跳んだ。
そして踏んだ―――頁を。
まるで最初から用意されていたかのように頁は足元に出現していた。それを足場に蝶を纏わせながら踏み、そして跳躍する。その間に追いついてくる筈だった姿、人々、騎士たちは全員が唐突に体から力を失って倒れ始める。それもそうだ。彼らは今、この瞬間に体を支える為の大事なものを一時的にゼロにされてしまったのだから。
筋力。
それがエクリプスディバイダーによってゼロへと分断された概念だった。
筋力を失った事で体を支える事が出来ず、重力に負けて体が下へと落ちるのだ。故に運んでいる聖王の血筋の前に、平服する様に人々の姿が倒れる姿は見ていて最高に気持ちが良かった。悪くない―――いや、寧ろよい。このチョイスは実にセンスがあると評価できる。寧ろ皮肉が利いているのではないだろうか? ありえざる現実から生み出された偽りである真実の聖王の姫君が、こうやって大量の人々に頭を下げさせている構図になるのだから。
「あぁ、最高の演出だぞ黒騎士!」
「馬―――鹿! ばぁぁぁああ―――っか! 馬鹿じゃねぇの! ばっかじゃねぇの!!」
げらげら笑いながら用意された足場を使って人込みを飛び越えると、そこにはスラッシュスーツ姿の黒騎士がいた。顔を隠す怪盗用の恰好の状態でディバイダーを片手に装備し、リアクト状態だった。演出的には最高だったぜ、と笑いながら告げると、片手で頭を押さえながらあぁ、もぉ、と声を吐き、此方を馬鹿と罵り続けていた。
「一人で! 突っ込んで! 何やってんだよ! 最近外出多いから怪しいと思ってたけどさぁ!!」
「ごめんごめん、ちょっと一人でしか出来ない事だったからさ」
そう言うと違うだろ、とトーマが言葉を口にした。
「役に立たなくても理解できなくてもいいから、一言ぐらい声かけろって話だよ」
「……おう、悪かったな、仲間外れにして」
そこは確認もせずに切った自分が間違いなく悪い。そこに関してはぐうの音も出ないほどに俺が悪かった。だからこそこうやって外に出て、迎えに来ているのに驚く。トーマのディバイダーを考えればアジトの脱出自体はそこまで難しくはないのだが、それでもここまでくる事に関しては別だ。ぶっちゃけ、かなり驚いている。だから素直に謝った。そこは間違いなく俺が悪かったのだと。だがそれはそれとして、
「ここまで来て……脱出方法決めてるのか?」
俺一人だけなら逃亡する事はどうにでもなるのだ。ならこうやって出てきている以上、何か手段を用意したと見るべきだろう。その言葉に応える様にトーマは笑みを浮かべ、頷いた。そして立ち上がりつつある群衆へと視線を向けてから、その姿が此方を捉えるのを待ち、
「性癖歪みフェレット今だ!」
『性癖歪みフェレットって止めない? それはそれとしてぽちっとね』
ユーノの声が通信越しに聞こえ、その声が響いた次の瞬間にはバチ、と電気が途切れる音がした。それに続く様に次々とベルカから光が消えて行く。街灯、ビル、店、全てから光が消えて行き、都市そのものから光が奪われていった。その中、僅かに青い燐光を放つ蝶と、トーマが浮かべる銀十字の書が淡い光を放って導となっていた。通信越しにユーノの笑い声が聞こえる。
『僕らを置いて楽しそうな事をしているね? だけど残念! 最後に目立つのは僕達だ!』
「楽しそうだなおい」
「そりゃあ最後の美味しい所を掻っ攫うんだから楽しいに決まってるじゃん」
『ふふふふ……一番目立つ逃亡パートを丸ごと奪われた気分はどうかな? ん? 最後の最後の見せ場を奪われるなんて怪盗失格なんじゃないか? ん!?』
「楽しそうだなぁ、おい」
もう一度同じことを言ってやってから苦笑を零す。
「はははは、は、は……完敗だよ」
そう言うと楽しそうにトーマが背中を叩いて、そしてまだ完全に人々が復活していない間にユーノが生み出した大停電、その中を駆け抜ける様に一気に道路を蹴って飛び出した。笑い声を響かせながら嘲笑する様に起き上がってくる姿を眺め、追いつきそうで追いつけない距離を保つように道路を蹴り、街灯を蹴り、半分体を闇に同化させながら振り返り、笑いながら再び距離を開ける。
