※この作品はR-18です。

新たな子   作:神座(カムクラ)

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 お待たせいたしました。最終回です。終わりでも始まりでもある最終話。それではあともう少し、お付き合いください。

 
 



終章 新たな命、新たな時代
*終話 未来紡ぐは新たな子


 

 神域周辺地にて

 

 「もう少しだ…息を深く吐け。」

 

 「フク…クゥゥ…」

 

 アルバトリオンの番であるナナ・テスカトリに寄り添われ、蒼白のジンオウガは数奇な出逢いのお陰で助かった亡き祖龍との子を産み落とした。雄の極ジンオウガだ。アルバトリオンや他の下僕達も見守る中、自力で這って乳首に吸い付く小さな命に和やかな雰囲気が漂う。しかし

 

 「煌黒龍様!」

 

 「なんだ、どうした。」

 

 やって来たのは黒衣の竜人。

 

 「人間の軍勢がこちらに向かっていると伝書が!」

 

 ゲン国とシュレイド国の連合軍は煌黒龍が住まうと伝えられているこの地にも目をつけていたのだ。

 

 「やれやれ…祝う暇も無いというわけか。今逃げるわけにもいかない。キリや子供達を守る者と迎え撃つ者を決めよう。」

 

 エルゼリオンはすぐさま

 

 「私は迎え撃ちます。討たれた祖龍様の番と御子の仇を取る!」

 

 するとレイムの祖母、カミーヌが

 

 「では私はキリと子供達を守ります。」

 

 といえばアルバトリオンの番のナナ・テスカトリも同じくと声をあげ、その後も訳はスムーズに決まる。

 

 「よし。…ここは我が先制を仕掛けた方が良いか…我が人間をある程度攻撃した後、やはり紅龍とレイムの助太刀に行くこととしようか。」

 

 

 〇〇〇

 

 

 「またここに来ることになるとはな。」

 

 ユクモ村へ舞い降りる紅龍。今回は事前に伝えていたので村人は畏怖の目で見るもパニックにはならない。レイムは龍の姿に戻り、荷物を背負うと

 

 「行きましょう。」

 

 「あぁ。そうだ、嵐龍。」

 

 後ろにいたユイはレイムの影から覗き込むようにして紅龍を見る。

 

 「…なんでしょう。」

 

 「この前はすまなかった。」

 

 「…彼に救ってもらったので。」

 

 「そのようだ。これからは長い付き合いになるだろう。よろしく頼むぞ。」

 

 「それじゃあユイ、行ってくる。」

 

 「はい…」

 

 スッとレイムに頬擦りをするユイの心情は複雑だった。それを見た紅龍は

 

 「もう一日延ばすか?お前が動けば奴も…ヴェルサ・ノワも勘づくかもしれん。」

 

 しかしユイを引き寄せて

 

 「いや、一刻も早く助けに向かいたい。大丈夫、戻ってくるよ。」

 

 「…はい。村は私とリヒトで護ります。ですから…帰ってきてください。」

 

 「あぁ。それじゃあ。」

 

 別れ際に軽く口付けを交わしてから飛び立ち、ユイはその姿が見えなくなるまで見つめていた。

 

 「良い番ではないか。道は長い。馴れ初めでも聞かせてくれぬか?」

 

 「そうですね…数奇な出逢いでした。」

 

 

 〇〇〇

 

 

 「ギルドのじーさん、生きてるか?」

 

 「あぁ残念ながら生きている。」

 

 「フン…まさかそいつが懐くとは…それはそれとして、報告じゃあでかい竜がこっちに向かっているらしい。我々の対竜力を見せてやる。ハンターなど必要ないとな。ほら、ありがたく食え。」

 

 パンとチーズの塊と水の入った竹水筒、そして生肉が投げ込まれて投入口は塞がれた。

 

 "お肉…!"

 

 仔龍ホルドは匂いを頼りにそのか細い腕で必死にその方向へ這う。

 

 "まてまてワシが取ると言っているだろう?"

 

 "そうだった。つい…"

 

 ギルドマスターが雷光虫の明かりを頼りに肉を取ってホルドの手に乗せてやると夢中で食べ始める。彼の食事はギルドマスターとは違って2日に1度。竜にとってはそれで十分なのだが、拷問に等しい素材採取以外では食事しかやることが無いのでそれが与えられない日は辛かった。食事の後、ギルドマスターはいろんな竜の話をしてやる。5年しか両親の元にいられなかったホルドは他の竜に関しての知識が薄いので、気になった話があると何度もねだった。と、唐突に扉が開き、清掃係が入ってくる。昨日の水筒と排泄箱を回収して取り替え、ホルド用の水が張ってある溝の水を抜いて洗い、新しいのを入れる。毎日やるのは手間だが、貴重な祖龍が必要以上に弱らないようにするためである。余談だが祖龍は食べたものを全てエネルギーに変えることが出来るので排泄はせず、排泄口もない。─清掃係は喜んだ─ 掃除が終わって再び真っ暗になるとギルドマスターは雷光虫のビンを取りだし明かりを灯す。雷光虫は麦も食べられるのでパンの欠片と水で生き永らえていた。

 

 "ホルド、君に言わなければならないことがある。"

 

 "…何?"

 

 "君の父上が亡くなったそうだ。ヴェルサ・ノワという龍に殺されたそうだ。"

 

 ホルドは悲しげに鳴き

 

 "ヴェルサ・ノワ…知ってる。よく来てた。父上…ねぇおじいちゃん、レイムはいつ来るの?"

 

 "今こっちに向かっている。もうすぐだ。"

 

 

 〇〇〇

 

 

 「これが紅龍と…レイムさんの本当の姿ですか…」

 

 ドンドルマ郊外で待ち合わせしていた守人は2匹の龍に圧倒される。

 

 「他のみんなは?」

 

 「既に揃っています。お二人の疲れが取れましたらすぐに出発しましょう。舎はこちらです。急造なので狭いですが見つかってしまうと厄介なので名目上は捕獲された竜の一時待機場所です。」

 

 そこで翼を休め、運ばれてきたアプトノスを平らげると

 

 「それでレイム、どうするつもりだ?」

 

 「城の設計図は入手済みなのでそれを使って侵入し、救出します。その間あなたはやつらの目を引き付けてください。あなたを攻撃する者は…殺してもカマイマセン。ただ城を壊しすぎないように。私達が生き埋めになると面倒なので。」

 

 「承知した。」

 

 現在ハンターズギルドはシュレイドによって事実上凍結され、守人達も同様である。ハンターズギルドにとってもガーディアンズギルドにとってもギルドマスターの救出は最優先事項なので、監視を掻い潜って守人とギルドナイトの中でもトップクラスの実力を持つ者達を集めて部隊を編成。簡単な会議をしていた。

 

 「潜入は少数精鋭で。後は近郊で待機だ。紅龍が暴れている間に我々はレイムさんと潜入。我々は彼の援護をする。」

 

 「ギルドマスターはともかくどうやって祖龍の子を逃がす?手足も目も無いんだろ?」

 

 「つれてきた入り口があるからそこを目指す。無理そうなら…レイムさんが何とかするだろ。」

 

 「やれやれ、結局は龍頼みか。」

 

