四次元ポケットを手に入れて異世界へ行ってきます! 作:TNKエース
ブルーワーズ
さて、原作と違い三日月達もイサリビに乗って歳星を出た。
フミタンの裏切り通信ログは既に手に入れて、
後はブルーワーズが襲ってくるのを待つのみである。
ああ、そうそう。メリビットさんは原作通りにイサリビに行って鉄華団の華になっているな。
ジーっ
俺はパイロットスーツのジッパーを閉めてヘルメットを着用する。
これから昭弘と哨戒である。
途中でタカキも一緒に行くので、今回はルーラーではなく、ルシファーでタカキと一緒に行く事にした。
「すみません。無理言って付き合ってもらって」
「ダイジョーブ。ダイジョーブ。しかしどうしたんだ?」
「実は……」
タカキは妹を学校に行かせたい。その為にもっと稼ぐ為に色々と仕事を覚えようと息巻いていたが、
「頑張るのは良いけど、無茶はするなよ。
お前さんが死んだら妹さんが悲しむしな」
「あっ、はい!」
「妹…か」
カイトの言葉に昭弘は呟く。
「何だ?昭弘。話したい事があるなら聞くけど?」
カイトは知ってはいるが聞いてみる。
「……誰にも話したこと無ぇんだけどな
俺にも弟がいたんだ。
名前は昌弘。商戦を経営する家族と一緒にあちこちわたりあるいてた。
けど、ある時海賊の襲撃で大人達は皆殺し……俺の両親もその時に…
それから俺達はヒューマンデブリとしてゴミみたいな値段で売られバラバラになった。
それっきり昌弘とは会ってねぇ。
もう生きちゃいねえだろうさ…」
「そんな!こうやって仕事していればいつか会えますよ!」
「ああ。そうだな」
「フッ、だと良いんだが」
そうしていると、ルシファーのセンサーが鳴り響く。
「エイハブ粒子反応!1…2…3機が接近中!更に後方から3機が接近中!
機種判別!ロディ・フレームが5機とガンダム・グシオン!?」
通信を受けたイサリビとムサシでは戦闘準備を進めていた。
「ブリッジ遮蔽!対MS戦闘用意!」
「了解。ブリッジ遮蔽します」
ブライトの命令に各員がテキパキ動いて戦闘準備を終わらせる。
「アムロ!出れるか!?」
「問題ない!」
「こちらもすぐに出れる」
「イサリビの方はどうだ?」
「MS出撃まで後二分程かかるそうです」
「ならばアムロとシャアを先行させて昭弘とカイトの援護に回してやれ!他の機体も順次出撃させろ!」
「了解」
カタパルトではνガンダムOとバリスティックザクが出撃態勢に入る。
「アムロ!νガンダムO出撃るぞ!」
「シャア・アズナブル。バリスティックザク。出撃る!」
最初にνガンダムOとバリスティックザクが飛び出し、少し遅れてからバルバトスもイサリビから飛び出す。
そして残りの機体は船の守りについた。
そして前線では、
「行け!Aビット!」
カイトはルシファー専用装備のAビットを射出して前方の3機に向かって飛ばさせる。
カイト自身は脳量子波を持たないので完全な機械任せなのでピクサー達に比べると動きに精彩ご欠ける。
だが、それでも自由自在に動くAビットにマン・ロディに乗る少年達は驚き頭部とスラスターを破壊される。
「よし!昭弘!後続の奴等が来る前に撤退するぞ!」
「分かった!」
カイト達はスラスターを吹かして、後方の仲間と合流しようとするが、
「ナメんじゃ無いわよぉ!!」
後方にいたグシオンが一気に近づきながらグシオンハンマーでルシファーを叩いてきた。
カイトは予想を上回る速度のグシオンに左腕に備えたシールドで防ぐも、シールドは左腕毎ハンマーに潰され、胴体にまでハンマーが届く。
「ぐぅ!」
「うわああああぁぁぁ!!」
衝撃はコクピットの中にまで響き、カイトとタカキもダメージを受ける。
「こんのぉっ!カマ野郎がぁ!!」
ルシファーはグシオンに蹴りをかまして距離を取る。
「無事か。タカキ!」
「……………」
