※この作品はR-18です。

新たな子   作:神座(カムクラ)

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 キリンとの晴れやかな同棲生活が始まったラン。そこに両親とも深く関係のある"あの人"が…。

 原作はpixivの私の作品である「幻獣の少年2」です。


*2.トラブル

 ギルドマネージャー「なっ!君っ!そのキリンはどうした!?」

 

 雪山から無事帰還しユクモ村に着くと、想像上とも吟われた幻獣が年端もいかぬ若いハンターに大人しくついてきているもんだからパニック。

 

 「あのー…えっと、雪山で遭難したら助けてくれて、ついてきたいって聞かなかったんです。だから特定狩猟禁止生物に認定してもらいたいんです。」

 

 「それでそいつを飼うとでもいうのか?」

 

 「飼うっていうか…その…」

 

 「お供として狩りの手伝いをしてもらうそうです。」

 

 先輩が助け船を出してくれた。

 

 「…村長を呼べ。」

 

 「ここにいますが?」

 

 ラン、マネージャー「村長!?」

 

 村長「この方がラン君に渡すものがあると。」

 

 村長の隣にいたのは漆黒の羽織を着ている17、8ぐらいの青年。歩みでると

 

 「随分大きくなったね、ラン。」

 

 「え!?」

 

 「覚えてなくて当然だよ。最後に顔を合わせたのは10年くらい前だもの。」

 

 「で…あなたは?」

 

 「あぁごめん。僕はレイム。守人だよ。連絡は受け取った。なついてるところ見せてくれないかな。」

 

 キリンが察したように俺の胸に頬を押し付け目を瞑る。反射的に抱き締めた。

  

 「うん。大丈夫そうだね。ハイこれ。」

 

 そう言われて手渡されたのはギルドの紋章が描かれた蒼い首飾り。裏には"管理者ラン"と書いてある。

 

 ギルドマネージャー「ちょっとまて。そいつを、特定狩猟禁止生物の証を渡すにはハンターズギルドでもガーディアンでも会議が必要なはずだ。」

 

 レイム「その必要はない。僕は特別だから。」

 

 ギルドマネージャー「何?そんなことが許されてるのは幻月の守人だけのはずだぞ?」

 

 「僕は幻月の守人だ。」

 

 ラン、マネ「え!?」

 

 「救助に行っていたギルドナイトから連絡を受け取ったのがたまたま僕だったんだ。まぁ、ランのことは知っていたし僕なら会議なしで認定できるからね。ついでに月に一度ここに監視に来ることになったから。これからよろしく。」

 

 思考停止の俺らをお構いなしに話を続ける。

 

 「あ、でも村にそのキリンを置くなら村長の許可が必要だろうから村長と話しな。その後でもう少し説明するよ。」

 

 

 そうして訳が分からないまま村長の自宅へ。始め村長はキリンをじっと観察し、キリンも村長を見つめ返す。謎の沈黙のあと、

 

 「遭難したんですってね?よく戻って下さいました。」

 

 「ありがとうございます。それで…?」

 

 「まず、私はあなたを信頼しています。第2に、この子は人に危害を加えるつもりは全く無く、あなたと一緒にいたいだけと言っていました。なので村の一員として迎え入れることを許可します。」

 

 「キリンが言ってたってどういうことですか?」

 

 「あなたにはまだ言っていませんでしたが、私は竜と意思疏通することが出来るのです。私だけでなく、ごく一部の竜人族にはこの能力があります。」

 

 「えっ…じゃあ今もですか?」

 

 「えぇ。この子にお話を聞いていました。」

 

 「…でこいつは何て?」

 

 「あなたを番にしたいと。」

 

 「…予想はしてたけど何で俺?やっぱり血筋ですか?」

 

 「それもあるようですが、異性の巣に誘ったり行ったりするのは求愛行動でこの子はそれを受け入れたってことですね。」

 

 「んなっ!?」

 

 「でもこの子は衝動的にあなたを誘ったことを少し後悔しているようです。しかしあなたのことは好きなので番じゃなくとも側に置いて欲しいと言っています。」

 

