ある山々の連なるその麓に人間の集落があった。一見普通の村なのだが、1つ違うところがある。それはその村の近くの山奥にある屋敷に白神龍が凄んでいて、その神龍を崇拝していること。故にその村は大きな天災や争いに巻き込まれることもなく、竜や他の魔物に襲撃されることもなかった。
ひと昔前に大雨による大規模な土砂崩れに村の半分が潰され何人も死に、生き埋めになっていたところをたまたま通りかかった白神龍が助け、その時は流石に死者を甦らすようなことはしなかったが、多くの命は救われその礼にと祀ったことがきっかけで神龍はそこへ凄み村人と親しい関係を保っている。だからこそ、今村は大きな決断をしようとしていた。
3年前、突如魔物の軍勢が襲ってきたのだ。それも卑怯なことに村の子供を大勢人質に取って神龍を脅し陥落させた。神龍が、自らが無抵抗で捕虜になるかわりに人質を解放し村に一切干渉しないと、破れば悶え死ぬ特殊な誓いを立てさせたお陰で村に被害は無いのだが、それきり神龍とは音沙汰無くなってしまったのだ。その後村人は近くの国に助けを求め、その国も自国を脅かす可能性があるとして軍を送ったが返り討ちに。誓いのせいで村に手出しはしなかったものの、代わりに村人がみたのは変わり果てた神龍の姿だった。
「よくみよ。これ以上我らに手出しをすればこの龍は生きてはいけなくなるだろう。そうすればこの誓いも解け、直ちにお前達を滅ぼしてやる。」
鎖に繋がれた白神龍の清かった純白の体は一定の年齢を経ている者なら誰がみてもわかる魔物の精液で穢れきっていて、直前も犯されていたのか秘所から粘液を垂らしながら恥ずかしさに目をつむり涙を流していたのだ。
「何とか神龍様を助けられないだろうか…」
毎日そう議論されるが次失敗すれば何をされるか分からない。しかしそのままおよそ3年が経った今、悪魔に魂を売るような気持ちである方法が検討されていた。
村人「村長、本当に…やるのですか?」
村長「もうこれしかない。かつてこの村はあの神龍様に救われた。もしその神龍様を助けるために私の命を求められたとしても、それでも神龍様を助けるのが村長としての私の勤め。もう迷いは無い。」
隣国の使者「…ならば我が国の軍に護衛を要請します。」
こうして村は密かに神龍への恩返しをすべく絶望的な試みを実行するのだった。
──────────────────────
「よう。起きてるか?」
「…」
「おいおいまだそんな態度とるのか?体はすっかりその気になっているのに。」
「…黙りなさい。」
「まぁ良い。長らくヤってないから俺達も待ちくたびれちまった。」
そうして神龍が捕らえられている監獄に色んな魔物達が入ってきた。無論、犯すためである。
「さて…」
「クフ…」
内の一人が牢に入り、角で縮こまっている若い白神龍を仰向けにひっくり返す。無抵抗な彼女のすでに口をあけ蜜を垂らしている秘裂に指を突っ込み掻き回した。
「どうだ。欲しいだろう。」
「…」
「どうした?やめてほしいのか?」
そのまま数分いじられ続ける。体はすでに燃え上がり、腹の奥底は雄を求めて疼きに疼いていた。
「嫌がらないのに虚勢だけは変わんねぇな。」
そう言ったものの魔物達も我慢の限界だったようで、掻き回していた魔物は神龍の腰を乱暴に掴んで己のモノを突き入れた。
「キャン!」
体が歓喜に震え、情けない声を出しながら魔物に犯されるそれはとても清く高貴な神龍とはお世辞でも言えない。そのまま何匹もの魔物に犯され、一通り終わると神龍が最も嫌っている魔物が現れる。彼女を犯す魔物のなかには、雄しか存在せずその代わり異種の雌と子を成すために強い精力を持ち、また精液に雌を狂わせる効果もある豚獣人のオークや、牛獣人のミノタウロスもいるがその悪魔に比べればなんでもない。
「く…ついこの間も産んだばかりだというのに…」
「1週間も休息を与えたじゃないか。あ、そうそう。疲れただろうから礼を言っとくよ。今度もなかなか強い子だ。その子供が成長してお前を犯しに来るのが楽しみだな。」
