新学期が始まった。始業式を終えて数日で授業が始まり、3年生はいよいよ受験に向けた勉強を始めることになる。
「リオー!ドッジボールしよー!」
「はいはい、先行ってて。」
昼休みになるとすぐに別のクラスの友達がグラウンドへと誘ってくる。青い鱗の竜人リオは提出物があったので先に職員室へ向かった。
用を済ませグラウンドに行こうとした時だった。
「リ、リオ、」
呼ばれて振り返ると明るい黄色の竜人、引退した元登山部の部員仲間であるハルミアが立っていた。
「ハルミア……」
あの時の、引退旅行での出来事が頭をよぎる。あれ以来会う機会がなかったこともあって昨日のことのように思い出せた。正直な話その体験のおかげで面倒な自慰が捗るくらい刺激的な記憶だ。
何もなかったことに。あの時居合わせたメンバーはその約束を守っていたので知っているのは彼らだけだ。
もう過ぎたこと。あれは事故だった。引きずるものじゃないとリオは頭に浮かんだ光景を振り払った。
「どうしたんだ。お前もなんか提出すんのか?」
「そうじゃ、ないんだけど。」
「あそ。あー…なんだその、リプとは…大丈夫か?」
ハルミアは頷いた。
「仕方ないって。分かってくれた。」
「話したんかい…まぁあいつに隠すのもあれか。」
知らぬが仏だが、真面目なハルミアにとっては辛いことだ。
「リオ……」
「ん?」
ハルミアはうつむいて、あの時の事後と同じように泣いてしまいそうな顔になる。
「ハルミア?どうしたんだ?俺いろんな人に謝りにいったほうがいい?」
「お腹に子供が…」
あまりにもか細い声だったのでリオは聞き取れず訊き返した。
「妊娠したの…あの時のあれで…リオの子供……」
「へっ!?」
うつむいたままのハルミアは、間抜けな声を上げたリオを見ることができなかった。
○○○
下山中の思わぬハプニングで恋人でもない同族に純潔を捧げてしまったハルミアは、家に帰って一週間は部屋にこもっていた。
勉強するわけでもなくベッドに仰向けになって、あの時のことを頭で再生する。思い返せば随分と恥ずかしい真似をしたものだ。甘く見て薬を置いてきた結果があまりにも酷い。次学校であの時のメンバーと、何よりリオとすれ違った時どんな顔をすれば良いだろう。今まで通り接することができるだろうか。
無意識に自分のお腹を撫でる。薄暗くて見えにくかったことが返って興奮を誘った。あのリオの男根、その味や感触が頭から離れない。抱かれた時の温もりを思い出すとお腹の奥が疼いたような気がして、ハルミアは1人で首をブンブンと振った。
リプと会おう。親はそれを進めてくるし、きっと日常に戻れる。ちょうど親が2家族で食事に行かないかという話を持ってきていて、返事を渋っていたので行くと伝えるためハルミアは自室を出た。
「どうしたんだいハル、ボーッとして。」
「ううん、なんでもない。こないだの模試どうだった?」
1人勝手に気まずくなっているので今くらい忘れよう、と世間話を振る。いつも通りだ。緑鱗の竜人のモテようは相変わらずらしく夏休みに入って3度告白されたらしい。
「熱心な子がいてさ、同じ部の後輩なんだけど俺が結婚するまで諦めないって。」
レプはまさに理想の雄。かなりの美形で人当たりも良く、成績も良い彼を巡る戦いは同族異種族、校内他校限らず繰り広げられている。
「うわぁ、普段はどんな子なの?」
「ハルに活発さを足した感じかな。竜人の子だよ。」
「1人くらい付き合ってみれば良いのに。」
冗談らしく言うと彼も笑って手を顔の前でひらひらと振った。
「だめだめ、俺が本気で心に決めた相手じゃないと。安易に付き合ったら…他の女子の視線が怖いよ。」
「贅沢ね。」
これはこれで大変なんだと困った顔をして見せた。
「そういえばハルの部活にも竜人いなかったっけ?」
ドキリとしたことをなんとか表に出さずに答える。
「いるわ。リオね。」
「そうそう…あの青い子だよね。ハル、可愛いから好かれてるんじゃない?同族だし。」
「まさか、リオはいっつも男子同士でつるんで…下らないこと言って笑ってるだけよ。まぁ、友達として仲はいいわ。女子はみんなそんな感じ。友達ならまだいいけどそれ以上は遠慮したいって感じよ。」
そう、あくまで友達。なんとなく虚しさも感じながらそう断言した。
「友達…友達よ。あれは事故……」