 ここで気づいた。恐らくキリンは俺と身を重ねたことも村長に言ったんだと。顔が熱くなる。

 

 「もう少しあなたと身を重ねればいずれ会話が出来るようになるそうで、それまであなたと交わってその後答えを聞くつもりだったそうです。」

 

 「…」

 

 顔から火が出そうになるとはこの事だろうか。返す言葉が無くなる。

 

 「別に恥ずかしがることはないですよ。この子は真剣ですし。」

 

 「はい…。」

 

 別にキリンが嫌いな訳ではない。

 

 「あの…番になるって…俺若すぎませんか?」

 

 ねぇ村長。そんなに笑わないで、真剣なんだから。

 

 「別に我が村で結婚年齢を定めた記憶はないですし、ありませんよ。」

 

 「う、うーん。」

 

 「とにかく、よく考えて結論を出して、彼女に自分で報告してあげなさいな。」

 

 「報告って…どうやって?」

 

 「さあ?彼女があなたにしたことと同じことをすれば良いんじゃないですか?」

 

 誘えってか?誘えってか?

 

 「そうね…キスでもしてあげたら?竜の中でも仲の良い番しかやりませんからね。」

 

 「…」

 

 キリンがこっちを向く。何?しろってか?

 

 だが俺の肩に顎を置いて撫でてとねだるだけだった。

 

 「まぁとにかく、温泉でゆっくり休んでくださいね。もちろんその子もね。」

 

 「いいんですか?」

 

 「えぇ。アイルーちゃんたちも入ってますし。あぁでもその前にレイムさんとお話しした方が良いですね。」

 

 「あの人は一体…何故僕のことを?それに幻月の守人って僕が生まれるずっと前からいたはずですよね?」

 

 「それも含めて本人に聞くと良いでしょう。」

 

 集会浴場へ行けばまだギルドマネージャーとレイムはまだ話していた。ギルドマネージャーは大層焦った顔で、レイムは涼しげな顔で会話している。僕を見つけて

 

 「おぉ来たね。ちょうどコイツとも話をつけたところだ。ここだと目立つから君の家で良い?僕の宿部屋でも良いけど。」

 

 俺の家の方が近いのでそこへ行き話を続ける。

 

 レイム「改めて自己紹介するね。僕が幻月の守人、レイム。君達を保護監察のためにこれから月に一度この村に通うことになった。」

 

 「何で俺のことを知っているんですか?」

 

 「君が生まれる前から知ってる。君の母親が君を身籠ったときにその護衛としてココットに派遣されたからね。今もそうだけど、竜の絶滅を望む保守派の人達もいるから、万が一に備えたんだ。君が3歳になった時にその任務は終わってそれ以来会ってない。でもお前は特徴的だからすぐに分かったよ。こんな偶然もあるんだね。」

 

 「あの…一応聞きますけど何歳ですか?」

 

 少し考え

 

 「うーん、だいたい100とか110歳くらいかな?細かいのは忘れた。」

 

 「はっ!?」

 

 思わず間抜けな声を出してしまった。

 

 「不老不死なんですか?」 

 

 まさか、と笑い 

 

 「人間じゃないだけさ。君に少し似てる。」

 

 「親のどちらかが竜ってことですか?」

 

 「いや、祖父が人間であとは竜。僕にたまたまその血が発現したんだね。兄は竜だし、もちろん両親も竜。僕もこの姿より竜の姿の方が楽なんだよね。」

 

 何その変幻自在みたいな…。他に聞きたいことがある?と聞かれて

 

 「じゃあ竜と会話できるって本当ですか?」

 

 「あぁ。特殊な境遇の、知性を持たない竜を除けば。」

 

 

 その後キリンと温泉に入り(もちろんパニック)、自宅へ。

 

 (確かにただのお供にはなれないよな。)

 

 何てったってキスも交尾もしてしまった。それに心のどこかでそれを受け入れてる。自分の中の血の半分が竜のせいかもしれないが、まだ出会って日が浅いのにもう彼女を伴侶にしたいと思い始めていた。

