※この作品はR-18です。

新たな子   作:神座(カムクラ)

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 いつの間にか評価バーに色が付いていました。応援ありがとうございます。

 さて、見事に題名をパクりましたが、果たしてそれ相応の内容になっているかどうか自信ありません…。まぁ、なんとかなるさ(´∀`)

 ※ランの出身地について、ポッケ村と表記してしまう大きな誤りがありました。ランの出身地はココット村です。また、ランの先輩ハンターの名前を紹介する部分に「ベイン、トーマ」とありますが正しくは「ベイン、カール」です。お詫びとともに訂正いたします。


壱話 舞うは嵐、奏でるは災禍の調べ

 

 

 ボオォォン!!

 

 「くっ!」

 

 蒼い火竜と青年が戦っている。

 

 「ハアァァッ!」

 

 「グオォォ!?」

 

 青年は千刃竜(せんがんりゅう)セルレギオスの武具を纏い、猛烈な火球を交わして懐に入り膝関節部分を深く斬りつければ蒼火竜は転倒する。もがく蒼火竜の首に太刀叛断ノ覇刃レギオンを突き刺せば1度大きく痙攣して動きが止まった。

 

 「…悪く思うな。警告はしたんだ。」

 

 この辺り一帯から手を退いてくれと何度も伝えたが聞かず、あまり手加減しているとこちらが殺られてしまうのでならばせめて苦しまないようにとなるべく少ない攻撃でけりをつけたのだった。

 

 「…さて、」

 

 狼煙(のろし)を上げて、回収班が来るまで待つ。自分は特に素材は要らないので剥ぎ取らず、蒼火竜の目が開いたままだったのでそれをそっと閉じた。この火竜はつい最近狩猟許可区域にやって来て巣を作り始めたのだ。基本的にその区域への大型モンスターの居住は認めていないため、撃退するのが普通なのだが少年は飛竜種であらば何となく意思疏通することができ、防衛を除いて人を襲わないと誓えるなら住まわしても良いと伝えたのだがここ一帯の縄張りに入ったものは許さないという返事である上逃げもしないということで狩猟したのだった。

 

 その青年はランといって、蒼の竜眼を持っていた。

 

 

 ユクモ村にて、ランは村長へ依頼の結果を報告。

 

 

 「おかえりなさい。討伐お疲れさまでした。これで安心して日常に戻れます。」

 

 「殺すのは久しぶりですがやはり意思疏通できる相手を殺すとなると少し心苦しいですね…。まぁそうしないと俺達の生活が危ぶまれるからしょうがないんですけど。」

 

 「そうですね…その気持ちはよくわかります。」

 

 村長もほぼ全ての竜と完全に意思疏通できる能力を持っている。

 

 「そうそう、ギルドから正式な通達がありました。あなたを今日からG級ハンターとして認めるそうです。おめでとう。」

 

 「ありがとうございます。これからも頑張ります。」

 

 「それと、この間の森丘捜索の件ですが、特に成果は見られなかったそうです。」

 

 「そうですか…ありがとうございます。では。」

 

 G級か…装備は随分前からG級だからあまり実感わかないな。最近になって手強い竜を相手にすることが多くなったのだが、今更自分の武具の強さを身をもって実感し、父は強い竜なんだなぁと、そんなことを思っているとハンター並の大柄な友人、ゴンに話しかけられた。

 

 「ようラン。後2時間くらいしたらさっきのリオレウス解体できるからその後温泉入らねぇか?」

 

 「分かった。なんか手伝おうか?」

 

 ゴンは討伐されたモンスターを解体する仕事をしている。結構な腕前だと街でも評判だ。俺がやっても足手まといなので素材などを運ぶのを手伝った。そしてゆっくり温泉に浸かるとゴンがやれやれとした感じで話を振る。

 

 「最近雨続きだよなー。お天道様(てんとさま)が恋しいぜ。」

 

 「俺は雨の方が好きなんだけど、確かに長いな。」

 

 ここ1週間、ずっと天気がぐずついていた。

 

 「なんかとんでもないやつの仕業だったりしてな。」

 

 「そーゆーこと言わないで。当たる。」

 

