今回は導入のお話。
第5話 高校生活 再び
俺がISを動かしてから本当に大変だった。
まず、あの直後に裏に連れていかれて、軽い身体検査とか俺の身元とかを質問されたし。
検査が終わった後は真っ直ぐに帰宅できたけど、近所の人達には凄い目で見られた。
まるで有名人を見るような目でって言うか…。
後で知ったんだけど、俺がISを起動させてしまった事はすぐに報道されて、あっという間に広まったらしい。
道理で皆が俺の事を物珍しそうに見るわけだ。
帰ってからは、少しでも平静を保とうと思って、いつものように家事に専念した。
体を動かしていれば余計な事を忘れられるって思ったからだ。
家に直接報道の人達や政府や色んな研究所の連中がひっきりなしにやってくると想像していたんだが、何故かそんな事は無かった。
多分、束さんが何かやったんだろうと思う。
あの人なら事前に連中の動きを察知して、何らかの手を打つだろうし。
正直、束さんなら何をやってもおかしくないと思うのは俺だけ?
夕方になって千冬さんが慌てた様子で帰宅してきて、案の定、俺がISを動かした事について聞いてきた。
俺は何も隠すことなく、全てを正直に話した。
頭を抱えながら呆れられてしまったが『何も体に異常が無くてよかった』と抱きしめてくれた。
ISってそんなにもヤバイ代物だったっけ?
それから、二人でこれからについて話し合った。
千冬さんも学園で色々と話をしてきたようで、その際にIS員会や日本政府とも話してきたみたいで、俺の事をなんとかして保護しようという動きになったらしい。
保護と言う名目で俺の事を監視するんだろうと思うけど、監視をするなら勝手にすればいい。
で、俺を保護するにあたって『最も安全で適切な場所』を千冬さんから提示された。
彼女としても苦渋の選択らしいが、そこならば千冬さんの近くにいられるし、色々と勉強もできる。
俺にとっては一石二鳥の提案だった。
まぁ……多少なりとも思うところが無いわけではないんだけど……。
背に腹は代えられないのも事実だし、何より、俺にはこれ以上の考えは浮かばなかった。
そして、俺は『そこ』に特別入学をすることになった。
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
IS学園 一年一組の教室。
俺はそこの教壇の目の前に位置する席に座っていた。
そう……俺は今、天下に名立たるIS学園にいるのだ。
千冬さんから提案された事…それは、IS学園に入学する事だった。
ISの性従者を育成する教育機関となっているが、名目上はここも立派な高等学校になる。
なんで既に高校を卒業した俺が、もう一回高校生をしなければいけないのか。
その理由は意外と単純で、このIS学園は一種の独立国のようになっていて、他の機関や国家などの介入を基本的に認めていない。
故に、俺の身柄を狙うアホな連中から自分の身を守るには、今のところはここが最もいいと言う事になる。
それで、俺は再び高校の制服に袖を通している。
よもや、こんな形でまた高校生活をする羽目になるとは夢にも思わなかった。
人生って本当に何があるか分からないもんだな。
自分で言うのもなんだけど、中々に波瀾万丈な人生を送ってないか?
(にしても、ここにいる全員…俺に注目しすぎじゃないか?)
この教室にいるのは、俺を除けば全てが年下の女子ばかり。
その全員が一点集中で俺の事を凝視しているのだ。
まぁ…慣れてるんだけどね。
こんな事は中学の時からあったし。
男子からは嫉妬の眼差しを、女子からは憧れ的な眼差しを送られていた。
けど、この中でも特に3つの視線が気にかかる。
まずは窓際の一番前にいるポニーテールの少女。
あれは束さんの実の妹の『篠ノ之箒』。
俺の数少ない昔からの知り合いの一人。
あの頃はよく、俺の後ろをついて歩いていたな~。
もう一つは一番後ろにいる金髪の少女。
肌の色から察するに彼女は欧州辺りから来たんだと推察できる。
でも、俺の欧州系の知り合いの女の子って言えば『あの子』しかいないんだよな…。
まさか……?
(いやいやいや。そんな偶然があるわけが…)
きっと、他人の空似だ。
そうに違いない。うん。
で、最後は俺の隣にいる女の子。
つーかさ……
「えへへ~…♡」
なんでクロエがいるんだよ!?
