今日もだが、俺達がSHOCKERと戦っていた時分から東京は広く、賑やかなところもあれば寂れた場所もある。
あの日、俺達とSHOCKERが戦ったのも、そんな寂れて閉鎖された劇場だった。
それがあんな事になる切っ掛けだなんて、思いもしなかった。
所謂黄昏時、人目を忍ぶSHOCKER達もこんな時間をメインに動こうとする。
俺、一文字隼人はうっかりしていたのだ。……そんな時間帯には、本物の『人でないもの』がうろつくんだって事を。
今回は、そんな話。
あの時は、逃げる怪人を追って、奴らが蹴破ったドアを突っ切って控え室の薄い壁を蹴り抜いて、袖から舞台を走り抜け客席に飛び降り、そこからエントランスまで走り抜けた。
滝は、劇場の中には入らず、壁伝いに走って玄関に回り込んだ。
舞台の上にいた間、一瞬だけ、俺は視界の端を動いた影を見た気がした。
だが、目の前の怪人と戦闘員に気を取られ、俺はそれに対して気を払わなかった。
怪人は劇場に程近い造成地で、ライダーキックで仕留めた。
滝に声を掛け、それぞれの自宅に帰った頃には、空はすっかり暗くなり、ポカリと三日月が浮かんでいた。
翌日、日課のパトロールを済ませ、立花レーシングクラブに戻った俺は、親父さんから受け取ったコーヒーを飲もうとした。
その時ふうっと、視界の端で何かが動いた。
思わず五郎が――クラブに良く出入りしている、小学生が来たのかと思ってそちらを見たが、そこには誰も何もいなかった。
考えて見れば今日は平日の午前中で、小学生がいる筈がない。
「どうした、隼人」
隣で同じくコーヒーを飲もうとしていた滝が、訝し気に声を掛けて来る。
「何でもないよ」
そう言って、俺はコーヒーを飲んだ。
その時は、本気で気の所為だと思ったのだ。
だがその翌日、俺は写真の試し焼の為に暗室に籠っていた。知り合いの記者にヘルプを求められ、ビルの写真を何枚か撮ったものを現像していたのだ。
暗室用の赤い明かりの下、フィルムの定着具合を見ようとした俺の視界の端を、すっと影が動いた。
暗室は狭い。現像装置や引き延ばし機材、溶剤などを保管する為の棚で、一人立つのがやっとの空間だ。
しかも、俺はその時赤色灯にフィルムを翳していたのだ、影を見る筈が無かった。
俺は慌てて、ライダーアイで周囲を見回した。
だが、暗闇を見通す機械の眼には、よく知る己の暗室以外の何も映らず、影など何処にもなかった。
そして、それは始まりでしかなかった。
不可解な事が起きるようになったのは、まず自宅だった。
ガラス窓や室内のドアが、何処か一か所が必ず小さく空いている。
台所に立てば窓が、寝室に居るとそこの戸が、まるでそこから誰かが部屋の中を覗いていたかのように、指一本ほど空いている。
何度閉じても、気が付いたら開いていた。
そして夜中。
寝ている自分の横から、誰か知らない奴の寝息――いや呼吸音がする。
ゼイゼイとも、ゼヒゼヒともつかない音を、すぐ傍で立てているのだ。
飛び起きて明かりを点けると、音は消える。だが消すと、また間近に聞こえる。
ならばと、暗いままライダーアイを使うと、音は聞こえるのに一向に姿は見えないのだ。
翌朝、寝付けなかった事に頭を抑えつつ、レーシングクラブに顔を出すと、日曜日なので朝から集まっていた様子の女性陣と五郎から、揃って怪訝な顔をされた。
「あれ!? 兄ちゃん何で外に出てんの?」
「さっき、奥の部屋に入ったわよね?」
「私達に何も言わずに」
「は?」
いや、俺は今来たばかりなんだが。
俺が首を傾げると、皆一様に変な顔になった。
だが、俺の横によって来たマリが、俺の首筋の辺りを嗅いで、それこそ狐に摘ままれたような顔になった。
「あれ? 匂いがしないわ」
「臭い? 何の?」
