お久しぶりです。この短編集も忘れているわけではないんですよ。これからも息抜き代わりに更新すると思います。
さて、今までは人間がいない世界だったり現実世界で言う中世あたりの時代でしたが、今回は現代をモチーフに作りました。普通にスマホ使っています。それでは山頂(意味深)へレッツゴー(棒)
この作品はpixiv、ノクターンノベルズにも掲載しています。
夏の夜の山、登山道から大きく外れた中腹あたりの火山シェルターに6人の生徒が身を寄せていた。人間の男子1人女子2人、犬獣人の雄が1人と竜人の雌雄が1人ずつ。中学3年、登山部の彼らは中学最後の登山に来ていたのだが、その帰り道のケーブルカーが突然停止。復旧のメドは立たず天気も下り坂で、幸い近くに火山シェルターがあってそこまで移動し待機するよう無線のアナウンスが流れたので非難することになった。
シェルターはいわば防空壕のようなもの。非常物資が入った倉庫以外は何も無い殺風景なコンクリ固めの人工洞穴で、中を縦に2つに分ける壁がある。その内片方はケーブルカーに乗っていた他の一般登山者が収まりもう片方に彼らが収まった。
翌朝には迎えが来るということでそこまで追い詰められてはいなかったが、生徒達はある問題に直面していた。
「リオ大丈夫?」
人間の男子が出入口付近でうずくまる竜人の雄に声をかける。
「やっばい。だめ触るな。」
そしてその反対側、シェルターの奥の角では雌の竜人が壁に向かって同じようにうずくまり他の女子に守られるように囲われていた。
竜人は国際的に数が少なく、それは最近に至っての事ではない。種族の特徴として出生率が低いのだ。そのせいか竜人は生殖機能の発達が早く、性欲が強い。
トラブルによる不安に加え狭い空間に異性がいるという状況は、思春期真っ盛りの竜人2人にとっては生き地獄だった。
「なぁ…抜いてやろうか…?」
犬獣人の男子がとんでもない提案をした。分厚いコンクリの壁があるとはいえ隣には獣人も含む一般客、何より同じ空間に女子もいる前で。強めの雨が降っているので外にも出れない。そもそも部活仲間で友達で仲は良いがそんな関係ではない。
リオという竜人は唸って悩んで、頷いた。このままでは理性が飛んでしまいそうだった。公開処刑に変わりはないが、後ろの女子達に襲いかかるよりはマシだろう。
そんな会話を聞いていた雌の竜人は目をギュッと瞑って欲を耐える。理性が飛びそうなのは彼だけではないのだ。人間の女子達に背中をさすられながら、両手で耳も塞いだ。
○○○
「ねむい〜…」
「ハル昨日何時に寝たの?」
「今日の2時くらい……」
とある中学校の女子生徒3人は集合場所に向かうため電車の中。高校受験を控えた3年生最後の部活動となる登山は毎年二泊三日で行われる。1日目に現地へ、2日目に登山、3日目に帰る、という引退旅行のようなもの。夏休みのど真ん中に行われるので涼しくてちょうど良い。
「ねぇレプ君とは会ってるの?」
人間の女子2人の内1人が真ん中に座るハルという愛称の竜人の雌に最近会ってない分の近況を聞く。彼女は同じクラスの竜人に好意を寄せていた。
「えっ、ハルちゃんが好きな人ってあのレプ君なの?狙ってる子いっぱいいるって噂だけど。」
「あいつ将来一夫多妻になりそうな勢いだもんねぇ〜」
竜人は運動神経が良く頭も良い者が多い。学校中の女子の人気者、レプは模試の偏差値も顔面偏差値もかなり高く、人当たりも良いので同族異族関係なく彼に恋する女子は多い。竜人族は一夫多妻が認められているのであながち冗談ではなかった。
「でもハルだって負けないくらい可愛いし、レプって幼なじみなんでしょ?流石に結ばれるでしょ。」
