※この作品はR-18です。

新たな子   作:神座(カムクラ)

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 外伝です。前回登場した、種族に合わぬ温和さを持つ煌黒龍アルバトリオンのお話。

 これは元々pixivに短編として投稿していました。結構前に書いたので読みにくいかもしれません。


~*外伝~愛を知らぬ者の愛

 生態については作者の妄想なのであらかじめご了承ください。

 

 

 

 

 ある名も無き荒野に1頭の蒼い龍が歩いている。厚い体毛に覆われ、冠のような角、美しくも気迫のある顔。その種はテスカト。雌である彼女は炎姫龍ナナ・テスカトリと呼ばれる龍だ。

 

 1年前に子供を巣立ちさせた今、目的など特に無い。強いて言えばある人間達への復讐。しかし目標の人間に再び巡り会える可能性などたかが知れているし、番を見つけようにもそもそも個体数が少ない上テスカトは番を変えることは余り無く雄を見つけられてもすでに番を持っていることもあり、また今はそんな気分になれないので今はただ何をしようということなく彷徨(さまよ)っていた。

 

 (随分遠くまで来たな…特に何も考えずに来たが意外と生きれるものだ。)

 

 何もない荒れ地に見えても案外生き物はいる。所々にある、砂漠で言うオアシスのようなところには獲物となる生き物達がいるので飢えることも無かった。数日歩き続けると火山が見えてきたので久々に翼を広げて飛び立つ。その火山を越えようとしたときだった。

 

 (天気が…まずいな…。)

 

 晴れていたはずなのだが黒く厚い雲が覆い始めていた。この高さだと雷に撃たれかねないので仕方なく山に降りようとしたときだった。

 

 「───!」

 

 カッと視界が白くなり、墜落したのではと思うような衝撃と共に激痛が全身を突き抜ける。

 

 (バカな!早すぎる!先程まで…まさか…)

 

 雷嵐を起こせるという幻獣にでもやられたかと思ったが違った。墜落しそうになるのを必死にこらえてまさに不時着。変な体勢で滑るように着陸したので体が軋む。だがすぐに起き上がり辺りを警戒すると、自分と同じような体型の、黒く2本の角を生やした龍がこちらへ飛んできて

 

 「今の雷は貴様の仕業か?」

 

 「いかにも。そこそこ力を込めたのだがあの程度ではさほど痛手にはなってないようだな。」

 

 「何が目的だ?縄張りに入るなというならすぐに立ち去るが。」

 

 「肝も据わっている。フフ…流石テスカトと言ったところか。これから我はお前を試す。」

 

 「試す?」

 

 「そうだ。どれくらいの力を持っているかな。」

 

 「何のために?」

 

 「我を認めさせたら何者にも襲われることもない寝床をくれてやる。」

 

 「必要ない。自分で探す。」

 

 「お前に断る権利はない。」

 

 そう言うと赤黒い龍雷を纏い突進してきた。横に避けてブレスを吐くが、ものともせずにあちらも火球を放つ。飛んで避けたが火球が地面に当たると火柱…と言うより炎の竜巻が発生し巻き込まれて墜落した。再び突進してくるので翼を激しく、小刻みに震わせながらギリギリで避けると牙をならしその火花で粉塵爆発を起こすと相手は少し唸り声をあげ飛翔。また火球かと思いきや純粋な冷気を帯びた真っ白いブレスを吐いてきた。

 

 「バカな…!」

 

 不意な弱点攻撃に、ブレス自体は当たらなかったものの体勢を崩す。と、今度は唾でも飛ばすように氷塊を飛ばしてきてまともに食らってしまった。そこに追い討ちをかけるような落雷。普通ならあり得ない属性の組合わせ。

 

 「まさか…貴様煌黒龍(アルバトリオン)か?」

 

 雲のせいで辺りは薄暗く姿の細かい部分は良く見えないのだが、確かにその鱗は逆さに生えていた。

 

 「今更か。知ってどうする。降伏は許さん。」

 

