※この作品はR-18です。

竜・竜人短編集   作:神座(カムクラ)

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 今回は期せず長めになりました。内容がダラダラじゃないハズなので、久々の人間×竜をお楽しみください。
 
  
 



9.幸せな奴隷 (主に♂人間×♀竜)

 ──メラン…もしあなたも飼われてしまったら…決して子供を欲してはだめよ…──

 

 幼い頃、私は母にそう言われていた。酷い、とも思ったけれど今なら理解できる。

 

 ドク…ドク…

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 「フゥ。2回目なのになんだもうダウンか?前ヤったときはもっと元気よかったのに、ここんとこすっかり駄目になったなメラン。」

 

 とある場所で犯されているのは1匹の小さめの竜。もう声をあげる気力もなく、管理者である馬獣人の雄の射精を感じて体を弛緩させた。引き抜かれても、地面に乱暴に降ろされても白濁液を垂れ流しながら呻くだけで特に反応はない。

 

 「獣人客の言う通り、これじゃああんまり面白くねぇな。」

 

 ここは高級媚館。しかし彼女はただの娼婦ではない。

 

 「…売るか。」

 

 彼女は奴隷。生まれながらの奴隷である。母竜が奴隷で、金持ちの農家に隷属している際彼女を産み、しばらくは他の奴隷とも協力して主から隠し育てていたのだがバレて売られてしまったのだ。

 

 母親も小竜─成竜でも体長(頭から尻尾の付け根まで)3mくらいにしかならない竜の総称─であり、かつ幼少期に十分な食べ物を与えられなかった彼女は成竜であるのに体長2mくらいしかなく、また精神年齢もかなり幼い。だが様々な種族が訪れる媚館にとってその体格はリザードマンや獣人、人間に好まれる上、鱗ではなく空色短く手触りの良い体毛が生えた剛皮と腹側を白い柔皮に覆われ、頭に短く真っ直ぐな2本の白い角が後ろ向きに生えている美竜である彼女は数年前に隷属していた農家からこの媚館に買い取られた。

 

 サイズ的にも、感触的にも反応的にも好評で、客には名器と呼ばれ奴隷娼婦であるのにも関わらず人気1位を争うほどだったが、彼女の精神に限界が来たのだ。

 

 媚館に奴隷を出す裏の目的は、子供を産ませて売るもしくは働かせること。しかし、あまり知られていないが雌竜は元々孕みにくいのに加え、強い精神的なストレスがかかった状態ではそもそも宿らないようになっている。それはつまり自分が相手を認めるか、子が欲しいと思わなければならないということで、より強い雄の子を残すための本能でもある。だから彼女の母親はちょっとした油断で宿してしまった娘に「子を欲するな」と教えていた。無論子が不幸になるからである。

 

 (よし…なんとか耐えた…)

 

 だがこの習性には弱点がある。それは交尾の際、常にそれをストレスに感じないといけないということで、与えられた快感を少しでも楽しんでしまったり、理性を失って求めても認めたと体が認識してしまうということ。故に彼女は行為を拒絶し続け疲弊してしまい、防衛本能が働いて行為中は放心状態になってしまうのだった。雌の奴隷なので犯されることは珍しいことではないのだが、娼婦の、しかも不本意に人気トップとなって毎日夜通し犯されていてかつ完全に拒絶し続けているのだから仕方がなかった。

 

 (次はどこに売られるんだろう…なにされるんだろう…)

 

 ここでは犯されるだけで抵抗しなければ特に痛め付けられることはない。犯される"だけ"といえば語弊があるかもしれないが、重労働ならまだしも悪趣味な主人だと理由なしに大怪我をさせられたり拷問まがいのことをされたり、八つ当たりや気晴らしに暴力を振るわれることもある。なので雄との交わりに慣れてしまえばこれらに比べれば遥かに楽であるし、奴隷娼婦の中には楽しんでやっている者もいる。

 

 (今よりは良いか…)

 

 しかしそれはあくまでもどんな形でも受け入れればの話。そうではないメランにとって、子供の心配をし続けるよりも一方的に痛め付けられる方が諦めがつくし、どちらかといえば普通のところに売られた方が精神的に楽だった。そして彼女の予感は当たっていたのだった。

 

 

 

 

 ────────────────────

 

   

 

 

 「おいみろよ、あれってあの高級媚館のメランってやつじゃね?」

 

 「本当だ!おい、ちょっとやって良いか?」

 

 ここは奴隷市場。メランは檻の中で鎖に繋がれた首輪と口輪を付けられたたずんでいる。近くにいたメランの管理者は

 

 「構わんが疲弊しきってるからほどほどにしろよ。」

 

 と言って檻を開ければ数人の獣人や人間が彼女を囲み、その内一人が何の前触れもなく雄を突き挿れた。

 

 「う~やっぱ気持ち良い!」

 

 「早くしろよ。」

 

 市場に訪れる者の中には"試し"目当ての者もいて、元高級媚館の娼婦だったメランの売り場にはすぐに列ができた。媚館とは違い様々な雄が入れ替わりで突きいれかき回しては中出ししていたためメランは糸の切れた人形のようにほとんど反応なくただ犯されていた。

 

 「…おい、おいメラン、メラン!」

 

 「は…はい…」

 

 ひっぱたかれて正気に戻った。管理者はホッとしてため息をつくと、流石に商売にならないし万一精神崩壊でも起こしたら大損なので"試し"を強引に打ち切り道行く人に売り込む。しかし秘裂から白濁液を垂れ流しながらぐったりとしているメランには中々買い手がつかず、管理者は処分も考えないと、と思っていたとき

 

 「うむ…流石にこんなのはなぁ…」

 

 5、6歳の白髪の少年を連れた父親であろう人間の男。ほんの少し興味を持ったその男を見ると管理者は必死に売り込んだ。

 

 「旦那!竜をお買い上げに?」

 

 「あぁ。手頃なのはいないかと思ってね。」

 

 実はこの男、王立の貿易の要職についていて一部の貴族に匹敵するほどの金持ちなのである。

 

 「何に使うんで?旦那は農業しないだろうし、使用人もいるだろうし、やっぱりコッチですか?」

 

 と片手でしごく真似をすると苦笑して

 

 「いや、息子との約束でね。7歳の誕生日に竜を買ってやると約束したんだ。何せこいつは───」

 

 「僕ドラゴン大好きなんだ!カッコいいし、空飛べるし、あと…あと…」

 

 「──まぁこんな感じだ。母親は離れて暮らしているし、私もよく家を開けるからペットにでもと思って手頃で大人しいのを探してたんだ。」

 

 「なるほどぉ…」

 

 落胆を見せないように

 

 「確かに坊やのペットにこいつは合わないかもしれないっすね。」

 

 父と管理者は同時にメランを見る。翼はあるが生まれてこのかた飛んだことなどないし、カッコいいとはお世辞にも言えない。

 

 「なら農業用を当たってみては?あそこなら…」

 

 一連のやり取りを聞いていたメラン。何となく目を開けるとその少年と目があった。実物の竜を見るのは初めてなのか急に固まって

 

 「こ…こんにちは。」

 

 (こんな子供の相手なんて真っ平よ。どうせその辺の玩具と同じように扱われて、私の角とかで怪我をすれば私が酷い目にあわされて、飽きたら売られるか最悪処分だわ。…あーあ、こんな子供もあぁいう人間に育てられてあぁなっていくんだろうな…)

 

 子供のペットとなれば身体的には勿論、こんなチビッ子に道具扱いされるという屈辱にも苦しめられる。これからそうなってしまうであろうその竜を哀れんでいると

 

 「色々どうも。ほらいくぞ。」

 

 「父さん、この竜が良い。」

 

 「え…?」

 

 「え…?」

 

 (え…?)