ショート部屋の女子は小指を立てて見せた。ハル、本名ハルミアは背中側がきめ細やかなレモン色の鱗に覆われお腹側は真っ白、頭には小さな角が2本後ろ向きに生えていて、彼女も何度か異性に告白されたことがあった。
そしてレプはハルミアの幼なじみであるので彼女と仲は良い。数が少ない竜人族は15歳で結婚できるため、2人の結婚は本気で噂されている。
実は、未だ人口が減少傾向であることもありこういう場合は大抵当人達が15歳になる前に親同士が婚約を決めていることもありレプとハルもそんな感じだったが、やはり自由を奪ってはいけないという彼らの親の配慮で2匹とも中学を卒業するまでに他に彼氏彼女がいないなら婚約、ということになっていた。当人達以外は知らない事実だ。
「レプ君とは仲良いけど、レプ君が私をどう思っているか知らないし…」
「なんだよ焦ったいなぁ〜はやく告っちゃえよ〜」
そんな話で盛り上がっていると列車が次の駅に到着し、同じ部の男子達が乗ってきた。
「あっ、みんないるねー。」
「うわなんで同じ…」
「階段から近いからなこの車両。」
同学年の男子や後輩も乗ってくる。3年男子は人間のミツキ、小麦色で長毛、垂れ耳の犬獣人のロタ、背中はきめ細やかな青い鱗に覆われ背中や頭、首回りなどに白い体毛を生やした竜人のリオの3人。オタク、陰キャ、バカの3人組は登下校などでも一緒にいることが多い仲良し3人組だ。
この3人の登場で電車内は賑やかになる。途中女子が彼らにうるさいと注意をしているうちに目的の駅に着き、顧問の雄馬獣人の先生と合流するとそこからは貸し切りのバスで現地の旅館に向かった。
「わっはー!風呂広ぇ!!」
「貸し切りだね。」
泊まる小さな旅館は主に部活の合宿などで人気で、団体の貸し切りになることが多く今回も山岳部が貸し切ったので他の客はいない。
「はやくしろよ〜」
竜人のリオは躊躇いなく服を脱いでコソコソ腰にタオルを巻く後の2人を急かす。体を洗ってから湯に浸かって一息ついた。
「相変わらずいい筋肉だね。良いなー竜人…」
「そういうミズキは筋トレするって言ってたけど、やっぱり続かなかったのか。」
「まてお前ら、種族頼みみたいな言い方するな。俺もちゃんとトレーニングしてるから。そんなんだからいつまでもヒョロいんだよ。」
ムキになったミズキがリオに水をかけたのを発端に水掛け戦争が始まりそうになったのをロタが止める。
「リオ筋肉触らせてー」
「良いぞ。」
滑らかな胸筋や腹筋を人差し指で軽く押す。ロタもミズキも普段から良くやっていることだ。
「リオ、」
「ん?」
「溜まってんね。」
ロタがニヤつきながら言うとリオは1秒停止した。
「バッカどこ見てんだよお前は!」
リオは水をすくってロタの頭の上からかけた。お陰で頭の毛が下りて視界が奪われたロタは頭をブルブルと振る。
「アババ…いやぁ前プールで見た時より膨らんでるなぁって。」
竜人は生殖器が体内に収納されているのでスリット付近は普段から少し盛り上がっている。そして成熟して精液が作られ始めると、蓄えられている量に応じてそこがさらに膨らむのだ。微々たる差だが竜人の体格上分かりやすい。
「夢精すんなよ〜?竜人ってメッチャ出すんだろ?」
「うっせぇ、そんなにお望みなら掘ってやろうか。」
「いやーんヘンターイ!」
リオがロタを羽交い締めにしてロタがわざとらしく抵抗すると後輩4人も大笑いした。
「おいお前ら小学生みたいにはしゃいでないで早く出ろ。女子が夕飯待ってるぞ。」
あまりに遅いので顧問が呼びに来くると景気良く返事をして上がった。
「ねーリオ、後で宿題教えて。」
「え、ミズキ宿題持ってきたの?」
「アヤと違って優秀なんだよ。で、科目は。」
「理科…」
ミズキが分からない分野を話すと、リオは夕飯をかきこみながら公式やらよくある解法やらを説明する。その様子をみたショートヘアの女子、アヤはハルニアにヒソヒソと話しかけた。