 そうして戦い続けること数分、私はついに倒れ込んでしまった。首を踏まれると

 

 「十分だ。我は運が良い。お前を次の苗床にしてやろう。」

 

 「苗床…?」

 

 「そうだ。来い。立てるだろう?流石にお前を運ぶのは骨が折れる。逃げようとすればどうなるか、もうわかったはずだ。」

 

 「…殺せ。誰が貴様の子など産むものか。」

 

 「ほう?そこは喜ぶところではないのか?我に勝る龍など同族か祖龍ぐらいだぞ?それに先程言ったが断る権利はない。」

 

 バリバリッという音と共に龍雷が私の体を襲う。

 

 「グアアァァァッ!」

 

 「さあ来い。殺すには惜しすぎる。それでもいやというなら気絶させてから尻尾をくわえて引きずってやる。」

 

 それでも答えずにいるとその言葉通りにされた。朦朧とする意識のなかで時折投げたり落とされたりされた記憶がある。

 

 「気がついたか?」

 

 「グ…おのれ…」

 

 「では始めるぞ。」

 

 律儀にも意識が戻るまで待っていたらしい。何を始めるかはもう分かっている。

 

 「ん…?この柔らかさ、お前出産したことがあるな?なら尚更良い。なんだ?我とて解すぐらいのことはするぞ?」

 

 無遠慮に舐められて無理矢理でも感じてしまう体を恨みつつ声抑えをなんとか隙を探すも、そもそもまだ自分の体がうまく動かせないので隙があっても逃げるのは絶望的だ。

 

 「入れるぞ。」

 

 「くそ…」

 

 なんとか逃れようとするも背後から前足でがっしり捕まれると体をうねらすことしかできなくなる。恐らく他の雌も何度も犯したことがあるのだろう、動いてるのにも関わらず正確にその巨根を突き入れてきた。

 

 「グアッ!」

 

 1度出産したとはいえ交尾は5年前に初めて1度したきりなので慣れてはいない。その暴力的な快感に体を震わせ抵抗を封じられる。

 

 「フフフ…心地良い締め付けだ…大抵の竜は我のモノを受け入れきれぬしかなり窮屈なのだがな。これは楽しめそうだ。」

 

 根本まで入れられ、子宮口を突きあげられると体をのけ反らせてしまう。

 

 「それにこの体毛のお陰で我の体が擦れても傷を負わないとは。我は運が良い。」

 

 そのまま気遣いもなにもなく乱暴に犯される。痛みもあるが悔しいことに感じていた。

 

 「く、クソォ…放せっ…グッ!…」

 

 「お前も心地よいだろう?足掻いてないで素直に楽しめ。どうせ期限つきの命だ。」

 

 「どういう…ことだ…」

 

 「我が子…煌黒龍の子は母体の腹を食い破って出てくるのだ。」

 

 「なん…だと…?」

 

 「その代わり我はお前の世話をし、そして快楽を与え続ける。お前は子を孕んで死ぬ。良い取引ではないか。」

 

 「グ…放せェ!…ウグッ!」

 

 「前の火竜は快感に溺れて暇さえあれば我に行為を求めていたぞ。我の逆鱗で傷つきながらなぁ。だがあやつでは器の大きさが足りなかったようで孕みはしたものの途中で子が成長しきれずに死んでしまったわ。だがお前ほどの体格があれば成長するのには十分だろう。さぁ、どうせ腹を食い破られるのだから今のうちに溺れてしまえ。」

 

 熱くたぎった大量の精を出され自分も達してしまう。中にある雄がビクビクと震えながら射精する感覚に、体から一気に力が抜けた。

 

 「そうだ…素直になれ。」

 

 射精が終わると再び腰を降り始める。

 

 「なっ…!…なっ…!」

 

 「なに、お前への報酬の前払いよ。」

 

 「ふざ…ける…なぁっ!」

 