その挑発に乗った姿が魔法で光を生み出しながら追いかけてこようとするが、それを嘲笑うようにトーマが再びディバイダーで魔力結合を分断し、魔法を無効化する。それによって再び光が消え、僅かに蝶と銀十字が、そして月光が生み出すだけの灯が此方を見つける為の導となる。
それに必死になって群がってくる姿をからかうようにぎりぎり、届かなくて見える範囲に距離を保ちながら―――十分教会から離れた所で、一気に闇に同化した。
そのまま視界の外へと、虚数の闇の中へと完全に潜り込み、見える範囲から離脱した。これによってベルカの人たちは完全にその視界から怪盗を見失った。古代ベルカの秘宝銀腕は失われ、そして人々の認識は奪われた、盗まれた、その想いが一斉に集い、銀腕に集っていた現実への干渉が一瞬で切り替わる。即ち結果の改変とリセットに。あらゆる情報が本来の形へと帰還し、そして失われて行く。
真実を見るのではなく、
見たいと思う真実を求めて。そしてこれにより、
「ふぅ……これで、なんとかなった……か」
闇の中に潜んで三時間ほどの時間が経過してから、空が明るくなり始める時間となっていた。
今、自分たちはベルカ自治区内のホテルの一室を借りていた。そのままアジトへと戻らなかったのはこんな状況、犯罪者がどこへと逃げるかなんて解りやすいし、オリヴィエを連れて自由に歩き回る事も出来なかったから、である。トーマには別れる前に家の鍵を渡しておいたので、アジトに戻れなくても家の中で勝手に過ごしているだろう―――ユーノ含め、今回の件に関しては後で謝っておくとしよう。
それはそれとして、今はオリヴィエの事だった。
ホテルのベッドの上に寝かせているオリヴィエは健康的な色の肌を見せ、今は目を閉じて眠っていた。その両腕は存在していないが、それによる悪影響もなく、気持ちよさそうに寝息を立てていた。
そう―――オリヴィエ・ゼーゲブレヒトは消えていない。
そしてニュースチャンネルを確認している限り、ヴィヴィオが消えているという事もなかった。
ヴィヴィオとオリヴィエの分断、そしてオリヴィエの保存に成功したのだ。
テレビの前のソファに深く座り込んで腰を沈めながら、自分の達成した成果にはぁ、と息を吐く。先ほどまで汗を流す為にシャワーを浴びていたエリーが全裸でベッドの上に寝転んでいる。その視線は此方へと向けており、
「結局アレクはオリヴィエ・ゼーゲブレヒトをどうやって救ったんですか?」
と、声を投げかけて来た。漸く逃亡の緊張感から逃れられた所であり、口に出す事の出来る話題だった。なぜならテレビのニュースには、オリヴィエの名前なんて一つも出現しておらず、ヴィヴィオと銀腕、そして頭から壁に突き刺さっている聖騎士団団長の事しか報道されていないからである。
ハイディの後始末とは物理的に兄を始末する事だったのかな? と思いつつ、エリーの言葉に答える。
「認識の上書きだよ」
「上書き、ですか?」
「そうそう、オリヴィエを……というより改変によって生み出された存在は結局の所人間の認識によって生み出される存在であり、それを想い、観測する存在があるからこそ存在し続ける事が可能なんだよ。そしてそれが一定時間経過する事で最新の情報であるとして記録され、不可逆になる……というわけだ」
「それで認識の上書きですか」
「あぁ」
アレクサンダー・ダールグリュンという過去の自分の認識を削除し、そこに空いたスペースにオリヴィエを差し込んだだけだ。だから過去、自分が貴族だった頃の話、まだダールグリュンを名乗っていた頃で、自分と面識が浅い連中……そう、たとえば昔のクラスメイトとか、今ではもう会わない一回だけ会った事のある奴、そういう奴から自分という存在の認識をオリヴィエに対する認識で上書きした。
だから俺の事は忘れるが、その代わりに適当に何らかの形でオリヴィエに対する記憶が生まれているだろう。