 「(スルー)そういやG級になったんだって?なんか色々凄い友達持ったもんだ。」

 

 「ゴンだって街で結構有名じゃないか。」

 

 まぁな、とドヤ顔。が、すぐに解いて

 

 「いつも以上に元気ねぇな。」

 

 「そう?」

 

 「あぁ。お前は顔に出る。いや、全身から染み出てる。」

 

 「そ、そんなことないよ!( ^∀^)ほら!元気いっぱい!!」

 

 「……(*´ω`*)」

 

 「(´・ω・`)」

 

 そして翌日、ゴンの言霊(ことだま)は具現化した。

 

 「どうしたんですか?村長。」

 

 「悪いお知らせです。最近雨続きでかつモンスターの目撃情報が相次いでいるのでまさかと思ったのですが…」

 

 「…まさか古龍、ですか?」

 

 「さすが、察しが良いですね。その通りです。」

 

 「マジかい…」

 

 「古龍の名は嵐龍(らんりゅう)アマツマガツチ。非常に強力で大規模な嵐と共に現れるという、まさに天災といえる力を持つ龍です。通るだけで村を簡単に滅ぼせると言います。ギルドの方から討伐依頼が来て、守人も容認済みです。なんとしてでも進行を止めてください。」

 

 「わかりました。向かいます。」

 

 メンバーは自分と、同じくG級ハンターの先輩ベイン、カールの2人、そして故郷ココット村のG級ハンターで母の後輩のトールの4人とそれぞれのオトモ計3匹で向かう。ちなみに俺はオトモアイルーを雇っていない。

 

 トール「お前と戦えるなんて嬉しいぞ、ラン。君のお母さんがG級おめでとうって言ってた。」

 

 「こちらこそ。嵐龍…どんな龍なんだろう。」

 

 「俺も初めて聞いた。楽しみだな。腕がなるぜ。」

 

 ベイン「できれば生け捕りにしたいわね。嵐を引き連れる…興味深いわ。」

 

 「さすがハンター兼生物学者のベインさん…。古龍って捕獲できるんですか?」

 

 カール「どうやったか知らないがこいつはクシャルダオラを生け捕りにして調査した後逃がしたという伝説がある。」

 

 「えぇ…」

 

 そんな雑談をしていると船長から声がかかる。

 

 「もうすぐ着きますよー。」

 

 着くといっても嵐で近づけないので麓に降り、徒歩で渓流の秘境、霊峰へ。飛行船では陽気に喋っていたが、周囲のどこかピリピリする雰囲気から誰もが黙々と登っていった。そして───

 

 「あれが嵐龍…」

 

 既にこちらの存在に気づいていたのかじっと見ている。荒々しい感じはせず、荘厳にたたずんでいた。どこかリンを連想させ胸が苦しくなる。

 

 ベイン「何で羽も無いのに浮いてるのよ…罠持ってきたのに…」

 

 カール「どちらにせよこの地面じゃ仕掛けられないだろ。」

 

 ベイン「こうなったら深い傷に集中的に麻酔弾を撃ち込むしかないわねなら撤甲榴弾を同じ箇所に的確に当て続ければ…」

 

 カール「おい、ぶつくさ言ってないで早く撃て!初手はお前の方が良い!」

 

 ライトボウガン蒼火竜炎舞砲[忌火]で頭を狙ってタァーン、と1発。Lv3通常弾は簡単に弾かれた。

 

 「ここからでは入らないわ!」

 

 と、それまでじっとしていた嵐龍が不意に水球を吐いてきて皆回避する。それだけで終わらず、宙を回転しながら突進してきた。

 

 「ニ゙ャ゙ア゙ァ゙!!」

 

 トール「ナタリー!」

 

 茶色いアイルーは10m程吹っ飛ばされ気絶する。

 

 嵐龍は素早く振り向き次に備えた。

 

 「ハアァァッ!」

 