 そうして何度も犯されようやく解放されたときにはもう抵抗する気力など残っていなかった。力無く寝そべっていると煌黒龍が寄り添い毛繕いをしてくる。

 

 「そんな目で見るな。我とて命を捨てて我が子を宿す雌を労るぐらいの心はある。」

 

 「おのれ…」

 

 「その気丈さも気に入ったぞ。怯えきるか堕ちるかのどちらかだったからな。」

 

 「何匹殺した。」

 

 「さぁな、どの雌も、自分の種の子供は生んでも我が子を生み出すことは出来なかった。何度か食い破るところまでは来たのだが上手く出れずに死んだこともあったな。だが自力で出てこれぬような非力な子供は求めていない。もちろん雌の種の子供もな。」

 

 「お前もそうして生まれたのか?」

 

 「そうだ。母体は金に輝く火竜だったぞ。我も同じやつを孕ませたがダメだった。運もあるらしい。子が出てこれるかどうかは別として、お前なら少なくとも発育不良にはならないだろう。」

 

 「酷いやり方だ…。」

 

 「他人事だな。やはり嬉しいか?我の子を孕めて。」

 

 「勘違いするな。子が巣立った時点で私に生きる理由はない。それだけだ。」

 

 「ほう。なら好都合ではないか。我らは異種…宿る可能性は低い…明日からまた注いでやるから楽しめ。」

 

 睨みつけるが不敵な笑みを返されるだけだった。

 

 

 

 「グッ!…クゥ…」

 

 「まだ抗うか。まぁその方が犯しがいがあるのだが。」

 

 捕まって1ヶ月。獲物を食い終わってすぐにまた始まる。もう言葉や態度以外で抗うことはできない。精神的にもそうだが、肉体的にもかなり辛かった。

 

 「ほら…注ぐぞ。」

 

 「クウウゥッ!」

 

 「相変わらず良い調子だ。これほど経っても堕ちずに睨んでくるとはな。我は随分良い苗床を見つけたようだ。お陰で退屈せずに済む。」

 

 「貴様などに…堕とされてたまるか…」

 

 「ククク…子が腹を食い破って出てくるのを見る絶望の顔が楽しみだ。」

 

 四六時中犯されているので火山地帯にある巣は粘液だらけ。すでに奴の精で一杯の子宮に注がれ続けているので私も身動きをする度に秘裂から逆流する。そんなある日、奴が狩りに行ってつかの間の休息が与えられているときだった。カチャッカチャッという金属音。

 

 『やっと見つけたぞ!殺れ!』

 

 四人の人間。それもただの人間ではない。身に付けている物とその顔を見て全身に震えが走った。

 

 ─  ─  ─  ─  ─  ─  ─

 

 

 我は上機嫌で狩りを終え、獲物を抱えて塒(ねぐら)へ戻る。良い苗床を見つけた。今まで会ったどの雌より強く、体格も良い。あの体格ならもしかすると子供が食い破らずに出てきて、再利用できるかもしれない。元々食い破るのは殺すのが目的ではなく、いろいろな問題で通常の方法では生まれてこれないからという理由らしかった。何が根拠なのか知らないが、父親はそう言っていた。父親と言っても我に力の使い方や知識を教える位だが。

 

 あのテスカトの存在は新鮮だった。今まであれほど我に反抗した者はいない。怯えて涙目で体を差し出してくるのはつまらないし、快楽に溺れさせ、よがって来るほうが楽と言えばそうなのだが正直虫酸が走る。その点あのテスカトのように生意気なほうが退屈せずに済んだ。

 

 と、何やら塒が騒がしい。というか爆発している時点で平常では無いのだが。何があったと少し急いでみれば傷の場所が分からぬほど血だらけになったテスカトが人間に追い詰められている。理由のない怒りが込み上げてきた。

 

 よくも我の苗床を、折角見つけた良い苗床を、我の大切な────

 

 『な、なんだあの龍は!?』

 

 『一旦下がれ!下がって───』

 