やったのはそういう事だ。
まぁ、今回は浅い縁の連中だけでどうにかなった。とはいえ2回目、3回目となると段々と範囲が広くなってくるし、深くもなるだろう。もう二度と使いたい方法ではないな、と言葉を零す。
「成程、当機構に影響がないのであれば些事ですね。ついでに言えばあの正妻面の事もどうにかして欲しいのが理想でしたが」
「おっと、これは過激な発言。だがその独占欲は嬉しい」
それだけ想われているという事実でもあるのだから。
テレビへと視線を向ける。そこでは盗み出された銀腕、その責任の追及、そして怪盗ネメシスに関する特集が組まれていた。少し前に盗み出した首飾りの話も持ち出されており、チャンネルを変えてもどれもが昨晩の怪盗劇に関するニュースで占拠されていた。こうやって自分がワイドショーのトップを飾っているのを見ると、実にスカっとする。それはそれとして、フィナーレをあの二人に奪われたのは悔しいが。
あんなタイミングであんなことをやらかすの、絶対注目を浴びるに決まってるじゃん。
自分が主導出来なかった事が滅茶苦茶悔しい。
反省する事はするとして、それとは別にこの復讐はきっかりやっておきたい。お前らだけにいい思いは絶対にさせないからな。
「聖王教会はしばらくは忙しそうだな……近寄らない方がいいか」
ヴィヴィオの事は気になるが、彼女の場合、勝手に遊びに来るだろうから心配する必要はないだろうと思う。何より、アレはアレで強い……とは言えないか。デートの時の涙を思い出してしまえば、どうも放っておけない。それに関してはオリヴィエも一緒だから一概には片方だけ構うって事は言えないのだが。
「ま、もう数時間してから外に出るか。完全にオリヴィエの事を忘れているかどうか、それを確かめなきゃいけないし」
「存在しなかった、扱いになるんですね?」
「現実が解けるからな。そうなる前の状態に戻る―――とはいえ、俺はそのことを忘れないが」
つまりはヴィヴィオしかいなかった状態に戻る訳だ。両親も繋がりも存在したという過去が存在しない、世界の爪弾き者。それが現在のオリヴィエの状態だ。そんな状態でオリヴィエを放置しておくことは出来ないし、そもそも最初から最後まで面倒を見るつもりだった。というかもう逃がさない。絶対に離さない。ずっと手元でこいつを飼い続けるつもりだった。ヴィヴィオの方もヴィヴィオの方で、タイミングが合ったら聖王教会から叩き出してやる。
とはいえ、今は勝利の瞬間だ。
「ふぅー……もう二度とこんな複雑な事はやりたくない……」
「お疲れ様です、アレク」
「ほんとだよ……あーあ、あの二人にどう言い訳しよっかなぁー……」
横になる様にソファに倒れ込み、足を組みながら時計を見て、時刻を確認した。もうしばらくしたら此方からメールを送って所在を確認してみるか、と。小さく息を吐いて目を瞑る事にした。流石に今夜は色々とあって疲れた。薬を使って傷を癒したとはいえ、体力はそれで余分に消耗している。そろそろ休んで疲れを一旦、抜いたほうがいいだろう。そう判断して目を瞑ろうとしたところで、
「んっ……ぁ……レ、ク……?」
「ん? あぁ、起きたのか」
オリヴィエがベッドの上で目を覚ますような音に、眠る訳にも行かず、ソファから起き上がりながらベッドの方へと向かった。此方を呼ぶような声がしたからだ。だから近づき、ベッドの縁に腰を掛けると、眠っていたオリヴィエがゆっくりと目を開け、そして此方へと視線を向けて来る。
「……アレク?」
「どうした、ヴィヴィ」
「……本物?」
「本物さ」
「覚えていてくれる?」
「忘れる訳がないだろ」
「……めんどくさい女だけど好きで居てくれる?」
「好きじゃないさ。愛しているんだよ、一番」
「じゃあ、抱きしめて、ぎゅっと。ぎゅーっと」
「あいよ」