以前、戦った場所が堆肥を撒いた畑(耕運機を入れる前だった)で、滝共々全身堆肥塗れになって全身が匂ったことがあった俺は、思わずどぎまぎしたが、お嬢さんの言葉は俺の予想外だった。
「さっきすれ違った一文字さん、甘い匂いがしたのよ」
「ああ、あれ、ドーランの匂いよね」
相槌を打ったのはユリだ。
二人の言葉に、俺は本気で面喰った。
こちとらカメラマンである。ドーランがどんなものかは知っているが、生れてこの方使った事は無いし、使う予定もない。
念の為、奥の部屋――滝が持ち込んだ無線機が置いてある――に入ってみたが、誰も居なかった。
ただ、二人の言ったとおり、甘い化粧品の臭いだけが残っていた。
そして、そんな事が何度か続いた五日目。
落とした手帳を見た滝に、俺は頭を鷲掴みにされた。
「アダダダダダッ」
「おいこら一文字隼人、何が起きてるかはっきり言え。事と次第によってはただじゃ置かねえぞ」
そう言いつつ滝が差し出した手帳には、俺のものじゃ無い、乱れた字で「見るな」と黒くなるほどびっしりと書かれていた。
その頃には、俺の視界の端で動く影は、顔の右側をちらちら見せるようになっていた。
そして俺は、この影の顔が全て見えた時、何か不味い事態になるのではないかと思い始めていたところだった。
「あー……。
実は、この間の戦闘以来、視界の端で人影がちらつく様になったんだ。最初は、こう視界の端をちらっと人影が動く程度だったんだけど、昨日ぐらいから顔半分が目に入るようになった」
まあ、話したところ滝に思いっ切り丸めた雑誌で、頭を叩かれたのだが。
俺の話を聞いた後、滝は盛大に頭を掻きむしり、何処かに電話を掛けた。
「滝、何を……」
「こういうゴシップに強い奴に、情報集めて貰ってる、待ってろ」
そして二時間後、掛かってきた電話を聞いていた滝の眉は、SHOCKERと戦っている時よりも激しく顰められていた。
電話の主とはそこそこ親しげだったが、こちらが耳を欹(そばだ)ててるのを悟った滝は、早々に切ってしまった。
「隼人、あそこやばい場所だった」
滝曰く、あの廃劇場は閉鎖前に、何人も自殺者を出した場所なのだそうだ。
あの劇場は戦後に建てられ、高度経済成長期には映画と共に専属劇団を抱えた結構な規模を誇っていたらしい。
勧進帳や時代劇を、映画と週替わりで上演しそれなりに人気を維持していたらしいのだが、その劇団の二枚目俳優が怪我をしたのが、ケチの付き初めだったと滝は唸る。
「そいつな、立ち合いの練習中に段取り間違えて顔の左半分、模造刀でざっくりやっちまったんだと」
「え、そう言うのって、普通竹光使うんじゃ」
俺がそう言うと、滝は溜息を洩らした。
「怪我した当人が言い出して、模造刀を使ったんだと。
普通なら、打撲で済みそうなのに足滑らせてへんな角度で突っ込んだ所為で大怪我だったんだそうだ。
しかもこいつ、手術しても顔戻らなかったそうだ」
顔が戻らなかったと言う事は、頬の肉を抉るような傷だったと言う事か。
2000年代ならまだしも、俺達がSHOCKERと戦っていた時分ですら形成外科はまだまだ発展途上で、そんな傷を完治させることは確かに難しい。事件は、それから更に一〇年ほど前だ、お察しって奴だ。
「特にこいつ、顔の良さだけで劇団の花形に数えられてたから、顔の傷の所為で一気に役を失ったそうだ」
察するところ、演技力皆無の立て看板と言う事か。
だが、そいつは酒浸りになって荒れた挙句、傷を治す為と称して怪しい宗教に入信したりしたらしい。そしてそのまま、生死不明になったそうだ。
何だろう、努力の方向を間違えているとしか思えない。
滝の静かな声が響く。
「問題は、そいつが失踪してから劇場で事故が立て続いたそうだ」
