全ての始まりは、黄金の街道で起こった一件だった。
ブースカブーの背に揺られ間一髪で火山島を脱出し、マイア近くの海岸に漂着した旅の一行は、町へと向かう為に黄金の街道を東進していた。
其処で、見慣れない色をした巨大な蜂型のモンスター『アサシンバグ』の群れに襲われたのだ。
通常のアサシンバグとは異なる体色に警戒を強める一行であったが、しかし船旅とは勝手の異なる海原の旅によって蓄積していた疲労が、致命的な隙を生んだ。
そのバグは、明らかに特異な行動を取っていた。
単なる虫型のモンスターに過ぎない筈が、明確に6人の仲間たちを分断しようと動いていたのだ。
そして、その分断の仕方が異様だった。
一行は2人ずつ、男女の番となる様に、群で別個に包囲されたのだ。
異様な行動に不気味さを感じる皆であったが、しかし各々の強さはバグを歯牙にも掛けない程にまで成長している。
問題は、遠巻きに様子を窺っていた数匹のポロンが、隙を突く様にダーツを放ち始めた事だった。
ケヴィンとシャルロットは早々に周囲のバグを叩き潰したが、茂みに隠れてダーツを放つポロンへの対処に掛かり切りとなってしまった。
残された仲間たちの内、デュランとホークアイも問題なくバグを斬り捨てていたが、しかしリースとアンジェラは違った。
リースはローラント解放から立て続けに起こった一連の出来事で蓄積していた疲労により、槍捌きに陰りが見えていたのだ。
そしてアンジェラは魔導師であるが故に、十分な援護が期待できない状況に於いて、機動性に富み全方位から複数で襲い掛かってくる相手は、正に彼女にとっての天敵である。
分断された3組の内、圧倒的な戦闘力で真っ先にバグを殲滅したケヴィン達は、しかし離れた位置に陣取るポロンへの対処に手一杯。
故に、それぞれ1人ずつに護衛が付いているとはいえ、本来の力を十全に発揮できない2人がいずれ追い詰められるのは、自明の理だった。
それでも2人を護ろうと奮闘するデュランとホークアイであったが、漸く敵の全滅が見えてきた頃に、予想外の事態が発生する。
残り僅かなアサシンバグ達が同時に動きを止めて地へと墜ち、一斉にその羽を震わせ始めたのだ。
何事かと警戒する4人だったが、しかしバグ達は羽を震わせ続ける。
警戒する4人は動けない。
そして数十秒後、バグ達は唐突に踵を返し、森の奥へと飛び去ったのだ。
何が何やら解らず、困惑するデュランとホークアイであったが―――直後、女性陣に異変が起きた。
荒くなる呼吸、上昇する体温。
見る間に震え出し、立っていられないとばかりに頽れる身体。
速まる心臓の鼓動、揺らぐ視界。
そして―――全身を覆う痺れにも似た、甘くもどかしい感覚。
2人の異常をすぐに悟ったデュランとホークアイは、ポロンを始末して戻ってきたケヴィンとシャルロットの手を借り、彼女たちをマイアへと運び込んだ。
そして、町医者の診断を受けた結果、リースとアンジェラの容態が想像以上に悪く、複雑である事を知る。
一行を襲ったアサシンバグは、所謂変異種だった。
そもそもアサシンバグとは、乱れたマナの影響を受けてモンスター化した、元々は単なる昆虫だ。
その昆虫が見た目通りの蜂であり、生態としては他の虫に卵を植え付け、体内で孵化させるというものだった。
モンスターとなってからは生態が変わってしまい、他種の蜂と同様に巣を作るようになったのだが、今回遭遇したバグは其処から更に変異した種であるらしい。
その生態は、他の生物に卵を植え付け孵化させるという、先祖返りを果たしたものだった。
ただ異なる点として、卵を寄生させる場所と方法が昆虫の頃とは異なり、孵化後に宿主を補食する事もない。
だが具体的な内容については、何故か被害報告が少ない事と、他にも何らかの事情により、長らく伏せられてきたのだ。
町医者曰く、その理由はこの変異種の生態そのものと、町の人間との関わりにあるという。
先ず、変異種は群で寄生対象を襲う。
対象は余程の事がない限り人間であり、我が身を省みず執拗に襲い掛かる。
ただ、人間であれば無条件に襲撃対象として選別されるという訳ではなく、幾つかの条件を満たす必要があるという。
先ず、男女が『番』として揃っている事。
どちらか一方であったり、両者の数があまりに不均衡であると、襲撃対象とは見なされない。
次に、対象が年若い肉体である事。
個体差はあるが、大凡10代前半から20代後半辺りまでがこれに該当するという。
互いの歳が離れ過ぎていると、やはり襲撃対象としての選定から外される。
そして、此処からが問題だった。
この辺異種が宿主を選別する際に用いる、特異な基準があるのだ。
その判断は何と先の戦闘中、それどころか戦闘前から行われていたという。
変異種は群で寄生対象の候補となる番を取り囲み、女性側の男性に対する反応を観察。