オリヴィエの欲求に素直に従った。義腕を装着していない彼女じゃ自分から温もりを確かめる事が出来ないから。だからベッドに倒れるオリヴィエの姿を抱き寄せて、その背中に手を回す様に抱きしめた。そしてそのまま、回した指先をオリヴィエの肩口に―――義腕と肉体の接続部、その中の溝の中に指を差し込む。そうやって抱きしめる様に指を接続部に差し込むと、オリヴィエが安堵したような息を吐き、全体重を此方へと任せる様に寄り掛かる。
その体は見た目よりも遥かに小さく、そして華奢だ。
こうやって抱きしめない限り、誰も解らないだろうが、
オリヴィエは誰が思うよりも小さく、そして脆い。こうやって一騒動経た後だと体だけではなく、その心も……というのが解ってくる。だから強く体を抱きしめる。誰の物でもなく、俺の物だと教える様に強く、強く抱きしめると、オリヴィエが頬を首元に擦り付け、声を漏らす。
「あぁ……ずっと、こうしたかった……ずっと、ずっと素直になって好きだって言いたかった」
「すまない、俺が悪かった。俺が臆病だけだったんだ」
「ううん、違うの。本当は私が悪い。君はどこも悪くないの。ただ私が馬鹿だけだったの。君の為になる。君の将来に繋がる。そんな言葉で本心を隠そうとした私が全部悪かったの」
「いや、じゃあ、お互いに馬鹿で悪かったって事で」
「……うん、それならいいかな。私達、3人全員馬鹿だったんだよ」
オリヴィエが首筋の匂いを嗅ぐようにすんすん、と鼻を鳴らしながら頷く。
「本当はね? 私も……
「あぁ、解ってるよ。解ってる……どれだけ嫌がってももう二度と離さねぇからな」
「うん、絶対に離さないで。私を、もう、離さないで……」
誰がどう言おうとも絶対に手放しはしない。逃がさない。ずっとそばにいる。そう言葉を囁き、そして強く抱きしめる。接合部に差し込んだ指の感触を、オリヴィエは不思議な感触として感じ取れるだろうが、それを受けてどこか、安心したような表情を浮かべている。それこそ所有されている様な、存在そのものを奪われたような、収まる所に納まったような、そんな安心の表情だった。
俺も、ずっとこうしたかった。漸く、欲しかったものを手に入れる事が出来た。そういう感覚が自分の中にあった。たとえそれが後付けの歴史であろうと、過ぎ去った時間は、偽物じゃないのだから。
暴き、盗み、奪い、消え―――それでも残るものがあった。
だとすれば、それが真実でいい。
「ねぇ、アレク……」
「言わなくても解ってるよ」
視線を下げ、目を潤ませながら見上げて来るオリヴィエの唇を奪った。期待していたのか、オリヴィエはそれを、受け入れる様にして―――自分から求める様に舌を伸ばしてきた。数秒間たっぷりと舌を絡ませてから顔を放せば、蕩けた表情でオリヴィエが此方を見ている。
「もう、どこにも行きたくない……ずっと君と一緒に居たいの……!」
言葉を呟き、再び舌を絡めて唇を重ねる。情熱的に、貪る様に、貪欲に舌を絡めてくる。普段の清楚な姿からは一切想像出来ないような淫靡さで舌を伸ばして唾液を求め、濡れた舌の上の唾液を攫い、染み込ませるように飲み込み、歯を舐めて再び舌を絡める。その積極的な姿はもはや聖王とも姫ともではなく、娼婦という言葉が相応しいだけの積極さを見せている。
「だから、私に、刻み込んで、姫でも、王でも、なく、私、って事を―――」
口づけを交わすその息継ぎの合間に、求める様に声を零してくる。その両腕はそこに存在しないのに、まるで掴まれている様な不思議な心地だった、彼女を掴んで離さないのは此方なのに。或いは―――既に彼女の存在と、その体に魅了され、溺れていたのかもしれない。口づけを交わすだけで頭の奥が痺れて行くような感覚を得ている。一回唇を重ねれば、また重ねたくなる。そして次に唇を重ねれば―――もう一度重ねたくなってくる。
この姫共の体を一言で表現するならそう―――麻薬だった。
一度貪ったら止まらなくなる。双方共に、方向性は違えど、それは間違いのない性質だった。唇を貪られていた筈が何時の間にか此方から押し倒す様に唇を重ね、抱きしめていた体をベッドに押し倒し、覆いかぶさりながら片手で腰を抱きながら、もう片手で彼女が着ている戦闘装束の首元を掴み、それを片手で引きちぎる。ブラジャーごと前を引っぺがして、胸に片手で触れる。
