下手に右往左往しても、今まで以上の駄文になる可能性が高いと思うので。
IS学園一年一組副担任 山田真耶。
彼女は今、一人の男に恋心を抱いていた。
その男の名は『馬渡畔章』。
特殊な状況でIS学園へとやって来た男性生徒で、現在18歳。
そして、担任であり彼女の尊敬する先輩でもある織斑千冬の恋人でもあった。
最初にその名前を聞かされたのは、酒の席での酔った勢いで出た千冬の惚気話の時だった。
その時はただ『どんな人なんだろうな~』ぐらいにしか思っていなかった。
だが、その考えは新年度になって急速に変わる事に。
畔章が女性しか起動できない筈のISを動かすと言う前代未聞の事をやってのけ、緊急処置としてIS学園へと編入し、一年一組に配属された。
真耶は千冬と共に一組の担当となって、その時に初めて畔章の顔を見た。
彼自身はあまり自覚していないが、畔章の容姿は一般的に見てもかなりの美形の部類に入る。
昔からあまり男子と接する機会が少なく、中学、高校とずっと女子高で過ごしてきた結果、男と言う存在に対して極端なまでに耐性が無い真耶が、初めて近くで見た馬渡畔章と言う男に対して半ば一目惚れに近い感情を抱くのは仕方がない事だった。
更に言えば、初めての挨拶の際に他の生徒が返事を一切返さない中、畔章だけが彼女に応えてくれた。
その何気ない優しさにハートを撃ち貫かれたのは言うまでもない。
教師と生徒として学園生活の日々を送る中、彼女は自然と畔章を目で追うようになっていった。
彼と話したり、勉強を教えていく内に段々と畔章への想いは募っていくばかり。
しかし、彼には明確な恋人がいる。
だから、自分の気持ちに蓋をして一歩引いた場所で見守っていた。
そんな時だった。
彼女の耳にある噂が舞い込んできた。
『馬渡畔章は多数の女子生徒と愛人関係にあって、毎晩のようにセックスをしている』
それだけを聞けば悪口のように聞こえるかもしれないが、実際はかなり好意的に言われていた。
何故なら、畔章自身は愛人となった少女達を本気で愛しているし、何より、恋人である千冬が畔章の愛人ハーレムを許可、それどころか促している様子まであったからだ。
畔章の学園内での評判がいいのも、その噂に付随し、いつしか彼は学園中の有名人へとなっていた。
それを聞いた真耶は、『もしかしたら…』と言う思いに駆られたが、それでも自分は教師。
生徒同士ならともかく、自分が愛人になるわけにはいかない。
そんな風に思っていたが、その決意は畔章とセシリアの模擬戦を見た時に脆くも崩れ去った。
彼がISを駆り空中を乱舞する姿に、真耶は本気で見惚れてしまった。
山田真耶、人生で初めて本気の恋をした瞬間だった。
それから、ずっと畔章を異性として認識し、彼女自身も気が付かない内に名前で呼ぶ始末。
実際、畔章の周囲にいる愛人達は真耶が彼の事を好きになっている事をとっくに感ずいている。
自分を慰める自慰行為も、今ではすっかり畔章に抱かれる自分を妄想する日々。
今回は、そんな彼女が自分の意思で一歩前に出るお話。
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日曜日。
この日は誰もが体を休めてゆっくりと過ごす日。
元気が有り余っている学生たちは外出などするかもしれないが、少なくとも大人達はそうだった。
そして、それはIS学園で働いている教職員も決して例外ではない。
「また…来ちゃった…」
早朝8時。
真耶は学生寮にある畔章の部屋の前まで来ていた。
実は、これまでも何回か彼女は部屋の前まで来ていたのだが、いつも最終的には畔章が部屋から出る前にその場から去ってしまう。
彼女の目的は、畔章と一緒に朝食を食べたい。
唯それだけの些細な願いだった。
自分からは少し話しかけずらいので、偶然を装って畔章と出会い、そのままの流れで食事に誘おうと考えていたのだ。
だが、理想と現実は全くの別物だった。
「いっそのこと、私の方から……」
そう思ってドアをノックしようとするが、その手はドアに触れる直前で止まってしまう。
「やっぱり……止めようかな……」
どうしても最後の勇気が出ない。
まるで思春期の乙女のような悩みに苛まれながら、ドアの前で自問自答を繰り返す。
その思案は意外な形で破られる事となる。
「うぅ~…畔章ぃ~…もう帰るのかぁ~…?」
「少し部屋に戻るだけだよ。そんなに悲しそうな顔をしないでくれ」
「ひゃっ!?」
突然、隣の部屋の扉が開かれ、そこから私服の畔章とタンクトップに下着と言うあられもない姿の千冬が現れたのだ。
「あれ?山田先生?なんで俺の部屋の前に?」
「あ……それは…その……」
まさかの展開に動揺してしまい、顔を真っ赤にしてうろたえる真耶。
その仕草に教師や大人としての威厳は微塵も無かった。
「ん~…?真耶か…?」
「あ…先輩…」
千冬の姿を見て、部屋の中で何が行われていたのか分からない程、真耶は貞淑ではなかった。
「もしかして…お二人は……」
「そうなんですよ。千冬ってば明日が休みであるのをいい事に滅茶苦茶飲むんですよ?本気でびっくりしましたよ」
「偶には思いっきり飲まないとやってられないんだ……うぷっ!?」
「ほら……しっかりして。水でも飲んで、ベッドでゆっくりと寝た方がいいって」
「……畔章も一緒に寝てくれる?」
「君が望むなら」
いきなりのリア充フィールド全開。
