ある山の奥深く、滝の近くのの洞穴に、蒼い目に白銀の鱗を携えた雄竜…神龍の子孫である若い龍が棲んでいた。神龍の子孫と言っても特別地位が高いわけでもない。その血を絶やさない為に生まれた、いわば保険である。いくら力が強くても神龍の里で暮らすことなく、遠く離れたこの地で暮らしていた。
今日もいつも通り平和だ。争いが無いのは良いことなのだろうが、ここ最近10年くらい同族に会っていない。友達の赤竜がいるのだが、自分よりずっと年上で彼らに子供が出来てからは邪魔になってはと会いにいってない。
「ほんと、辺境に飛ばされちゃったよなぁー。」
誰も聞いてないことは百も承知だが、あんまりにも喋ってないので自分が話せるかどうか心配になり、最近は思ったことを声に出して言っている。
「せめてもう少し同族がいるところが良かったな。結構遠くまで行かないと会えないし。」
その原因が自分にあることをこの竜は知らない。いくら保険とて特別な力を持つ神龍と争いたくないからである。
「まぁ、お陰でゆっくり寝れるけど。」
あまりのんびり暮らしていると弱っちい竜になってしまうのではと思い、鹿や猪と追いかけっこをすることもしばしば。火を吹こうと思えば吹けるし、神通力を使おうと思えば使えるのだが、それではすぐに終わってしまうので敢えて原始的に、つまり走って追いかける。そのまま捕まえて食うこともあれば、腹が減ってなければ逃がす。
「あー、疲れた。」
今日も散々追い回してくたくたになり、滝壺近くで水を飲む。そんな日々がここに飛ばされて40年過ぎたのだが、ある日
「あ…」
その滝壺に、自分よりも若い雌竜がいた。巣立ちしてすぐなのか?金色の鱗を纏い、小さな角の根元やその他所々に赤い毛が生えていて美しい竜だった。だが、目が合うと
「な、何よ!?ここは私が見つけた場所よ!」
「え、いや、ここ僕の縄張りなんだけど。」
「な、なら譲ってもらうわ!」
そう言って襲いかかってきた。ヒステリックだな、とか思いながら避ける。
「くっ逃げるな!」
逃げてるつもりはないんだが。鍵爪で引っ掻いてきたので避ける。
「ちょっ…いきなりっ……なんだよっ…水飲むくらいならっ…いいからっ…」
唐突に噛みついてきて、体勢を崩す。中々のスピードだ。戦い慣れてるのかもしれない。流石に怪我はしたくないので隙を見て蹴っ飛ばす。意外と自分の力は強くなっているらしく、金竜は転がっていった。
「グッ…イテテ…ク、くそ!」
なおもかかってきたので、今度は神通力を使ってみた。
「ウワッ…な、なんで?」
こちらも良い感じ。金竜は宙をもがいて飛んでった。
「クソッ覚えてろ!」
そう言って金竜はどこかへ行った。
「なんなんだよあいつ。」
でもちょっと楽しかったかな。若い竜とじゃれた(?)のは久しぶりだ。
「50歳とか、60歳ぐらいかな?僕がもうすぐ90歳のはずだから、あの子中々強いな。そういえばあの見た目、もしかして月光竜の一族かな。確か月光竜って血を受け継いだ子供がもういなくて絶滅寸前って前聞いたけど、まぁ70年くらい前のことだから分かんないけど。」
月光竜とは神龍の派生で、金色の鱗を纏いある程度力を持つが神龍よりは格下の一族だ。力を受け継ぐ繁殖条件が、満月の光を浴びながら(雲がかかってはだめ)交尾しないと子供が宿す可能性すら無く、それでも宿す可能性はかなり低いと厳しい。他種族の竜となら月光竜の子ではないが普通の方法で子供が作れるので、多くは他種族や雑種と混血となって消滅した。そのため若い個体がいなくなり、絶滅寸前と言われている。
きっと新しい子が生まれたんだ。でも何でこんなところに?