 ランが斬りかかるも華麗に避けられる。しかしこちらはG級ハンター4人。ベインが火炎弾を放つと微かに呻き、そちらに標的を変えるもトールが封龍剣[極絶一門]で、カールがハンマーのラギアボルガで追い討ちをかける。連続攻撃により羽衣を思わせる白い飛膜や腹側の鱗に傷がつくがヒュゥッとすり抜けると霊峰の反対側へ。動きを止めたのでベインが火炎弾を撃ち込むが怯まず、逆に狙い撃ちをしていたため強力な圧水ブレスを避けられずまともに食らってしまった。彼女の手から武器が離れ桜火竜のG級装備には無数の亀裂が入る。

 

 カール「ベイン!」

 

 駆け寄ろうとするも2発目のそれで足止めされた。

 

 ベイン「だ…大丈夫…」

 

 すぐさま彼女のオトモが回復笛を吹くがその間も弱った彼女に狙いを定めた嵐龍が接近。

 

 「させるかニャ!」

 

 カールのオトモがブーメランで攻撃。それ自体は弾かれるも気をそらした。

 

 「ウォォォ!」

 

 「そりゃっ!」

 

 尻尾のなぎ払い攻撃を避け、鮮やかに移動して攻撃を避ける嵐龍を追い、着実に攻撃を当てる。続ければところどころひび割れた鱗から血が染みだし始めた。

 

 封龍剣は古代の剣。刃こぼれはしない。俺の太刀も自己再生能力を持っているので欠けても研ぐ必要はない。ハンマーはそもそもあまり関係ない。ベインも攻撃を再開する。

 

 トール「その調子だ!ラン!」

 

 大回転斬りを決め太刀に更なる気を込めた。何度か吹っ飛ばされ、ブレスを避けながらも善戦。特にベインはG級ガンナーハンターの中でもかなり有名なので力強い援護だった。そしてそのベインは隙をみてついに撤甲榴弾を使い命中させ爆発する。が────

 

 「キャオオォォォォオン!!!」

 

 強烈な咆哮と共に嵐龍が紅く光りだす。それと同時に天気が一変。本降りより少し強いくらいの雨は強風を伴う豪雨と変貌。雷鳴も聞こえる。

 

 復活したナタリーが硬化笛を吹き、よしと意気込んで攻撃を再開した。すると嵐龍がとぐろ状に高速で回転し、慌てて距離をとるがそれは本命の攻撃ではない。4、5回転するとあろうことか無数の竜巻が発生し攻撃どころではなくなる。2匹のオトモが逃げ切れずに宙を舞うなか、その竜巻も陽動であることを思い知らされた。

 

 ラン「何かくる───!」

 

 先程とは比べ物にならない大きさの水球を口元に発生させ地面に叩きつける。

 

 ドシャァァン!!

 

 一同「!??」

 

 ベイン「上よ!!」

 

 水が跳ねるレベルではない量の、隕石ともいえる水の塊が降り注ぐ。被弾して地上で溺れそうになっているオトモを何とか助けると、怯まず向かっていくトールとカールの姿が見えた。しかし今度は地面をその尻尾で叩くと震動と共にまるで間欠泉の如く地面から水が噴き出て2人はそれを食らって転がっていった。

 

 「ラン!、ナタリー!、サクラ!2人を!援護するわ!」

 

 この雨では粉塵も広範囲には影響させられないだろう。その指示に従い自分はトールのもとへ。その途中、水が噴き出たところの地面が周りより乾いているのをみて、

 

 (水を操ったんだ…!)

 

 と確信する。トールのすぐ近くで生命の粉塵を使うと自力で立った。その間ベインが撤甲榴弾を撃つが優雅に宙を舞って避け、水球を飛ばし彼女はこれを横転して避けると発砲。腕に当たり爆発すると苦痛の声を上げてその後とぐろを巻く。

 

 カール「何だ…?」

 

 風の向きが変わった。

 

 「あっ弾が…!」

 

 装填しようとした弾が強風でベインの手を離れ嵐龍の方へ転がっていく。

 

 トール「これは…に、逃げろぉぉ!」

 

 と言う間に猛烈な風…吸い込みが襲う。俺は猫2匹を抱えて何とか岩の後ろに避難することが出来たが他のみんなは成す術無く吸い込まれていった。

 

 「ぎゃあぁぁぁ!!」

 

 風が止んだときに岩陰から出ると、地面に転がって動かない3人と1匹が目に入る。そして嵐龍と目があった。

 

