四次元ポケットを手に入れて異世界へ行ってきます! 作:TNKエース
柊商会
三日月が敵のガルム・ロディを二機破壊した直後、
ルーラーは敵の前に音も無く降り立った。
『警告する』
カイトは警告を促すが、帰ってきたのは鉛玉の雨だ。
『へっ、素手で来るなんて馬鹿な野郎だ!』
『機体をベコベコにして、中身を引き摺り下ろしてやるぜ!』
海賊達はサブマシンガンを乱射するが、
ルーラーは背中の翼を巧みに操りそれを避けていく。
「素手?それは誤解だな」
ルーラーは左腕を動かすと、
「雷鞭剣」
左腕の手首にある小さな穴から流体金属は射出される。
「フンっ!」
そしてカイトは其れを振るう。
ルーラーの放った鞭剣は音の速度で二機のガルム・ロディの胴体をを引き裂き三機目のガルム・ロディの左腕を破壊したところで動きを止める。
「このっ!」
海賊は鞭剣を掴み、ルーラーの動きを止めようとするが、
「無駄だ」
カイトはボタンを押し、鞭剣から電撃が放たれる。
損傷部から過剰な程の電撃が入り込み、コクピット毎海賊を焼いてしまう。
哀れな海賊はローストとなり命を落とす。
『てった…撤退だ!信号弾を撃て!」
そう言って海賊達は下がっていく。
信号弾を見た残りの海賊達も次々と撤退していく。
「逃すか!」
シノ達は追撃をしようとしたが、
ガギンっ!ガシャン!
撤退するガルム・ロディの何機かが転倒し、動かなくなる。
「こちら、マーチウインド第三小隊隊長ライガット・マックスだ。
逃走する敵の一部を無力化した。確保を頼む」
「あ……ああ」
声はすれど姿は見えない。そんな状況にシノは少しだけ混乱した。
野戦陣地では鉄華団、マーチウインドの団員が忙しなく動いている。
「癋見のおっさん!こいつを見てくれよ!」
「分かった。すぐに見てやるから待っていろ!」
慣れた手つきで団員の治療を施しながら、癋見は無傷の団員に指示を出す。
何故、御庭番衆の癋見が治療行為をしているのか?
それは、元の世界に帰った時の為のスキルアップの為だ。
今はまだ半ば戦乱の世だが、いずれ平穏になる。
そうすればまた、自分たちの居場所は無くなってしまう。
しかし、カイトの提案で御庭番衆の面々は様々なスキルを手に入れた。
般若は肉体改造をして、普通の顔に見えるようにした。
式尉はそのガタイを生かしたプロレスの練習をして
ひょっとこは意外にも御庭番衆の料理担当をしていたそうで、料理の勉強をしていた。
そして癋見は、原作でも毒薬が作れる器用さから医療を学んでいた。
お陰で、それなりの治療行為は出来るようになり、元の世界に戻っても医者として働ける程度にはなったのだ。
因みに、蒼紫は経営学の勉強をしていた。
閑話休題!
「残った敵は全て索敵範囲から撤退したようです。
追撃は?」
「いや、やめておこう。
こっちも立て直すのに時間がかかる」
「しかし、海賊連合か……厄介なのに目をつけられたな」
オルガは頭をかきながら呟く。
その翌日。
一台の高級車が鉄華団の本部にやって来た。
「止まれ!」
鉄華団の団員が車を止める。
車が止まると、後方の窓が開き
「柊が来たと、オルガ・イツカ団長に繋いでくれないか?」
「分かりました。団長に連絡を」
「はい!」
団員は連絡を入れると、一言二言話すと、
「確認が取れました。どうぞ!」
さらっと車を通した。
車は鉄華団の敷地を通り、本部の前に止まる。
鉄華団。団長室
「カイトさん。お久しぶりです」
「久しぶりだな。オルガ」
カイトとオルガは握手をする。
今日のカイトのコーディは黒のジャケットにズボン。白のカッターシャツに黒のネクタイのかっちりとしたドレススタイルだ。
「今日は柊商会の会頭として来た」
「へぇ?で、主目的は?」
カイトの言葉にオルガは何かしら目的が有ると感じ、聞いて来た。
「本来の歴史には無かった海賊連合の殲滅と可能で有ればアリアンロッド艦隊の弱体化。
それとマクギリスの地球外縁軌道統合統制艦隊『アークセイバー』の名を上げさせる事だ」