心臓が凄まじいまでに鼓動を響かせているのを、触れる胸の感触から伝えて来た。ヴィヴィオやハイディの様に掴めるような胸はない、なだらかな胸の形をオリヴィエはしていた。決してないという訳ではないが、それでもあるという程でもない。片手で隠せる程度の大きさのそれは手を滑らせれば、ぴくり、とオリヴィエの体が反応する。そのまま胸に手を、指を滑らせ、そのなめらかな肌の感触を楽しむ。優しく、芸術品に触れる様な感覚で触れるていると、オリヴィエが口を再び開く。
「私、腕がないけどいいの?」
「そのまま外して生活してろ、一生面倒を見てやる」
「……私、子供を産めないけどいいの?」
「んな事、ずっと前から知ってるよ―――それでもお前を愛してるんだ」
覆いかぶさり、口づけを再び重ねる。小ぶりな胸を撫でる様に愛撫をしながら、オリヴィエの体を寄せた。両腕がなく、此方へと体を寄せる事が出来ない彼女は此方が体を少し離せば、それに就いて来ようと体を持ち上げようとして、必死に食らいついてくる。もはやここまで来れば言葉は必要もない。単純にお互いを求める様に、オリヴィエは此方に舌を絡め、体を摺り寄せ、愛撫を強請る。
それに応える様に千切った服の隙間から胸に触れ、腹へと触れる。そしてそのまま、その下のショーツに触れ、内側へと指を這わす。既に下着の内側は濡れており、あっさりと指が滑り込む。
「んっ……」
こそばゆそうに声を漏らし、軽く体をよじり、指がゆっくりと膣口を割って侵入して行く感触に、オリヴィエが口を開け、声を漏らさずに舌を伸ばし、背筋を伸ばして快楽に反応する。それを眺めつつ片腕で腰を抱いてゆっくり、ゆっくりと指を膣の中へと進ませて行く。ゆっくりと中指を膣の中へと進めながらも膣壁を軽く撫でながら進めて行き、オリヴィエの膣内を刺激して行く。それに反応して愛液が溢れ、手を汚して行く。口を開けるオリヴィエはこれでだけで絶頂に至っているのか、口の端から涎を垂らしているのが見える。その体を持ち上げる様に抱きしめ、ベッドに座りなおしながら抱き寄せ、絶頂で後ろへと倒れそうな姿を引き寄せて右手で膣を穿り、唇を重ねて口を塞ぐ。見開く眼が酸素を求める様に開くが、それよりも快楽を優先してか、絶頂のまま、舌を絡めようと必死に舌を伸ばしてくる。
そうやって舌を遊びつつ、膣への愛撫を忘れない。中指を潜り込める奥まで潜り込ませたところで膣壁を撫でる様に動かせば、直ぐに膣が反応し、指を一気に締め上げて来る。その膣圧を心地よく感じつつも、そのままオリヴィエの反応を待たずに絶頂へと導く様にオリヴィエのGスポットを指先で刺激する。
「ひぅっ―――! そ、そこはっ、私、私ぃ―――」
オリヴィエの言葉を無視して更に膣壁を攻め立てれば、刺激されたオリヴィエが余裕を一気に失い、口を大きく開けながら連続で襲い掛かる絶頂に完全に思考を焼かれていた。その姿を見て、愛しさを感じながら軽く首筋を舐める様に愛撫し、その体がびくりと腕の中で振るえるように反応したのを見て、膣を穿っていた指を引き抜き、そのままオリヴィエが聖王教会で生活する上で着用していた上物のドレスを千切り、引き裂いた。高級品であり、オーダーメイドなのだろう。
だがもう聖王教会に所属する訳でも、聖王として主張する訳でも、姫でもない。
ただの娘、オリヴィエなのだ。
こんな上物のドレスはもう必要ない。彼女にはもっと相応しい恰好がある。だがその前に―――今は、彼女が誰の所有物であるのか、それを徹底して体に刻み込みたかった。熱病の様に促され、千切ったドレスをベッドの横に捨てる。オリヴィエの秘部を隠しているずぶ濡れの下着を横へとずらす。既に自分の方は準備が完了しており、ジッパーを下へと下ろせば、勢いよく勃起した逸物が出て来る。