 

 …この3人がここまでシンクロしたのはこれが最初で最後だろう。

 

 「な、何いってるんだ。こいつは小さいし娼婦…汚いぞ。」

 

 「洗えばいいじゃん。僕馬洗ってるよ、同じでしょ?それにこの竜なら一緒に部屋に入れるし、一緒にベッドで寝れるよ!」

 

 唖然とする大人達。子供にとってはメランが何で汚されているかなんぞ関係ないらしい。管理者はすぐに笑って

 

 「たいした坊っちゃんだ。でも確かにペットなら一緒に寝たいもんね?」

 

 「うん!」

 

 「なら大特価といきましょうか。これなら農業用の竜の半分くらいだし、この大きさなら家に置いておける。小竜は雑食だから餌代も安くすむし、坊っちゃんが大きくなったらコッチの相手もできる。それに美形ですぜこいつ。」

 

 「そうか…しつけはどうなってる?」

 

 「へい、こいつは生まれて数年で売られて、うちより前のところでしっかり調教してあるようでそこは平気だ。歯向かえばどうなるかわかってるんです。人語も話せるから坊やの留守番中の相手にはピッタリだと思いまっせ。」

 

 「そうか…」

 

 父親はもう一度メランを見る。空色の体に金色の瞳。この大きさなら場所をとらないし安い。

 

 「わかった。ジェイク、本当に良いんだな?」

 

 「うん!大切にするよ!」

 

 「分かった。こいつを買おう。」

 

 「まいど!!」

 

 所有証にはジェイクがサインし、メランの血印も押されて契約完了。これでメランの権利は全てこの7歳の少年が握ることになった。鎖に繋がれた太い金属の首輪ははずされ、代わりに"奴隷"の文字が彫られた大きな金属プレートの付いた革の太い首輪がかけられた。そこについているリードをジェイクが持ち

 

 「この子、名前は?」

 

 「メランでっせ。可愛がってやってな。」

 

 「よろしくメラン!僕ジェイク!」

 

 そう言われメランは頭をグッと下げる。服従の印だ。やらないと鞭打ちが待っている。その後町外れの川に連れていかれ、途中で買ったたわしで洗われていた。

 

 「痛くない?」

 

 初めて母意外に純粋に心配された気がするメラン。鱗ではないがかなり丈夫な皮であるし、子供の力なのでむしろ気持ち良いくらいだ。頷くと

 

 「本当に分かるんだ!」

 

 コクッ

 

 「へぇすごい!喋れるの?」

 

 コクッ

 

 「へぇー。あ、ここすごい汚れてる。痛そうだから手で洗ってあげるね…どうしたの?くすぐったいの?」

 

 

 

 

 〇〇〇 

 

 

 

 

 ジェイクの家は召し使いもいるまさに豪邸。着くなり

 

 「ねぇ父さん、口のやつ外しても良いでしょ?」

 

 父親はメランに

 

 「何かしたらただじゃおかないからな。」

 

 と言ってから

 

 「良いぞ。はしゃぎすぎるなよ」

 

 と言った。

 

 実は竜の奴隷は同じ管理者に5年以上仕えるまで外出中は口輪を着けないといけないという法律がある。待ってましたとばかりにジェイクはメランの口輪を外し

 

 「メランよろしくね!」

 

 「…よろしくお願いします。」

 

 「うわぁ本当に喋った!ねね、何かして遊ぼう。これも邪魔だな。」

 

 首輪も外すとメランの手を引っ張って庭へ連れていった。

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 

 (案外悪くないかも。)

 

 よくわからない遊びに付き合わされジェイクは腹ばいになったメランに寄りかかって眠ってしまった。

 

 (これじゃあ子守りね。)

 

 日が暮れてきたので起こして館へ戻っていった。その夜。

 

 「メランってなに食べるの?」

 

 「2日に1度、果物や肉を食べています。」

 

 「豚のお肉食べれる?」

 

 「はい。生で大丈夫です。」

 

 媚館にいるときは肉つきが悪いと評判が落ちるので食事は十分だった。しかし特に大きな心配もせず落ち着いて食べたのは初めてだ。その後

 

 「私はどこで過ごせば良いのですか?」

 

 「ん?メランは僕と寝るんだよ?」

 

 「えっ?」

 

 「父さんも良いって言ってたし、ほらこっち。」

 

 連れていかれた先の部屋には成る程子供一人が寝るには大きすぎるベッドがある。

 

 「私もここで…?」

 

 「そうだよ。ドラゴンと寝るの夢だったんだ。」

 

 そしてメランは小さな主人と共に奴隷には、いや平民にとっても豪華な寝床へ入る。それも奴隷と主人が本当に寄り添うように寝るのだから、常識的に考えると信じられない。

 

 「メランって可愛いよね。」

 

 「そ、そうなんでしょうか。」

 

 「うん。お嫁さんにしてもいいよ。」

 

 「え、え…」

 

 「また明日遊んでね。お休みメラン。」

 

 「お…お休みなさい。」

 

 慣れない状況ではあったが、初めての心から安らげる空気にあっという間に眠りに落ちた。

 

 

 〇〇〇

 

 

 「じゃあまたねー!」

 

 「また見せろよお前のドラゴン!」

 

 「うん!」

 

 あれから数日、ジェイクはメランを連れて友達と遊び家に帰る。ジェイクは学校に行っていて友達もいるのだが、家に母親はおらず父親もしょっちゅう仕事でいないのでメランの存在は貴重だったのだ。メランはメランで辛いどころがその真逆であり、子供達と一緒に走り回ることもあった。

 

 「メランーお風呂入ろー。」

 

 「一緒で良いのですか?」

 

 「うん!洗ってあげる。」

 

 今まで冷水でしか洗われたことがなかったメラン。体を洗ってからやはりメランが入っても余裕の大きさの湯船に浸かる。

 