あっという間にピンク色の空気が周囲を包み込んだ。
「朝から何をしてるんですか?」
「あ」
そこにまた来訪者が来る。
学校指定のジャージを着たクロエと、紺のロングTシャツとジーパンのラフな格好をした箒だった。
「「…………」」
少しだけ固まってしまったが、すぐに状況を把握する二人。
それは千冬も同じで、真耶が何の目的で畔章の部屋を訪れたのか悟った。
分からないのは畔章本人のみ。
「おはよう、二人とも」
「「おはようございます、畔章さん。千冬さん」」
見事なハモりで挨拶する二人。
どこかで波長が合っているのかもしれない。
「そう言えば、最近束さんの姿をあまり見かけないけど、大丈夫か?」
「はい。束さまなら今はご自分の部屋で爆睡中です」
「あと少しで例の部室が完成するらしくて、ラストスパートをかけているらしいんです」
「頑張ってくれるのは嬉しいけど、あまり無茶しないように二人からも言っておいてくれよ?束さんが倒れちゃ意味ないし」
「きっと、その言葉を言われたら、姉さんはすぐにでも起き上がって作業を再開するでしょうね」
「……やっぱ、言わなくてもいい」
自分の気遣いが裏目に出るのだけは勘弁願いたい畔章だった。
「ところで、山田先生」
「は…はいっ!?」
「何か畔章さんに御用事があるんじゃないんですか?(ニヤリ)」
明らかに何かを企んでいる顔になるクロエ。
同時に箒と千冬の目が光る。
「畔章さん」
「なんだ?」
「千冬さんの事は私に任せて、貴方は山田先生をお願いします」
「えぇっ!?」
突然の提案に驚きを隠せない真耶。
「そうだな。やはり私は一人でゆっくりと寝させてもらうよ。悪いな」
「いや…千冬がそう言うなら俺は別に構わないけど…」
そう言うと、箒は千冬と一緒に彼女の部屋に入っていった。
「私はこれから束さまの様子を見てまいります。山田先生、御武運を」
「は…はいぃぃ……」
最後の一言の意味を正しく認識してしまった真耶は思わずプシュ~…と顔を沸騰させてしまう。
そんな彼女を見て微笑んでから、クロエはゆっくりとその場を後にした。
残されたのは畔章と真耶の二人だけ。
なんとも気まずい空気だけが流れる。
「……取り敢えず、部屋に入ります?」
「は…はい…。お邪魔します……」
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なんか成り行きで山田先生を部屋に招き入れてしまったが……。
「わぁ~…男の人の部屋なんて初めて入りました…」
さっきから物珍しげに部屋中を見回っています。
どうしてこうなった?
「あ!すいません…。私、男性のお部屋に入るのなんて初めてだから…つい…」
「別に気にしなくていいですよ。初めての場所に来れば、誰だってそうなりますって。俺だって初めてIS学園に来た時、貴女と同じような感じでしたし」
「そうなんですか?」
「ええ。ここって男子禁制的なイメージがありますから」
本来は女性しか動かせないISを学ぶ学園なのだ。
男が少ない、もしくはいないのは当然の事だった。
「まずは座りません?」
「そ…そうですね。ははは…」
座る場所は……適当にベッドでいいか。
「それで?こんな朝早くから俺に何の用があったんですか?」
「それは……」
また顔を真っ赤にして俯いてしまった。
……今更だけど、彼女って本当に教師だよな?
背も小さいし、顔だって可愛らしい。
正直言って…俺よりも年下に見えるんだけど。
(勇気を振り絞るのよ!真耶!折角、先輩や篠ノ之さんやクロニクルさんが気を効かせてくれたのに!ここで頑張らないでどうするの!)
自分の胸に手を当てて、必死に何かを堪えているような様子の山田先生。
この感じは、これまでに何回も他の女の子で見た事がある。
まさかとは思うが……
「……畔章さん」
「……なんですか?」
こっちが密かに身構えていると、彼女がいきなり俺の胸に体を預けてきた。
「……私が貴方の事を一人の男性として好きだと言ったら…困りますか?」
「え…?」
目を潤ませながらこっちを見上げる彼女の顔を見て、俺の胸が本気でときめいた。
「山田先生……」
「お願い……名前で呼んで…」
か…可愛い…。
この人ってこんなにも可愛かったのか…。
「俺の噂を知っているんでしょう?」
「はい…それでも構いません…。愛人でもいい…一番じゃなくてもいいから……私の事も愛してくれませんか…?」
全てを分かった上で、それでも勇気を出して告白したのか…。
俺から見ても、彼女はお世辞にも積極的な人間とは言い難い。
だと言うのに、この人はここまで来た。
自分の中に秘めた想いを告げる為に。
「俺の『愛する』の意味は……」
「分かっています。でも、畔章さんになら……私……」
ああ……駄目だ。
俺も胸の中にいる彼女の事が愛おしく思えてきてしまった。
なんで俺って奴は……
「真耶。俺から言わせてくれ」
「畔章さん…」
「俺の愛人になってくれ。いや…絶対にする」
「嬉しいです…♡」
真耶の頬をそっと寄せて、静かにキスをする。
彼女の唇は仄かに甘い味がした。
きっと、千冬達は真耶の気持ちに最初から気が付いて、彼女と俺を二人っきりにする為に去ったんだろう。
これも女同士の友情ってやつなのか…。
想像以上に長くなったので、以前貰ったアドバイス通り、今回は二回に分ける事に。
次回は真耶ちゃんとの初セックス!