 「仕方ない。彼らからすれば我々など足手まといに過ぎんよ。」

 

 

 〇〇〇 

 

 

 「リン!リン!」

 

 「どうしました?」

 

 農場でセルレギオスやリヒトと話していたリンの元へ、慌てた様子でランがやって来た。

 

 「良かった…リヒト、伝書が届いてゲン国とシュレイドの連合軍がこっちに向かってるって。この間のは偵察で、リンやユイを狙ってるって!」

 

 リヒトは動揺することなく

 

 「この村には浄化よりも前の時代の資料が残ってるから本命はそっちだろう。俺はどうか知らんがリンやユイの存在がバレてるから向こうもそれなりの備えをするだろうな。ま、心配すんな。"お前達は戦うなよ"」

 

 最後は鳴き声で、若干縮こまっていたナルガ家族に呼び掛けた。

 

 「さて、準備運動でもするかな…」

 

 

 〇〇〇

 

 

 一方、既に占領状態にあるタンジアでは槍(ランス)と大剣を持った煌黒龍武具の者が片っ端からシュレイド・ゲン国連合軍を殺し、ハンターや民間人がすむ場所まで迫っていた。

 

 「こっちだ!俺たちが相手だ!」

 

 そこへ複数人のギルドナイトや守人が挑発して狙いを向けさせると、ある程度距離を詰めてきたところで一斉に投げナイフを浴びせる。煌黒龍武具の者達は舐められたものだと避けずに進み、ナイフは鎧に弾かれるも

 

 「な…なんだこれは…」

 

 当たった数秒後、武器を取り落とし頭を抱えて絶叫。そしてバッタリ倒れた。

 

 「やったぞ!」

 

 「あぁ!本当に効いた!亡き龍王と煌黒龍に感謝だ!」

 

 先程の投げナイフ、煌黒龍の鱗や甲殻でできていて、ハンターズギルドの中枢の1つであるタンジアが襲撃されることを予期したレイムが渡した物だった。

 

 「中の人間は?助けられるのか?」

 

 「…。息をしている。防具を脱がせて拘束しよう。何もなければ放せば良い。彼らに罪は無いのだから。」

 

 タンジアにとどまらず、ミナガルデやロックラックでも煌黒龍装備の者が襲撃したが、これらの街でも同じように対処。着ていた者達は数時間後に目を覚まし、自分が今まで行ってきたことを思い出して絶望したのだった。

 

 

 〇〇〇

 

 

 「ぐはっ…くそ…」

 

 「もう一度聞く。お前なら知っているだろ?将軍。ギルドナイトはどこに囚われている。」

 

 城へ侵入し、捕らえたのが将軍だったのは運が良かった。

 

 「ち…地下牢に…」

 

 「なら案内しろ。レイムさん、我々はこいつに案内してもらいます。」

 

 「了解。予定通り別れよう。武運を。」

 

 ギルドナイト、守人の精鋭チームは拉致されたギルドナイトを救出するチーム8人と、ギルドマスターと祖龍の子、ホルドを救出チーム5人(レイムを含む)に別れ、捜索を始めた。それとほぼ同時刻、シュレイド上空には紅龍が飛び回り、城が余り傷つかないように火球を吐いて威嚇し軍を引き付ける。人間がどういう武器を使うかはレイムから教わっていたので、また事前に手に入れた設計図から各砲台の位置を頭に叩き込んでいたのでブレスでことごとく破壊。そしてミラボレアス種の意思を放つ能力を使い城や街中の人間に分かるように叫んだ。

 

 "よくも我が子の手足を奪い目をえぐり、生きた素材として酷(むご)くな扱いをしてきたな!人間め、もう許さぬぞ!"

 

 8割本音であり、注目を集めるためでもある。城中パニックになり、将軍も不在の中兵士達は慌てて外に出るができることは余りない。降ってくる火球をただ避けるだけだった。

 

 

 〇〇〇

 

 

 レイム達は事前に練ったルートの通り地下牢へ。出会った兵を気絶させながら目的の扉にたどり着いた。

 

 「ここか。」

 

 「鍵は?」

 

 「必要ない。」

 

 太い南京錠を破壊し、扉を開ける。

 

 「ギルドマスター!」

 

 「おぉ来おったか。」

 

 「こいつが祖龍?可哀想に。」

 

 牢も破壊してレイムがホルドに近づくと

 

 "気づけなくて本当に悪かった。もう大丈夫だよ。"

 

 "レイム…君がレイムだね!"

 

 顔を抱いてやるとスリスリと甘え嬉しそうに喉を鳴らした。

 

 「レイム、この子の傷を治せるか?」

 

 「……今は無理です。消耗しすぎる。戻ってからにしましょう。さぁ、早く────」

 

 ドォォーーン

 

 「っ!衝撃波!…こりゃ最悪のタイミングだね…」

 

 

 〇〇〇

 

 

 "どうした人間、何を恐れている。さっさと来い!"

 

 紅龍が地上へ降りて軍と対峙していたとき

 

 ズゴォォォォン!!

 

 「グ…なんだ…!?」

 

 突然の猛烈な爆風に防御の体勢をとり、収まって目線を上げるとつい先程までいた軍が無惨なことになっていた。

 

 「なんだ…?」

 

 「何だ?とは失礼な。」

 

 「なっ…!ヴェルサ・ノワ…今来るとは…」

 

 「良いタイミングだろう?祖龍よりお前の方が見込みがあったようだな。」

 

 「…勘違いするな。我はもう人間の絶滅など考えていない。」

 

 「ならなぜこんなことをしている。」

 

 「言うものか。確かに良いタイミングだな。ちょうど祖龍の仇を取ろうと思っていたところだ。」

 

 紅龍は再び宙へ舞い、ヴェルサ・ノワを城から引き離そうとしたがそれは裏目に出てしまった。1度紅龍に光弾を放ち、紅龍がそれを交わしている間に街に降りて手当たり次第破壊し始めた。

 

 「よせ!」

 

 紅龍は火球を撃とうとして抑える。民間人が多くいるのだ。

 

 「どうした紅龍。ブレスも吐けなくなったか。」

 

 "おい人間!さっさとこの街から出ろ!こいつは容赦ない。我が気を引くから早くしろ!"

 

 「街からでたとて同じこと。さっきの攻撃を見ただろう?」

 

 ヴェルサ・ノワはブレスを吐こうとして紅雷を轟かせる分厚い雲が空を覆っていることに気がついた。

 

 「フン…お出ましか?」

 

 カッと空から城のある一点に光の柱が伸びると直後に咆哮が響き渡った。

 

 

 〇〇〇

 

 

 「…よし、ホルドは僕が連れていく。みんな無事で。」

 

 レイムは現場に急行するため広い牢の中で龍となって天井を消し飛ばした。そしてホルドを抱えるとその大穴から飛び立ち、待ち合わせとなっている場所に向かう。

 

 「お前だな?先代の隠し子は。」

 

 追いかけてきたヴェルサ・ノワは振り向いたレイムに運ばれているホルドを見て頓狂な声を上げた。

 

 「そいつはまさか…あいつの?」

 

 「人間に捕らわれていた。相手はするけど、この子を安全な場所へ連れていってからだ。」

 

 問答無用で仕掛けてくるかと思ったが

 

 「残虐なことを…」

 

 と言っただけで特になにもしない。

 

 「ヴェルサ・ノワ!」

 

 「紅龍…お前達はあれを救いに来たのか?」

 

 「そうだ。手出しはさせん。」

 

 「何故だ…何故それなのに、あのような死より酷な目にあっているというのに何故私の邪魔をする。」

 

 "お前こそ何故人間を滅ぼそうとする?"