 「あの…ジェイク様。」

 

 「ん?」

 

 「ジェイクは様のお母様はもしかして獣人、なのですか?」 

 

 「あ、わかった?白い狼の獣人だよ。なんでか知らないけどこのまちじゃ暮らせないんだって。」

 

 「白狼獣人…どうりで…」

 

 ジェイクの髪は真っ白で、また産毛程度だが全身に生えている白い体毛は白狼獣人のものだった。唐突にジェイクは

 

 「メランを買ってもらって良かった。ずっと一緒だよ。」

 

 「…はい。私もジェイク様に仕えられて幸せです。」

 

 

 ─────────────────────

 

 

 「ごめんねメラン。」

 

 「いえ、当然のことです。」

 

 「ありがと。帰ったら拭いてあげるからね。」

 

 外出していたら突然雨が降ってきてしまい、メランの翼を傘代わりにしている。ちなみに有翼竜の奴隷は翼を縛られないといけないのだが、メランは今まで飛ばせてもらったことが1度もないので飛ぶことができず、なら邪魔なだけだからと特別に外している。ジェイクとメランが出逢って3年。彼らの間には確かな絆が生まれ、ジェイクが学校や習い事の時以外はほぼいつも一緒。送り迎えもメランがしているので半ばボディーガードのようになっていた。

 

 「そういえばジェイク様、明日武術のお稽古の試験でしたよね?今日は私だけで勉強するので備えていただいて大丈夫です。」

 

 「わかった。」

 

 ジェイクは剣術と体術も習っている。軍に入るわけではないが、金持ちが狙われることもあるので始めたのだ。そしてメランは学校で成績優秀なジェイクに学問を教わっていて、最近では文字の読み書きができるようになっていた。もっとも、読むことはあっても書くことはほとんどないと思われるが。

 

 買われた当初はいつ飽きられるか不安でもあったが、その心配は当分無いように思えた。しかしさらに3年経ってジェイクが13歳になったとき、暗雲が立ち込める。

 

 休日に庭の木陰で昼寝をしていたとき

 

 「うん…あっ…」

 

 「ジェイク様?」

 

 唐突に主人が目を覚ましたと思って見てみれば顔を真っ赤にしている。直後に漂ってきた、嗅ぎ馴れた匂いで原因はわかった。

 

 「…部屋に戻りましょうか?」

 

 「…そうだね。」

 

 夢精なんて、主人も大きくなったなぁとしみじみ感じるメラン。部屋に戻り、ジェイクが着替えるのを見ていた(いつも風呂に入っているのでジェイクも慣れているしメランは竜なので特にそこは気にしない)のだが、まだ半勃ちで下着を取り替えた後もモジモジしていたので、そのときは軽い気持ちで

 

 「ジェイク様、もしお望みになるなら、私で良ければ相手になりますよ。」

 

 「え…その…セッ…こ、交尾ってこと?」

 

 「えぇ。私は慣れていますし、ジェイク様なら構いません。」

 

 「…どうすれば良い?」

 

 ジェイクは自分の奴隷(ペット)の言う通りに服を脱いで仰向けになる。メランは優位に立つつもりではなく、主人を楽しませようとこの体勢を選んだ。メランがその肉棒が完全に勃つまで舐め

 

 「では、失礼します。」

 

 と言って覆い被さりそれを自らの胎内(なか)へ招き入れた。

 

 「うわぁ…」

 

 「どうですか?」

 

 「気持ちいいよ…それになんか…不思議な感じ…」

 

 「私も感じます…動きますね。」

 

 なるべく主人に体重をかけないように気を付けながら腰を上下させてまだあどけなさ残る雄を絶頂へ導いていく。今まで数多の雄に犯されてきたので、主人の…少年との交わりを心地よく感じたのは意外だった。むしろ強引ではない分気が楽で、知らず知らずの内にメランも初めてこの行為を楽しんでいた。初々しくもしっかり固い雄槍を、不本意に使い込まれた柔らかい竜膣が締め付け絶頂へ導いていく。

 

 「あ、メラン…!」

 

 ビュッ!ビュルッ!

 

 腹の奥底で感じる甘美な刺激。思わずメランが主人に額を付けると頬を撫でてくれてそれが嬉しかった。ジェイクもよほど気持ちよかったのか射精してから終わって少しするまでメランの腰をつかんで引き寄せていた。その後そっと離れ、粘液まみれの肉棒をなめて綺麗にして行為を終える。

 

 「メラン、その、ありがとう。」

 

 「いいえ。私も良かったです。」

 

 「また…してもいいかな。」

 

 「もちろんです。いつでも言ってください。」

 

 主人との距離がまた縮まって嬉しく思うメラン。

 

 (ジェイク様となら…辛くない…)

 

 この日から2か月程経ったとき、事件が起きる。

 

 この地域には冬がなく、春→夏→秋→春…のような感じで様々な食物が一年中採れる。学校の帰り道、市場に並んでいるそれらを物色していたのだが、美味しそうな焼き菓子を売っている店があって、出来立てというのでジェイクはメランの分も買って近くの広場で食べていた。奴隷の首輪をつけている竜が主人と同じ物を並んで食べているなんて奇妙な光景だが、6年前からこの調子の彼らはもう街に知れ渡っているし、奴隷は減少傾向にあるので今更好奇の目を向けられるのとはない。

 

 「いつも私まですみません。」

 

 「いいよ安いし。それに俺だけじゃ食べにくい。」

 

 お金持ち的に安いのではなく本当に安い。ジェイクにとってメランは気遣うべき同居竜、言わば家族のような存在になりつつあった。しかしその帰り道、一人の、若い雌の白狼獣人の奴隷が主に鎖で引かれ歩いているのを見かけた。若い主人の顔は嬉しそうで、奴隷は辛そうである。

 

 (あの子お腹が…)

 

 やや膨らみを帯びたお腹をみて重大なことを思い出した。ジェイクとはあれから毎日身を重ねているのだが、仔のことを、抵抗することをすっかり忘れていたのだ。あのときの、媚館にいたときの恐怖が蘇り、その記憶がメランの理性を削っていった。そして家に戻り、この日は体調が悪いからと身は重ねず、心配されながらいつも通り眠りにつこうとする。ふと先に寝た主人を見て

 

 (今なら…逃げれる…)

 

 もし今、まだ気づいていないだけで身籠っていたら。これから先、身籠ってしまったら。そしてメランは平常心を完全に失った。

 

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 

 「メラン…こんなことやめろ…家に帰ろう…」

 

 メランはジェイクの首に研いだ爪を突き付け、深夜の街をなるべく人と会わないように歩いている。主人を人質にとれば安全に街の外へ逃げれると思ったのだ。メランは性格が変わったように鼻息を荒くしながら最後の関門へと向かう。

 

