昔からホワイトデーにまっっったく縁が無いから完全に存在を忘れていたよ(白目)
当日になって思い出した後に忙しい中急いで書いたやつなので、めちゃくちゃ雑だと思います。誤字脱字も多いかも……。サブタイも思い付かなかったからバレンタイン回と同タイトル。手抜き感半端ない()
あ、それと今回はこっちでは初登場のオリキャラのリネットさんが出ます。
やったねリネット兄さん、外伝デビューだよ!!
リネ「名前だけは前回出たけど、こっちで登場する事は一生無いのかと思ってたからほんと安心したよ…!!改めましてラバックの兄、リネットです。こっちでも宜しくお願いしまーす!」
まぁあっちよりも出番少ないと思うけどね!
リネ「……それ気にしないようにしてたんだから言わないでくれないかな?」(半ギレ)
「どうしたもんかなぁー……」
詰所で同僚達がどよめく中、こめかみを押さえて一人唸る。
その悩みの原因は、目の前に積み上げられた包装箱の数々。この部屋は大人が何人も入っても窮屈さを感じさせないくらいには広いのだが、生憎ながらホイトデーである今日は、チョコを渡した覚えのない男共からも頂いてしまったこれらのおかげで少々狭い。
結果、この状況に驚いている同僚達も迷惑そうにしていて、俺はいたたまれない気持ちでいる。かといってエスデスと同室の俺は私室と呼べる部屋もないので、本当にどうすれば良いのやら……。
因みにその中身のほとんどは女性に人気のアクセサリーや宝石やらなんやらと、とにかく金に物を言わせたような物ばかり。
いやー、彼ら女性の心をわかってないね。女は金でどうにかなると思ってるなんて三流だよ三流。出直して来い。あと、もう何度も言ってる気がするけど、なんで女になってからモテるんだよ俺は。野郎共にモテても全然嬉しくないやい!
「なんか、いつの間にか凄い事になってるね……流石うちの妹」
「他人事かよ。このままじゃあんたも困るだろ。少しは手伝ってくれよ兄さん」
隣でボソリと呟いたリネット兄さんに文句を言う。
だが彼はそれを無視して、俺にダイニングルームへ来いと手招きしてきた。
「はい、僕からのお返しはこれだよ。でも他のみんなの分もあるから、一人で全部食べないでね」
兄さんからのホワイトデーの贈り物は、テーブルの上で皿に乗せられた大きなバームクーヘン。
ホワイトデーでのそれは、『あなたとの関係が続きますように』といった意味が込められていると、いつだったか前世で聞いた事がある。
それは兄さん自身も知っているようなのだが、偏見ながらもそういった知識に疎いと思っていた彼が自慢気に話すのが不思議に感じた俺は思わず尋ねてみた。
「兄さんがそういうの知ってるなんて意外だね。その知識どこで聞いたの?」
「ん?んーとね、よく行ってる書店で働いてるお姉さんから聞いたよー」
「よく行ってる書店…?おい、仕事探しはどうしたんだよ」
引っ掛かったところを復唱して、怪訝な表情を浮かべる。
俺達ナジェンダ軍の詰所に居座っているこいつは、住む条件として掃除や炊事などを任されているが、それを除けばただのニート。常に一文無しなので金はいつも俺が貸している状態だ。だから実家に帰る気がないなら仕事を探せと言って帝都の街を歩かせているのだが……。
「え?あっ!そ、それはそのぉ……」
「……ナンパしてないで真面目にやれよ兄さん」
「だからナンパじゃないってば!普通に談笑してただけ!バレンタインのお返しは何が良いのかなーって、一般女性の意見を聞いてみただけだよ!!」
ナンパした自覚がないのは事実らしいが、もはや言い訳でしかないし、それは意味を成さない。でもそれより言いたいのは、
「遠回しにナジェンダさんからは一般的な女性の意見は聞けないって言うなよ。本人に聞かれたら殺されるぞあんた」
「ごめんなさいなんでもないです、お願いですから彼女には何も言わないで下さい」
矢継ぎ早に謝ってきたが俺に言われても困るわ。
そんな時、ノックも無しにドアが開いた。
「おー、居た居た……って、リネットの兄ちゃんも居んのか」
「あ、シュラさんいらっしゃい。ラバにナンパする気なら今すぐ帰ってね」
「へいへい、今回はそいつにちょっと用があるだけだから心配すんなシスコン」