屈強な体に整った優しげな顔、白鱗を纏った雄の神龍。しかしそれが偽の姿だということも彼女は知っている。彼は夢魔インクブス。淫魔とも呼ばれる悪魔で、サキュバスの男版と言ったところだ。いや、本当はサキュバスもインクブスも同一と言う者もいるが真相ははっきりせず本人達は語ろうとしない。
夢魔は犯す相手の理想の異性の姿になる。故にこの姿をしているが、優しげな顔の目だけは残酷な笑いを浮かべている。
「まぁそう睨むな。お前は俺たちの子を産むしかやることないんだからもう少し仲良くやろうぜ。」
普通神龍は愛する者としか交わらず、愛する者に対してしか発情しない。そしてその子供しか産まない。だが夢魔の呪いのかかった精を受けてしまった彼女は常に発情して何度も魔物や獣人の子供を産み続け、つい1週間前も13回目の出産を終えたばかり。本来卵を産み落とすはずの膣からは悪魔や獣人が1度に何匹も生まれ、特に魔物の子は自らの血をひいていないことも感じた。魔物の子供は神龍に寄生し、力を貪っているだけなのだ。
「お前だって、休息の1週間は交わってないから恋しくなっていたハズだぜ?子のいなくなった腹を満たしたいと思っただろ?そしてまた孕んで産みたいだろ?産んでるときのお前はさぞかし気持ち良さそうだったからな。」
「…」
「図星か。まぁ、そういう体にしたのは俺なんだが。」
そう言われながら床に組み敷かれる。もはや抵抗する気力も無くなり、その雄を受け入れれば突かれる度に先程注がれた精が飛び散った。
「クゥ…フン…アァ…」
「しかし人間もバカだよなぁ。俺達がお前の体目的で襲ったっていうのに、だからお前を殺すわけ無いのに。そもそもあの誓いはお前が死んでも残るというのにあれ以来パッタリ来なくなった。所詮人間だな。その人間のために堕ちた神龍様はどう思う?」
言われていることは理解できるが返事をする余裕がない。意思とは関係無く体が彼を抱き締め求めている。その顔だけは屈辱の涙を流しているものの、次第に強くなる快感にそれすらも恍惚とした表情に変わってしまう。
「お…じゃあ久しぶりに出すぞ。」
(おのれ…気持ちいい…もうだめ…)
射精しながら腰を振られ最後の砦が堕ちていく。こうなるともう威厳もプライドも無くなり必死で彼を求めるしか無くなるのだ。滅茶苦茶に犯されながら
「またいくぞ…早く兄弟をつくってくれよお母さん?」
「クアァ!アァ!…」
ビュルルル…
「アァァァッ!!!」
満足した夢魔はだらんと間の抜けた顔で時折痙攣しながら寝そべる神龍を後にし、しばらくして我に返った彼女は独り絶望に泣くのだった。
そしてある日。
「ほぅら欲しいだろ?」
秘裂のすぐ前で雄をぶらつかされる。
「はやくいれて…!」
数時間にも及ぶインクブスの愛撫を、絶妙な焦らしを受け続け完全に気が狂ってしまった。捕らえられた当初は耐えられたのだがそれは確実に蓄積されていたのだ。
ズン
「ギャァァン!」
1度も達せなかったため入れられただけで盛大に絶頂を迎える。物凄い快感。しかしいくら注がれても足りないのだ。故に求め続ける。
「もっと…もっと…」
「そうだ…可愛いぞ…」
ドク…ドク…
「まだ…もっと…」
「フフ…この分ならもう1か月ぐらい注いでればまた孕めるだろう。」
「いっかげつ…も…?」
「お前が素直にならないから仕方ないだろ?さっさと俺達を受け入れてくれればそのうち注ぐ度に孕めるだろう。」
「ほんと…?」
「あぁ。そうなったらもう少し柔らかい場所で産ませてやるよ。さぞかし気持ち良いだろうな。」
「アウゥ…早く…産みたい…」
「そうだろ?そのまま受け入れろ。そうすればお前は俺たちの物だ。お前は雌としてただ気持ち良くなってればいいんだ。子供もたくさん産めるし、幸せだろ?」
「はい…幸せ…です…」
長い行為の末インクブスが去り、腹を撫でながらしばらく微睡んでいると徐々に熱が覚めて正気に戻ってくる。しかし今でも胸の奥底で早く明日にならないかという欲望が渦巻いていて、気持ちいいならもういいかと思ってしまうほど心は蝕まれていた。
「う…うぅ…私ももう…限界…なのですね…」
どこかで大きな物音がするのを聞き流しながら、いつ最後になるかわからぬ涙を流していると