そんなことを考えながらもう一度水をのみ、塒へ戻った。
─ ─ ─ ─ ─ ─
「せっかく良いところ見つけたのに…でもあの竜には敵わないし…そうだ、寝込みを襲うならどうかしら。首を掴んでしまえば降伏するでしょうね。」
そうして夜更け、眠気など興奮と緊張で感じない。簡単にあの竜の巣とみられる大きな洞穴を見つけた。随分綺麗に掘ったものだ。
(ラッキー。湖だけじゃなくて良い塒も手に入る。これでやっと私にも居場所が出来るわ。)
そっと巣を外から覗いてみる。
(結構奥行きがある…用心深いのね。いた、寝てるわ。)
音をたてぬようソロリソロリ近づき、入り口にさしかかったとき、何かに押されたようによろけた。するとモゾモゾっと寝ていたハズの竜が起きた。そして目が合うとため息をついて、
「やっぱり来たか…結界張っといて良かった。」
「結界!?まさか…あなた…神龍なの?」
「そう。血を絶やさないための保険だけどね。で、どうするの?作戦は失敗したみたいだけど。」
「う…く…。」
神龍なら敵う筈がないが、逃げるのも癪だし神龍の結界は触れると弾き飛ばされると聞いている。年上に見えるがまだ力は未熟なのだろう。近距離戦に持ち込めば勝てるかもしれない。
「このぉ!!」
またしても避けられた。だが後ろは洞穴。もう逃げ場はない。
「ううおっ!」
全速力で突進。しかし
「グッグウゥゥ…」
両手で受け止められ、そのまま突き飛ばされてしまった。
「くそぉ!」
それでもなお攻撃を続ける…。
「くそっせっかく良い場所見つけたと思ったのに…。」
結果は勿論惨敗。向こうは遊ぶように手加減していたので怪我はしていないのだが、心身ともに疲れた。特に心が。居場所ないなら泊まってくか?と言われたけどそんなの私を犯すことが目的に決まってる。私は格下とて月光竜、血筋は優秀な方だし、あいつが血を絶やさないための保険だとしたら尚更だ。
「どいつもこいつも…。」
愚痴を呟きながら歩いて寝れそうな場所を探す。翼はあるのだが、今は私を追っている奴に見つかるかもしれないから飛びたくない。
「ここなら良いか…。」
小さな洞窟を見つけた。だが寝床らしいところがある。微かな匂い的にどうやらあの白竜がもう少し幼いころに使っていたところらしい。やや窮屈だし手入れもされてないがその辺で寝るよりよっぽど良いだろう。
その狭い寝床で自分の運命を呪いながら丸くなった。
「あーあ、里にいれば今頃お母さんとお父さんにかこまれてるんだろうなぁ。」
ふとそう思って目頭が熱くなる。そんな思いを掻き消すように首を振ると眠りについた。
彼女は元々月光竜の里で暮らしていた。絶滅寸前で里といっても5頭しかおらず、しかも全員が寿命の半分を過ぎている。月光竜の寿命は800年程度。力が自然に衰えるのは死ぬほんの数年前なのだが、死ぬ100年位まえから生殖は徐々に出来なくなる。5頭のうち3頭はすでに生殖能力が衰え始めた老龍で、残る2頭も500歳を軽く越えていた。彼女はその2頭の間に生まれたのだ。ただでさえ子を宿す条件が厳しいのでまさに奇跡とも言えるだろう。月を表すルナという名前をつけられたその子供は大切に大切に育てられた。
今から約20年前、まだ仔竜の彼女は狩りは独りで出来るものの両親と同じ塒で暮らし、寄り添って寝ていた。
しかしある日、彼女は少し遠くに狩りに出ていてその帰り道。晴れていた筈の空が急に暗くなり、激しい嵐になってしまったので早く戻ろうとスピードをあげて飛んでいたのだが、途中で雷に撃たれてしまい死は免れたものの意識は無くなり墜落。数時間気絶し、目覚めた時には記憶がなかった。
何も分からなくなってしまった彼女はパニック状態に。里とは全く別の方向へむかってしまい、途中で記憶を少しずつ取り戻したものの自分が何者でどこに住んでいたかを思い出したときには既に帰り道が分からなくなっていた。
宛てなく漂う中何度か竜に会ったが、里には老龍しかいなかったので同年代だとどう接して良いか分からない。それに優秀な血筋を狙って自分の物にしようとする雄も現れた。今も黄緑色の巨竜にしつこく追われている。
あの白竜に会ってから1週間。私はほとんど獲物をとっておらず、満足に食事ができていない。落ち着ける場所を求めてさまよっているのだが、中々の良い場所はなかった。途中赤竜を見つけ住みかを奪おうとしたのだが、2匹の子供がいるのに気がついて断念した。そりゃああの時は雌竜しかいなかったから子供を質にとれば言うことを聞くだろうが私にそんなことはできない。質にされる子供の気持ち、盗られる親の気持ち、それらを考えてしまう。
