四次元ポケットを手に入れて異世界へ行ってきます! 作:TNKエース
決闘
三番組が一軍を追い出している頃
信じて送り出した部下が多大な被害を出した上、戦死した件について、
と、いった感じでギャラルホルン火星支部司令コーラル・コンラッド支部長はそんな感じで混乱していた。
「ふざけるなぁ!!」
ドンっ!
コーラルは先のイメージと報告を払拭する為に机を叩く。
MWを7割も失い、MSも一機破壊されたのだ。これを監査局に知られたらコーラルは最悪銃殺刑である。
予定では独立運動の旗頭であるクーデリアを殺し、自分はノブリスとギャラルホルンから、金と名誉の両方を同時に手に入れる筈だったのに。とコーラルは歯噛みする。
「CGSには…子供が居ました…」
報告者であるクランクは苦い口調でそう言い放った。
「何だと!?貴様らはガキにやられるほど無能なのか!!」
「子供を
少年兵を相手に戦争など出来ません!
彼らが自らの意思で戦っているとは思えない!!」
「ふざけるな!相手が女子供でも関係ない!一匹残らず駆除しろ!良いな!分かったか!?」
上官の命令にクランクは歯噛みする。
「部隊を動かさない!?どうしてですかクランク二尉!」
クランクの決定に異議を唱えるアイン。
「せめて、自分を!」
そんなアインにクランクは自らの手を肩に乗せる。
「お前はまだ若い。そんなお前に兵士としての汚名をきせたくないのだ。
戦いたくはない…だが、戦わずには済まされないなら…」
「ですが……」
「そうか……」
ドスっ!
「ガァっ!!く…クラ…ンク二尉っ!」
クランクはアインの腹を殴っていた。
「済まんな。アイン」
そう言ってクランクは部屋から出て行く。
「クランクに…い……わたしはぁ……」
アインはクランクに追いすがろうと手を伸ばすが、意識を失ってしまう。
場所は戻ってCGS
カイトたちとの会談が終わって翌日
CGSの書類も後は新しい名前を決めるだけだ。
だが、彼等には問題があった。
「さてと、資金繰りをどうすっか」
そう、元社長のマルバが現金を持ち去っていて、一軍の退職金やMWの修理費、施設の維持管理費等その他諸々の支出で、残っているのはもって三ヶ月程の資金しかない。
「そりゃ、お前クーデリアのお嬢様をギャラルホルンに売り渡しでだなぁ。序でに、何だっけなんちゃらウインドからも金をせびってよぉ」
CGSに残った大人の一人であるトドは手っ取り早く金を得るためにクーデリアを売ろうと提案する。
「大将だって分かってんだろ?
クーデリアはお荷物だって」
「ていうか、
お前は残るのかよ!?」
「固いこと言うなよ〜、仲良くやろうぜ同志!」
「うぇ〜、マジかよ〜」
そんなユージンとトドのやり取りを聴きながら、オルガはこれから先どうするかを考える……と
突如として警報が鳴り響く。
『敵襲!!
ギャラルホルンのMSが一機!えー…赤い布をつけてこっちに向かっている』
「何っ!?」
報告を受けたオルガ達は信じられないと言った顔になった。
CGSの施設の近くの荒野に、ギャラルホルンのグレイズが肩部に赤い布を着け、まるで何かを待つかの様に佇んでいた。
「ありゃ、決闘の合図だな」
「決闘?」
布を着けたグレイズを見て、CGSに残留組の一人であり、三番組からはおやっさんの愛称で呼ばれるメカニックのナディ・雪之丞・カッサパが疑問に答える。
『私はギャラルホルン実働部隊所属、クランク・ゼントである!そちらの代表との一対一の勝負を望む!』
「勝負ってマジかよ」
「厄祭戦の前は大概の揉め事は決闘で白黒つけてたらしいが……まさか本気でやってくる奴がいたとはな」
300年前の決闘という方式を引っ張り出してそれを態々実行するなんて、今時そんな事をする物好きがいるとは思わなかった。雪之丞は呆れ半分関心半分でそう思った。
『私が勝利した場合、そちらに鹵獲されたグレイズ。そしてクーデリア・藍那・バーンスタインの身柄を引き渡してもらう!!』
「お嬢さんを!?」
「そら見ろ!さっさとお嬢さんを渡しちまえば良いんだよ!」
『その代わり、今回の一件は全て断ち切ると約束しよう』
三日月はそんなクランクの言葉を無視してオルガにどうすればいいか聞きに行く。
「ねえ、オルガ
どうすればいい?」
「……いや、今回はいい」
オルガがそう言うと後ろから突風が吹く。
否!それはガンダム・ルーラーの飛翔した時に発生した風だ。
オルガ達の頭上を重量を感じさせない軽やかな跳躍でグレイズの前方100M程手前で提示する。
「マーチウインドの柊カイトだ。
代理人で宜しければ、その決闘受けよう」
『!…貴様は昨日の?