 「お、おい!お前なにしてる!!」

 

 「動かないで。この子が死ぬわよ。門を開けて。」

 

 街と外を隔てる門の衛兵の前でメランはそう言うとジェイクを掴んでいる手に力を込める。

 

 「もう止めろメラン…」

 

 「うるさい!もう散々よ!」

 

 開かれた門を出て、少し離れた森を目指そうしたとき、ヒュウッという音と共にメランの背中に衝撃が走る。

 

 「…っ!」

 

 普通の矢なら少し傷つくくらいだろうが、対竜の、竜鱗で作られた矢は浅くとも確実にその剛皮に突き刺さった。3本命中するが大した傷じゃない、と無視して進もうとするが

 

 (背中が…痺れる…)

 

 体は徐々に動かなくなり、バッタリ倒れて意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 

 「グ…グウ…」

 

 「起きたな?」

 

 目が覚めると見知らぬ小さな部屋に、全身縄で縛られて地面におかれていた。

 

 「ン…ムグ…」

 

 口も縛られていて、目の前で知らないリザードマンが立ったところだった。警護兵の服を着ているのでメランは何が起きたかを理解する。

 

 「では始めるぞ。」

 

 10日間、拷問室に鈍い音とくぐもった悲鳴が響き続けた。11日目、複数人の足音を聞いただけで心臓は早鐘を打ち、全身が震える。あの日から今日までの間、メランは1日1時間の休憩以外は昼夜構わず棒やムチで打たれ続け、食事も3日目と6日目に僅かな肉の破片が入った水を無理矢理飲まされただけだった。美しかった体からはいたるところから血がにじみ、痩せ細っている。

 

 「こちらです。」

 

 扉を開けて入ってきたのは兵士に付き添われた主人。

 

 「口のやつ外しても良いですか?」

 

 「えぇ。私が外しましょう。」

 

 乱暴に口輪が外される。

 

 「言いたいことはあるか、メラン。」

 

 「…」

 

 「なんであんなことをしたんだよ。…信じてたのに。」 

 

 「…」

 

 「メラン。どうしてあんなことをした。」

 

 「こわ…かった。」

 

 「なにが?」

 

 「こども…」

 

 「子供?」

 

 「こども…いつかできる子供…売られたくなかった…育てたかった…同じ目に会わせたくなかった…でも…忘れてました。私、奴隷なんですよね。敗戦国の兵の子孫なんですよね。だからそんなの…当然なんですよね。」

 

 「…メラン、奴隷が主人を傷つけたり質にとったらどうなるか、知ってるはずだよね?知ってるなら自分で言って。」

 

 「…10日間、ムチを棒で叩かれます。」

 

 「それは昨日で終わった。そのあと、つまりこれからは?」

 

 「広場に…磔(はりつけ)にされて…それで…」

 

 「それで?」

 

 「みんなの前で…か…管理者に…グス…」

 

 「そう、それで?」

 

 「腹を裂かれて…切り口を焼いて出血を止めて…生きたまま内臓を…内臓を出されて…10日間放置されます…」

 

 「そうされるのわかっててまでやることかい?君のお母さんも見ているかもよ?守ろうとしてた娘にやっと会えたと思ったら内臓剥き出しだったらどう思うかな。」

 

 「…!!」

 

 無惨な死を宣告されて言葉が出なくなるメラン。

 

 「子供が欲しかったんなら言ってくれれば良かったのに。相談できるくらいの仲だと思ってたのに。それで、俺にあんなことしておいて、ただ悶え死ぬだけ?奴隷なら奴隷らしく言うことがあるんじゃないか?俺は君の管理者だぞ。」

 

 「ウゥ…言うこと…?ヒッ」

 

 聞き返したとたんジェイクが手を振り上げたので視線を伏せたメランだが、頭には軽い衝撃がきただけだった。

 

 「俺はお前を…家族みたいに思ってたんだぞ。」

 

 2回、3回軽く叩かれながら震え声で

 

 「…申し訳…ありませんでした…今まで───」

 

 「言うのが遅いんだよ馬鹿。」

 

 ジェイクはしゃがんでメランの顔を持ち上げると額を付ける。

 

 「2度としないね?次はあんなことになる前に相談してくれるね?」

 

 「次…?」

 

 「君の腹を切り裂くなんて俺はそんなことしたくないよ。反逆罪の罰は終わった。帰ろうメラン。」

 

 「許して…下さるのですか…?」

 

 「あぁ。さぁ、体を洗いにいこう?家で君のご飯も用意してある。」

 

 奴隷は管理者にすべてを握られている。ジェイクがメランに生存を命じるという形をとったので、処刑は免れたのだ。元々反乱を防ぐための見せしめであるし、処刑されることによって管理者に損害がでてしまうためこれも法律で認められている。その場合被害者と管理者の示談の成立が条件となるのだが、今回の被害者は管理者のジェイクだけだったので手続きは穏便に終わった。

 

 「どうして…許してくださったのですか…?」

 

 風呂場で全身を素手で洗われた後、久しぶりの食事をとってから部屋で休ませてもらうメラン。

 

 「メランは家族だと思ってる。元々ペットみたいな感覚だったし…ほら、ペットも家族だって言う人がいるだろ?それと同じだよ。それにメランはもうペットなんて言えないし…俺も悪かった。そうだよな。子供作るためのやつだもんな。」

 

 「ジェイク様…」

 

 「もう…あれは止めよう。無理させてごめんな。」

 

 「ジェイク様…本当に…申し訳ありませんでした…」

 

 メランがボロボロ泣きながらグッと垂れた頭をジェイクは抱いて

 

 「もういいよ。辛かったんだろ?…そうだ。俺が一人で稼げるようになったらメランの番相手探してあげる。奴隷市に通えばその内見つかるだろ。メランが気に入った雄を買ってあげる。俺はメランの子供を売るようなことはしないからさ、安心して子供を作って。もちろん子供は奴隷にしないよ。」

 

 「…!」

 

 「俺もなるべくメランが幸せになれるようにするから。これからもよろしくな。」

 

 「私は…幸せ者です…」

 

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 

 その夜 

 

 「ねぇメラン。良かったら君の昔のこと教えてよ。」

 

 「…私は母と、ある雄竜の間に産まれたそうです。母いわく強姦ではなかったとか。強い竜で、母に一目惚れしたそうで、母の主人にバレる前に口説いたとか。察しているとは思いますが母も無理矢理犯されることはあった。そのせいもあって母は口説かれ、合意の上交わったそうです。しかし私が産まれる前にその竜は去り、また母は私が宿ったことを主人には言っていませんでした。」

 

 「売られるから?」

 

 「えぇ。母は農場の労働力として使われていて他にも奴隷がいたそうで、みんなで私を隠し、みんなで私を育ててくれました。食べ物もみんなが少しずつ分けてくださったそうです。」