飛べば圧倒的に効率良く移動出来るのだが、そうすれば私を追っている黄緑色の竜に見つかってしまうかもしれない。あの巨竜には勝てない。今までも何度か雄に追われたがあれ程しつこいのは初めてだ。
飛べないためこの山と麓の森の中で歩いて獲物を見つけるのは困難だった。最初は鼠や果実などでうえと渇きを癒したが、今日食べた果実がどうも体に合わないのか毒があったのかで吐き気と熱に襲われている。これではろくに動けない。
それからさらに5日後…
食べないと…もうそんぐらいのことしか考えられない。吐き気と熱は収まったが、あれ以来何も食べていないためヨロヨロと生まれたばかりか老いぼれのように歩く。
(なにかたべものは…たべないとしんじゃう…だめ、つかれた…すこしやすもう。)
川を見つけたので水を飲む。
(このみず…あのはくりゅうのところからの…やっぱりとまらせてもらえばよかったかな…。)
バサッバサッ…
ハッと振り向くと…
「やっと見つけたぞ小娘!…ってどうしたのだ!?ガリガリではないか!」
見つかってしまった。私の倍近くある大きさの黄緑色の竜が私の前に降り立ち、驚きの声をあげる。今まで私を気遣う言葉なんて無かったのに、それでもそんなことを言うなんて一体今の私はどんな姿なのだろう。
「こ、こないで…。」
「全く何してたか知らないがそんなヒョロヒョロになって可哀想に…おいで、鹿でも猪でも腹一杯食わせてやる。」
一瞬、ついていこうかと思った。が
「だからまず我の色に染めてやらんとなぁ。」
そう言ってニヤニヤ笑いながらよってくる。
「いやぁぁ!来ないでぇ!」
急いで逃げようとするも足がもつれてしまった。その隙にうつぶせに押さえ込まれてしまう。
ズゥゥゥン…
「やっと捕まえたぞ小娘。さぁ我の子を産んで貰おうか。心配するな、不自由はさせぬ。まぁこの若さで子を宿すのは無理だろうが時間はたっぷりとあるのでな。さぁ覚悟は良いか?」
「離して…離してよぉ…。」
両手で軽々押さえられながら仰向けにひっくり返されると、勝利による交尾の予感の興奮に私の腕ぐらいの長さの奴の巨大な雄の象徴がそそりたっているのが見えた。
「い、いやぁ…。」
「フフフ…まぁ最初は辛いだろうが慣れればすぐに良くなる…快楽に狂って自分から求めるようになるまで突いてやろう。お前も受け入れた方が楽だぞ?多少の痛みと、あとは快楽だけ感じていれば良いのだからな。」
そしてそれを私の秘部に当てる。
「嫌だぁ…やめて!やめて!」
必死に下半身をひねって拒否する。その刺激で奴の極太から先走りが垂れ私を汚した。
「こ、こら動くな入らないでらないか。」
「あんたの…子なんて…誰が…!ウガッ!」
頭を叩きつけられた。
「まだ自分の状況がわかっていないか?我次第で命を落とすのだぞ?」
「ウゥッ…。」
「そうだ、素直に受け入れろ。」
ググググ…
「入らない…そんなの無理よぉ…。」
「力を抜け小娘。」
当然抜かない。むしろ全力を込めて拒絶する。
メリメリ…
「いやぁぁぁぁ!やめてぇぇ!痛いぃぃぃ!」
抵抗虚しく入ってきた。与えられる痛みと快感に体が動かなくなり、徐々に巨根が自分に埋め込まれていくのを呆然と見るしかない。1/5程入ったところで一旦抜かれ、また入れられた。今度は半分まで入り、足をばたつかせるがなんの効果も無く
「うむ…やはりかなりキツいな…半分しか入っていないがまぁ良い。初めてだからな。まずはすぐに染めてやる。」
そう言って前後に動かされ、徐々に気力を削がれていく。
「アグッ…アグッ…」
「中々良いぞ小娘、ではそろそろ出してやろう。」
「いやぁ…こ、こんなこと…白竜が黙ってないわよ!」
思いつきだった。藁にすがる思いで虎の威を借りてみる。
「は、白竜!?お前あいつの雌なのか!?」
慌てて引き抜き、あの白竜に染められてないか確かめるため私の秘部に鼻を近づける。動揺で私を押さえている力が弱くなったので、渾身の力を込めて尻尾で奴の頭をはたいた。その勢いを利用して体を捻り、拘束を解いて全力で逃げる。
「きっ、貴様よくもっ!まてぇ!小娘ぇ!」
「ギャャオオゥゥンギャャャオオゥゥン!」
(誰かぁぁぁぁ!誰か助けてぇぇぇぇ!)