どうやら人間には関知できない、緊張の度合いや感情の起伏を示す微細な匂いの変化を感知しているらしく、女性側が男性側とどれほど親密かを計っているらしい。
次に、姿を現した変異種はわざと低脅威の攻撃を仕掛け、男性側がどの様な行動に出るかを観察。
此処で、男性が女性を庇い必死に護ろうとするならば、宿主として相応しい番として認定される。
逆に、男性が女性を見捨てて逃げ出そうものならば、変異種は宿主として不適格と見做し、女性についてはその場に放置、男性側も基本的には放置だが、群の被害が大きく気が立っている場合には嬲り殺しにする事もあるという。
どう言う訳か、男性側が形だけの護る素振りを見せても通用せず、単にこの後に続く『行為』を目的として女性の側に居続けた場合、逃げた場合と同様に高い確率で惨殺されるらしいが。
そして、彼女たちの『生殖行為』は次の段階へと移行する。
宿主に認定された番を取り囲んだ変異種の内、数匹が体液と混合した毒の一部を気化させて放出、羽の振動により番の周囲へと充満させる。
この毒は強力な一種の『媚薬』であり、選択的に女性にのみ作用、強烈な催淫効果を齎すという。
毒を受けた女性は動悸、体温の上昇、意識の混濁、感覚の鋭敏化、全身の痺れ等の症状により殆ど行動不能となると共に、強制的な性感の上昇に襲われる事となる。
毒の持続性は驚異的で、今のところ効果的な解毒方法は1つしかない。
そしてその方法こそが、この変異種の狙いだ。
群の残存数が十分ならば、変異種は女性を拘束し巣へと連れ去る。
決して男性の視界から消える事なく、付かず離れずの絶妙な距離を保って。
そうなると、変異種の狙い通りに女性と強い信頼関係で結ばれている男性ならば、高い確率で後を追ってくる。
男性が追跡してきている事を確認した変異種は、今度はその進路上に男性に対し媚薬として作用する毒を散布。
意識朦朧としながらも女性を救うべく追跡を続ける男性は、何時の間にかその行動を変異種に掌握されてしまう。
こうして、宿主に相応しい番と見做された男女は、巣の中へと連れ込まれるのだ。
そして巣の中では、遂に本格的な『生殖』が始まるのである。
その方法がまた独特であり、人間との奇妙な関係を築く理由となっている。
巣に連れ込まれるや否や、女性は拘束を解かれ解放される。
当然、男性は女性へと近付くが、此処で先に吸い込んだ毒と、巣の中に充満する『女王蜂』の気化した体液が反応、否応なく発情させらてしまう。
そして同時に、巣の中で宿主の世話を行う働き蜂が、女性が纏う衣服の生殖行為を妨げる部位を切り裂き、卵を植え付ける場所へと女王の蜜を塗り込む。
催淫状態に陥った男性からは女性の性的な魅力が激増した様に見え、女王の蜜が放つ匂いに導かれるが儘に、女性との性行為に及んでしまう。
働き蜂からは定期的に栄養に富んだ―――精力増強および鎮痛効果をも併せ持った―――蜜を与えられつつ、男女は丸一日ものあいだ繋がり続ける。
そうして幾度も繰り返し抉られ、大量の精を注ぎ込まれて拡張された其処に、女王が産んだ卵を植え付けられるのだ。
これだけでも十分に変わった生態だが、更に変わっているのは卵を植え付ける場所と、その方法である。
先ず、卵は宿主が巣に誘い込まれた時点で、既に女王の元にある蜜溜まりの中へと無数に産み落とされているという。
女王が直接、宿主へと産み付ける訳ではないのだ。
そして卵を植え付ける場所だが、これは女性器ではない。
卵の特性として、孵化に至るまでには高温かつ栄養に富んだ場所にある事が条件であり、かつ恐らくは一度に孵る個体数を増やす目的から、なるべく余裕のある場所が好まれる。
女体に於いてこの条件を満たし、かつ最高の環境を得られる場所とは女性器ではなく―――即ち『腸内』なのだ。
故に、働き蜂が催淫誘導効果のある蜜を塗る場所は、女性器ではなく肛門である。
男性は蜜を潤滑液として女性の菊座に男性器を挿入し、共に快楽に翻弄されながら固く閉ざされた其処を拡張する。
運動と快楽により女性の体温は上昇、腸内も高温となり、更には大量の精液により潤滑性も得られる。
ついでにいえば、精子に宿る生命力―――より純粋なマナ―――によって腸内が満たされる事にも繋がり、卵にとって理想的な環境となるのである。
性行為が終わり、菊座から男性器が引き抜かれた事を確認すると、働き蜂は男女の元へと蜜に塗れた卵を運んでくる。
この頃になると、宿主の2人には変異種への抵抗感や嫌悪感など残されておらず、只管に快楽に耽ると同時、互いへの溺れる様な愛情に支配されているという。
同時に、働き蜂が何を求めているかを何とはなしに悟り―――或いは、そう誘導する何らかの物質が毒に含まれているとも考えられる―――男性は鶏の卵より二回り程も大きい、黄金色の蜜で滑る卵を手に取り、未だ閉じ切らずに精液を溢れさせる女性の菊門へと、それを挿入し始めるのだ。