 

 (まてまて、まだ出会って2週間経ってないぞ。いくら父さんが竜だからって異種族にはかわりないし、村長はともかく周りがどう思うか…。)

 

 (それに何でそこまで俺と一緒にいたがるんだろう。それとも野性ってそんなもんなのかな。)

 

 彼女の顔を見る。何?とでも言うように首を傾げた。一見無表情だが、案外そうでもない。笑うことはないけど焦ったり、うっとりしたりと意外と表情豊かだ。顎を掻いてやれば気持ち良さそうに目を瞑る。可愛い。それを通り越して美しい。

 

 (それも良いかもな。母さんだって竜を選んだんだし。)

 

 親子揃って異種結婚か。…でも勇気がでない。 

 

 (俺も子供だなぁ。まぁ、今すぐじゃないとダメって訳じゃないしゆっくり考えよ。何年かしたら抵抗無く言えるようになるかもしれないし。)

 

 翌日、やはり美しいと感じるのは俺だけではないのか、また珍しいというのもあって彼女はあっという間に人気者になった。一緒に温泉に入っているときのリラックスした顔が皆を和ませ、ある親しい村人なんか彼女が雌であると知ると

 

 「おぉ、そりゃあ随分とべっぴんな嫁さん連れてきたなぁ。」

 

 と言ってきて若干嬉しくなるも束の間、友達や先輩からのからかいの嵐にあう。

 

 夜が更け、質問攻めがようやくおさまり自宅にて就寝。布団をポンポンと叩くと彼女も登って寄り添ったがどこか寂しそうに見えるのは気のせいだろうか。

 

 それから数日、しばらくは遠くへいかず、ユクモ村周辺で素材を採ったり鳥竜を追い払ったり(キリンで一撃)して過ごしている。早くも幻獣が住む温泉村という噂が広まり、キリンを見にくる人たちは日に日に増えていった。

 

 「あの子のお陰で宿が嬉しい悲鳴を上げてますわ。」

 

 連日宿は満室。決して大きくない市場は観光客で賑わった。客は様々で、ハンターだけでなく一般の人や学者まで来ている。キリンと俺が姿を見せればたちまち取り囲まれ

 

 「おぉ、これがあの幻獣か!」

 

 「なんか神々しいわね。」

 

 「どうやって手なづけた?」 

 

 「この子男の子?女の子?可愛いね!」

 

 そんな感じの感想やら質問やらが老若男女問わず飛び交う。

 

 「それで、結論は出たのですか?」

 

 「うーん…。」

 

 キリンを先輩に預け、村長と二人で話をする。

 

 「どちらにせよ早く伝えてあげてね。曖昧なのが一番辛いものですよ。断るなら私が通訳して差し上げますし。」

 

 「はい…。」

 

 確かにここ最近、特に彼女と二人きりになるとしょんぼりしているようにも見えた。

 

 (遭難したときみたいに向こうから誘ってくれれば応じるんだけどなぁ。)

 

 嫌いじゃないんだよと撫でたり抱き締めたりはできるのだが、やはり自分から一線を越えることができない。

 

 出会って早1ヶ月経とうとしているとき、最早日常と化した質問攻めに半ば機械的に応えていると、不意に村の入り口の方で悲鳴が上がった。そして

 

 「恐暴竜だ!マズイ!」

 

 その一言で辺りはパニックになる。まさか観測隊の目を潜っていたとは。すぐに腕に自信のあるハンターが入り口に向かったので自分も向かうと、イビルジョーは入り口のすぐ近くまで来ていて送迎車と思われるものが大破していた。誰かが泣き叫んでいることから被害者も出たらしい。

 

 イビルジョーがすぐ近くにいた恐怖で動けなくなっている母娘を食おうとしたとき、人混みを一陣の閃光が駆けていきそのままイビルジョーを吹っ飛ばした。そして犠牲になりかけていた一般人女性とその子供とイビルジョーの間に光輝く物が立ちはだかる。

 

 「キリン…!」

 