アークセイバー。地球外縁軌道統合統制艦隊と長ったらしいネーミングなので、分かりやすいネーミング考えたら?とカイトがマクギリスと話していたら、
マクギリスが会議で提出したら結構あっさりと決まった名前だ。
「じゃあ、詳細はウチの輸送艦隊を鉄華団が護衛と言う形でついて来てもらう。
そこに前もって仕込んでおいたスパイに情報を漏らして海賊連合をおびき出す」
「で、そこをアークセイバーと手を組んで一網打尽って訳だ」
「ついでに、アリアンロッド艦隊がじゃましてくるだろうから、じゃましたらそれの証拠をギャラルホルンに出してやる」
少なくとも多少の戦力は削れるだろう。
とカイトは小さく呟く。
オルガとの話し合いも終わり、カイトは食堂に入ると、
「俺を、MSに乗せて貰えませんか?」
「お前をか?」
「無理だな」
「うおっ!」
突如、後ろから声をかけられ、ハッシュは驚く。
「おっ、カイトじゃねえか、久しぶりだな」
「久しぶり」
「誰です?」
食堂に現れたカイトを見て古参は軽く挨拶し、それを知らない面々は誰?といった風情だ。
「そうだ!アンタ誰だ!?」
「俺の名は柊カイト。マーチウインドのボスだ」
マーチウインドのボス、その名を聞いてハッシュは青ざめる。
「あゝ、まあ、そんなに気にしないと良い。
しかし、人を見たらきっちりと口調は考えた方が良いな」
カイトの優しげな笑みにハッシュははいとしか答えられなかった。
「現在ロールアウトしている機体は全てパイロットが決まっているんでな。
訓練をしっかり受けてからパイロットになりたまえ」
カイトはハッシュの肩をポンと叩くとアトラの方に行った。
「………大人だ」
今までに会ったことのないカイトにハッシュはそう言うしか無かった。
鉄華団を後にしたカイトはクリュセの街に戻り、とあるビルの前に降り立つ。
「おかえりなさいませ。会頭」
「ただいま。現状は?」
「はい。デブリスイーパー及びハーフメタル部門の売上は黒字です。
レジャー部門もギリギリですが黒字。
衣食住部門も黒字です」
カイトはビルの中に入り、最上階の一室に入ると水城ゆきかぜから報告を受ける。
此処は柊商会の会頭室。つまりはカイトの会社だ。
かつて、マクワード・パリストンと話した時に商売をすると言い、そこからノブリスが死んだ時の経済の混乱の隙をカイトと契約した経済界の大御所、ムルタ・アズラエルが主導として火星経済の一部を掌握したのだ。
無論、大きすぎる力は無闇な争いを呼ぶので必要な分だけを柊商会、バーンスタイン商会、鉄華団ハーフメタルの三つに分けて、残りをテイワズに渡しておいた。
それからはマーチウインドで訓練した元ヒューマンデブリの少年達を入社させたり、元CGSの面々だとか、クリュセの市民等を雇い、今では鉄華団並の急成長企業に成長した。
まあ、既存の企業も大体が成長したからそこまで羨まれてはいないが、
「ふむ」
カイトは机の前で書類に見通し、ハンコを押す。
「今期も黒字か……これならもう少し孤児院への支援も増やせるな」
この世界ではノブリスは死んでいるので、バーンスタイン商会はアドモス商会のような支援が無く、代わりに柊商会と共同経営の形で資金を出していた。
「さてと、そろそろ帰るか」
時計を見るともう夜の七時過ぎだ。
カイトは退勤処理を行ってどこでもドアで自宅へと戻る。
「ただいま〜」
「お帰り〜」
「「おかえりなさい」」
「「おかえり」」
家に帰ると膨らんだお腹が目立つさくらと真佐斗やクリス達に迎えられるカイト、
カイトはジャケットを脱いでさくらに渡されたハンガーに服を通す。
「今日も疲れたよ」
「お疲れ様。ア・ナ・タ」
そうしてキスをする二人
そんな二人を見て、クリスと響は羨ましいと思い、真佐斗は我関せずに、アサギは食堂に向かう。
「じゃあ、ご飯を食べようか」
そう言ってカイトは食堂にに向かって歩く。
「それじゃあ」
「「「「「「いただきます」」」」」」
今日も柊家は平和です。
次回、ルーラーアメイジングの真の力が発揮される。