あの後、黄昏の下俺達は発端になった廃劇場に来た。
気の所為か、この間に来た時より、影が濃い気がする。
「看板女優と衣装係が転落事故で亡くなり、劇場で働いていた人間の中に何人も病人が出て、心労の余り劇場支配人が自殺しちまった。
その所為で、この劇場は閉鎖されたそうだ」
背負った荷物――バットが入る細長いバッグだ――を確かめるように抱え直し、滝は言葉を続ける。
「問題はな、病人って連中が殆どが精神病、見えない筈の影が見える、誰も居ない筈なのに人がいるって言う状態で、錯乱状態で担ぎ込まれたのを病院は集団ヒステリーで片付けちまった。
殆どの奴が、二目と見れない形相で悶死したって話なのにな」
……それは、辛い。
「滝、何処に行くんだ?」
「だから、お前の視界に張り付き、これまでの何人も発狂死に追いやった馬鹿野郎にお帰り頂くんだよ」
そう言う相棒の顔は、とても公僕とは思えない、どす黒いものだった。
「お帰り頂くって、判ってんのか?」
俺が問い質せば、嫌そうに一言。
「変な宗教に縋って、返り咲きを望んだ馬鹿が行方不明になって以降、ここで死傷者が馬鹿増えした。
である以上、元凶はその馬鹿で、ここにいるって事さ。
全く、とんだ『オペラ座の怪人』だぜ、全く」
「オペラ座の怪人?」
あれ、なんか聞いたような。
「ガストン・ルルーの怪奇小説だ。日本でも、古くから翻訳されてるって聞いたけどな」
滝曰く、ここの劇場の事は、周辺の浮浪者も恐れて近付かない厄介な場所として、その筋でも有名なのだとか。浮浪者なので警察が真剣に取り組まない事もあるが、ここで寝て、発狂死した者が何人もいるのだとか。
恐らく、新興宗教とやらの呪いをこの劇場で行い、ここに住み着いてもう一度衆目を集めようとしたと言うのが、滝の見解だ。
「但し、奴さんも思わなかった落とし穴があったようでな」
「落とし穴?」
「お前の手帳に書かれてただろ」
言われて思い出すのは、手帳の見開き一杯に書き込まれた一面の「見るな」の文字。
もしかして。
「衆目を集めるって事は、傷を負った顔を他人に見せるって事。その事にこの期に及んで怖気づいたんだ、奴は」
じゃあ、その役者って奴は?
「見られたいって虚栄心と、見られたくない劣等感で、奴は分裂してるんだろうよ。
だからお前に張り付き、お前の振りして皆の前に現れた。でも傷を見られたくないから、ハッキリと顔を見せない。
お前にも、これまでの被害者にも、無事な右側しか見せなかった」
ばっさり言い切った。
話してる間に、俺達はこの間の戦闘でぱっくり口を開けた迫り上がりの横を抜け――穴の縁に頭が石榴なおじさんがこんにちわしてたが――、舞台に上がって――天井から振り袖と白い足が見えてるけど――舞台袖に降りると、俺達はかつて劇団員達が着替えたり順番待ちをしただろう控え室に入った。
滝の目的は、控え室の中でも所謂人気者に用意された個室で、例の元二枚目が使ったらしい部屋の、天井裏の物置だった。
下以上に埃っぽい様子から、此処が劇場閉鎖前から使われていなかったことが知れた。
その闇の中で、ぼんやりと光るものが五つと《影》が、いた。
本を中心に、愛用していただろうヘアブラシに化粧箱に着物に帯、衣類の方はここのお抱え劇団の売りだった勧進帖の義経のものだろうそれを背に、かつて二枚目と呼ばれた役者のなれの果ては、顔半分を押さえて支離滅裂に叫ぶ。
「ああ、私のファンが来た」「俺に何の用だ!」「見てくれ」「見るな!」「私に会いに」「俺を笑いものにするなぁ!」
恍惚とした声と憎悪に歪む半狂乱の声。聞いているだけで、頭が痛くなる。
それに向かって俺の友人は、心底どうでもいいように言った。
「長谷川一夫って知ってるか」