 

 あえて人間にもわかるように問うと

 

 "なぜ?フフ…知りたいなら教えてやる。"

 

 それまでの冷静さを捨て、怒りの声を響かせた。

 

 "私らの種族は代々人間との架け橋となるという使命を持ち、災い訪れし時に自らの子を人間に貸し与えるのだ!そして!それは私の時に来た!そして私は伝承通りの場所で卵を産み落とした。人間と竜の双方を救うために!災いが過ぎれば私はその子を迎え育てるはずだった。しかし!!"

 

 山に向かって光弾を放ち、その半分近くが吹き飛んだ。

 

 "しかし、人間は我が子をただの道具として、力として利用した!眠る我が子を知恵で叩き起こし私利私欲に使おうとした!結果我が子はその人間の闇に飲み込まれ、黒く染まってしまった。おぉ哀れな我が子…そして人間はその子こそが災いの根源だと位置付け、産まれて間もない我が子を殺し、自らの罪など忘れ去って歓喜したのだ。救世主となるはずの我が子を破壊者に変え、その命を塵にしたのだ!許さぬ…私は決して……!!"

 

 "なるほどね…"

 

 戻ってきたレイムが口を挟む。

 

 "やはりあなたはあのマキリ・ノワの母親だったんですね…"

 

 "我が子を…私の子をその名で呼ぶな!!"

 

 今度はレイムに向かって光弾を放ち、避ければ仲間が危険と判断したレイムがブレスで対抗すると大爆発を起こしてレイムは数百メートル飛ばされた。

 

 "マキリ・ノワ…黒の破壊者…そういえば一昔前にそれが突然現れて平衡が危うくなったことがあったな。確か真祖龍が生み出した声渡しの石を人間が悪用し汚れが付いて多くの竜に狂竜症に似た現象が起きた時だったか。"

 

 "そうだ。もう人間に期待などしない。あの種族はこの世の破壊者。歴史上、何度浄化しても共存なんてできやしなかった。人間を残しておけばいずれ竜を滅ぼし、他の動物を滅ぼして人間だけとなり、そして人間も滅んでこの世界は終わる。欲にまみれ、自らの罪は許し、我々が生きるためにしたことを罪と言う。そして知恵と共に身に付けた歪んだ愛によって罪無き者へ復習するのだ。そんな自然を逸脱した、もはや生き物とも言えぬような種族に自然の調和など出来やしない。"

 

 "確かにあなたの言うことは正しい。でもそれはあなたも同じだ。"

 

 "なんだと───"

 

 戻ってきたレイムは彼女を真っ直ぐ見つめ

 

 "我が子の命を無駄にされた。それは計り知れない痛みだったでしょう。しかしその憎しみの延長で僕らは問答無用で襲われ、それが原因で両親は死んだ。なら僕は全世界のヴェルサ・ノワをこの力で滅ぼして良いわけですか?あなたがやっていることは人間とさほど変わらない。罰するのは罪有る者だけで十分だ。あなたはなにも知らぬ者を殺しすぎた。力がある分、人間より厄介だ。"

 

 "黙れぇぇぇ!!!"

 

 レイムが落とした紅雷を避け、死角に回り込もうとした紅龍にブレスを撃ち、距離を詰めてきたレイムを竜風圧で押し返す。多数の市民や兵士が見上げる中、異次元の死闘が始まった。

 

 

 〇〇〇

 

 

 その頃ユクモでも戦いが始まろうとしていた。連合軍が動き出したのだ。包囲陣形をとられるなか、1匹の古龍と1匹の竜、守人、ギルドナイトの精鋭部隊、居合わせたハンターはその覚悟を固めつつあった。

 

 カール

 「まさか俺たちまで人にバリスタやらボウガンやらを撃つことになるとはな。」

 

 ギルドナイト

 「すまない、人手不足だ。」

 

 セバスチャン

 「逮捕はされニャいよニャ?」

 

 「あぁ。今回は特例だ。情報によれば火竜戦車も投入されてるらしいから見かけたら爆砕バリスタで狙ってくれ。それと榴弾バリスタは俺の指示がない限り使うな。」

 

 爆砕バリスタは着弾と同時に大樽爆弾G並の爆発を起こす爆砕弾を組み込んだバリスタで、浄化前はこれで竜が絶滅寸前に追い込まれた。榴弾バリスタは着弾と同時に無数の金属片が炸裂する対人向けの弾で、専用の訓練を積んでいないと大惨事になる。

 

 トール

 「榴弾バリスタはともかく爆砕バリスタって浄化前の技術でできた禁止武器中の禁止武器じゃん…」

 

 「そうだ。それとリヒトの近くには撃つな。俺たちはあいつの動きを読めるほどあいつを知らない。ユイにも気を付けろよ。」

 

 「りょーかい。」

 

 同じ頃、リヒトは対人慣れしているであろうレイムのオトモ、ギンガムとルーシーと共に村の正面を守り、ユイは空からその反対側を攻撃する。また居合わせたハンターも竜達の邪魔にならないように参戦し、オトモは後方支援や援護射撃を担当することになった。ランもそれに加わり、リンは村の中で待機。夫の無事を祈っていた。

 

 「来た…!」

 

 軍勢が近づいてくるとユイは敵の真上に現れてチャージブレス(巨大な水球を口元に溜め、地面に落として水球を炸裂させる)で先手を討ち、リヒトは距離を一気に詰めて敵が焦る中、尾棘を宙へ飛ばして落下弾道に真空空間を作って猛加速させれば鎧も貫通する威力の毒棘が降り注ぎ開戦となった。そしてある程度敵が近づくとリヒトは軽く身震いして

 

 「いっちょやってやるか。悪く思うなよ、文字通り塵(ちり)にしてやる。」

 

 特別な力を持つ極の種族。極ナルガクルガの能力は空気を操ること。主に真空空間を作り出す能力だ。自身を真空空間に放り込むことで軌跡に鎌鼬(かまいたち)を発生させながらの目に見えぬ超高速移動を可能にしているのだが、それだけではない。

 

 「グォォォォ…!」

 

 自身の真上に巨大な真空空間を作り出し、広げていけば周囲の者は空気ごとその鎌鼬の海となった空間に引きずり込まれる。兵士達は成す術なく吸い込まれて金属も砂のように粉々になり、飲まれた者はただの赤い液体となって辺りに飛び散った。

 

 「塵というか血か。…っとあぶねぇ。」

 

 数秒の間騒然としたが、後方の大砲がリヒトを砲撃。発射音で気づいたリヒトは超加速を使わずとも余裕で避ける。その後もあっという間に死体の列を作っていくがさすがにカバーできず、村の正面側へ迫ってくる。

 

 「オ゙ル゙ル゙ゥ゙オ゙ァ゙ァ゙!!」

 

