けど、それは新たなヒロイン攻略へのフラグでもある。
そんな訳で、鈴の前に一人だけハーレムメンバーを追加しようと思います。
誰になるかは、見てからのお楽しみ。
4月も終わりを迎えようとしている頃、俺は毎度のように皆と一緒に千冬さんの授業を受けていた。
場所はグラウンドで、皆はISスーツ姿で綺麗に整列している。
どっちを向いても美少女ばかりで、そんな彼女達が露出の多いISスーツで外にいる。
それだけで男としては充分すぎる程の興奮材料になります。
ありがとうございました!
「うわ~…間近で見ると…」
「パッと見じゃインテリ系メガネ男子なのに、すっごい筋肉…」
「私……腹筋が割れてる人って初めて見たかも…」
な…なんだ?
周囲からチクチクと視線を感じるんだが…。
「そこ!私語は慎め!」
「「「は…はい!」」」
ほら怒られた。
「それでは、これよりISの基本的な飛行操縦を専用機持ちである二人に今から実践して貰おうと思う。畔章にオルコット。前に出て実際に飛んでみせてくれ」
「「了解です」」
俺達は言われた通りに前に出て、ISを展開する。
ISは基本的に操縦者の肉体に様々な形状を模した待機形態と言う形で装着されている。
因みに、セシリアのティアーズは左耳に付けたイヤーカフスで、俺の白式は右腕の装着しているガントレット……なのか?とにかく、それっぽい物だ。
「では…」
「やりますか」
精神を集中してISの事をイメージする。
『呼びましたか~?ご主人様~?』
え?なに?この声…。
『お?もしかして出番ですか?じゃあ、行きますよ~!』
この間、僅か一秒にも満たない。
気がついた時には俺の体が光に包まれて、白式が見事に展開されていた。
「ほぅ?まだ乗り始めて少ししか経っていないのに、展開時間が一秒にも満たないとは…」
「流石は畔章さんですわ」
そう言ったセシリアは、俺の隣でとっくにISを展開済み。
「それ程でもないさ。まだまだ練習しないと」
「相変わらず勤勉な奴だよ」
褒められた。
千冬さんとこんな風な会話をするのも悪くないな。
(にしても、さっきの声は…)
前にも一度聞いたよな?
確か、あれは初めて白式に乗った時か?
「では、飛行開始!」
セシリアと無言で頷き合って、一緒に大空へと急上昇する。
「あ」
途中でセシリアを追い抜いてしまった。
「なんてスピード…!篠ノ之博士が直接手掛けただけはありますわね…」
結果、俺はある程度の高さまで来たところで停止し、セシリアが来るのを待つことに。
「おぉ~…」
試合の時は見る余裕は無かったが、これがISに乗った時の風景か…。
「まるで…本当に鳥になったような気分だな…!」
これは興奮する…!
エロい意味じゃなくて、なんと言うか……漢の浪漫的な意味で。
ハイパーセンサーを使えば、空の向こうの景色さえ見れる。
空中浮遊した状態で空を見ると、不思議と宇宙が近くなったような感覚さえある。
「畔章さん?何を見てますの?」
「わっ!?」
び…びっくりした…。
いつの間にかセシリアが隣にいたし。
「あ…ああ…。ちょっと空を…な」
「空…ですか?」
「うん。男の俺がこうしてISに乗って空を飛ぶ。今更ながら、その事が信じられなくてさ……ちょっと感動してた」
何故俺がISを動かせたかは知らない。
だが、俺はその事がとても嬉しい。
人類が長年抱き続けた夢の場所に俺はいる。
そう思えるから。
「畔章さん……。(少年のように目をキラキラとさせる畔章さんも素敵ですわ…♡)」
おっと、少しボーっとしすぎたか。
今は授業が大事だ。
『二人とも十分な高さまで上がったな?では、その位置から急降下と急停止をやって見せてくれ。目標は地表から約10cmとする』
10cmですか。
これまたシビアな条件を出してくれちゃって。
「どっちから行く?」
「私から行きますわ。よろしいかしら?」
「いいぞ。レディーファーストだ」
「あらお上手。では!」
言うが早いが、セシリアは一気に降下して、あっという間に地上まで行き急停止を成功させた。
「次は俺か…!」
ちゃ…ちゃんと出来るだろうか…。
『大丈夫!私がフォローしますよ!』
そ…そうか。
誰かは知らんが助かるよ。
『ご主人様にお礼を言われちゃった♡よ~し!頑張るぞ~!お~!』
まるで無邪気な女の子だな。
「よし!いっちょ気合入れていくか!」
勇気を振り絞って……からの急降下!
体を下に向けながら、俺は真っ直ぐに地上を目指す。
見る見るうちに地表が迫ってきて、頭の中でカウントダウンをする。
「『ここだ!』」
俺的に10cmだと思った地点で急停止!