「おい、起きろ。」
「ヒッ!誰!?」
「怖がるな、助けに来た。」
「え…?」
目を凝らせばそこには自分より少し年下と思われる龍がいた。薄暗い牢の中ではその金の目が浮かんでいるように見える。
「黒…神龍…?」
「そうだ。助けに来た。さぁ、ここから出よう。お前の仲間もいる。上のやつらは父上と白神龍が片付けてるところだろう。立てるか?」
ヨロヨロと歩きだす。自分だけではまともに歩けず、小さな戦場となっている屋敷を抜けて彼らが用意したと思われる洞穴に行くまで終始支えられていた。惨めな姿を見られたというよりも、また悪い夢を見ているのではないかと思うような驚きと安堵の方が遥かに大きい。
「休んでろ。番は俺がする。」
即席で造ったと思われる寝床に入ればたちまち眠りに落ちたのだった。
「ん…」
「やっと起きたか。死んだように寝てたぞ。」
目が覚めても自分は洞穴にいる。夢じゃなかったんだ、と思った時、
グギュルルル……
「あ…」
猛烈な喉の渇きと空腹。顔に血が昇った。
「無理もない。丸2日寝てたんだからな。それにどうせろくな物を食わされてなかっただろう?」
彼が捕ってきた鹿を食い尽くすと再び眠気に襲われ目覚めたときは翌日の朝だった。彼が通力で体を清めてくれたのか体液の跡はない。
「お礼、言ってませんでしたね。本当にありがとございました。」
「まぁ、な。人間が頼みにきたんだ。」
「人間…?あの村の?」
「あぁ。」
──今から少し前のこと──
「ほう…確かに無茶な願いだな。それもわざわざ我に助けを求めるとは。」
村とは遠く離れた山奥の洞穴で、人間はある者に懇願していた。
「私の命をくれてやっても構わない。黒神龍様、どうか助けてはくれないでしょうか。」
懇願している相手は黒神龍。白神龍と対を成す存在で、人間からは邪龍とも呼ばれている。しかし同等の力を持つ彼らしかあの白龍を救えぬと、村長は微かな噂を探り、ついにそのすみかにたどり着いたのだ。
「白神龍を堕とすとは、どうせろくでもない悪魔やら精霊やらがついているのだろうな。面倒なことだ。と言うかお前、お前の命ごとき貰ったところで何にもならんぞ?」
「しかしいくら俺達が白龍と対立しているとはいえ同じ神龍として見過ごせないと思いませんか?」
「うむ。我も同意見だ息子よ。…そうだ。白神龍の里に協力を求めてみよう。ダメ元だが関係を改善出来る良い機会になるかも知れぬ。」
「では…!」
「しばらく待っていろ。願いは聞き届けた。見返りは思い付かんからいらぬ。」
─ ─ ─ ─ ─
「ってことだ。屋敷の魔物は全員始末した。いつでも戻れるだろう。」
「そうですか…」
「あと俺はサルジオだ。」
「メイスです。」
その後助けに来てくれた龍達や人間にも礼を言った。
白神龍「なに、同胞が囚われ恥辱されていると聞いて助けない訳にはいかぬ。黒龍が知らせに来たときは驚いたがな。今回ばかりは感謝するぞ黒龍よ。」
村に押し掛けてきた魔物は大国との争いに負けた少数組織で、ここでメイスに産ませ続け戦力の補充を計っていたらしい。元々人間も利用するはずだったがメイスの誓いにより出来なかった。
黒龍「フン。礼なら人間に言え…で、あの屋敷は焼き払って良いんだな?」
「えぇ。もう戻る気になれませんし、力が戻ればまた建てられます。」
白龍「変な呪いがあっても困るだろうからそれも良いだろう。」
黒龍「では我らは屋敷を焼き払って退散するとしよう。サルジオ、お前はもう少しここに残れ。この娘は随分気が淀んでいるし、かなり弱ってる。」
「そうですね…そうしてくださるとありがたいです。」
黒神龍と白神龍が屋敷を焼き払ったあと、
黒龍「結ばれる…と思うか?」
白龍「あぁ。あの娘は淫魔に穢されている。またすぐに発情するだろう。だが我ら神龍のような聖龍や聖獣に浄化してもらえばもとに戻る。必然的にお前の息子を求めるだろうな。」
インクブスに穢されたものは、それを上回る感情を持つ者と交わるか、子に穢れが付かないようにするため精に強い浄化作用のある聖龍や聖獣に注いで貰うしかない。
「お前の息子もその気なのではないのか?」