 襲いかかってきた兵をお気に入りのテスカ・デル・トーレ(凄くさびた鎚最終強化、爆破属性)でイチコロするのは'医療猫'のルーシー。

 

 「はっ!医療ネコたる私がまた……つまらぬものを潰して───」

 

 ギンガム

 「どや顔してないで、後ろ来てるニャ!」

 

 「まかせろ」

 

 ルーシーとテスカ・デル・トーレの前に鎧など無意味。3回の攻撃で5人倒すとギンガムの役目が無くなった。少し遠くにいたサクラはギンガムに駆け寄り

 

 「ルーシーさんって医療ネコニャよね?」

 

 「そうニャ。でも──」

 

 リヒト

 「ネコ共気を付けろ!火竜戦車だ!」

 

 後退してきたリヒトが警告を出す。火球が放たれたが気づいたユイが水球で対抗。直後に圧水ブレスで一機破壊した。

 

 サクラ

 「2時の方向からも来るニャ!」

 

 ルーシー

 「まかせろ。」

 

 ルーシーは医療ネコ。治療の技術は勿論調合技術にも長けている。ルーシーはポーチから丸薬を取り出すと噛み潰した。

 

 ギンガム

 「あー。」

 

 サクラ

 「何を食べたのニャ?」

 

 「多分、剛力の丸薬ニャね。自作の。」

 

 ルーシー

 「ふおぉぉぉ!!」

 

 完璧なフォーム、完璧な角度、完璧なタイミング、完璧なコントロールで文字通りのハンマー投げ。火竜戦車の側面に当たって中破&横転した。

 

 「ふしゅーふしゅー」

 

 「やるな!──っと、まずいの連れてきたな。」

 

 大きな箱が運ばれてきたと思えばその中から極限化ディアブロスが現れる。

 

 「ルーシー、薬をくれ。」

 

 「はいニャ!」

 

 リヒトの口に放り込んだのは坑狂竜ウイルス薬。弟のお陰で狂いはしないが体調がすこぶる悪くなってしまうので事前に用意してもらっていた。

 

 「克服はしてるが正気じゃねぇな、こりゃ。」

 

 瞬足で回り込んで脇腹に刃翼を叩きつけると固い振動が伝う。

 

 「やっぱ硬化してるか…元々硬いのに…」

 

 大きな切り傷にはなったが命を取るほど深くはない。ディアブロスは咆哮を上げて突進。それをうまく敵軍の方へ誘導すると一旦散り散りになるがディアブロスごとリヒトを攻撃する。人間らしいやり方だがそれが仇となった。

 

 「グゴァ゙ァ゙ァ゙!!」

 

 怒りMAX状態のディアブロスは連合軍へと狙いを変えて、辺りは大混乱となった。そんな中

 

 「#〇▲※□◎‰~~~!!!」

 

 黒いオーラを発し目をぎらつかせたルーシーがディアブロスへ果敢に飛びかかり、小刀でめった斬りにしようとしたが弾かれてしまったのでポーチから袋を出して中の粉を撒き散らし、離脱しながら渾身の力で甲殻に小刀を投げたば発生した火花で振り撒いていた特製強壮爆薬に引火。これだけでは倒せなかったが角は折れ、堅い甲殻に大きく深い亀裂が走った。

 

 「いいぞネコ!俺がやるから援護してくれ!」

 

 「□□□□□□ーー!!!」

 

 ルーシーは敵の槍を拾うと手当たり次第襲いかかり、その間にリヒトは宙返り。ヒビが入っている場所へ正確に強烈な尻尾攻撃を連続でお見舞いすると1度目で甲殻が砕け、2度目でディアブロスの背中がひしゃげて動かなくなった。

 

 一方その反対側では極限化セルレギオスとランが一騎討ちの真っ最中。ランも薬を飲み、飛んでくる刃鱗をとにかく避ける。微妙な距離を保ち続け、刃鱗を使わせ続けるとそれが少なくなった一瞬を狙ってその口に太刀を突き出した。味方から歓声があがり、

 

 「せめて安らかに──うおっ!」

 

 「油断しないで。」

 

 さすがは極限化。脳を突き刺されたにも関わらず右腕がランの首を狙って執念の一撃を食らわそうとするが様子を伺っていたユイが前兆に気づいて風圧でランを吹き飛ばし、高圧水流ブレスで止めを刺した。

 

 「助かったよユイ…」

 

 「さぁ…まだ来ますよ。」

 

 

 〇〇〇

 

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 「グ…レイム、まだやれるか…?」

 

 ブレスの爆風を空中で受けて墜落したレイムと紅龍。ただでさえ街やホルド・ギルドマスター救出隊を気遣いながらの戦闘。それも龍王とその下僕たちを単独で下した相手に押されていた。するとヴェルサ・ノワが

 

 ”見ろ。人間が我々を駆逐しに来たぞ”

 

 みれば街の危機に集まったのか、複数の重装飛行船が近づいてくる。すかさずレイムは

 

 ”かかわるな!民間人を避難させろ!人間に危害を加えるつもりはない!”

 

 軍は返事の代わりにレイムを砲撃。レイムは龍雷を纏って防御する。ヴェルサ・ノワは

 

 ”この通り、人間を守ろうとしても龍である限り我々を殺しに来る。あるいは都合のよい道具として使えなくなるまで使う。奴らにとって奴らが唯一無二の王なのだ。そんなやつら───"

 

 "勘違いしないで。僕は人を守るために動いているわけじゃない。僕は平衡を守る者。人間、最後の警告だ。敵とみなすぞ”

 

 攻撃は止まず近づいてくるとともにホルドの逃げ道にも迫っていた。レイムが咆哮を上げると空から無数の竜エネルギーの塊が隕石のように降り注ぎ飛行船は大破。地上軍も隊列を大きく乱した。

 

 ”じれったい、こういやるんだ”

 

 ヴェルサ・ノワが光弾を放つがレイムも光弾を放って妨害。爆音と爆風の中

 

 ”フン…大したものだ…グッ…!”

 

 隙を見て紅龍が熱線ブレスを吐きヴェルサ・ノワをかする。すぐに体勢を立て直すと雷が穿った。

 

 「ガッ…これは…!」

 

 「遅くなったな。」

 

 雲を切って現れたのは煌黒龍アルバトリオン。

 

 「煌黒龍!向こうは…?」

 

 「心配ない。来る途中に数発お見舞いしてやった。あとは皆がやってくれる。さて仕切り直しといこう。殺すのか?」

 

 「いや、殺したくない。」

 

 ヴェルサ・ノワはこれが気に入らなかったようで

 

 "私を生け捕りにするつもりか?なめられたものだ。1匹増えたところで変わりはしない"

 

 "そうじゃない。あなたはまだ戻れる"

 

 "何?"

 

 "さっき僕がホルドを連れていったとき、追撃できたはずなのにしなかった。キリのときもそうだ。祖龍との子を宿したジンオウガ。あなたは一撃で中の子を殺すことができたはず。もっと言えばキリごと殺せたはずた。なのに攻撃は半端だった。受けて半日以上経っても死んでいないほどに。僕が来て治すことを予期していたんじゃないのか?"