 

 「でも…バレたんだね?」

 

 「…私のせいなんです。言いつけを破って寝床としていた小屋から出たから…」

 

 「幼かったんだ。仕方ないよ。」

 

 「はい…それで私は別の農家に売られて…その後媚館に買い取られました。」

 

 母が必死に引き離さないでと願ったこと、売られた先で暴力を受け続けたこと、媚館では宿さないように抵抗し続けたことを話した。

 

 「なんか…スッキリしました。」

 

 「そりゃ良かった。もう安心して良いからね。」

 

 そうしていつも通り同じ寝床で眠りについた。

 

 それから数週間経ち、二人で街を歩いているとメランが乱心する原因となったあの白狼獣人を見かけたのだが、印象と少し違う。ベンチに主人と座っているその白狼獣人は幸せそうに微笑んでいて、ジェイクより少し年上であろうその主人も彼女の肩に手を回しながらもう片方のてで彼女のお腹を撫でている。と、獣人が突然苦しそうな顔をして、主人はその状況に慣れているのか背中を擦っていた。

 

 (もしかしてこないだ見たのって…)

 

 前を歩いていた主人は彼女の体調の異変に気がつかなかっただけだったのではと思っていたとき

 

 「あ、ミサとリオンじゃないか!」

 

 「ジェイク!」

 

 「お、お知り合いですか?」

 

 「ミサは俺のいとこだよ。母さんの妹の子供がミサ。主人はリオン。ミサが奴隷だから結婚こそしてないけどほぼ夫婦みたいだ。リオンはミサが売られる前に知り合って、結婚するって約束して、それからミサが売られたときに本当にリオンが買ったんだ。」

 

 「買ったのは俺の母さんだけどな。そいつが前話してたメランか?いい彼女じゃないか。」

 

 「は、初めまして。」

 

 「メランは彼女じゃないよ。…少なくとも今は。」

 

 「これからね。」

 

 「ミサ…体平気?」

 

 「今ちょっと気持ち悪い。もう少しで安定期になるはずなんだけど…」

 

 「そりゃごめん。行こうメラン。またね二人とも。」

 

 安心したような、自分が愚かしいような気持ちで自分の主人の後に続いた。

 

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 

 

 自宅の庭にて

 

 「そうそう…その調子。」

 

 バサァ…

 

 「おぉ!」

 

 生まれてから飛んだことがなかったメラン。成竜だからということもあるのか、練習してから半年以上かかってようやく飛べるようになった。もちろんそのまま逃げるようなことはせず、しばらく飛び回って主の元へ息を切らしながら降り立った。

 

 「やったな!」

 

 「はい…ありがとう…ございます…」

 

 メランとジェイクが出逢って9年。例の事件以降体を重ねることはなかったが、信頼関係はより深まっている。

 

 「ジェイク様、ここにいましたか。」

 

 使用人のうちの一人がやって来て

 

 「お父様のお仕事が予定より早く終わったので、お母様に会いに行く予定も早めるので準備をなさるようにとのことです。メランはいつも通り留守番です。」

 

 「わかった。」

 

 ジェイクの母は少し遠くの村に住んでいて、年に1度くらいしか会えず、メランは会ったことがなかった。

 

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 

 (寂しいなんて、久しぶりね。)

 

 まだ出発して数時間しか経っていないのに早くもそう感じていたとき、来客が来て使用人が出迎える。

 

 「よー、来たぜー」

 

 「お待ちしてました。」

 

 訪れたのは犬獣人と人間2人。ジェイクの父の仕事仲間で、いろんな町を行き来しているので時々この家に泊まりに来る。

 

 「よぉメラン、久し振りだな。」

 

 「ど、どうも。」

 

 長年の勘か、その時感じたいつもとは違う嫌な予感は当たってしまうのだった。夕食後、彼らの使っている部屋に呼び出されると彼らは既に身一つで

 

 「分かるだろ?」

 

 「はい…」

 

 自分はあくまで奴隷。主人でなくとも同じ奴隷以外の者には逆らえない。

 

 「心配すんな。孕んだらちゃんと買い取ってやるよ。」

 

 「じゃあ誰が先に挿れる?」

 

 「時間はあるんだ。ローテーションにしようぜ。こいつ口も上手いらしいしな。」

 

 「じゃ、俺は種族的に人間より早いだろうから先に挿れさせてもらうか。」

 

 そしてメランは仰向けになって口と片手で人間の相手をし、犬獣人に犯された。

 

 「やっぱすげぇ締まりだ。締まってんのに固くねぇ。」

 

 「ンアァ…ンム…」

 

 「ほら舐めろ。こっちもいいぜ。さすが高級媚館でトップだっただけある。普通にヤるよりいいかもな。」

 

 「こっちも舐めろよ…」

 

 雄の臭いにむせ返りそうになるのを堪え、涙目になりながらも口と手は本気で攻めた。無論交わる時間を短く、あわよくば無くさせるためである。ほどなくして顔を掴まれ引き寄せられると生臭い粘液が口のなかで吐き出された。

 

 「く…くそ、もう出しちまった。」

 

 「おい、俺も出そうだからくわえろ!」

 

 「人間にしては早いな。」

 

 「うるせぇこいつが上手すぎるんだよ…イクッ!」

 

 「じゃあ今日は俺が独占だな。あ、明日からリザードマンも来るから覚悟しとけよ?」

 

 (早く帰ってきて…ジェイク様…)

 

 

 

 

 〇〇〇

 

  

 

 「卒業おめでとう。またそのメランにって子置いてきたの?」

 

 「場所とるからな。」

 

 「そう。で、どうなの?」

 

 「メラン、飛べるようになったんだ。」

 

 聞かされていなかった父は驚いて

 

 「いつの間に練習させたのか。」

 

 「大丈夫、もうあんなことにはならない。」

 

 「そうか…ところで、最近あいつと随分距離がちかくないか?」

 

 「え…まぁ…意識してないけど。」

 

 父や使用人などに、よくジェイクがメランの顔を抱いたり撫でたり等スキンシップが増えていることに気づかれていた。

 

 「あら、もう肉体関係があるの?」

 

 「い、いや…それはあのとき以来だよ…」

 

 (あの時まではあったのか)

 (あの時まではあったのね)

 

 両親は愉快そうに笑って

 

 「別に恥ずかしがることじゃない。その歳じゃ珍しくないし、もう結婚できるんだからなお前は。」

 

 「あらもう16歳だっけ?早いわねぇ…メランを幸せにしてあげないとね。」

 

 「…言うの早くない?メランと結婚するなんて一言も言ってないけど。」

 

 「フッフッフ…」

 

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 

 「ンアッ…アンッ…」

 

 「すっげぇさすがリザードマン。でかいだけじゃねぇんだな。孕んじまうんじゃねぇの?」

 