ひたりと影は黙り込む。あ、あの人は。
「やっぱり二枚目俳優で、映画会社の軋轢で役者を出来なくさせようとした雇われ者に剃刀で顔面抉られたそうだ。
勿論、この人も二枚目として終わったって、世間は思ったそうだ。
だが、あの人は諦めなかった。
怒りも悔しさも全部腹に納め、治せなかった剃刀傷をメイクで隠しきり、表情を演技でカバーして大物役者に上り詰めたって話だ」
ここで一旦言葉を切って、滝は相手を追い詰めるべく相手の事情を、ばっさり切って捨てた。
「身の丈に合わない事やって怪我したあげく、周囲の諫言に癇癪おこして芝居を投げ出したくせにちやほやされた過去を取り戻そうとした結果、カルトに唆されて化け物になり下がった三流とは格が違う。
なあ、お化けさんよ」
「っ、貴様キサマきさまああアー」
滝の言葉に、完全に逆上した影、否亡霊は左半分を隠していた手を引き剥がした。
癒着した手が剥がれた結果、頬が抉れ剥き出しになった歯列と、瞼を失い転げ落ちるのを視神経で辛うじて留まっている眼球とを曝した。
これは……。
その姿に、絶句した俺に滝の声が飛んだ。
「同情するな! こいつはSHOCKERの怪人と一緒だ!」
言われて顔を引き締める。
滝は荷物の中からショットガンと、山歩き用の鉈を出すと、俺に鉈を渡した。
「着物と帯は任せる、俺は小物を潰す」
え、ちょっと?
襲い掛かって来た怪人を、俺は身を捩って躱したが、その一瞬に怪人と目が合った。
その瞬間、まるで貧血を起こしたようにくらっと意識が遠くなる。が、何とか踏み留まった。
その向こうで、ガラクタに足を取られた滝が姿勢を崩した。滝を狙っていたらしい光る化粧箱が、目的を見失って怪人に突っ込んでいた。
俺の振り回した鉈が、近付いて来た着物の袖を切り落とすと、途端に怪人が悲鳴を漏らした。
「やっぱり、これがあいつをここに留めてる物って事か!」
そう言いつつ、滝はショットガンで宙に浮いたヘアブラシを狙うが、するりと避けられ大きく舌打ちした。
怪人が、今度は滝に手を伸ばす。
その手を躱したかと見えたが、次の瞬間滝の肩から、ばっと鮮血が散った。
「滝!?」
「構うな、とにかく着物と帯を潰せ!」
そう言う滝は、ガシャッとショットガンをリロードさせた。
俺と滝のやり取りを聞いて、俺より滝を狙う事にしたのだろう怪人が、咆哮と共に襲い掛かる。
が、ドタバタした衝撃か、滝は床を踏み抜き下の控え室に落ちてしまった。
尤も、処分の途中で放置された衣類入りの段ボールの上に落ちたので、ほぼ無傷だった。
「こなくそ!」
その落ちた態勢のままショットガンをぶっ放した滝は、彼の顔面目掛け落ちようとした化粧箱を粉砕した。
その衝撃で、怪人は頭を抱えて悲鳴を上げる。
ここぞとばかりに、俺も俺の首に巻き付こうとした帯を切り払う。
更に、振り回した鉈が上手く当たり、フラフラ飛んでいたヘアブラシを両断する事が出来た。
「嫌だ、嫌だ消えたくない、もっと皆に視られて、消えてしまう、この醜い顔が、消える? もう誰も私を見ない? もう誰にも見られずに済む、もう誰も観ない? ああああああ!?」
奴の混乱を示すように着物がのたうつ。
その片袖の無い着物を、改めて鉈で袈裟斬りに切り裂いた俺に、目を覗き込もうと怪人が迫る。だが。
「これでクランク・アップ。お前の一人芝居は終わりだ」
その言葉と共に、滝が最後まで残っていた魔導書と思しいデカい本のど真ん中を撃ち抜いた。
その次の瞬間、怪人は身を捩りながら、まるで水に融けていくように消えた。
その後、滝は、何とも言えない顔で穴だらけになった冊子のがっちりした皮表紙を手に取った。
そこには、『Lux veritatis』と金象嵌で書かれてた。
これは、ラテン語だろうか?