 まず最前線にいた人間を雷で穿つ。そのまま雷を纏って突撃すれば小石のように吹っ飛んだ。一人、溶岩の中に落ちた。

 

 『ダメだ逃げろ!!』

 

 人間達は逃げようとするがそうはさせない。追撃をされては面倒だ。腕に雷を纏って叩きつければ人間達も逃げられぬことを理解したのか攻撃してきた。氷の力を持つ丸っこい物で殴られ鱗にヒビが入る。弾かれた隙をついて叩きつけた。体内の属性が火に切り替わったので少し離れたところに着地し火球を放てば塵のように舞う。一人それを食らっても生きていたのは纏っていた物のお陰だろう。だが所詮はそれ頼み。起き上がろうとしているところにもう一度火球を放てば動かなくなった。纏っている物はさほど損傷してないところから恐らく蒸し焼きにされたのだろう。

 

 「無事か?」

 

 「そう…見える…?」

 

 捨て台詞を残し大事な苗床は倒れて動かなくなった。

 

 

─────────────────────

 

 

 「おい起きろ。始めるぞ。」

 

 「少し休ませてくれ…」

 

 「何を言う、断る権利はないと言ったであろう?」

 

 深傷を負っているのにも関わらず犯される。突かれる度に激痛が襲うが意識が飛ぶことは無かった。所詮は苗床。気遣う必要はないということか。だが仇は取った。深傷をおったものの私はこの手であの人間を葬り去ることができて、今は痛みよりも勝利の酔いのほうが強い。夫を奪ったあの忌々しい人間。あの人間がいなければ今も私は夫と暮らしていただろうに。こんなやつに捕まる必要もなかっただろうに。

 

 月日が経ったある日、目が覚めるとどうも腹の奥底が温かい。精液ではない。これは…まさか…。

 

 獲物を食い終わり、奴が舐め始めるとすぐに止めて

 

 「これは…グフフ…ついに孕んだな。」

 

 捕らえられてから初めて涙が出た。死の恐怖もあるが、それ以上に悔しかった。こんな奴の、ただ私を貪るだけの奴の子を孕むとは。この子が夫との子だったらどんなに幸せだっただろうと毎日思っていた。

 

 日に日に腹は大きくなる。何度も奴の目を盗んで潰そうとした。しかし勇気が出ない。所詮は本能か。胎動が始まれば未遂もできなくなってしまった。どう頑張っても腹の中の命を意識してしまい、その勇気が出ないまま私の腹は膨れて奴はいつ食い破って来るかを今か今かと心待ちにしていた。

 

 そんなとき、私は眠りから目を覚ますと洞穴にいた。気配を感じて首を起こすと

 

 「お前は…!」

 

 そこにいたのは紛れもなくテオ・テスカトル。かつての夫だった。

 

 「あいつの子を宿したか。」

 

 そう言うと何の前触れもなく私の腹を思いきり踏みつけられ、激痛は踏まれた場所だけでなく全身に響く。

 

 「グギャッ!な…にを…ギャッ!」

 

 「何?お前の望み通り下してやってるだけだが?」

 

 そう言って踏み続ける。そのとき、不意に自分の腹の中が見え、そこには奴をそのまんま小さくしたような煌黒龍の子がいて、そしてそれは本来安全な場所であるはずの私の中という決して逃れられない牢獄で苦しんでいて

 

  ───オカアサンタスケテ!───

 

 確かにそう聞こえた。と、痛みで現実に戻り

 

 「や、やめろ!それ以上は私の腹が…この子が死んでしまう!」

 

 気がつけば泣いて懇願していた。

 

 「何故だ?散々この子を殺したいと願っていたではないか。愛する私との子だったら良かったと思っていたではないか。」

 

 「それは…」

 

 夫はさらに踏みにじる。

 

  ────イタイヨクルシイヨ!────

 

 「私はお前を愛している。この子はお前の子ではないが私の子なのだ。頼むもうやめてくれ…私の子を傷つけないで…お願い…」

 

 ふっと痛みが無くなる。

 