 「ナタリー、ピーター、3人を連れて撤退するぞ!」

 

 「分かったニャ!僕らが囮になるのニャ!」

 

 2匹は勇敢に立ち向かっていき、その間に僕はベインとトールを引きずってひとまず攻撃を受けにくい場所へ。そして何とか猫達が頑張っている間にカールのもとへ行くと、ドボルX装備の防御力は伊達では無いらしく動けないものの意識はあった。

 

 「逃げましょう!」

 

 「…すまない。」

 

 肩を貸し、さらにサクラを抱えて2人と同じ場所へ。

 

 「ヴニ゙ャ゙ッ゙」

 

 「ニャア!よくもナタリーを…ニ゙ャ゙ゲッ゙」

 

 ヤバイ───!

 

 「這ってって下さい!引き付けます!」

 

 粉塵をかけてそう言い残し突撃。ブレスを交わし、突進を避け、水の隕石に当たり、何とかブレスを避ける。格が違う。完全に甘く見ていた。カールが逃げているのを見届けると虫の息のピーターとナタリーを抱えて逃げようとする。と、嵐龍が空高く舞い上がった。

 

 「逃げたのか…?」

 

 いや、そんなはずはない。空中で止まると今までとは威力が桁違いの圧水ブレスを放ってきた。豪雨の中上空にいる嵐龍を目視することは難しく、とにかく横っ飛びに交わすとすぐ近くをブレスが通り、さらに地面からも水が吹き出た。それを3度も。最後の1発で噴き出す水を避けきれず飛ばされる。満身創痍の体を何とか起こしたときには遅かった。

 

 「しまっ───」

 

 いつの間にか降りてきた嵐龍が起こした竜巻に巻き込まれ宙に放り出され、最悪なことにそのまま霊峰から墜落してしまった。

 

 

─────────────────────

 

 

 『リン!帰って…来てくれたの…?』

 

 『それよりも先に言うことがあるんじゃないですか?』

 

 『…ごめん。引き留めたかったんだ…でも…俺…ガキで…ごめん…一番辛いのはリンなのに…ごめん…ごめんよ…』

 

 『最初からそう言えば良かったんです。さぁ、帰りましょう。長い間温泉に浸かってなかったので恋しくなってしまいました。』

 

 『リン…』

 

 ラン…ラン…

 

 『ラン、私はあな…をず………し………』

 

 「リン……」

 

 「ラン!ラン!?」

 

 「う…うぅ……?」

 

 「気がついたか!?俺だ!ゴンだ!分かるか!?」

 

 「ゴ…ン…?ここ…は……?」

 

 「ユクモだ。動くなよ。骨が何ヵ所も折れてる。」

 

 「他…の…みんなは…?」

 

 「重傷だがお前よりかは軽傷だ。俺は医者に知らせてくるからお前は動くんじゃねぇぞ?」

 

 「うん…。」

 

 夢…か。やっと少し立ち直ってきた頃だったのに。

 

 

 ───────────────────

 

 

 「お待ちしてました。ここからは私が情況説明をかねてお供します。あ、私はベインでこっちはサクラ。」

 

 「よろしくベイン。レイムだ。銃の腕前は聞いているよ。ところで体は大丈夫なのかい?」

 

 「えぇ何とか。まだ節々が痛みますが問題ありません。」

 

 「ならよかった。あ、ごめん。いいよ。」

 

 水色のアメショーと隠密メラルーの視線を感じて促す。

 

 水色アメ「ルーシーだニャ!」

 

 隠密「ギンガムだニャ。」

 

 レイム「ルーシーは治癒猫で上位ニャンター、ギンガムはG級ニャンター。」

 

 サクラ「ル、ルーシーにギンガム!?」

 

 ベイン「知ってるの?」

 

 サクラ「もちろんニャ!ルーシーは世界一の医療猫で、エルグはニャンターで唯一単独狩猟が許可されているメラルーニャ!」

 

 ルーシー「まさしく私達ニャー。」

 

 ベイン「そんなのがいるんだ…あ、よろしくね。」

 

 そして渓流を歩く。

 