 他の者が枯れた後もリザードマンはメランを犯し続ける。メランは去らない快楽の嵐に耐え続けていた。

 

 「こいつとの子か…その辺の雌より綺麗だし、悪くないな。あんなガキじゃ満足できないだろ?いっそ俺のところに来いよ。俺は自分の子供を売る趣味はないからな。」

 

 「あれお前、彼女いなかったっけ?」

 

 「…ヤるときに勃たせたら逃げられた。それ以来。」

 

 「ナッハッハ。まぁ普通の人間にゃお前のモノは耐えられんだろうよ。」

 

 「フン…あの小僧はいくらでお前を売ってくれるかな…?そうだ、俺にちゃんと尽くせたら子育てもさせてやるぞ?」

 

 動きを止めてメランを抱き締めると耳元でそう囁いた。

 

 「わた…しは…じぇ…いく…さまの…どれい…ジェイクさま…わたしを…うったり…しない…」

 

 「…チッ。じゃあ認めさせてやるまでだ。」

 

 リザードマンが1度引いてグンと突きだし卵を育てる場所を叩くとメランは全身を痙攣させる。そして激しい腰の打ち付けを再開した。

 

 ズンッ…ズグッ…

 

 「どうだっ?あんなガキよりもずっと良いだろっ?」

 

 「アアッ!ヒァアッ!…」

 

 求めないように必死に抵抗し続け、ついに目の前が真っ白になってしまった。

 

 

 

 

 ────────────────────

 

 

 

 

 「…で、これはどういうことだ?」

 

 憤怒の表情で、横一列に並んだら友人達を問い詰める。その横では上目でよだれを垂らしながら倒れている竜と、その名を呼び続けるその主がいた。

 

 「ま、まさか壊れちまうなんて思わなかったんだ。慣れてるだろうし…」

 

 「これは賠償だな。」

 

 奴隷は物。それを機能不能にさせれば器物損壊罪となり、購入額の倍額と処分費、代わりの奴隷代、その育成・調教代などを支払わなければならない。

 

 「メラン…メラン…しっかりしろ…!」

 

 「慰謝料も貰おうか。元々愛玩動物として買ったものだし、かなり仲が良かったからな。」

 

 「うっ…」

 

 目を泳がせる男達。メランが精神崩壊したとわかった後も、ついさっきまで犯し続けていた。

 

 「じぇ…じぇいく…さま…?」

 

 「メラン!」

 

 壊れる、すなわち精神崩壊は自信を過剰なストレスから守るための防衛本能でもある。なので脳に安全だと認識させることができれば正気に戻ることもあるのだ。

 

 「メラン!わかるか!?」

 

 「ジェイク様…お帰りを…お待ちしてました…」

 

 「なんだ…まだ元気ある──っ!」

 

 虚ろな目でジェイクの胸に頬擦りした後、頬同士を付けたと思ったらメランはジェイクにキスをしたので場が騒然となる。ジェイクも驚いたが嫌な気はせず、そっと離してもう一度胸に抱き

 

 「ごめんよ。今洗ってあげるからな。」

 

 といってから男達を睨んで

 

 「風呂場まで運ぶの手伝って。」

 

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 「ン…ンン…ハァ…」

 

 「大丈夫?ごめんな。やっぱり無理言ってでも連れていけば良かったな。」

 

 メランはいきんだり掻き出したりしてなるべく胎内に残る精液を排出しようとしていた。一段落つくと二人で湯船に浸かる。

 

 「あの…さっきはすみませんでした…」

 

 「ん?あぁあれ?全然平気だよ。驚いたけど。」

 

 「はい…ジェイク様…もし…」

 

 「大丈夫。絶対売ったりしない。」

 

 「ありがとうございます…」

 

 その日メランは体調を崩し、また酷くうなされてしまったようで

 

 「あぁ嫌…私の子…返して…」

 

 「メラン!」

 

 「あ…ハァ…申し訳ありませんジェイク様…」

 

 「平気だよ。」

 

 そう言って抱き締めてやる。

 

 「メラン。」

 

 「はい。」

 

 疲れきった目で見上げてくるメランを見て、相手が竜だと分かっていても緊張して思い付きでやろうとしていたことを少しためらうジェイク。意を決してその顔を引き寄せてキスをした。メランは一瞬何が何だか理解できなかったが、優しく撫でられながらの行為に安らぎを覚え始め、離れるとトロンとした目で主を見つめた。

 

 「…こないだの仕返し。」

 

 「…ありがとうございます。ジェイク様…」

 

 メランとキスをしただけでジェイクの雄は固くなり、メランにその感触を伝える。

 

 「そんなつもりなったんだけどな…」

 

 「良いんです。でも今ジェイク様と交尾したら…あの人達の精液はまだ残っているはず…私はあなたを拒絶できません。今ジェイク様と交尾したら、誰とのか分からない子を宿してしまうかもしれないので…」

 

 そっと下着を下ろし、以前見たときよりもずっと立派になったペニスを迷うことなくくわえ、しゃぶり始めた。

 

 「うっ…ごめんなメラン。」

 

 「あなたなら大丈夫です。…経験が役に立つ時が来るなんて…」

 

 匂いなど全く気にならず、全てくわえて吸いながら舌で刺激を与える。竿の部分にほんの少し牙をあてながらしごき始めて数分。

 

 「メラン…そろそろ…くっ」

 

 射精に合わせて吸いながらジェイクのペニスを包む。

 

 (たくさん出たな…そういえば、媚館にいるときはこうされたら美味しいって言わないといけなかったっけ…)

 

 放たれた精液は無論美味しいとはとても言えない物であるが、独特な匂いとともに大好きな主人の匂いが凝縮されたそれを口で受け、飲み込むのを辛いとは全く思わなかった。綺麗に舐めとると

 

 「どう…でした?」

 

 「すごい気持ちよかったよ。ごめんな体調悪いのに。」

 

 「いいえ。良かったです。」

 

 「メラン…これからもずっと一緒だぞ?」

 

 「幸せです。ジェイク様…」

 

 それ以降、メランが悪夢を見ることはなくなった。

 

 幸い子供はできず、1週間ほどで元に戻ったメランはある日の夕方に久し振りに空を飛んですがすがしい顔になっていた。ジェイクが思わず抱き締めるとメランは驚きつつ応え、思わず求愛の声も出してしまうが人間なので当然気づかない。周りの囁きで我に返った二人だった。その夜

 

 「ねぇメラン。」

 

 「はい。」

 

 「久し振りにさ、…交尾、しても良いかな…?」

 

 「えぇもちろん。正直に言うと、私もジェイク様に抱かれたいなと思っていたところだったんです。」

 

 「そっか…ねぇメラン。彼女になってくれないか?」

 

 「え?」

 