 「それでいい。もう私のことは…忘れろとは言わないが気にするな。私はお前の幸せを願っている。それに我々は数が少ないから番を変えるのは珍しいが、他の竜ではなんらおかしくないことではないか。」

 

 腹の温もりがよみがえり、初めて子供を産んだ時のように安心した。

 

  ───オカアサンダイスキ!─── 

 

 「そうそう、子供を立派に育ててくれてありがとう。お前だけでさぞかし大変だったろう…感謝しているぞ。」

 

 そう言って彼は立ち去った。

 

 「まっ待て…!」

 

 

────────────────────

 

 

 「待って…グ、グオ!?」

 

 再び全身に激痛が走る。そしてお腹の大切な温もりが消えていた。

 

 「気がついたか!」

 

 「おま…えは…私の…私の子は…?」

 

 「何を言っている、お前の子はもう独り立ちさせたと自分で言っていたではないか。」

 

 「そうじゃなくて…お前との子は…どうなった…?」

 

 「我との子?何をバカな……うなされていた。夢をみたのだろう。」

 

 「夢…?」

 

自分の体を見るとボロボロで、何かよくわからない物を塗られている。

 

 「治癒効果のある植物を潰して塗ってある。何があったのか覚えてないのか?」

 

 ゆっくり記憶を遡る。あぁそうか。私はあの人間に負けたんだったな…。

 

 「あの人間達は…?」

 

 「殺した。ほら、あそこに奴等が身に纏っていたものの残骸ががある。死体は汚いから捨てたが。」

 

 「あれだ…」

 

 「?。赤いのがどうかしたか?」

 

 「私の夫だった物だ。間違いない。」

 

 「成る程…」

 

 「番になると誓い、初めて私と身を重ねた翌日、私が身籠ったと知って喜び戯れていたところを襲われた。私も彼も人間に手出しした記憶は無いのだが…。彼は私を逃がし戦った。だが待ち合わせていた場所に夜が明けても彼は帰ってこず、戻ってみたら大量の血痕と鱗や角、翼の残骸だけが残っていて私は察した。匂いをたどることはできた。だが子供を宿した私のするべき事ではないと制し、棲みかを変えたのだ。何度も飢え死にしそうになった。産むときも独り。育てるのも独り。守る者が私しかいないから産まれたばかりの娘を狩りに連れていき、何度も他の獣や竜に食われそうになるのを防ぎながらやっとの思いで独り立ちさせたのだ。その娘も今どうしているだろうか…生きているだろうか…。」

 

 涙が出てきた。

 

 「そしてお前に捕らえられた。そうしたらまさかまたあの人間に会うとはな…。私の愛する夫を殺した人間がその妻の私をも殺そうとするとは…。」

 

 「愛する…か。道理でお前は自分が死ぬ運命なのに他人事だったのだな。まぁ取りあえず休め。そう簡単に死んでもらっては困る。」

 

 言われなくとも。目を閉じればあっという間に眠りに落ちる。今度は夢を見なかった。

 

 それからしばらくの間、私は収まることの無い痛みに一日中耐えながら過ごす。彼が私を犯さないのは意外だった。思わず聞いてみると

 

 「今交わったら我の逆鱗でお前の傷を引き裂いてしまいかねない。苗床が交尾で死んでは意味がなかろう?」

 

 と、もっともなことを言われ納得する。食事が終わり、滲みる植物を塗られた後、唐突にこんなことを言いだした。

 

 「なぁテスカト。お前は夫やその子供をを"愛して"いたのか?」

 

 「あぁ。」

 

 「会いたいか?」

 

 「できるものならな。」

 

 ほう、と相槌を打ってそのときはそれで終わり、その続きは私の怪我が治りかけて来た頃だった。

 

 「なぁテスカト。お前が子供を守ったのはその子供を"愛して"いたからなのか?」

 

 「まぁ、そうなるな。」

 

 「死んでも尚その番を想っているのもか?」

 

 「あぁ。」

 