 イビルジョーが起き上がり、怒りの声を上げながら近くにあった岩を顔で押し上げキリンになげつけた。キリンは構わず突進、岩は粉々に砕け散って再びイビルジョーが突き飛ばされる。

 

 イビルジョーは怒りで全身が赤くなり、竜ブレスを吐こうとした。するとキリンが鋭く嘶く。ブレスを吐くよりも圧倒的に早く無数の雷がイビルジョーを襲い悲鳴をあげた。

 

 それでもイビルジョーは諦めずにこちらへ向かってくると、キリンが1段と輝き、ジンオウガとは比にならない雷を纏いそれを角に集めて地面に突き刺した。

 

 バリバリバリッ!

 

 ものすごい爆音が響き、一瞬目の眩むような光が炸裂。それはただの光ではなく稲妻であることを辛うじて確認する。キリンの前方の草木が黒焦げになり、そこに絶命したイビルジョーが倒れていた。目と口から煙…いや、熱した鉄に水を垂らしたような湯気が出ている。見ていた学者いわく、目や口、他体内の水分が一瞬で沸騰したんだとか。

 

 しばらく沈黙が続く。もはや看板娘のような存在だったドス鳥竜より一回り小さい幻獣キリンが、自分の何倍もの体格を誇るイビルジョーを秒殺したのだ。その姿にみな恐怖を与えられた。

 

 キリンは何事もなかったように、何かを探しながら歩いて戻って来る。誰もがその通る道をあけた。そして俺を見つけるといつも通りすり寄ってくる。

 

 「お前…すっげぇな。」

 

 と言いながら抱き締め首をポンポンと叩くといつも通り、うっとりと目を瞑る。

 

 「さぁ、怪我人の手当てを。」

 

 と言う村長の声で沈黙は破れた。

 

 「き、キリンちゃんを怒らせたら消し炭にされちまうな。」

 

 という例の村人の冗談によってキリンフィーバーが再燃する。みな驚いただけだったので、そのあとは褒めたりお礼を言ったりと元に戻った。

 

 と、先程の親子がでこちらに来ると、母親の方が

 

 「ありがとう。お陰で助かりました。」

 

 と言った。だがその娘が

 

 「お父さん…お父さん…」

 

 と呟いている。ハッと周りの人たちが母親の顔を見る。その真っ赤に泣きはらした目を見て誰もが悟った。食われたのだ。恐らく目の前で、跡形もなく。

 

 キリンがそっとその女の子の顔を舐めると

 

 「何でもっと早く来てくれなかったの!?お父さんが…お父さんが…。」

 

 と叫んだ。キリンは驚き、大まか理解したのか同時に少しうなだれる。誰もその子を責めることはできなかった。

 

 「…それを言うなら何もできなかった俺たちのせいだ。」

 

 キリンは悪くない。そう思ってつい口に出してしまったが、周りにいた他のハンターが

 

 「…あぁ。そうだ。」

 

 「その通りね。」

 

 「あぁ。こいつがいなければこの人達も助けられなかった。」

 

 そうだ、悪いとしたら俺たちだ。と口々言い、誰かが親子に詫びると皆次々と謝った。

 

 「そんな…皆さん…申し訳ありません…」

 

 そう言いながら母親は泣き出した。

 

 キリンは救われたような顔になると俺の肩に顎をのせる。それを抱き締めながら告白しよう、と決めた。あるとき突然キリンがいなくなってしまうかもしれない。そう思った故だった。

 

 そう決めてからというものの、不謹慎だとわかっていながら心臓がドキドキしている。やっぱりもう少し後にしようかな。

 

 その夜、キリンと温泉に入ろうと集会浴場へ行くとハンターではない1つ上の村の親友ゴンが、

 

 「お、風呂はいるのか?俺もこれ運び終わったら入ろうとおもってたんだけど、一緒に行っていいか?」

 

 「わかった。待ってる。」

 

 そして体を洗ったあと一緒に浸かる。

 

 「しっかし強かったなぁお前のキリン。」

 

 「所有物みたいに言わないでよ。」

 

 「ハイハイ。ところで村長から聞いたんだけど、そいつと結婚するってマジ?」

 