それは快楽に支配され殆ど苦痛を感じず、寧ろ卵が菊門を潜り抜ける度に嬌声を上げる女性が、その上で限界を訴えるまで続き、少なくとも10個前後、多ければ20を超える数の卵が腸内へと詰め込まれるという。
そして、圧迫感と排泄欲に抗い兼ねた女性が卵を戻してしまわぬよう、男性は卵に満たされた直腸へと再び男性器を挿入する。
そうして卵が孵化するまでの約3日間を、働き蜂から栄養として蜜を与えられながら、男女は一時も離れる事なく繋がったまま過ごすのだ。
時折、互いの身体を揺り動かしては甘美な快楽に耽り、やがて訪れるその時の為に男性器で菊門と直腸を拡張しながら。
孵化の時。
女性は膨れた腹の中で、卵が蠢き孵り掛けている事を悟る。
圧迫感に苦悶の声を上げる女性に、男性は潤滑液代わりの精液を注ぎ込むべく、激しい抽送を行い射精した後に男性器を引き抜く。
そして、産気づいた女性の介助を行うのだ。
産卵には大変な労力が必要で、拳大にまで育った卵は弾力性に富んだ薄い皮膜に覆われており、更に精液と蜜の滑りにより滑りが良くなってはいるが、それでもその大きさから女性はなかなか産み落とす事ができないという。
女性は催淫効果により苦痛を和らげられ快楽をも感じてはいるが、それでも卵の大きさと数ゆえに激しく苦悶する。
その間、男性は様々な手段で女性の快楽を増幅させて苦痛を紛らわせようと試みたり、或いは産卵を容易にすべく何らかの工夫を行ったりする。
そして、何時間も掛けて女性が体内の全ての卵を産み終えると、働き蜂は産み落とされた孵化直前の卵を直ちに回収、幼虫の育成場所へと運搬するのだ。
稀に、女性がなかなか卵を産み落とせず腸内で完全に孵化してしまう事もあるらしいが、幼虫は自ら身をくねらせて菊門へと向かい、其処を内から押し広げて生まれて来るという。
尤も、女性は気が狂う程の快楽とそれ以上の圧迫感に襲われる上、幼虫も疲弊するので、基本的には卵の内に産む事になるらしいが。
これで漸く、宿主への寄生は『1回目』を終える。
そう、この時点でまだ『1回目』だ。
働き蜂は男性へと新たな蜜を与え、精力を強制的に回復させる。
同時に強烈な催淫効果により欲情した男性は、産卵を終えて体力を使い果たし、多くの場合悶絶しているか疲れから眠りに落ちている女性の菊座へと三度、男性器を突き入れ抽送の果てに射精。
この時放たれる精液には、高級回復材として知られる『はちみつドリンク』を更に上回る肉体回復効力が備わっており、託卵から産卵までを通じて疲れ果てた肉体と、場合によっては傷んでいる事もある菊門と腸内を強制的に癒すのだ。
そうして身体が回復するや否や、再び男女は託卵から産卵までの過程を繰り返す。
淫毒の効果が消え、その上で彼等自身が『もう十分だ』と判断するまで―――或いは互いの肉欲が尽きるまで―――何度でも、何回でも。
最終的に、役目を終えた宿主は、無傷で解放される事となる。
御褒美という訳ではないだろうが、宿主となる以前と比べて明らかに良好となった体調と艶めかしさを増した女性の肉体、良くも悪くも互いへの深い依存と愛情とで結び付いた関係と共に。
淫毒が消えるまでには、個人差はあるが最低でも15回前後の産卵を経る必要があるらしい。
つまり最低でも6週間以上もの期間を、巣の中でのまぐわいと産卵に費やすのだ。
巣へと連れ去られるまでの経緯と、巣に入ってからの快楽と産みの苦しみを繰り返す日々。
特に、擬似妊娠・出産ともいえる経験を幾度となく共に乗り越えてきた事により、宿主としての期間を共に過ごした男女は生涯通じて仲睦まじい―――ついでに言うと、子沢山な―――夫婦になると、昔からマイアでは言い伝えられているという。
人間側が積極的な駆除に乗り出さない理由もこの辺りで、更に言えば生態上の理由とはいえ男女の関係を極めて正確に見極め、宿主とする対象を厳格に選別している以上、下心ある男性に女性側が望まぬ関係を強要される危険性がほぼ無いという事も、駆除を望む意見がごく少数となっている一因である。
場合によっては、将来を誓い合った若い恋人たちや、新婚の夫婦などが自ら巣に向かい、互いに互いの心を雁字搦めにする為に長い期間を宿主として過ごす事もあるという。
特に身体の弱い女性などは、伴侶となる男性と共に巣で過ごす事で、女王の蜜によって体質を改善する事もできるというのだから、マイアの人間たちにとっては途方もなく有り難い存在でもある。
出産には耐えられないとされていた虚弱体質の女性でさえ、複数の子供を産んで健康に過ごしている程だ。
そして人間が長らく巣に留まってくれるが故に、変異種は安定的に多くの子孫を得る事ができるという訳である。