初めて使う、種に関係なく助けを求める叫び声。だが身に避け難い危険が迫っているというところににつけこまれるリスクもある。それに助けてもらったとしても独り身の異姓だとそのお礼にと番にされることもあるが、思いやりで助けてくれる奴の方がよっぽどましだろう。今はとにかくコイツから逃げることが優先だ。
全速力で走り距離を離す。最近ずっと森の中を歩いていて慣れていたので、そのお陰で向こうは追い付けない。しかし────
「ハァ…ハァ…もう無理…限界…。」
空腹で視界が狭くなり、ついには目が回ってうつ伏せに倒れてしまった。
もうこのまま奴の言いなりになってしまおうか。子を産むから乱暴にされることはないだろうし、寝床も食料にも困らないはずだ。
「うぅ…お父さん…お母さん…助けてよぉ…どこにいるのよぉぉ…うぅ…うぐっ…ふぐっ…。」
涙が溢れた。もう会えない。月光竜のプライドを守って餓死するか汚されてでも生きるか。
足音が近づいてくる。まだ距離はあるだろうが見つかるのは時間の問題だ 。
「う…ウワァァァン!…ウゥッウウウ…」
大声で泣いた。仔竜のように。
バサッバサバサッ
羽音を聞きハッと起き上がる。
「何があったの!?こんなに痩せちゃって!」
「あ…!あ…!」
白竜だった。偶然か、泣き声を聞いたからなのか。いざ会ってみると屈辱感が沸き上がった。見るな、近寄るな、あっち行けと言おうとするが思いとどまる。その白竜の腕には…夢に何度もみた、恐らく獲ったばかりであろう時々痙攣している大きな鹿が抱えられていた。白竜など眼中にない。鹿に釘付けになった。自然と涎が垂れるのがわかる。時間帯的にも私のためではないということはわかっていた。分かっていたけど…
ドサッ
「…!!」
「食べな。何日も食べてないんだろう?僕は昨日も食べたからそれは君にあげるよ。」
後半は頭に入らなかった。今までの疲労が吹っ飛び、状況も完全に忘れて飛び付くように食べた。
(あぁ、鹿がこんなに美味しいなんて…助かった…)
白竜が側にいてくれたお陰かあの巨竜は姿を現さなかった。喉が血で潤され、腹が肉で満たされると強烈な眠気が襲ってくる。
「すごい食べっぷりだったけど、満足した?」
ここで自分の置かれた状況を思い出す。
「りゅ、竜は…?」
「大丈夫。来てないよ。」
恐らく私の先走りに汚れた体を見て何があったか悟ったのだろう。
「今朝久しぶりに赤竜に会ったら、痩せた若い金の竜が住みかを奪いに来て、子供を見たら諦めたから悪い竜じゃないって。もし見つけたら事情を聴いてやってくれって言ってたから捜してたんだ。そしたら声が…。」
ダメ、眠い。そのまま眠りに堕ちた。倒れた私を受け止めてくれたのは覚えている。
「う……ん?」
目が覚めるとふかふかな寝床にいた。匂いであの白竜の巣だとすぐに分かる。体を洗ってくれたのか先走りは綺麗になくなっていて、思わず寝ている間に犯されていないか確かめるも思い過ごしのようだ。お腹が空いたなぁ。さすがにあの1匹を食べただけでは飢えは収まらない。白竜が戻ってきたらなんて言おうか、そう考えながら彼の帰りを待っていたのだがいざ鹿を2匹抱えた彼を見れば空腹でそれどころではなくなった。
食べ終わり一息ついて、
「…いつまでいさせてくれるの?」
と聞けば
「それは僕が聞こうと思ってた。」
と言われた。
「まぁ、あのでかい竜がうろついてるからもう少しここにいた方が良いかもね。」
「そ、そうね。」