 

 煌黒龍も

 

 "確かにお前が我に計画に加わるよう言いに来たとき、断ったら随分素直に帰っていったな。その気になれば我が子や妻を質に取ることもできただろうに"

 

 "だから…どうしたと言うのだ!貴様らに説き伏せられるほど落ちぶれてはいない!"

 

 再びブレスを吐こうとするがそれよりも早く煌黒龍が氷塊を吐き命中。戦いはさらに激化していった。

 

 

 〇〇〇

 

 

 神域付近では竜達が圧倒的に有利な状況にある。

 

 「皆さん離れて!」

 

 極エルゼリオンは雄らしい声で味方にそう言いつつ大軍に向かって跳び跳ね、空中で一回転して着地するとその周囲が灼熱に燃(・)え(・)る(・)氷(・)に覆われる。その範囲にいたものは生きたまま凍りつき、灼けて

 

 「オオォォォ……!!」

 

 その高い雄叫びと共に氷ごと砕け散った。間髪入れずに範囲外にいた人間達のところへものの数秒で向かうと炎ブレスで焼き払い、耐火性のものがあれば冷気ブレスで凍てつかせる。彼だけではない。ナナ・テスカトリとテオ・テスカトルの番は流石のコンビネーションを見せ、極ジンオウガやジンオウガは雷光中を放って敵を一斉に感電させ、バルファルクはその視力と速さを生かし上空から一気に降りては部隊を蹴散らす。ウラガンキンは数頭並んで転がり、その脇へグラビモスが熱線ブレスを吐いた。

 

 「エルゼリオンさん!」

 

 移動式バリスタ砲台と大砲を粉砕した深紅のティガレックスが最後の軍勢が近づいていることを知らせると

 

 「よし、最後は本気といきましょうか。離れて。」

 

 エルゼリオンの纏う緋蒼のオーラが一段と強く光り、そのまま突っ込んで敵の中心に行くと至近距離の敵をなぎ払ってから咆哮。何色ともつかぬ球体をいくつも作り出し、温度差によって生み出された猛烈な風で人間達を球体の群れへ吸い寄せ、放り込んでいく。風が収まり、球体が消えたときには赤熱して凍った武具の残骸だけが散らばっていた。辛うじて生き延びた人間に残された選択肢は撤退のみ。エルゼリオンがもう一度吠え、他の竜も続けば尻に火が着いたように逃げ出したのだった。

 

 

 〇〇〇

 

 

 「クソッ…多すぎる…向こうは平気か?」

 

 傷が増えてきたリヒト。疲労も色濃くなってくるが、敵の補給が絶えないのだ。反対側のユイも疲れを無視出来なくなってきたとき

 

 「ユイさん…ユイさん…!」

 

 「リン…!どうしたのですか。」

 

 「私に考えがあります。」

 

 

 〇〇〇

 

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 「グ…グフゥ…」

 

 「3体1だというのに、流石祖龍達を下しただけあるな。」

 

 煌黒龍はまだ余裕があるがレイムと紅龍の消耗が激しい。しかしヴェルサ・ノワも同じ。数的にも不利な状況ではあるが、退こうとはしなかった。

 

 「こざかしいやつらめ…!」

 

 紅龍の火球を避けて肉弾戦に持ち込もうとした煌黒龍を迎え撃つ。滑空を交わすと煌黒龍すれすれの地面にブレスを放ち、爆風でアルバトリオンが吹っ飛んでいる間に紅龍に向かって光弾を放とうと溜めるとレイムはそれを紅龍が避けた場合、救出部隊が巻き込まれることに気づいたが伝える間もなく光弾は放たれ、紅龍は気づかず避けた───

 

 (だめだ溜めが間に合わない…!)

 

 「レイム!」

 

 煌黒龍が叫ぶが先か、レイムが光弾の軌道へたどり着いたが先か、光弾はレイムを直撃し爆発。被弾部位がが焼け焦げたレイムは吹き飛ばされ、落下した。それを見ていたヴェルサ・ノワは呆気にとられ

 

 「何をしてるんだあいつは。…グガッ!!」

 

 墜落していった方を見ていた彼女に数発の雷が落ちる。

 

 「祖龍の子を守ったのだ!我としたことが、ブレスをためておくべきだった。」

 

 

 〇〇〇

 

 

 「畜生…こんな村にこの数なんて…俺やレイムを想定してのことか…!?」

 

 ネコは撤退。いてもたってもいられなくなったセルレギオスが一緒に戦っていたが、この数相手ではすぐに限界が近くなる。仮にも祖龍の子を生け捕りにし、下僕を数匹殺した軍。本格的にまずいと感じ始めたとき、反対側で戦っていたはずのランが

 

 「父さん!リヒト!みんな!逃げて!早く!」

 

 そう叫ぶや否や天気が一変。辺りは薄暗くなりたちまち豪雨が降り始める。

 

 「お前ら先に逃げろ!俺が時間を稼ぐ!」

 

 超加速で味方の前まで下がると高速で回転し尻尾から大きな真空刃と尾棘を飛ばした。それを数回繰り返した後、ランが宿屋のてっぺんが光だしたのに気がついて

 

 「リヒト!早く!巻き込まれる!」

 

 と叫んで避難していったので通称ダイソンで敵をバラバラにしてから自身も撤退した。

 

 「いつでもどうぞ。」

 

 嵐龍アマツマガツチのユイは全身を光らせ、村を中心に局所的で非常に強力な積乱雲の渦…小さな台風を作り出した。中心である村にも建物の屋根が少し飛ぶほどの風が吹き荒れ、そこから少し離れれば軍人でもあおられて転倒してしまうほどの暴風となるがこれだけではない。村で一番高い、宿屋の屋上にやや大きくなってきた腹を抱えた幻獣、リンが全力で力を溜める。限界が来ると味方がいないことを確認して、角から台風へ豪雷を放った。刹那

 

 バアァァン!!!

 

 閃光と、地と空気が震えるほどの爆音と衝撃波。単体でも雷嵐を起こせる幻獣キリンが、嵐龍アマツマガツチの作った嵐を触媒にして敵を一網打尽にしようという作戦。見事成功し、そのお陰で対処が遅れて不十分だったリヒトは気絶。他にも十数人がしばらく意識朦朧とした。村人や居候のナルガクルガ家族は毛皮や毛布等でしっかり多重耳栓をしていたので非戦闘員は問題なかった。敵軍は全滅にはならなかったが2割ほどしか残っておらず撤退。ランは湯気を立たせているリンに駆け寄った。

 

 「リン!大丈夫?」

 

 「えぇ。身籠ったから戦えない、と言ったら自然では生きていけませんよ。」

 

 

 〇〇〇

 

 

 「グ…グゥ…」

 

 「あ、リヒト起きた?」

 

 「ランか…あの野郎…最初からやりやがれ…その様子じゃ勝ったのか?」

 

 「うん。大丈夫?」

 

 「耳というか頭痛ぇ…そうだ、レイムのところに行かないと…」

 

 立ち上がろうとするが無理だった。

 

 「傷もあるし、休まないと。シュレイドにはユイが行ったよ。」

 

 グフゥ…とため息をついて、リヒトはもう一度目を瞑った。

 

 

 〇〇〇

 

 

 「ウ…ク…」

 

 「起きた!」

 