カイトはタカキを見ると気を失っているタカキを見た。
「ちぃ!」
カイトはこのままでは負荷の大きな動きは出来ないと判断して、プランBをする事にした。
それは
「昭弘、先に逃げろ!」
『だけど!』
「早く!」
カイトの言葉に昭弘は後退し、イサリビに向かい、カイトは別の方向へと逃げ出す。
『逃がさないわよぉ!!』
グシオンはオニクスには目もくれずにルシファーへと向かい機体と命を奪おうとハンマーを振るう。
ルシファーはそれを避けながらAビットで攻撃していくが、グシオンの分厚い装甲に僅かにキズをつける程度のダメージしか与えられない。
だが、しかしそれ故にクダルは気づかなかった。自らの機体に絡まりつく極細の糸を、
暫く回避して、回避し続けて行くとクダルの苛立ちは最高潮まで高まった。
「さっさと死にサラセェ!!」
グシオンハンマーによる力任せの一撃をぶつけようとすると、急に機体が動かなくなる。
最初は整備不良かとおもったが、直後に背部から衝撃が走る。
増援?と思い後方のカメラを作動させると、
岩が有った。
「は?」
クダルは何故と思っていると更に衝撃が続けて走る。
いくらエイハブリアクターの慣性制御でもこれだけの衝撃は流石に消しきれなくクダルの身体と脳にダメージを与えて行く。
気づけば機体は岩やデブリに囲まれておりグシオンは動けない状況に陥ってしまう。
更にはルシファーの指からトリモチが大量に射出され、デブリを包み込む様に絡まっていく。
どうしてこうなった?と思いながらクダルは頭を抱えていた。
それから十分後。
カイトはムサシに戻り、タカキの治療を命じた。
そして鹵獲したマン・ロディに乗っていた少年達を保護し、グシオンの内部にいるクダルをグシオンから引きずり出す作業を始めた。
動けないグシオンのコクピット周りのデブリを片付けるとカイトは警備班と自分だけをグシオンの周りに集めさせる。
有線で繋いだケーブルからの信号で、
コクピットが開くと同時にクダルが猛スピードで近くにいる者を人質にしようと飛び出すもコクピット付近には誰もおらず、近くには、般若面の男般若と傷だらけのマッチョ式尉、刃物を持った青紫、そしてカイトがいた。
クダルは一番弱そうなカイトを人質にしようとナイフをとりだして駆ける。
が、その企みは
「オラァ!」
「ぶへりぁ!」
カイトのパワー手袋をつけたパンチ一発で微塵に砕かれる。
殴られたクダルはグシオンの装甲とキスをして、気絶した。
クダルの分析眼は正しかった。ただ、カイトがチートで強いとは思っていなかっただけで、
余りにも呆気なさに、カイトは雑魚いと言い放ち、
それを見ていた子供達は、あんなに恐ろしかったクダルをワンパンで倒したカイトを恐れ、尊敬した。
とりあえず、両手足を拘束してボコっておいてから、タカキの様子を見に行った。
タカキは脳震盪で気を失っていただけのようだ。
そしてカイトは、襲ってきたブルーワーズ対策と言うよりケジメだろうか。
その為に、名瀬やオルガと話をする事にしにハンマーヘッドへとやってきた。
「ブルーワーズねぇ」
名瀬はカイトから告げられた組織の名を聞いて溜息をつく。
「悪いな。偉そうな事言っときながら、宇宙海賊なんぞに絡まれてこのザマだ」
「よしてくれ、兄貴。道理の分からねえチンピラが売ってきた、安いケンカだ」
「ああ、捕虜にしたクソ野郎に聞くと、向こうはクーデリアを手に入れたらギャラルホルンの後ろ盾を手に入れられると思っていたようだ。
俺は寧ろ、クーデリア共々殲滅させられると思うがな」
カイトはやれやれと溜息をつく。
「で?やっこさんの居場所は?」
「デブリ地帯の……この辺らしい」
カイトは手に持っていた端末を操作してブルーワーズの船の居場所を表示する。
「へぇ
で、どうするよ」
「オルガ、どうする?」