……いや、貴官はCGSの者では無いはずだ』
「安心しろ。先日の内に向こうの団長と話はつけてある」
ルーラーは指でオルガが居る方を指す。
『そうか……ならばっ!』
グレイズはハンドアックスを構え、今にも飛び出しそうだ。
「二つ程聞きたいことがある」
ルーラーも長刀を抜き、両手で持ち構える。
『何だ?』
「一つは、何をもって勝敗を決する?
頭部の破壊か?それともパイロットの死亡か?まあ、ケリのいいところで機体の戦闘行動不能か降参って処か?」
カイトはざっと勝負のつけ方を並べる。
『三番目のだ』
「そうか…なら次に、俺が勝ったらクーデリア嬢もグレイズも渡さずにギャラルホルンとの因縁を水に流してくれる……と言いたいところだけど、無理なんだろう」
カイトはまるで確信しているかのような口調だ。
『……ああ、そうだ。
俺にそんな権限は無い。だからら俺が勝てばこの首をかけてでも!』
「そうか、ならばマーチウインド。ガンダム・ルーラー!柊カイト!」
『ギャラルホルン火星支部実働部隊。クランク・ゼント!』
「『参る!!」』
二つの機体は同時に動き、同時に打ち込んだ。
重量ではグレイズが上だが、出力はルーラーが遥かに上回る。
ルーラーはグレイズをジリジリと押して行く。
が、クランクはグレイズを巧みに操り、暖簾に腕押しが如くルーラーの力押しを避ける。
「ぬぅっ」
カイトはすぐ様体勢を立て直すもグレイズは二撃、三撃を繰り出し、ルーラーはそれを長刀と盾で防いでいくが防戦一方だ。
「アイツ!オルガ!やっぱ三日月にやらせた方が良かったんじゃないのか!?」
ユージンは防戦一方のルーラーを指差しながら、オルガに向かっていく。
「大丈夫だ。副団長」
それを止めたのはライガットだ。
「あの人は未来を知っている。だから、この戦いの為に猛特訓して最低でもあの機体で、あのパイロットを倒せなければ話にならないって言ってた」
「けどよ、押されてんじゃねえか!」
確かに、押されている。が、それにいち早く気づいたのは三日月だった。
「アレ、徐々に動きが良くなってる」
三日月の指摘の通り、ルーラーは防戦一方のままだが、防御の比率が徐々に減り、今では紙一重とは言わないが、余裕を持って回避している。
「マジか!?」
ユージンの叫びは皆の歓声に消されていった。
これが実際のMS戦闘か、
ルーラーを操りながら、俺はそう考えていた。
思ったより、辛く、キツく……
そして怖い。
これは訓練では得られない感想だ。
そして、ユウキ・タツヤ式トレーニングや協力者との訓練では、この様な意思の篭った攻撃は無かった。
『此方も、一つ聞いておきたい!』
「何だ?」
『貴様は、少年兵をどう思う!?』
はっ?
「どう言う意味だ?」
『彼等の様な子供が少年兵として搾取され犠牲に「それマジで言ってんの?」何っ!?』
流石に素に戻ったぞ。
「彼等の様な少年兵ねぇ、少なくともお前らが言っていい台詞じゃねえんだよ!ギャラルホルン!!」
俺は一度距離を取る。
「そもそも、何故彼等が少年兵をやっているのか分かるか?