長いものでは、自らの意志で半年以上も巣に留まったカップルも居たらしい。
マイアは拓かれて長い歴史ある土地だが、未だ拡大を続ける驚異的な町だ。
生殖行為の過程で人口の増加に寄与してくれる上、どうしても一定数は生まれる体質的に弱い女性の健康状態改善、円満な関係の若い夫婦の増加と定住、彼等の子供が産まれる事による更なる人口増加。
そして、この街で生まれ育った子供たちが成長し、新たな家庭を築く為に巣を訪れ、変異種の繁殖に協力する。
このモンスターとマイアの人間は、互いに最大の利を得る事ができる、正に『共生関係』となっているのだ。
―――下世話な言い方だが、託卵に用いられるのが菊肛であるという点も、マイア住民が駆除を望まない事に一役買っているのだろう。
もしこれが、女性器に卵を植え付けるという生態であれば、早々に討伐隊が組まれていた事だろう。
女性の純潔はそのままに、擬似的な性行為と出産を通じて、男女の絆を確かなものにするという、謂わば『都合の良すぎる』生態によって、このモンスターはマイア以外では表沙汰にもならず、住民たちも積極的に口にはしないが、実質的に存在を歓迎されるまでに至っているのだ。
更に余談だが、まぐわい、託卵、産卵と酷使される女性の菊座であるが、此方も蜜によって強制的に回復させられる為、性感帯として感度が異常に向上した以外は、巣に入る前とほぼ同じ状態で解放されるという。
何とも判断に困る情報だが、宿主となった男女にとっては有り難い事でもあるのだろう。
では、今のリースとアンジェラの容態は、どういう事なのか。
言うまでもなく2人は、変異種の淫毒を受けていた。
当時の状況を勘案するに、変異種の襲撃隊は全滅に近い被害を受け、防御的に淫毒の散布に踏み切ったらしい。
余程の脅威に映ったのか、通常を遙かに超える濃度で散布されたそれを2人は正面に浴び、大量に吸引してしまったのだ。
医者の説明に呆然とする男性陣。
そんな彼等に、医者の無慈悲な宣告が放たれる。
このままでは2人の心が正常でいられる保証は無い、遠からず精神崩壊に至るであろうと。
どういう事か、と詰め寄るデュランとホークアイに、彼は告げた。
何も手を打たなければ淫毒は数年に亘って残留し、更に時が経つにつれて催淫効果は上昇、女性は常に『物足りない』性感に苛まれ続ける事になると。
麻痺は徐々に弱まり一月ほどで解消されるだろうが、幾ら自らを慰めても男性の精が無ければ決して絶頂に至る事はなく、際限なく高まりながらも決して満たされる事のないもどかしさに、最後は精神を壊されてしまうだろうと。
あまりにも残酷な答えに、言葉を失う男性陣。
しかし、方法はあると、医者は言った。
この淫毒は本来、巣でのまぐわいの中で女王の蜜を直腸から体内に吸収する事により、時間を掛けて解毒されるものだという。
それが約6週間という拘束期間の理由らしい。
蜜が直腸から吸収されると、先ず一時的に麻痺が収まる。
これにより女性は排泄の為の力を取り戻し、大量の卵を産む事が可能になるのだ。
その後は再び麻痺に襲われる事となるが、その前に男性とのまぐわいが再開され、その際に蜜もまた擦り込まれる為に、大抵は解放の時まで麻痺が再発する事はないという。
だが稀に、体力の無い女性が産卵後に長めの休息を取っている際に、麻痺がぶり返す事があるらしい。
更にもう一つ、解毒に必須なものがあった。
本来ならば女王の蜜と一緒に、女性の体内を満たす筈のもの。
即ち『男性の精』だ。
女王の蜜だけでは、解毒効果は発揮されない。
前もって、或いは同時に男性の精を注ぎ込み、変質させる必要があるというのだ。
これには、説明を受けた男性陣が頭を抱えた。
問題はそれだけではない。
何とかして女王の蜜を確保し、精と共に直腸へと注入できたとして、それで得られる解毒効果は一時的なものだ。
淫毒は完全に無害化されるまで約6週間もの間、リースとアンジェラの体内に残り続ける。
解毒効果が切れれば、すぐさま麻痺と激しい発情が彼女たちを襲い、旅どころか満足に日常生活を送る事さえ困難になってしまうのだ。
否、医者が言うには、この6週間という期間は『その間ずっと男女がまぐわい続け、腸内が常に大量の蜜と精に満たされている場合の期間』であり、それが不可能ならば定期的に双方を注入したとしても、解毒まで1年では足らないだろうとの事。
そもそも世界中を飛び回る彼等に、大量の蜜を常に確保しておく事などできる筈もなく、正しく八方塞がりであった。
しかし、頭を悩ませる彼等を見つつ、不思議そうに医者は言ったのだ。
『アレに襲われたという事は、君らは互いに憎からず想い合っているんだろう? なら、簡単じゃないか。一緒に巣へ行って、解毒まで共に過ごすといい。決して悪い結果にはならないからね』
面食らい、返す言葉を失うデュランとホークアイ。
