四次元ポケットを手に入れて異世界へ行ってきます! 作:TNKエース
南の島で
地球へ無事に降り立った鉄華団とマーチウインド。彼等は予定通りにオセアニア連邦所有のミレニアム島へ降り立つ。
原作では降下艇から荷運びをしていたが、地球でもこの降下艇を使う為に少数の人数で島へと降り立つ。
「此処が地球か……」
オルガは感慨深そうに辺りを見渡す。
「見ろよ。あそこで出待ちをしている奴がいるぜ」
オルガはカイトが指差した方向を見てみると一人の老人が木の陰に隠れていた。
「フォッフォッフォッ、散歩しておってらお主等を見つけての」
老人は影から現れる。
「儂の名は蒔苗東護之介。鉄華団とマーチウインド。そしてクーデリア・藍那・バーンスタイン。お主達の会いたかった人物じゃよ」
地球衛星軌道にて、
ガエリオの搭乗するハーフビーク級の医務室では、メディカルポットの中で治療されているアインと、それを見守るガエリオがいた。
ドンっ!
ガエリオは医務室の窓を叩く。
あの時、自分が躊躇していなければ、このような事にはならなかったのに、
そのせいでアインに二度と戦えるどころか動く事も出来なくしてしまった。
内臓の半分以上が機能不全、出血多量による脳への酸素不足、左足と左手に至っては切断。
医者には延命どころか今生きている事自体が奇跡だと言われた。
そして、機械的、工学的処置を施したとしても長くは持たない。
「クソっ!」
ガエリオはもう一度窓を叩く。
もう、どうにもならないのか…と、
意気消沈しながらブリッジに戻ると、部下からマクギリスから連絡があると言われ、通信に出る。
そして、彼は通信に出ると親友の口から信じられない言葉が出た。
「阿頼耶識だと!マクギリス!お前はアインをバケモノにするつもりか!?」
「だが、此方が得た情報では、彼の命は風前のともし火、
ならば上官の仇をうたせられるようにするべきだと私は思うが」
ガエリオは確かに、と思う。
延命処置を施したとしてもアインは……
ならば一縷の望みにかけるしかない。
ガエリオは親友にアインの事を頼んだ。
さて、その頃ミレニアム島では
ガヤガヤ、
鉄華団もマーチウインドの面々がミレニアム島にある古い空港で食事を取っていた。
本日のメニューは蒔苗の秘書が持って来てくれた魚を使ったシーフードフライのタルタルソース添えだ。
タービンズやマーチウインドの面々はともかく、昭弘達鉄華団の面々は揚げ油の香ばしい匂いに誘われて、恐る恐るフライを口にする。
「………美味え………」
最初に来るのは揚げ油でカラリと揚がった衣だ。
サクサクとした食感に歯が驚き、
次いで、来るのは魚のフンワリとした食感だ。
最後に来るのは魚自身の旨味、外洋を旅し続けた魚達の感じた事のない旨味が、火星育ちの彼等の口内で暴れまくる。
シノは横に添えられているタルタルソースを乗せてもう一口頬張る
「美味え〜〜!!」
タルタルソースのお陰で、より味が深まるシーフードフライ。
シノはガツガツと食べて
「お代わりぃ!!」
と皿を高く掲げる。
三日月もまた、美味しそうにシーフードフライを食べていた。
そして、カイト達は
「よう来なさった。待ちわびておったぞ」
蒔苗の眼は原作の好々爺としたものではなく鋭い政治家の眼でクーデリアとカイトを見据えていた。
「蒔苗さん。早速だが「オルガ団長。今の蒔苗氏は失脚し亡命の身だ」
カイトの言葉に蒔苗は片眉を上げる。
「はぁっ?つまり、俺たちは何の権力も持っていない爺さんに会いに此処まで来たってのか!?」
「オルガっ!!」
「良い良い。しかし、お主なかなか良い耳を持っておるの」
「それはどうも」
蒔苗の威圧にも柳の風と言わんばかりに流すカイト。
「今現在、我々の情報では地球外縁…………セブンスターズのカルタ・イシュー一佐がオセアニア連邦の許可を待たずに……現地時間の早朝にでも攻撃を仕掛けて来ます。
そちらの目的はアーブラウでの再選。それも到着すれば十中八九当選する……」
流石の蒔苗もカイトの情報の広さに驚きを隠せなかった。
「柊…カイト…とじゃったな。お主…一体何者だ?」
蒔苗の言葉にカイトは軽く微笑み、
「未来を改革したいチート野郎ですよ」
と言った。
会談が終わり、深夜零時を境に島を出る事にした鉄華団とマーチウインド。
全員が忙しなく動き、MSの重力圏内仕様のセッティングも終えた。
後は、此処を出るだけだった。
そんな中鉄華団はオセアニア連邦に保護されたユージン達と連絡を取っていた。
『つまりは、その蒔苗って爺さんをアーブラウまで連れて行くってのをカイトが勝手に決めちまったのか』
「ああ、まあ俺も今回の件を受けようとは思っていたから、渡りに船だったんだけどな」
「そうか……ああ、そうそうビスケットにメールだ」
ビスケットは俺に?と呟くと、端末からメールを受け取る。
差出人は、
「………兄さん」
ドルトコロニーで別れたきりの兄からのメールが届いた。
ビスケットはメールを開く。
【ビスケットへ
元気にしているか?まあこの前会ってから数日も経ってもいないけどな。
ドルトの方は平和になったよ。
何処からか流出したのか、役員の不正の証拠や会社ぐるみの横領行為が世間にバレて、そのドサクサに紛れての話し合いでナボナさん達労働者の待遇は地球と同じ、しかも住居も新しく一新される予定だ。
まあ、その分不正をした人間はひどい事になったが、
しかも其奴が、俺の義父
ボ ル ド ー ・ カ ヌ ー レだったんだよ!