 レイム「成る程…見事な返り討ちだね。誰も死ななくて良かった。」

 

 ベイン「本当にそうですね。ラン君もよく生きていました。流石は竜との子、とでも言いましょうか。」

 

 「確かに身体能力や回復力は少なからず影響しているだろうね。」

 

 「それにしても───」

 

 「ちょっと待って。」

 

 「は、はい。」

 

 「…」

 

 「…」

 

 「…呼んでる。」

 

 「え?」

 

 「助けを求めてる!迅竜が人間に襲われてる!」

 

 走りながら聞く

 

 「何故分かったのですか?」

 

 「迅竜の声は距離が離れると人間の可聴域外の音になって広範囲に響くんだ。」

 

 「そ、それは貴重な情報…!」

 

 ターン…

 

 「今のは聞こえました!おかしいですね。迅竜の討伐依頼は出ていませんでしたが。」

 

 しばらく走ると6番当たりで迅竜が倒れていた。まだ生きている。

 

 「ベイン、サクラ、動くな。」

 

 レイムは迅竜に近づき、迅竜にしか聞き取れない音で話しかける。

 

 『僕は竜の味方だ。どうした。』

 

 レイムが紅い龍眼を光らせれば迅竜は訴えた。

 

 『番が襲われてる!助けてくれ!子を宿してるんだ!』

 

 それを聞き終えるか終えないうちにレイムは視線を反らし木々へ向ける。

 

 ベイン「何が…?」

 

 「動くな。伏せてて。…そこにいるのは分かってる。僕の前方に2人、右斜め前に1人。」

 

 するとその言葉通りの場所から見慣れぬ装備をした人間が現れた。みな装備は統一されている。レイムは短めの太刀を抜き、一気に距離を詰めた。およそ10秒後、3人は気を失って倒れたのだった。

 

 ベイン、サクラ「強い…」

 

 しかし彼らが装備していたのはいずれもランスと大剣でボウガン使いはいない。

 

 「ゲン国兵…。ルーシー、ギンガム、そのナルガを!ベインもここから動かないで周りに警戒して。君!その猫は君の怪我を治してくれるから大人しくしてて!」

 

 そういい残しレイムは…幻月の守人は走り去った。

 

 

 

 

 (何で私が…!これを着けてれば人間に襲われないんじゃなかったの!?)

 

 いつものように日陰で休んでいると突然遅いかかって来たのだ。番の行方も分からない。敵は8人で恐らく内3人は夫と戦っている。相手は筒のようなものを向けるとまた高速で何かを発射してきた。何とか避けて別の場所に逃げようとすると全身に衝撃が走り身動きがとれなくなる。

 

 「よしっかかった!麻酔弾を!」

 

 そしてすでにあった背中の傷に筒の先を向けられ、死を覚悟する。しかし私の体にかかったのは筒から放たれる塊ではなく人間の血だった。

 

 「うわああぁぁぁ!腕がぁぁぁ!」

 

 「何だおま──ガッ」

 

 突然現れた人間(?)は1人の腕を切り落とし、もう1人を蹴り飛ばした。その者の顔をみて心から安堵する。

 

 (助かった───)

 

 そして少し離れたところにいた2人は見えない尾棘に連続で撃たれたように血を飛ばしながらクネクネしてその後倒れ、その者はまるで同族のように紅い眼光を残しながら最後の一人を斬った。

 

 近づいてきて、

 

 「ちょっと待ってて、すぐに解除する。」

 

 体の痺れが無くなる。

 

 「あなた…あの時の…」

 

 「覚えててくれた?どうやらこいつらは叛逆者らしい。君の番も無事だ。こっちだ。」

 

 

 〇〇〇

 

 

 ユクモ村長「成る程、確かに我々人間にも責任がありますね。まぁ、ラン君も良いと言っているし、しばらく彼の農場に2匹を置いてやると良いでしょう。」

 

 「ありがとうございます。来て早々ごめんよラン。久しぶり。3年ぶりかな?随分成長したね。」

 

 「はい…でも嵐龍には敵わずこの有り様ですが…」

 