我が物顔で勝手に入ってきたシュラにごく自然に牽制する兄さんだが、すんなりといなされる。
「俺に用ってなんだよ。しょーもねぇ事だったらそこの窓から帰って貰うぞ」
「客に窓から飛び降りろってかこの野郎」
「お客さんならもう少し行儀良くしようよ大臣の息子さん。マナーくらいは守って」
要するにノックくらいはしろよと訴えてる兄さん。でも親がアレだからその息子にマナーなんて期待出来ないのは今に始まった事ではないので俺とシュラは何も言わない。
「……ん」
「あ?なんだそれ?」
急に差し出された簡素な小袋。紙で出来ているそれは中身が見えない。
「……今日ホワイトデーだろ」
「え!?ラバ、シュラさんにもチョコあげてたの…?」
「おいそこのシスコン、勘違いすんな。こいつには余りもん押し付けただけだ。つまりあれは義理以下」
「あ、そうなの?なぁんだ、びっくりしたー!」
「義理以下ってなんだよそれ、初めて聞いたぞ。あとお前はホッとすんな!」
嫉妬するシスコンとあくまで押し付けただけだと否定する俺をツッコむシュラ。
こんな調子では話が進まない為、とりあえず中身を確認してみるかと俺はシュラの許可も取らずに無言で袋を開封した。
「……なんだこれ?」
「宝石?」
掌へと転がすようにして袋から出てきたのは、透き通った赤色の丸い何かが三つ。宝石にも似ているそれを見ていた兄さんと共に疑問府を浮かべる。
「チョコなんかの礼に宝石なんてやるわけねぇだろ。それはただの飴だ」
「「飴!!?」」
思わず声を上げた俺達に、驚いたシュラがビクリと肩を揺らす。
「な、なんだよ…?文句なら聞かねぇぞ」
「い、いや、文句っつーか、その……。なぁ、一応聞くけど、これって何味だ?」
「あ?見りゃわかるだろ。お前の好み知らねぇから一番無難なイチゴだ」
ホワイトデーに贈るイチゴ味の飴。その意味は『恋』『結婚』『子孫繁栄』など。飴自体には本命の意味もあるのだが、味によって少し異なり、イチゴ味は特にその意味が強いらしい。
前世でナジェンダさんに恋していた俺は、チョコを貰えずともさりげなくホワイトデーに飴を贈っていた……が。ナジェンダさんがこの意味を知っていたら、告白も出来ないままフラれて今の関係が壊れるかもしれないと恐れた臆病者の俺はいつもイチゴ味を渡せず、結局『運命の人』の意味を持つリンゴ味を贈っていた。
その結果もし彼女が知っていたとしても、ナジェンダさんからしたら『俺の人生を変えた運命の人』という意味で受け取っていたと思うので、『運命の赤い糸』という意味で渡した俺の気持ちには一切気付いて貰えてなかっただろうなと容易に想像出来てしまうのはちょっと悲しい。
とまぁ俺がそんな苦い思い出を持っているとは露知らず、こいつはその意味を知ってか知らずにか、俺に堂々とイチゴ味の飴を渡してきやがったのだ。
「イ、イチゴ味…!?き、君、僕の前でそんな堂々と…いや僕の前じゃなくても……!!」
「……兄さん、動揺するのはわかるけど一旦黙れ」
過剰に反応して騒ぐ兄のおかげで少し冷静になった俺は、彼を黙らせる為に飴の一つを口に押し込む。
「ダンナ、もう一個聞かせてくれ。あんたは特に何も考えずにこれを選んだんだな?」
「だからそうだっつったろ。それ以外に何かあんのか?」
「……いや、何も知らないなら良い」
「?」
知らずに渡してきたとわかってホッとした反面、変に意識してしまったこっちが恥ずかしくなった。
「ほんと、こういうのってややこしくて面倒だな……」
ホワイトデーはバレンタインよりも面倒なイベントなんだな、と改めて実感した俺は飴を自分の口に放り込んで、世の中の意識が高い女性を相手にするシュラを含んだ無知な男達を哀れに思いながら口内に広がる甘いイチゴの味と香りを堪能するのだった。
本文に出てきたホワイトデーの贈り物の意味は急いで調べた作者のにわか知識です()
でもシュラさんはそういうのに興味なさそうだから、豪華なチョコを渡してきた女性には高価な物を贈るけど、バレンタイン回でラバが渡した貧相なチョコのお返しには無難な飴を渡すと思うんだ。
それで逆に意識の高いラバックは詳しそうだから変に意識して困っちゃえば良い((