 「やっぱり…普通じゃいられなくて。対等にさ、俺はそのまま…つ、妻になってくれても良いって思ってる。」

 

 「わ…私が…?でも私、奴隷なんですよ?いくらジェイク様が優しい方だといっても解放できるわけではないですし、それに私…ジェイク様と子供を作っても竜しか産めないですし…ジェイク様に私なんて…」

 

 「本気だよ。今は立場忘れて、正直に聞かせてほしい。嫌なら断ってくれていいんだ。それでメランに何かする訳じゃない。」

 

 「奴隷の私が…ジェイク様と…でもお父様やお母様は…」

 

 「それは大丈夫。…母さんも奴隷同然の召し使いだったから。衰弱して捨てられてたのを父さんが拾って、奴隷にするつもりが惚れて結婚したんだ。この街に前の主人がいるかもしれないからあの村で暮らしてる。俺もメランが良いって言ってくれたら母さんの村に行って、そこで静かに暮らしたいと思ってるよ。父さんと母さんに相談はしてあるんだ。だから余計なことは気にしなくて良いよ。」

 

 「…本当に、良いんですか?子供は…」

 

 「竜でも俺との子なんでしょ?好きだよ、メラン。」

 

 メランは頭を下げて

 

 「許されるなら…それが許されるなら…番に…なりたいです…ジェイク様のこと…私も好きです。」

 

 「良かった…」

 

 ジェイクはメランの両頬を撫でながら引き寄せて口付けをし、きっとメランからはしないだろうと牙の先に触れないように気を付けながら舌を入れてみた。するとメランは口先を少し開いて自分の舌を伸ばして触れ合う。彼の熱い息がかかると下腹部がうずきだし、湿っていくのを感じた。

 

 「ジェイク様…」

 

 メランは自ら仰向けになって秘裂をさらけ出した。ジェイクはうなずいて服を脱ぎ、十分に濡れている彼女の雌に雄をあてがう。

 

 「いれるよ。」

 

 「はい…ハゥ…」

 

 根本まで入れると抱き合い、互いの感触を確かめ合う。

 

 「メラン…本当に綺麗だね。」

 

 「嬉しいです。ジェイク様もご立派になりましたね。」

 

 「出逢ったばかりは俺まだチビッ子だったからね。そう考えると変な感じもするな…」

 

 目を見合わせてフッと笑い、視線を外すとジェイクは腰を動かし始めた。

 

 グチュ…グチュ…

 

 「ハァン…アァ…」

 

 今まで多くの雄を相手してきたメランだが、今まで経験したことのない快楽を得て無意識に彼の動きに合わせて引き寄せる。

 

 「メラン…」

 

 「来てください…」

 

 ビュッ!ビュルルッ!…

 

 「ンアァ…」

 (きた…ジェイク様の…)

 

 濃い精液を注がれた感触に静かに絶頂するメラン。無意識に1滴も逃さないよう射精中のペニスをさらに締め付ける。

 

 「ハァ…どうでした…?」

 

 「気持ち良かった。ありがとうメラン。」

 

 「私もとても良かったです。…もう一度、ですか?」

 

 さすがは獣人との子。勃ったときの大きさも先日の人間以上だったが精力も強いらしく萎えていない。

 

 「…あぁ。良いかな。」

 

 「もちろんです。あなたとの子が欲しいと…そう思ってます。」

 

 「じゃあさ、決定で良いかな?」

 

 繋がったまま額を合わせて

 

 「結婚しよう。俺もメランとの子供が欲しい。この町じゃ無理だけど、母さんの村でならバレずに結婚式挙げられる。」

 

 「嬉しいです…アァン!」

 

 唐突に再開されて嬌声を上げるメラン。膣を激しくかき回されて理性が削れていくがもう怖くない。

 

 グヂュ…グヂュ…

 

 「アゥッ!…アゥッ!…キャウッ!」

 

 再び絶頂して彼の肉棒を締め付けながらその快感を貪る。その妖艶な姿にジェイクの興奮も最高潮に達して残りの精をぶちまけた。

 

 ビュグッビュル!ドク…ドク…

 

 「ハァ…ハァ…」

 

 1滴も溢さず受け取ろうとジェイクの腰を自分に押し付けるように抱き締める。やがて萎えた雄を引き抜き膣の動きによって子種が奥まで馴染むのを感じると、愛液に濡れた肉棒をなめて綺麗にして余韻に浸る。人間の中では大きめのペニスも本来雄竜の肉槍を受け入れる竜膣にとっては小さいが、相手がジェイクであることでメランは十分すぎるほど満足で、幸せであったし、事実今までで一番強い快感を感じていた。

 

 「メラン…これからはもう敬語じゃなくて良いから。愛してるよメラン。」

 

 「私も愛しています。ジェイク…ジェイクが私の夫…私は幸せ者な奴隷です…」

 

 その言葉にジェイクはクスリと笑う。

 

 「おやすみ。」

 

 「お休みなさい。」

 

 そしてジェイクは服を着ないまま妻と抱き合って眠りについた。

 

 

 

 

 ─────────────────────

 

 

 

 

 二人の仲の良さには定評があり、また背中を押したのはジェイクの両親なので特に障害なく結ばれることになった。そして結婚式に向けて引っ越しの準備をしていたある日。不思議なこととは意外と起こるものである。それはもうすぐ王位を継承するであろう王子が町をパレードしていたときのこと。王子は自らを魅せるため、2匹の宮廷竜とその子供のうち大きい雄の方に乗り、小さい雌は仔竜と一緒に隣を歩かせていた。すると観衆から突然

 

 「母さん!?」

 

 と悲痛ともとれる声が聞こえると雌竜が足を止めてその方向を凝視したので王子も見てみると、その雌竜と瓜二つの竜が奴隷の首輪をして青年に引かれているではないか。

 

 「申し訳ありません。」

 

 仔竜につつかれ、我にかえってそう言うと歩き出すがその体は震え、目に一杯の涙を浮かべていたので家臣を呼び、その青年と竜を王宮に招くことにした。

 

 

 

 

 〇〇〇

 

 

 

 

 「うわぁお。」

 

 ジェイクとメランは王宮を目の前にして同時に感嘆の声を上げた。そのまま召し使いに案内され、大きな扉の前で待たされた。

 

 「陛下、つれて参りました。」

 

 「通せ。」

 

 その広い部屋の地面は床ではなく土で、干し草や細枝で作られた竜の巣があり、そこにメランより一回り大きい青い小竜と彼女と同じ角をした緑色の竜の仔がいて、その隣に仔竜とそっくりな緑色の、こちらは普通の竜がいる。

 

 「母さん!」

 

 「メラン…良かった…」

 

 メランがすぐに飛び出さなかったのは、隣にいた仔竜を気にしたからだろう。するとメランの母ではなく隣にいた雄竜が

 