違う、そんな関係じゃないと否定する言葉は、声とならずに消えてゆく。
実際のところ、彼らの関係は非常に厄介で、しかし見る者が見ればもどかしいにも程があるものだった。
ホークアイとリースは、互いに属する国家―――正確には、ナバールは国家ではないが―――が侵略者と被侵略者という微妙な関係にある。
リースは父と多くの仲間たちを失い、国と弟を奪われた。
ホークアイの嘗ての仲間たちは、操られるが儘にリースの祖国、ローラントを蹂躙した。
結果的にローラントは解放されたとはいえ、被害は途方もないものだ。
おまけに、未だ両国は継戦中ときている。
デュランとアンジェラの祖国、フォルセナとアルテナ
も同様だ。
両国は長年の友好関係にあったにも拘わらず、アルテナ側の一方的な奇襲によりフォルセナは大打撃を被った。
2度目の侵攻を撃退した事により双方痛み分けとなってはいるが、突如として裏切られ一方的に攻撃されたフォルセナ側のアルテナに対する感情は、長年の友好の反動もあってか非常に宜しくない。
たとえ和睦に漕ぎ着けたとしても、戦前の様に友好的な関係に戻る事など望むべくもないだろう。
彼等は皆、自らと祖国の置かれた情勢を良く理解している。
だからこそ、時にぎこちなく、時に反発し、時に罪の意識に駆られてきた。
互いに親密になる事を戒め、微妙な距離を保って旅を続けてきたのだ。
だが、ローラントの解放が、そんな均衡に一石を投じてしまった。
属する国も目的も違う、敵味方に分かれてさえいる者たちが一堂に会して協力し、滅びへと向かう国を救い、背後に潜む巨悪の存在を暴いた。
その中には、ローラントを侵略し王を殺めた、憎きナバールのシーフさえ居たのだ。
この事実は一行の力が及ばぬところで、解放されたローラント全土を駆け巡った。
そしてあろう事か、そのナバールのシーフであるホークアイの存在が、全ての国民にとまではいわずとも、広く好意的に受け入れられてしまったのだ。
それはホークアイだけでなく、ナバールと同じく突如として侵略へと転じた国家、アルテナやビーストキングダムの王族である、アンジェラとケヴィンについても同様だった。
敵味方問わず、各国の王族や兵士が集い世界を救うべく動いているという事実は、ローラントから世界へと広がりつつあるのだ。
皮肉にもその事が、旅を続ける一行の内で確定しつつあった微妙な距離感、それを決定付ける壁を打ち崩してしまった。
お互いに口にする事は決してなく、そもそも自分自身でさえ素直に認められない者も居る。
態度に現す事を極力避け、互いに己の内心を悟られる事のない様に振る舞ってはいても、第三者からすれば一目瞭然。
自らの立場と責任を理解しているからこそ、迂闊な事は慎むべきだと、そもそもそんな事を想う権利はないと、自らを欺き続ける。
そう。
ホークアイとリース。
デュランとアンジェラ。
彼等は、互いに想いを寄せ合っていた。
出会いは最悪で、行動を共にする事とした当初の一行は、常に険悪な雰囲気だった。
リースはホークアイとの接触を最低限に抑える事で、少しでも気を抜けば爆発しそうな敵意と呪詛を必死に堪えており、しかし堪え切れずに殺気を向け、酷い時には衝動的に槍を掴んだ事さえあった。
ホークアイはリースに対する罪悪感に苛まれながらも、彼女の態度と行動の端々に伺える高貴な身分特有の振る舞いに、ナバールのシーフとして培われた価値観から、堪えきれない嫌悪感を募らせる。
アンジェラは高慢に振る舞い口ではデュランを馬鹿にしつつも、その実は祖国と母親の所行から贖罪の念に駆られる唯の無垢な少女であり、故に時折デュランから向けられる色濃い敵意と侮蔑の視線に、独り怯える日々を過ごしていた。
デュランはアンジェラとの口喧嘩は日常的であっても理不尽に酷く当たる事こそなかったが、それでも忌むべきかの国の王女である彼女の世間知らずで我が儘な振る舞いに対し、時折自身でも制御できない怒りと悪意に駆られ、意図せずして剥き出しの憎悪をぶつけてしまう。
この頃の一行の間に漂う空気は控えめに言い表しても最悪の一言で、いつ瓦解してもおかしくはない一触即発というべきものだった。
当初こそ意図しておどけて振る舞っていたシャルロットや、右往左往しながらも皆の間を取り持っていたケヴィンでさえ、仕舞いには見て見ぬ振りを決め込む始末だったのだから、如何に危うい関係だったかが伺い知れようというものだ。
だが、幾度も共に危機を乗り越え、時間を掛けて触れ合ってゆく内に、気が付けば彼等は互いの姿を自然と目で追う様になっていった。
互いを知るにつれ、知らず強く惹かれていったのだ。
その在り方、強さ、聡明さ、美しさ、逞しさ、勇敢さ、優しさ、純粋さ。
苦悩も、弱さも、渇望も、絶望も、怒りも、哀しみも、憎しみも。