分からんだろう!」
俺は長刀を構えたまま、スピーカーをONにし喋り出す。
「先ず、大元の理由は地球圏による火星圏への……いや、地球以外への搾取が原因だ!
これにより火星市民達の暮らしは酷く苦しいものであり!親を持つ子供ですら生活は苦しいのに親のいない孤児達の暮らしは基本、死ぬかヒューマンデブリや彼等の様な少年兵として死ぬ迄搾取され続けるかの二択しかない!
更には海賊だ。本来ならギャラルホルンが相手をしなければならないのに、地球圏からの利権をもらう為に、治安維持(笑)に躍起になって、本来なら捜査して倒さなければならない相手を取り逃がしている!
これにより被害者の子供はヒューマンデブリとして売買され、海賊組織に売り払われた子供達は阿頼耶識システムを埋め込まれ、MSを使い更なる被害者を生み出す倍々ゲームだ!
だからこそクーデリア嬢は不当なる搾取状態を改善する為に、アーヴラウ政府との会談を行おうとしている!
そしてぇ!自らの利権を侵されたくない政治屋共がギャラルホルンと共謀して、表向きは治安を乱しているクーデリア嬢を逮捕しようと目論んでいる!分かったぁ!!」
俺は一気に喋ったので息を整え最後に
「つまりは、ギャラルホルン(上層部)が腐敗しているのが悪い!」
そう言い放ってやった。
『……………』
クランクからの返事はない。言い過ぎた?
『確かに、貴様の言う通りなのかも知れん』
『だが!どうすれば良いんだ!?
どうすれば、罪の無い子供を救える!?
答えろぉ!!』
はぁ!?
「知るか!!ボケぇ!!自分で考えろや!!!」
四十半ばの癖して思考放棄すんなや。
「クソっカッコよく決めたかったのに、まあ良い。ケリつけるぞ」
俺は長刀を再び構える。長刀の機能を展開して、
ドォン!
俺はスラスターを一気に吹かし、相手との距離を一瞬で詰める。
「ジャストオオオォォォ!!」
そして長刀を一気に振るった。
クランクのグレイズはハンドアックスで防ごうとするが、無駄である。
スパンっ
グレイズのハンドアックスはまるで豆腐を包丁で切ったかのように……どころか有り余ってグレイズの右腕毎切れてしまう。
スチャ
そしてコクピットの横に長刀を添える。
「降伏しろ」
俺は短く言い放つ。
『了解した』
クランクの言葉と共にグレイズのカメラアイから光が消え、コクピットからクランクが両手を挙げながら出てくる。
「とりあえず、貴方は此方の捕虜となる。
無論、基本的人権は尊重するので安心して欲しい」
「感謝する……それと済まなかった」
「?……ああ、此方も暴言が過ぎた。済まない」
俺は手錠をクランクにかけて、三番組……いや、鉄華団の施設に向かって行った。
「……凄え」
オルガは小さく呟く。
「凄えよ。あの人は」
自分では考えた事すらなかった事をああも、スラスラと語り、更には学の無い自分たちですら理解できる範疇で説明をした。
「凄い」
クーデリアも呟いた。
彼は、自分が考えていた以上に物事を把握していた。
それに言葉は悪いが、思考放棄してしまってはいけないと指摘もしてきた。
彼と色々話せば、皆を幸せにできるのだろうか?
オルガとクーデリアの心は一つになった。
「皆!聞いてくれ!
俺たち鉄華団はあの人の組織マーチウインドと同盟を結ぶ!」
周りに居た面々は「てっか団?」と鸚鵡返しすると、
「俺たちの新しい名だ!CGSなんてカビ臭い名なんて癪だろ!」
オルガの言葉に何人かは「そうだー!」と叫び返す。
「てっか団、鉄の火ですか?」
「いや、鉄の華だ。
決して散らない鉄の華!」
オルガのその言葉に鉄華団員は歓声をあげる。
ライガットはその様子を懐かしそうに眺めて居た。
次回ガリガリとマッキーが登場