-これで一体何回目になるんだろう-
-また売られて乱暴に扱われるのか-
そんなことを考えていた頃もあったが両手で数え切れなくなったときから数えるのをやめた。
たくさんの場所で売られ、買われを繰り返しここがどこかもわからないし、知る必要すらないと思える。またどうせ新しい買い手の元へ引き取られ、乱暴に扱われ弄ばれ捨てられて...を繰り返すのだから。
地下深くの-闇-オークション会場、中央が大きく凹んでおり、囲うように座席が並べられている。
座席には裕福な暮らしと遊んで暮らすことが約束されたような富豪達が今宵の玩具を競り落とすゲームを始める。
ここに出品されるものは表で流通させることのできないもの。主に違法なものである、入手経路不明な植物や薬に動物、もちろんその中に人が含まれることもある。
そして-私-はボロく元の色がわからないくらいに汚れた布切れ一枚だけ着せられ両手に手錠を掛けられ、両足にも枷をはめられ身動きが取れないうえに、上に大きいが狭く窮屈な牢獄になっていて牢獄の上から布が覆いかぶさって外から中が、中から外が全く見えないようになっており、外の富豪達の興奮を煽り中の私の不安を煽ろうとしている。
突然牢獄が揺れる。
どうやらこの牢獄は台車で移動させられているらしい、これから富豪達の玩具として売られるために。
布のすぐ近くから司会らしき男が商品紹介を始める。
「さぁ本日の目玉商品出品番号34番...
覆っていた布が勢いよく剥ぎ取られ瞳孔が開いた瞳に目眩がしそうなほどの照明に当てられる。
...17歳女の奴隷デース!5000$からスタートデース‼︎」
周りがガヤガヤと騒ぐ、この競りで私の行き先が決まる。目が光に慣れ始めあたりを見ると想像以上にたくさんの人に見下ろされ、値踏みされる。
中には舐めるようにジロジロと見る人、全く興味を示さない人、社会の負け組みとして嘲笑う人、かわいそうにと同情と哀れみを浮かべる人、そして競り落とそうとして値段をつける人の声があちらこちらから響く。
先ほどジロジロと見ていた頭のハゲた小太りした中年男性とさっきまで嘲笑っていた白い髭をはやした老人紳士風の男が互いに値段を吊り上げていた。他の人たちは二人の吊り上げた値段に着いていけずいつの間にか興味を完全に失っていた。
どうやらこの二人のどちらかに競り落とされるのだろうと思った瞬間入り口がバッと勢いよく開き明るい青色の髪を左右の耳下にある三つ編みと蜂蜜色のキラキラと輝いた瞳が特徴的な私より年下かもしれない程の女の子が入ってきた。
-ここ-は10代の女の子が来るような場所でもなければ迷って来れるような場所でもない。
-私-に興味を失っていない二人以外は今扉を開け放った少女に興味を示す。
扉の近くにいた男が少女のほうへ行き何か話している、おそらくこんなところへ何の用かと聞いているのだろう。すると少女は上着のポケットから何か手帳のようなものを取り出し見せつけると男を黙らすだけでなく、男は帽子を一層深く被りそそくさと立ち去って行った。
そしてふと競りのほうに気を向けると中年男が苦虫を噛みつぶしたような表情を露わにし、髭の老人紳士は胸を張り髭を撫でながら余裕の表情を浮かべている。
どうやら私はこの老人の元へ行くようだ。と確信した瞬間、少女が大きな声を響かせる。
「10万$!!!」
あたりがシーンと一度静まり、ザワザワとざわつき始め髭の老人紳士だけでなく中年男までも口を金魚のようにパクパクさせ動揺を隠せない様子だ、
司会らしき男も言葉を失っている、少女がしびれを切らしたのか司会の男に尋ねる。
「ねぇ?もう他にいないの〜?」
見た目通りというかイメージと違わない無邪気な声とトーン
そして誰も声を上げることも、これ以上私に興味を示す人が出てこなかったので私はこの子に買われたのだ。
今までたくさんの人に買われていたが私と同じかそれ以下の年齢をした買い手は初めてだった。
そして私は鎖がついた首輪をかけられ引き取られる。
少女は首輪をぐっと引きそれにつられ転び這いつくばる、下から睨みつけるように視線を上げると少女はしゃがみ、目線を合わせ私の頭を撫でながら満面の笑顔で今までの買い手と違った行動で私の度肝を抜いた。
「あたし、氷川日菜。今日からキミの飼い主だよっ♪」