互いの全てに魅せられ、何時しか『共に在れたら』と想うまでになっていたのだ。
それでも、互いの立場からその想いを押し殺しているところに、ローラント解放の一件である。
このまま痛みと共に胸の内へと押し込め、いずれ風化する時を待つつもりであった想いが、期せずして表面化し始めたのだ。
尤も、本当にこれが恋慕に近しいものなのかどうかは、各々が判断を保留している段階であった。
友として在りたいのか、恋仲になりたいのか。
その点への判断を、誰もが半ば意図して避け続けていた。
そんな折りに、この事態である。
あの変異種の宿主候補となった事で、現在の自身の意思とは全くの無関係に、互いが想い合っていると暴露されてしまったのだ。
おまけに、淫毒を受けたリースとアンジェラを救うには、誰かが彼女たちを抱かねばならない。
まさか行きずりの相手に抱かせる訳にも行かず、そもそもデュランもホークアイもそんな忌まわしい想像など、欠片ほどであろうとしたくもなかった。
変異種の生態から判断するに、彼女たちも彼等を憎からず思っている筈という指摘を勘案すれば、望み通りにする事が一番なのだろう。
しかし、個人の想いと情勢は別なのだ。
もう1つの問題は、解毒に掛かる期間だ。
まさか6週間もの間、マイアに留まる訳にはいかない。
それで2人が完治しても、その分の遅れは間違いなく深刻な事態を招く。
2人は助かったが、マナストーンの封印は全て解放されてしまいました、では済まないのである。
頭を抱える男性陣の2人。
その様を見た医者は、更にある提言をした。
『此処に留まる事ができないのなら、巣に行って女王の蜜の『結晶』を回収してくるといい。できるだけ小さなものを選んで持ち帰るんだ。それを使えば、余計に時間は掛かるが、旅先でも治療はできる』
女王の蜜の結晶。
それは、卵を産み落とす蜜溜まりの中に沈む、超高濃度の蜜の塊だという。
これを解毒に用いる事も可能なのだが、一度に溶け出す量は微々たるもので、鶏の卵ほどの大きさのものでも使い切るまでに10年は掛かるらしい。
その分、より多く回数をこなさねばならないが、成分としては高濃度である為、一度の治療で4・5日は問題なく日常生活が可能になるという。
種々の問題はさておき、デュランとホークアイはこの提案に一も二もなく飛び付いた。
何をどうしても、一月以上もの間マイアに足止めされる事だけは避けねばならない、と考えたのだ。
すぐに巣を目指したいという2人に、医者の一言が冷や水を浴びせる。
曰く、無闇に巣の中で暴れれば、生きて出る事など望むべくもない。
そもそも巣の中には常に、宿主として過ごすカップルが2・3組は居るという。
勝手に変異種を敵に回して、彼等の営みを台無しにする事は決して許されない。
この忠告に、ならばどうやって結晶を手に入れれば良いのかと、焦りを隠そうともせずに問い返す2人。
すると医者は、当然の事と言わんばかりにこう告げた。
『巣に入るカップルに頼んで、結晶を回収して貰えばいい。心当たりがあるから、此方から話を通しておこう』
翌日、マイアの郊外で2人と合流したのは、何と明らかに彼等より年下のカップルだった。
少女は恥ずかしさからか、丁寧な挨拶を終えると顔を真っ赤に染めて殆ど言葉を交わす事はなかったが、少年は既に聞いていた2人の事情に理解を示し、回収の準備まで整えていた。
彼の指示で、デュランとホークアイは長いロープの束を背負い、少年少女と共に巣を目指す事となったのだ。
とはいえ、巣の場所は驚く程に街から近く、しかも変異種が他のモンスターを遠ざける為に比較的安全だという。
一行が襲われた際の様に、他のモンスターが便乗して攻撃してくる事は稀らしい。
少年は、彼等が巣を目指す理由も教えてくれた。
彼と少女は幼馴染で、数年前から結婚の約束もしていたという。
少女は昔から身体が弱く、子を授かっても無事に産めるかどうか危ぶまれていた。
それでも添い遂げる意思を変えなかった2人は、その覚悟を認められて互いの両親から巣の事を教えられたのだという。
嘗て少年の両親もまた、彼を授かる為に巣に向かったのだという話と共に。
その話に、こうまで街の人間の生活に密接しているのかと、ホークアイは驚きを隠せなかったものだ。
デュランもまた、だからこそマイア出身の者たちも変異種に関して口を閉ざし、フォルセナが討伐に移らないようひた隠しにしているのだろうと、腑に落ちた様子だった。
そして彼等も、リースとアンジェラの為、この事は生涯胸に秘めなければなぬ、と固く胸に誓うのであった。
巣となっている洞窟の前に着くと、少年はロープの一端をホークアイに握らせ、絶対に中に入ってはならないと言い含めた。
彼と少女は、少女の身体が健康体となるまで、三月ほどを宿主として巣で過ごすという。