「地味に頭良いのムカつくんだけど。なんで竜人って勉強できんの?」
「みんなじゃないと思うけど…」
「聞こえてるぞ。嫉妬か?教えてやろぅかぁ?」
「いいですぅウチにはハル様がいるからいいですぅ!」
「先輩達仲良いっすね。いつの間に付き合ってたんですか。」
2年の人間の男子が茶化すと周りは笑い、ミズキがお似合いだねと言うとアヤはリオを指差した。
「なーんでレプの超劣化バージョンで女子も寄り付かないってお情けでこいつと付き合わないといけないのよ。女の子に対する気遣いのかけらもないのに。」
「こいつじゃ無理無理、挿れて5秒で白目剥くって。」
リオが白目になりながら言い返し、男子爆笑女子失笑。
「サイテー!そういうところ!!…なんでハルも笑ってるのよ!」
若者の下ネタにはついていけぬと呆れた顧問だった。
翌日、朝食を済ませて出発。登山者に人気の火山で、標高は2000m弱。行きは麓の森からスタートし、帰りはケーブルカーで下りる。
上級者向けのコースといえど彼らにとっては楽なコース。詰まることなく進んでいき、休憩を挟みながら登っていく。
「ハルミア、リュックのチャック全開だぞ。」
リオが彼女のリュックの中にあった水筒を勝手に取り出して見せびらかしながら言うとえっ、と首を捻って確認した。
「お前が開けたんじゃねぇの?」
「なんでもかんでも俺を疑うのやめろし。ハルミア〜そんなんじゃレプに笑われるぞ〜」
和気藹々と登り続け、山頂で黒卵を食べ、写真を撮ったり足湯に浸かったりと満喫する。3時を過ぎて登山客達が帰り始めた頃に彼らも帰ることにした。
一般客もいるので一度に全員乗り切れず顧問と1、2年が先に降り、3年が後から合流することになった。
「いやー、最後だけど、登山部らしいことあんまりしなかったな。」
「ただ歩いて登っただけだもんね。まぁ楽しかったけど。」
列の後ろの方だったからからケーブルカーは空いていた。座席に持たれて大きな欠伸をしたり撮った画像を確認したりと各々過ごしていると、突然ガコンと音が鳴って急停止した。このケーブルカーには乗務員はおらず、車内はざわついた。
『乗客の皆様にお知らせします。えー…大変申し訳ありませんが、山頂駅にある、ケーブルを動かすモーターに不具合が生じ当面動かすことができません。えー、また、この後悪天候が予想されているのですが、近くに火山シェルターがございますので、そちらに移動してください。』
ケーブルカーから降りてそのコース沿いを少し歩いたところにあるらしい。
「とんだ災難だわ…」
「電波は…繋がってるみたいだから先生に連絡するわ。」
翌日迎えが来るらしいので、文句を言いながら地図を見つつシェルターに向かう。他の客と話し合って、2つに仕切られたシェルターの片方を彼らが使うことになった。
「寝袋は全員分ある。ロタは毛皮があるから暑いかも…」
「スマホは電源切っておきましょ。」
「お尻冷たい…」
「毛布敷けば良いだろ。」
夕方になる前に空は雲に覆われて、鼻が効く犬獣人のロタの言った通り強い雨が降り始めた。
「トランプとウノあるけど、やる?」
「あんたそういう準備は良いのね…」
リオが持っていたトランプを使って遊ぶと思いのほか盛り上がって不安などが薄れてくる。そんな中最初に違和感を覚えたのは女子のアヤだった。
「どうしたのリオ。珍しく大人しいけど。」
「いつももっと騒いでるもんね、リオ君。」
もう1人の人間の女子、ユミも頷くと、リオはなんでもない、と濁す。しかしそれから30分くらい経つといよいよおかしく見えて、それをミズキが言うと苦虫を噛み潰したような顔で口を開いた。
「なぁ…ハルミア……」
「えっ、なに?」
「お前薬持ってる?」
「薬?なんの?」