 「は!?え!?」

 

 慌てて辺りを見渡すも、時間が遅いせいかキリンと親友のゴン以外誰もいなかった。

 

 「な、何でゴンが知ってるんだよ!?」

 

 「何でって、こないだ村長に会ったとき、あのキリン本当にランになついてますねって言ったら、秘密ですけど実はって。」

 

 「…どれくらい聞いた?」

 

 「お互い真剣だって、あと肉体的に告白するんだって?」

 

 「言い方…それにキリンある程度俺らの言葉わかってるよ。」

 

 キリンは湯船の縁に顎をのっけながら興味ありげにこっちを見る。ゴンはそれを気にもとめず

 

 「それも知ってる。お前次第で喋れるようになるんだろ?」

 

 「…そんなことまで…村長ひどい。」

 

 「良いじゃねぇか誰にも言わないし。キリンが喋れるようになったらもっと人気出るぞきっと。」

 

 「…そんな簡単じゃないよ。」

 

 「や っ ち ま え よ (^ε^)」

 

 ゴンの頭を沈めた。力には多少自信がある。

 

 「ブハァ…わかったわかった、からかって悪かった。うらやましいなぁそんな綺麗で結婚前提の彼女がいて。」

 

 「なに?ゴンは今の彼女じゃ駄目なの?」

 

 「ちゃうわ。ちゃんと順調です。…とにかくちゃんと言ってやれよ。お前モンスターと戦う時は勇敢なのにこういう時はすぐ弱気になるからねぇ。」

 

 「それにまだ決定した訳じゃないし。」

 

 キリンが近くにいるのを思い出して即座に後悔する。

 

 「なーに言ってんだ。俺の頭を沈めるほど真剣じゃないか。」

 

 「…」

 

 「まぁ、とりあえずみんなに報告するのはあの親子が帰ってからにするんだな。」

 

 「分かってる。出よう、のぼせる…ありがと。」

 

 「おうよ。」

 

 翌日、あの親子は再び僕らを訪ね、改めて礼を言って帰っていった。女の子もキリンに謝り仲直り。そのまま人々に囲まれるキリンを眺めていると

 

 「よう、ラン。」

 

 「ゴン…大丈夫かな、あの親子。」

 

 「さぁな。」

 

 「ゴン、決めたよ。」

 

 「お(^ω^)、やる気になったか。結婚祝い考えとかないとなー。」

 

 「…まぁいいや。結婚はしない。」

 

 え、とゴンの顔が凍りつく

 

 「結婚はまだしないけど、番になる。」

 

 「ハァ~。心臓が止まるかと思ったぞ。まぁ確かに結婚式挙げるには若すぎるよな。…にしても番とか、何か急に竜らしさ出しちゃって。」

 

 「そうかな。」

 

 「ま、頑張れ。これで振られたとか言うなよ。」

 

 そういって去っていく。何だかんだあいつにすごい助けられてるんだよな。

 

 今夜告白する。多分言葉はあまり使わずに。そう思うと緊張して落ち着かなくなる。手汗をかき、心臓は早鐘を打ち、時間が倍くらい早く進んでいるような気がした。自分はクエスト以外の時はユクモ村特有の私服を来ているので、その袖などで手汗を何度もぬぐい、何も知らない人に心配される始末だった。

 

 温泉に入るときはどうなるかと思ったが、ゴンとその彼女も一緒(ユクモ温泉は混浴、ゴンの彼女とも普通に仲が良い)に、何も関係ない話をしたので幾らか落ち着いた。

 

 が、自宅に戻れば緊張がぶり返す。時間稼ぎに武具の手入れ。そういえば母さんも初めて父さんとまぐわったときは時間稼ぎしてたって父さんが言ってたってけ。武具がピカピカになり、ポーチも本棚もその他持ち物も完璧に整理するともうやることがなくなった。

 

 キリンをみる。いつみても美しい姿に、本当に俺で良いのかと疑問に思う。いや、ここはプラスに考えよう。

 

 「ねぇ、キリン。」

 