食事会を終えて家に戻ってぬるめのシャワーを浴びる。気がつくとまた無意識に自分のお腹に手を当てていた。秘部が少し熱くなる。レプと話している時は全くもって普通だったのに、1人になってあの時を思い出してしまうとこうである。
「なんなの…もう…」
あの日から10日以上経ってもうすぐ学校が始まるというのにまだあの時の酔いが抜けきってないような気がして、ハルミアは大きくため息をついた。リオってあんなにかっこよかったっけ。そう思ってすぐにしまった、と顔を振ったが遅かった。
「あぁまただ…」
体が熱くなり、同時に不安になる。リオの良いところなどを思い浮かべると発情に似た症状になるのだ。
「そうだ…どうせなら……」
一旦風呂場を出ると、洗面所にしまってあった竜人用の妊娠検査キットを取り出した。竜人は雌雄どちらとも生殖孔と排泄孔の2つしかないため普通とは検査方法が少し違う。
ハルミアは人差し指を生殖孔に入れ、付いた粘液を検査キットの指定の場所に付ける。あとは他と同じだ。洗面台に置いて、もう一度シャワーで体を流してからタオルで拭いて自室に戻る。
リオも気に病んでいるかもしれない。活発さに隠れているが純粋で優しい性格なのだ。大丈夫だと伝えるため、彼に普段通りに戻ってもらうために何ともなかったことをメール伝えよう。そう思ってのことだった。時間が経ち、スマホを起動させつつ検査キットをみる。
「え……嘘でしょ……」
しばらくの間茫然とキットに現れた線を見つめていた。頭が真っ白になって、スマートフォンを取り落としたことにも気がつかなかった。翌日、翌々日も検査してみたが、どれも線がくっきり浮かんで妊娠を告げていた。
誰にも言えなかった。もちろんリオにも何の連絡もできなかった。
「どうしよう…」
一日中そのことばかり考えて、あっという間に始業式の日になった。今にもお腹が膨れてくるんじゃないかと、毎日何度も確認する。バレるのも時間の問題。竜人は絶滅危惧種だから簡単に中絶はできない。
「レプ…今日、話があるの…放課後会える…?」
耐えきれず彼にいうと、ただならぬ雰囲気を察した彼は塾を休んで彼女の話を聞くことにした。ハルミアと過ごす、と言えば親は快諾してくれた。
「どうしたの、何があったんだい?」
どこかお店に入ろう、と商店街を歩いていたがやはり彼女の足取りは重い。みかねてレプから話を振ると彼女は足を止めた。
「レプ……私…妊娠した…」
「えっ…」
声は控えめだったが彼の整った顔は驚愕の表情になった。
「そ、それは…その…同意じゃ…ないのかい?」
どう見てもおめでたい雰囲気ではない。けれどハルミアは違うんだと首を振る。彼は悪くない。そしてハルミアは、初めてあの時のメンバー以外にあの時のことを話した。
「そんなことがあったんだ…大変だったね。」
泣いてしまった彼女をベンチに座らせ周囲の視線を少し気にしつつ肩を抱いた。
「落ち着いた?」
「うん……」
「お店入ろうよ。好きなの奢るよ。甘いもの食べたり飲んだりした方が良いって。」
ハルミアは頷いて彼に連れられカフェに入る。平日なので客は少なかった。
「ハル、俺たちさ、まだ付き合ってないよね?確かに卒業したら婚約するって話だけど。」
「うん……」
「とにかく、リオ君に直接言ったら?」
「でもリオにも相手がいるかも……」
「聞いてみないと分からないって。リオ君は…小学校で1回同じクラスになったきりだけど、良いやつでしょ、多分。」
「でも……」
「言って、交際してくれないか頼んでみなよ。2人で育てた方が良いって。」
「リオとはそんな関係じゃ……」
そう言って彼をまた思い浮かべ、また切ない気持ちになる。
「付き合ってみて、良かったらそのまま申請して結婚すれば良いじゃないか。」
「ダメだったら……?」
「ダメだったらこれまで通り、俺と婚約すれば良いんじゃない?俺は別に良いよ。リオ君が責任取るのが1番だと思うけどハルの言う通りリオ君にも都合があるかもしれないし、ハルとリオ君の相性が良くないのに無理に結婚することはないし。」
とにかく、とこの話に区切りをつける。
「リオに言ってみなよ。あぁその前にご両親か。怖かったら僕も一緒に行く。大丈夫だよハル、おめでとう。」
その日の内に両親に相談すると本人達に任せるということで、翌週になってからリオに伝えることになった。