ここでロタが気がついた。
「あー、リオお前、もしかして…」
「なに?どうしたの2人とも。」
「いやぁちょっと…リオ体調良くないみたいだから。よくあることだから。俺たち抜ける。」
獣人なので身を持って理解しているロタは誤魔化しつつリオを離脱させる。変なの、と他のメンバーはカードゲームを続けたが、少ししてハルミアが気がついて、それを意識した途端彼女にも異変が起き始めた。
「え…でも2人って……」
流石に竜人の男女2人が同じような状態になると他の3人もそれに気づいた。
「分からないかもしれないけどそういうのは関係ないんだ。竜人は特に…」
昔はそれで差別もあったのでロタはそれ以上は言わなかった。
「俺も時々そうなるときあるんだけど、結構きついんだよな…もしここに犬獣人とか狼獣人の雌がいたら俺もなったかも。状況が状況だし。」
発情を抑える薬を持ってきてはいるもののリオもハルミアもこんな状況は想定していなかったので旅館に置いてきた荷物の中である。
「もう寝よ!」
「まだまだ6時だけど…」
リオは雨の飛沫がかかるくらい外に近い場所、ハルミアはシェルターの奥にうずくまってお互いが視界に入らないようにした。
「リオそこで寝んのか?もうちょいこっち来いよ風邪引くぞ。」
「冷えてちょうど良い。」
「そんなに?」
気にしないように、考えないようにしているとむしろそのことばかり意識して逆効果。股間あたりがぼんやりと熱を持ち始めたのを感じたリオはリュックから残っていた菓子を取り出して食べ始めた。先程備蓄されていた非常食を食べたので空腹ではなかったが、満腹だと性欲が抑えられるため無理に食べた。
それから1時間くらいは何も起きず男子は男子で、女子は女子で雑談して眠くなるまでの時間を潰す。が、やはり2人がそわそわし始めた。
「リオ、最後にシたのいつ?」
ロタが声を潜めて聞いた。このくらいの歳の竜人や獣人は精液の生産がかなり活発で何もしていないと週に一度は夢精して布団が大惨事になるので自慰は普通のこと。学校では人間と分けられた性教育で教わるくらいの常識だ。
「3日…いや4日かも。」
「それって普通なの?」
ミズキの問いにロタは首を傾げる。
「さぁ…俺は毎日やってるし昨日からは薬で抑えてるけど…」
「お前らすぐイクだろ。時間かかるから面倒なんだよ。今まで週一で充分だったし、こんなになるのは初めてだ。」
雄の竜人は達するまでが長い。快楽はあるものの自慰は時間がかなりかかるので夢精しないために仕方なく、と考える者が多く雄の竜人の性体感を刺激するための電気器具が多く出回るほどである。
「ねぇ…ハルミアも辛いならいっそのことすれば?俺たち気にしないし…竜人なら大丈夫だし、ねぇロタ。」
浮気でもない限り竜人なら、同意があればまず咎められることはない。しかし流石にこれは失言である。ロタが答える前にリオと女子2人が同時に馬鹿、と叫んだ。
「なんてこと言ってんの!別に付き合ってるわけでもないし、そもそもハルにはレプがいるでしょ!そんなことも知らないの?」
ハルミアを気遣った、嘘偽りのない言葉はかえって当人達にプレッシャーを与えることになり欲に拍車をかける。レプとの婚約はまだ決まっていないが今それをを否定すればリオの欲を煽りかねない。ハルミアはグッと堪えた。
しばらく気まずい沈黙が続き、リオが耐えかねて他2人に話題を催促するも、何か話せと言われると話せなくなるもので、気をそらすための見え透いた会話は逆効果になる。
「リオ大丈夫…?」
「…くっそ朝飲んどきゃ良かった。」
性欲抑制剤を飲むと倦怠感に襲われるので最後の部活を満喫したかったリオはいつも泊まりで活動する時に朝晩飲んでいた薬を飲んでいなかった。そしてそれはハルミアも同じだった。
「俺の頭殴って気絶させてくんね?」