「くっ……!」
少しだけ危なかったが、それでも何とか成功はしたようだ。
「見事だ。10cmジャストだな」
「ど…どうも」
でも、これはきっと俺だけの力じゃない。
あの『声』の主のお蔭だ。
なんとなくだけど、そう思う。
「素晴らしいですわ!やっぱり畔章さんは凄いんですのね!」
「偶然だよ。偶然」
「その謙虚な所もまた……♡」
セシリアの中での俺のイメージってどうなってるんだ?
「くろりん……すごいね~…」
「やはり、畔章さんにはIS操縦者としての才能が……」
「流石は畔章さん。私も見習わなければ!」
次からはもっとISの訓練も増やしていくべきか。
並行して筋トレとかも増やさないとな。
「二人とも見事だった。ならば次は列の前にて武装の展開をしてくれ」
「「分かりました」」
着地地点から移動し、列の前まで行く。
「まずは畔章からだ。出来るな?」
「勿論。…いきます」
俺の武装はたった一つ。
己の魂の分身とも言うべき、鋼鉄の槍!
右腕全体が光輝き、そこに身の丈ほどの巨大な機械槍が出現した。
「0.5秒か。本当に初心者か疑わしくなるタイムだな」
「イメージは武術においても大切ですから」
「そうだな」
イメージトレーニングと言うのは思っている以上に大事だし、効果もある。
俺も特訓で剣や槍を握る時はよくイメトレをしたもんだ。
当然、他の時もするけどな。
「では次、オルコット」
「はい」
セシリアは左手を上げてから真横に突き出した。
すると、一瞬だけ光りを放ち、彼女の愛銃であるスターライトMK-Ⅲが出現する。
やっぱり代表候補生は凄いな。
俺も彼女を見習わなくては。
「見事……と言いたいところだが、そのポーズはどうにかならないのか?横に銃身を展開して、畔章に当たりでもしたらどうする?」
「す…すみませんでした!」
「いや、俺は大丈夫だぞ?」
そこまで気にするような事なんだろうか?
でも、元日本代表である千冬さんが言うんだ。
きっとそこには深い意味が……
「全く……畔章の顔に傷でもついたらどうする気だ…」
無かったね。うん。
「次は近接用の武装を展開しろ」
「りょ…了解です」
ん?なんで急にどもる?
セシリアはスターライトMK-Ⅲを収納し、新たに近接用の武装を展開……しようとしているが……。
「くっ……!」
「どうした?」
数秒経過しても未だに武装は展開されない。
彼女の手の周囲で光が舞っているだけだ。
「も…もうすぐ……!」
けど、全然その気配はない。
「あぁ~…もう!こうなったら!インターセプター!」
最終的には武装の名称を呼ぶことによって展開する事に。
これはよく初心者がする方法らしく、代表候補生であるセシリアにとっては屈辱以外の何物でもないだろう。
「一体何秒かかっている。実戦では対戦相手は長々と待ってはくれないぞ?」
「そんなの……こちらの懐に入られる前に倒してしまえば……」
「同じセリフを隣にいる畔章にも言えるか?」
「うぅ…!」
「こいつの回避能力の異常さはお前自身がよく知ってる筈だと思うが?」
あの試合の事を言ってるのか。
確かに、俺にはかすりもしなかったよな。
「しょ…精進しますわ…」
「よろしい」
あらら。すっかり項垂れちゃって。
俺達の武装を展開し終わったと同時に、授業終了のチャイムが鳴った。
これから、こんな風にISを使った授業も少しずつ増加していくんだろうな…。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
空もすっかり暗くなり、時間帯は夜になった。
IS学園の正面ゲート前に一人の小柄な少女が立っていた。
その肩には大きなボストンバックが掛けられていて、彼女が何らかの目的でこの場にいるのを物語っている。
「ここが……ねぇ…」
一人呟く少女の黒い髪はツインテールに纏めてあって、その容姿と相まって全体的に可愛らしい印象を受ける。
「到着したら受付に行けって言われたけど、どこにあるのかしら?」
彼女は自分の上着のポケットから一枚の紙きれを取り出して、それを広げて見る。
「本校舎一階総合事務受付……。いや、場所の名前だけ言われてもね…」
呆れた顔で紙を見て、またポケットに仕舞う。
「ま、テキトーに歩いていれば、いつか見つかるでしょ」
なんともいい加減な結論に辿り着くものである。
そんな事で目的地に到着できれば、この世に地図もナビも生まれていない。
「はぁ……早く会いたいなぁ~…」
彼女は今回、表向きは政府の命令でIS学園に来ているが、本人にそんなつもりはサラサラない。
彼女自身は全く別の目的を持ってここにいるのだ。
「……畔章さん」
そう。この少女もまた、畔章に惚れた人間の一人なのだ。
「やっぱ、誰かに道を聞くとかした方が確実かしら?」
畔章に一刻も早く会いたい想いが、彼女に冷静な判断力を取り戻させてくれた。
恋の力は恐るべし…である。
「つっても、この時間帯じゃ外にいる人間を見つけるのは厳しいかな…?」
仮にもエリート校として名が通っているIS学園。
当然のように校則もかなり厳しい。
その厳しい校則に態々逆らってまで夜中の散歩をするような猛者は、ここにはいない……筈だった。
「畔章は本当にスゲーな!」
突然、大きな声が聞こえてきた。
当然のように、その声に引き寄せられるように視線がそちらに向く。
視線の先には、ISの訓練施設から出てくる生徒の集団があった。
(ラッキー♡あの子達に受付の場所を教えて貰おっと!)