彼のクラスメイトに彼が職員室に向かったことを聞いてハルミアも向かう。そして職員室から出てきた彼を勇気を出して呼び止め、人通りの少ない階段の踊り場に連れ出した。
「ハルミア……」
なんとなく気まずそうな彼をみて緊張と不安が増したが、少し安心した。自分とリプの関係を心配する彼はやはり優しいんだと感じる。
「子供ができたの…リオとの…」
「へっ!?」
ハルミアは彼の顔を直視できなかった。どんな顔をしているのかを見ることが怖かった。
「ハルミア…」
ハルミアはギュッと拳を握る。
「誰かに虐められてる?大丈夫?俺がコテンパにしてやろうか?なんだっけ、せくしゃるはらすめんと?」
黙って首を横に振るハルミアに、リオは生唾を飲む。
「マジなの…?」
まるで死刑宣告でも受けたかのように目も瞑ってしまった彼女にリオは嘘ではないと察する。
「そ、その…他の人には言った?親とか…レプとか…」
「言ったわ…私に任せるって、レプも、あなたに話した方が良いって。まだ付き合ってもいないし……私、産むわ。堕ろしたら罰金もかかっちゃうし…」
「本当に、その、俺との…あの時できたの?」
「あれが初めてだしあれ以降してないし…」
だから責任とって、という言い方は攻撃的な気がしたので言葉を詰まらせる。彼を責めているのではない。自分はただ、彼の子供を身篭ってしまった以上は彼と子育てをして暮らしたいだけなのだ。
そう思ってようやく気がついた。あの出来事をきっかけに彼を異性として強く意識するようになって、気づかぬ内に好意に変わっていたのだ。
「っはっ!」
思わず見上げると、リオは引きつった笑いを浮かべてボリボリと頭の後ろを掻いた。
「マジ?お前が俺の子供を妊娠?マジかぁ、しかもあんなんで。えぇ、妊娠しにくいんじゃねぇの?たまたま?それとも危険を感じて繁殖力上がったってやつ?ははっ、実感わかねぇや。」
徐々に笑みが深まっていく。いつもの彼だ。
「親とかリプにも言ってあったんだっけ?」
「うん…元々婚約は卒業までにお互い何もなかったら、だったし、私達に任せるって言ってくれた…だから……」
「へぇ、えへへ、じゃあ喜んで良いんだな?」
そういうとリオは遠慮も躊躇いもなくハルミアを抱きしめた。
「わかった。申請して、結婚しよう。あ、そうだ、じゃあ俺もお前のことハルって呼んで良い?へへっ、あのハルが俺の嫁かぁ。俺の親驚くだろうなぁ。」
「い、良いの…?」
「いや俺、さすがにヤリ捨て孕ませ捨てするほどゲスじゃないし。ハルミア…ハルなら断る雄いないだろ。」
「リ、リオには、彼女とか……」
「俺に彼女ぉ?いると思う?今できたけど。学校いち可愛い竜人の彼女できちゃったけど。いきなりじゃあれだから結婚ぜんてーのお付き合いって感じ?俺は全然良いよ。ハルのことは好きだし。願ったり叶ったりだな。」
好きと言われて胸がドキリとした。実は今までそういう目で見られていたのだろうか。
「ハルこそ俺で…って子供できちゃったなら仕方ねぇか。いやー、びっくりしたなぁ。まだ15だし法律じゃ結婚できるけど、当分先のことだと思ってたんだけどなぁ。」
いや、多分違う。異性としての好きではないはずだ。それでも、言いにくいことを直球で言えるのは彼の良い所でもあるだろう。ハルミアは彼を抱き返した。
「あれ、ハル?」
「ありがとう…」
安心して、熱いものがこみ上げてくる。
「ハル、あんまりくっつかれると興奮する。勃っちまう。今週まだ抜いてないから溜まってんだ。」
いつも通りの彼に、クスリと笑みを溢してそっと離れた。
「ハル、俺外行くって言っちまったから行くわ。放課後一緒に帰っても良いか?」
「うん。」
「あ、一緒に言いに行った方が良い?レプに。」
「大丈夫。ありがとう。」
そっかー、じゃあ後でな。とグラウンドに向かう彼の背中を見送って、ハルミアも戻る。
「そうか、良かった。…謝らないで。おめでとう。」
レプへの報告を済ませ、その日の授業を終える。ハルミアのクラスの方が先に解散したので、彼の教室の前で待つ。彼のクラスも解散し、扉が開いて生徒が出てくる。
「おーハル、帰ろうぜ。」
ごく当たり前のように振る舞う彼に安心して付き添う。
「あれ、リオとハルミアじゃん。」
あの時のメンバーの犬獣人、ロタと偶然会う。
「ようロタ。俺たち付き合ってんだぜ?」