「さすがにそれはちょっと…」
ミズキが善意でさすってやるが怒られたので手を引っ込める。
「リオ、抜いてやろうか。俺は全然いいぞ。」
見かねたロタがミズキを見ながら言えば、彼も頷いた。ここで?と女子2人は不服そうな顔をしたがリオはリオで辛そうだし獣人のロタは本人の次に気持ちを理解していることは分かっているので黙っていた。
リオはしばらく黙った。彼らとは仲が良いし下ネタだって何度も言い合ってきたが自慰を見せるような関係ではない。それにいくら人間ほど羞恥心がない竜人であるからといってもさすがに抵抗がある。女子の前なのだから尚更だ。
「……誰にも言うなよ?」
けれど欲は膨らむばかりでこのままでは理性が飛んでしまいそうであるし、もし1人で自慰しようものならそれこそ理性が飛んでしまいそうなので選択肢は無かった。
「言わないよ。仕方ないことだし少なくとも獣人なら理解できる。ほら脱げ。あ、女子のどっちか、電気消してくれる?」
常夜灯に切り替えて暗くなるとリオは素直にズボンを脱いで、飛んだら汚れるから、と全裸になる。女子達は背を向けた。
「うわ昨日より腫れてる。」
足を投げ出して座ったリオの下腹部の縦筋の下あたりは明らかな膨らみを帯びていて、本人も気づかない内に体がハルミアに反応して精液を増産していたことを示していた。ロタはミズキにも促しながら上裸になるとリオの腫れている下腹部をそっと撫でる。
「ミズキ、体をさすってやれ。胸とか。あ、2人がが良いなら抱きしめた方がいいかも。」
「俺は…良いけど…」
そう言ってリオのすぐ横に腰を下ろすと、リオは悪い、と言って体を捻って彼に抱きついた。
「指入れるよ。」
ロタが躊躇いなくスリットに人差し指を入れるとリオはんっ、と声を出し、スリットから桃色の肉芽が顔を出したかと思うとあっという間に雄槍となって脈を打つ。
「でっかー、さすがだわ〜。」
いつもの調子でロタが言うと、ミズキも相づちを打った。
「俺の腕くらいじゃん。どこにそんなの入ってたんだ…」
ミズキの肘から手首くらいまでの長さはあるそれをロタは両手で絞るような動きをしながら扱き始めた。
尖った先端から先走り液が出ても特に気にする方なく続けるロタの傍ら、ミズキはリオの背中をさする。ふと衝動に駆られて馬とウサギを足して2で割ったような形の柔らかい耳を撫でる。普段ならどつかれるだろうがこの時は何も言わず、目をつぶって鼻息を荒くしているその様は可愛らしくも見えた。
そんな純粋な友情はこの問題を解決へ導くかに思われたが、彼らは一つ、ハルミアの存在を完全に忘れていた。
「ハル、大丈夫?」
リオに負けないくらい息が荒くなってきたハルミア。人間2人にはわからないだろうし嗅覚に優れている犬獣人のロタも雄なので気にならないだろうが、ハルミアは漂う同族の雄の匂いに追い詰められていた。マイナーな生物学の域になるので普通は知らないが竜人の雄のスリットの中で分泌されている粘液やガウパー液には雌を刺激する性ホルモンが含まれている。
また少し匂いが強くなる。タオルで鼻を覆ってもらったがあまり効果はなく、腹の奥が熱く疼く。レプと2人になることはあったが恋人らしいことをしたことは一度もない。なので雄の竜人の生殖器どころか全裸すらほぼ見たことがないに等しい。どんな形なのだろうか、どのくらいの大きさなのか、ミズキの腕くらい…?とそのことばかり頭に浮かんで、振り払おうと首を振る。
リオとはそういう関係ではない。レプもまだ誰とも付き合っていないし、自分はこのまま彼と婚約することになるのだからと言い聞かせる。自分は他の種族よりも子供ができにくいから彼と早めに結婚して子供を作るのだ。そう、子供が生まれにくいから……
できにくいなら1回くらい良いのでは?
