※この作品はR-18です。

slave Sayo   作:赤りんご

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心のscar

「あ、そうだ!これ外しておくね。」

そういうと彼女は上着の胸ポケットから鍵を取り出し私の首元に突き刺し、首輪をいとも簡単に外した。

「ホントは外しちゃダメらしいんだけど内緒だよっ?」

人差し指を口元に当て片目を閉じウインクを作りながらイタズラっぽく笑いまるで小さな子供がオトナに秘密で悪いことをしているような、そんな笑顔だった。

私が小さく頷くと彼女はやはり彼女は曇りのない笑顔で笑ってくれる。いつの間にか私は彼女の笑顔を心の拠り所にしていたのかもしれない。

 

「んー...先にお風呂にしよっかっ♪」

そう言い切るや否や彼女は私の手を引き浴場の脱衣所へ連れられる。

「ほらほらっ早くっ♪」

服を脱がされることや自分から脱ぐように命令されるのに慣れきっていたが彼女の前で脱ぐことに抵抗があった、というもの彼女に自分の傷だらけの身体を見せたくなかったのだ。

 

「脱がないなら脱がしちゃうよ〜っそれっ♪」

躊躇っている私のボロい布切れの裾を掴むと勢いよく捲り上げ私からたった一枚の身包みを剥ぎ取る。

慌てて両腕で大事な部分を隠す...とみせかけ痛々しい傷を全部ではないにしろ一部を見られないように隠すが彼女の目を盗むことはできなかった。

「んー、やっぱり酷い傷だね〜。」

そう言いながら私の傷に指を沿わせ撫でられる。

 

私は怖かった。この傷を見て、触れて彼女が私を見限りまた捨てられるのではないかと、そんな心を映し出すように膝が、膝だけでなく身体が小刻みに震える。

 

「紗夜結構苦労したんだね〜...綺麗な体なのに...痕残ってるし、勿体無いなぁ...」

彼女のため息混じりに発した言葉には僅かに怒気が含まれていた...と少なくとも私は感じた、心が弱っていると他人の怒りや苛立ちに対して敏感になってしまう。

すると彼女は震えた私を軽く抱きしめ耳元で優しく囁く。"そんなに怯えなくて大丈夫だよっ♪さ、入ろっ。"

自分でも信じられない程、魔法にでもかかったように身体の震えは止まっていた。

 

風呂に入ると彼女は私を座椅子に座らせタオルに液体石鹸を泡立たせ、私の身体をくまなく洗っていった、風呂に入ったことはあるのだがそれは随分と昔の話。ましてや誰かに洗ってもらうなど考えたこともなかった。

身体中の垢が落ち、生まれ変わったように気持ちが良かった。

 

用意されたバスローブを羽織り居間へと戻る。

想像を超える自分の扱いに『このような贅沢な扱い』をされていいのかと心のどこかで不安を煽る。

 

居間へと戻るとそれほど大きくないがファミレスの4人席くらいのテーブルに椅子が向かい合うように2つ、テーブルクロスが見えなくなるほどたくさんの皿と料理が敷き詰められている。

 

「何も食べてないでしょ?早く食べよっ♪」

私も食卓についていいものだとし、恐る恐る席に着く。席に着き目の前にたくさんの食べ物が広がる、その光景が過去の記憶をフラッシュバックさせた。

 

とても優しそうな老紳士に買われた。

7~80代の目尻が下がったあまり開いてない目が特徴の背が低いおじいさんと3~40代の黒いスーツの上からでもわかるガッチリした体型で立派なあごひげを蓄えた初老のおじさん。

彼らは私を迎えるとたくさんの料理を食べさせた。私は次いつまた食べ物にありつけるかわからない不安からかお腹がはちきれんばかりに食べた。そう、まんまと彼らの策に乗せられたのだった。

食べ終えて間もない私を薄暗い地下室に連れ込み、両腕を縛られながら腕にロープを巻かれ足の先が着くかつかないかくらいの位置で吊るされた。腕にはいつも以上の体重がかかり辛かったがそのあとに待っていた苦痛、辱めに比べればどうということはなかった。

吊るされ続け腕の感覚が遠のき始めた頃、若いほうのおじさんが私の前へゆっくりと歩み寄り、突然私の腹部に拳を減り込ませた。胃の中で消化を終えていないドロドロとした食べ物だったものが食道を駆け上がり、たまらず吐き出す。

ベチャっと音を立ててコンクリートの床に広がる。また口の中には嘔吐物の一部が残り、不快感がたまらない。私に食べさせた料理は嘔吐させるために食べさせたのだと告げられた時は頭と身体が狂っておかしくなりそうだった、その感覚は一生忘れられそうにない。

 

「...食べたくなかった?」

そんなことはない...と伝えるため首を横に振る。

手元のスプーンを握りスープを掬う、口元にまで持ってくることに成功するが、過去のトラウマが邪魔をする。

 

私は過去のトラウマに負け、スープを戻しスプーンを置き、離す。

そのまま項垂れ涙を隠すように瞳を閉じ、ただただ"ごめんなさい...ごめんなさい..."と悲痛な気持ちを唇から零す。

 

「...ははっ...紗夜、初めて声出してくれたねっ♪」

食べることができないでいる私に対して何か言われると思っていた私は呆気に取られた。

先ほどまでのキラキラと澄んだ目ではなく、飛ぶ力を失った小鳥を狙う猫のような目をしていた。私は彼女-氷川日菜-の本性を見てしまったような気がした。

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