 「…母親によく似ている。だがその瞳は我の物だな。」

 

 ここでジェイクはメランとその緑の雄竜の目が全く同じことに気がついた。

 

 「父さん…?」

 

 「そうよ。あなたのお父さん。陛下が探してくれたのよ。そうしたら彼も受け入れてくれて、番になって3年前にこの子を授かった。あなたの弟よ。」

 

 「お姉ちゃん、こっちおいでよ。」

 

 「うん…」

 

 メランが複雑そうな目で父親を見ると

 

 「メラン、彼はあなたが産まれたことを知らなかったのよ。今は良くしてくれてるわ。」

 

 「うん。」

 

 「小竜とて成竜なのにその大きさということは満足に食べられなかったのだな?可哀想に。母もお前のことを心配していたぞ。」

 

 そしてメランが家族に囲まれたとき、後ろから王子もやって来て、ジェイクは慌てて脇に避ける。メランの母親が

 

 「陛下…ありがとうございます。」

 

 「気にするな。」

 

 「あ、あの…どうしてメランの両親がここにいるのですか?」

 

 ジェイクがそう聞くと

 

 「何年か前、私が町を視察しているときに彼女を見つけて、美しい竜だったから宮廷竜として買い取ったのだ。忠実で良い竜だ。だが雌の小竜1匹だけでは少し寂しいからな。そして彼女の話を聞いて、忠実な褒美にとかつて子を成した時の父親を探して、こやつも同意して宮廷竜となった。どういうわけか引き離された娘を見つけることができなかったのだが、まさかあの貿易商の息子に飼われているとは。もし良ければ買い取らせてくれぬか?」

 

 するとメランが

 

 「あの、私、ジェイクさ…ジェイクの所にいます。」

 

 と言って周りを驚かせた。

 

 「主を呼び捨てに──?」

 

 「あ、俺が良いって言ったんです。メランは家族だから…」

 

 「ほう…?」

 

 「私、ジェイクと番になったんです。あ…!いや、でもジェイクは私を奴隷じゃなくて、本当に家族みたいにしてくださって…結婚はできませんが、私はジェイクが好きなんです。」

 

 再び周りが驚くなか、メランはこれまでの経緯を話した。

 

 「そう…良い人に出逢ったのね。」

 

 「うん。」

 

 「そうか…ならジェイク、と言ったか?少し頼みがある。」

 

 「な、なんでしょう。」

 

 「実はな、私が王になったら奴隷制を大きく緩和して、自然消滅させようと思っているのだ。」

 

 それはただの情けではなく、隣国で奴隷による大規模な反乱が起きたことが主な理由である。奴隷の中でも力の強い獣人やリザードマン、竜が団結して反乱を起こすと損害も大きくその国は奴隷制の緩和を余儀なくされたという。また、差別されるであろう元奴隷やその子供を軍に招き入れることによって戦力増強を図ろうということもあり、軍では力が全てで生まれは関係ない、という風潮もあるので家臣や今の王も前向きな姿勢を見せている。

 

 「そこでお前たちにその先駆者になってくれないか?もちろんそのあとは自由に暮らすが良い。」

 

 

 

 

 〇〇〇

  

 

 

 

 それから1年。予定より大きく遅れてしまった結婚式は、王位継承の儀式の後に行われることとなった。新王の奴隷制緩和令は具体的に奴隷の世襲の禁止、つまり奴隷の子は平民であり、売買禁止及び管理者は親に養育させる環境を整える義務がありそこには不干渉ということ。奴隷への虐待禁止及び管理者へ定期的に役人が抜き打ち検査させること。奴隷解放制の設定や奴隷の結婚を認める法律の設定、そして奴隷の娯楽や結婚に寛大になって欲しいと呼び掛けた。元々奴隷は国が認めた敵国の捕虜やその子供がほとんどなので売買は国が管理しており、奴隷商人のような職は存在してないので民衆に若干の戸惑いはあったものの反発はなかった。

 

 「では、これにて式は終わりだが、皆もう少し待ってくれ。私の出した緩和令の最初の実行者になってもらいたい者達がいる。」

 

 新王が場所を開け、召し使い達がいそいそとその場所の模様替えを始める。それが終わると奴隷の首輪を着けたメランがジェイクに引かれてやって来た。新王が頷くとジェイクはメランに歩み寄って鎖を外し、革製で正面に"奴隷"と彫られた金属プレートが付いている首輪を外して召し使いに渡し、代わりに受け取った桃色や白色の花でできた首飾りをメランの首にかけてやる──観衆は息を飲んだ。それは人間や獣人の結婚式で花嫁が着けるものだから──すると筋骨隆々の男が大きなハンマーを持って現れ、台に置かれた首輪のプレートに向かってそれを降り下ろし、金属板は甲高い音をたてて割れた。新王がざわめきを静めると

 

 「この者達は夫婦として歩むことになった。誓いのキスを。」

 

 向かい合うのではなく横に寄り添って口付けを交わしながら相手の背に片腕を回し、もう片方の手でメランのお腹を撫でる。

 

 「この二人の…いや3つの魂に幸せが来るよう皆も祈ってくれ──」

 

 言い切る前にざわめきが広がった。近くで見ていたメランの両親も、勇気を出してやって来たジェイクの母も、同じような境遇で既に子供も生まれているリオンとミサも知らされていなかったので大層驚いた。少し前に宿った命。正真正銘ジェイクとの子だ。照れ臭そうに笑いながら抱き合った彼らにどこからともなく拍手が湧き、式は終わりを告げた。

 

 「メラン…あなた身重だったのね…」

 

 「えぇ。ジェイクのお陰で今とっても幸せよ。でもきっとこの子が無事に産まれたらもっと幸せになる…」

 

 「ジェイク、メラン。おめでとう!」

 

 「ミサ!」

 

 小さな白狼獣人の雄の子を連れたリオンと白狼獣人のミサ。

 

 「俺たちもこれで結婚できるってことだな。これからもよろしくな二人とも。」

 

 「あぁ。ありがとうみんな。」

 

 それから2か月後、体の小さいメランだが卵の大きさは普通と変わらず、通常兆候から30分~1時間で終わるのだが3時間もの難産の末、無事に卵を産み落とした。その後一週間ほどでメランより淡い青で体毛が少し長い雄竜が孵り、メランは泣いて喜んだ。その後も二人はジェイクの母親の村で静かに過ごし、いくらかの子宝にも恵まれ末長く幸せに暮らしたという。

 

 

                  おわり




 

 実は私、ノートに手書きで小説を執筆(私はスマホメインなのですが格安スマホのせいかよく落ちてデータが飛ぶので)してから入力しているんですが、最近忙しくて入力する時間が……

 頑張ります。次回は逆レまではいかないけど雌優位の竜同士を予定しているのでお楽しみに。
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