「え゛!?マジ!?いつから!?」
「さっき。」
「さっき!?」
顔を熱くするハルミアそっちのけでリオは彼女の肩を抱いて堂々と宣言した。
「へぇ…良かったねぇ。」
ロタは事情を知っているのでしみじみと言ってから、ニヤリと口角を釣り上げた。
「じゃあもう俺が抜かなくて済むね。」
「あ゛!?普段からお前に抜かれてるみたいな言い方するなよ!お前と違ってそれ目的じゃねぇし。」
「うわ信用できんわー。ハルミア気を付けろよー?なんかあったら相談するんだぞー?」
リオがどつき、いつものじゃれあいが始まった。結果、噂が広まった。
「え、何ハル、こいつと付き合ってんの?こんなパッパラパーと?」
「誰がパッパラパーだ。模試の偏差値お前より高いわ。」
「リオがハルミアと?ハルミアがなんかの罰ゲームやらされてるんじゃない?」
「意外だわぁ。良いなぁ竜人…」
「全然知らなかったー!」
「…うるせぇ!!帰らせろ!!」
始まりは自分だがハルミアを連れてそそくさとその場を後にする。学校から少し離れると、いつになく遠慮がちに話しかけた。
「ハル、手、繋いで良い?」
彼の大きい手に握られ、ハルミアは久しぶりに晴れやかな気持ちで彼と歩く。さりげなく歩幅を合わせてくれる気遣いを見せる一方で握り方がぎこちなく、周りの視線を気にしていたりと緊張しているらしい。
「私、リオのご両親にご挨拶するわ。」
「あー、俺の親住んでる所ちょっと遠いから、今度俺が呼ぶわ。」
「…え?もしかしてリオって一人暮らしなの?」
「あれ言ってなかったっけ?中学1のとき、仕事で引っ越さなきゃならなくなって、俺は嫌だったから残ったんだよ。週1で会ってる。だから家には俺1人。なんなら今日お持ち帰りもできるぞ。ラブホに金使わなくて良いから便利だ。明日土曜で休みだし、泊まってくか?」
さすがに100%冗談のつもりだった。
「そうなんだ…私も大丈夫だと思う。」
「え?」
「お母さんとお父さんにはまだ…妊娠したことまでは言ってないの。だから…」
「告白上手くいったらさっさとやれと。さすが、今どき許婚なんて会社の令嬢でもしないのに話進めちゃうだけあるわ。まぁ俺で妥協してくれただけ良いか。」
「お父さんとお母さんも許婚だったから…。」
「なるほど。…それで、ほんとに泊まって大丈夫なの?」
「いいよ。リオが良いなら。」
こうして、急な流れで家に泊まりにくることになった彼女の手を引いてリオは自宅へ向かう。アパートではなく小さな一軒家で、費用などは補助金でまかなった。中学生1人が住むには十分贅沢で、絶滅危惧種として国際的に手厚く保護されている竜人は子作りの機会を増やすために若いうちからの一人暮らしも補償の対象となっている。
家は寝室兼自室、リビングダイニングと小さなキッチン、そしてトイレ、洗面台とガラスで仕切られたシャワールームが合わさった部屋の3部屋で、リビングダイニングは友達3、4人呼べば一杯になってしまいそうなくらいの広さだ。
「ハル、ゲームなんてしなさそうだしなぁ…あ、ちょっと部屋片付けるからその間に親に連絡でもしてて。」
リビングダイニングには低いテーブルとクッションとテレビしか無かったが、彼の自室は色々と物が散乱した典型的な男子の部屋だったのでしばらく物を片付ける。
その後は2人で宿題をやって、暗くなってきたので夕飯を作ることにした。
「手伝うわ。何作るの?」
「回鍋肉の素がある。明日もそれにしようとか思ってたから材料も2人分あるぞ。」
切って混ぜるだけなので2人でテキパキと作って夕食を済ませる。
「うちシャワーしか無いけど良い?先入ってていいよ。」
ハルミアがシャワーを浴びている間リオは自室に布団を敷く。1人用なので一緒に寝るしかない。自宅では初めてだが異性と寝るのは初めてではないしなんなら先日毛布1枚にくるまってハルミアと寝ているので今更だ。それでも真剣な交際相手と寝る、と意識すると緊張した。
一方ハルミアはリオと違って清々しい気持ちでいた。お湯を浴び、直にそっとお腹を撫でる。ここにはもう新しい命が宿っている。しかし彼にそんなことは関係ない。きっとまた交わることになる。
「情けない体……もうできてるのに。」
お腹がうずく。あの時に似た感覚。この間の一件で、この体はすっかり彼の虜になってしまったらしい。