「安いケンカだが、舐められっぱなしってのも面白くねぇ」
「「同感だ」」
「じゃあ、イッチョ、俺達の道理ってのを教えてやろうじゃねえか」
「まあ、俺は出撃出来ないがな」
「「え?」」
カイトの発言に二人は疑問を抱く。
「ルシファー、壊したから今回はピクサーにルーラーを貸す事になっててな。
今回は別件で動く。まぁ詳しくはブリーフィングルームで話そう」
ブリーフィングルームにて
タービンズからは名瀬とアミダとエーコ。
鉄華団からは三日月と昭弘とオルガとビスケットとクーデリア。
マーチウインドからはパイロットメンバーと艦長のブライトがいた。
「現在、我々が居る場所が、此処。
そしてブルーワーズの船が有る部分が此処だ」
カイトは画面に映し出された航路図の自分達の場所と敵の場所に◯を付ける。
「デブリ帯か、ウチの航路の真正面だな」
「ああ、グシオンのパイロットから聞いた(尋問した)話だと、チョビヒゲのオヤジからの依頼でクーデリア嬢の身柄をギャラルホルンに引き渡す事で資金と後ろ盾を得る話だったそうだ。
航路とクーデリアの情報もそこから得たと言っている」
「そこでアイツ等はテイワズをも恐れずにケンカをふっかけてて来たって訳か」
「ああ。だけど…」
「MSを6機、内1機はエースの機体だ。
それを此方が鹵獲した。
そこで……」
カイトは画面に6つのマークを表示する。
「鹵獲したマン・ロディとグシオンを使って奇襲をかける!」
「パイロットは?」
「それに関しては大丈夫だ。
ウチの爺さん達が極々単純な動き程度は出来るプログラムをマン・ロディに積み込んで居る。
そこで仲間と思っていた ブルーワーズを強襲用移動装置を付けたMS隊でMSが出てくる前に兵装と格納庫を破壊して、降伏勧告をして終わりって話だ」
「済まんが、強襲用移動装置ってのは何だ?」
カイトの戦術は分かりやすくはしているが、固有名詞が出て皆がカイトを見る。
「ああ、これだ」
カイトは端末を操作して新しい画面を表示する。
表示されるのはバイクの様な形状の機体だ。
「機体名ギガライダー。最大二機のMSを長距離運ぶ為のサブフライトシステムだ。
これが現在3機有る
これに、百錬が2機
νガンダムOとバリスティックザク
ルーラーと流星号を載せる。
残った機体はバルバトスはクタン三式に、百里とハスターは単独で飛べる為無しだ」
「そこで昭弘。お前に頼みが有る」
カイトはグシオンのデータを取り出す。
「グシオンに乗ってくれないか?」
「俺が…か?」
カイトの言葉に昭弘は困惑している。
「ああ、グシオンだけはシステムが特殊すぎてな、手動でしか動かせないんだ」
「……分かった」
昭弘は頷く。
「それじゃあ作戦会議は終了だ。
作戦まで英気を養ってくれ」
カイトの宣言に皆が椅子から立ち上がり部屋から出ようとすると
「ああ、昭弘!」
「?何だ?」
「ちょっと来てくれ。会わせたい奴が居るんだ」
カイトの言葉に昭弘は只々着いて行くだけだった。
食堂にて、
アストンや昌弘、ペドロ達ヒューマンデブリと呼ばれる子供達はムサシの食堂にてカレーを貪り食べていた。
「美味え!美味えよ!」
「泣くなよペドロ」
「だってよぉ」
「お代わり!」
ヒューマンデブリとして長い年月を生きていた彼等にとって食事とは最低限のエネルギー補給でしかなかった。
カイトがクダルを殴った後、彼等は生活班のメンバーに連れられて初めてと言っていい風呂に入り、身を綺麗にしてから清潔なシャツとズボンに着替えさせられ、食堂に連れてこられた。
そして、今日の夕飯であるカレーを出されて、最初は見た目から忌避をしていたが、芳しい香りに負けて恐る恐る一口食べると、
彼等の口の中は初めての味に爆発したかの様な衝撃を受けた。
最初に来たのは辛味だ。