少女は顔と言わず手と言わず、可哀想な程に赤くなってフードを目深に被ってしまったが、無理もないだろう。
少年は大真面目だが、この夫婦となるには些か早すぎるとも思える年頃の2人は、これから3ヶ月もの間、只管に後ろの穴で愛し合いながら、大量の精と蜜と卵で腸内を満たしては孕み孕ませ、延々まぐわいと産卵とを繰り返すのだ。
それが彼等の未来にとって必要な事とはいえ、あまりにも淫靡な想像を掻き立てるものである。
少女が赤面しているのは羞恥からのものであろうが、微かな身体の震えは、未知の行為への恐怖によるものか。
それとも、もうすぐ始まる愛しい幼馴染との、長く淫らで快楽に彩られた行為への、期待と興奮によるものか。
ともかく、彼等はロープの束と蓋の付いたバスケット、着替え等が入った袋を手に、巣の中へと消えていった。
空が茜色に染まったら、ロープを手繰るよう言い残して。
その後、逸る気持ちを抑えて待つ事、約2時間。
少年の言葉通り、空が茜色に染まった頃、ホークアイはロープを手繰り寄せ始めた。
暫しロープを引いていると、途中から頭がくらくらする程に甘い匂いを放つ、琥珀色の滑る液体が手を濡らし始める。
これが例の蜜かと、知らず熱を帯び始めた身体に苛つきながら手繰り続けるホークアイ。
やがて彼等の前に、しっかりと蓋を固定されたバスケットが姿を現した。
蓋を開けて中身を確認すると、其処には幾つかの琥珀色をした卵形の結晶と、大量の蜜を詰め込んだ瓶が幾つか。
それと、震える様な乱れた文字が並ぶ紙片が一枚。
その紙には、こう書かれていた。
【それより小さなものは無かった。申し訳ない。此方の事は気にせず街に戻れ】
その紙片の文字を目で追っていた、その時だ。
巣穴である洞窟の奥から微かに、しかし確実に聴こえてきたそれ。
熱に浮かされた様な、それでいて切なそうな、そして快楽と歓喜とに満ち溢れた、少年の名を呼ぶ艶やかで
淫らな少女の声。
否、声と言うよりは叫びか。
同時に苦しげで、しかし此方も歓喜に満ち満ちて少女の名を呼ぶ、少年の声も聴こえる。
喘ぎ、叫び、啜り泣き。
許しを乞う、更に多くを求める、愛を囁く、幾重もの声。
2人のものだけではない、幾人かの男女の嬌声だった。
思わず表情を引き攣らせる、デュランとホークアイ。
2人はバスケットを回収し、巣穴の奥へと向けて小さく感謝の言葉を投げ掛けると、そそくさとその場を後にした。
『お幸せに』という、本心9割、皮肉1割の言葉も付け足して。
マイアに戻った2人は、満足に身動きのとれぬリースとアンジェラが待つ宿屋へと向かった。
不眠不休で看病をしていたケヴィンとシャルロットに礼を言い、少し席を外して欲しいと告げると、何かを察したのか2人とも後を託して部屋を出ていった。
その足音が遠く離れた事を確認して、ホークアイはベッドに横たえられたリース、デュランは別のベッドに横たわるアンジェラの側へと寄る。
ベッドの傍らの椅子に腰掛け、乱れた呼吸を繰り返す少女たちを見守る彼等は、しかしなかなか話を切り出せずにいた。
これから2人は、彼女たちに解毒の方法を伝えなければならない。
あまりにも淫靡で、卑猥で、彼女たちにとって屈辱的であろう方法を。
彼女たちの想いも、年頃の娘として持っているであろう相応の理想や憧れも、全てを踏み躙るであろう手段を。
あの医者が告げた、結晶を用いての解毒方法。
【肛門で性交を行い、直腸内に射精した後に結晶を挿入。精液が溢れぬよう結晶で封をしつつ、溶け出した表層を変質させて直腸より吸収させる】
要は巣での託卵と、その後の産卵までの期間に於ける一連の行程を、圧縮して行えという事である。
しかも、結晶を挿入してから一両日はそのまま過ごさねばならず、最後は彼女たちの自力で結晶を産み落とさねばならないというおまけ付きだ。
幾ら想い合っていたとしても、未だ恋仲にもなっていない―――否、たとえ恋仲であったとしても―――異性から告げられるには、あまりに酷な内容である。
おまけに、完全に淫毒に侵されている今ならばともかく、これから4・5日置きという短い間隔で繰り返される事になる治療では、回を重ねる毎に催淫・鎮痛効果は薄れてゆくのだ。
更に言えば、結晶から溶け出した蜜の回復効果によって、幾ら回を重ねても菊座と直腸は行為の直後に癒されてしまい、挿入される異物の大きさに馴染むという事がない。
更に更に、少年が調達してくれた結晶はどれも似た様な大きさだが、一番小さなものでも拳大ほどもあった。
これ以上小さなものはなかったというのだから仕方のない事ではあるが、少女たちの身体に掛かる負荷を思うと、その大きさが何処までも恨めしい。
彼女たちは毎回、それこそ治療の度に、身を裂かれる様な苦痛に晒される事となるだろう。
その悲痛さを思い、彼等は言葉に詰まってしまった。