気まずい。ありがとうと言おうと思ったのだが、体を洗われたことと、私が何をされたのか知られてしまったことによる恥ずかしさと悔しさが邪魔をした。
「っていうかあいつのこと知ってるの?」
「あぁ匂いでわかった。黄緑色のやつだろ?結構前に僕が年上の雄の赤竜に遊んでもらっているときに悲鳴が聞こえて、駆けつけてみたら雌の赤竜が無理矢理犯された後でつれてかれそうになってるところだったんだ。その時の匂いと同じだった。まぁ、未遂だったから大分薄い匂いだったけど。」
「その赤竜ってもしかして…?」
「君が襲った赤竜さ。あれをきっかけに仲良くなって、一緒に助けに行った友達と番になったんだ。」
「そういえば私のことを教えたのもあの赤竜って昨日言ってたわね…」
襲ったのに、卑劣な手も使おうとしたのに私を気遣ってくれるとは。なんて優しい竜なのだろう。いや、確かに赤竜も優しいが…。
「じゃあ僕は見回りに行ってくるから待ってて。君も結界に入れるようになってるから。」
「ま、待って!…私も行かせて。」
しばらく見回りをし、川で魚を獲って遊んだ。魚を食べたのは初めてだが意外と美味しかった。はしゃいでいるとあっという間に日は傾き彼の巣に戻る。
元気を取り戻した彼女を見て僕は少し安心した。これならもう心配ない。後はあの巨竜さえなんとかすれば彼女はもう安心して暮らせるだろう。だがあいつは諦めがかなり悪い。僕が彼女を番にしてしまうという手もあるが、相手の気持ちも分からないし、それに今の彼女は神龍の僕には見合わない。美しさは十分だが、このままでは彼女は変わらない。恐らく僕と親しくなれても他の竜とは仲良くできないだろう。
(さて、どうするかな。このまま追い出すこともできるけど放って置くのは可愛そうだ。それにまだなにか抱えてそうだし。)
そんなことを考えていると、彼女が遠慮がちに
「ね、ねぇ」
「うん?何?」
「お、お礼…」
そう言って仰向けに寝転がる。
「助けたからって求めた訳でもないのに体を差し出すことないだろ…」
「わ、私にはこれくらいしか出来ないし…へ、平気よ。お礼なんだから。私まだ子を宿せるほど年取ってないし。だから好きにして。」
近づけば彼女は目を瞑って備える。起き上がらせると少し驚いた目でこちらを見た。
「僕ら神龍は愛するものとしか交わらない。」
「そ、そう。悪かったわね。」
「さぁ今日は休もう。僕の寝床使って良いよ、僕らなら一緒に入れる。」
そうして寝床に入ると。
「ねぇ、月光竜の里の場所知らない?」
「知らないよ。どうして?そこから来たんじゃないの?」
「確かにそこから来たんだけど…。」
彼女はポツリポツリと自分の過去を話した。途中から泣きながら。話が終わるまで背中を擦ってやった。なるほど、どうりでひねくれてる訳だ。ほどけるかもしれない。
「それでこれからどうするつもりだい?このままじゃ独りのままだよ。」
「そ、それは…」
「第1君は他の竜とは仲良くないだろ?今回はたまたま僕が助けたけど次はないかもよ?」
「それは…」
「僕だって親じゃないんだから何の関係もない君をいつまでも置いておくわけにはいかないし。」
「…いつ…まで?」
「君次第。」
「…」
「君は一体どうしたいんだい?折角助けたけど生きる目的がないなら獲物がもったいないから殺してもいいよ?」
「!!」
「どうしたいんだい?それに答えられないなら…。」
彼が殺気を見せた。澄んだ深い蒼色の目に見つめられ身動きができなくなる。
「答えられないなら生きてる意味無くない?」
軽い口調で、だが今や殺気を通り越したものを放っている。
(殺される…!)