只辛いのでは無く。10種類の厳選されたスパイスが織りなす重層な辛さが彼等の思考を支配する。
そして次に旨味。
牛骨と牛肉を惜しみなく使用して煮出されたスープは肉を食べた事の無い彼等の本能を刺激して肉!と確信させてしまう。
そして最後に甘みと僅かな酸味、トマトをオーブンでじっくりと取り出した水分と牛骨スープと共に煮出された玉ねぎ、人参、セロリ、各種ハーブ等とキツネ色迄炒まったら玉ねぎのたっぷりと入った故の程よい甘さが辛味で麻痺した舌を潤し、再びカレーの辛さを引き立てる呼び水になる無限ループに陥る。
その結果が更に付いた米粒一粒、ルーの一滴すらも残さないぐらいに貪り食べる。
彼等が食べ終わる頃には、皆食べ過ぎて心地よい苦しみでお腹を摩り、
「俺、もう死んでも良い」だとか「罰が当たるんじゃ無いのか」と思わせる程の幸せを噛み締めていた。
「ま……まさ…ひろ?」
「えっ?」
聞いた事の無い、だけど懐かしい声が自分の名前を呼び、昌弘は声のした方へと顔を向ける。
其処には、
「あ…兄貴」
「昌弘ぉ〜!!」
昭弘は食堂を走り、昌弘に向かっていく。
昭弘を連れてきたカイトは「御涙頂戴は苦手なんでね」と言い残し「柊カイトはクールに去るぜ」
と他の子達を連れて談話室へと向かった。
この後、二人は原作とは違い、多少の言い争いは有っても直ぐに和解した。
さて、それから数時間後、
修理されたグシオンに昭弘は乗り込み、作戦の最終確認をし始める。
作戦はブリーフィングルームで行った通りに昭弘がグシオンで奇襲を仕掛け、混乱している隙に他のメンバーが攻撃を仕掛ける。
そして、MSと船の武装を破壊しての降伏勧告。
これを受け入れない場合はカイトに名案が有るとの話だ。
『時間です。出撃をお願いします』
「応っ!昭弘・オルトランド!グシオン出るぞ!」
カタパルトからグシオンが勢いよく射出され、ムサシからマン・ロディが飛び出して、グシオンに追従していく。
「これで、無人か。凄えな」
昭弘は、追従するマン・ロディを見ながら、機体をブルーワーズの船へと向かわせていく。
さて、その頃。名瀬は相手の油断を誘う一手として、ブルーワーズのリーダーブルック・カヤバンに連絡を入れていた。
まぁ、名瀬の予想通りにクーデリアの身柄を引き渡せば見逃してやる。と尊大に振る舞っていった。
「さてと、アミダ。準備を頼む」
「あいよ」
彼等は準備を進めていく。
ブルーワーズの居る暗礁地帯
斥候のマン・ロディがグシオンと味方のマン・ロディを見つけ、旗艦へと連絡を入れる。
それを受けたブルック・カヤバンは違和感を感じるが、クダルに関する信頼が違和感を頭から消してしまう。
もしもその違和感を信じていれば、何かが変わっていたのかもしれないのに。
「アレか」
昭弘はブルーワーズの船を目視で見える程接近し、着艦する迄あと少しといったところでハンマーを取り出し、船の武装を攻撃した。
『なっ!?』
そして、追従するマン・ロディはグシオンとは反対方向へと向かい、統制のとれた射撃で武装を破壊していく。
『おい!クダル!テメェどういうつもりだ!!』
昭弘は怒れるブルック・カヤバンの声を無視して、今度は格納庫からMSが出れない様に破壊していく。
そして、騎兵隊がやってくる。
「鉄華団参上だぁ!!」
ギガライダーに乗った流星号がバズーカーを片手に激しく騒ぐ。
「総員!直ぐに終わらせるぞ!」
「「「「了解!」」」」
後部座席に当たる部分に乗っていた流星号、クライシス、アミダの百錬が飛び出して、ラフタの百里と三日月のバルバトスも戦闘態勢に入る。
戦いは数分で終わった。
MSも出せずに混乱しているブルーワーズの面々は大した反撃もなく、全ての兵装を壊されただ喚くだけのブルック・カヤバンをボコボコにしてテイワズの怒りをブルック・カヤバンに向ける様にしていた。