 嵐龍に返り討ちにされてから3週間、ほとんど怪我は治ったが、骨が完全に折れていた腕はまだ首から布で吊り下げられていて、肋骨と足首も完全には治ってない。

 

 「骨か。貸してみ。」

 

 「え?ちょっ…痛たたた!」

 

 掴まれそして…バリバリと紅い雷を腕に浴びせられると、痛みや骨折特有の違和感が消えた。  

 

 「あれ…治った…?」

 

 肋骨、足首も同じく。

 

 ゴン「レ、レイムさんって超能力者だったのか!?」

 

 「間違いではないね。骨折なら治せる。ただ…疲れた…」

 

 ラン(これが古龍の…。)

 

 その後村長にベインとレイムとランは呼ばれた。ちなみに後の二人はまだ傷が深く、レイムさんも完全には治せないらしいので呼ばれなかった。

 

 村長「嵐龍について話があります。」

 

 ベイン「前は散々でしたが、レイムさんがいれば大丈夫でしょうね。」

 

 レイム「でもただの討伐なら僕じゃなくても良いはず。」

 

 村長「その通り。私は嵐龍討伐へ向かうハンター様達のお役に立てればと、村に残された古い資料を見ていました。我がユクモ村は千年前の天罰の日の影響を受けずに残っていたのでかなり前の記録もあり、そこで私はあることに気づいたのです。」 

 

 ラン「あること?」

 

 「この村は数百年に1度嵐龍が霊峰に現れ、その度に当時のハンターが討伐していました。それによりユクモ村は嵐に巻き込まれずに済んだのですが、その数十年後にこの辺りで決まって干ばつが起きているのです。」

 

 ベイン「つまり嵐龍は恵みをもたらしていると?」

 

 「そう考えるべきでしょう。」

 

 レイム「なるほどね。だから僕を呼んだわけか。でも明日で良いかな、怪我を治すのは本当に疲れる…ギンガム、悪いけど例の件話しておいてくれる?僕は休む…」

 

 「ニャ!さっき迅竜を襲ったのはゲン国軍の奴等だったにゃ。8人中3人はレイムさんが殺して、5人は竜車に閉じ込めてあるニャ。」

 

 ゲン国とはかつてシュレイド国と手を組んで竜を絶滅させようとした国の1つだ。

 

 ベイン「あのナルガクルガはどうなったの?」

 

 「今はルーシーが診てるニャ。雄の方も、亜種の雌の方もそのお腹の子供も命や発育に別状はないらしいのニャ。」

 

 ラン「それは良かった。特にあのナルガクルガ亜種はやっと手に入れたんだもんな…」

 

 「雄はG級、雌も上位くらいの実力はあるニャ。体つきや刃翼をみればわかるニャ。亜種のほうは子供がいたからまだしも、あの雄を簡単にに追い詰めちゃうニャんて…嫌な予感しかしニャいニャ。」

 

 ベイン「これは胎生の竜の細かい生態を記録できる貴重な機会かもしれないでも産まれるより前に雄の傷が治ったらたぶん帰ってしまうなら巣に張り込むかそれともあのレイムさんに頼んで通訳してもらって…」

 

 サクラ「旦那さーん。帰って来てニャー。」

 

 

 

 

 ラン「レイムさん、大丈夫ですか?」

 

 レイム「あぁ。」

 

 「あの…キリンの討伐依頼申請ってありました?」

 

 「いや、僕の知る限りでは無いね。そもそもキリンなんて架空の存在って言われるほど人目に付かない生き物だから。」

 

 「ですよね…」

 

 

 そしてラン、ベイン、レイムは霊峰へ。そこにいるかどうかは嵐をみればわかる。頂上へ着けばやはり接近を分かっているのか嵐龍がこちらを見ていた。向こうが行動を起こす前にレイムが

 

 「出来れば戦いたくない。話を聞いてくれるかな。」

 

 と言えば少し距離を縮め、人語で

 

 「私(わたくし)になんの話があると言うのですか?」

 

 と言うので一行は驚いた。リンとは違い重く、深い女性の声だ。

 

 「人語を…まぁいいや。君はしばらくここにいるのかい?」

 

 「そのつもりですが?」

 