そこで両手で息を荒げているオリヴィエの足を広げさせ、その腰を両側から掴んで、逸物を軽く広げた股に擦り付け、割れ目から溢れ出す愛液を滑らせるように逸物に塗って行く。そうやって逸物が割れ目の上を滑るたびにオリヴィエに口から可愛らしい喘ぎ声が漏れる。ぎちぎちに勃起した逸物が今もオリヴィエを犯したいと主張しているが、それを我慢しながら何度かオリヴィエの割れ目の上を往復して焦らしつつ、
で、と声を零した。
「激しく犯されたい? 優しくされたい?」
その言葉に息も絶え絶えの状態で、オリヴィエが呟く。
「して―――犯して、何もかも忘れそうなぐらいに激しく、君しか感じられなくなるぐらいにっ! 私が壊れそうなぐらい激しく犯してっ!」
その言葉を実行する様に狙いを付けていた割れ目に一気に逸物を押し込んだ。
「んくっ―――っぁ、ぁぁっ―――!」
一気に押し込んだ勢いで絶頂し、オリヴィエが背筋を反らしながら潮を吹いている。だがそれを余裕をもって弄ぶだけの余裕はなかった。一気に突き入れた逸物はオリヴィエの中で一気に締め上げられ、気を抜いた瞬間には一気に暴発してしまいそうなほどに気持ちが良かった。まるで逃がさないと言わんばかりに締め上げて来る膣は此方を掴んで引き込む様にうねり、射精感を引きずり出してくる。歯を食いしばりながらそれに耐えつつ、絶頂の最中のオリヴィエの体を、
そのまま、両手で掴みながら座位で犯し始める。
「あっ、がっ、あっ、はっ、おっ」
両腕の無いオリヴィエは対面座位であっても捕まる事が出来ず、犯されるままに体を勢いよく揺らしていた。絶頂の影響を受けてかその背筋を伸ばす様に後ろへと向かって倒れそうになるのを掴んでいる此方が許さず、そのまま道具を使って処理する様に一方的に犯して行く。激しい道具扱いの様なセックス、普通なら正気を疑うようだろうが、
それをオリヴィエは
声はしっかりと喘ぐように喜びの声を漏らし、しかし感じ過ぎているのがまともな声が出てこない。自分で体の動きをコントロールする事も出来ないようで、此方が動かなければ体を動かす事も出来ない。故に一方的に押さえつけ、犯して行く。
だが名器と表現できるオリヴィエの膣を犯して、長く我慢できる事は出来ない。
子宮口を押しつぶす様に逸物を一番奥まで押し込み、そのまま子宮口をぐりぐり押しつぶす様にオリヴィエの体を引き寄せ、絶対に外れない様に押さえつけながら、
「一発目だ、好きなだけ受け止めろ」
「イ、くぅ―――っ!」
逸物を根元まで無理矢理オリヴィエに食い込ませたところで、その一番奥に一気に射精して腹を満たした。その感触にオリヴィエが恍惚とした表情を浮かべ、だらしなく舌を大口を開けて伸ばしている。目をぱちぱちとしながら衝撃を何とか飲み込もうとして酸素を必死に飲み込もうとしているのが解る。
優しく、止めて、ゆっくり、そんな言葉をオリヴィエは口にせず、
「も……
息も絶え絶え、まだ衝撃から復帰しておらず、まるで道具の様に使われて犯されているのに、それがオリヴィエの口から漏れ出た言葉だった。
ハイディを奉仕体質のソフトMだと表現すれば、オリヴィエは
その歪んだ性癖がどういう背景から来ているのかは解りやすい。
だが今はそんな事はどうでも良く、
「一回や二回でお互い満足する訳ないもんな―――エリー、お前も混ざれ」
「はい、その言葉を待っていました」
抜かぬまま、オリヴィエをベッドの上に倒すと、その横にエリーを呼んだ。エリーがベッドの上で犯されているオリヴィエに近づくとそのままオリヴィエと此方の接合部へと顔を寄せ、勃起している淫芽を口で吸い上げる様に向いて露出させると甘噛みをはじめ、空いている片手でオリヴィエの胸を、もう片手で自分の秘所を弄り始めた。
一方的に犯され、体を弄られるオリヴィエの嬌声が室内で響く中、
まだまだ快楽の宴は始まったばかりだった―――。
エロえっろぉ! ハイディちゃんはソフトM。オリヴィエちゃんは激しいM。とはいえSMでのMではなく性向として激しく扱われるのが好き。無論、好きな人限定ではあるのだが。
求められる方向性と性癖が逆方向なのはままあること。
それはそれとして、性癖歪めて行こうか。