本能でそれを感じた。私はこれからどうしたいの?さっき彼に体を差し出したのは、本当はそれで自分の居場所が出来るのではと思ったからだった。私が言いがかりをつけて襲いかかったのに私を助けてくれた彼なら、一緒にいればこれからも守ってくれるのではと思ったからだ。しかしそううまくはいかない。
彼が1歩踏み出した。私は後ずさるが後ろの壁にぶつかる。また涙が出てきた。体が恐怖に震えている。
「わ、わた…しは…どう…すれば…?」
「それは自分で考えな。」
「…!」
自分で?そんなこと今まで考えたことない。考えろ。殺されるぞ。温厚そうな彼がこんなに恐ろしいオーラを放つとは思わなかった。いや、それは自分が原因なのかもしれない。それを素直に伝えるべきなのだろうか。この私が?いや、私は彼からすれば格下だし…。
さらに近づく。いけないそんなことよりもどうするか考えないと本当に殺される。あぁ、お母さん…達は今はいない。私は独り。独りぼっち…。
ズン
「ヒッ…」
彼女は完全に怯えている。こんなの僕のキャラには合わないけど、こうでもしない限り変わってくれないだろう。
「死に…たく…ない…」
ズン
「お、お願い殺さないで……本当にごめんなさい…」
「何が?」
「今までのこと…私が悪かったの…これからは…ちゃんと考えるから…だから…死にたくないから…殺さないで…!」
彼がさらに歩みより、もう息がかかるところまで近づいた。そして首を伸ばしてくる。私は来るであろう激痛に備え目をぎゅっと閉じた。
コツン
額に固い感触。目を開ければ彼も目を瞑りながら私の額に自分の額を合わせていた。
「言いたいことは3つ。1つ目、最近から素直に余計なプライドを捨てていれば他の竜にも嫌われずに済んだと思うよ。2つ目、自分の行き先を他者に委ね過ぎ。これからはもう少し自分で考えて。3つ目、脅してごめん。殺すつもりなんて更々ない無いから安心して。」
そう言って彼女の目を見ると
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
とうつ向いて言い続けたので
「もういいよ。さぁ、寝よう。」
「ちょっとだけ、甘えても良い?ちょっとだけ。」
頷くと泣きながら抱きついてきた。しゃくりあげながら擦りつく彼女を見て、ちょっとやり過ぎたかな、と思う。また背中を擦ってやると徐々に落ち着いて、寝息をたて始めた。
(僕よりも若いのは確かだけど、それにしても随分幼いな…。)
涙を舐め、なんとなく抱き締めてから僕も眠りについた。
翌朝、彼女がそこまで落ち込んでなくてホッとした。
「ねぇ、もう少しだけ…もう少しだけ側にいさせて。」
「もちろん良いよ。」
「あと、その、助けてくれてありがとう。昨日もね。」
「うん…見回りに行くけど、その後また魚を取りに行くかい?」
「うん!それとお願いがあるんだけど…。」
「ここだよ。」
「あ、あの~。」
赤竜「あらあなたは…!」
「こ、この間はすみませんでした!それと彼に私のことを教えてくれてありがとう。お陰で助かったわ。」
「生きるのに必死だったんでしょう?子供を襲ってたらこんなんじゃ済まないだろうけど、ちゃんと手出ししなかったしこれが自然というものでしょ?これからは仲良くしましょうね。」
謝りに行った後、彼女はどこか清々しい顔をしていた。こんなに効果があるとは思わなかったな。
川で思う存分遊び巣に戻ると、彼女がなにか言いたげにもじもじしていた。
「どうしたの?」
「えっと…その…な、名前!…聞いてなかったから…」
「リュンだよ。」
「私はルナ…ねぇリュン…その…いて良い?ここに…」
「うん。あれさっきも言わなかったっけ?」