「また、会う事になるとはな。まさか、本当に日本まで来てたなんて」
そうぼやくと、滝は鉈とショットガン、本と破いた着物と帯を袋に突っ込み、俺の腕を掴んで劇場を後にした。
考えてみれば、幾ら寂れているとは言え市街地に建つ建物だ、あれだけショットガンをぶっ放していれば、警察を呼ばれるかもしれない。
引っ張られるまま走った俺は、エントランスで俺達に頭を下げた人々を見た。
それが現実だったのか、俺の気の所為だったのかは、永遠の謎になったけれど。
翌朝の新聞に、あの廃劇場で何処かの不良が中で爆竹を鳴らし、その衝撃で天井が抜けたと言うべた記事が載った。
結構な回数、滝はショットガンをぶっ放した気がするが、どうやら散弾は見つからなかったようだ――後で聞いたら、鉛玉の代わりに岩塩の粒を詰めたものだったそうだ、マジか。
子供の悪さと言う事で、警官の見回りを強化するらしいが、まあもうあそこで騒ぎが起こる事は無いと思う。
……まあ、何も起きなくなったと言う事で、浮浪者やヤクザ者が居着くかもしれないが、その前に建物を改装するなり、取り壊すなりすれば良いと俺は思う。
数日後、俺は渋い顔でドラム缶に起こした火の中に着物と帯、例の本をくべる滝に行き会った。
「何してんの、滝!?」
「呪い物に使われた品だから、焼いてんだ。そのまま放置すると、またぞろ怪異を起こしかねないからな」
そう言う滝の、眉は縦皺を作ったままで。
「……滝、それだけじゃ無いんじゃねえの?」
ごまかされないぞ、おい。
俺が問い質すと、滝は本当に嫌そうに溜息を吐いて、炎の中を指差した。
ドラム缶の中で、ぺらぺらと燃える『本』を睨み付け、滝はこう言った。
「『Lux veritatis』(ルクス・ヴェリタティス)、ラテン語で『真実の光』。
アメリカの幾つも乱立している新興宗教の一つ、『真実の光教会』の言わば聖典だ。
でもってこの宗教団体は、今から十年前には解散してる筈なんだ」
「滝、知ってるのか?」
俺の問いに、滝は本気で嫌そうな顔になった。
滝?
「俺が、学生時代に行き当たった事件がある。
やっぱりそれも劇場が舞台でな、一歩間違ったら、何百人も死人が出るところだった。
でもって、その時騒ぎの中心に合ったのが、さっきの『Lux veritatis』だったんだ」
滝の顔は、本気で思い出すのが嫌そうで、本気で酷い事件だったのだと知れた。
しかし、これまでも色々あったこちらとしては、とことん迄聞き出したいと思ってしまった。
だから、俺は一旦その場を離れた後、酒二升と当たり目と乾き物幾つかを買い込み、滝の許に突撃したのだ。
とある新聞記者のぼやき。
和也の奴、いきなり連絡してきたと思ったら、あんな危険物件の情報寄越せだなんて。
そりゃあね、俺は不本意ながら怪奇事件に関わってますよ? だけど、あれ全部アクマ族の事件だからね!? お前、何でガチ物件に関わってんの?
そもそも仕事で来日してるって聞いたんだけど、お前何やってんの!? お前アメリカの公僕だってお袋から聞いたんだけど?