伝えるべきか、否か。
だが、幾ら悩んだところで、伝えないという選択肢はない。
他に手段など無い以上、正直に全てを話すしかないのだ。
だが、しかし。
少女たちの苦痛を思うが故に、一歩を踏み出す事ができない。
だが、伝えもせずに行動に移るなど、言語道断だ。
故に、焦りと苦悩に苛まれる、ホークアイとデュラン。
そんな彼等の耳に、か細い声が届く。
『……ぅ……ァィ……』
『……ラン……ぁ、ぅ……』
頬を紅潮させ、露わとなっている肌にうっすらと汗を滲ませて、苦しげに乱れた呼吸を繰り返す2人の少女。
胸や下腹部を押さえる様に、一方の手はその周囲の衣服を、もう一方の手はシーツまたは枕を固く握り締め、酷く切なそうに脚と脚を―――その付け根と付け根の間を―――もどかしげに擦り合わせている。
想いを寄せる少女達のあまりに扇情的な痴態に、知らず身体の中央に宿る熱を、ホークアイもデュランも自覚していた。
そんな2人の内心を知る由もなく、リースとアンジェラは切なげに潤み、熱に蕩けた瞳で以て、不安げに彼等を見上げた。
そして、まるで幼子の様に舌足らずで無垢な、それでいて傾城の様に妖艶で淫靡な、掠れ途切れた弱々しい声で、何処か安堵した様に彼等の名を呼んだのだ。
『……ん、ぅ……ホーク、アイ……ホークぅ……』
『デュ、ラン……ぁぁ……デュラン……』
良くぞ堪えたものだと、第三者なら言うだろう。
大した紳士っぷりだと、呆れる者も居るかもしれない。
当事者たる彼女たちに至っては、責めるどころか逆に気遣いもするだろう。
それ程までに真摯に、丁寧に、穏当に、彼等は『治療』について説明した。
何も知らない者からすれば、据え膳同様の状況を前にして、良くもまあと呆れる程に。
違う。
断じて違う。
この時、彼等は確かに情欲に支配されていた。
彼女たちを気遣う心は本物だ。
大切にしたい、傷付けるなど以ての外だと、確かに思っている。
神聖で、侵し難い対象だとも―――彼女たち自身が、そう思われる事を厭うていたとしても―――認識している。
だが同時に、その想いとは相反する激情が、彼等の内には荒れ狂っていた。
この、天上の女神にも匹敵する美貌が、天使の如き清楚で可憐な無垢さが、快楽に歪む様を見てみたい。
あるべき自然なまぐわいではなく、不浄の穴を己の剛直によって抉られ、異物を飲み込んで苦悶する様を、零れる涙を己がものにしたい。
気高く美しい花を手折り、可憐な花弁を無惨に散らしてみたい。
彼等は、確かに紳士的だった。
心から彼女たちを気遣い、己の欲望を徹底的に押し殺して、少女たち不安を少しでも抑えようと腐心していた。
だが、彼等がそうして『治療』の説明を行うに至った切っ掛けは、決して高潔な精神からなどではなく。
堪え切れない純粋な欲望、男としての獣欲の発露からだったのだ。
故に彼等は、彼女たちへと真摯に向き合いながらも、内心では自身に向けて有らん限りの罵倒を浴びせ掛けていた。
もし、自分自身を前にする事が可能ならば、愛用の得物で以て原形を留めぬまでに斬り刻んでいた事だろう。
それ程までに、彼等は自分自身を嫌悪し、唾棄し、憎悪すらしていた。
弱り切った彼女たちに対し、一瞬でもおぞましい劣情を抱いてしまった事は、彼等の自尊心を完膚なきまでに破壊していたのだ。
そうして説明を終えた彼等は、己への審判が下る瞬間を待つ。
ベッドに寝かされたまま、熱に浮かされた様に何処かぼんやりとした表情で彼等を見つめる、リースとアンジェラ。
さあ、来るのは悲鳴か、罵声か、軽蔑の声か。
汚らわしいと拒絶され、こんな男だったのかと失望されるか。
何だって良い、この汚らわしい自分を否定してくれるなら、何だって―――
そんな事を考えている彼等の手に、不意に温もりが生じる。
ふと見れば、ホークアイの手にはリースの手が、デュランの手にはアンジェラの手が、そっと重ねられていた。
はっとして視線を上げた彼らの目に映る、此方を見上げる少女たちの表情。
儚げで弱々しく、しかし穏やかに微笑むリース、アンジェラの顔が、其処にあった。
そして彼女たちは、全てを受け入れた様な、場違いな程に包容力と慈愛に満ち、確かな熱を帯びた声で―――
『……お願い、します……ホークアイ』
『優しくしないと……許さないんだからね……デュラン』
こうして、最初の夜は始まった。
バグ「植え付け♂を行う!……ただしお前らが」
♂「馬鹿野郎お前俺は抱くぞお前///」
♀「Hey、構わねぇ/// (お尻)H行こう/// 」
バグ「(凌辱狙い)だらしねぇな! これが俺の必勝のカラテだ!思い知ったかヤリ○ン=サン!」(アサシン=ジツ)
ヤ○チン=サン「アバーッ! サヨナラ!」(爆発四散)
リース「ショッギョ・ムッジョ」(ウ=ス異本被害者常連)
次回はちょっと長くなる予定