 キリンがこっちを振り向く。体の外に心臓の音が聞こえてるんじゃないかと思うくらいドキドキする。

 

 「あの…その…」

 

 彼女が首を傾げる。ダメだ、言えない。でもここまできたらやめるわけにも…

 

 「こ、こっち来て。」

 

 と手招きすればこっちにくる。そしてそっとキリンの顔を掴んだ。キリンは抵抗しない。むしろ期待しているようにも見えるも、やはりなかなかその先の勇気が出ない。遭難したときの自分はどこに行った。

 

 至近距離で見つめられてますます緊張し、手が震える。それでもゆっくり引き寄せ唇を重ねようとした。

 

 (だ、だめだ。そ、そうだ、ゆっくりだからダメなんだ。一気にしてしまえば…。)

 

 1度少し離れ深呼吸。意を決して引き寄せた。

 

 ムニュッと柔らかい感触。思いきって舌を突きだしてみた。キリンの歯や舌に触れる。キリンはしばらくされるがままだったが、やがてこちらにも舌を入れてきた。ここまで来ればもう躊躇はない。いつぞやのように深く、熱い口づけを交わす。離れると抱き締めた。そしてキリンがベットの上にのり、足を折り畳んで座る。短い尻尾を誘うようにフリフリしながら。

 

 「ちょっと待ってて。」

 

 と、服を脱ぐ。その間キリンはじっとこちらを見ていた。勇気を出して下着も脱ぐとすでに勃起したモノをさらけ出す。キリンが顎を布団につけ、完全に準備完了と言ったところだ。

 

 しばらく彼女の秘烈に指の先を入れてほぐし、濡れてきたところでグニ、とペニスを押し込んだ。そのまま根本までいれるとキリンの息が一気に荒くなる。

 

 「やっぱ…すごい」

 

 先ずは動かさずにぎゅっと抱き締めて彼女の柔らかくも強く締め付けてくる熱い膣を感じる。彼女が切なげに鳴けばもう我慢できない。ふと思い付いて、

 

 「大好き。」

 

 と、耳元で囁いてから動くと体をビクッと震わせた。クチュックチュッと音を立てながら彼女を突いていると不意に彼女が後ろを向く。

 

 (まさか…)

 

 あの変態め。だが離れたく無かったし、まぁあいつだからいいかと割りきって、でも恥ずかしいから布団を自分達に掛けて結合部が見えないようにした。そして再開。イビルジョーを瞬殺した彼女とひとつになっていると思うと無性に優越感を感じる。

 

 特に意識はしていなかったが、気がつけばパンパンと音が鳴るほど激しく腰を振っていた。キリンも口で荒く息をしている。達したのか不意に歯を食い縛り、中がさらに強く締まった。それでもグチュグチュと突き続けると首をもたげ、天井を仰ぎヨダレを垂らしながら声は出てないが喘いだ。その姿に自分も興奮が高まり、ついに彼女の中に精を放った。

 

 「ヒーン」とか細く鳴く彼女がとても可愛く見える。

 

 射精が終わり、己を引き抜くと彼女が伸びをしながらゴロゴロと寝返りをうつ。受精率を高める行為だが、愛らしくて堪らない。腹を擦ってやるとうっとりと目を瞑った。満足すると今度は彼女の方から俺の口周りを舐め、唇を割って舌を入れてきたので応じる。糸を引いて離れた時だった。

 

 『あ…がと…』

 

 「え?今喋った?」

 

 『聞こえるんですか?』

 

 「聞こえる!すごい本当だったのか!」

 

 『まぁ、私も一応古龍なので。』

 

 「ランだよ。よろしく、キリン。」

 

 『番と認めてくれるのですか?』

 

 「もちろんだよ。」

 

 『ありがとうラン。それにしてもたった2回交わっただけで会話が出来るようになるとは。これなら強い子が産めそうですね。』

 

 「え、それ関係あるの?」

 

 『えぇ。2回とも随分濃い精を注いでくれたようですし。』

 

 顔が熱くなる。だがキリンは当然のことのように言った。 

 