いやそうなんだけど、そうなんだけどさ。私は初めて抱く感情を彼に伝えようと苦戦している。1度拒否されてしまったが、前は随分と失礼な誘いだったのでもう一度試みた。
「そうじゃなくて、その~…。」
「?」
「その、こ、これからもずっといたいなーって…だめ?」
「ずっとってことは番としてってこと?」
「そ、そう!わ、私にはまだ早いかな?」
「何歳?」
「60歳ぐらい…」
「僕は90歳だけど…確かに僕らの時期の30年は大きいよね。そのわりには随分体格良いね君。」
ちなみに雌竜は100歳前後で子を宿せる。雄は10歳くらいで初精、ただし50歳くらいまでは宿させることはできない。
「やっぱり若すぎるかな…」
「それは良いとして、本気なの?」
「えっ…まぁ…うん。あなたなら…。」
「昨日僕が脅したからじゃなくて?」
「ち、違う…わ。ちゃんと考えたし…。」
「神龍だから?」
「違うわ!」
「助けたから?」
「そ、それはちょっとある…。」
「今までこんなに長い時間触れあった同年代がいなかっただけじゃなくて?」
「そ、それは……だとしても私は…」
やっぱり駄目かな…結構無礼なことしちゃったし。でも彼は笑って
「ごめんね、もういじめないよ。一応確かめたかっただけさ。だから僕から言うね。番になってくれるかい?」
「本当!?」
「あぁ。君は僕には勿体無いくらい素敵な雌だよ。」
そのままゆっくり近づき、抱き合う。額あわせをしてから互いの体を撫で、擦り付け合った。彼女がさりげなく僕を洞穴導く。随分積極的になったなと思いながらそれにしたがった。
寝床の前まできて抱き締め僕も口を近づけると受け入れてくれた。
「ン……ンンッン…」
舌を入れ互いの口の中を舐めてから絡ます。その間も絶えず相手の体を撫でた。離れると私は彼の下腹部の膨らみを舐める。彼は全く嫌がらず舐めさせてくれた。完全に信頼しているということなので嬉しい。すぐにその上にある縦筋から彼の雄が顔を見せ、みるみる大きくなっていった。勿論あの巨竜には及ばないが彼のモノもなかなか大きい。
僕の雄槍をしばらく舐めると彼女が寝床に仰向けに寝転がり、少し恥ずかしそうにしながら僕を見つめた。少し震えてるので
「怖いかい?今すぐじゃなくても──」
「へ、平気よ。それに今が良いの。」
「わかった。優しくするから安心して。」
そう言って彼女の腹を舐め、徐々に下へ下へと舐める位置をずらしていく。
「ン…フン…フン…ハァン…」
感じているのか熱を帯びた息をしている。未熟な秘裂を舐め、舌を入れれば声を出して喘いだ。遠慮が感じられず、それが嬉しかった。
「アッ…アウ…アァ…アウン…アァ…」
内側から舐められるという未知の感覚と快感。まさにほぐされているといった感じだ。そういえばあの巨竜はこんなことしてくれなかった。声が出てしまい恥ずかしくなるが我慢はしない。彼は受け入れてくれるとわかっているから。彼は私の腰をつかんで念入りに、もっと深くまで舐めてくる。慣れない快感に私はすぐに初めての絶頂を迎えてしまった。
「クアッ…アァァァアッ!」
僕が甘酸っぱい彼女の中を堪能しつつほぐしていると早くも達したようだ。一気に濡れたので舌を引き抜き彼女に覆い被さった。
「じゃあ行くよ?ルナ。」
「えぇ。」
「力抜いてね。」
そう言うと彼女が深呼吸する。そして彼女に雄槍を突き立てた。
ググ…ズズズズ…
「ウアァ…ハァ…ハァ…」
半分程まではその様子を見ていたが、それを過ぎると喘ぎながら首を反らした。
(大丈夫…入ってるのはリュンだから…)
とルナは自分に言い聞かせた。深く入れば入るほど痛みが増す。でも止めたくない。これが終われば私は彼のものになるのだから。
ズズズズ…ズン
「クハァ…」
「フゥ…全部入ったよ。大丈夫?」
「抜かないで…もうちょっと近くにきて。」