「それは分からんが…まぁ救出に前向きだったことは確かだ。」
「お前の息子は運が良い。あんな美龍と番になれるのだからな。」
「気が早いぞ。まだ本龍達の気持ちが分からないではないか。」
そう会話しながらその場を後にしたのだった。
3年の間ろくに休みも与えられなかった体はかなりのダメージを受けているらしく思うように動けない。狩りも上手く出来ずしばらくは彼に頼った。数日経つと恐れていたことが起きる。発情だ。助けられてすぐは疲労と安堵で誤魔化されていたが、徐々に熱を取り戻してきていて、なんとも辛いのはすぐ側に雄がいることだった。交われないという苦痛もあるが、同族故に発情がばれるのも時間の問題ということが辛く不安な日々を過ごす。そして川の近くで昼寝をしていたとき
「嫌…もう…産みたく…ない…あぁ…気持ちいい…」
「おい起きろ、夢だ。」
「ウ…」
「大丈夫か?」
立ち込める雌の匂いをかぎとり、それが今の夢によって発情した自分のものだと分かり返事をする前に涙が止まらなくなってしまった。
(哀れだな…)
素直にそう思ったサルジオは無言で通力を使い流れている愛液を消し去った。
「夢魔にやられたと聞いた。治る方法知らないのか?」
メイスは視線を落とし、
「…知らなくは…ないです。」
「なら何故求めない。治したいんだろ?俺は構わないぜ。」
「いいんですか…?」
愛する者と交わらないのは雄も同様である。
「お前が良ければな。」
相手は黒神龍。白神龍と対立している種族。それに愛してはない。しかしこの地獄からぬけるには白神龍のプライドを捨てるしかなかった。
「お願いします…注いでください…」
そう言ってその場で仰向けになる。ついに精神も交尾を認めたことで体はすぐに反応し再び愛液が滴った。
「ハァ…ハァ…」
(まだ触ってもいないのに…哀れだな。)
秘裂を舐めようと腰を掴むとビクッと体を震わせ更なる液を漏らす。何日も雄を受け入れなかった雌は数回舐められただけで達してしまったのだった。まぁすでに十分過ぎるほど濡れてるし、この濃い匂いで自分も早速雄を直下たててたのではやく行為に移ることとする。
「なるべく優しくするようには努力するが俺もあまり経験がないから、もし激しくしたらすまない。…前向きに考えればほぼ出してないから濃いな。」
なんとか自分を元気付けようとしている彼に安心感を覚える。
「構いません。好きにしてください。」
むしろ激しくした方が良いのだろうか。迷いながら先端をいれるとメイスは声をあげて反応し、俺の腰を思いっきり引き寄せて自ら一気に貫かせた。そしてそれで絶頂するがやはり本心ではないのかボロボロと泣き始める。
「ごめん…なさい…抑え…られなくて…ごめんなさい…」
「分かったから気にすんな。今楽にしてやるから。掴みたかったら掴んでろ。…怖がるな。俺はインクブスじゃない。」
「はい…」
私は彼に文字通り抱かれていた。優しく、優しく擦り込むように動かれ無意識に彼を抱き締める。サルジオもそれに応えているうちに気がつけばその熱い交尾を楽しんでいたのだった。
「もう少しだ…」
「ハイ…」
「…出るぞ。」
ブシュッ!ブシュッ!…
「キャウッ!」
インクブスも所詮は
(こんなの…初めて…)
胎が温かくなり、今まで得られなかった満足感と共に体から不自然な熱が消えていった。やむを得ずだった彼との交尾。ずっと気遣い励まし続けてくれた彼に今や好意すら抱いている。
「ありがとう…」
正しい快感に震え、涙目で微かに微笑みながら礼を言うメイスの顔をサルジオは思わず胸に抱いて撫でるも彼女は特に嫌がることなく身を預ける。まだ何度か出来そうだったが彼女の気の淀みが完全に消えるのを感じ、名残惜しげに己を引き抜いた。
「サルジオ…本当にありがとう。お礼の言葉も見つかりません。」
川で体を洗ってから改めて礼を言うメイスの体から毒は消え去り、瞳には輝きが戻りつつある。
「気にすんな。…まぁ、その…良かったし。」
「厚かましいですが、もうひとつお願いして良いですか?」
「なんだ?」
「甘えさせてください。」
「え?」