そんな考えが頭に浮かんで自分が恐ろしくなった。確率は0じゃないのだ。確かに、より円滑に子作りするには経験があった方が良いかもしれないが……
ハルミアは自分の耳を痛いくらい握った。いけない、どう考えてもそっちの方向に行ってしまう。自分はレプと結婚するのだからと言い聞かせた。彼はレプではない。確かに仲は良いけど部活仲間としてだ。雌雄としてではない。
彼も辛いだろうがミズキとロタがなんとかしてくれる。レプとは恋人らしいことはしてないし付き合っているわけではないからリオとさほど変わらないけど…
「違う違う…」
「ハル?」
「なんでもない…」
心配した友達の顔を見たときに、チラリと目の端にリオと、彼の男根が映る。ギュ、とお腹の奥が熱くなって軽く握られたような感覚が走る。ロタが両手で扱いているあれを挿れられたら絶対楽になれる…。
「ちょっとハル、」
「なんでもない…!」
本人は無自覚だがハルミアは口呼吸しながら目を見開いてリオを見ていて今にも飛び出していきそうな雰囲気だった。
ハルミアはまた目を瞑って耳を塞ぐ。しかし先の光景が頭から離れない。レプの姿を思い浮かべようとしても無理だ。今までそんな経験がなくても濡れているとわかるくらい秘部が熱い。
ミズキに抱きついていたさっきのリオを思い出す。普段ならあんなこと絶対にしないしさせないはず。クラスの女子に少し距離を置かれるくらい活発でいつも同じような男子のグループで下らない下ネタを言ってはゲラゲラ笑って、でも節度は守るし後輩の面倒見は良いし彼の明るい笑顔は好きだし…。
どう考えても駄目だ。体が雄を求めている。耐えられる自信がない。自分自身が壊れてしまいそうだ。
「いつでも良いぞ。って言ってもどうせまだまだか。手ぇ疲れるなぁ。」
スマホで時間を確認する。だいたい19:30。彼と角と角に別れたのが19:00ごろで、しばらくは雑談で気を紛らわせていたし、今のロタの会話からしても彼らが行為を始めてからほとんど時間が経っていないのだろう。もう何時間も葛藤していたように感じるのに。
男子2人にも迷惑をかけている。そもそも、彼のことが本当に嫌ならこんなに反応しないはず。普段から彼とは普通に仲が良かったことで余計に反応してしまっているのだ。
ハルミアは耳を塞いでいた手をそっと離した。隣のシェルターには一般客がいるが雨が降っているので匂いは届きにくいし音も、大きな声を出さなければ聞こえたいだろう。それに竜人の雌雄がいるのだから察している人もいるかもしれない。
「ハル……?」
「ごめん2人とも…できれば…見ないで……」
限界だった。上着を脱いで彼の元へ。早くしないと終わってしまうかもしれない。終わってしまったら自分はこのままになってしまう。リオなら良い。1回くらい良い。
女子2人は止めなかった。止めたいのは山々だったけれど男子達のように自分たちがハルミアの欲を発散させることはとてもじゃないができないことを後ろめたく思ったからだったのと、彼女らもリオと仲良いので信用していたからだった。
「リオ、」
行為に集中していた彼らは接近に気づかず、その声に驚いて振り向いた。
「ハルミア…?あ、ちょ、リオ!」
リオがミズキを振りほどいて彼女を見て、目が合う。常夜灯の薄暗い光に照らされた同じ歳の若い同族の躰は、ハルミアの理性をついに崩壊させた。
なんてたくましい、なんて魅力的な雄なのだろう。もっと匂いを嗅ぎたい、直に感じたい。そんな欲に支配されたハルミアは飢えた獣のように彼の太腿に両手をかけて、先走り液でぬめついた彼の男根を口に含んだ。
「ハルミアっ!」
リオは彼女の肩に手をかけて引き離そうとしたが、ロタの手をとは比にならない快感に邪魔される。牙が軽く当たって擦れ、舌が裏を這いずり思わず吐息を漏らした。
そうだ口だけなら、とリオは自分に言い聞かせたもののハルミアはそれどころではない。鼻腔口腔が雄の匂いと味で満たされて下腹部がいよいようずきだす。羞恥心はとうに消え去って、ハルミアはズボンを下ろして脱ごうとしたとき、そこから濃い雌の匂いが漏れ出してリオの理性を削った。
「あっ…」