 「我は"愛"を知識としてしか知らぬ。性欲の延長線上にある愚かな気の迷いと父親に教わった。」

 

 「そうか。」

 

 「なぁ、テスカト。"愛して"いる者は、その番がそうしたように、守りたい者なのか?」

 

 「あぁ。」

 

 「ならテスカト。我がお前を守りたいと思うのは愛しているからなのか?」

 

 「そうか…えっ?」

 

 顔を見る。からかっているような素振りはない。真逆のようだ。

 

 「まも…りたい?私を?」

 

 「あぁ。守りたい。死んでほしくないと思う。これは…?」

 

 「それは…私はお前ではないから…分からないが…貴重な苗床だからじゃないのか?」

 

 「うむ。確かに貴重な苗床だ。そういえば、我の子は母体の腹を食い破って出てくると言ったがな…」

 

 話題が逸れたと思った。

 

 「お前ほどの体格なら普通に産めるのではないかと思うし、我はそれを望んでいる。これは愛しているからなのか?」

 

 「何が…言いたい?」

 

 「我もその愚かな気の迷いをしてみたい。」

 

 「愚かな…なのか?」

 

 「知らぬ。聞いた話だ。」

 

 「つまりお前は…私を苗床ではなく番にすると?」

 

 「番…そうだな。どちらも変わらぬ気がするが。テスカト、もう飛べるか?」

 

 「え?あぁ。多分な。」

 

 「なら移動しよう。また人間が来ては困る。神域と呼ばれる場所がそう遠くないところにある。以前は別の主がいたが死んだらしい。そこでまた子作りをしようぞ。」

 

 「あ、あぁ。」

 

 そうしてそこへ向かった。確かに何かがすんでいたような跡がある。と、

 

 「これは…!」

 

 煌黒龍の死骸があった。まだそこまで時間はたっていないらしい。目だった外傷はなく、また寝ているような姿勢なので自然死だろう。

 

 「あぁ。我の父親だ。いつかここを奪おうとあそこに凄んでいたのだ。」

 

 亡骸をポイッと溶岩の海に投げ捨てると少し掃除し落ち着いた。そして私に向き直り

 

 「テスカト、話の続きだ。」

 

 「え?あぁ。」

 

 「我は愛を知らぬ。だがお前はよく知っている。教えてくれぬか?我もお前を愛してみたい。」

 

 「んなっ…」

 

 「駄目か?」

 

 「いや…その…なんというか…"愛"を完全に言葉で表すのは私には無理だ…。お前の知識も間違いではないだろうしな。だが…そうだな。お前が私を愛するというのに断る理由は無い。」

 

 「そうか。」

 

 「私と…一緒にいたいと…そう思うのか?」

 

 「あぁ。」

 

 即答した。

 

 「なぁテスカト。我は子供が欲しい。それにお前が子供を愛していたなら、我も子供ができれば愛とやらも分かるのではないか?」

 

 「そう…かもな。…交わるか?」

 

 「あぁ。」

 

 全く、無機質な雄だ。だが確かに目付きは変わった。以前の通りその体勢になると舐めてくる。

 

 「久しぶりだからな。楽しませてもらうぞ。」

 

 前とは違ってゆっくり入れられ、すぐには動かず私を抱き締めた。

 

 「相変わらず心地よい。中もそうだがこの毛も触り心地が良いな。そうだテスカト、火竜の番が口を合わせて舌を絡めていたが、テスカトの番もやるのか?」

 

 「あぁ。…やるか?噛むなよ。」

 

 「我の台詞だ。」

 

 口を重ね舌を入れる。相手の牙で傷付かないよう慎重に舌を絡めた。ねっとりと糸を引いて離れると

 

 「悪くないな。動くぞ。」

 

 「待て、その前に…」

 

 コツンと角同士をぶつけた。

 

 「信頼の証だ。信頼と、親愛の。」

 

 彼はフッと笑い私を突き始める。今までずっとされるがままだったが、私も少し力を入れて彼の雄槍を締めた。

 