「ハルー、俺のバスローブ使う?2着あるんだ。でかいと思うけど。」
扉の外から彼の声が聞こえて我に帰った。獣人や竜人は、家では服を着なかったりバスローブなどで過ごすことが一般的なのだ。
「ありがとう。」
「んじゃ外に置いとくなー」
「……リオ、入っていいよ。鍵かけてないし。」
ハルミアがそう言うと白いバスローブを持って遠慮がちに扉を開けて入ってくる。ハルミアは気にせず体を洗い、リオは雄らしく視線をハルミアのお腹や下腹部に泳がせながらバスローブを置いてそそくさと出て行った。
「はぁ、そうだよ、もう結婚前提なんだよ。何やってんだ俺…」
テレビを観て彼女が出るのを待ち、自分もシャワーを浴びる。リオはハルミアよりたてがみの量がかなり多いのでドライヤーで乾かすのに時間をかけていると、彼女が背中の届きにくい所を乾かしてくれる。
「乾いたよ。」
「せんきゅ。」
その後は授業の話をしたり雑談したりしながらテレビを観て、良い時間になったのでリオの部屋へ。
「ねぇリオ、」
「うん?」
「もしかして緊張してる?」
「…いやぁ、こんなに真剣なのは初めてでさ。」
髪の毛のようなたてがみをいじりながら答えるリオの意識は別のところにあるようで、ハルミアもそれは察していた。
「なぁハル、その…お腹ってどんな感じなんだ?」
「触ってみる?」
こくりと頷いたリオに、クスリと笑いながローブをはだけさせて素肌を晒す。リオは壊れ物を扱うような手つきで雌らしいふっくらしたお腹を触った。
「…わからねぇや。」
「そりゃあそうよ。私も気がつかなかった。あなたになんともないって送ろうとして検査してみたら…って感じよ。」
「へぇ……」
さりげなく、お腹から脇腹へ手をずらす。ハルミアは特に何も言わなかった。
「ハル、抱きしめても良いかな。」
「うん。」
2人は抱き合って、見つめ合った。明るい場所でここまで距離を高くするのは初めてだ。リオはレプより背は低いものの更に一回り小さいハルミアは全身を温もりに包まれてリラックスし、逆にリオは緊張した。
「ハル…」
「うん?」
「キスしても、良い?」
ハルミアはうなずき、リオは深呼吸をしてから彼女の口先に自分の口先を重ねて目を閉じた。
「んっ…」
隙間から息が漏れる。初めて口付けは優しくぎこちないもので、お互い離れるタイミングがわからずかなり長く続いた。
「あっは、映画でもこんなにしねぇや。」
ハルミアはつられて笑いながらそっとリオのローブの紐を解いた。左手で彼の胸板を撫で、右手で彼の膨れた下腹部を包む。
「この間もこれくらいだったっけ。」
「さぁ?いつもは週末に抜いてるんだ。だから日にちだけで言えば今日の方が溜まってる。あ、ほら…」
スリットの中でもぞ、と何かが動くと先日彼女を虜にした凶悪な肉棒が急成長して彼の滑らかな下腹部にそびえ立つ。
「もう勃っちまった。冷静だと恥ずかしいな。とりあえず……脱ぐわ。」
「そうね。」
ローブを脱ぐとハルミアの方から抱きしめる。ぬめりけを帯びたペニスが彼女の腹に触れて思わず腰を引くも彼女は気にせず抱きしめ2人の腹に挟まれる。
「遠慮しないでよ。恥ずかしがらないで。私まで恥ずかしくなっちゃう。」
「そうだな…どうしちゃったのかな俺。」
そう言いつつそれなら、と背に回していた手を彼女の腰まわりにずらしてさすってみる。際どい所を愛撫してもされるがままの彼女に、リオもようやく興奮が緊張に勝り始めた。
「おっきいね。こんなの入ってたんだ。」
「まぁ……あ、うん。これで栓して一杯出すからな、今日やったら双子になったりして。」
いつもの調子を取り戻してきたものの彼女相手にこれでいくのは違和感があった。ハルミアは笑ってくれた。
「ハル、座ろう。」
向き合って座り、愛撫を再開させる。ハルミアは彼の雄を軽く握った。その甘い感触にヒクリと反応して先端から半透明の雫が垂れる。
「気持ち良いの?」
「あぁ。」
やっぱり恥ずかしい。裸体を見られるくらいなら別にどうということはないけれど、性行為の時にしか露出しないペニスを見られるのは恥ずかしかった。そんなことは知らずハルミアはそれを見つめながら手を上下に動かし始めた。
「いっぱい出てきた。」
先端から半透明の液がトロリと垂れる。生殖にしか使わないそれの感度は高く、リオは思わず熱い息を漏らす。
「ハル、もっと近くに来て。」