 重い瞼を無理矢理開けて、レイムの視界に入ってきたのは片手両足の無い、目を閉じたままの白い仔龍。

 

 「ホルド…無事だったか…ウグッ…」

 

 起き上がろうとして激痛に呻く。光弾を受ける際、咄嗟に龍雷を纏って威力を弱めたが、一撃で山の半分を吹き飛ばす程の技だ。少し動くだけで意識が遠退きそうな痛みが襲った。他の救出部隊も気がついて

 

 「気がつきましたか!翼が両方とも折れてます。恐らく他にも…ヴェルサ・ノワは追い詰められています。もう休んだ方が良いのでは?」

 

 「だからこそ…」

 (肋骨も…恐らく何本か根本から逝ったな…折れてない物にもヒビが入ってるだろう…内臓は無事と見て大丈夫そうだ。左腕も…ヒビだな。近接は不可能か。体は動くから脊椎系統は無事だろうが…頭が何もないと良いけど。)

 

 ともあれ残り少ない力は回復に使うべきではない。念のため脳や頭蓋骨などに少し力を回し、何もなかったので弱くなった龍雷を纏って隙をうかがった。

 

 

 〇〇〇

 

 

 「おのれこしゃくな…」

 

 「紅龍!耐えろ!」

 

 ヴェルサ・ノワは煌黒龍の雷を交わし、ブレスを放ち、紅龍のブレスを避ける。煌黒龍の氷柱に当たって体勢を崩した瞬間、突如紅光の柱がヴェルサ・ノワを包んだ。

 

 「ぐあぁぁ!!これは真祖龍の──!」

 

 レイムの獄雷は龍風圧を貫通し、ヴェルサ・ノワは堪らず離脱した。もしレイムの力が完全であれば、塵すら残らず消滅していただろう。ヴェルサ・ノワは逃走しようとするが紅龍の熱線ブレスと煌黒龍の冷気ブレスを同時に食らい、半ば墜落するように追撃から逃れようとすると煌黒龍がブレスを止めて滑空。ヴェルサ・ノワを地面に叩きつけて起き上がったところに龍雷を纏って突進し、レイム達のすぐ近くまで突き飛ばした。

 

 「もういい…僕らの勝ちだ。」

 

 追撃しようとした紅龍をレイムが抑えた。紅龍と煌黒龍も降りてヴェルサ・ノワを囲む。

 

 「グフ…負けた…この私が……」

 

 ヴェルサ・ノワはヨロヨロと立ち上がってレイムの方を向くと

 

 「おのれ…そうまでして…前の真祖龍のようにあの石でも造って共存を試みようとでも言うのか…?」

 

 「いや、絆石…声渡しの石は封印したよ。」

 

 「何…?」

 

 「今やあれを持っている人間は周りに住むと共存するのには使わず、彼らから卵を盗んで無理矢理孵化させ利用している。あんな洗脳とも言えること、真祖龍が望むはずがない。だから20年前僕が封印した。すべて。いつか本来の目的で使いたいと強く願ったとき、その時は機能するだろう。」

 

 「…」

 

 「ヴェルサ・ノワ、人間を許せとは言わない。でもまた調和の守護者に戻ってほしい。」

 

 「…お前は王にはなれん。」

 

 「わかってる。でも血はこの子に残っている。」

 

 ヴェルサ・ノワはホルド見て静かに言った。

 

 「お前をそんな姿にし、母親を殺したのは人間だ。」

 

 そして歩み寄りながら続けた。

 

 「そしてお前の父を殺したのは龍である私だ。お前はどちらを憎む?両方か?」

 

 ホルドはうつむき、答えた。

 

 「憎めないよ。そういう龍なんでしょ?僕は。父上もそう言ってた。」

 

 「そうか…だが、そんな体で何ができるというのだ。死ぬまで横たわり、世界を、光を見ることすらできないお前には王は務まらん。」

 

 紅龍、煌黒龍は憤慨した唸り声をあげ、レイムが

 

 「僕の力なら治せる。」

 

 と言うとレイムをじっと見つめて

 

 「…いや、無理だな。お前は確かに真祖龍ではあるが、不完全だ。それにこの子はただ怪我をしているわけではない。欠損して久しい部位を復元する必要があるのだ。完全な真祖龍であっても相当な負荷がかかるであろうに、お前に出来るわけがない。できたとしてもお前が死ぬか、何十、何百年と眠ってしまうだろう。その間この子はどうする。祖龍として王座に君臨するには幼すぎる。」

 

 周りが警戒する中ホルドに寄り添って腰を下ろした。同時にヴェルサ・ノワが淡い光に包まれる。

 

 「あなた…まさか…」

 

 「私が治してやる。何、血は既に繋いだ。心配することはない。」

 

 「生きるという選択があるのに、ですか?」

 

 「じゃあこの子が王としてやっていけるような歳になるまでこのままにするのか?」

 

 煌黒龍

 「命を糧に治すというのか?何故急に?」

 

 「まぁ…私も子供には弱いというわけだ…さぁお休み。」

 

 ヴェルサ・ノワがそう呟くとホルドは眠ってしまった。光が強くなり2匹を包む。

 

 「お前の父に初めてあったとき、世界は常に平衡を求めると言っていた…真祖龍でありながら特異な容姿なのも何か意味があったのかもしれない…今もどこかにいる我が子に伝えねばならぬな…私は自ら死を選んだのだと…」

 

 母親らしい笑みを浮かべ、ホルドの頭を一舐めすると

 

 「私の名はグアン…レイム、ホルド、私はお前達の両親に鉄槌を食らいに行くとするよ…」

 

 「…仲良くしてください。」

 

 「新たな時代がいかなるものか…楽しみにしているぞ…」

 

 グアン達が帯びる光がさらに強くなるとホルドの傷跡から血がにじみ、骨が生え肉が付き鱗が覆って手足となった。そして彼女が目を閉じたとほぼ同時にホルドが深紅の龍眼を開いた。

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 「レイムゥー!(泣)」

 

 「に、兄さん…」

 

 あのあと1日休んで、その後寝ずに飛び続けてシュレイドにたどり着いたリヒトは即席で造られた屋根の下で休むレイムに涙目で駆け寄った。

 

 「良かった生きてた…あれ?そいつ手足あんじゃん。」

 

 レイムに寄り添って寝ているホルドを見て疑問げに言ったので、事の顛末(てんまつ)を話した。あの戦いの後、シュレイド国王はハンターズギルド以外の竜狩りを禁止する勅命を出し、重傷のレイムを保護、ギルドマスターへも正式に謝罪した。元々竜狩りは将軍の提案であったし、何より王都であんな戦いや口論を見せられ、さらに周囲の山を4つも消し飛ばされたのだ。皮肉か幸いか、ヴェルサ・ノワの襲撃がきっかけで全面的な種族戦争は免れたのだ。ゲン国も連合軍が壊滅的被害を受けたことを理由に手を引いた。アルバトリオンは神域に戻り、今は紅龍がレイムとホルドを守っている。

 

 「随分急な心変わりだな。俺らに天廻龍をけしかけておいて…」

 

 ヴェルサ・ノワのグアンの遺体は城に安置され、今後郊外へ石碑と共に埋葬されることが決定していた。

 