「何故かそうしたいんです。」
それは交尾をして子を宿すかもしれない自分に不安を感じ、守ってもらおうとする本能。正常に戻った証拠だった。そして綺麗な雌龍に甘えさせてと言われて断る若い雄がどこにいようか。
「ま、まぁいいが、」
遠慮がちにメイスが擦り寄り、遠慮がちにサルジオが応える。なんともぎこちない光景だ。だがそれは長く続かなかった。
「おい、大丈夫か?なんかフラフラ…おい!」
ゆっくり倒れたメイスを間一髪受け止める。彼女は半目で意識が朦朧としているようだった。
「メイス!…こりゃあまずい。熱が出てる。」
竜は風邪なんぞ滅多にひかない。それゆえ熱が出ているということはそれなりに危険ということである。夢魔の雌を狂わす毒は完全に浄化されたのだがそれと同時に悪魔の力も浄化された。メイスは囚われている間ほとんど休みなく犯され産まされていて、今までその悪魔の力によって誤魔化されていた肉体的な疲労とダメージが一気に振りかかったのだ。当然健康でいられるはずがないだろう。
「おい!メイス!しっかりしろ!…こりゃあしばらく帰れそうにないな。人間にも協力してもらうか。」
その後メイスは目を覚ましたものの起き上がることすらままならない状態で、サルジオや村人が世話をする。
「ほらメイス…食えるか?」
差し出された猪を食いちぎろうとするが力が入らず食べられない。力がかなり弱まっている上に食事も取れないということは死を意味する。
メイス「せっかく助けて貰ったのに…私は…もう…」
サルジオ「貸せ。」
サルジオは猪肉を一口食いちぎると噛み解してからそれを口移しで与えた。メイスは驚いたが流れに身を任せ、可食部の大部分は食べることができたのだった。
サルジオの介抱の甲斐あってかメイスは徐々に回復していき、救出されて1ヵ月経ってようやく外に出て飛べるようになったのでしばらく体を慣らした後森の泉で
「サルジオ、本当にありがとう。2度も救われました。」
遠くを見詰める彼女は辛そうで、悲しげだった。
「まだ苦しそうだな。」
「…」
「何だったら聞くぞ?1度は身を重ねた仲だ。何があったのか、話した方が楽になるんじゃないのか?」
メイスは何かを堪えるように目を瞑り、沈黙の後ゆっくり瞼を開くと語りだした。
─────────────────────
3年前…
既に魔力で改造された屋敷の地下牢に拘束された私は魔物や獣人に囲まれ、そしてあのインクブスがやって来た。
「よう。心配しなくても殺したり拷問したりはしない。お前には俺達の子を産んでもらう。」
「そんな…!いえ、私は愛するものとしか…認めた者との子しか宿さない。」
「残念ながらお前は宿す。知ってるだろ?夢魔のことを。」
そう言いながら私の体を撫で始める。
「夢魔…!」
「さて、お前の理想の雄はどんな雄かな…?心を閉ざしても無駄だぞ?俺が読むのは心じゃなくて本能だからな。」
そしてインクブスは人間から白龍へと姿を変える。
「さーて…どれだけ耐えられるかな…?」
そのまま長い間愛撫されても、その時の私は耐え抜いた。
「へー。さすが神龍、これじゃあ後ろにいるやつらが我慢できないから始めさせてもらうぜ?もちろん抵抗しないよなぁ?誓いが消えちまうもんなぁ?」
そして初めての雄を受け入れる。
「まぁ怖がるなって。お前の理想の雄なんだろ?俺は。」
「お前など…ただの悪魔だ!」
「まぁいい。とりあえずさっさと注ぐぞ。」
その後私は並んでいた何匹もの雄に犯され、一周してインクブスが回ってくる。
「まだ堕ちてない。流石だ。」
「魔物たちなんかに…堕とされる訳には…」
「そんなに我慢すんなって。ほぅら。」
「はうぅ…」
インクブスの雌を狂わせる愛撫に気力を削られ、私は話せなくなっていった。
「入れるぞ。」
「くぅ…」
「ほら力抜けよ。少なくとも今ぐらい楽しもうぜ?何たって他の魔物達とは違って今の俺はお前の理想の雄なんだから。」
「それは…偽の…」
「固いこと言わないで…身を任せてみろ…」
耳元でそう囁かれるだけで快感がますようだった。そしてしばらく突かれていると私はすっかり虜になってしまっていたのだ。