 『まぁ、あなたに竜の血が流れているから通じやすかったというのもあるかも知れませんね。』

 

 「気づいてたの?」

 

 『えぇ。匂いでわかりました。セルレギオスとの子ですね?』

 

 古龍すげぇ。

 

 『汚れてしまいましたね。舐めとりましょうか?』

 

 「え、良いの?」

 

 『もちろんです。それに相手に性器を委ねるのは番としての信頼の証ですから。』

  

 そういってペニスに付いた粘液を舐めとってくれる。が、しかし、最近出してなくて溜まっていたせいなのか、はたまた興奮してたからなのか再びそそりたってしまった。言い訳なんてできるはずもなく、

 

 「あ、…ご、ごめん。」

 

 その時フフッと、確かに笑った。

 

 『構いませんよ、むしろそれだけ想ってくれて嬉しいです。』

 

 と、また交尾の体勢になる。今さっきしたせいか桃色の花が口を少し開けている。そしてもう一度彼女とまぐわった。

 

 『満足できました?』

 

 「うん。君は?俺その…キリンの雄よりだいぶ小さいと思うけど…。」

 

 『もちろん心地よかったですよ。それにあなた以外の雄と交わったことはありませんし。』

 

 服を着るのが面倒くさかったのでそのまま布団を掛ける。

 

 「お休み」

 

 『えぇ。愛していますよ、ラン。』

 

 「ぼ…俺もだよ」

 

 こうして妻となったキリンを抱き締めて眠りについた。

 

 

 

 ゴンからのからかいもなく、その後は平穏(?)な日常が続く。人語を話す幻獣キリンの噂はさらに広まり決して大きくはない市場は活気が絶えなかった。人から逃げるように僕はキリンを置いて渓流をほっつき歩くこともしばしば。連れてきたかったけど帰った後に観光客の嵐に襲われるくらいならずっと相手をしていた方がましだということで来なかった。そんなある日

 

 村長「キリンちゃんを正式に村の一員として登録したいので固有の名前が必要なのですが…。」

 

 キリン「私、固有の名前無いんですよね。」

 

 ランが苦心して考えた結果、凜としているからリン、ということになった。

 

 リン、村長(凄く雑な気が…)

 

 リン(まぁ、名前をつけてくれるだけありがたいか。)

 

 呼びやすいこともあり村人もすぐに馴染んだという点では良いだろう。

 

 

 ゴン「よぉラン、おはよ。パトロールか?」

 

 「うん。ジャギィが増えてるらしいから。」

 

 「ご苦労なこった。村長からの伝言で、今日の夜にレイムさんが到着するんだとよ。ところでお前…ネーミングセンス無さすぎじゃね?これじゃあ子供ができたときが思いやられるぜ。」

 

 「…うるさい。」

 

 リン「そのときは私も一緒に考えないといけませんね。」

 

 リンにまでさも可笑しそうに言われれば立場がなくなる。

 

 「あっ、じゃあパトロール行ってくるから。じゃーなー。」

 

 リン、ゴン(逃げやがった…。)

 

 昼過ぎ、ユクモに戻って村長に報告。

 

 村長「あらお帰りなさい。リンちゃんは一緒じゃないの?」

 

 ラン「えっ?リンは連れていってませんが?」

 

 「おかしいですね、あなたが村を出てから見かけないので皆さん待っているのですが。」

 

 そう言われ自宅へ。すると異様な臭いが立ち込めていて、居合わせたハンターによればウラガンキンの催眠ガスを濃くしたような臭いらしい。

 

 「まさか…そんな…」

 

 「レイムさんを待ちましょう。守人はこのような事件を専門にしていますから。」

 

 

 

 レイム「予定より随分早く着きそうだな…」

 

 夜に着くと連絡したものの日没寸前ぐらいの時間にユクモへ着いた。と、門番のように門の前で立っているランを見つける。様子が変だ。泣き腫らした目をしている。

 

 「ラン、どうした?なんかあっ────」

 

 「リンが拐われたんです!お願い助けて!!」

 

 

 

                  続く。




 一寸先は闇。
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