 「本当はあやつも分かっていたのだろう。…まぁそれに乗ってしまった我が言えることではないな。」

 

 紅龍がそう言い、しばらく各々の想いに浸る。

 

 「そういえば兄さん、何日で来たの?」

 

 「4日。」

 

 「え、ユクモからじゃ僕でも8日かかるのに。」

 

 「ぶっ続けだ。休む。」

 

 「休め。」

 

 それから5日後にユイが到着し、始めは言葉を交わすことなくただ額を合わせた。

 

 「無事で良かった…」

 

 「君もね。」

 

 「包帯だらけですね…具合はどうなのですか?」

 

 「とりあえず折れてた骨はなんとか繋いだよ。翼の方は砕けてたから無理だった。他も完全じゃないし、当分は動けそうにない。」

 

 そして数週間学者に囲まれながら過ごした後、ユイ、ホルド、リヒトも一緒に塔へ。音速の伝達係バルファルクが皆に一報を送っていたので着いたときは下僕揃ってのお出迎えを受けた。

 

 「じゃあ君は僕の弟なんだね。」

 

 幼いジンオウガと戯れるホルド。彼の帰還に下僕達は泣いて喜んだ。数日滞在し、リヒトは住みかの湿地林へ帰ることになった。

 

 「じゃあなレイム。」

 

 「またね。セレナ(番)への言い訳は考えた?」

 

 「うるせぇ。あいつはそんなに物分かり悪くないぞ。」

 

 額を合わせ、軽口を叩き合ってから別れる。レイムとユイも続こうとすると紅龍が呼び止めた。

 

 「皆で相談したのだが、良ければホルドを連れていってくれぬか?」

 

 「ユクモへ?」

 

 「あぁ。見ての通りこの子は幼い。親が必要だ。それに力の使い方を教える者も。真っ当な人間にも接させた方が良いと思ってな。無論下僕も付いていかせる。この子を育ててはくれないか?」

 

 「なるほど…ユイ、良い?」

 

 「もちろんです。」

 

 「では頼んだ。」

 

 下僕にはレイム達の祖母の極ナルガクルガとナナ、テオの番が選ばれ共に渓流へ。ミストは同じ霊峰の山頂に、ナナ、テオは麓を寝床とした。レイムは単身ユクモ村へ行き、村長にここの辺りが竜王の聖域となることを伝えた。

 

 「祖龍の仔をあなた達が。それで聖域とは、我々もなにか影響があるのですか?」

 

 「いえ、聖域といっても縄張りと同じようなものです。多少土地が肥えたり獣が増えたりするかもしれませんが、他に人間には影響はありません。」

 

 「わかりました。この事はあまり広めない方が良さそうですね。」

 

 「そうしていただけるとありがたいです。」

 

 そこへランがやって来て

 

 「あ、レイムさん、あのナルガクルガ達、森に帰るって。」

 

 「そうかそれは良かった。」

 

 「レイムさん、たまには村にも降りてきてくださいね。」

 

 「そうだね。その時はゆっくり温泉にでも浸かるか。人間の姿になれる僕の特権だからね。ま、当分は静かに、ゆっくりさせてもらうよ。ギンガムとルーシーはここに置いていくから頼って。」

 

 「はい!あ、そうだ。レイムさん、子供が産まれて一段落ついたら俺とリンで色んな街に行って、守人と一緒に竜の乱獲防止を訴えようと思ってるんです。リンにも相談してあるし。」

 

 「そりゃあありがたい。護衛にいくよ。でも無理はすんなよ。」

 

 「はい!」

 

 その後ランはトールと一緒にベインの墓石のある場所へ。もちろん遺体はないが村長が作ってくれたのだ。

 

 「カールさん…!」 

 

 「お前ら…来てくれたのか。」

 

 質素な花を添え、しばらく黙祷を捧げてから各々の居場所へ戻った。

 

 

 〇〇〇

 

 

 「すっごーい、高い!塔も高いけど、ここは景色が良いね!」

 

 霊峰に着いたホルドは、その新しい瞳で初めての開放的な景色を見て仔龍らしくはしゃぐ。夜になるとユイは雲を消して星や月を見せてやる。ホルドは疲れて眠そうな顔をしながらも飽きずに見つめ、ある程度満足すると一緒に来ていた下僕、レイムの祖母のカミーヌに

 

 「行こう、眠くなっちゃった。それにレイムとユイさんの子作りを邪魔しちゃ駄目だって言われてるし。」

 

 「誰がそんなことを吹き込んだんだい?」

 

 「リヒトが───」

 

 (あの野郎……)

 

 「──それに他のみんなも言ってた。祖龍の子も嵐龍の子も大事だって。」

 

 カミーヌも

 

 「大丈夫です。ホルド様はちゃんと見ていますから。」

 

 「そうじゃなくて、って言うかそのためにする訳じゃ────」

 

 「レイム、少し人間に慣れすぎたのではないですか?」

 

 ユイがそう口を挟むと

 

 「…それはあるかも。じゃあお願いするよ。」

 

 「わかりました。」

 

 

 〇〇〇

 

 

 「おーい、セレナー!いないかー?」

 

 「リヒト!」

 

 フッと浮かび上がったナルガクルガ希少種は数ヵ月ぶりの夫に飛び付くように駆け寄る。

 

 「心配かけたな。お前は何ともないか?」

 

 「えぇ。」

 

 しばらく顔を舐めたり頬擦りしたりして甘え合うとセレナは向きを変えて普段は体毛に隠れている桃色の柔肉を見せる。リヒトは迷わず少し舐めてから覆い被さりひとつになった。刃翼のあるナルガクルガは、同族同士では親子程の体格差がない限り寄り添うことが困難なので交尾のときが相手の温もりを全身で感じられる唯一の時なのだ。

 

 (あいつも今ごろは……っと、今はこっちに集中すっか。)

 

 そろそろ次の仔が欲しいな、と思いながら愛しの妻を突き始めた。

 

 

 〇〇〇

 

 

 「…じゃあいきますね。」

 

 「あぁ。」

 

 仰向けのレイムのスリットを舐めて、雄槍が雌を貫く準備ができるとユイはその先端に秘裂をあてがって深呼吸しながら腰を下ろした。根本まで飲み込まれるとレイムは

 

 「なんだか…こうやって交われるのって凄く幸せなことなんだって、今さら思うよ。」

 

 「そうですね…」

 

 ペタッと身を預け

 

 「本当に無事で良かった…」

 

 その後は無言で抱き合い、ユイは膣の搾動を始める。

 

 グシュゥ…グシュッ…

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 「クゥ…クゥ…」

 

 無数のヒダの付いた肉壁が固い肉棒を締め付けながら擦りあげ、奥深くまで挿し込まれたそれから早く熱い子種を貰おうとうねりは強くなっていく。祖龍も生き物。レイムも雄。沸き上がってきた欲のまま、動ける範囲で波打ち続けるユイの胎を優しくかき回した。

 

 「クゥ…!クァッ…」

 

 体を擦らせ、ユイの開いている口に自らの舌を滑り込ませ絡めた。ここ最近戦いのためにお預けとなっていた分を埋め合わせるかのようにまぐわいは珍しく激しさを増してきた。愛液を垂らし続けている膣を大きく深く、ゆっくり突き上げればユイは達し、圧搾もさらに活発になる。口付けをしたままのためくぐもった嬌声を上げながら全身で快楽を味わっていた。