「ハァ…ハン…」
「ほら気持ちいいだろ?」
「もう…やめ…ンン!」
強引に口付けをされ、そこで私が壊れた。舌を絡め、離れると
「そうだいい子だ。そのトロンとした顔…可愛いぞ。」
「ハァ……」
「ん?欲しそうな目だな?」
「グ…」
「睨んだって体は必死に求めてるじゃないか。」
「…」
「よーし。強い子を産んでくれ!」
その後、私は進んで犯された。気がつくと独りで牢にいて仰向けに縛り付けられている。
(あれ…私は…)
見れば汚された体に僅かに膨れた腹。記憶を遡れば涙が止まらなかった。そしてそれが何度も続いていたある日。
(熱い…熱い…)
体が溶けそうなくらい熱くなり、腹がキリキリと痛む。ついに肉体改造が終わり、魔物を産む準備が整ったのだ。
「お!やっと孕んだな。良くやった。」
そう言われ抱き締められながら首を舐められると条件反射のようにトロンとなってしまう。そしてあくまで寄生の子供のために精を注がれ続け、日が経つと私の腹は異常なまでに膨らみ時折中でモゾモゾと動いているのがわかる。そして
「痛い…!」
このときはとんでもない激痛。私の意思に関係なく体が産み出した。1匹ではない。ミノタウロス、オーク、その他魔物などが次々と産まれ、中でも一部の魔物は自分から這い出てきた。その時の痛みといったら…何度も気を失った。
それから2週間ほど放置され、私は再び犯され宿す。そしてまたいつ産まれてもおかしくない状態になり、痛みの恐怖を抱いていると。
「心配すんな。前に産んだ時でお前の体はもう慣れた。」
その言葉通り、魔物が這い出てくるときは交わるとき以上の快感が襲ったのだった…。
─────────────────────
サルジオ「じゃあ俺達が殺した中にはお前が産んだ子供もいたってことか…」
メイス「仕方の無いことです…それに獣人の子はともかく悪魔の子は寄生と言った方が正しいでしょうし。」
そうは言ったものの、血の繋がりのある獣人との子供も殺されたというのも事実であり多少たりとも心を痛めていた。
「…あの快感が偽物だということは分かっていた…でも求めずにはいられなかったのです。死んでしまいたかった…でも抵抗するには私は穢され過ぎて…舌を噛もうにもあの快感が忘れられず…気づけば拘束を外されても私は逃げようと思わずただ犯されるのを待っていた…」
「それが3年か…地獄だな…でももう終わった。だろ?」
「はい…この間あなたと交わった時、ずっと感じられなかった満足感を得ました。もう私は堕ちることはない…」
そう言って静かに泣いた。
「ありがとうな、話してくれて。」
「こちらこそ…聴いてくれて…うぅ…」
「お前は強い。」
そっと翼で抱いても、そのまま固く抱き締めても抵抗しない。
(心は癒えないか…)
悪魔の子を産まされ続け精神崩壊寸前だった雌龍。この哀れな雌龍に雌龍としての本当の幸せを知って欲しいと強く思った。ふと自分はそれができる雄だということに気づくと強烈な欲に駆られ腕の中の彼女を見る。
「なぁお前…」
「はい。」
思わず声をかけてしまい少し後悔したが、潤んでいる目で見上げられれば自分の物にしてしまいたいという想いがさらに強くなる。
「その…俺は良いがお前は嫌じゃないのか?俺とこんなことして。」
「そうですね…確かに白神龍である私と黒神龍であるあなたが抱き合っているなんて、今までの常識から考えれば互いに穢れると言うでしょうね。でも交わった時点で今更です。本来私たちは愛するものとしか交わらない…貴方を普通の龍とは見れませんよ…」
「ま、まぁそうか。」
気まずい沈黙。破ったのは意外にもメイスだった。
「正直に言うと、今身を委ねられるのは助けてくれたあなたしかいないんです。…私、本当はとっくに堕ちているのかもしれませんね。」
そう言って哀しげに笑う。あの冷たいところから救出、介抱されてさらに穢れまで取ってくれた異性。浄化の仕方も仕方なので心を射止められてもおかしくはない。自らの苦しみ、胸の内まで明かすことができたのもそれが理由だろう。今まで温もりも何もなかったのなら尚更だ。
「お前が…白神龍が堕ちるか…」