リオの体にもたれて肉棒をしごく。あの時は暗かったし必死だったのでわからなかったが、ロタにしごかれている時もこんな可愛らしい顔だったのだろうか。見つめていると目が合った。リオはにっと笑う。
「お前の顔見ながらお前にしごかれるなんて、最高だな。ロタより全然気持ちいいや。あ、そうだ。ここちょっと指入れながらこうやってみて。」
言われた通りスリットと肉棒の境目に指を入れて、そこをなぞりながら手をひねるとリオがうっと声を漏らした。
「気持ちいいの?」
「あぁ…やっぱ人にやってもらった方が良いや。……ねぇハル、」
少し躊躇したのをみて、ハルミアは手をそのままにリオから離れると肉棒の中程から先端をひと舐めした。
「うっ…よく分かったな。」
「そんな気がしたの。」
手で根本を弄りつつペロペロと舐める。雄の味にハルミアの秘部もいよいよ熱く湿ってきた。
「なぁハル、じゃあ…咥えてくれる?」
ハルミアは肉棒を口に含んで、限界まで飲み込んだ。残りの半分は手でしごく。
「ほんのちょっとだけ牙たてて…んで吸って……」
クラスの人気者、大人しくて真面目で端正な顔立ちの彼女が自分の男根を咥えてしゃぶっているのを見るのは興奮した。嫌な顔ひとつせずむしろ積極的に奉仕する彼女の姿に緊張はいつの間にか消えていた。
「あっ…ハル……」
いよいよ雄槍が本気モードになり、彼女の口内には本来潤滑剤兼中和剤となる先走りが多く射出された。これだけで人間の射精量くらいはあるだろう。そしてハルも直にそれを直に受けて、すぐにでもこれを挿れてほしいと言わんばかりのうっとりとした顔になる。
なんて愛おしいのだろう、とリオは思う。男根を熱心にしゃぶる彼女はいつもの何倍も可愛らしく、美しく見える。いや、これが初めてではない。あの時も、彼女が異様に美しく見えた。
「ハル、もう良いよ。」
口を離した彼女を仰向けに押し倒すとすぐには挿れず抱きしめて、片手を彼女に秘部に這わせた。中指を入れると今度は彼女が声を漏らし、熱い肉壁が指を締め付ける。お返しにもっと弄ろうと思っていたが、湧き上がる欲がそれを許してくれそうになかった。
「ハル、」
呼んでこっちを向かせ、そのマズルを咥えて深く口付けをすると彼女も口を開き、じゅるりと音を立てながら互いの舌を舐め合った。
口を重ねながら、ハルミアはリオのふさふさな頭を撫でる。あの時もそうだったが今の彼はどの雄よりも優しげでたくましく魅力的にみえる。もともと彼も美形の部類に入るだろう。ただ少し活発すぎて大半の女子から距離を置かれていただけで、もしレプのような性格だったら彼のように引っ張りだこだったかもしれない。
でも、ハルミアにとっては今のリオのままで良かった。やんちゃな彼が、こうして自分を優しく抱いてくれることが嬉しかった。
抱擁が強まる。彼との命が宿ったお腹に彼の雄槍が押しつけられる。性欲が強い雄竜人に合わせて進化したのか、妊娠していても余程激しくしない限りは影響はない。その知識が安心材料となって欲と興奮を引き立てる。
じゅぷ…と接吻を解く。そして見つめ合う。
「ハル、好きだ。」
確かに異性と意識したことはなかった。けれど今は彼女以外ありえない、とリオは思った。
「こんなことになるなんて思わなかったけど、俺、ハルのこと好きだから。その、いままでのとは違って…その、うん。愛してる。ってことだと思う。」
「…嬉しい。私も同じ。」
へへ、と照れ臭そうに笑って頭を掻く彼を、ハルミアは優しい眼差しで見つめる。
「挿れるよ。」
彼女の顔を抱き、固くしこった肉棒を片手で持って彼女の秘裂に位置を合わせると腰を沈めた。
「あっ……」
男根がゆっくり自分に埋められていく様をみてハルミアも雌モードに切り替わる。彼の背に手を回してなでながら、おなかをかき分け聖域に侵入される快感に息を熱くした。
「入った。やっぱすっげぇ気持ちいいや。」
見せびらかすようにわざと少し腰を浮かせ、太い根本を咥えこんでいる秘裂を指でなぞる。受け入れた雄を奥へ引き込むように収縮する膣は、彼だけでなく自身への快楽も増幅させていた。
ある種の獰猛ささえ感じられる熟れた肉壺の感触をしばし味わい、息をついてから腰を引く。逃すまいと食い付く膣に逆らい、そして一気に押し込むとハルミアが可愛らしい声をあげた。