彼女達に場所を聞こうと小走りになって近づいていくと、集団の姿が徐々にきちんと見えるようになった。
「そうか?ダリルやセシリアのような代表候補生から見れば、まだまだ未熟者だと思うんだけど……」
「そんな事ありませんわ!」
「そうです。既に畔章さんの実力は代表候補生に匹敵していると思います」
女子だけしかいないと思った集団から、とても聞きなれた男の声が聞こえてきて、彼女の動きがピタッ!と止まった。
(この声……間違いない!畔章さんだ!)
聞き間違えるわけがない。
ずっと心の中で想い続けてきた男性なのだから。
例え、彼の中に大事な女性がいたとしても。
彼女の恋の炎は決して衰えない。
恐る恐る、近くの物陰に身を潜めて様子を窺う。
「自信を持ってください。操縦技術もさることながら、あの槍捌きは見事の一言に尽きます!」
「そうね。私もそれなりに槍の扱いには自信があったけど、畔章さんの槍を見ていたら、自分もまだまだ頑張らないとって思っちゃった」
「くろりんが槍を持っている姿って、すっごくカッコいいよね~♡」
「だな。なんつーか…さ。マジもんの騎士様みたいだったゼ?」
「騎士…か」
畔章を取り巻く少女達を見て戦慄する。
(う…嘘でしょ!?確かに畔章さんはカッコよくて強くて超絶素敵な男の人だけど、入学して一カ月ぐらいで、もうあれだけの女の子を堕としたの!?)
しかも、リボンの色から察するに、あの中には2年生や3年生もいる。
同級生だけでなく、上級生すらも虜にしている証拠だった。
(前に千冬さんから『お前が畔章に恋する事に私は何も言うつもりはない。寧ろ、私と一緒に畔章を愛するぐらいの気概を見せてみろ』って言われたから、多分…恋人である千冬さんも畔章さんのハーレムを認めているって事よね?それでも……)
和気藹々とした様子で校舎に入っていく面々。
(この短期間であれって……。あたしもうかうかしてられない!)
決意を新たに周囲を見渡すと、あっという間に目的地である受付を発見できた。
と言うのも、実は彼女がいた場所が受付のすぐ近くだったのだ。
それを知った時、彼女は『これも畔章さんに会ったお蔭ね!』と、何故か畔章が受付を見つけてくれたように言っていた。
「それでは、これで全ての手続きは完了です。ようこそIS学園へ、凰鈴音さん」
「ありがとうございました」
少女……凰鈴音は丁寧にお辞儀をする。
活発に見えても、この辺の礼儀はちゃんと弁えている少女なのだ。
「ところで、馬渡畔章さんって何組にいるんですか?」
「馬渡……あぁ!あの噂になってる男の人ね!」
「有名なんですか?」
「当然よ!カッコよくて礼儀正しくて努力家!しかも、この間なんてイギリスの代表候補生の子と試合をして圧勝したのよ!」
(特殊な環境になっても、畔章さんは変わらないのね)
彼女の中の畔章も、様に受付嬢が言った通りの印象だった。
多少の美化は否めないが。
「彼なら一組よ。貴方が二組だから、お隣さんになるわね。そうそう、彼ってばクラス代表をしてるんですって。あの織斑先生の恋人なだけはあるわね~。それぐらいを余裕で出来ないと、彼女には釣り合わないのかしら?」
「そうですか…」
クラス代表。
その単語を聞いて、鈴はある事を思いついた。
「あの……」
「なにかしら?」
「二組のクラス代表ってもう決まってるんですか?」
「決まってるけど……それがどうかしたの?」
「いえ……ちょっと……」
拳を握りしめて、実にいい笑顔でこう言った。
「どうしてもやらなきゃいけない事があって」
その時、受付嬢には鈴の背後にメラメラと燃える炎が確かに見えたと言う。
(こ…これは!間違いなく恋の炎!じゃあ、この子も彼の事を!?)
同じ女として応援したくなった彼女は、迷う事無く二組のクラス代表の名を教えた。
「ありがとうございました!では!」
ババッ!とお辞儀をしてから、早足で学生寮のへと向かう鈴。
ここで走ったりしないのが、鈴クオリティ。
その後ろ姿を見ながら、思わず一言呟く。
「若いって……いいわねぇ……」
それは、心の底から出た言葉だった。
鈴…参上!
でも、畔章と会うのはもう少し先になります。
次回はクラス代表就任パーティー。
ここでもとある女性キャラが登場しますよね?
そう、あの新聞部の眼鏡っ子が…。
さぁ~て、どうなるのかな~?(ニヤニヤ)