と言ってはみたけど、実は少し前から彼女がいる事は予想してたりする。
何故ならば……
「あの人が例の男の操縦者?」
「めっちゃイケメンじゃん……」
「彼もそうだけど、入学式も驚いたよね!」
「うんうん!まさか、あの篠ノ之博士がいるなんてね!」
そう……束さんが急遽としてIS学園に特別アドバイザーとして赴任したのだ。
入学式の時に挨拶をしたんだけど、それがまた凄かった。
『お待たせしました~!愛の力に導かれ、今ここに篠ノ之束…参・上!!』
正直、マジでずっこけそうになった。
あんな自己紹介できる人間なんて、世界広しと言えどもあの人だけだって。
箒の奴も苦笑いを浮かべてたし。
千冬さんに至っては完全に呆れていた。
多分、束さんも俺がここに来ることに合わせて、IS学園に来ることを決めたんだと思う。
そう考えると、俺は非常に多くの人々に迷惑を掛けているな…。
本当に申し訳ない…。
だがしかし!迷惑を掛けたからこそ、ここで俺は頑張ってISの事を勉強し、千冬さんの隣に立つに相応しい人間になって見せる!
それに、ここでいい成績を出せば、将来的には大きな企業や国からスカウトをされる事もある。
ぶっちゃけ、将来が不安定だった俺にとっては凄く有難い話だ。
俺が心の中で決意を固めていると、教室の扉が開かれてある人物が入って来て教壇に立った。
「皆さん、ちゃんと揃ってますね~。それじゃあ、早速SHRを始めますよ~」
緑色の髪とメガネ、それから今まで見た事が無いレベルの巨乳が特徴の女性。
あの人がここの担任…?にしては若すぎるような……。
見た目的には俺よりも年下に見える。
「「あ」」
少しだけ目線があった。
(か…彼が先輩が言っていた彼氏さん!?すっごくカッコいい……♡)
ん?なんでそんなにも見つめる?
「わ…私はこの一年一組の副担任を務めている『山田真耶』と言います。これから一年間。よろしくお願いしますね?」
急に我に返っても、普通に可愛く見えるだけですよ。
しかも、誰も何にも反応とかしないし。
少しは何か言ってあげようよ。
山田真耶先生……ね。よし覚えた。
けど、この人が副担任なら、担任は誰になるんだ?
「はい。よろしくお願いします」
「あ……こ…こちらこそ…よろしくお願いします…」
可哀想だから返事をしたら、妙に丁寧に返されたよ?
「そ…それじゃあ、今から自己紹介をしましょうか。順番は~…出席番号順でいきましょう」
出席番号順か。
それなら『馬渡』の『ま』である俺は結構後ろの方になるな。
この間にどんな事を言おうか考えておくか。
まずは名前に年齢。それから警戒させないように柔らかな言い方がいいよな。
後は適当に好物とかを言えば……
「初めまして。私はクロエ・クロニクルと申します」
お?もうクロエも番まで来たか。
この調子なら俺の番まですぐだな。
クロエは順調に自分の事を紹介していく。
多分、いくつかは創作だと思うけど。
「以上です。拝聴ありがとうございました」
おぉ~…実に丁寧な自己紹介だった。
クロエは根が真面目だからな。
きっと、予め内容を考えてきたに違いない。
座る際に俺に向かってウィンクをしてきたのが気になるけど。
それからも自己紹介は続いていき、耳で聞きながらも自分の番になった時の事を考えていた。
箒も思ったよりは普通の自己紹介をしていたな。
「私はセ……ア・オ……コ…トと申します。以後、お見知りおきを」
あ…やべ、あの金髪少女の紹介を聞きのがした。
ちょっと失礼な事をしてしまったな…。
後でちゃんと名前を確認しておこう。
「……くん。馬渡畔章くん!」
「え?」
気が付くと、目の前に山田先生が悲しそうな顔でこっちを見つめていた。
「あ…あのですね?自己紹介…次は馬渡君の番なんです。いいですか?」
「分かりました。ボーっとしていてすみません」
「い…いえいえ!気にしないでください!男性一人でこんな場所に来れば緊張ぐらいすると思いますから!」
慌てて両手を振る山田先生。
本当に教師なのか疑わしいな…。
俺はゆっくりと立ち上がって後ろを向いた。
面白いまでに全員からの注目を集めている。
「俺の名前は馬渡畔章と言います。知っての通り、俺は男の身でありながらISを動かしたが故にここにいます。俺は現在18で、今年で19になります。皆さんとは歳が離れていて接しにくいとは思いますが、どうか性別や歳の事は気にせずに、気軽に話しかけてきてくれると嬉しいです」
まぁ~…ざっとこんなもんかな?
「見事な自己紹介だ。流石だな」
こ…この声は……!?
「千冬……さん…?」
いつものスーツに身を包んだ千冬さんが教室に入って来た。
もしかして、この人が一組の担任なのか?
