと店長は言っていたけど今の状態の彼女を一人にはできないと、僕が匿うことになった。トーカちゃんはアヤセちゃんを引き取りたかったようだけどリョーコさんとヒナミちゃんをほとぼりが冷めるまで匿っているなかでヒートが来ているアヤセちゃんをおいておけば余計な騒ぎが起きて全員が危険な目に遭いかねないことを考えたら言えないようだった。その点に関して言えば僕は一人暮らしだしこの中で一番強いのでトーカちゃんもしぶしぶだけど納得してくれた。
ただかなり強い抑制剤と一緒に避妊薬を渡された時の顔がめちゃくちゃ怖くて「あんたのことは一応信用しちゃいるけど・・・ヒートの勢いとか、アヤセの同意なしに手ェ出したら殺す」とドスのきいた声で言われた。身内扱いは嬉しいけど怖いよトーカちゃん・・・
マンションに戻ってアヤセちゃんに抑制剤を飲ませて落ち着いたところでお風呂に入ってもらい、僕のベッドで寝てもらうことにした。でも家主の僕を差し置いてそれは出来ないと揉めたことで背中合わせで寝ることに決まった。
正直女の子、それも好きな子と一緒のベッドで添い寝するなんてこと前の僕からは考えられないシチュエーションである。そのうえ彼女は抑制剤を使っているといってもヒート中のオメガで今でも薬が効き始めたばかりのせいかフェロモンが出ている。僕はアルファなのでもろにその影響を受けてるんだけど・・・今日、耐えきれるのかな、僕。
そうして眠れずにいると真夜中にアヤセちゃんが起き上がってふらつきながら風呂場の方に歩いて行った。なんでトイレじゃなくて風呂場?顔洗いたいのかな?と思って寝返りをうつと、アヤセちゃんの寝ていたところからオメガのフェロモンの匂いが微かにした。・・・考えすぎだろうか。でも顔を洗うだけにしては時間がかかり過ぎている。心配になって風呂場から漏れる明かりを頼りに風呂場の扉から中を覗く。
中にはやっぱりアヤセちゃんがいて、その、自慰していた。細くて白い指でソコを弄って自分を慰めるその姿がなんていうか結構くる。でも本人はあまり嬉しそうではない。
「ふ、ぁ!はぁうぅぅ、っ」
「好き・・・カネキ・・・好きぃ・・・」
アヤセちゃんが、僕のことを好き?そんな夢みたいなことあるのか?いやひょっとしたらオメガのヒートで一番近くにいるアルファの僕を求めているだけなんじゃ・・・
「カネキ、っは、すき」
「なのに・・・なんで私はオメガなの」
「なんでベータじゃないの」
「こんな身体じゃ、信じてもらえない」
ぼろぼろと大粒の涙がアヤセちゃんの目から止めどなくこぼれ落ちる。
馬鹿だ、僕は。こんなに弱ってこんなに僕を想ってくれている彼女を疑うなんて。そして僕は風呂場の扉を勢い良く開けた。
「!?カネキ、あんた」
「好き、好きだよアヤセちゃん」
「!」
驚く彼女を抱きしめて聞こえるようにはっきりと想いを伝える。オメガとか、アルファとか関係なく君が好きだと少しでも伝わるようにしっかりと。困惑するアヤセちゃんの頭を撫でて落ち着かせ、一緒にシャワーを浴びて着替えてまた一緒のベッドに、今度は向かい合わせで入った。アヤセちゃんはさっきのことやまだ残っているヒートの余韻で僕の方を心配そうに見ていたけど、大丈夫だと見栄を張ることにした。でもその代わり、手を繋いで寝ることができたのでそれだけで僕の中身は満たされていった。
そういうことをしなくても想いが通じただけでこんなにも満たされることがアヤセちゃんにも伝わっていればいいと、そう思った。
それでも結局彼女を抱きしめて眠ってしまっていたのは朝になってから発覚するのだけれど。
アヤセちゃんが真夜中に起きたのは抑制剤が切れたから。カネキくんと寝なおしたときに飲みなおしてぐっすり眠ってます。
ちなみにアヤセちゃんの葛藤もカネキくんの疑念もある意味オメガとアルファあるあるのことだと思って書きました。