その後の慰謝料請求もスムーズに終わった。
テイワズの怒りを買いたく無いブルーワーズの幹部が土下座をして終わらせた。
因みに慰謝料自体は原作と変わりが無かったが、子供達の数だけが違っていた。
その数三十八名。昌弘達も入れると四十三名である。
よくもまあこれだけの子供達を
と、カイトは思う。
子供達は格納庫の中心で大人しくしていた。
「ダンテ!これで全部か?」
「ああ、団長。こいつら……」
オルガはダンテの肩を軽く叩くと、子供達の前に立ち、膝を下ろし目線を合わせる。
「火星はいい所でもないが、ここよりはましだぜ?」
子供達はオルガの言葉に?状態である。
「本部の経営も安定してきたしなぁ、メシにもスープがつく」
子供達はオルガの言っている言葉を理解できていない。ただ一人ダンテだけが、それを理解できた。
「団長………」
「兄貴に話はつけてある。こいつらはウチで預かる!」
預かる?どういう事だ?と子供達はザワザワと騒めく。
「どうして………?」
「ん?」
「俺達はヒューマンデブリ。ゴミの様な値段で売られて、ボロボロになるまで酷使されて、役に立たなくなったらゴミの様に捨てられていく」
「違うな」
オルガは立ち上がると、子供達の視線は自然とオルガに集まっていく。
「今日まで過酷な世界で生きてきたお前らは、宇宙で生まれ、宇宙で散る事を恐れない、誇り高き選ばれた奴らだ!」
「鉄華団はお前達を歓迎するぜ」
「団長。恩に着るぜ………!」
『ヒューマンデブリ』と呼ばれる鎖から解き放たれた彼等を抑えるモノは何もない。
彼等は悲しみ、苦しみ、仲間を失っていった悔しさを全て涙として流していく。
其処には全てを諦めたヒューマンデブリは居らず、只々泣き噦る年頃の子供達がいた。
「……でだ、葬式をしようと思う」
「何言ってんすか?」
カイトの突如の提案に集まった面々は困惑する。
「イヤ…な、ブルーワーズの所為で死んでいった子供達と別れの挨拶をさせてあげたいと思ってな」
「良いですね」
「同じく」
カイトの提案に乗り気ではないオルガもメリビットと名瀬の賛成の言葉に渋々頷くしか出来なかった。
「葬式ってのは、昔は重要なもんだって話だぜ。
葬式を挙げる事で死者の魂が生きていた頃の苦痛を忘れる。って話もある」
名瀬の説明を受けても、鉄華団の面々は今一ピンとこない。
「それに葬式ってのは一種の別れの挨拶だ。
死者に別れの挨拶をして、生者は明日へと足を進める事が出来る」
カイトはそう言うと「まっ、1つの区切りみたいなもんだ」
と軽く言い放つ。
オルガもその説明で葬式をやる事に賛成の意を表明する。
それから翌日。
ムサシの甲板には新しく鉄華団に入った元ヒューマンデブリの子供達や、鉄華団・マーチウインドの面々が柩に思い思いの品を入れていく。
ある者は栄養バーを、ある者は使用していた銃を、ある者はオモチャを、ある者は金を、ある者は酒を、思い思いの品を彼等は柩に詰め込んでいく。
そして、タイラーが宇宙服の上から袈裟を羽織ってやってくる。
「それではこれより葬式を始めさせていただきます」
何時ものおちゃらけた雰囲気ではなく厳かな雰囲気をさもしだすタイラー。
そして静かに念仏を唱えていく。
タイラーの念仏に続く様に皆が様々な方法で死者に祈りを捧げていく。
ある者は手を合わせ、ある者は十字架を構え、ある者は黙祷を、ある者は掌を合わせて祈っていく。
カイトはそんな中、生活班の面々に頼んで作ってもらった紙の花と花束を宇宙に浮かばせていく。
皆が祈り終わり、カイトも艦内へ戻ろうとする。
そうしていると
『ありがとう』
カイトは後ろを振り向くが、誰も居ない。
幻聴なのかと思ったが、
奇跡もあるんだなと思い、「どういたしまして」と言い残し、艦内へと戻っていった。
次回はエロ閑話してからドルトコロニー編です。