 「グゥッ!グッ!…」

 

 「心地…良いか?」

 

 「ウグッ!…ま、まぁ…なッ!」

 

 圧倒的な快感。気持ち次第でこれほど変わるとは思わなかった。そういえば前の夫と最初で最後の交尾をしたときは随分喘いだ気がする。

 

 どうやら彼も前より感じているらしく息が荒い。行為は自然と激しくなっていき、互いが互いを求めた。奥を突き上げられ私はもう何度か達していて、突かれる度に淫乱な水音をたてながら濃密な雌の匂いのする愛液を滴らせていた。

 

 「出るぞ…」

 

 「グウゥ…」

 

 もう何度もしてきたというのに、胎が勢い良く熱い精で満たされると一段と強い快感と共に初めて不思議な安心感に包まれる。腹に彼の温もりを感じると初めて彼の子供が欲しいと思った。

 

 1度引き抜かれれば入りきらなかった精液が愛液と共に流れ出る。怪我のせいでしばらくやっていなかったからかいつもよりも多く、濃い匂いを放っていた。それにいつもはただ動く→出すの繰り返しで、ここまで情熱的にやったのは前の夫以来だったので私もかなり息が切れる。

 

 「平気か?テスカト。」

 

 「ハァ…あぁ…ハァ…ハァ…」

 

 「…今日はもう止めよう。お前もまだ完全に回復していない。」

 

 「良い…ハァ…のか?」

 

 「その虫の息で何を言う。」

 

 私の隣に寄り添って毛繕いしながら

 

 「それに我はもう満足した。これほど心地の良い交尾は初めてだ。それに…いてくれるのであろう?」

 

 「あぁ。そうだな…」

 

 「フフ…悪くない。」

 

 「?」

 

 「気に入った雌と生涯を共にするのも悪くない。(我が子が殺さなければの話だが…)」

 

 それから1年、私達は毎日のように交わり続け、その度に新たな夫は少しずつ丸くなっていった。そしてついに私が身籠ると私達は喜び半分不安半分で毎日を過ごす。しかし思っていたよりも腹は膨れず、私が前の子を宿したときと同じくらいになった。

 

 そして6年ぶりのあの感覚。2度目だが全く慣れない痛みに耐えながら私は子を産み出し始めた。彼は私の傍らに寄り添っていて、周囲を警戒しつつ見守っている。ある程度時間がたった頃、産みかけの子供を見て背筋が寒くなった。半透明の白い膜に包まれたそれは紛れもなくテオ・テスカトルである。

 

 「ぬ?どうかしたか?」

 

 「あっ…いや…その…」

 

 そして彼も子供を見る。はっきりとそれが煌黒龍でないことを確認したはずだ。

 

 「お願い殺さないで…!育てさせてくれ…」

 

 すると彼は静かに

 

 「テスカト、我はもうお前を苗床とは思っていない。確かに前の我なら殺していたかもしれぬが今の我はそんなことはしない。これは我らの子だ。安心して続けてくれ。それに腹の子から我の力を感じなかったから元々そうだと思っていたのだ。前に威圧してすまなかった。」

 

 そう言って私の腹を舐めた。その言葉通り、産み終わって乳を飲む子供を見る彼の目はまさに愛に満ちた父親の眼差しだった。と、私もその子を感慨深く見ていたのに気づいたのか

 

 「思い出すか?」

 

 「そうだな…だがこの子はお前と私の子だ。」

 

 「そうか。生んでくれて感謝しているぞ。」 

 

 問題はこの次の子だった。息子が両親の愛情を目一杯受けて独り立ちしてからしばらく経ち、私を拘束したのが良い思い出になってきた頃、また私は身籠り。

 

 「間違いなく煌黒龍の子だな。その力を感じる。」

 

 今回は喜びよりも遥かに不安の方が大きいようで、私の腹が膨れていくにつれ彼の表情は険しくなる。しかし今までの子よりもずっと大きくなっても私に不安はなかった。むしろ昔の夢がようやく現実になってくれたと思うほど落ち着いている。