だったら嬉しい事この上ないんだけど。
「今はいいが、これから学園では私の事は『織斑先生』と呼んで欲しい。ま、私は気にせずに『畔章』と呼ぶがな」
「先生と呼ぶことは了解しましたけど、俺の事を名前で呼ぶのはいいんですか?」
「構わん。幾ら教師と生徒の仲になったとは言え、今更お前を名字でなんかで呼べるか」
「この教師、公私を混同しまくってるよ…」
千冬さんらしいと言えばそれまでだけど。
「山田先生。クラスへの挨拶を任せてしまって悪かったな」
「い…いえいえ、気にしないでください。副担任として、これぐらいはしないといけませんから。それに……先輩の彼氏さんを直に見られましたし……♡」
最後の方がよく聞き取れなかった。
でも、山田先生の顔が真っ赤なのは分かる。
「お前……まさか?」
「な…なんですか?」
「いや……なんでもない(この様子……畔章に惚れかけているな?)」
千冬さんの目が鋭い。
この目をするときは何がを考えている時だ。
千冬さんが山田先生と交代する形で教壇に立つ。
その瞬間に教室の空気が一気に引き締まった。
「私がこのクラスの担任の織斑千冬だ。今日から一年間の間にお前達を使い物になる操縦者へと育成するのが私達の仕事だ。私達の言う事はよく聞いて、その上で理解しろ。出来ないと言う奴には理解できるまでちゃんと指導してやる。分かったな」
少し軍の教官っぽい発言があったけど、気にしたら負けだな。
多分、ドイツでの経験が少し影響しているんだろう。
え?何の話だって?それはまた機会が来た時に話すよ。
千冬さんの挨拶が終わった直後、教室が少女達の黄色い歓声に包まれた。
「きゃ~~~~~~~!!本物の千冬様よ~~~~~~!!!」
すげー……。
千冬さんが超がつくほどの有名人なのは知ってたつもりだけど、こんな光景を見せられたら、改めて俺は凄い人を好きになったんだなって実感できる。
「うるさいですね……」
「ははは……」
クロエは自分の耳に指を突っ込んで周囲の声を遮断している。
でも、あんまり効果は無いだろうな。
千冬さんは凄く顔をしかめているし。
「なんで毎年、これだけのアホな連中が集まるんだ?呆れを通り越して逆に関心すら覚えるぞ。まさかとは思うが、私のクラスにだけ意図的に集めているとかは無いよな?」
なんか有り得そうで怖い。
「ところで、俺はいつまで立っていれば?」
「おっと、すまんな。もう座ってもいいぞ。畔章」
やっと座れる…。
別に体力的には苦ではないけど、この歓声の中で立ちっぱなしなのは精神的に辛い。
「あれ…?今もだけど、千冬様が馬渡さんの事を名前で呼んだ?」
「だね……。私も聞いた」
「あの二人って、どんな関係なんだろう?」
う~ん……俺と千冬さんが恋人同士なのは言わない方がいいな。
もしも言ったらどうなるか想像も出来ない。
「ふふ……聞きたいか?」
「「「え?」」」
目がキラーンってなった……。
ま…まさか言うんじゃないよな?
「私と畔章は付き合っている。つまり…恋人同士と言う事だ!!!」
「「「「「えぇ~~~~~~!?」」」」」
マジで言いやがったよ!この人!!
入学初日になんつーカミングアウトをするかな!?
「こ…恋人同士!?」
「メガネ男子のイケメンと千冬様……確かに絵になる!!」
絵になるって……そう言われたら…かなり嬉しいな…。
箒と後ろの金髪少女が鳩が豆鉄砲を食らったような顔になってるけど。
「ついでだ。クロニクルも告白したらどうだ?」
「よろしいので?」
「構わん。特別に許可する」
こ…告白とな?
猛烈に嫌な予感がする……。
「実は私……畔章さんの愛人をさせて貰っています」
「「「「「あ…愛人~~~~!?」」」」」
あれって本気だったのか!?
こんな場所で堂々と言うなよ!?
「も…もしかして彼って相当なプレイボーイ!?」
「でも、ちょっと許せるかも……」
「見た目は爽やか系のイケメンだしね…」
見た目はって何だ。
俺は中身も爽やか系のつもりだよ。
セックスの時に暴走するだけで。
「あわわわわ~……」
ほら、山田先生も困ってるじゃないか。って…さっき以上に顔が真っ赤になってません?
「さて、これでSHRを終わりにする。お前達にはこれからISに関する基礎知識を半月を覚えて貰い、その後にある実習で基礎動作を半月でマスターして貰う。分かったなら返事をしろ」
無理矢理終わりにさせてきたな…。
女子達は千冬さんが話し出した途端に注目して聞き始めたけど。
この無駄に高い連携力はなんなの?
「畔章さんと一緒に学生生活……楽しみです…♡」
「よ…よろしくな?」
「はい!」
クロエの元気な返事を聞いて、人生で二回目となる高校生活が始まりを告げた。
もう少し……もう少しだけエロシーンはお待ちください!
その代わり、本当に様々なシチュエーションやプレイを考えていますから!
私も辛いんです!早く書きたいんです!