お陰で俺も会社をクビになってしまい。今はナボナさんのところで世話になっている。
クーデリアを狙った罰かな?】
メールは此処で途切れていた。
ビスケットはハハッと苦笑い。
もしも今回の件が終わったら兄を婆ちゃんの家に連れて帰ろうかな……と頭の片隅で考えてしまうビスケットであった。
翌日の正午
ミレニアム島の近海では多数の艦艇が並び、島を半包囲していた。
部隊の指揮をとるのはコーリス・ステンジャー
この世界ではカイトの手によって殺されたオーリス・ステンジャーの実兄で、弟の仇を取ろうと意気揚々であった。
「敵部隊展開!降伏勧告も受け付けません!」
「宜しい。ならば攻撃開始!」
「了解!全艦砲撃開始!」
コーリスの指揮する艦隊は出現した敵機体に砲撃を仕掛ける。
敵機は避けながら疎らに射砲撃を繰り返していくだけだ。
「フンっ!ド素人供めが!戦いのセオリーと言うものを知らないようだな!」
コーリスは当たらない攻撃を笑いながら見ていた。
裏手ではMWと白兵戦に優れた部隊がもうすぐ蒔苗の住む屋敷へと到着する。
そして本命も……成層圏を飛び越えてこのミレニアム島へと向かっている。
ピンクの機体が上空からの射撃を回避する。
「来たか」
大気圏を突入するカルタとカルタの率いる精鋭部隊のグレイズの強化型グレイズリッターを駆る。
「空での借りを返してあげるわ!」
そして散発的に放たれる攻撃を回避しながら彼らは降り立つ。
「我ら!地球外縁軌道統制統合艦隊ッ!!」
「「「「「「面壁九年!! 堅牢堅固ッ!!」」」」」」
パチっパチっパチっパチっ
名乗りを上げている最中の攻撃、攻撃は豆鉄砲だが、それでも名乗りを邪魔されてカルタ達は怒る。
「何と、無作法なぁ!!」
カルタは動きの鈍いガンダムフレームもどきを相手として選び、ナイトブレードでガンダムフレームもどきを斬り………
スカッ!
「なっ!?」
さけなかった。
ブンっ!ブンっ!
スカッ!スカッ!
剣を振るうも剣は当たる事もなくすり抜ける。
「立体…映像?」
「カルタ様!こちらの敵も立体映像です!」
「なん……だと?」
カルタは驚く。
「我々は騙されていたのか……」
十秒ほどカルタは黙っていたが、
「……せ」
「?」
「探せっ!こういった小細工をするという事は時間を稼ぎたいという事!つまりはまだ遠くに行ってはいない!探せ!探すのだ!!」
「「「「はっ!」」」」
だが隊員の懸命の捜索も虚しく、何も手がかりを得ることは出来なかった。
答えは戦わない。
戦わなければ死にはしない。
次回は鉄血第一期の最後を前後編でやる予定。
予定では主人公VSガエリオとなっています。
尚、作中の会社の不正行為の違いはカイトの仕込みです。
そして、サヴァラン人生のクビから会社のクビへとランクダウンしました。
義父のボルドーと言う名は、菓子のカヌレの正式名称から