ハルミアの視界がひっくり返る。リオに押し倒されたのだ。リオは自分を必死に抑えようとしたが、ズボンが腿あたりまで脱げて秘裂があらわになった彼女がこの世のものとは思えないほど魅力的に見える。
「いいよ…リオ…私ももう無理…」
衝動的に彼女の服を乱暴に脱がして生まれたままの姿にさせると彼女の肩を抑えて覆いかぶさった。
凶悪な肉棒を隆起させたたくましい雄に組み敷かれるその圧力に、ハルミアはさらなる期待と興奮を抱く。
「しらねぇからな…」
そう言って、従順な雌に雄槍を突き立てた。
「ふ…あ…っ…!」
十分に濡れていた秘裂にズブリと刺さった雄槍は、根本まで一気に埋め込まれた。
「あぁっ!」
脳天まで快楽が突き抜けハルミアは声を上げる。柔らかい肉壁に包まれたリオも身震いして彼女にのしかかった。
お腹の中にはっきり感じる彼。挿れただけでこれなのに、動かされたらどうなってしまうのだろう。これからこの脈打つ肉棒にお腹の中をめちゃくちゃにかき回される。恋人でもない彼に。
リオがハルミアを抱き直し姿勢を整える。ハルミアは残ったわずかな理性で牙を食いしばり本番に備えた。
ズ、と肉棒が抜かれ、膣が元の狭さに戻ったところを戻ってきた肉棒に無理やり押し広げられる。具合を確認するような動きのあと、激しい責めが始まった。
ハルミアの頭は一瞬で真っ白になった。太い肉棒が何度も出入りし、尖った先端が肉壁をえぐり、奥を突く。遠くで彼を非難する声が聞こえたような気がした。彼は悪くないのだ。むしろこの熱を治めるために彼がこうしてくれている、と都合の良いように脳内で変換され、彼を擁護するためにハルミアは彼の背を撫で頬を舐める。
リオはもう止まれない。興奮と欲を彼女にぶつけ、弾力のある膣壁とヒダに締め付けられる快楽を貪った。
「すげ…」
思わずロタは漏らす。ハルミアはなすがまま組み敷かれて甘えた声で鳴きながらリオを愛撫し、リオはなすがままのハルミアをがっしり抱いて力づくで犯している。互いの尻尾を絡め小刻みにじゅりっと音立てながら激しく交わるそれはもう「交尾」そのもの。ミズキもロタも、自分の股間に手を伸ばさずにはいられなかった。
「クッ…クゥッ……」
ハルミアが「鳴き声」を上げる。それを聞いたリオはさらに腕に力を込める。彼に心が奪われてしまいそうで、ハルミアはレプを思い浮かべようとした。しかし快楽に染まった頭に浮かんだのは幼なじみの竜人ではなく今自分を抱いている竜人の普段の様子。もしもう少し大人しかったらきっと女子からの人気は高かったであろう彼の笑顔。いつも明るく場の雰囲気を和ませる彼は、確かにやんちゃだが雄としての魅力は十分に兼ね備えている。
快楽の嵐の中で、ハルミアは彼を見た。辛そうだ。必死に腰を振って組み伏せている雌を快楽の虜にしようとしている。彼も口から熱い息を漏らしている。瞼を固く閉じて雌を味わっている。
可愛い、とハルミアは思った。それと同時に彼に対する熱い想いが込み上げてくる。
ぶちゅ、と結合部から音がする。匂いからしても先走りと愛液が混ざってぐちゃぐちゃになっているようだ。
ハルミアは幸福を感じていた。この一方的な激しい行為に優しささえ感じていた。
何度も頭が真っ白になって意識が飛びそうになる。その度にゴリリとお腹の奥を突かれて引き戻される。
どれくらい時間がたっただろう、不意にリオが喘ぎ始めた。
「ハ…ハル……」
「ンッ……フンンッ……」
腰の振り幅が広くなり、湿った下腹部がぶつかる度ばちゅ、と音が鳴る。膨らんだ根本周辺に練られている精液を流し込む準備が整いつつある。
「ハル……ハルッ……」
「いいよ……」
もうすぐ彼が射精する。種付けされる。
良い。産みたい。もう身も心も彼に奪われてしまった。
そんなハルミアの意思に呼応するかのように膣が唸って肉棒を刺激する。
彼が腰を押しつけて全体重をかけてくる。刹那、体に衝撃が走った。自分の体の中で大太鼓を鳴らされているような振動。そして熱いものが奥に叩きつけられる。ハルミアは体をビクンと震わせ彼に負けないくらいの力で彼を抱き返した。
どんどんお腹が膨らんでいく。ハルミアは幸せだった。愛しい彼の体内で練られていた子種が内臓を圧迫していく感覚がこの上なく心地良かった。
「わぁお……」