「えぇ…もう仲間に顔を合わせられませんね…」
「もしお前が堕ちたって言うなら俺が慰めてやるっていうのは…どうだ?」
ゆっくりと驚きの表情に変わった。
「悪い。言い方が悪かった。その…俺でよければ…幸せに…出来るかどうかはわかんねぇが…少なくとも、お前が…メイスが望むならずっとこうしてても…良い。」
「でもあなたを巻き込む訳には…」
「俺はお前には幸せになって欲しいと思ってる。本当だ。これは俺が雄だからかもしれないが…俺が幸せにしてやりたいとも思ってる。」
「…私、白龍ですよ?あなたとの子供が黒龍とは限らないのですよ?」
「子供のことまで考えてくれるのか。」
「そ、それは…」
「俺は白龍が産まれても構わない。俺は自分の望んだ子供なら何だって嬉しいさ。」
「でも私は…狂っていただけで…」
「それはもう浄化しただろ?それに嫌なら何で俺を抱き締めてる?」
「そ、それは…」
「さっきも言ったが、もしお前が狂って俺を求めたとしても俺は応じてやる。お前は素直な気持ちを言ってくれれば良い。」
「…わかりました。私の負けです。私はあなたとの子供なら…産みたいと思えます。番にしてください。」
「決まりだな。」
額を合わせ、互いに信頼していることを確認する。ふとメイスが
「今思ったんですが、」
「?」
「あなたのお父さんやあの白神龍も最初からこのつもりだったのではないでしょうか。」
「は!?」
言われてみればそうかもしれない。俺と彼女が番になることで白神龍と黒神龍の壁を無くす第一歩にしようというのならまぁ納得がいく。そうなると感情を利用された気がしてならないのだが、それで幸せになれるなら別に良いかと思ってしまうほど自分は彼女に惹かれていたようだ。
「まぁいい。俺もここで暮らそう。…礼は言うなよ。」
「はい。」
遠慮がちに口元を舐めれば応じてくれた。どちらの唾液か分からなくなるくらい互いの口中を舐め舌を絡め、糸を引いて離れる。
「メイス、ずっと守るぞ。」
「えぇ。私もあなたを心から愛します、サルジオ。」
再び抱き合えば今度は俺が発情する番だった。彼女に注ぎ身籠らせたいと強く思う。
「暗くなってきましたね、戻りましょう。」
洞穴に戻るとメイスは寝床に仰向けになり促した。今度はじっくりと彼女の膣を舐めて解す。自分の雄槍もすぐに張り詰め、早く貫きたいと言わんばかりにピクピクと動いていた。
「いれるぞ。」
「はい。」
心なしかキツくなった彼女の中に肉棒を根本まで押し込むと彼女は満足げにため息をついたのだが、少し辛そうだったのでそのまま抱き締めた。
サルジオ「平気になったら言ってくれ。」
「すみません、なれているはずなのに。」
「夢魔は生殖の常識やら何やらを思いきりねじ曲げるからな。もしかして雄龍とはこの間の俺とが初めてか?」
「えぇ。私の処女は変化したインクブスに…」
「だとするとさっきのでお前処女に戻ったのかもしれないな。」
「だと良いですね…」
「まだ怖いか?」
「いえ、普通に緊張しています。浄化するだけのための行為なのにあれだけ優しくしてくれたあなたに恐怖なんて抱きません。」
「雄として嬉しい言葉だな。」
「フフ…もう大丈夫です。あなたの色に染めてください。あの思い出を消して下さい…」
「辛くなったら言ってな。」
「はい。」
ゆっくり腰を引き、そのまま先程同様擦るように動き出す。
「ハゥ…」
以前とは違い、子をつくるための交尾。えも言えぬ興奮が2匹をさらに高ぶらせ、それは互いを求める欲へと変わった。
グヂュ…グヂュ…
「クハァ…ハァ…ンン…」
恍惚とした表情でメイスは初めてその快感を純粋に楽しみ、今度は自分の意思で彼を引き寄せ擦ったり顔をつけたりして興奮を増幅させる。悪魔が這い出てくる時の快楽には及ばないはずなのに、それと比べ物にならないほど心地良く感じていた。
(メイスと子作りなんて…実感わかねぇな。身籠ったらもっと笑ってくれるかな…)
彼女が喘ぎながら自分の体を擦っているのを見て、こんなに良い雌龍と番になれるよう計らった親達に感謝せねばと思い、また奥を押し上げられ痙攣する彼女をいとおしく想いその顔をさっと一舐めする。