 

 ヂュッ…ンヂュッ…ゴツ…

 

 「ウゥン…!フンン…!ンンッ…!」

 

 長い時間溜め続け、ユイの腹奥が疼いてどうしようもなくなった頃、レイムにも限界が訪れた。口を離して大きく引き、それを一気に沈めて貫きユイを強く抱き寄せると同時に止めとなるような圧搾が加わって、大量の精が命を結ばんと最奥に向かって放たれた。

 

 ブシュウッ!ブシュウゥッ!…

 

 「クアァッ!キャウッ…ハァ…ハァンッ!」

 

 「フゥ…ユイ…」

 

 「クッ…!レイ…ムッ…ンンッ!…」

 

 ドブッ…ドブッ…

 

 その最後の1滴が余さず注がれるまで固く抱き合い、時折首を撫でたり顔を舐めたりと愛を伝え合う。しばし余韻に浸ってから結合を解き、逆流と熱が治まると軽く洗って寝床へと向かった。そしてユイはそのどっぷりと精を注がれた腹を愛おしげに思いながら夫と共に眠りについた。

 

 

 数ヵ月後…

 

 

 「やぁゴン。」

 

 「レイムさん!?ちょうど良かった。ルーシーが、リンがもうすぐだって。」

 

 妹に引き続き自身の子供の誕生を控えたランは、リンと一緒に農場でのんびりと過ごしていた。

 

 「おーい、ラーン、リーン。」

 

 「レイムさん!ホルドの調子はどうですか?」

 

 「やっとユイの補助なしで飛べるようになった。明るい子だよ。甘えん坊だけど。」

 

 するとリンが

 

 「おや、どこかの誰かにそっくりですね。」

 

 「…リンだって甘えるだろ?」

 

 「はいはい。」

 

 「ところでリン、ホルドを連れてきても良いかな。立ち会わせるまではさせないと思うけど前後に会ってほしいんだ。良い経験になると思って。」

 

 「一緒にいてもらって構いませんよ。あそこ(竜舎)で済ませることにしましたし。」

 

 「ありがとう。邪魔してごめんね。」

 

 「いいえ。」

 

 それから3日後、リンは朝から竜舎から出ようとせず、昼を過ぎると立ったり座ったりと落ち着きが無くなってきた。そしてランに首を抱かれながら背中を撫でられていると体も安心できる環境だと認識したのかついに新たな命を送り出すべく動き始めた。

 

 「リン…!」

 

 「フゥ…フゥ…」

 

 鈍痛が襲って数十分で破水。ランに体を預けながらいきみ、一時間ほど経つと白いものが秘裂から現れる。

 

 「リン、脚が出てきたよ…!」

 

 「は…い…」

 

 しばらくして痛みに耐えかね横たわるとらランに暖められ、擦られながらありったけの力を腹に込めた。その様子に覗いていたホルドも思わず足元の干し草を握りしめる。少しずつ、少しずつ鼻先が見え、顔が出るとリンの言った通りにランが膜を破った。一度立ち上がって頭の部分を産み出し、再び横たわって力を込め続ける。時折後ろ足で宙や地面をを掻いたりピンと伸ばしたりしながら着実に押し出していき、腰を産み出して完全に外へ出ると見守っていた者達は思わずため息をついた。しかしリンは間髪入れずに立ち上がるとランと膜を破りながらもがきだした我が子を舐める。角の無い小さな幻獣が20分程で立ち上がって乳房に吸い付くとリンもようやく緊張を解いたのだった。

 

 「リン…ありがとう。」

 

 「えぇこちらこそ。」

 

 落ち着くと外で待っていた他のみんなにお披露目された。

 

 ゴン

 「このキリン、目が青いな。ラン似ってことか?」

 

 「そうかもしれません。私もやっと子を持てた…」

 

 村長

 「おめでとうラン、リン。」

 

 ユイ(結局来た)

 「おめでとう。」

 

 レイム

 「良かった良かった。色々あって、心配したぞ。」

 

 トールやカール、オトモ達も祝福する中、幼いキリンは眠たそうに座る。それをみて村長が呼び掛けた。

 

 「さぁ、お祝いは明日でも良いでしょう。私たちはおいとましましょうか。」

 

 「ですね───」

 

 「オ…オメ…デト」

 

 遅れて、カタコトの人語で言ったのはホルド。ランは礼を言いつつレイムに

 

 「ホルド、喋れるようになったんですか?」

 

 「いや、自分の口から言いたいって、一昨日から頑張って"おめでとう"だけ練習してたんだ。」

 

 「そうなんだ。ありがとうホルド。」

 

 そう言って笑いかけると嬉しげに、しかし恥ずかしげに笑ってレイムに頬擦りした。

 

 「リンも本当に──っ!」

 

 言いかけて、まだ人がいるのに口付けしてきたリンに遮られる。顔を赤くしながら応えたランだったが、このときはゴンもからかうことはなかった。

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 「どんな子になるかな。」

 

 「さぁ、想像もつきません。」

 

 子供が自然に独り立ちするか、人間と共に生きていくかはこの子に決めさせると決めていた。

 

 「でもきっと賢い子に育ってくれますよ。」

 

 人と竜の間に産まれた人間は、龍との間に子をもうけた。かつての真祖龍が言った『共存』とは恐らくこういうことではなく、人も竜も、互いに生きるために殺し、生きるために助け合う、ということだろう。しかしリンとランの関係もまた『共存』の道の1つとも言える。生まれたこの特異なキリンがどう生きるかは母親の言った通り誰も想像できないだろうが、人と竜の両親の愛を受けて育つ新たな子は、父親がそうだったようにきっと新たな未来を紡いで行くに違いない。でもこの子に限ったことではない。

 

 

 「…ねぇレイムさん、ユイさん。」

 

 「なんだいホルド。」

 

 「あのさ…その……お父さん、お母さんって…呼んでも…良いかな……」

 

 「フフ…もちろんですよ。でも本当の両親を忘れてはいけませんよ。」

 

 「うん!」

 

 「兄さんや君のお母さんに怒られないように、僕らもしっかりしないとね。」

 

 

 良くも悪くも普通の龍とは異なる経験をし、これからもするであろう彼もきっと今までとは違う王になる。そうして未来は少しずつ変わっていくのだ。異端の祖龍と嵐龍の間に新たな命が芽生えるのはもう少し先のことだった。

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 「リン…ありがとう。」

 

 「はい。」

 

 さっきからそればっかりだと笑うリン。寝息をたてている我が子を囲みながら、これから少なくなるであろう夫婦の時間を過ごす。

 

 「ラン…あなたと出逢えて本当に良かった。あなたは最高の夫です。」

 

 「じゃあその言葉、そのままお返しするよ。」

 

 

 

 

            ∞∞∞終劇∞∞∞    




 
 
 
 お楽しみ頂けましたか?最終話までレイム、ラン、他のみんなについてきて下さり本当にありがとうございました。それではまたいつか…と、言いたいところですが、このあとに番外編があります。だいぶはっちゃけるので許していただける方はどうぞ。
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