 

 「なぁ、そう言えばお前、愛が何だかわかったのか?」

 

 「そうだな…言葉にはできんが思い当たる感情はある。」

 

 「そうか…この子に対してもか?」

 

 「…どういう意味だ?」

 

 「この子が私を殺してもこの子を愛せるか?」

 

 「お前はどうなのだ。」

 

 「私?愛しているに決まっているだろ?例え食い殺されても我が子を愛さない雌じゃないぞ私は。」

 

 「なら我も同じだ。お前が命を捨てて産む子だ。」

 

 (だが頼む我が子よ…テスカトを…妻を殺さないでくれ…)

 

 そう祈り腹を舐める。返事をするかのように胎動が返ってきた。

 

 彼の祈りが届いたのか、その大きさになっても突き破ってくる気配はない。他の子と同じように大人しく腹の中に収まっている。そして膣口が徐々に広がってきてその心配が無用だったことを告げた。

 

 兆候が現れて2日後、私は今までにない激痛に悶えていた。

 

 「頑張ってくれ…」

 

 「グゥ…ウググググ…」

 

 逆鱗だからか、大きいからか、その両方か尋常じゃない痛みが襲う。ようやく前足と鼻先が出たところで1度見てみる。母体を傷つけないためかご親切に膜も分厚い。念のため鼻先にかかっている膜を彼に食い破ってもらってから半ば無理矢理再開。自分が産み出そうとするよりも強く体がそうしている。翼辺りで痛みはピークになった。

 

 「グガアァ!アアァ!」

 

 と、途中でへその緒が切れたのか子供が咳き込み少し苦しげに呼吸を始めた。そしてもがき起き上がろうとしたので母親は堪ったもんじゃない。

 

 「ギャアァァァ!」

 

 煌黒龍はかなり焦ったが、子供はその悲鳴を聞くとハッと振り向き自分の体の半分以上がまだ母親の中にあることを確認する。するともがくのをやめ、目を瞑り身を任せた。

 

 (どうやらこの子は他とは違うようだな…)

 

 時間をかけてようやく産み出すと、自力で膜から出てヨロヨロと立ち上がった。そして息絶え絶えになっている母親の元へ向かうと腹の匂いを嗅ぎ(煌黒龍は食うのかと思った。煌黒龍の子が最初に食べるのは母体だから。)

、その匂いをたどって乳首に吸い付き寄り添うように座ったので父親は目を丸くする。

 

 「まさか乳を飲むとは…まるで本能が書き替えられたようだ。」

 

 「この子にも私達の愛が伝わったんじゃないか?」

 

 テスカトの子と同じようになんとも可愛らしい表情で飲み続ける我が子を見て納得する。

 

 「そのようだ…よく頑張ってくれた。感謝するぞ。我が妻よ。」

 

 何か軽口を叩こうとしたが、顔の[[rb:綻 > ほころ]]びを抑えることができず

 

 「あぁ…お前もな、私の夫よ。」

 

 と微笑んで言った。

 

 

 

 季節はめぐり、子供はすくすく育つ。かの煌黒龍の子とは思えないほど純粋無垢で温厚な子になった。

 

 「ねーねー、父上と母上はどうして番になったの?」

 

 「そうだな…何て答えれば良いと思う?」

 

 「さぁ?お前に任せるよ。」

 

 

          次回『金獅子、現る』




 次回は…そうですね…出逢いと別れは紙一重とでも言っておきましょうか。

 ところでナナテスカトリはいつ本家に復活するんでしょうか。テオはワールドにも出てるのにナナはMH2G以来…と思ったら遂に来ましたね!最新アップデート(5月31日)で約10年ぶりに本家復活!しかも強くなって帰ってきた…らしい!(ワールド持ってないんです…)ムービーも神演出!(実況動画で観ました。)おめでとうナナ!


               5/31(木)追記
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