「もう悪魔の子なんて産まなくていいんだ…俺達の子を宿してくれ…幸せでいてくれ…メイス…」
「もう十分…幸せ…です…」
身も心も腹にその温もりを求めていて、少しばかり強くなった押し付けに彼も限界が近いことを悟り身構えた。
ブシュウッ!ブシュッ!…
「アウゥッ!ンム…」
彼の熱い愛に満ちた子種を注がれて声を上げるとその口を奪われる。離れるとサルジオもその快感と満足感で顔を緩ませながら私の顔を自分の胸に押し付けた。尚も注がれる感覚に意識を集中させながら
「これで私はあなたの───」
「物なんて言うなよ。メイスは俺の番…妻だ。」
「はい…私は幸せ者です…」
「俺も今すごく幸せだ…これからは遠慮せずに甘えてくれ…俺もそうするから。」
「はい…元気な子が産めると良いですね…」
「俺達の子だ。元気すぎるんじゃないのか?」
「クス…楽しみです。」
「愛してるぞ。」
「私もです。」
宿してくれと言ったものの龍が身籠るのはかなり難しい。まぁでもそれまで交尾を楽しむのも良いだろう。だが…
「続けなくて良いのですか?」
「お前が続けてほしければ俺も喜んで続けるが、今は無理しないで休んだほうが良いんじゃないのか?…もうずっと一緒なんだからお前が完全に元気になったら思う存分楽しめば良い。」
「そうですね…お言葉に甘えさせてもらいます。優しい夫に出逢えて良かった。」
「照れるな。じゃあその言葉、そのまま返してやる。」
注がれた温もりと快感の余韻に浸っているメイスを引き寄せれば甘えてくる。目が合えば美しい笑みを浮かべられて、感極まるのを誤魔化すように彼女を抱いた。
──────────────────────
──────────────────────
村長「おめでとうございます。私共からは祝辞を述べることぐらいしかできませんが…」
メイス「それで十分です。ありがとう。」
サルジオ「帰ったぞ…お前達も来ていたのか。」
新しく建てた屋敷に村の一部の人間が集まっていて、その目線の先にはメイスが抱く大きな卵がある。
サルジオ「黙っていて悪かった。妻をそっとしてやりたかったんだ。よく頑張ってくれてたぞ。」
メイス「彼、ずっと抱き締めて擦ってくれてたんです。」
初めての産卵は激しい苦痛を伴うものだったが、辛いとは思わなかった。抱卵中は悪魔の子を産んだというトラウマもあったもののサルジオの励ましで安心して産卵することができたのは辛いと思わなかった大きな要因だろう。抱卵していたことは村人には伝えておらず、産卵が終わって数日経ってから伝えたのだ。
黒龍のサルジオがメイスの番になると聞いたときはさすがに不安の色を見せた村人だったが、人間の男よりも妻に献身的なのではと思えるサルジオと村人は次第に打ち解け今やメイスと共に祀られていて、卵が産まれたと聞いたときも村中が喜んだ。
村長「どれくらいで孵るのですか?」
サルジオ「2日かそこらだろう。ある程度育った卵が産まれてくるからな。」
そう言いつつメイスを抱き寄せ彼女もそれに応えて甘える。
「幸せそうで何よりです。一時はどうなるかと思いましたが…サルジオ様と出逢われて本当に良かったですね。」
メイス「そうですね…サルジオ…本当に感謝しています。そして彼と巡り逢わせてくれたあなた達にもね。あなたの3番目の子供は元気?」
「はい。お陰さまですくすく育ってます。お邪魔でなければ今度会ってください。」
その4日後、金色の瞳を持った白龍の子供が孵ると村はお祭りで賑わい、神龍たちはうっとりと我が子を囲んで眠るのだった。
おわり
実は私、レイプ物はあまり好きじゃないんですよね(←じゃあ何で書いた)。次はもっとほのぼのしたやつを描きたいです。
ご存じの方もいると思いますが、少し前に新しい作品が上に来るよう並び替えたので、【前へ】を選択すると次(新しい)話になります。ただし、シリーズに別れているものはタイトル通りの順番になっています。ややこしいですが短編なのでそちらのほうが選択しやすいと思ってそうしました。元に戻して欲しい等ありましたらコメント欄等にてお知らせください。