彼女の意図を察して額合わせをした。熱い吐息を吐きながらも痛みに顔を歪めているが、ここで止めてしまえばかえって彼女を傷つけてしまうだろう。ルナのキツい膣がギチギチと締め付けてくる。ルナにとってリュンのペニスは大きいので、自分の体に入っているそれの形がわかるほど感じていた。
彼女の表情が緩んできたので
「動かしても良い?」
というと
「うん…優しく…ね?」
「大丈夫。安心して。」
彼女は深呼吸して目を瞑ると彼女の膣が少し柔らかくなったので、ゆっくり腰を引き、再び突きだした。
「アウッ!」
そのまま動き始める。自分も欲が沸き上がり、ピストンの速度を上げるが決して激しく突くことはしない。撫でながら、また首や顔を舐めたりしながら優しく、熱くまぐわう。
しばらく彼とまぐわっていると慣れたのか痛みが引き、それより遥かに強い快感が押し寄せてきた。
「アウッ!アンッ!キャンッ!キャンッ!」
「ハァ…ハァ…辛く…ないッ?」
「平気ッ!…キャウッ!…きもッ…ちいい!」
気持ちいい。嬉しい。あの竜とは違う、文字どおり"抱かれて"いた。これで私はもう…彼と番になれば…。
「キャンッ!キャンッ!…ウゥ…ヒグッ…」
ルナの声が途中で変わったのに気づき彼女の顔を見ると、泣いていた。慌てて動きを止める。
「ど、どうしたの!?」
「違うの…ヒック…ずっといてくれるよね?ずっと…。」
根本まで入れ、彼女を抱き締める。
「もちろんだよ。言っただろ?僕ら神龍は愛するものとしか交わらないって。」
「ありがと。ごめん、続けて。」
(彼と番になればずっとここにいることになる。もうお母さんお父さんとも2度と会えない…。お父さんお母さん、私はここで彼と幸せに暮らすの。だから心配しないでね。私が決めたことだから。)
ルナがなぜ泣いているか、何となく分かった気がした。
口付けを交わし再開する。
「アッ!…キャウッ!…リュンッ!…リュン!…アウゥゥゥン!」
彼女の中が更に絞まる。ルナは名前を呼びながら激しく僕を求めた。僕も射精感が込み上げてくるのに耐えながら彼女との交わりを貪る。
「アァッ!…リュンッ!…スキィッ!…キャンッ!」
彼女の言葉に後押しされて、耐えていたものが更に強くなる。
「ルナッ!…本当にッ!…いんだねッ!」
「ホシイッ!…キテェッ!…ゥアンッ!」
「くぅぅ…」
限界を迎え、彼女を掻き抱きなるべく彼女と密着して堪えていた力を抜いた。
ブシュッ!…ドクドクッドクッ…
「アウゥゥッ!」
(来た…!熱い…これが交尾…リュンと1つ…やっと…やっと居場所を見つけた…。)
脈動とともに腹の奥底へ熱いものを出されている感覚。尻尾同士を巻き付け完全に密着すると、今彼と1つになっていて彼の精液が自分の中に放出されていることを強く感じ、不思議な気持ちになる。注がれるほど胎が満たされるだけでなく、心に空いた穴まで塞がっていくようだった。
密着部からリュンの精液とルナの愛液が混ざった白濁が染みでる。彼らは射精の間も口合わせをし、愛を噛み締めた。
ルナに注ぎながら
(僕はなんて素敵な妻に出会えたんだ…守っていかないと。支えてやらないと。ルナの心の傷を癒してあげないと…。)
と思う。終わってもまだまだ続けられそうだが今ルナの体力はかなり落ちているし、十分すぎるほど満足したのでそれを伝えた後結合を解いた。
「ありがとう、ルナ。もう隠さず甘えていいんだからね。僕も君を幸せにできるように頑張るから。」
「う…ん。あなたも甘えていいんだからね…私も…リュンと幸せに暮らせるように頑張る。」
一体何をどう頑張るか。2匹とも分かってないが、この先に幸せが待っていることは確実だった。迷子は帰る場所をようやく見つけ、愛する夫と眠りについた。
おわり