あの時とは違う。ただ欲のために腰を振るのではなくより愉しむためにゆっくりと、えぐるように角度をつけて押し込めばリオを抱くハルミアの腕に力がこもって、漏れる吐息が彼をさらに昂らせた。
「…このへん?」
「あうっ…」
反応が大きいところに向かって先端に体重をかければ彼女の体は正直にそれが正解だと伝える。
「あっ…リオ…」
この間とは全く別物の快楽から逃れようと体をひねるそぶりを見せる彼女を抱きしめて押さえる。ハルミアは嫌がっているのではなく、動きを封じられてむしろ興奮は高まった。
「恥ずかしがるなって。どうせ何回もイクんだから。ほら…我慢すんなって…」
優しい声で耳打ちすると彼女が体を震わせた。声を出さないようにしているのか牙を食いしばって絶頂に耐える。リオはそんな彼女を見つめながら少しの間待つことにした。
「気持ち良い?」
力が抜けてから聞くと、彼女は恥ずかしそうにうなずいた。微笑みながら彼女に口付けするとハルミアも熱心に応えてくれる。
「ハル、すごくかわいい。」
優しい顔でそう言われ、ハルミアは彼から目を離せなくなった。何か言葉を返そうと思ったところで彼がまた動き始めたので喘ぎ声しか出なくなる。
また耳元で名前を呼ばれる。それだけで体がゾクリとする。頭が行為のことでいっぱいになる。お腹の中が何度も押し広げられたり元に戻ったりする快感を、埋め込まれた異物をもっと感じようと体が勝手に膣を引き締める。彼も気持ち良さそうに息を漏らしている。彼にもっと良くなってもらうために、彼をもっと感じるためにお腹に少し力を入れると快楽が何倍も膨れ上がって、思わず大きな声を出してしまった。
「ハル…すごく良い……」
そう言われたことが嬉しくて、喘ぎを抑えてなんとか彼の名前を呼んだ。のしかかる彼の重みと温もり、そして熱い交尾の快感に溶けてしまいそうだ。
「はぁ…んっ……んん…」
「あっ…ぅあっ……リオ……」
彼女をギュッと抱いて、そのまま寝返りをうって体勢を反転させた。彼女の膣がキュッと締まる。この体位では下のリオは動きづらい。体を揺らしながら今までより穏やかな快楽をダラダラとたのしんだ。尻尾を絡ませて体を揺らす。ハルミアもはじめは無意識に腰を揺らし、気づいてからは意識的にくねらせる。お互い惚けた顔を見合わせながら、時々どちらかがどちらかに顔をよせて口付けをした。
またハルミアが絶頂する。それをリオが見つめ、おさまるとまた口付けをして動きを再開させる。結合部は愛液で濡れて動くたびに水音が響く。
どれくらい時間がたっただろう。自身の肉棒の根本辺りに熱がうずまきはじめるのを感じて一旦ハルミアをきつく抱いて動きを止めるとまた体勢を反転させた。うっとりと見つめ合い、体を撫でる。ピークを予感したハルミアは膣以外から力を抜いて彼に身を任せた。
「やっぱり結婚しようハルミア。すぐ。」
彼女が返事をする前に口を塞ぎ、大きく腰を引いて突き出した。ジュルジュルと彼女の口を貪り絶頂に向けて動きを強くする。先端で肉壁をさすり上げ、奥を突く。なるべく長く続くように調整しながら果てて体を振るわせる彼女をなおも責めた。
「あっ…あーっ……リオぉっ……」
熱い責めに連続して絶頂しているらしいハルミアの膣は愛しい雄にとどめを刺そうときつく締め上げ、その快楽にリオも喘ぎ声をもらす。
「ぐっ…あっ……ハルっ……そろそろ出るっ……」
終わってしまう。それならひと思いに爆発したい、と最後の数分ははじめて彼女を抱いた時のように激しく腰を打ちつけた。
「でっ…出るっ……」
「くあぁっ…!あぁっ…!」
床に響くほどプレスされてハルミアはついに声を抑えられなくなる。そして限界を迎えたリオは彼女と密着し、グッと腰に力を入れた。
ビクン、と彼女に締め付けられた肉棒が跳ねまわり、それに合わせて濃い白濁を吐き出した。熱いものがお腹の奥にぶつけられる感覚にハルミアは歓喜の叫びを上げて暴れる彼の肉棒をしゃぶるように締めつける。
「あーっ!!あぁーっ!!」
「ふぅぐっ…はぁっ……」
射精の快感と、最後の一滴まで搾り取らんと言わんばかりに波打つ膣からの快感に口を上げてよだれを垂らしながら喘いだ。なんの遠慮もいらない。それがこんなにも心地良いことだとは思わなかった。
「はぁ…はぁ…」
「はぁ…んっ…はぁ…」