 「なら頼みがある。ここからそう遠くないところに人間の集落があるんだけど、そこに影響が及ばないように君の嵐の規模を小さくするか収めてほしい。移動するときは場所を教えるからそこを通らないようにしてほしいんだ。」

 

 「この力は強くすることはできても抑えるのは困難。しかし…そうですね、ある程度弱めることはできますから、それで人間たちが私に干渉しないでくれると言うのであらば隋力してみましょう。」

 

 ベイン「なるほど…自分の力を抑えられない竜もいるのか…これはおいしい…でもなんでしゃべれるの?それにしゃべれるなら私たちと戦ってる時もなにか言ってくれればよかったのに。」

 

 レイム「敵と話さない。それが普通だ。」

 

 「ふむふむ…竜は基本…いやあの迅竜たちが話しているなら親しい者あるいは同族としか話さないと…おいしいおいしい…」

 

 「母が異種族と話す能力をもっていたので私も人間とも意思疎通できます。ところで、あなたは何者なのですか?人間ではないようですが。」

 

 「そうだね…君と同じような存在って言っておこうかな。」

 

 「…まぁ良いでしょう。他に話はありますか?」

 

 「ない。ここには人が来ないように言っておこう。こう見えて地位はあるからね。それじゃあ。」

 

 ラン「ゲン国のこと、言った方が良いんじゃないですか?」

 

 「?」

 

 「あぁそうだった。この間、殺してはいけないと我々が定めた竜を我々になんの通告も無く殺そうとした者達がいた。僕らは君に手出しはしないけど、そいつらは来るかもしれない。念頭には置いておいてくれ。」

 

 「承知。」

 

 

──帰りの飛行船にて──

 

 ベイン「なんかこう、すごく圧倒されるような感じがしません?事実されたんですけど…」

 

 レイム「まぁ天候を操るような龍だからね。古龍にしては若い方だと思うけど。」

 

 ラン「すごい年寄りみたいな貫禄あったけど若いんだ…」

 

 ベイン「それでも案外物分かりが良くて安心しました。」

 

 「そうだね。1度君達が殺しに行ってるから警戒されると思ってたんどけど。天気も少し収まってるし。」

 

 「ほんとだ…」

 

 どしゃ降りだったのが本降り位になっている。

 

 ラン「生まれつきの厄災か…」

 

 

 

 私は厄災。移動するだけで多くの生き物が死ぬ。それにもきっと意味があることだと信じ、そして長い寿命の中でいつか同じ力をもち分かり合うことができる唯一の同族の異性と巡り会えることを信じて彷徨う。

 

 (あんな奇妙な者達と出逢うとは思わなかったが…)

 

 人間と、人間と竜の子と、そして明らかに両者とは違う存在の者。そして古龍の私。なんとも奇妙な絵面だ。だがこの生涯で話したことなど生まれてから数年経ち独り立ちするまでの親との会話しか無かったからか、とても新鮮でそのお陰か力の抑制が楽だった。

 

 (土砂崩れが彼らを潰さぬよう祈るとしましょう。)

 

 150年以上彷徨ったが同族なんて見かけない。母はよく私を産めたものだ。彼らは私には不干渉と言ってくれたことだし、ここに身を置くのも良いかもしれない。むしろ動かず向こうからやって来るのを待った方が可能性が高いかもしれない。

 

 そう思案しながら見飽きた雨雲を見上げ、何度も夢見た願望を抱くのだった。

 

 (いつか空を…星夜を…月を見てみたい…)

 

 しかしそれが叶うのは自らが死ぬ時だけということも知っていた。

 

  次回『紅龍、嵐龍を下し、

       白龍、これを祓(はら)う』へ続く。

 

 




 レイムがランの怪我を治すシーン。読み返してみたらまんまハガレンでしたね(汗)。私としては「未来の王と落ちこぼれ」のルークがシルバの傷を治すのと同じようなイメージだったんですが…。それと、アマツの技のいくつかはフロンティアの黒アマツから引っ張ってきましたが、この話のアマツの容姿は本家と同じという設定です。黒アマツの本気モードもかっこいいんですけどね。

 ちなみにルーシーとナタリーとエルグは私のモンハンのデータにいます。

 それではまた。
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