見ていた彼らはびゅうぅ、と音が聞こえてきた気がした。絡み合う2人は今まさに新しい命を生み出そうとしていて、一周まわって美しささえ感じた。
ハルミアが喘ぎ不規則に痙攣し始める。そしてぶぢゃ、と音がして密着部から白い粘液の塊が飛び出した。容量の限界を超えたのだ。それでも中々終わらない。成体の竜人は、溜まった状態だと1Lは射精する。まだ成長段階のリオはそれには及ばないものの大量の白濁を注ぎ込んでハルミアのお腹を膨らませた。
そっと、リオがハルミアに囁く。ハルミアの膣は最後の一滴まで搾り取ろうとなおも彼を締め付ける。そして良いんだと伝えるようにハルミアはリアの頭を撫で尻尾を絡ませ続けた。
長い射精が終わってリオが一息つく。そして数秒彼らは見つめ合って、そして離れた。
秘裂から溢れ出す白濁を気にすることなくリオは無言でハルミアに背を向け、腰が抜けた彼女は横向きになった。無事、理性が戻って冷静になったのだ。ハルミアは今にも泣き出しそうだった。
「ちょっとリオ、それだけして何もしないの!?ハルを…ハルをなんだと思ってるの!?」
「あぁ……」
女子の非難に反論せず、リオはハルミアに向き直って膝をつくとそっと彼女の腰をさすった。
「タオルとってくんね。俺のリュックの中に使ってないのが2枚入ってる。」
ロタが漁ってミズキが渡すと、リオはそれで自分とハルミアの下腹部を拭いた。
「これも使いなさいよ。」
アヤとユキがシェルターの倉庫にあった大きめの毛布とトイレットペーパーを側に投げるように置いた。リオは礼を言って毛布をハルミアに纏わせてからロタ、ミズキと一緒にトイレットペーパーで汚れた床を出来る限り拭いた。
「あ、まだトイレットペーパーしまわないで。…こっちも拭くから。」
「見抜きしやがって。」
そう言いつつリオは手伝った。ミズキはともかく犬獣人のロタの射精量もそこそこ多い。リオには遠く及ばないが。
「もう平気。ハルミアの側にいてあげなよ。」
「あぁ……」
すがるような目で見上げるハルミアを抱きしめ一緒に毛布にくるまった。
「…一緒に寝るよ。」
それが良い、とロタは頷き、当然だ、と女子はため息をついた。
「今だけカップルになろう、ハルミア。」
彼女は頷いた。そうするしかなかった。まだ余韻が強く残る体は、彼と触れ合っていないとどうしようもない不安に駆られてしまう。雌の本能だった。
寝るには十分な時間で、葛藤している時より短く感じたのに彼らは1時間以上交わっていた。
「リオ、」
ハルミアがかすれた声で呼んだ。
「わたし、誰にも言わないから。大丈夫。リオは悪くないもの。」
「あぁ…悪い……」
ハルミアはリオに横から抱かれるような格好になって身を委ねた。
「寝よう。」
山を登り、トラブルに見舞われ、長時間交尾を続けた彼らはすぐに微睡み、そのうち正面から抱き合って眠った。
翌朝早朝、山の観光案内所の職員数名はなるべく早く下山させたいという善意で火山シェルターに向かったため、到着した時はまだ全員寝ていた。そして、一糸纏わぬ状態で一つの毛布にくるまっているリオとハルミアもしっかり発見され、かなり気まずい空気のまま下山した。
麓にある施設のシャワー室を営業時間前だが特別に使わせてもらい、リオとハルミア以外の全員もシャワーを浴びてから宿に戻って部と合流。こうして引退旅行は終わり、各々家に戻った。
「はぁ……」
家に着いたハルミアは家族に散々心配された後、自室のベッドに仰向けになってため息をついた。なんとなくお腹を撫でるとあの時の感覚が蘇る。お腹の中は、まだ彼の精液で満たされていることだろう。何億、何十億もの精子が相手を探して泳ぎ回っている。彼との行為は誰にも言っていない。
ハル……ごめん……
油送の終盤、彼は耳元で、自分にしか聞こえないほど小さい声で確かにそう囁いた。彼だって竜人だ。自分とレプの関係は察しているのだろう。最終的に誘ったのは自分なのに、自分は気遣ってくれる彼に甘えることしかできなかった。
次会ったとき、前のように話せるだろうか。けれど部活はもうないしクラスも違う。もう一度、あのいつもの笑顔を見たい。
彼の消え入りそうな謝罪の声が、いつまでも頭に残っていた。
続く。
流石に1年2ヶ月空くと文章に差が()