肉棒はドクンドクンと脈を打って注ぎ続ける。ハルミアは惚けた顔のまま、リオも負けないくらいだらしない顔で見つめ合う。そしてハルミアのお腹が膨らんでいく中リオは彼女に頬擦りし、ハルミアはそれに応えながら彼の射精を促すように脇腹から腿にかけてさすった。
「まだ…出る…」
結合部から白濁の粘液が噴き出ても密着を少しも緩めない。ようやく勢いが衰えてきた頃には彼らの下腹部とその周囲の布団がドロドロになっていた。
「リオ……」
「……ははっ…情けねぇイキ顔晒しちまったな…」
「かわいかった。」
「うっ…まぁハルミアに言われるなら嬉しいや。…もう少しこのままで良い?」
「うん。」
射精が終わって、肉棒が萎えてスリットに完全に収まるまでそのままでいた。その間ハルミアはリオの顔を舐めたり頬擦りしたりして甘え、リオも同じようにして返した。そっと離れると惨状が目に入る。
「うへぇ布団がやべぇ。」
「すごい出たもんね…お腹膨らんじゃった。」
ハルミアは嬉しそうに少し張ったお腹をさする。あの時は暗かった上に力んだり掻き出したりしたので見た目はほとんど変わらなかったが、今回はなるべく多くの精液を留めようと勝手に下腹部に力を入れる体に従ったので、リオが出した大量の精液の大半がハルミアの中にあった。
「最高記録更新かなこりゃ。」
とりあえずトイレットペーパーで拭き取り、あとは翌日洗うことにする。
「ハル、大丈夫か?ごめんな、興奮してつい……」
余韻で起き上がらない彼女を後ろから抱きながらそういうと、彼女はまんざらでもない顔で首を振った。
「ずっと優しかったよ。すごく良かった。最後のほう、気持ち良くてなにも考えられなかった。」
「そっか…ならよかった。俺も最後のほう飛んでたな。」
腰使いは激しかったもののハルミアにとっては彼の優しさが込められたものだった。そして今も、余韻が強く残る中で背後から彼のぬくもりを感じるのは至福だった。リオはどこか安心したように笑って、一緒に彼女のお腹をさすりながら彼女に甘えた。
「ハル、結婚しよう。すぐの方が良いよ。そうすればハルのそばにいられる。俺たちなら大丈夫だろ。あと俺志望校のレベル、頑張ってあげるわ。俺たちきっと子沢山になるからな。まぁ補助金あるけど…」
「そうね…」
ハルミアは自分を抱いている彼の手をそっと握る。
「リオ、ありがとう。私ね、今のリオがとても好きよ。だから、頑張ってくれるのも嬉しいけど……」
「大丈夫だ。いざとなりゃ補助金あるし。」
ハルミアはクスリと笑って、彼につられて欠伸をする。かれこれ2時間近く交わっていたのでお互い疲れていた。
「こんなことになっちゃったけど、リオで良かった。」
「おだてたって何もでねぇぞ。」
そう言いつつ嬉しそうに彼女に口付けをすると電気を消す。それからまた少し甘え合って、お互い愛の言葉を囁くと抱き合ったまま眠った。
「……ということなので、みんなハルミアさんに気を遣ってね。」
特例申請をして婚約が認められた上ハルミアが既に身篭っているので学校全体に周知されることになって、それならいっそとリオは堂々と手を繋いだり彼女の肩を抱いたりと満喫し、ハルミアも最初は恥ずかしがっていたがすぐになれた。
「今日学校終わったらあの店行かない?あー…ハルミアは無理?」
「大丈夫。彼最近家だと勉強で忙しいから気をつかわせないで済むし、もともと行動制限するようなタイプじゃないし。」
「あいつそういうの嫌いそうだもんね。」
学校では相変わらず自由奔放なリオも、家ではずいぶん熱心に勉強をしていた。もちろん毎日甘えあっているし、週に一度は体を重ねている。まるで今までずっとそうだったように彼らは仲睦まじく過ごす。お腹の子供も順調に育って中学を卒業する頃にはだいぶ大きくなっていた。
ハルミアはもともと予定していた通り通信制の高校に、リオは、上位校だと課題に時間が取られそうという理由で中堅上位校に進学。その最初の夏休みに入る少し前に、ハルミアは自宅でリオに寄り添われながら無事出産。
出生率が低いため絶滅危惧種の竜人は、実は性成熟してすぐ、つまり思春期が最も子供ができやすい時期。色々な問題で公にされてないが若年結婚が認められているのはそのせいで、そんなことはつゆ知らず愛し合い続けた彼らは沢山の子供に恵まれて幸せな日々を送ったのだった。
おわり
レプのお話も書こうかな……